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  • ゼロな提督-01

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロな提督-01

最終更新:2008年09月01日 20:19

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  • ゼロな提督


ゆめ



ゆめをみていた


長い、長い夢を見ていた。そんな気がする。

誰か傍で泣いていたかな
あれは、誰だったろう

ああ、あれは私の息子だ
あれ?泣いてたのは女の子じゃなかったかな
そもそも、私は子供がいなかった気もする
どっちだろう

どうして泣いていたんだろう
大事な事だったはずだけど、頭がはっきりしない。思い出せないな



ああ、まぶしいな
もう朝か。しょうがない、起きるとしよう

起きたら、まずは蜂蜜入りの紅茶を入れてもらおうかな

あれ?誰にいれてもらうんだろう。自分じゃいれられないよな
誰だったろう・・・あれは、妻?息子?娘?
いやそもそも

私は、誰だったろうか・・・




 目を覚ますと、彼の視界に見知らぬ風景が広がった。

 朝日が照らす部屋。ベッドの上で横たわっている。
 天井は、妙に古くさい。今時、木造だの石造りの壁だのを使ってる。
 視線を横にずらすと、部屋全体がまるで貴族の屋敷のようなゴシック調。
 家具もカーテンも、あり得ないような古典趣味。
 窓から見える風景は空。のぼり始めた太陽に追いやられる闇。

 彼は窓際のベッドに寝ていた。いまだに覚醒しきらない頭で周囲を見渡している。

「―――・・・んです!目を、目を覚ましまし!先生っ!」

 横から叫び声がした。
 その人物は、メイド服の女性だ。
 彼には信じられない格好だ。彼の国では、よほど特殊な趣味をした人の世界でしかお目にかかれないはずの服なのだから。別の国はどうだか、彼はよく知らない。資料ではともかく、実際に目にした事がないので何とも言えなかった。

 彼は身体を起こそうとした。だが、起こせなかった。
 全身に、ほとんど力が入らない。長く動かなかったので身体がなまってしまっているらしい。



 そうか、私は随分と長い間、ベッドで寝ていたんだな


 ぼんやりと、そう考えていると、遠くから何人もの人が駆けてくる音が響いてくる。
 すぐに数名の老若男女が部屋に飛び込んできた。
 ヘンな連中だなぁ、と彼は感じてしまった。何しろ、白衣の医者と看護師が飛び込んで来るならともかく、実用性の全くない、奇妙なマントを着た男性と老人と少女などだったのだから。そして少女の髪はピンク色。妙な色に染めたんだなぁ、最近の流行なのか、と驚いてしまう。
 しかもその行動もおかしいとしか思えなかった。彼等の中の数名が杖を手に、なにか呪文のようなものを呟き手をかざす。本当に医療者なんだろうか、呪い師の類に見えてしまう、そう彼は考えていた。
 マントの一団は、そんな彼の違和感には気付かないようで、心配げに彼の顔を覗き込んでくる。髯の老人が優しい声で彼に言葉をかけた。

「あ~、気がついたかね?」
 彼は、蚊の鳴くような声で答えた。
「・・・ええ・・・。ここは・・・どこですか?私は、何故ここに」

 私の返答を聞いて彼等は安心した様子だ。特に少女が、なにやらとても嬉しそうにしている。
 老人が微笑みながら言葉を続けた。
「どうやら、もう大丈夫のようじゃな。心配はいらん。君は死の淵から生還したのじゃ。ところで、名前は言えるかな?」

 名前、そうだ、私の名前は・・・私は・・・
 中肉中背、学者のような容姿で、おさまりの悪い黒髪の男は答えた。
「私は、私の名は・・・ヤン、です。ヤン・ウェンリー」



       第一話    蘇生



「信じられない。私は確かに左脚の動脈を撃ち抜かれ、死んだはずだったのに」
「我々もビックリしましたぞ!死体を召喚してしまったのかと、皆大騒ぎでしたからな。あなたはとても幸運でした。幸いにも、蘇生に成功したのです」
 ヤンはどうにか身体を起こして、ちょっと頭髪が寂しい男の話しを聞いていた。召喚て何の事だろう?と感じはしたが、今はそんな事を気にしている時では無い、と思考の隅に追いやった。
 ヤンは病衣の裾をめくり、撃ち抜かれたはずの足の傷を見ようとした。だが出来なかった。傷自体が消えて無くなっていたからだ。
「私は、随分と長い間寝ていたんですね」
「ええ、全く、ずっと眠りっぱなしでしたからな」


 傷自体が消えてしまうほど、か。おそらく1ヵ月やそこらではないな。
 部屋の造りや外の様子からすると帝国領だろう。
 どうやら帝国軍に救出され、そのまま治療施設に送られたらしい。ここは貴族向けのリハビリ施設というわけだ。
 そうだ、結局交渉はどうなったろう?ユリアンは、フレデリカは、メルカッツ提督や、いやイゼルローンや同盟は?
 戦争はどうなったんだ!?


