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  • あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • ゼロの魔王伝-09b

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの魔王伝-09b

最終更新:2009年01月16日 17:08

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  • ゼロの魔王伝



 ずんずんと風を切ってルイズは歩く。
 小さな肩をいからせ、つい、と右の人差し指を立てて、講釈する教師の様に足と口を休まず動かしながら、キュルケの生家であるフォン・ツェルプストーの家系とキュルケがどんなにはしたなく、非常識であるかをDに語り聞かせていた。
 聞かされる方のDは、聞いているのかいないのか、いや九割九分九厘聞き流しているのだろう。
 ルイズに一瞥を向ける事もなく、早朝の光の中に落とされた闇の異端分子の様に黙々と足を動かしていた。
 ルイズの歩調に合わせた速度で並んで歩いている。時折すれ違う生徒や教師達が旅人帽の下に在る美貌を認識した瞬間腰砕けになってその場に座り込む事が何度か続いた。中には何を考えているのか両手を組み、敬虔な信者の様にDに祈りを捧げる連中もいる。
 後に学院でDの顔を見た者達を“信奉者”と呼ぶようになるのだが、その理由がこの祈りを捧げる者達の姿が多く見られた事だった。
 その途中、Dが足を止める。ルイズは先ほどから絶え間なく口を開いており、Dが足を止めたのに気付いていない。

「でね! キュルケのひいひいひいひいおじいさんの……」
「ここが食堂か?」
「え? あ、うん、ここが食堂よ。通り過ぎちゃうところだったわね。でも初めて来たのに良く分かったわね」
「食べ物の匂いと騒がしさじゃな。朝からずいぶんな馳走を口にしとるようじゃの」
「ねえ、D」

 ちら、と黒瞳をルイズに向け、Dが先を促す。う、とかすかにルイズがたじろぐが、ごくり、と生唾を飲み込んで自分を激励する。
 がんばれ、私! 負けるな、挫けるな、私! 言うのよ、さあ! と脳裏に描いた小さい自分達からの声援を受けて、ルイズは深呼吸を二回ほどしてからDにこう言った。

「私、その声だけはあんまり良くないと思うのよ。いえ、別にあなたのセンスが悪いとか言っているわけじゃないのよ。でもやっぱりそんなお爺さんの声は似合わないわ」

 言い終えるやぐっと歯を噛んでDを見つめる。一秒、あ、なんだか虹色の霞がかかってきた、二秒、三秒……う、そ、そろそろ意識が……四秒、Dの美貌を真正面から見つめ意識が朦朧としはじめたルイズをDの声が繋ぎとめる。

「おれもそう思う」
「つれない奴じゃの」
「腹話術なの、それ?」
「さて、お楽しみは後に取っとくものじゃ」
「答えになっていないじゃない」

 Kukuku、と意地の悪い声が下の方から聞こえてくる事に、ルイズは眉をひそめたがDがそれ以上口を開こうとしないので追及を諦めた。どうにもこの使い魔は対人コミュニケーションに欠陥があるらしい。
 いつか、その声をやめさせようと心に誓いつつ、ルイズは食堂の扉を開いて足を踏み入れた。
 学院の敷地内にある五つの塔の内、中心の最も大きな塔の中に在るアルヴィーズの食堂は、広い空間に百人は優に座れる長いテーブルを三列並べたものだ。
 左から順に学年ごとに並び、紫色のマントを身につけた三年生が左端、真ん中にルイズやキュルケら黒いマントの二年生、一番右は茶色のマントを身につけた一年生達となる。
 これら約三百名前後の生徒達に加えて教師達もまたすべてメイジであるわけだから、三百数十にも及ぶメイジ達がこの学院に居るのだろう。
 一階の上にあるロフトで教師達が歓談しながら朝食をとっている。教師も生徒もここで食事を取るようだ。
 勉学の場につくもの全てが貴族であるこの学院に相応しく、長テーブルも壁も椅子も、何もかもが精緻な飾りで埋め尽くされ、豪奢なそれらは眼をくらますほどの絢爛さであった。
 技量のみならず美意識もまた高いメイジか職人達の手によるものだろう食堂の装飾は、その豪華さゆえにすぐにも飽きを覚えてもおかしくはなさそうだ。
 けれど、精密な計算で持って配置されたテーブルの上の食器や籠、壁を飾る石造りの花や木々、目にも鮮やかな色彩の絵画らが訪れるたびに新しい発見をもたらし、毎日利用しても食堂に来る事を作業として感じてしまう事を防いでいた。
 あまり関心の無さそうなDの様子に、ルイズは平民だったら驚くわよね、とやっぱり普通じゃないのかしらと疑惑の念を強めていた。

「ふむ。豪華絢爛さではわしらの知悉しておる貴族共に遠く及ばぬが、なかなかのものじゃ。八十点といった所かの。おい、そこらの食器か燭台のひとつでもガメておけ。先立つ物はあるに越したことはない」
「……」
「なにをぶつぶつ言っているの?」
「なんでもない」
「ふぅん?」

