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  • 毒の爪の使い魔-12

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

毒の爪の使い魔-12

最終更新:2008年10月06日 18:35

anozero

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だれでも歓迎! 編集
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  • 毒の爪の使い魔


「ウザッてェんだよォォォーーー!!!」
叫びながらジャンガは爪を振るう。
目の前の巨躯が切り裂かれ、噴水のような鮮血を振りまく。
どう!と音を立てて切り裂かれた巨躯が倒れるが、同じような巨躯が周囲からまだ迫っている。
舌打し、爪を構えなおす。

ここはハルケギニアにある国の一つ、ガリア王国のとある森の中。
ジャンガは度々学院の外へ出て行く事があったが、今回はちょっとした遠出となっていた。
当人曰く、『例の件についての王宮のお偉いさんのしつこいほどの話に対するイライラの発散の為』との事。

「まァ…ちょいと遠くに来すぎたって感じはするがな?」
巨躯をまた一体切り倒し、ジャンガは呟く。
見渡せば大分数は減った。後2~3体と言ったところか?
地面には血の海が広がり、夥しい数の巨躯の死体が倒れている。
その巨躯がハルケギニアで恐れられている亜人の一種族=オーク鬼だと言う事をジャンガは知っていた。
もっとも、知っていなかったとしても”殺る”事は変わらなかっただろうが。
…ストレス発散には十分だった。


「これで終いだゼェェェーーー!」
叫び、腕を交差させる。二体の分身が背後から浮かび上がり、目の前の獲物に突撃する。
最後の一体を分身が捉え、ズタズタに引き裂くまでに五秒と掛からなかった。
動く物がいなくなったのを確認しながらジャンガはコートの埃を払う。
「ザコが…」
一言呟き、転がる死体には一瞥もしないままジャンガは歩き出した。
「にしても――」
ここはどこだ?ジャンガは森を見回しながら、落ち着きを取り戻した頭で考える。
実を言うと…彼は道に迷っていた。冗談抜きで迷っていた。
ストレス発散の為と学院を飛び出し、草原を疾走。時には町を、時には農地を、
時には今居る所のような森を駆け抜けた。
そうして、考え抜きに走りまくった結果――

「こんな森に来てたんだよな…」
溜息混じりにそう言って、ジャンガはズレた帽子を直す。
そんなこんなで森を訪れた際、先程のオーク鬼の群れと遭遇したのだ。
まぁ、いいストレス発散にはなったのだから、結果オーライだろう。
だが、問題はこれから。どうやったらこの森を抜けられるのだろう?
現在位置が分からないのだから、闇雲に走りまくるのも考え物だ。
ジャンガは懐に手を入れ、ワインのビンを取り出す。学院を出る際に偶然出くわしたシエスタに貰った物だ。
栓を取り、ぐびぐびと呷ると、大きくため息を吐く。
さて、どうしようか…と考えていると、ふと耳に何かの飛行音が聞こえた。
「ん?」
見上げると、上空を一匹の青い鱗の竜が飛んでいる。
その竜にジャンガは見覚えがあった。例の決闘で自分がボコにした小娘の使い魔(確かシルフィードだったか?)のはずだ。
なんでこんな所に?…ふと疑問に思った時、シルフィードが動きを止めたかと思うと、森に降下してくる。
位置から見て、自分の所へ降りてくるわけではないらしい。
気になったジャンガは栓をしたワインのビンを懐にしまい、シルフィードの落下地点へと向かった。



足音を消し、気配を消し、自分の存在を悟られぬように注意しつつ、ジャンガは近づいていく。
「化けて」
竜の主の声が聞こえ、ジャンガは片方の眉をピクリと動かす。
あのガキも来てたのか?こんな所に一体何のようだろうなどと考えながら、ジャンガは木の陰から覗く。
そこにはタバサと使い魔のシルフィードの姿が在った。
他には誰の姿も無い。…なら、今あの小娘は誰に向かって話しかけたんだ?