「え、えっと、すいません。まずは助けて下さった事に感謝します。それで、戦争はどう
なったのでしょうか?」
「戦争?」
 ヤンの言葉を聞いて、その場にいた全員がキョトンとしていた。すぐに男が何かに気付いた顔をする。
「ああ、そうでしたか。あなたが着てた服の階級章らしきものから、もしやとは思っていたのですが。やはりあなたは軍人だったのですな?」
「ぐ、軍人だったの、ですな・・・て。・・・はぁ、確かに私は軍人に見えないと、よく言われるのですが」

 今度はヤンがキョトンとする番だ。
 彼の常識から言えば、彼等の患者が誰か知らないはずがないのだから。どう考えても、皇帝ラインハルト自身が勅命をもってヤンへの最大限の救命と治療を命じたはずだ。でなければ、間違いなく一度は失血死したはずの自分を強引に蘇生させ、傷が消えて無くなるまで治療を続けるはずがない。
 帝国も戦乱で社会システムが疲弊しているとはいえ、医者として、機密に触れない程度の患者の情報は与えられているはずだ。
 これは、ヤンがどう見ても軍人らしくない、というレベルの話しではない。

 ヤンは混乱しつつも、とにかく現状を確認すべきと判断した。
「えっと、すみませんが通信を使わせてもらえませんか?イゼルローンか、皇帝陛下か、ああ、捕虜の身で通信は無理でしょうね。ではとにかく、ここがどこなのか教えて頂けませんか?」
 ベッドサイドの人々が視線を交じわせる。どう答えようかと思案しているようだ、というより質問の内容が分からない、といった感じだ。

 ヤンの混乱はますます深まりつつあった。
 この人たちは、銀河の二大勢力による長きにわたる戦争を知らない、とでも言うのだろうか?まさか遙か昔の植民団が、どこか辺境の星系に流れ着き、そのまま帝国とも同盟ともフェザーンとも接触を持たずに独自の発展を遂げた、とでも言うつもりなのか?
ヒゲの老人がオッホンと咳払いして、前に進み出た。

「えー、君もいきなりの事で、混乱しているのだろうと思う。まぁ、とにかく落ち着きなされ。
 ここはハルケギニアのトリステイン。トリステイン魔法学院ですじゃ。君は召喚されてから三日三晩、治療を受け続けていたのじゃよ」

 ヤンは、老人の言葉が頭に入らなかった。聞き慣れない単語や知らない地名が当たり前のように出てきたからだ。その上、なんというか、非常識な数字が出てきた気がする。

「・・・え~っと、すいません。どうも蘇生したショックからか、あなたの言う事がよく理解出来ませんでした。なので、一つずつ確認させて下さい。
 三日三晩、と言いましたか?」
「うむ、学院の水系メイジを総動員し『治癒』の魔法をかけ続けた。おかげですっかりよくなったようじゃ」
「ま・・・ほう?魔法、ですか?」
 ヤンは、もしいま鏡があれば、自分の目が点になっているのが見れたろうに、とバカな事を考えた。
「そうじゃ。治療費は、ほれ、君を召喚したそこの生徒、ミス・ヴァリエールが出してくれたんじゃ。感謝しなされよ、大きな家が一軒買えるくらいの金額だったでな!」
 ミス・ヴァリエールと呼ばれた少女は、やれやれようやく名乗れるわね、と言った感じで前に進み出た。
「まずは名乗りましょう。我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。あなたを召喚した、あなたの主よ」
 少女は、胸をはって宣言した。自分はヤンの主だ、と。

 ヤンは、自分は魔術師とかなんとか呼ばれてたなぁ、いやそうじゃなくて、この人達は何を言ってるんだろうか、と必死で考えた。
 ほどなくして、ミラクル・詐欺師とも呼ばれた彼の脳細胞が出した結論。それは、甚だ頭の悪い、というかおかしいとしか言いようの無いモノだった。

「え~っと、すいません。もし間違っていたら遠慮無く指摘して下さい。
 私は、たったの三日で、足の傷が跡も残さず消えたんですね?
 この施設の、魔法使い達が使った魔法によって、ですね?
 で、高額な治療費は、そこの女生徒が払ってくれたというんですね?
 しかも、その少女が私を召喚した、私のご主人様だ・・・というのですね?」
「うむ、その通りじゃ」
 老人は、ヒゲをなでながら満足そうに答えた。

