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  • あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • 毒の爪の使い魔-14b

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

毒の爪の使い魔-14b

最終更新:2008年10月22日 08:08

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  • 毒の爪の使い魔




――それから数時間後…

未だ何をするでもなく、青空を見上げていたジャンガは突然の事に何が起こったか解らず、怪訝な表情をした。
「ンだ?」
短く呟き慌てて身を起こしたジャンガは左目を擦る。
まるで真夏の陽炎の如く、左目に映る景色が揺らめきだしたのだ。
初めは妙な事を考えて精神的に疲れた所為だろうと思ったが、左目を幾ら擦っても視界の揺らめきは止まらない。
それどころか、ますます視界は歪んで行く…と思いきや、今度は歪みは徐々に収まりを見せていく。
そして、歪みが消えた時、左目は右目に映る光景とはまるで違う光景を映し出していた。

そこは大きな広場のような所だった。周囲は森に囲まれ、人家などは見当たらない。
遠くには屋根の吹き飛んだ小屋のような物が見えた。
だが、それより目が行ったのは、その小屋の前に立ち尽くした巨大な人型だった。
見間違うはずも無い…それは自分があの時、仕留め損ねたフーケの操るゴーレムだ。
と、屋根の吹き飛んだ小屋から竜巻が飛び、続いて火炎が飛ぶがゴーレムはそれらを意にも介さない。
すると、視界が急に動き出した。自分の意思とは別に動くそれはまるで別の誰かの視界であるかのような…。
(別の誰か?)
高くなったかと思うや一瞬だけ視界は下を向く。
その時、視界の端の方に見慣れた桃色の髪が見えた。

「オイ」
ジャンガはデルフリンガーに向かって声を掛けた。…が、デルフリンガーは返事を返さない。
「オイ」
もう一度言った。しかし、鞘から出てこようともしない。
「…オイッ!!」
三度目の怒鳴り声でようやくデルフリンガーは鞘から飛び出した。
「うわっと!?なんだい、相棒…俺を呼んでたのか?」
「テメェ以外に誰が居る?何で直ぐに出なかった?」
「いや……だって、さっきも相棒言ってたじゃねぇか…”話しかけるな”ってよ?」
「俺から呼んだ時は直ぐに出て来い…」
「解ったよ……それで?なんだい?」
「…左目が変だ。あの”自称ご主人様”の視界が見える…。これが何か、テメェは知ってるか?」
「ああ…なるほどね。多分だが、使い魔の能力の一つだろう。…その娘っ子に聞かなかったか?
『使い魔は主人の目となり耳となる能力を与えられる』ってよ?
まぁ…大抵は使い魔の見てる光景が見えたりするんだがよ。どうやら相棒の場合は逆のようだな」
ジャンガは徐に袖を捲くり、左手の甲を見た。ルーンが輝いている。
使い魔の能力と言うのはあながち間違いではないようだ。
(能力ねェ…、人の視界まで好き勝手しやがって…クソッ)
心の中で毒づくジャンガにデルフリンガーは尋ねた。
「それで、一体何が見えるんだい?」
「…ゴーレムとやりあってる真っ最中だ」


覗き見る視界の中、ルイズの声も聞こえてくる。
ルーンを唱え、杖を振ると小さな爆発がゴーレムの肩で起きた…が、それだけだった。
ゴーレムの巨体はビクともしていない。と、ゴーレムがルイズの存在に気が付いたのか、ゆっくりと振り向く。
三十メイルの巨体に睨まれ(と言っても顔のような物が在るだけだが)、ルイズは怯えるかのように小さく声を上げた。
ゴーレムが地響きを立てながら歩を進める。我に返ったルイズは慌てて杖を構えなおす。
そこに小屋から飛び出したキュルケの声が聞こえてきた。
「ルイズ、貴方何しているのよ!?早く逃げなさいよ!」
ルイズが歯を噛み締める音が聞こえる。
「いやよ!!」
「何強がりを言っているのよ!?大体貴方、魔法なんて何一つまともに使えないじゃない!
それなのに、そんな巨大なゴーレムに適うわけ――」

「っ!?……私は貴族よ!」

声を張り上げて叫ぶルイズに、キュルケも視界を共有しているジャンガも目を見開いた。
迫り来る巨大なゴーレムを前にし、それでもルイズは凛とした態度で言い放つ。
「魔法が使える者を貴族と呼ぶんじゃない、敵に後ろを見せない者を…逃げ出さない者を貴族と言うのよ!
私は敵に後ろを見せたり…逃げ出したりなんかしない!私は…」
そこで一旦言葉を切り、ゴーレムを睨みつける。

