私に決闘を申し込んで来たあの使い魔はガンダールヴでは無い。
が、彼はゴーレムを肉弾戦で破壊する様な使い魔だと『彼女』から報告は受けている。
が、彼はゴーレムを肉弾戦で破壊する様な使い魔だと『彼女』から報告は受けている。
これが意味する事は只一つ。
ルイズを手に入れて母上を取り戻す大いなる障害になると言う事である。
ルイズを手に入れて母上を取り戻す大いなる障害になると言う事である。
現在、彼と私は大体10歩分程離れている。
彼の手に飛び道具は無い。
彼の手に飛び道具は無い。
今ならば、彼を『事故』で消すのも容易な筈だ。
「遅れましたが、自己紹介をさせて頂く。
名は……阿部高和。
つい2週間程前、トリステイン魔法学院で召喚された『使い魔』。
メイジでは無いので、二つ名は持っていない。 そう……認識して頂きたい。」
名は……阿部高和。
つい2週間程前、トリステイン魔法学院で召喚された『使い魔』。
メイジでは無いので、二つ名は持っていない。 そう……認識して頂きたい。」
気取った礼をしている彼に向けて、私は渾身の『エア・ハンマー』を唱える。
圧縮された空気の塊が彼に届く迄………あと数秒。
圧縮された空気の塊が彼に届く迄………あと数秒。
【薔薇男と穴を掘る使い魔】~白の国の罠(その4)~
才人のいた国には仮面ライダーやウルトラマンと言う子供達のヒーローがいるらしい。
ある日の放課後、
ルイズから逃げる為に才人が部屋にダイブして来た時に
余りにも暇だった僕は彼を匿う代わりに彼がやって来た東方の話を聞かせて貰ったのだ。
ある日の放課後、
ルイズから逃げる為に才人が部屋にダイブして来た時に
余りにも暇だった僕は彼を匿う代わりに彼がやって来た東方の話を聞かせて貰ったのだ。
闇の中で蠢く悪を打ち倒す英雄。
彼等を英雄たらしめる理由は断じてただ強いからでは無い。
才人曰く、「何かを成す為に諦めない者の姿に憧れる」のだそうだ。
彼等を英雄たらしめる理由は断じてただ強いからでは無い。
才人曰く、「何かを成す為に諦めない者の姿に憧れる」のだそうだ。
だが……それならばこんな臆病者の僕とあの男は本当に釣り合っていると言う事なのだろうか?
優雅に自己紹介をする彼の姿を見る。
王宮に仕える騎士達は、当然我が国で最強に近い。
その様な者の1人を前にして、彼は威風堂々と立っている。
その様な者の1人を前にして、彼は威風堂々と立っている。
その様な者の1人を前にして、彼は威風堂々と立っている。
「そんなに油断していて良いのかね、平民君!! 喰らいたまえ、我が『エア・ハンマー』をッ!!」
その彼を子爵の杖の先から飛び出した半透明で馬並の大きさの塊が襲う。
「危険。」
才人の治療を終えたタバサの言葉を聞き、反射的に僕は両手で目を覆ってしまった。
壁と『エア・ハンマー』のサンドイッチとなる彼の姿が、僕の瞼に映し出される。
壁と『エア・ハンマー』のサンドイッチとなる彼の姿が、僕の瞼に映し出される。
ボンッ
しかし、次の瞬間に僕の耳に聞こえたのは焚き火の中の栗が弾けた様な軽い音だった。
恐る恐る手を除けると、目の前には先程と変わり無く立っている1人の男。
その更に先には、驚愕に目を見開くワルド子爵。
その更に先には、驚愕に目を見開くワルド子爵。
僕が振り向くと、気絶している才人を除いた全員が呆然と彼の股を見ている。
良く見ると、彼女達の視線の先には微かにだが煙が上がっていた。
良く見ると、彼女達の視線の先には微かにだが煙が上がっていた。
「貴女にも見えたわよね、タバサ? 彼の腰、凄いスピードで動いたわよ?」
「…………棒、出てた。」
「…………棒、出てた。」
真っ赤になったタバサがキュルケの言葉にコクリと頷く。
<彼の『棍棒』が子爵の『エア・ハンマー』を貫いた>
彼女達の言葉を聞き、僕の脳裏にそんな有り得無い考えが浮かぶ。
頭を振ってその妄想を振り払おうとしている僕の前で、彼は悠然と歩を進める。
頭を振ってその妄想を振り払おうとしている僕の前で、彼は悠然と歩を進める。
「面白い事やってくれるじゃないの。 それじゃあ、たっぷり楽しませてやるからな。」
彼が一歩進む毎に、子爵の顔が恐怖に歪む。
地面にへたり込むと、素人の様に両手で杖を掴んだ子爵は再び『エア・ハンマー』を唱え始める。
地面にへたり込むと、素人の様に両手で杖を掴んだ子爵は再び『エア・ハンマー』を唱え始める。
「え……『エア・ハンマー』ッ!!」
だが焦りと恐怖で精神集中が乱れているのか、
今度の呪文が作り出した空気の塊はさながら形が崩れた煉瓦の様であった。
今度の呪文が作り出した空気の塊はさながら形が崩れた煉瓦の様であった。
その煉瓦モドキを、僕が先程『妄想』した通りに彼は粉砕する。
僕にそんな悪夢の様な光景を見せた彼は拳を握り、
「来るな……来るな……私の傍に近寄るなーーーーーッ!!」
腰を抜かしてしまったらしい子爵の端正な顔に勢い良く振り下ろした。
何かが砕ける様な音を立て、子爵の両手両足が糸の切れたマリオネットの様に崩れ落ちる。
何かが砕ける様な音を立て、子爵の両手両足が糸の切れたマリオネットの様に崩れ落ちる。
こうして、子爵の決闘体験は彼の敗北と言う結果となったのでした。