―――ヴァリエール家三女・ルイズの日記より
私が召喚したのは何だかよく分からない生き物だった。
大きさは三十サントから五十サントくらい。
ずんぐりむっくりした体型丸っこい手足、青い髪らしきものが頭部から生えている。
私の後を付いて来るのだが、なんか不思議な音が聞こえる。
大きさは三十サントから五十サントくらい。
ずんぐりむっくりした体型丸っこい手足、青い髪らしきものが頭部から生えている。
私の後を付いて来るのだが、なんか不思議な音が聞こえる。
それが足音だと気が付いたのは翌日だったりした。
食事を与えると、丸っこい手で掴んで食べる。
動作が非常に愛くるしい。
動作が非常に愛くるしい。
使い魔としても優秀だった。
私が指示したものを持ってきたり、感覚の共有も出来た。
特技は? と聞いたら感覚を通じてこう伝えてきた。
私が指示したものを持ってきたり、感覚の共有も出来た。
特技は? と聞いたら感覚を通じてこう伝えてきた。
『マッサージ』と。
なぜ、私はこの時、「やってもらおうかしら」と言ってしまったのか。
そのことを後悔しながら、今日の日記はこれぐらいにしておこう。
そのことを後悔しながら、今日の日記はこれぐらいにしておこう。
―――学院のメイド・シエスタの証言より
あれは、私がミスタ・グラモンに難癖をつけられた時でした。
あ、今の難癖の部分はオフレコでお願いします。
私が恐怖で震えているところにその存在はやってきました。
あ、今の難癖の部分はオフレコでお願いします。
私が恐怖で震えているところにその存在はやってきました。
ミスタ・グラモンの足元まで歩き、飛び上がって丸っこい手で張っ倒しました。
あのずんぐりむっくりした体型に、青い髪、間違いなくミス・ヴァリエールの使い魔でした。
椅子から転げ落ちながら決闘だと喚き散らす様は滑稽…いえ、何でもありません。
ともかく、決闘になりました。
ヴァリエール家の使い魔と、グラモン家のギーシュ様の。
あのずんぐりむっくりした体型に、青い髪、間違いなくミス・ヴァリエールの使い魔でした。
椅子から転げ落ちながら決闘だと喚き散らす様は滑稽…いえ、何でもありません。
ともかく、決闘になりました。
ヴァリエール家の使い魔と、グラモン家のギーシュ様の。
ギーシュ様がゴーレムを呼び出し、臨戦態勢。
それを見てミス・ヴァリエールは一言。
それを見てミス・ヴァリエールは一言。
「ギーシュのワルキューレと、ギーシュ本人。マッサージしてあげなさい」
それが、まさかあんなことになるなんて。
私の口からはその時起こった事を口にすることが出来ません。
ただ、ミス・ヴァリエールは呟いていました。
私の口からはその時起こった事を口にすることが出来ません。
ただ、ミス・ヴァリエールは呟いていました。
「ドリルって、怖いわね」と、意味深に。
―――土くれのフーケの調書より
思い出したくも無い。
破壊の杖を盗み出して、万事うまく事が進んだと思ったらあのザマだ。
破壊の杖を盗み出して、万事うまく事が進んだと思ったらあのザマだ。
無理にでも破壊の杖を使わせる為、ゴーレムで威嚇したさ。
結局誰も使えなかった。
しょうがないから目撃者を全部消そうとしたら、あの使い魔が立っていたさ。
結局誰も使えなかった。
しょうがないから目撃者を全部消そうとしたら、あの使い魔が立っていたさ。
あぁ? 誰の使い魔だって!?
そんなもの、一人しかいないじゃないか!
ルイズの使い魔だよ! ヴァリエール家の!
そんなもの、一人しかいないじゃないか!
ルイズの使い魔だよ! ヴァリエール家の!
何が『マッサージ』だ! アレはただの破砕活動だ!