「私はゼロの…『悪夢』のルイズなんかじゃないんだからぁぁぁーーーーー!!!」

ゴーレムがその巨大な足を振り上げ、ルイズもまたルーンを唱えて杖を振る。
足が振り下ろされる前に、ゴーレムの胸の辺りで爆発が起きた。だが、やはり駄目だった。
僅かにゴーレムの身体を形作る土が零れ落ちただけだ。――そして、その巨大な足が振り下ろされた。
ルイズが目を瞑ったらしく、視界が真っ暗になった。
響き渡る轟音はゴーレムの足が地面に振り下ろされた物だろう。音が聞こえているという事はまだ死んではいまい。
とルイズが目を開けたらしく、視界に光が戻った。その目の前にはキュルケの顔があった。
彼女がルイズを助けたのだろう。
「邪魔をしないでよ、ツェルプストー!!」
だが、ルイズはキュルケに向かって怒鳴り散らす。――瞬間、視界が横を向いていた。
ゆっくりと前へと向き直ると、キュルケがルイズを睨んでいた。おそらくは彼女がルイズの事を引っ叩いたのだろう。
「ヴァリエール…貴方の言いたい事は良く解るわ。私だって貴族だから…。
だとしても、今のは余りに無謀だわ。いや、無謀と言うのも馬鹿馬鹿しいわね。
貴族らしい死というのもあるわよ…、けれど今のはどう考えても犬死よ。
勝てないような相手からは逃げたって恥じゃないわよ」
真剣なキュルケの表情にルイズの高ぶった感情も急激に冷やされていったようだ。
ルイズは俯き、やがて静かに口を開いた。
「だって……私、いつも貴方や皆にバカにされていたし…。召喚できた使い魔もあんな奴だし…、
姫様にも迷惑を掛けちゃったし…、あいつに『悪夢』だの『疫病神』など言われたし…、
…挙句には姫様を…あんな風に言われて…凄く悔しくて…」
視界が歪んでいく。だが、先ほどの物とは違う……これは”涙”による物だ。
「ルイズ…」
キュルケの言葉にルイズは顔を上げ、見つめた。キュルケの顔は止めどもなく流れる涙に揺らめいている。

「ここで逃げたら…また皆にバカにされるじゃない…。あいつにだって…また舐められるじゃない…。
もしかしたら…姫様をまた悪く言うかもしれない…。だから私…絶対に逃げたりしたくないの…」


――勿論、逃げる事は時には必要だと思うよ?自分にどうしようもない事なら尚更ね――

――当然だな…――

――でもね…私は、どうしようもなくても逃げたくない…引きたくないって事もあるの――

――何だよ…?――

――ん~?…あんたが化物呼ばわりされた時…とか?――



ジャンガの脳裏を昔が過ぎる。――そして、激痛。
「ぐっ!?」
「ど、どうしたい相棒?」
突然呻き声を上げたジャンガに、デルフリンガーは声を掛ける。
ジャンガはそれに答えずに左手を押さえ、ため息を吐いた。

「…はァ~…、クソが…。どうしてこうもあのガキは…俺を色々ムカつかせるんだろうな?」



広場では未だゴーレムとルイズ達の戦いが続いていた。
タバサはシルフィードに乗って空中からゴーレムを牽制し、キュルケと立ち直ったルイズもまた応戦する。
が、やはり状況はこちらに不利だ。このまま戦っていても勝ち目はあるまい。
キュルケは一時撤退を決意。ルイズも心底悔しそうにしながらも、キュルケに続いた。
タバサのシルフィードが地面に舞い降りる。
ようやく辿り着いたキュルケは背後で駆けて来るルイズに向かって叫ぶ。
「ルイズ!早く!」
「解っているわよ――きゃあっ!?」
突如、足を何かに掴まれた感触がし、ルイズは前のめりに地面に倒れた。
「痛つつ…な、何?」
慌てて視線を向ける。見れば、地面から生えた手が自分の足を掴んでいた。
”アースハンド”…土を手に変えて対象を掴む土系統の魔法だ。これもフーケの仕業だろう。
ルイズは慌ててその手を外そうとするが、足をガッチリと掴んでおり簡単に外れそうもない。
と、自分の周りに影が落ちた。見上げれば、そこには今にも振り下ろさんとされているゴーレムの豪腕が在った。
「あ…」
そんな言葉がルイズの口から漏れた瞬間、豪腕が振り下ろされた。
キュルケの声が聞こえた気がしたが、それも直ぐにゴーレムの豪腕が叩き付けられた轟音に掻き消された。

キュルケとタバサは呆然とその光景を見ている他はなかった。
地面に倒れたルイズの姿がゴーレムの豪腕の下に消え去るのを見ているしかなかった。
唐突にキュルケが膝から地面に崩れ落ちた。
「ル、ルイズ…」
「……」
呆然と友人の名を呟くキュルケに対し、タバサは何も言わない。だが、その唇は強く噛み締められていた。