――疑問の答えは唐突に出された。


「後でいっぱいご飯貰うんだから!お肉たくさん!解った!?」
シルフィードの声に頷くタバサ。――対してジャンガは目を見開いていた。
(あの竜…喋れるのか?)
学院でも時々見かけていたが、喋った所は見ていない。
あの小娘が傷ついて気を失った時も、気遣う言葉などは一切言っていない。ただ、傍に寄り添っていただけだ。
なのに、あの小娘が驚いた様子は微塵も無い。つまり、喋れる事は承知らしい。
それなら何故、普段は話さないのだろう?
学院では――いや、他の人の前では喋れない理由でもあるのだろうか?
(まァ…俺には関係無ェがな)
そうして浮かんだ疑問を記憶の片隅に追いやると、ジャンガは一人と一匹の様子の観察に集中する。

シルフィードがお座りの姿勢で何かしら口ずさんでいる。呪文だろうか?
と、風が巻き起こり、シルフィードの身体に纏わり付くや、青い渦となって包み込む。
何をする気だ…?ジャンガが首を傾げるのと渦が消え去ったのはほぼ同時だった。
そこにはシルフィードの巨体は無く、代わりに二十歳ほどの若い女性の姿が在った。――しかも、何故か素っ裸だ。
「う~~、やっぱりこの身体嫌い!きゅいきゅい!」
女性はその美しい姿に似つかわしくない、子どもっぽい叫びを上げると、ドタバタと走り回ったり飛び跳ねたりを始めた。
(ほゥ?こいつは驚きだゼ…)
声から目の前の女性があの竜である事は解っている。
驚いたのはあの竜が喋れる上に、姿を変えるなどの真似ができると言う事実である。
ジョーカーも幻術で巨大化や変身などが出来るが、あの自分に食いついてきた…頭の悪そうな竜が出来るとは驚きだった。

一通り走り回ったシルフィードにタバサは服を手渡した。
シルフィードは始めは嫌がっていたが、やがて諦めたのか渋々と服を身に着けていく。
ごわごわする…などと言っているが、竜が服を着たりはしないのだから当然の事だろう。
と、タバサがマントを脱ぎシルフィードの肩にかける。次いで杖も手渡した。
一体何をするつもりだ、と覗き見ながらジャンガは思った。
「貴方、騎士。私、従者」
タバサはシルフィード、自分と指差しながら淡々と告げる。
怪訝な表情を浮かべるシルフィードだったが、やがてタバサと共に歩き出す。
そんな二人の後をジャンガは追った。


タバサとシルフィードの二人が辿り着いたのは山間の片田舎の町だった。
こんな所に何のようだろう…、ジャンガが考え込んでいると村人が二人の所へと集まってきた。
遠巻きに見つめる村人達は、ひそひそと心配そうな声で噂し合う。
耳を欹てると「今度の騎士様は大丈夫か?」「この間の騎士様の方が強そうだった」などの声が聞こえる。
騎士とはあの竜が化けた女を指しているのは間違いない。先程のタバサの言葉もそれを肯定している。
目が合った村人にシルフィードが笑いかけると、一様に落胆の表情を浮かべた。
今度の騎士様は二日で葬式だろう…などの声も聞こえてくる。
「あのガキが二日で葬式だァ?」
言葉の意味は理解できた。そして、あの二人がこんな所へ何をしに来たのかも大体理解できた。
が、一つ理解できない事がある。…二日で葬式を挙げなければならない理由だ。
いや、それも理解は出来た…が、あのガキを容易く殺せるような奴がそうそういるとは思えない。
ジャンガはタバサを馬鹿にしてはいるが、実力はそこそこ評価している。
と、ジャンガの耳に気になる会話が聞こえてきた。

「俺達の手で吸血鬼を見つけるんだ」

吸血鬼……その単語は学院の図書館などで此方の本を読むようになってから目にするようになった。
曰く、ハルケギニアで最も残忍で狡猾な妖魔。
日の光に弱く、日中は活動できない事を除けば弱点は皆無。
先住の魔法を用い、血を吸った人間一人を屍人鬼<グール>として操れる。
蝙蝠に化けたり、視線で相手を釘付けにするなどの超能力は持たないが、
その様姿は人間となんら変わりない上、血を吸う為の牙も自由に隠す事ができる。
またメイジのディテクト・マジックを初めとした、あらゆる呪文を用いても正体を暴けない。
恐るべき夜の人狩人<マン・イーター>…、それが吸血鬼――との事。