 対するヤンは、極めて不満だった。いっそ、彼の頭がどうかなってしまったから治療のやり直しだ、と言って欲しかった。
 これが帝国風のジョークなのか?帝国軍では敵将の治療費を学生が支払う風習でもあるのか?何かの策略か?第一、魔法って何だ。ヤン・ザ・マジシャンなんて呼ばれた私への当てつけだったら、言いがかりの極みだぞ!呼んだのは私じゃないし、頼まれたってそんな呼び方されたくなかったんだ。おまけにご主人様ってどういうことだ、帝国では捕虜を召使いにするのか!?というか、私は捕虜なのか?どう見ても周囲に監視の兵士はいないし。

 混乱の極みにあった彼は、頭を抱えてしまった。頭痛すらしてきた。
 何かの救いを求めてか、窓の外を見た。
 すると、大きな青い爬虫類が空から降りてきた。いや爬虫類なのはいい。問題は、どうみても数トンある巨体を、どうみても支えきれないはずの翼で、滑空しながら降りてきた事だ。ヤンは遺伝子操作で翼竜を復活させたのだろうか、とも思ったが、あの爬虫類は地球の歴史上の生物では無かった。重力制御かとも思ったが、そんな装置は見えない。
 どちらかというと伝説上の生物、竜だ。
 そしてその竜の背には、燃えるような赤い髪の女性と、鮮やかな青い髪の少女が乗っていた。
 窓からそれらを見下ろしていると、二人の女性はヤンがいる建物――石造りの塔に駆け込んだ。

 石造りの・・・塔!?

 ヤンは、改めて周囲を見渡した。
 周りには、周囲の人々も、さっきから極めつけの違和感を放っていた。だが、今になってようやく違和感の最も大きな原因が分かった。

 彼等は、全く機械の類を所持してない。

 部屋には患者の生体情報を表示しなければならないモニター類も、ケーブルも、立体TVも、エアコンすら全くない。そこら辺の家具や壁に偽装してあるのかと思ったが、それも違う。ベッドもカーテンも壁も本当にセンサー類が無い。
 だんだんとヤンは、自分の周囲の異常さを悟り始めていた。自分が、何かとんでもない場所に連れてこられた事に、気がついてしまった。

 バタンッ!と扉が開け放たれ、さっきの女性達が入ってきた。
「あっらぁ~、ルイズったら、ようやく使い魔とのご対面ねぇ」
 赤く長い髪の女性が、ルイズと名乗った少女に挑発的な台詞を放った。
「ふ、ふんっ!まぁ、多少のトラブルはあったけど、これでようやく儀式は終了よ」
 ルイズとかいう少女が、少々の虚勢を張って応える。だが、その言葉はヤンには届かなかった。
 彼の視線は、赤い髪の女性の足下に向いていた。


 そこには、赤い大きな爬虫類がいた。
 古代の恐竜に似て無くもない。どちらかというと、ワニとか言う生物に形は似ている。だが、絶対に違う。そしてペットロボットでもない。こんな見るからに可愛くなくて、家庭での使用に耐えられない危険なペットロボットはありえない。
 シッポから絶えず炎を上げるロボットなんて、どんな変人の玩具職人でも作らない。買う変人もいない。家が燃える。
 そして地球にこんな生物は存在しなかった。銀河のどこでもありえない、異常な生物。遺伝子工学がどうとか言うレベルを超えている。生体改造にしたっておかしすぎる。


 へえ~、あれが例の・・・そうそう!さっすがルイズよね・・・


 どこからか声がする。ヤンは声の方を振り向いた。
 窓の向こうの空中に、人がいた。何人も浮いていた。
 間違いなく、目の錯覚でも立体映像でもなく、ただの人が棒きれを片手に、何の機器も無しにふわふわと飛んでいる。物珍しげにこちらを窓越しに見物している。

「さぁ、ミス・ヴァリエール。それではコントラクト・サーヴァントを・・・」
 頭髪の薄い男が何かを言った。だが、最後まで聞けなかった。

 彼の疲労し衰弱した肉体は、この大きな負荷に耐えられなかった。
 ヤンは再び意識を失った。




 再び気がついたのは、次の日の朝。
 ベッド上でヤンは、頭髪の薄いコルベールという教師から大まかな話を聞かされた。聞かされはしたが、理解するのは至難の技だった。
 ハルケギニア、始祖ブリミル、6000年の歴史を持つ魔法世界、4王家の一つトリステイン、貴族の子弟が集う魔法学院、進級試験兼春の使い魔召喚、サモン・サーヴァントによって彼が死体の状態で召喚された事、コントラクト・サーヴァントによってヤンが使い魔にされる予定である事・・・
 どれもこれも、ヤンにはあまりに非現実的過ぎる。だが、視界に入る全ての事象が、ここが同盟領でも帝国領でもフェザーンでもないと、それどころか科学に基づいた世界ではない事を示していた。
 結局、彼の脳がこの非現実的現実を理解するのに昼までかかった。