「…三人でかかれば、何とかなると思ったか~?」

突然、横から聞こえた声にキュルケは顔を向ける。
そこにはこの場に居るはずのない、紫色の長身が立っていた。


「貴方…何でここに――ルイズ!?」
長身=ジャンガの腕に抱かれたルイズを見て、キュルケは声を上げる。
その声にルイズも気が付いたようだ。
「え、キュルケ?…私、潰されたんじゃ……って、ジャンガ!?」
「よォ、クソガキ。どうだ…?『もう死ぬ』っていう感じはタップリ味わえたかよ?」
ニヤニヤ笑うジャンガにルイズは顔を背けた。
「…何よあんた?今更出て来て…、何の用よ?」
「キキキ、ご挨拶だなァ~?俺はテメェの事を助けてやったんだゼ?もうちっと感謝してくれてもいいと思うがよ?」
「冗談じゃないわよ!いいから放して!」
暴れるルイズにジャンガは舌打ちをし、ルイズを抱き抱えている腕を放した。
ジャンガはそのままゴーレムの方へと進み出る。
「ちょっと…何するの?」
「キキキ、何かって?当然……この木偶人形を潰すんだよ」
「…何で?」
「キキキ、気まぐれさ…」
言い終わるや、ジャンガはゴーレム目掛けて駆け出した。

背中の鞘からデルフリンガーを抜き放つ。
「おう相棒、俺を使ってくれるのかい?相棒にはその爪があるから、俺の事は正直使ってもらえないかと――」
「お前…剣じゃ頑丈な方か?」
唐突な質問にデルフリンガーはポカンとする。
「あ?…ああ、まぁな。ちゃちなそこらの剣よりは頑丈だってのは保障するぜ」
「そうかい……なら、問題無ェな」
「へ?」
言葉の意味が解らないデルフリンガーを他所に、ジャンガはゴーレムの腕や身体を跳んで上っていく。
そして、ゴーレムの頭の上に立つと、そこから力一杯跳躍する。
ゴーレムを眼下に捕らえると、ジャンガはデルフリンガーを構えた。
「どうするんだ相棒?」
「…キキキ、テメェには鑿の代わりになってもらうゼ」
「あ?」
ジャンガは勢いをつけ、デルフリンガーをゴーレム目掛けて投げつける。
「お、おわぁぁぁぁぁぁーーーーー!!?」
突然の事に頭がついていかず、デルフリンガーは叫び声を上げながら、ゴーレム目掛けて飛んで行く。
ガギンッ!
デルフリンガーの先端がゴーレムの左の手首の部分に突き刺さる。
「あ、相棒!?な、何を…って!?」
デルフリンガーが見上げた先では、ジャンガが彼を投げた反動を利用して高速で回転しているのが見えた。
そして、回転したままジャンガは突き刺さっているデルフリンガーへと突撃してくる。
「キキキキキ!オラァーーーーー!」
叫び声を上げながらジャンガは回転で勢いをつけた凄まじい蹴りを、デルフリンガーの柄の先端に放った。
衝撃が突き刺さったデルフリンガーの先端を通じて、ゴーレムの手首の中に直接叩き込まれる。
一瞬で罅割れが広がり、ゴーレムの左手は崩れ落ちた。
ジャンガは、土くれとなった左手とともに地面に落ちたデルフリンガーを拾い上げる。
一足飛びにその場を離れ、距離を取る。
「ほゥ?確かに頑丈だな、罅一つ無ェや…」
繁々と観察するジャンガにデルフリンガーは叫んだ。
「相棒!?今のはどう考えても滅茶苦茶だ!俺を杭かなんかの代わりにしてくれるなよ!?」
「ウルせェ…、使ってもらって嬉しいんじゃないのか?だったら文句を言うんじゃねェよ、ボロ刀!?」
「あぁぁぁぁぁ~~~……相棒、使ってくれるのは嬉しいが、もっと優しくにだね!?」
「黙れ……騒いでる暇は無ェみたいだゼ?」
「はい?」
ジャンガの視線の先ではゴーレムが地面の土を吸い寄せ、破壊された左手を再生させていた。
その光景にデルフリンガーは納得した様子。
「ああ、ゴーレムは操っているメイジの精神力が尽きない限りはな、ああいう風に再生するぜ?」
「…知っているなら最初に言いやがれ」
「まァ…それはそうとどうするよ?」
「ハンッ、再生するなら片っ端から砕いてやるさ!」
言うが早いか、ジャンガは再び駆け出した。