その『マッサージ』でゴーレムが破壊されたんだ。
喚いても仕方が無いさね、ただ喚きたくもなるさ。
あんな使い魔がいてたまるか、とねぇ………
その『マッサージ』でゴーレムが破壊されたんだ。
喚いても仕方が無いさね、ただ喚きたくもなるさ。
あんな使い魔がいてたまるか、とねぇ………
―――レコンキスタ・ワルドの発言集より
あの使い魔にとって、『マッサージ』とは敵を破砕する手段だ。
気をつけろ、あの体に魔法は効かない。剣で切りつけても涙目になるだけだ。
障壁で受け止めるな、その不思議な角で削られて穴をあけられるぞ。
遭遇したらまず一番に考えることは一つ、わき目も振らず逃げろ。
―――彼女の使い魔の事を語った時より
気をつけろ、あの体に魔法は効かない。剣で切りつけても涙目になるだけだ。
障壁で受け止めるな、その不思議な角で削られて穴をあけられるぞ。
遭遇したらまず一番に考えることは一つ、わき目も振らず逃げろ。
―――彼女の使い魔の事を語った時より
―――アルビオンにて戦った傭兵の話より
撤退するトリステイン軍を追撃するのが俺達の仕事だった。
こちらは七万、圧倒的な戦力差だ。
そう思っていた、その時だ。
こちらは七万、圧倒的な戦力差だ。
そう思っていた、その時だ。
進軍方向に一人の少女が立っていた。
彼女は叫んだ。
彼女は叫んだ。
「目標はここにいる私以外のマッサージ!」
抱えられていたずんぐりむっくりした、ぬいぐるみみたいな物体が地面に降り立った。
俺達の幸運は、軍の右翼端にいた事だ。
俺達の幸運は、軍の右翼端にいた事だ。
そのぬいぐるみは、両手を合わせるようにして構える。
すると、巨大な鉄色の角が姿を表す。
それだけならまだよかった。
それだけならまだよかった。
「突貫しなさい!」
掛け声が聞こえると共に、ありえないスピードで突っ込んでくるぬいぐるみモドキ。
前列にいたやつは対応する間も無く、その突進によって吹き飛ばされていった。
そのまま戦場を縦横無尽に駆け巡る。
角を構え、誰にも対応できない速度で。
たったそれだけの行動なのに、行軍不能な事態にまで陥ったんだ。
前列にいたやつは対応する間も無く、その突進によって吹き飛ばされていった。
そのまま戦場を縦横無尽に駆け巡る。
角を構え、誰にも対応できない速度で。
たったそれだけの行動なのに、行軍不能な事態にまで陥ったんだ。
悪夢を見ているみたいだったぜ。
「こうして、ルイズと使い魔は七万の兵隊を蹴散らし、皆の平和を守りましたとさ。めでたしめでたし」
寝る前に聞かせた物語、ルイズと使い魔の話を終わった頃、子供はぐっすりと眠っていた。
重厚な背表紙にはその使い魔を模した、強靭な角を持った熊みたいな姿が描かれていた。
重厚な背表紙にはその使い魔を模した、強靭な角を持った熊みたいな姿が描かれていた。
「ふふっ、本当はこんなのなのにね」
背表紙を開いた部分にある、白い空白部分に木炭を走らせる。
ずんぐりむっくりした体型に、丸い手足、情けないが興味を引く顔、そして髪の毛。
ずんぐりむっくりした体型に、丸い手足、情けないが興味を引く顔、そして髪の毛。
「久しぶりにルイズと口げんかでもしに行こうかしら?」
私、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーはそんなことを思いながらランプを消す。
「変わってないんだろうな、ルイズも、あの使い魔も」
このたび正式に『虚無のルイズ』となった友人と、その『記されるのもはばかれる』使い魔を思う。
相変わらず仲良くやっているんだろう。
窓からヴァリエール領の方向を見ながら思った。
相変わらず仲良くやっているんだろう。
窓からヴァリエール領の方向を見ながら思った。
午後のティータイムとしゃれ込もうとした瞬間に、執事のサイトが入ってくる。
「ルイズ様、キュルケ様が参られましたが」
「通して頂戴、それとお茶と菓子の準備を」
「通して頂戴、それとお茶と菓子の準備を」
その言葉に礼をして去っていく。
奥から、キュキュキュと足音が聞こえる。
そちらに振り向き、私は最愛の使い魔を呼ぶ。
奥から、キュキュキュと足音が聞こえる。
そちらに振り向き、私は最愛の使い魔を呼ぶ。
「おいで、メカ進藤」
終わり
-『ねこねこソフト』の四コマ、諸葛謹よりメカ進藤を召喚