「キキキ…確かに、こいつは厄介かもなァ~?」
普通に相手と対峙するのなら、大抵の相手にはあのガキが不覚を取る事は無いだろう。
だが、吸血鬼は正体を隠す。しかも、なかなか尻尾を出さないという。
普通の人として近づいてきた吸血鬼に不意打ちで血を吸われ、屍人鬼にされるなり殺されるなりしたらお終いだ。
なるほど…ならば、あの使い魔の竜を騎士などに仕立て上げた理由も解る。
使い魔を自分よりも強い者に、自分を弱い者に見せかける事で相手=吸血鬼の目を欺こうと言うのだろう。
「まァ、どんな理由で吸血鬼退治なんかしてるか知らねェが……お手並み拝見といこうか?暇潰しには良いしな…キキキ」

村の一番高い場所にある村長の家へと通される二人を見つめながら、ジャンガは笑った。


夜空を彩る二つの月…
それを適当な家の屋根に座り込んで見上げながら、ジャンガはワインを呷っていた。
「や~れやれ…、あれから調査の方はてんで進んでねェじゃねェか?
おまけに夕べは村長の家のガキが襲われる始末……案外情けねェな~?」
村長の家の方を見ながらジャンガは呟く。
――タバサとシルフィードが村に来てから、既にまる一日が経っていた。
タバサは従者と立場を偽りながら被害者の家々を調べたりしたが、手がかりはゼロ。
また、シルフィードを餌に吸血鬼を誘い出そうとしたが、吸血鬼は彼女の裏をかき、
村長の家に引き取られている少女=エルザを襲撃。
エルザは無事ではいたが、この事は吸血鬼の狡猾さを改めて認識させられる一件となった。
今日もタバサは従者として振る舞い、シルフィードに小突かれるなどされていた。
おそらくは、あれも吸血鬼を油断させる為の演技だろう。
さて、今度は釣れるか?…そんな事を考えるジャンガの視界に何かが映った。
「ん?」
何だろうと思い、目を向ける。――それは一人の男だった。年は四十近い、屈強な肉体を持った大男だ。
その男にジャンガは見覚えがあった。
「あいつは確か…アレキサンドル、とか言ったか?」
村はずれのあばら屋に吸血鬼と疑われているマゼンダと言う婆さんと二人きりで暮らしているはずだ。
昨日の昼間、その事で一悶着あったのだが、よくある事だとジャンガは気にも留めていなかったのだが…。
そんな彼がどうして”屋根の上”などにいるのだろうか?
それだけではない…、今の彼の様子は明らかに普通ではなかった。目は血走り、口の隙間からは牙が覗いている。
おおよそ知性という物は感じられない。…となれば考えられるのは屍人鬼<グール>だ。
「…あいつがそうかよ」
と、アレキサンドルは上った家の煙突に近づくと、懐から何か赤い布のような物を取り出し、煙突の中に突っ込んだ。
何をしているのか分からないジャンガは首を傾げる。中に入ろうとしているにしても、彼の体では煙突はあまりにも狭すぎる。
何より…その家は既に被害者が出ている家であり、村中の娘達は既に村長宅に全員避難している。…故に訳が分からない。
すると、事が終わったのか、アレキサンドルは煙突から手を出し、屋根から飛び降りた。
――見た目とは裏腹な身のこなしだ。
アレキサンドルがいなくなった後、ジャンガは煙突に近づき覗き込む。
月明かりに照らされた煙突の中に先程の布が引っかかっている。
何だろうとジャンガが手を伸ばそうとしたその時…