ジャンガは相手の攻撃をかわしながらデルフリンガーを叩き込み、蹴りを放って砕いていく。
一方で分身を生み出し、無数のカッターを投げつけて切り刻む。
しかし、ゴーレムも傷つく度に土をかき集めて再生していく。
ゴーレムの方の攻撃は当然の如く、掠りもしなかったが。――そんな攻防が暫く続いた。
ゴーレムの豪腕が何個目かのクレーターを地面に作った。
その場から飛び退き、距離を取る。そして舌打。
「チッ、メンドくせェ…」
「なぁ、相棒……お願いだからもうやめてくれ?今さ”ミシッ”って音がしたんだよ”ミシッ”て…。いやマジで…。
これ以上やられたら冗談抜きで折れちまう…頼むからもうやめてくれ。いや本当…お願いだからさ…」
デルフリンガーのそんな悲痛な訴えなど完全に無視し、ジャンガは考えた。
今のまま続けていても一向に事は進展しない。大本を叩けばいいのだろうが、その大本の姿が何処にも見えない。
(やっぱりあの時仕留めとけば楽だったゼ……クソッ)
心の中で毒づき、ジャンガは忌々しげにゴーレムを睨みつけた。

「何よ…?大口叩いて全然じゃないの、あいつ!?」
ルイズはイライラしながらジャンガを睨んでいた。
あれだけ自分を馬鹿にしておきながら、あいつはゴーレムを倒せないでいるのだ。
だが、ルイズ達の魔法にビクともしてなかったのを再生されているとはいえ、破壊しているのだから、
やはり凄いと言わざるを得ないだろう。事実、ゴーレムに再生能力が無ければ、既に跡形も無いはずだ。
しかし、ルイズにはそんな事はどうでもよかった。とにかく、何が何でもゴーレムを倒し、フーケを捕まえなければならない。
…それが、姫様に迷惑を掛けてしまった自分に出来る、唯一の謝罪なのだから。
では、今どうすればいい?…悩むルイズはふと”あれ”の事を思い出し、キュルケに訊いた。
「キュルケ、”あれ”、”あれ”はどうしたの?」
「”あれ”…って何よ?」
「『破壊の箱』よ、見つかったの?」
「『破壊の箱』?…ええ、それだったらタバサが――」
それを聞くが早いか、ルイズは立ち上がるとタバサに駆け寄る。
「タバサ、『破壊の箱』を!」
ルイズの意図を察し、タバサは杖を振り、シルフィードの背鰭に乗せていた『破壊の箱』を手元に引き寄せる。
それを見たルイズは眉を顰める。見た目は赤い箱のようだが、蓋のようなものが無いのだ。
何処をどうすれば開ける事が出来るのか皆目見当が付かない。しかし、今の現状を打開できるのはこれ以外に無い。
「もう、どうすれば開くの!と言うよりも、これ本当に箱なの!?」

「ウルせェな…あのガキ――」
そう言って振り向いたジャンガは怒鳴りつけようとして――目を見開いた。
ルイズがイライラしながら弄っている物は赤い箱のような形をしている。
間違いなく、あれが『破壊の箱』だろうと直感し――同時に驚いた。
「あれは…」
だが、直ぐに口元に笑みを浮かべ、ルイズの所へ向かって走った。
駆け寄ってきたジャンガにルイズ達は顔を向ける。
「な、何よ?」
「キキキ、ありがてェ。これなら、楽勝じゃねェかよ!?」
言いながらルイズ達から『破壊の箱』を奪い取る。
彼女達の抗議の声が聞こえたが無視。『破壊の箱』を使用できる状態にする為、あれこれ操作をする。
安全装置を解除し、収まっていたグリップを引き出すと、箱の片方の断面がブラインドのように開き、発射口が露になる。
その一連の光景をルイズ達はただ、呆然と見ているしかなかった。
グリップを握り、肩に『破壊の箱』をかけ、発射口をゴーレムに向ける。
「キキキ、目に物見せてやるゼ」

笑いながら引き金に爪を掛け……



――だから私…絶対に逃げたりしたくないの…――

――どうしようもなくても逃げたくない…引きたくないって事もあるの――



――脳裏を過ぎった桃色髪の二人の少女の顔に、引き金を引こうとした爪が止まった。


「チッ…」
舌打ちをする。引き金を引けばそれですむ…、だがそれを何故か出来ない…躊躇ってしまう。
徐に後ろのルイズを振り返る。唐突にこちらを見たジャンガにルイズは一瞬怯む。
「な、何よ?」
「……」
ジャンガは無言のまま、肩にかけていた『破壊の箱』を下ろすと、ルイズに向かって差し出した。
突然の事にルイズは怪訝な表情でジャンガを見る。と、ジャンガが口を開く。
「…テメェがやれ」
「え?」
言われた事が理解できず、間の抜けた声が口から漏れる。
「テメェ…『悪夢』じゃないんだろ?だったら、それを証明してみやがれ。それを撃ってな…」
「う、撃つ?」
「ああ、それはまァ…言ってみれば銃のデカイやつだ。…そう思え」
「銃!?これが!?」
ルイズは目を見開き、正に仰天といった表情で『破壊の箱』を見る。
「そこの引き金を引けば、その穴から弾が出る…、威力抜群なやつがな。そいつをあのゴーレムに撃ち込んでやれ」
「そ、そんなの…貴方がやればいいじゃない!?何で私に…」
「…いいからやれ」
そう言ったジャンガの顔にはいつもの嘲りの色は無い。
そんな彼の言葉にルイズは静かに頷いた。
「よし…、俺があいつに一発食らわせる。そうしたら、その『破壊の箱』をぶっ放せ。
――あんな木偶位倒して見せろよな。『悪夢』や『疫病神』じゃないならよ~?」
「当然よ!!!」
叫びルイズはジャンガが先程やっていたように『破壊の箱』を肩にかけ、グリップを握り、発射口をゴーレムに向ける。

