色々と騒がしかった儀式から一晩たった。
カーテンの隙間から射し込む日の光が、豪華なベッドで眠りにつくルイズと、床に敷いたシーツの上で眠っている男を照らした。
カーテンの隙間から射し込む日の光が、豪華なベッドで眠りにつくルイズと、床に敷いたシーツの上で眠っている男を照らした。
「……ん?」
ルイズの使い魔となった男――大十字九郎は目を覚ました。
ここは何処だろうか? 周囲を見回す。
見たことの無い石造りの部屋。
豪華そうな調度品。
まるでテレビで観た西洋のお城の一室のようだ。
豪華そうな調度品。
まるでテレビで観た西洋のお城の一室のようだ。
自分は何故ここに? 首を傾げる。
そして唐突に記憶がフラッシュバックする。
――ブラックロッジ!
――クトゥルー!
――ヨグ・ソトース!
――マスター・テリオン!
――デモンベイン!
――アル!
――クトゥルー!
――ヨグ・ソトース!
――マスター・テリオン!
――デモンベイン!
――アル!
「――!? そうだ、アルは……ぐっ」
思わず上体を起こすが、全身に走る激痛に顔を歪める。
それでも何とか立ち上がろうとしたとき、
それでも何とか立ち上がろうとしたとき、
「ちょっと、何やってるのよ!」
突然かけられた少女の声に、九郎は目を向けた。
視線の先には、気の強そうな少女がこちらを睨んでいた。
視線の先には、気の強そうな少女がこちらを睨んでいた。
「…………アル?」
「アル? 誰よ、それ?」
「アル? 誰よ、それ?」
不思議そうな表情をする少女。
アルではない、全くの別人である。
アルではない、全くの別人である。
「あ、ああ、ごめん。人違いだった……」
よく見ると、アルとは違う箇所がいくつもある。
そもそも髪の色が違うし髪形も違う。
さらに気の強そうな顔、小学生のような背の低さ、洗濯板のような胸……
そもそも髪の色が違うし髪形も違う。
さらに気の強そうな顔、小学生のような背の低さ、洗濯板のような胸……
(……あれ? 髪以外はそっくりじゃね?)
ルイズは眉をぴくぴくさせ、
「何か、とっても失礼なこと考えていない……?」
勘が鋭いところまでそっくりだ。
このままではやばい。話題を変える。
このままではやばい。話題を変える。
「ああっと、ここは何処なんでしょうか? というか、おたくは誰?」
「ここはトリステインよ。そして、ここはかの有名なトリステイン魔法学院」
「トリステイン? それに魔法って……!?」
「そして私の名前は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。貴方のご主人様よ」
「………………はぁ? ご主人様?」
「ここはトリステインよ。そして、ここはかの有名なトリステイン魔法学院」
「トリステイン? それに魔法って……!?」
「そして私の名前は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。貴方のご主人様よ」
「………………はぁ? ご主人様?」
頭の中で、何故か見た目がコケティッシュな腹黒メイドの姿が浮かんだ。
いつものように、ニコニコ笑いながらこちらをけなしている。ムカつく。
いつものように、ニコニコ笑いながらこちらをけなしている。ムカつく。
「何よ、さっきからボーとして」
「ここは地球……じゃないのでしょうか?」
「チキュー? 聞いたこと無いわ。何処の田舎?」
「――!?」
「ここは地球……じゃないのでしょうか?」
「チキュー? 聞いたこと無いわ。何処の田舎?」
「――!?」
これで確信した。ここは異世界だ。
最初はマスターテリオンの罠かと思ったが、すぐにそれはないと結論付けた。何よりやる意味がない。
目の前のルイズという娘も嘘をついているようには見えない。
最初はマスターテリオンの罠かと思ったが、すぐにそれはないと結論付けた。何よりやる意味がない。
目の前のルイズという娘も嘘をついているようには見えない。
その後、いくつか質問をして、答えを得た。
『九郎はルイズによって召喚された』
『コントラクト・サーヴァントにより契約を交わし、使い魔になった』
『召喚されたとき怪我が酷かったので、水のメイジに治してもらった』
『ちりょーひがべらぼーにかかったよ♪ ふぁっきん♪』
『コントラクト・サーヴァントにより契約を交わし、使い魔になった』
『召喚されたとき怪我が酷かったので、水のメイジに治してもらった』
『ちりょーひがべらぼーにかかったよ♪ ふぁっきん♪』
最後の言葉で冷や汗が出たが、とりあえずは自分に何が起こったのか大体理解できた。
ようするに、マスターテリオンに止めを刺されそうになった瞬間、この世界に召喚されたようだ。
ようするに、マスターテリオンに止めを刺されそうになった瞬間、この世界に召喚されたようだ。
おかげで九死に一生を得ることが出来たのだろう。
と、最後に肝心なことを尋ねた。
と、最後に肝心なことを尋ねた。
「なあ、俺と一緒に女の子が召喚されなかったか? 見た目はお前ぐらいの」
「知らないわ。貴方しかいなかったし……って、何いきなりタメ口を聞いているのよ! それに『お前』とは何よー! ご主人様でしょー!」
「えー、でも、あの執事サンじゃないんだから、ご主人様と言うのはちょっと――」
「従わなかったら、ご飯抜き!」
「何なりとお申し付けください! ご主人様!」
「知らないわ。貴方しかいなかったし……って、何いきなりタメ口を聞いているのよ! それに『お前』とは何よー! ご主人様でしょー!」
「えー、でも、あの執事サンじゃないんだから、ご主人様と言うのはちょっと――」
「従わなかったら、ご飯抜き!」
「何なりとお申し付けください! ご主人様!」
大十字九郎。
食い扶持のためならプライドなど、カルコサのハリ湖にポイだ。
食い扶持のためならプライドなど、カルコサのハリ湖にポイだ。
「ところで、その女の子って誰?」
「ん? アル・アジフって言って、俺の仲間だよ、じゃない、ですよ」
「ふーん、そういえば、最初、私と見間違えていたわよね。そんなにそっくりなの?」
「ええ、そりゃあ、もちろん。気が強いところも、背の低いところも、ペチャパイなところもそっくりで――」
「ん? アル・アジフって言って、俺の仲間だよ、じゃない、ですよ」
「ふーん、そういえば、最初、私と見間違えていたわよね。そんなにそっくりなの?」
「ええ、そりゃあ、もちろん。気が強いところも、背の低いところも、ペチャパイなところもそっくりで――」
そこで九郎は気付いた。
ルイズが俯いてプルプルと震えていることに。
そしてルイズは何処からか鞭を取り出した。馬を引っぱたくような奴である。
ルイズが俯いてプルプルと震えていることに。
そしてルイズは何処からか鞭を取り出した。馬を引っぱたくような奴である。
「あ、あの……ご主人様……?」
「この……バカ犬――――――――ッッッ!!!」
「ぎょええぇぇぇぇぇっっっっ!!!」
「この……バカ犬――――――――ッッッ!!!」
「ぎょええぇぇぇぇぇっっっっ!!!」
(おまけ)
(感じる……お前は何処かで生きている……早く会いたいぜ……そうじゃないと)
「このバカ犬! バカ犬! バカ犬!」
「別の意味で感じてしまいそうだ……ぶへっ!」