「きゃあああああ!」「いやああああああ!」

夜闇を引き裂く、悲鳴が聞こえてきた。
ジャンガは悲鳴に顔を上げる。どうやら村長の家から聞こえてきたようだ。
「ほゥ?今回も直接か…」
面白い劇を見に行くかのような気持ちでジャンガは屋根を蹴った。
屋根から屋根へと飛び移り、村長の家の近くの木に飛び移る。
村長の家の二階の窓が割れていた。そこには避難させられてきた村中の娘が居るはずだ。
またかよ…、そう思いながら見ていると、割れた窓から人影が飛び出す。――アレキサンドルだ。
地面に降り立つと獣の速さで駆け出す。
それを同じく窓から飛び出したタバサが空を飛んで追う。
次いで、家の玄関からはシルフィードが飛び出し、二人の後を追う。
ジャンガはそれらを見送りながら追うかどうかを考える。と、村中から騒ぎを聞きつけた人達が集まってきた。
避難していた娘達から事情を聞いた人々は怒りと言うよりは憎悪の表情を浮かべていく。
「やっぱりあの婆さんが吸血鬼だったんだ!」
「何が占い師だ!?騙しやがって!」
口々に怒鳴りながら人々はマゼンダ婆さんの居るあばら屋へと向かう。
タバサよりもそっちの方に興味を惹かれたジャンガも後を追った。


灯された松明を掲げ、人々はあばら屋を完全に包囲した。
口々に怒鳴り散らしながら松明をあばら屋へと押し当てる。
火が燃え移り、あばら屋は瞬く間に炎に包まれていく。
「ざまぁ見ろ、吸血鬼!」
「俺達を散々騙しやがって、燃えちまえ!」
村人達の罵る声が響き渡り、あばら屋を包む炎は彼らの怒りを象徴するかのように勢いを増す。
その様子をジャンガはニヤニヤ笑いながら見守っている。
「キキキ、いいね~こう言うのは?見てて楽しいゼ」
と、そこへタバサがシルフィードと共に現れた。
燃え盛るあばら屋を見た彼女は唇を噛み、杖を振るう。
氷の渦が巻き起こり、それは瞬く間に竜巻となってあばら屋を覆う。
”氷嵐”<アイスストーム>……以前の決闘でジャンガは一度目にした事がある。――もっとも、受けたのは分身だったが。
今回は威力があれよりも劣っている気がするが…おそらく消火が目的だからだろう。
火が消し止められる。だが、既にあばら屋は完全に燃え尽きており、中の老婆がどうなっているかは一目瞭然だ。
人々の間から歓声が上がる。自分達を苦しめていた吸血鬼が燃え尽きたのだから当然だろうが。
だが、タバサは「証拠がない」と村人達と対立する。
と、そこへ薬草師のレオンが仲間を連れてやって来た。そして、タバサの前に何かを放り投げた。
それをタバサは拾い上げる。それは五サント四方ほどの赤い布切れで、タバサはその色に見覚えがあった。
「そいつが犠牲者の家の煙突の中に引っかかってた。マゼンダ婆さんの着物の切れ端だ…。
あの婆さんは煙突から出入りしてたんだ、枯れ枝みたいに細い婆さんなら煙突もすんなり潜れるだろうさ。
息子も屍人鬼<グール>だった…、これだけの証拠があって吸血鬼じゃないなんて、ある訳ないだろうが?」
レオンの言葉に人々は一様に「そうだそうだ」と言った。
そして村人達は安心しきった顔で家へと帰っていく。
使えねぇ騎士様だよ、などとタバサに非難の声を浴びせながら。
唯一、村長だけが彼女に礼を述べ、そして村人達の暴言を謝罪していたが…。
そんな村長の背後からエルザが見つめている。手に握られた杖を睨み、悲しそうに一言叫んだ。
「嘘つき!」


