気がつくと、僕は青い部屋に居た。
「おやおや、このように火急のお客人とは珍しい」
目の前にはやけに鼻の長い奇妙な人物がいて、やわらかそうなソファーに座ってる。
丁度テーブルを挟んで向かい合っている形だ。
・・・誰だろう? それに此処は・・・?
確か僕は自分の部屋で寝ていたはずだった。
一週間後の引越しの為に、先の寮に送る荷物を纏めて・・・疲れたから着替えるのも面倒でそのままにベッドに入り込んで。
じゃぁ、此処は夢の中だろうか?
だとすれば、こんな奇妙な部屋に居るのも不思議じゃない気がする。
丁度テーブルを挟んで向かい合っている形だ。
・・・誰だろう? それに此処は・・・?
確か僕は自分の部屋で寝ていたはずだった。
一週間後の引越しの為に、先の寮に送る荷物を纏めて・・・疲れたから着替えるのも面倒でそのままにベッドに入り込んで。
じゃぁ、此処は夢の中だろうか?
だとすれば、こんな奇妙な部屋に居るのも不思議じゃない気がする。
「然様、確かに貴方様は今眠っておいでだ。ここはベルベッドルーム。意識と無意識の狭間にたゆう部屋。夢と言われれば、確かにそれに近いかもしれませんな。
とは言え、貴方様がただ夢を見ているかといわれれば・・・何しろ、このような形でこの部屋に来られる方は初めてでして」
とは言え、貴方様がただ夢を見ているかといわれれば・・・何しろ、このような形でこの部屋に来られる方は初めてでして」
そうか、やっぱり夢なのか。
・・・それにしても、妙にはっきりとした夢だ。僕の考えてる事に律儀に答えをくれるなんて。・・・そもそも、この鼻親父は何者なんだろう?
・・・それにしても、妙にはっきりとした夢だ。僕の考えてる事に律儀に答えをくれるなんて。・・・そもそも、この鼻親父は何者なんだろう?
「これは申し遅れましたな。私の名はイゴール。このベルベットルームの主ですな。そしてこちらがエリザベス」
「エリザベスで御座います。エレベーターガールを勤めております」
「エリザベスで御座います。エレベーターガールを勤めております」
いわれてみて初めて気がついた。イゴールと名乗った鼻親父の隣に、部屋の色に溶け込むような真っ青の服を着た女の人が居る。
なんだか、古い洋画に出てくるような服だ。不思議なほど整った顔立ちとあわせて、まるで女優か何かのような印象を受ける。
?・・・エレベーター? いわれてみれば、周囲の壁がどんどん下に流れていく。壊れた時計みたいにぐるぐる回る表示板も、良く見れば階層を表すそれだ。
なんだか、古い洋画に出てくるような服だ。不思議なほど整った顔立ちとあわせて、まるで女優か何かのような印象を受ける。
?・・・エレベーター? いわれてみれば、周囲の壁がどんどん下に流れていく。壊れた時計みたいにぐるぐる回る表示板も、良く見れば階層を表すそれだ。
「さて、貴方様は今世にも珍しい状況・・・世界を飛び越えておいでだ」
夢だけに会話の内容も突き抜けてるな~。世界を飛び越えるって。まぁ、どうでもいいけど。
「おや、覚えておいでではありませんかな?眠りに堕ちる寸前、貴方様は銀色の光を見たはずです。
それこそが世界を飛び越え、此方の者を彼方へと導く術に御座います。貴方様は何者かに別の世界へと導かれたのです」
それこそが世界を飛び越え、此方の者を彼方へと導く術に御座います。貴方様は何者かに別の世界へと導かれたのです」
言われて見れば確かにそんな事があった気がする。電気を消し忘れたかと思って咄嗟に手を伸ばして・・・そういえばその後の記憶が無いな。
・・・これが夢だからだろう。何だか突き抜け過ぎてる言葉を聞いても妙に冷静な自分が居る。そして、今のイゴールの言った言葉が真実だと確信する自分も。
・・・これが夢だからだろう。何だか突き抜け過ぎてる言葉を聞いても妙に冷静な自分が居る。そして、今のイゴールの言った言葉が真実だと確信する自分も。
「・・・ほう、流石はこの部屋のお客人となられる資格を持つ方ですな。私の言葉を受け入れて、それに動じられないとは。
ともかく、貴方様はこれからいくつかの選択を迫られる事となるでしょう。私どもの役目は、そんな貴方様の助力となる事。
今は理解できないかも知れませんが、ゆめゆめお忘れないように・・・」
ともかく、貴方様はこれからいくつかの選択を迫られる事となるでしょう。私どもの役目は、そんな貴方様の助力となる事。
今は理解できないかも知れませんが、ゆめゆめお忘れないように・・・」
そう言うと、急にイゴールの姿が遠ざかっていく。いや、意識が遠くなっているのかな?
最後に聞こえたのは
最後に聞こえたのは
「では、遠くないその時に、またお会いしましょう・・・」
静かに告げられるそんな言葉だった。そして・・・
気がつくと、青空が見えた。
あの部屋とは、同じ青でも突き抜けたような青だ。少し周囲が煙っぽいのが難点だけど。
そこまで思って、ようやく自分が何か草場に寝転がっていると気付く。
気がつくと、青空が見えた。
あの部屋とは、同じ青でも突き抜けたような青だ。少し周囲が煙っぽいのが難点だけど。
そこまで思って、ようやく自分が何か草場に寝転がっていると気付く。
「・・・?」
やけに周りが騒がしい。身体を起こすと、何やら仰々しいマントか何かを身に付けた奇妙な一団が遠巻きにこちらを見て何か話してる。
直ぐ傍には、何だか顔を真っ赤にしてる女の子が居る。頭の寂しい中年の叔父さんに激しく何か言ってるけど・・・何語なんだろう?
