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  • あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • 虚無<ゼロ>の旋律-6

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

虚無<ゼロ>の旋律-6

最終更新:2010年08月01日 21:36

匿名ユーザー

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  • 虚無<ゼロ>の旋律


「むう……」

 長く伸びた白い口髭を手で撫でながら、老人が唸り声をあげる。
 髭同様色素の抜けきった白髪は、地面に付こうかと言う程長く。深い皺の刻まれた顔は、長い歳月を生きた古木を彷彿とさせた。
 彼の名はオールド・オスマン。偉大なるメイジにして、この学園の学院長である。
 視線の先には鏡があり、ケティに向かって戦士の一撃を放つ小百合の姿が映っていた。
 マジックアイテム『遠見の鏡』。それは遠く離れた風景すらも意のままに映し出す。
 魔法学院の本塔の最上階に位置する学院長室で、彼は小百合とギーシュが起こした決闘騒ぎの一部始終を見ていた。

「光り輝く二の腕の紋章……。アレは昔見た……」

 オスマンの手がワナワナと震える。上擦った声は彼が興奮している事を意味していた。
 過去に想いを馳せているのか、懐かしげに細められた目は何処か遠くに向けられている。
 だが彼の追憶の時間は、聞こえてきたノックの音で儚く終わった。
 間隔が短く激しいその音はいかにも慌しく、扉の前に立つ何者かの焦燥が伝わってくるようである。
 無粋な来訪者に溜息をつくオスマン。懐から杖を取り出し『アンロック』の呪文をかけた。カチリ、と音がしてドアの鍵が開く。

「入っとるよ」
「トイレじゃないんですから! それよりたた、大変です!」

 勢い良くドアを開き、息を切らしながら入ってきたのは、禿頭が眩しい中年の教師。コルベールだった。

「なんじゃね、騒々しいぞ、ミスタ・コルベール」
「違います! 私の名前は――あれ?」
「ん? 違ったかの? すまんなあ、最近物忘れが激しくての。で、君の名前はなんじゃったかな?」

 飄々とした風情で問うオスマン。コルベールは決まり悪そうに後頭部を掻きながら弁解した。

「い、いえ。コルベールで合っています。その、学院長にきちんと名前を呼ばれた事がついぞないもので……」
「わかっとる、わかっとるよコルベール君。漸く君の名前を覚えられたからの。少しからかってみたくなっただけじゃて」

 呵呵大笑するオスマン。その科白にコルベールはガクリ、と項垂れた。

「勘弁して下さい……。それより、大変なんです!」
「それもわかっとるよ。ヴェストリの広場で起こった騒ぎの事じゃろう?」
「その通りです。そこでどうでしょう、他の教師の提案なのですが『眠りの鐘』を使っては――」
「その提案は悪くはないが、少しばかり遅いぞコルベール君。もう終ったわい。被害もあの平民が軽傷を負った位かの」

 一応は生徒として認識されていたケティの事は被害に勘定しないオスマン。
 全てを見ていた彼には、そうする事に意味が無い事を解っていたから。
 事件の元凶であるケティ・ド・ラ・ロッタと言う人物は、最初から居なかった事になっているだろう。

「そうでしたか」

 安堵の溜息をつくコルベールに、オスマンは顔を顰める。

「何をホッとしておる。問題は此処からじゃ。名門公爵家の令嬢たるミス・ヴァリエールとその使い魔に“彼等”は何をしたと思う?」

 彼等とは? 解らず首を傾げるコルベールだったが、不意に思い付き口を開いた。

「……騒ぎを観戦していた他の生徒達ですか?」

 大勢の生徒が野次馬として集まっていたらしいですね、とコルベール。
 そんな何の気無しの彼の言葉に、オスマンは眉を吊り上げ声を荒げた。
 憤り、その余り掌を強く握り締める。血が出そうなほど、硬く。

「私刑<リンチ>じゃよ。寄ってたかって攻撃魔法を浴びせておった。決闘の真っ最中だった使い魔と一緒に居た彼女に、な」
「そ、そんな……!」

 愕然とし、目を見開くコルベール。俯き、やるせなさの滲んだ苦い顔で呟く。

「一般人を巻き込まないのが暗黙の了解だったのではないのか……」
「何か言ったかね?」
「あ、いえ。……理解に苦しむと、何故こんな事をしたのか皆目見当が付かないと、そう言ったのです」
「そうじゃな。じゃが理由はどうあれ事実は事実。こんな事をしでかした以上、これ以上彼らをこの学園に置いておくわけにはいかん」
「オールド・オスマン! なにもそこまで厳重な処分を下さなくとも……」
「無論、退学にはせんよ。紹介状を書いて他の魔法学院への転校させる、といった所かの。一応、貴族じゃからな」