 だが、理解したからといって、受け入れられる事では無かった。
 「ヤンが使い魔になる予定」など、自由と民主共和制のために戦い抜いた彼にとって、受け入れられようはずがない。

「お断りします」
 彼は、キッパリと拒絶した。

 コルベールは、予想通りという風に不快感も何も示さなかった。示したのは、事務的な決定事項のみ。
「申し訳ありません。ですが、春の使い魔召喚は神聖な儀式ですので、あなたの意思はどうあれ、もう変更できないのですよ」
「それは、そちらの勝手な都合に過ぎません。私を救って下さった事には感謝します。ですが、だからといって自分の自由意思を捧げる気はありません」
「お気持ちは分かります。あなたにとっても極めて不本意な事でしょう。ですが、もはや変更出来ないのです」
「私に、拒絶する権利がない、とでも言うわけですか?」
「そうです。残念ながら、平民のあなたには貴族の命を拒めません」


 ヤンは、怒りを通り越して、呆れた。
 一体この世界はどうなっているんだ、未だに貴族制度がまかり通っているなんて。ゴールデンバウム王朝時代の帝国でも、ここまで酷くはなかったように思う。少なくとも、表向き奴隷制度は無かったはずだ。
 だが、この教師は明らかに、ヤンに対して「使い魔」という名の奴隷になれ、と言っている。窓の外を歩き回るペットみたいな怪物達のように、魔法とやらで自由意思すら奪われた、本物の奴隷に。

「ちなみに、拒んだ場合はどうなると?」
「いえ、拒めないのです。申し訳ないのですが」
 コルベールは申し訳なさそうに、だが当然と言った感じで答える。
「つまり、既に私には選択権すら無い、と言うわけですね?」
「はい。不本意でしょうが」

 彼は気が短い方ではない。どちらかと言えば忍耐強い。だがいい加減、ヤンの我慢の限界を超えた。

「そう言う問題じゃない!付き合ってられるかっ!」
 怒声と共にヤンはベッドを飛び降り、立ち上がろうとした。
 だが、立ち上がったとたんに目まいを起こし、床に膝をついてしまった。
「く、くそ、何て事だ・・・こんな時に・・・」
 彼は急に立ち上がったため、貧血をおこしてしまった。意識が遠のき視界が暗くなる。
「ああ、いけませんぞ!まだ立ち上がっては」
 コルベールが彼に駆け寄り身体を支える。

 ガチャッと医務室の扉が開いた音がした
「ミスタ・コルベール、お昼休みになりましたので参りました」
 少女の声。彼の主と名乗ったルイズだ。
「おお、ミス・ヴァリエール。良い所に!さあ早く儀式を済ますのです」
「分かりましたわ。それでは・・・我が名はルイズ・フランソワー・・・」

 暗くなる視界の中、呪文のようなつぶやきが彼の耳に届く。そしてその声はだんだんと彼に近づいてくる。
「よ、よせ、やめろ!くる、な・・・」
 イゼルローン艦隊を率いて圧倒的多数の帝国軍を退け続けたヤンも、今は少女が近付くのを阻む力すらなかった。あとずさって逃げようとしたが、コルベールが彼の身体を支えると同時に動かないよう押さえている。
 少女の手がヤンの頬を捉え、彼の唇に何かが触れた。いや、唇が重ねられた。
 ヤンは、いきなりの行動に仰天してしまった。
 そして次の瞬間、左手に燃えるような激痛を感じた。

 とたんに彼は再び気絶した。弱り切った彼の身体には耐え難い激痛だったから。




 彼が気がついたのは、その日の夕方だった。
 目覚めたとたんに左手を確認したヤンは、手の甲に文字が書かれているのを見つけた。
 彼にはそれがルーン文字だというのは分かったが、読み方までは知らなかった。知っていた所で、家畜の烙印同然に刻まれた文字など、読む気にもならなかったろうが。

 だが彼にとって幸いな事が一つ。
 ヤンは、自分の主と名乗った少女に対する忠誠心を、欠片も感じていなかった。魔法の失敗か、洗脳効果が意識出来ないほど低すぎるのか。いずれにせよ、現時点ではヤンの自由意思は、いまだに彼の元にある。それを確認出来ただけでもヤンは心から安堵した。