それから一時間後…

ジャンガは村長の家の屋根の上で寝転んでいた。
吸血鬼が退治された事で安心した娘達は既にそれぞれの家へと帰っている。
「だが…気になるな」
そう呟くジャンガはさきほどの光景を思い出していた。
レオンがタバサに投げ渡した赤い布切れ…マゼンダ婆さんの寝巻きの一部。
屍人鬼となったアレキサンドルが煙突に入れていたのはあれで間違いないだろう。
だが、そうなると気になる事がある。――何故、わざわざ自分の事を指し示すような物を残させたのだろうか?
アレキサンドルを屍人鬼にして操っていたのがあの婆さんならば、尚の事不自然だ。
「となれば…操った奴が他にいるって事か?」
そう言えば…さきほどエルザとタバサの二人が出かけていった。
「気が緩むのは勝利を得た直後…か」
ジャンガは立ち上がると四方を見渡す。その時、誰かの口笛が聞こえた。
こんな夜中に誰が…、そう思った時、玄関からシルフィードが杖を持って飛び出してきた。
「何だ?」
見ればシルフィードは可也慌てた表情をしている。そして辺りをキョロキョロと見回すと、手近な森の中へと走っていく。
その後をジャンガは静かに追った。



「ねえ、お姉ちゃん…私が人の血を吸うのとお姉ちゃんがムラサキヨモギを摘むの、どこが違う?」
「……」
二つの月が照らし出す森の中。そこは一面にムラサキヨモギが群生する場所だった。
そこに二人の少女の姿があった。
一人は枝に体を絡め取られ服を破かれ肌を晒している。
もう一人はその少女を見つめながら、どこまでも無邪気な笑顔を浮かべている。
「ねえ…答えて。どこが違うの?」
「どこも違わない」
タバサの返答が望む物だった為、吸血鬼エルザは顔を輝かせた。


「ああ、お姉ちゃんはやっぱり解ってくれている。そうだよね、そうだよね、どこも違わないよね♪
嬉しい、私やっぱりお姉ちゃんが大好き。だから、血を吸ってあげる。そしてお姉ちゃんは、ずっと私の中で生き続けるの。
それって素敵……お姉ちゃんもそう思うでしょ?」
タバサは答えないかわりに睨んだ。そんなタバサをエルザはいとおしく見つめる。
その首筋へと牙を運び、噛もうとした――その時だった。

「あんまり調子乗ってんじゃねェよ…クソガキ」
「…え?」

耳元で声が聞こえたと思った瞬間――彼女の背中は大きく切り裂かれた。
血が噴出し、一気に体から力が抜ける。抵抗する事もできず、エルザは背中から地面に倒れこんだ。
天を向いたその視界に、月をバックに佇む二メイルはあろう影が目に入る。
その長身は亜人だった…、紫のコートと帽子と全身紫尽くめの猫の顔をした亜人だった。
見ると、その右の袖から伸びた真紅の爪からは赤い血が滴っている。それが自分の血である事をエルザは瞬時に理解した。
「だ、誰…?貴方は…亜人?」
エルザの弱々しい声にジャンガはニヤリと笑う。
「キキキ…それ以外の何だってんだ?」
「な、何で……こ、こんな事を…?」
「こんな事ォ~?」
「わ、私は…人間の血を吸わないと生きていけないの…。だから、今…お姉ちゃんの血を吸おうとしてただけ…。
ただそれだけ……何も、おかしな事はしてない…。なのになんで…どうして…こんな事を?
私…貴方の事を怒らせるような事…した?このお姉ちゃんと何か…関係でもあるの?」
エルザの言葉にジャンガは枝に絡め取られたタバサを見る。
所々肌が露になったタバサを見てジャンガは鼻で笑う。
「キキキ、いいザマだな?あの決闘の場にいた連中にこんなお前の姿を見せてやるのも楽しかったろうな~?」
ジャンガの言葉にタバサは睨みつける。
「あの子はどうしたの?」
「あン?あの竜か…。キキ、あいつだったら、森の外れで寝てるゼ?」
その言葉にタバサは顔面蒼白になる。それを見たジャンガは笑う。
「おいおい、何マジな顔してやがるんだ?別に比喩で言ったんじゃねェよ、本当の意味で寝てるんだよ。
ちょいとばかり邪魔だったんでな…キキキ」
それだけ言うとジャンガはエルザに視線を戻す。
「オイ?”何か関係があるの”と言ったよな…お前?あるゼェ~、こいつは俺の”玩具”<オモチャ>だ。
それにこれから先…こいつのする事にも色々と興味がある。だから、死んでもらっちゃ困るんだよな~?
だから、手を出したお前を殺す……何か間違ってるか?」
ジャンガの問い掛けにエルザは震えながら首を横に振る。