 その事実を認めたく無いと言わんばかりに、苦々しげに『一応』を強調するオスマン。
 もっとも、向こうの方から退学を申し出てくるかもしれんな、と心の中で1人ごちる。

「しかし、ミス・ヴァリエールとその使い魔には聞かねばならぬ事が沢山あるわい。いずれミス・ロングビルに彼女らを呼び出して貰わ
んと」

 誰に言うでも無く言うと、オスマンはとまるで睨み付けるような鋭い視線をコルベールに向けた。

「……で? それだけかね、コルベール君」
「え、あ、いえ。あのミス・ヴァリエールが召喚した使い魔の事について話したい事が……」

 恐らくは図書館から持ち出した書物を手に、コルベール。
 オスマンは小さくほう、と相槌を打ち目を軽く見開く。そして杖を振りドアに施錠した。

「詳しく説明してみなさい、ミスタ・コルベール」
「はい、それが――」

 オスマンに従い説明を始めるコルベール。
 ルイズが召喚してしまった平民の使い魔に契約の際刻まれたルーンが気になった事。
 それを調べると、かつて始祖ブリミルが使役していた伝説の使い魔『ガンダールヴ』のモノと同一だったと言う事。
 また、そのルーンが刻まれた瞬間、幽霊だった筈の彼女が普通の人間と変わらぬ肉体を得たと言う事。
 その内容を要約すればこんな所である。オスマンはコルベールが見せたルーンのスケッチをじっと見つめた。

「確かに、全く同じじゃな。決め付けるのは早計だとしても、その可能性は高いと見て良さそうじゃのう。それに、死者が蘇ったと言う
のも興味深い」
「はい。これは王室に報告し指示を仰ぐべきではないかと」

 促すコルベールに、しかしオスマンはゆっくりと横に頭を振った。

「それには及ばんよ。言ったじゃろう? 決め付けるのは早計だとな。それに、彼女がもし本当のガンダールヴだったとしたら、王室の
ボンクラ共に危険な玩具を渡してしまう事になりかねん。君もまた彼らに戦を引き起こさせたくはないじゃろう?」
「勿論です……!」

 腹の底から搾り出すような声で、即答。オスマンは良い答えじゃ、と微笑み、頷く。
 そうでなくとも、下手すればガンダールヴ等比べ物にならない程強大な力を持っている可能性があるのだ。
 コルベールの提案など到底受け入れられるものではない。
 何より、あんな目に遭った彼女達を少しはそっとしてやりたかった。

「取りあえずこの件は私が預かろう。私の許可あるまでこの事は他言無用じゃ」
「は、はい。畏まりました。……学院長の深謀には恐れ入ります」
「ほほ……。もっと言ってもいいんじゃよ? 此処の人間は学院長の私を讃えると言う事を知らんから困る」

 冗談めかしてそう言うと、コルベールに退室を促そうとして――最後に1つ、彼に問うた。

「そうじゃ、コルベール君。その使い魔には『ガンダールヴ』のルーン以外に何か目立った特長はあったかね?」

 ルーンとは別に、彼女に刻まれている戦士の紋章について詳しく尋ねようとしたオスマン。
 彼があの紋章についてどう考えて居るか、少し興味が湧いた為もののついでに聞いてみただけだったのだが。

「……いえ。強いて言うなら、この辺りでは見ない服を着ていたこと、くらいでしょうか」
「ふむ、他は普通の平民と何も変わりが無いのかね」
「はい。何も変わりは在りません」

 返って来たのは、予想外の答え。思いがけない反応に、眉をひそめるオスマン。
 再び口髭を撫でながら思考を巡らせる。
 ルーンに目が行っていて気付かなかったのだろうか? 少しそれは考えにくい。
 しかしルーンに気付いておきながら、それ以上に特徴的とも言える戦士の紋章に少しも興味が行かないというのは不自然だ。
 ならば何らかの理由で紋章の事を――いや。
 彼女がメロスの戦士である事を隠そうとしている? ならば、それは何故?
 問い質そうとも思ったが、生半可な事では口を割りそうになかったし、本当に気付かなかった可能性も捨てきれない。
 見様次第では風変りな刺青に見えない事もない。
 それならば何の問題は無いのである。
 予定通り彼女らを呼付け、訊ねれば良いだけだ。だが、もし。
 彼が何かを隠していたとして、そしてその理由が予想しうる最悪のモノだった場合。
 ソレを知ろうとする事は、この学園を侵食しつつある闇に踏み込むと言う事だ。
 即ち、命の危険すら在り得ると言う事を意味していた。