「キキキ…上出来だ!」

叫び、ジャンガは駆け出した。

駆けながら例の三体の分身を生み出す。

目にも留まらぬ動きでゴーレムに駆け寄る。

一斉に爪を振り翳し、ゴーレムと擦れ違いざまに切り付ける。

無数の切り傷が胸に走り、ゴーレムは怯んだ。

その瞬間、ルイズは『破壊の箱』の引き金を引いた。

大きな音がし、白煙を引きながら四発の小型ミサイルが飛ぶ。

四発の小型ミサイルがゴーレムの身体に吸い込まれる。

直後、巻き起こった大爆発にゴーレムは粉々に砕け散った。


粉々になったゴーレムの破片が降り注ぎ、小山のように積みあがる。
そんな中、撃ったルイズはおろか…その様子を見守っていた、タバサとキュルケ(と、シルフィード)も驚きを隠せなかった。
「何よ……これ、銃なんて比べ物にならないじゃない…」
呆然としながら、思わず落としてしまった『破壊の箱』を見ながら呟く。
今の大爆発はトライアングル…いや、下手をすればスクウェアクラスの炎の魔法に匹敵、或いは凌駕するかもしれない。
それほどまでに、今の大爆発の威力は圧倒的だった。
呆然とするルイズ達の所にジャンガが歩いてきた。三人は一斉に彼を見る。
「キキキ、やりゃ出来るみたいだな……正直、以外だぜ」
「ふ、ふん!こ、これぐらい…と、当然でしょ!」
まだショックから立ち直れていないルイズだったが、ジャンガの言葉に胸を張り、精一杯の虚勢を張って答える。
と、ゴーレムの残骸である土の小山を見ていたタバサが口を開く。
「フーケはどこ?」
その言葉にルイズとキュルケは顔を見合わせ、ジャンガは帽子を押さえながら舌打ちをする。
その時、ルイズの傍らに落ちていた『破壊の箱』を誰かが拾い上げた。
辺りの偵察に出ていたミス・ロングビルだった。
「ふふ、ご苦労様」
ミス・ロングビルは微笑みながらそう言い、拾い上げた『破壊の箱』を見つめる。
「ミス・ロングビル…今まで何処に?」
ルイズの問いかけには答えずミス・ロングビルは、すっとその場から遠のくと、四人に『破壊の箱』を突きつけた。
「何を!?」
「動かないで!『破壊の箱』はピッタリあなた達を狙ってるわよ?」
「ミス・ロングビル…貴方は?」
キュルケの言葉にミス・ロングビルは『破壊の箱』を構えたまま、後ろで纏めていた髪を下ろし、眼鏡を外す。
その目付きが猛禽類を思わせる、鋭い物に代わった。
「さっきのゴーレムを操っていたのは私…、『土くれ』のフーケよ」
自らの正体を明かしたフーケに、ジャンガを覗いた三人は目を見開く。
フーケは『破壊の箱』を構えながら叫んだ。
「全員杖を遠くへ投げなさい!」
悔しそうに唇を噛み締めつつも、言われたとおりに三人は杖を放り投げる。
「使い魔の貴方は、その背負った剣と両手に付けた爪を外してもらおうかしら?」
「あ~…そりゃ無理だな」
「どういう意味かしら?」
「剣はいいんだがよ…」
言いながらデルフリンガーを鞘ごと地面に下ろす。そして袖を捲くってみせた。
「爪は無理だな…。――どうだ?」
袖が捲くられて露になった右手。…それは奇妙な物ではあった。
指と思しき物が無く、代わりに爪が直接手から生えているのだ。爪が指の代わりに生えている種族など、ルイズ達は知らない。
もっとも、ルイズは彼を召喚して間もない頃に看護した時、シエスタと共に彼の手を見ているので驚きはしなかったが。
「この爪は俺の身体の一部なんでな…外す事なんか無理なんだよ、キキキ」
『破壊の箱』を突きつけられているにも拘らず、ジャンガは余裕の表情で笑う。
「変わった手を持ってるね?私のゴーレム相手にも引けをとらない強さを持ってるし…、まさに”化物”じゃないさ」