「全然良くないわよっ!」


 と、今度はルイズがベッドの横で騒ぎ始めた。なんでも、使い魔として全然役に立たないと。
 彼女が言うに、使い魔と主が共有するはずの感覚が無いというのだ。そして、別世界から召喚されたヤンにハルケギニアの秘薬の材料とやらを集められるはずもない。その上、身体が弱り切ったヤンに彼女を守る力なんかあるはずがない。
 その上、主に対する忠誠心も無い。というか反抗心を剥き出しにしている。
 彼女にしてみれば、使い魔を召喚したはずが、全財産をはたいて救命活動をした、ということになる。何の役にも立ちそうにない恩知らずな平民の中年男を。

「うーん、君の事情は分かったよ。君にとっては残念な事だったんだね。でも、それは私も同じなんだ。
 助けてくれた事には、とても感謝している。そのために大金を支払った事もありがたいと思うよ。
 でも、私には君の使い魔とやらは勤まりそうもない。奴隷扱いも御免だ」
「そ、そんな、こんなことって・・・これじゃぁ、あたし、ホントにゼロ・・・」
 少女は立ちつくし、必死になって涙をこらえていた。
 その様子に、さすがにヤンも可哀想になってくる。
「ねぇ、ルイズさん」
 とたんに少女はヤンを睨み付けた。その目には、涙が溢れそうになっている。
「ルイズ様、よ。主には敬語を使いなさい!」
  やれやれ、これじゃあこっちが悪役だ・・・ヤンはそう感じ、溜め息をついてしまう。
「オーケー。それじゃあ、ルイズ様。別の使い魔を召喚してはいかがですか?そして私めのような役立たずは、どこかに捨ててくるのがよろしいかと」

 実際、こんな右も左も分からない異世界に衰弱したままで放り出されるなど、死ねというに等しい行為だとは分かっていた。それでも言わざるを得なかった。
 そして少女の答えは、ヤンの提案並に厳しかった。

「無理よ・・・新たな使い魔を召喚するには、前の使い魔が死ななきゃいけないの。つまり、あんたを殺さなきゃいけないのよ」
「そう・・・ですか・・・」

 彼は、覚悟を決めた。

「では、殺して下さい」
「なっ!?」
 少女の顔は驚愕と、怒りと、そして絶望に染まった。
「どっどういうことよ!あんた、死にたいっての!?せっかく生き返ったのに、また殺されたいって言うの!??」
「あまり殺されたくないんですが・・・」

 ヤンは、窓の外を見つめる。
 遠い夕焼け空を眺めながら、ゆっくりと語り始めた。
「昨日話したとおり、私は軍人です。いえ、軍人でした。
 全く向いてない職業ではあったんですが、どういうわけかやっていました。
 そして私は私の所属する国家、というより思想や信条のために戦っていました」
「思想・・・信条?」
「ええ。自由と、民主共和制です」
「・・・何、それ?」

 少女は、本当に言葉の意味が分からないという様子で聞き返してくる。だが、ヤンは構わず話しを続けた。


「自由と民主、その思想を守るために、私は戦い続けました。私の部下達も、同じ思いで戦ってくれていました。いや、もしかしたら違うかも知れない、彼等には彼等の信じるものや守るものがあったかも知れない。それでも、私達は戦っていました。
 帝国、貴族、専制政治等から自由を守る戦いを」
「な・・・!」
 少女が驚愕して目を見開く。それでも彼は気にせずに話を止めない。
「結果、多くの兵士が、市民が、敵も味方も死にました。その死の一端は、私に原因があるのです。私が彼等を死に追いやったのです。
 だから、自由と民主政治のために多くの人々を死へ追いやった自分が、我が身可愛さに自由を手放して貴族の奴隷として生きるなど、許されはしない。そう思うのです」
「そんな・・・あんた、レコン・キスタ・・・?」

 レコン・キスタ。その名にヤンは心当たりがある。古代の地球で行われた宗教戦争、その中の国土回復運動の名だ。だがルイズは、同盟の政治体制を示す言葉として、この名を口にした。
 どうやら民主共和制の芽は、この世界にもあったのか・・・そう思うとヤンは久しぶりの嬉しさを感じてしまった。自分は孤独ではないのだ、と。
 と同時に、彼の覚悟も一層強固なものとなった。

「どうやら、私とルイズ様とは、立場も思想も完全に異にするようですね」
 ルイズはわなわなと震えたまま、なにも答えない。答えられない。
 そしてヤンの、表面だけの敬意は消えた。
「なら、迷う事はない。殺すといい。
 もちろん僕は抵抗する。けど、まぁ、こんな歩く事もままならない人間なんて、楽に殺せるだろう」

 言い放つや、ヤンはゆっくりとベッドを降りた。病衣のまま、ふらつく足取りで扉へと向かっていく。

「ちょ、ちょっとあんた、どこ行く気よ!?そんな身体で」
 ルイズが杖を抜き、ヤンに向ける。
 杖が魔法を放つための触媒である事は、目覚めてから周囲の人々を観察して気付いていた。そして、それが自分に向けられるという事は、銃口を向けられるに等しい行為だということも。
 だが、ヤンの覚束無い足取りは、それでも止まらない。
「僕の治療費は君が出したんだろ?使い魔にするために。でも、私はそれを拒んだ。ならもはやこれ以上君の世話にはなれない。ここを出て行くとするよ。
 今まで既に払った治療費の事は、諦めてくれ」

 ドンッ!