「そうか。ならもう話は終わりじゃな。行きなさい、コルベール君」

 ゆえに、オスマンはそれ以上問うのを止めコルベールに退室を促した。
 今はまだ、命というコインをベットするタイミングではない。
 その選択は、良く言えば慎重、悪く言えば臆病。
 それは分かっているが、自分はこの学園の生徒及び教職員の身柄を一時的にとは言え預かる身だ。
 迂闊な行動は皆の安全をも脅かす。ならば、彼らの為に幾らでも臆病になってやろうではないか。
 そう思い直すも、思わず溜息を付いてしまう自分がいる。
 ただ手をこまねいているしかなかった事が情けなかったために。
 結局の所、自分は只の傍観者としての範疇を逸脱していない。
 どれだけ立派な考えを持とうとも、何も出来ないのであれば、何も有効な手立てが思い付かないのであれば。
 その考えに、意味を持たせる事など出来はしないのだから。
 どんなに見事な論理武装をしようとも、それは単なる言い訳に過ぎない。

「スマンの。今の私に出来る事と言ったらこれ位じゃ。メロスの戦士よ」

 しばし宙を仰いでいたかと思うと、今ここには居ない彼女に弁解する。
 この世界に迫りつつある驚異、それをもたらすモンスター。それに対して余りにも無力な自分。だのに、何が偉大なメイジか、と。
 それにしても、と思考を切り替える。だが、希望はあるのだと。

「あの怪物に対抗できた存在が、かの伝説の使い魔『ガンダールヴ』とはのう。なんとも運命的なモノを感じるわい」

 先程とは打って代わりニヤリとほくそ笑み、ドアの方を振り返った。

「――所で、何用かね?」
「……何時から、気付いていらしたのですか?」

 ドアから静かに歩み出たのは、メイド服を着たおかっぱ頭の少女、シエスタである。
 気まずげに目を伏せるメイドの少女。
 これからどんな咎めと罰を受けるのだろうかと戦々恐々として居るのだろう、その顔色は微かに青く額には汗が浮かんでいる。

「コルベール君が退室した少し後からかの。のう、モートソグニル?」

 己の使い魔の名を呼ぶオスマン。その声に、シエスタの足元に居たネズミが小さく鳴き声をあげる。
 ドロワーズもなかなかいけるのう、という呟きが緊張に固まるシエスタに聞こえなかったのは幸いなのかどうか。

「それは兎も角、盗み聞きは感心せんな」
「もも申し訳御座いませんッ! 実は、ミス・ヴァリエールの使い魔と貴族様が決闘を……」

 しどろもどろなシエスタ。
 手伝いを頼んだ事が決闘騒ぎのきっかけになったと思いつめた彼女は、なんとか止めようと教師にかけあったのだった。
 だが、平民たる自分の言葉に耳を貸すものなど居らず。
 最後の手段として学院長であるオスマンに、この首をかける覚悟で直談判しようと赴いた時には、既に先客のコルベールが居た。
 その会話の内容に慌てて物影に隠れ、結果盗み聞く形になり……現在に至る。

「安心しなさい、彼女は無事じゃよ。君を咎めるつもりも毛頭無い。ただ、この事は誰にも話さぬようにな。いいかね?」
「は、はいッ!」

 凄みの利いたオスマンの声に背筋をピンと伸ばし、体を強張らせ。裏返った声で返事をするシエスタ。
 その反応に満足そうな笑みを浮かべると、シエスタに退室を促した。
 ギクシャクと部屋を後にし、駆け足で通路を移動しながらシエスタは先程盗み聞いた内容を反芻していた。
 その中で彼女の最大の感心は、音無 小百合がメロスの戦士だと言う事。
 もしそうならば。彼女が、私の――

(私の“選ぶ”べき人なのかもしれません。……ツナギさん)

 首から下げた円錐状のモノを握り締める。するとそれはぼう、と淡く光り。
 シエスタの額が、それに呼応するかのように、微かに光を放った。

 ケティとの戦いを終えた小百合達に待っていたのは、キュルケやギーシュの友人連中含むクラスメイト達の質問攻めだった。
 無理も無い。目撃者を出さないように、ヴェストリの広場から締め出されていたのだ。モンスターユニオンだった一部の生徒によって。