――何だこれは!?――

――まぁ…気色悪い――

――やーい、やーい、ばけもの、ばけもの!――

ギリッ、奥歯を噛み締める音が響く。


「まぁ、別にいいけどね」
「どうして!?」
ジャンガを鼻で笑うフーケにルイズが叫んだ。
「そうだね……ちゃんと説明してあげた方が、悩み無く楽に死ねるだろうしね」
そう言い、フーケは妖艶な笑みを浮かべる。
「この『破壊の箱』…盗んだはいいけど、使い方がまるで解らなかったからね。
魔法学院の誰かを連れてくれば、きっと旨い事使ってくれると思ったのさ。
まぁ、教師じゃなくて生徒だったのは予定外だったけどね…」
「それで…」
「私達の誰も知らなかった場合、どうするつもりだったの!?」
「その時はゴーレムで全員踏み潰して、代わりに誰かを連れてくるだけよ。
まぁ、そこの亜人の使い魔君がちゃんと教えてくれたからね、感謝してるわ」
「……」
ジャンガは答えない。
「ふん、まぁいいさ。じゃあ、短い間だったけれど楽しかったわ。向こうへ行っても元気でね…、さようなら」
そう言ってフーケは引き金を引いた。――何も起こらなかった。
慌ててフーケは再度引き金を引く。やはり何も起こらない。
「どうして!?」
「単発式の使い捨てだからな…」
俯いたジャンガの静かな声がフーケの耳に届く。その声にジャンガへと向き直る。
「単発式だって?」
「ああ…一発撃ったらそれでおしまいさ。キ、キキキ…」
最後の方の笑いにルイズは妙な感覚を覚えた。
(何、今の?)
ジャンガは静かに言葉を続ける。
「それによ…同じ盗むんだったら――」
「くっ!」
フーケは『破壊の箱』を投げ捨て、杖を握ろうとする。

「こーゆー、役に立つ物を盗むんだったな!!!」

BANG!!!

”銃声”が響き、フーケの身体が宙を舞った。


背中から地面に倒れたフーケは、右肩から大量の血を流している。
「あ、が…」
突然の事に、フーケもルイズ達も呆然とするしかなかった。ルイズは徐にジャンガを見る。
笑みすら浮かべていないジャンガのその手には、紅い色の大型の”銃”のような物が握られていた。
ジャンガは未だ硝煙が立ち上る銃を下げ、フーケの方へと歩み寄る。
「ハン!盗人風情が粋がってるんじゃねェよ!大人しくしてりゃ、好き勝手言いやがってよ…あン!!?」

BANG! BANG!! BANG!!!

立て続けに三発…、左肩、右太股、左太股へと弾が撃ち込まれる。
「ああああああ!!!?」
激痛に悲鳴を上げるフーケ。その口を塞ぐ様にジャンガは足を振り下ろす。
「あぶっ!?」
「ウルせェよ……クソアマが。…不愉快な事を思い出させてくれやがって」
何時の間にか、ジャンガは四人に増えていた。それが示すのは――

「テメェにも地獄見せてやるよ」

問答無用、情け容赦の無い袋叩きが開始され、三分と経たずにフーケはボロボロの半死半生の状態にされる。
血みどろになり、僅かに呼吸音が聞こえるだけのフーケを見下ろしながら、ジャンガは手にした銃を向ける。
「向こうへの道先案内、ご苦労さん……だがよ」
両目を見開き叫ぶ。

「地獄の果てには一人で行きなァァァァァーーーーー!!!」

ZBAAAAAAAAAAAAAN!!!

銃声が響き渡った。
「…何の真似だ、テメェ?」
ジャンガは目だけを動かし、腕にしがみ付くルイズを睨みつける。
銃から撃たれた弾丸は、フーケの眉間ではなく…彼女の頭の数サント横の地面に減り込んでいた。
撃たれる瞬間、ルイズがジャンガの腕にしがみ付き、無理矢理に銃口の向きを変えたのだ。
「こいつは盗人で、テメェの事も殺しかけたんだゼ?…何で庇うんだよ!?」
「私達は『破壊の箱』の奪還とフーケを捕まえる為に来たの!殺しに来たんじゃないわ!」
「ハンッ、奇麗事を言うんじゃねェよ!」
「フーケは学院に連れて帰るわ、解った?」
「……」
「……」
暫し、二人はお互いに睨み合った。
やがて、ジャンガは舌打ちをして銃を懐へとしまい、踵を返した。
「何処へ行くのよ?」
「…帰るに決まってるんだろうが?」
その言葉が終わると同時に、ジャンガの姿はその場から消え去った。

その後、ルイズ達は半死半生のフーケと『破壊の箱』と共に学院へと帰還した。
『破壊の箱』は再び宝物庫へと収まり、フーケもまた最低限の応急処置を施されて城の衛士に引き渡された。
三人には王宮からの褒美として、ルイズとキュルケには『シュヴァリエ』の爵位が送られる事となり、
既に『シュヴァリエ』の爵位を持っているタバサには精霊勲章が授与される事になった。