日本語じゃないみたいだけど・・・これも夢なら自動翻訳機能くらいあってもよさそうな物なのに。
直ぐ傍には、何だか顔を真っ赤にしてる女の子が居る。頭の寂しい中年の叔父さんに激しく何か言ってるけど・・・何語なんだろう?
日本語じゃないみたいだけど・・・これも夢なら自動翻訳機能くらいあってもよさそうな物なのに。
「くぁwせdrftぎゅい!?!?!?」
あれ?何だかこっちに来る。すっごい顔が真っ赤だ。怒ってるみたいだ。
いやだなぁ、どうでもいいけどそんなに睨まないでよ。
何、その棒?・・・何か呟いてるけど・・・って何々!?
何、その棒?・・・何か呟いてるけど・・・って何々!?
「ん~~~~~~~!?」
お、女の子にキス・・・された。
・・・は、初めてだったのに・・・
っていうか、何だか変だ。夢にしては明らかにリアリティというか、感覚がはっきりしすぎてる。
・・・は、初めてだったのに・・・
っていうか、何だか変だ。夢にしては明らかにリアリティというか、感覚がはっきりしすぎてる。
「azxcv・・mnbghj・・・の魔法、成功したのかしら・・・そこの平民、私のいってる事がわかる?」
え?何だか急にこの子の言ってる事が判るようになったぞ?
「う、うん・・・判るよ。それよりも此処は・・・?」
「コントラクト・サーヴァントは成功かぁ・・・失敗して儀式のやり直しが出来たら良かったのに・・・いやでも・・・」
「コントラクト・サーヴァントは成功かぁ・・・失敗して儀式のやり直しが出来たら良かったのに・・・いやでも・・・」
・・・僕の話聞いてないね?何だか自分の世界に入り込んでるけど。
「ミス・ヴァリエール、儀式も終わりましたし帰りますよ!」
僕以外の話も聞いてないね?向こうの頭の寂しい人が何か言ってるよ?聞いてないね?
はぁ・・・どうでもいいや。
って、何だ!?急に左手が・・・熱いっ!ちっ違う!!痛いっ!!!
はぁ・・・どうでもいいや。
って、何だ!?急に左手が・・・熱いっ!ちっ違う!!痛いっ!!!
「あっあぐっ!!!」
痛い!痛くて何も考えられない!うわぁぁぁぁっっっ!!!
叫ぼうとして、次の瞬間、痛みが嘘のように消える。
な、何だったんだろう?今の痛み・・・確かめようとして左手を見ると、奇妙な模様が左手に浮かび上がってる。
叫ぼうとして、次の瞬間、痛みが嘘のように消える。
な、何だったんだろう?今の痛み・・・確かめようとして左手を見ると、奇妙な模様が左手に浮かび上がってる。
「ルーンが浮かび上がったって事は、本当に成功したのね」
見れば、さっきの女の子が意識的なワープから現世に戻ってきてた。
僕の手に浮かんだ『ルーン』とかいう模様を、嬉しくも無さそうに見つめている。
僕の手に浮かんだ『ルーン』とかいう模様を、嬉しくも無さそうに見つめている。
「これでもうアンタは私の使い魔よ。アンタ、名前は?」
「・・・せめて、もう少し事情を説明してよ。何だかよく判んない。使い魔って?あと、名前を聞くときは先に名乗るのが普通じゃないの?」
「・・・せめて、もう少し事情を説明してよ。何だかよく判んない。使い魔って?あと、名前を聞くときは先に名乗るのが普通じゃないの?」
僕の言葉に、女の子は面白くも無さそうに鼻を鳴らす。
どうでもいいけど、どうしてこんなに偉そうなんだろう?
どうでもいいけど、どうしてこんなに偉そうなんだろう?
「いいわ、どうやら学のない平民みたいだし色々教えてあげるわよ。まず始めに、アンタの主である私の名前をよく心に刻むのよ、いい?
私の名前はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!」
私の名前はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!」
長い名前だなぁ。・・・音の響きからすると、フランスっぽいけど・・・ここはフランスなのかな?月光館学園は日本のはずだけど。
分校がフランスにあって、そこに眠ってる間に・・・いや、それは無いか。
そこでふと目の端に空を飛ぶ一団が目に入った。さっきの遠巻きに見てた人たちだ。
・・・?・・・・・・飛んでる?
目を凝らしても、宙を舞う一団は消えない。消えそうに無い。
・・・どうでもいいけど。
分校がフランスにあって、そこに眠ってる間に・・・いや、それは無いか。
そこでふと目の端に空を飛ぶ一団が目に入った。さっきの遠巻きに見てた人たちだ。
・・・?・・・・・・飛んでる?
目を凝らしても、宙を舞う一団は消えない。消えそうに無い。
・・・どうでもいいけど。
「さ、まずは私の名前を良く覚えなさい!ほら、アンタの名前言いなさいよ!」
まずはこの女の子の用事を済ます方が先かな?判らない事は多いけど、目の前の事から一つづつ片付けていけばいいし。
「墓場野 鬼太郎。キタローって呼ばれてる。それで、ここは・・・どこ?」
こうして、僕の召喚生活は幕を開けた。