「あのまま僕、或いは周囲のモンスターユニオン達が2人を殺せば、決闘中の事故として処理される事になっていた」

 とは後のギーシュの弁。
 しかし、彼等からの無数の問いに対し、小百合とルイズはあの時の事を馬鹿正直に話すわけには行かなかった。
 もし事情を話せば、自動的に何も知らない無関係な人間を巻き込んでしまう。
 仮にそうでなくモンスターの関係者ならば、此方の不利になるだけ。どちらにせよ、話す事に何のメリットもない。
 だから、小百合達とギーシュは皆を納得させる為のカヴァー・ストーリーをでっち上げた。
 ――最初はメイジであるギーシュが優勢だったが、一方的な展開に飽きた彼が、ハンデにと剣を造って小百合に寄越した。
 ――その剣を手に持った瞬間、見違えるように動きの良くなった小百合によってワルキューレは瞬く間に全て切り倒された。
 ――そのまま剣を突きつけられ降参を迫られたのでギーシュは負けを認めざるを得なかった。
 皆に小百合は『遠い異国から召喚された元傭兵』と説明した為、短時間で考えたにしては良く出来た話とも言える。
 それでも、メイジと平民の力量差を考えれば多分に無理のある内容。
 その事を十分に分かっていた為「ギーシュが勝った事にしよう」と小百合とルイズは再三提案したのだが、ギーシュはそれを頑として受け付けなかった。例え嘘でも小百合に勝ったなどと言えはしない、と。
 第三者から見ればそれは愚かしい考えなのかもしれない。けれど、その程度にはギーシュ・ド・グラモンは貴族だったと言う事だ。
 結果として、小百合はメイジ相手に勝利した異例の平民として生徒達の記憶に刻まれた。
 もっとも、小百合がもっととんでもない存在である事を知っているルイズとギーシュにしてみれば、甚だ苦笑モノだったのだが。
 そして全てが終り。少しだけ時は流れ、夕方。トリステイン魔法学院の学生寮の一角。ルイズの部屋。
 授業中における失敗魔法騒ぎに始まり、ギーシュとの決闘。そしてこの世界においては初めてのモンスターとの戦い。
 密度の高い1日を過ごした小百合とルイズにも、漸く安息の時が訪れていた。
 2人はそれぞれ椅子に座って向き合っていた。ルイズの左手には深さが数サント程の円筒状の容器が。
その中にあるのはなんとも言えない色と匂いが特徴的な軟膏。
 モンモランシーから貰った傷に効果のある魔法薬である。ギーシュが謝罪と共にルイズにあげるよう懇願したものだ。
 ルイズは開いた右手でその軟膏を微かな量を掬い取り、小百合の傷に塗りこんで行く。
 1つ1つは大して深くはないのだが、体中に無数にあるとなるとどうにも痛ましい。

「……疲れた」

 言葉の通り疲れに目を少しトロンとさせながらぽつり、と呟くルイズ。
 その声にも力が無く、誰かに言おうとしたというよりは、思わず口を突いて出たように見える。

「疲れてるんなら、無理しなくていいわよ」

 軟膏くらいなら自分で塗れるっていったでしょ、と苦笑する小百合。
 ルイズは無言で溜息をつくと、軟膏を塗りこんでいた傷口をぐいと指で押し込んだ。

「……っ!」

 突然の事に流石に苦悶の表情の小百合。恨めしげな視線を向ける彼女にルイズはソレ見た事かと半眼を返す。

「そんな気遣い、余計な御世話。貴方は十分に使い魔の勤めを果したでしょ。なら主はその働きに応えなきゃなんないの。……これ位させなさいよ」
「……ルイズ」

 それきり口を噤み、軟膏を塗りこむ作業に戻るルイズだったが。
 暫くして、やがて何か逡巡する様に視線を泳がせ、そして。

「一度しか、言わないから、光栄に思いなさいよ?」

 気恥ずかしげに視線をそらし、軟膏の付いた手をもじもじと弄びながら、とてもとても小さな声で。

「…………護ってくれて、ありがと」
「……ん」

 不器用なルイズの感謝の言葉に、小百合は小さく頷いただけだった。
 時には、思いをあえて言葉にしない方が良い場合もある。

「ねえ、これからどうしたら良いと思う、サユリ?」

 軟膏を塗り終え、容器の蓋を閉めながら、ルイズ。言葉の端に滲むは不安の色。
 仕方ない、と小百合は思う。
 誰が何時自分達の命を狙ってくるか分からない状況で、安心しろと言う方が無茶と言うものだ。
 ルイズは、安心する為の材料を欲しがって居る。「これならもう大丈夫」だと、身の安全を保障する根拠を求めて居るのだ。