喜ぶ三人が出て行った後、学院長質を訪れた者があった。…ジャンガだ。
「ちィとばかり、テメェに聞きたい事があってな…」
「何だね?」
オスマン氏の目の前の机の上に、懐から取り出した例の紅い銃を置いた。
それを見てコルベールが驚きに目を見開く。
「そ、それは、『紅の巨銃』ではないか!?」
「ほゥ?そんな風に呼ばれてるのか…、まァいい。まず聞きたいのは、こいつとあの『破壊の箱』の事なんだがよ…」
ジャンガは『紅の巨銃』=大型のハンドライフルを指し示し、オスマン氏に聞く。
「まず言うが…俺はここの世界の出身じゃ無ェ。こことは違う、別の世界の住人だ。
そして、こいつと『破壊の箱』は俺の世界の武器だ」
「それは本当かね?」
「嘘吐いてどうするよ?大体、こんな物がこの世界に存在してるのかよ?」
オスマン氏やコルベールは暫し考え、首を横に振る。
「だろうが?俺はあのルイズ嬢ちゃんの『召喚』で呼ばれたんだよ」
「なるほどのう…」
「こいつやあの『破壊の箱』…『ミサイルポッド』って言うんだがよ、どこで手に入れたんだ?」
「…『破壊の箱』は、ある亜人の形見なんじゃ」
そう言ってオスマン氏は遠い目をした。
「もう…三十年ほど昔かの…、森を散策していた私はワイバーンに襲われた。
その窮地を救ってくれたのが、私の命の恩人である亜人だった。
彼は『破壊の箱』とは別の…筒のような物でワイバーンを簡単に吹き飛ばすと、バッタリと倒れたのじゃ。
その亜人は見慣れない格好をしており、更に酷い怪我を負っておった。私は彼を連れて帰り、手厚く看護したのだが…」
「くたばったか…」
オスマン氏は寂しげに頷く。
「結局、彼が何処から来たのか…どのような種族かは解らなかった。
私は彼がワイバーンを倒すのに使った筒のような物を彼と共に墓に埋め、残った『破壊の箱』を王宮に献上したのじゃ」
オスマン氏の話を聞きながらジャンガは考えた。
三十年前とすれば、まだボルクが今ほど治安が安定しておらず、あちこちでゲリラ活動や内戦などが頻発していた時期だ。
そして、あのミサイルポッドは三十年前辺りまで使われていた使い捨てタイプだ。…時期はあっている。
おそらく、ワイバーンを倒したのに使ったと言うのは、筒のような形状から察するにバズーカの類だろう。
「こいつはどうした?これもその亜人が持っていたとか言うのか?」
ハンドライフルをオスマン氏に見せて尋ねると、オスマン氏は首を振る。
「それは違う。それはあるメイジが召喚の実験中に偶然に召喚した物でな…」
「ほゥ?」
そう言えば…”あいつ”は”今使っているのは二丁めだ”とか言っていた。…なら、これも間違いない。
「で、最後だが…」
そう言って、ジャンガは袖を捲くる。露になった左手を差し出し手の甲のルーンを見せる。
「こいつだ。このルーン…知ってるか?」
「このルーンか…知っておるよ。ガンダールヴのルーンじゃ」
「ガンダールヴ?」
「伝説の使い魔、神の左手ガンダールヴ……ありとあらゆる武器を使いこなす事ができたそうじゃ」
「武器を?」
確か、最初に身体が軽くなった時、あの気障ガキを痛めつけた時、自分は武器など持っていなかった。
…ならば、このルーンは自分の毒の爪を”武器と認識している”のだろうか?
だとすれば、何も持たなくてもルーンの力が働いたのは説明が付く。
「フン、なるほどねェ。…どうして、俺なんかがそんな大層な使い魔なんかになったんだ?」
「解らん…解らん事だらけじゃ」
オスマン氏はため息を吐いた。
ジャンガは詰まらなさそうに鼻を鳴らすと、ハンドライフルを懐にしまう。
「こいつは、俺の向こうでの知り合いの物だ。…俺が持っていても問題無ェよな?」
「…いいだろう」
「キキ…そうかい?必要な事も聞けたし、もう俺は行くゼ」
それで話はお終いとばかりに、ジャンガは部屋を出て行った。