 ヤンの足下が爆発した。
 ルイズが震えながら、杖を彼の足下へ向けている。
「止まりなさい・・・」
「やだね」
 ヤンは振り向きもせず、壁をつたって扉へ近づいていく。
 ピンクの髪を振り乱し、ルイズはヤンの前へ駆けてきた。扉を塞ぐように。
 そして、杖をヤンの胸に突きつける。
「これが、最後よ。死にたくなかったら、主に忠誠を誓いなさい。あたしの前に、跪きなさい!」


 少女の台詞は、その文面だけなら勇ましいものだ。ハイネセンの立体TVで良くいる典型的悪役貴族の言葉だ。
 ただし、顔を真っ赤にして肩を震わせ泣いている美少女が言うと、どうにも悪役っぽくない。どちらかというと、やっぱり悪役に見えないはずのヤンが、この場面では悪役ということになりそうだ。
 だからといって、ヤンは命惜しさや少女をなだめるために主義主張を曲げるほど、器用な人間ではなかった。
 彼は、出来る限り優しく、だが迷い無く、ルイズを押しのけた。そして扉の取っ手を掴む。


 ヤンは、次の瞬間には自分が爆死しているものと予想していた。
 だが彼の身体は、さっきの床のように爆発はしなかった。


 振り向くと、ルイズはしゃがみ込んでいた。
 声もなく、俯いて泣いている。
 小さな身体を小刻みに震わせ、止めどなく涙を流し続けていた。

 扉が開けられた。
 だが開けたのはヤンではなかった。
 廊下から、コルベールが開けたのだ。心底申し訳なさそうな顔で。
 コルベールの後ろにはメイドがいた。ヤンが着ていた軍服と軽食と、銃が載せられた盆を持っている。

「・・・出て行かれる前に、少し、お話しませんか?」
 コルベールの、当たり障りのない提案。そしてヤンが出来る最大限の譲歩でもあった。




 ヤンは、軍服に着替えた。
「やっぱり、これがないと落ち着かないなぁ」
 鏡の前に立ち、ベレー帽を被り直す。

 ルイズはベッド横の椅子に座っている。ようやく泣きやんでいた。
 コルベールはヤンの銃を手に持って立っている。
 メイドはヤンに洗って血を落とした服を渡すとすぐに出て行った。

「ところで、銃まで返してくれるのかい?」
「構いませんぞ。それは元々あなたのものです。それにしても、形からそうじゃないかと思ったんですが、やはりこれは銃だったのですな」
 コルベールがヤンの銃を手にして、しげしげと見つめている。
「この数日、あなたの所持品を色々調べさせてもらいましたぞ。いやはや、驚きました。どれもこれも見た事のない素材ばかりです。例えばその服、繊維の丈夫さや細さは言うに及ばず、織り方の一つに至るまで、人間技とは思えない微細さですぞ!あ、穴は繕っておいてもらいましたぞ。
 そして、この銃らしきものです。使い方も分解の仕方も分からないのです。まぁ、魔力は帯びていませんし、あなたも護身具の一つくらい必要でしょう。
 平民から銃や剣を奪うのは、メイジから杖を奪うのと同じ。死を意味しますからな。さすがに平民の銃まで奪うのは、酷というものでしょう。
 そして何より、あなたは捕虜では無いのです。だから、あなたの武器を奪う事は許されません」
「・・・そうですか、感謝します」
 ヤンは、出来る限り感情を押し殺していた。すぐにも銃を返して欲しかったが、その焦りを気付かれるわけにはいかない。鏡に向いて、のんびりとベレー帽を直す仕草を続けてコルベールの長話を聞いていた。


 ヤンは実のところ、襲撃された時に自分が銃を持っていたかどうか覚えていない。

 というか、普段は銃を持ち歩かない。持っていても当たらないから。それに、襲撃時は導眠剤を服用していたため、記憶がハッキリしない。
 でも、ここに銃はある。なら持っていたのだろう。もしかしたら、最後まで守ってくれた護衛役のパトリチェフが渡してくれたのかも知れない。