「わ、解った…私、お姉ちゃんの血は吸わない……村からも出て行く…、だからお願い。私を見逃――」
「解ってねェな…お前?」
「え?」
エルザは呆然とジャンガを見る。
「餌横取りされた獣が、謝って餌を返した程度で許すと思ってんのか?」
その言葉にエルザは愕然とした。――目の前の亜人は自分を殺すつもりだ。
恐怖に駆られ、エルザは呪文を唱えようとする。
「ね、眠りを導く風よ……」
「ウゼェよ」
一言呟き、エルザの顔を踏みつけるジャンガ。
苦悶の表情を浮かべ、苦しそうな声を漏らすエルザの目を覗き込みながら笑う。
「よォ…お前は知ってるか?」
何の事か解らないエルザはジャンガを見上げる。
「人間は一体どれだけ刻まれても大丈夫なのかをよ?」
「そ、そんな事…知らない…」
「だよな?そうだよな!?キーッキキキキキキキキッ!」
高らかに笑うジャンガ。一頻り笑うと再びエルザの顔を覗き込む。
「だからよ…少し手伝ってくれよ。どれだけ刻まれても生きていられるのかを、俺に教えてくれよ?
な~に難しい事じゃないゼ。用はテメェが”吸血鬼の活け作り”になるだけだからよ…」
――エルザは言葉の意味を直ぐには理解できなかった。
意味を理解した瞬間、それまで感じた事の無い恐怖が全身を駆け巡った。
「そ、そんな……お願い、止めて!そんなの…そんなの嫌ーーーーー!!!」
エルザの絶叫が森に木霊した。そんな彼女の悲鳴もジャンガはどこ吹く風。
エルザの足を掴み、森の奥へと引きずっていく。

「今更喚くんじゃねェゼ……どの道、テメェは死ぬ運命なんだからよ…」

――その言葉がエルザへの死刑宣告となった。



「キキキ…今回は実に情けない結果に終わったなァ~?」
枝を切り落としてやった事で自由の身になったタバサをジャンガは笑いながら見つめる。
タバサは悔しげに歯を噛み締める。
「あの子は?」
「あン?吸血鬼のガキなら向こうでいい感じの刺身になってるぜ。まァ、まだ息はあるがよ…手も足も無ェからな。
後は獣の餌になるだけさ…キキキ」
楽しい思い出を語るかのような口調で話すジャンガにタバサは冷たい視線を投げかける。
「ああそれと、あの竜はさっきも言ったが向こうで寝てるゼ。行って起こしてやればいいさ。
にしても驚いたぜ…あの竜が喋るだけでなく、人間にも化けれるなんてな」
「見たの?」
「キキキ」
不味い奴に見られた……タバサは珍しく表情を強張らせる。
「言わないで」
「あン?何だって?」
「言わないで、誰にも」
タバサは正直、無駄だと思っていた。
「言ったら不味いか?…なら言わねェ」
「え?」
予想外の答えにタバサは呆気に取られる。ジャンガはニヤリと笑う。
「テメェは見ているだけで面白い玩具だ…、これからも楽しみたいんだよ…?
だから、これからもテメェには普通に過ごしてほしいんだ…解るだろ?だから言わねェ。キキキ」
それだけ言うとジャンガは踵を返して歩き去ろうとする。
その背に向かってタバサは言った。
「私は貴方の玩具じゃない」
ジャンガは振り向かずに口の端を吊り上げ、ゾッとする様な笑みを浮かべる。
「キキキ…、キィーーーッ!キキキキキキキィィィーーーーッ!!!」
さも楽しそうな声を上げて高らかに笑い、ジャンガは今度こそ森の中へと消えていった。



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