――その夜…

アルヴィーズの食堂の上の階にあるホールで、祝賀際が開かれた。
キュルケもタバサも着飾り、それぞれ楽しくパーティーを満喫しているようだ。
「まァ、俺には関係無ェがな」
「相棒も楽しんでくればいいのによ?」
「…今ここで圧し折られたいか?」
「ごめん、黙る。だから勘弁してくれ」
言いながらデルフリンガーは鞘の中に引っ込んだ。
ジャンガは鼻を鳴らし、シエスタが持ってきたワインをラッパ飲みする。
「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな~~~り~~!」
呼び出しの衛士の到着を告げる声が響き、ルイズがホールへの階段を上ってきた。
姿を現したルイズにジャンガは思わず「ほゥ?」と言葉を洩らす。
桃色の髪をバレッタに纏め、肘まで隠れる白い手袋と胸元の開いた白いパーティードレスに身を包んでいるその姿は、
宝石のような輝きを持っており、そこらの女なんぞ相手にならないような美貌を放っている。
そんなルイズの美しさに見事にやられたのか、散々『ゼロのルイズ』などとからかっていた連中が、
次から次へとルイズにダンスの申し込みをしてきた。
「…くだらねェ」とその様子を見ていたジャンガは呆れながら呟く。
ルイズはダンスを申し込んできた男子生徒の誘いを尽く断り、ジャンガの所へとやって来た。
「何してるのよ、こんな所で?」
「あン?別に何をしてようがテメェには関係無ェだろうが…」
そう言って再びワインをラッパ飲みする。
一気に飲み干し、息を吐く。と、照明が少し落とされ、音楽が流れ始めた。
大勢の生徒のカップルが音楽に合わせてホールで踊り始める。
「おい、始まったゼ?行かねェのかよ?」
「相手がいないのよ…」
ルイズは両手を広げてみせる。
「テメェが断ったんじゃねェかよ……ん?」
見ればルイズは自分に向かって手を差し出している。…と言う事は、
「オイ、何の冗談だ?」
「…冗談でやる訳無いでしょ。…踊ってあげても良いって言ってるのよ」
「…とうとう壊れたか?」
「っ!……も、勿論、今日だけよ!今日だけの特別なんだから!」
そう言って、ルイズはドレスの裾を恭しく両手で持ち上げ、自分が決めたダンスパートナーに一礼する。

「私と一曲踊ってくださいませんか、ジェントルマン」
「……後悔すんなよ?」

ジャンガは左の爪を差し出す。ルイズはその爪を取り、ホールへと進んだ。
ルイズはジャンガの爪を軽く握り、向き合った。
「あんたは踊りなんてした事無いでしょうから、私に合わせ――」
「テメェが合わせろ」
「え?」
ルイズが驚く間も無く、ジャンガは右の腕をルイズの背中に回し、踊りだした。


その優雅さにルイズは驚きで頭がいっぱいだった。
「あ、あんた…こんな優雅な踊りが出来たの?」
「…まァな…」
「驚いた……ダンスなんて興味無さそうなのに」
「昔、ちょっとな…」



――そこで、ステップを踏んで――

――おい、俺は別に踊りなんざ――

――うん…ジャンガ、やっぱり筋が良いよ。続ければ、プロのダンサーになれるかも…――

――勘弁してくれ…。俺は踊りなんかには興味が無ェんだよ?――

――いやだ~。私が踊っていたいの~♪――

――ハァ~…――



「……」
ぼんやりと遠く見つめるジャンガにルイズは小さく呟いた。
「ありがとう」
「…ン?」
「今日はあんたのお陰で助かったわ……本当に感謝しているから」
「俺はテメェを助けようなんざ――」
「解ってる!…それでもよ」
ジャンガの言葉を遮って叫ぶルイズ。その様子にジャンガも口を閉じた。
暫く静かに踊っていると、ルイズの方から話を切り出した。
「ねぇ…聞いてもいい?」
「あン、何がだ?」
「…その、マフラーの事」
ルイズはバツが悪そうにマフラーの色が変わっている所を見る。
ジャンガは暫く黙っていたが、やがて口を開いた。
「別に何も無ェ…ただのお気に入りだってだけだ…」
「そう…」
ルイズは寂しそうに俯いた。
「でも、いつかお詫びで、あんたに何かしてあげるわ。…このダンスだけじゃなんにもならないし、
第一…あんたは別に踊れるだけってだけで、踊りそのものには興味無いでしょうし…」
「いや…」
「え?」
ルイズは顔を上げる。ジャンガがいつものニヤニヤ笑いを浮かべているのが見えた…が、何故か不快な感じはしない。
「偶にはこんなのも悪くは無ェかもな…キキキ」
「そう…」
ルイズははにかむ様な笑みを浮かべた。

そんな踊る主人と使い魔を見ながら、デルフリンガーは呟いた。
「いやいや、おでれーた。主人のダンスの相手を務める使い魔なんざ始めて見たんでおでれーたが…、
相棒のようなのがダンスを踊れるってのは、もっとおでれーた!こりゃおでれーた!」
そんなデルフリンガーのちゃちゃも音楽に混ざって聞こえず、主人と使い魔は踊り続けた。




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