 彼等は、ヤンが所持していた銃が、危険なものだと気付いていない。どうやら、このトリステインの銃と同程度か、毛が生えた程度だと考えているようだ。もしくは、自分たちの持つ魔法を過信している。
 見たところ、この世界は魔法により成り立っている。と言う事は逆に科学工業は貧弱となる。魔法を使えない平民とやらを蔑視し所有物扱いする点からも間違いないと彼は見ていた。ならばこの国の銃も極めて原始的なものなのだろう、と。
 故に、彼等は気付いていない。呪文を唱えるより速く、エネルギーパックが空になるまでビームを放ち続ける恐ろしさを。
 可能な限り穏やかに話し合い、さりげなく銃を取り戻す。それが彼が今やらなければいけない事だと理解した。例え、それを自分が持っても多分、いや絶対、狙った所に当てられないとしても。

「ああ、あんまりいじらないで下さいね。この世界に飛ばされた時のショックで、どこか壊れていないとも限りませんから。暴発したら危ないですよ」
 できる限り平静を装って、コルベールに歩み寄った。そして彼が手にする血の付いた銃を眺めてみると、やはり安全装置がかかったままになっていた。これでは撃てないのだから、使い方が分からないのも道理だ。そして、まだ安全装置の存在に気付かれていなかったのは幸運だった。

 自分はあの状況で、銃の安全装置も外さずに持ち歩いていたのか。

 実際には、何かのショックで安全装置が再びかけられたかも知れない。だがヤンは、絶対外していなかったんだろうなぁ、という確信を抱いてしまった。自分なら、やりかねないと。
 思わず、ぷっと吹き出してしまう。
「どうかしましたか?」
「あ、いえいえ。自分が殺されるっていう時に、こんな役立たずのオモチャを手にして何をするつもりだったのやら、と思ってね」
「オモチャ、と言う事もありますまい。ともかく、確かにお返ししますぞ」
 と言って、コルベールは銃をヤンに差し出す。

 ヤンは、自身の焦りを気付かれぬよう、ゆっくりと右手を差し出す。
 銃まで、あと3cm、2cm、1cm・・・
 やっと、銃に手が触れる。

 とたんに、彼は自分の身体の異常に気がついた。

「ルーンが・・・光ってる・・・」
 隣で黙っていたルイズが、彼の左手の甲から放たれる光を見つめている。
 コルベールもヤンの左手に視線が移る。
 瞬間、ヤンは銃を握りしめ、コルベールから慎重にゆっくり、だが確実に銃を手に取った。

「これは・・・ルーンが光ってますね」
 ヤンも右手の銃を握りながら、左手のルーンを見つめた。
 そして同時に、身体が軽くなったのも感じている。まるで羽のように、自分の体重を意識出来ない程だ。今なら走って逃げる事もできるのではないか、と思えるほどに。


 ところでヤンは普段、銃を持ち歩かない。だから、ホルスターもない。しょうがないのでかなりきついが、胸の内ポケットに差し入れる事にした。
 そして、銃から手を離した瞬間、光が消えた。同時に身体のだるさも戻ってきた。
 コルベールがヤンの身体を上から下まで観察する。
「ふむ・・・えと、ヤン・ウェンリーと言いましたな?他に何か、変わったところはありませんか?」
「え?いや、別に何も」

 ヤンは精一杯の演技力でとぼけた。

「ふむ、ではもう一度銃に触れてくれませんかな?」
 言われたとおり、素直に銃に触れる、そしてルーンが光る。離せば光も消える。銃に触れたり離したりするたびにルーンがチカチカと点滅する。身体も軽くなったり重くなったり。
 ヤンも、一体どういう事だろうかと首を捻ってしまう。
「何か、銃に魔法をかけましたか?このルーンと連動するような」
「いや、そんなものはかけていませんぞ。そして間違いなく、この銃は魔力をおびてはいませんぞ」
 ルイズがうわごとのように呟く。
「なら、これはルーン自身の効力・・・先生、このルーンって」
「え!?あ、いや、さぁ、珍しいルーンなのは間違いありませんが、さて、どのようなものかまでは分かりません」
 何故かコルベールは冷や汗をかきながら答えた。何かを誤魔化すかのように慌てて。