「貴方の実家に戻ると言うのはどう? そこなら信頼できる人間ばかりだと思うのだけど」
「ダメ。家族に危険が及んじゃうし、第一使用人1人1人まで把握してないもの」

 手で×印を造り、それならとルイズは提案をし返す。

「王家に助けを求めたらいいんじゃない? 私、この国の王女様とは幼馴染でね――」
「ダメね。話したでしょう? モンスターには同じモンスターの力かメロスの戦士の力でないと有効なダメージを与えられないって」

 死体の山を造るだけよ、と小百合。ルイズは意気消沈し肩を落とす。
 余程強力な破壊兵器でも在れば話は別だけれど、と小百合は思うも。科学技術が中世レベルのこの世界では考えるだけ無駄だ。
 科学技術の代わりである魔法がどれ程の力を持っているのかは知らないが、少なくともモンスターの脅威には成り得ない様だ。

「助けを求めるのもダメ、安全な場所を見つけるのも難しい、どうすればいいのよ」
「……現状維持しつつ様子を見るしかないわ。もどかしいけれどね」

 途方に暮れるルイズに、悔しそうにそう言うしかない小百合。
 孤立無援、四面楚歌。窮地は脱したものの、その状況には変わりはないのだった。
 重苦しい雰囲気に乗せて、溜息のユニゾンを奏でる2人。
 それに終止符を打ったのは、控えめなノックの音。たちまち室内を支配する緊迫した空気。
 小百合はルイズを庇う様に立ち身構え、ルイズは慌てて杖を手にとる。
 覚悟を決め、ルイズはどうぞ、と扉の外に居る何者かに声をかける。自分の声が余りに乾き、擦れていた事に彼女は驚いた。
 やがてノブが捻られ、ゆっくりとドアが開けられ――

「やあ」

 おずおずと入室してきたのはフリルの付いたシャツを着た、金髪の青年。
 小百合は全身の力がドッと抜けるのを感じた。立って居られるのが不思議なくらいだった。

「……ギーシュ、驚かせないで」

 顔を顰める小百合に、ギーシュは決まり悪げな顔でルイズの方を向いた。

「ええと、何かまずかった?」
「とても拙いわね、タイミングが。物凄く、とてつもなく」

 部屋の床にへたり込みながら、ルイズ。緊張の糸が急に切れた所為で腰が抜けてしまったらしい。

「で? 何の用?」

 小百合の手を借りて椅子に座りつつ、胡乱な目で不躾に聞くルイズ。羞恥で僅かに頬が赤かった。
 すると、ギーシュは急に真面目な表情になる。元々端正と言うか耽美な部類に入る顔つきであるため、非常に様になっていた。
 ルイズは、彼が女生徒から黄色い声を浴びる理由が少し分かった気がした。

「謝りに、来たんだ。勿論、謝って済む問題じゃないのは解ってる。でもそうでもしないと僕の気がおさまらない」
「いいわよ、別に。貴方も被害者っぽいし、そんな場合じゃないし」

 手をひらひらと振るルイズに、ギーシュは怪訝な表情。

「そんな場合じゃない?」
「そうよ。私達はね――」

 ルイズはギーシュに先程の会話の内容を話して聞かせた。
 すると、ギーシュはははあ、そんな事かと安堵の笑みを浮かべた。

「その点に付いては、今の所心配は無いと思う」
「どうして?」
「一応元モンスターユニオンだったから解るんだけど、彼等は事が表沙汰になるのを避けている節があるんだ。無関係な人間を巻き込む事もね」

 もっとも“食事”の時以外だけど、と肩を竦める彼の言葉に、小百合は戦争に勝利した後のモンスターもそうだったと思いだす。
 アレは影から世界をスムーズに操る為だったが、此方においてもそうなのだろうか。それとも、何か別の理由があるのだろうか。

「だから、少なくとも今直ぐキミ達に何かを仕掛けてくる可能性は極めて低いと思う。それに、ケティの話によれば今日の件は彼女の独断だったようだしね」
「当面は安心できるってこと、か。それでも、油断は出来ないわよね。何か出来る事は……そうだわ」

 何かを思い付いたのか、ぽんと手を叩くルイズ。

「武器を買いに行きましょう。今度の虚無の曜日にでも。弓矢が無ければ力を発揮できないんでしょ」
「確かにそうだけど……私、一文無しよ?」
「勿論、お金は私が出すわ。必要な物を買うのを躊躇うようなケチじゃないわよ。自分の命がかかってるしね」
「なんなら、あの時みたいに僕が造ろうか?」
「一発撃つ度に壊れるのなんか要らないわよ。ねえ、サユリ?」

 ギーシュの提案を一蹴するルイズに曖昧な笑みを返す事しか出来ない小百合。
 彼の厚意は嬉しいのだが、ルイズの言う通りでもあったから。

 To be continued……


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