「う~ん、何なのか分かりませんが、ともかく今のところ実害は無いようですね」
 ヤンは改めて二人に向き直り、敬礼した。
「それでは、これで失礼します。短い間ですが、お世話になりました」
「ちょっちょっと待って下さい!」
 コルベールが慌てて引き留める。
「出て行くと言いましても、どこへ行かれるつもりですかな?」
 聞かれたヤン自身、聞きたい事だった。思わず大げさに肩をすくめてしまう。
「では、行き先が決まるまででも、このミス・ヴァリエールの」
「奴隷が欲しければ、奴隷市場に行きなさい。私が使い魔とやらにならない事に不満があるのなら、私の精神を支配出来ない己の無力を嘆きなさい」
 冷徹に言い放ち、ヤンは背を向ける。だがその右手は、既に銃へとゆっくりと伸びている。
「でっですが!あなたが出て行かれると、このミス・ヴァリエールが、メイジとしての将来が・・・」
「彼女自身の無能ゆえです。誰を怨みようもありません」
 ヤンの左手は、扉の取っ手にかかる。

「執事!」

 ルイズが、いきなり叫んだ。この場に相応しくない言葉を。

 きょとんとして、男二人がルイズの方を見る。
「あ、あの、だから・・・使い魔として、じゃなくて、執事として働きなさい、ということよ。給金と引き替えに」
「私を、雇う?執事として?」
 意外な台詞に、ヤンも思わず聞き返してしまう。
「そ、そうよ。どうせあんただって、このまま出て行っても、のたれ死ぬだけでしょう?そしてあたしも、あんたがいないと進級出来ないどころか、多分、退学になるの。使い魔に逃げられたとか使い魔を殺したとか、前代未聞で、もうメイジ失格だもの。家に呼び戻されて、杖すら奪われて、一生外に出してもらえないかも知れない。
 だったら、協力しなさいよ!お互い、ここで分かれたら、すっごく困るのは目に見えてるんだから!」

 少女の、恐らくは自分の人生を賭けたであろう一言。そしてヤンも思案してみる。


 このまま出て行っても、何のあてもない。
 あるのは銃一丁。何かの敵に襲われれば、すぐにエネルギー切れになるのは明らか。
 この世界を支配している魔法についても全くの無知。
 第一、この左手のルーン。正体不明の呪印を刻まれたまま闇雲に動くのは危険。
 少なくとも、この少女は自分の待遇について譲歩した。
 コルベールという教師も、力ずくでルーンを刻ませたものの、とりあえず今は話し合う態度を示している。
 だが、自分が執事として働くとなると・・・

「え~っと。私はこの国の執事としての仕事が分からないが」
「そ、そんなの、教えてあげるわ」
 ルイズは必死にヤンに詰め寄ってくる。
「それと、私は王族や貴族制度そのものに敵対する勢力の、軍人だった」
「それは、もう、おいときなさいよ。今は別の国にいるんだし」
 ルイズは諦めず、ヤンを引き留める。
「君への忠誠心は、ないよ。反感なら山ほど」
「きゅ、給金分で結構よ。とりあえず、表向き使い魔って形だけど、給金分以上は求めないわ。あなたの衣食住と身の安全も保証する」
「なるほど、ね・・・」

 ヤンは、冷静にもう一度考え直してみた。
 ここから今すぐ出て行くのと、しばらくこの世界の情報を集めてから出発するのと、どちらがましか。
 異世界の中で孤立無援なのはどちらも同じ。では、とりあえず話の通じる相手との協力や取引があれば、それだけでも心強い。いつ敵になるか分からない相手だとしても、今は味方になるという。

 ヤンは、扉から手を離し、ルイズに向かって再度敬礼した。
「承知しました、ミス・ヴァリエール。執事としての雇用契約、受け入れましょう」
 と言った所で、ヤンは敬礼をしている自分の手を見つめる。
「失礼、執事としてならこうですね」
 そういって、ヤンは右手を胸に当て、頭を下げた。

 ルイズとコルベールは、ようやく笑顔を見せた。






 その夜、ルイズの部屋。
 ルイズはベッドでネグリジェ姿。ヤンは床で毛布にくるまっている。
「あんたの寝床も、買わなきゃね」
 布団にくるまったまま、ルイズのささやくような声が聞こえる。
「いや、構わないさ。軍での生活が長かったからね。野宿だって散々経験したよ」

 ヤンは窓から空を見上げる。
 二つの月がぽっかりと浮かんでいる。 

「これから、あたし・・・どうなるのかしら」
 ベッドから、力ない声が漂う。
「さぁ・・・でも、ともかく、これだけは言えるよ」
 ルイズがひょこっと頭をもたげる。
 床で毛布にくるまったヤンが、空を見上げながら呟くように言った。
「命を助けてくれて、仕事と寝床をくれて、ありがとう。
 何もかも失った自分に何が出来るか分からないけど、とにかく執事をやってみるよ」
 ルイズは慌てたように頭を戻す。
「当然よ、主だもの・・・」
「主、か」


 みんな。なんだかおかしなことになったけど、必ず帰るからな。
 待っててくれ。


 二人は、それからすぐに眠りについた。

                   第一話  蘇生  END

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