 Dはともかく、あの左手は信用できないわねぇとルイズ。と、ふいにずわわ、とうなじの辺りからなにか冷たいモノが駆けのぼってくるのに気づき、食堂の方を振り返り

「ひゃっ!?」


 自分の傍らの使い魔に集中している三百人以上の視線に気づき、可愛らしく悲鳴を挙げた。物理的な圧力さえ備えているような視線が、針の様にルイズの肌に突き刺さる。
 本当に血を噴いているのではないかという錯覚に気が遠くなり、ふっと倒れ掛かるルイズを、逞しい右腕が支えた。Dである。
 きゃあ、うおぉ!? と男女織り交ぜた悲鳴と怒号が重なった。Dの腕の中に倒れ込んだルイズへの嫉妬と羨望が憎悪の渦に巻かれて食堂の中に充ち溢れた。空気をどす黒い色に染めそうなほどに濃い。
 感情を物質に変えられたなら、食堂どころか学院の敷地内を埋め尽くす事だろう。きゅう、とDの腕の中で目を回すルイズを一目見てから、Dが食堂の中の全員を見回した。
 操り糸を斬られた人形のように、次々と食堂の中の生徒達が倒れ伏しはじめた。倒れる人々が波の様に続いてゆく。
 Dの視線にさらされた至福の歓喜によって興奮の余り失神したものはまだ幸福であった。そうでない者達は、さざ波のようにDの影から四方へと放たれた気に打たれて昏倒していた。
 明確な殺意を込めれば、常人の心臓など容易く止める超常現象じみたDの殺気であった。桶に這った水に一滴垂らされた墨汁の様に薄く薄く広がるそれが、食堂の中を静かに満たしてゆく。
 そろりと頬を撫で、首筋をさすり、目に見えぬ気配は生徒達の心臓を握りしめ、脳髄を貫き、容赦なく意識を絶っていた。
 がちゃん、がちゃん、と食器を取り落とし、目の前の皿に頭を突っ込む音が重なり、落ちかけたルイズの意識を覚まさせた。うう、とむずがる様な声を上げてDの右腕に支えられたルイズがぱっちりと目を開いた。
 ルイズが意識をはっきりとさせるよりも早く、Dはルイズを支えていた腕を離した。ルイズは、ぽけ、と立ち尽くしていたが、食堂に来た目的を思い出して自分の席を目指して歩きはじめた。
 自分が意識を失いかけていた数秒の間に、なぜか生徒の大多数が倒れ伏してテーブルに頭を打ちつけているのを不思議そうに眺めている。
 隣の席の太っちょのマリコルヌが唇の端から涎を垂らして幸せそうに気を失っているのを、気味悪げに見てからルイズがようやく自分の席に着く。
 目の前には鱒の形のパイやら、ローストしたチキンやら、テリーヌ、と朝から肉も魚も野菜も何もかもが盛りだくさんに並び、一口ずつ食べるだけでも満腹になってしまうだろう。
 始祖ブリミルへの祈りをささげようとしたルイズが、はたと気付いて固まった。傍らに立ったDの方へ、錆びついたブリキ人形を思わせる動きで首を向ける。ぎぎぎ、と骨が鳴っていたかもしれない。

「D……」
「なんだ」
「どうしよう。あなたの朝食を用意するよう厨房に言うのを、忘れてた」

 顔面蒼白のルイズである。Dを刺激する事をいささか過剰に恐れているようだ。対してDは相も変わらずの万年顔面神経痛の表情なので、気にしているのかどうかさえ判別機でない。

「使い魔は別の所で食事を摂るのだろう。別にかまわん」
「そ、そう? あ、そうだこのマリコルヌの席を使ったら? 料理もまだ手を着けてないみたいだし!」

 どげし、とマリコルヌを蹴り飛ばしてルイズがにこやかにDに提案したが、とうのDは聞いている素振りも見せずに食堂の外へ出ようとしていた。蹴られたマリコルヌは幸せそうな笑みを浮かべたまま気絶している。

「結構」
「じゃ、じゃあ、食堂の入口――はまずいからまた私の部屋で待っていてね?」

 返事はなく、Dは食堂の外へと足を向けていた。その背が見えなくなるのを見送ってから、ルイズはぶはあ、と朝からため込んでいた疲労の息を盛大に吐き出した。
 Dの意図した事ではないだろうが、一緒に居ると神経が参ってしまうような緊張感を強いられる青年だ。ルイズの心労はかつてないほど重かった。

「Dと一緒に居ると疲れるわ。……でも、ようやくわたしの魔法が成功したのよ。Dみたいなのを呼べたんだから、これからはどんどん魔法も使えるようになるわ」

 体の中に鉛を入れたみたいに精神的な疲労は溜まっていたが、それを上回る高揚感を、ルイズはゆっくりと噛み締めていた。
 コモン・サーヴァントもコントラクト・サーヴァントも成功した。しかも呼び出して契約した相手がアレだ。平民か貴族かさえも分からないが、絶対に普通ではない。
 やたらと怖い雰囲気が滲みでてはいるが、今のところ理不尽な事を言わない限りはある程度こちらの意を汲んでくれている。
 ルイズには未来は明るい薔薇の色に輝いているように見えた。数ヶ月後には、鮮血の赤に変わる薔薇の色であった。


 Dは、食堂の外に出てから厨房の裏口に回った。水の一杯でも失敬しようと思ったらしい。だったらルイズに水だけでも貰えばよかったのだが、自分があそこに留まる事で及ぼす影響を考えたのかもしれない。
 ルイズの身を案じたというよりは、いちいち生徒達を恫喝する手間を省きたかったのだろう。
 厨房の裏口をノックして対応を待った。ここらへん、割と常識的な人である。
 は~い、と明るい声がしてドアが開いた。食堂と違いDを目視していないから、厨房の中は今も騒がしい。
 メイド服を着こんだ黒髪の少女が顔を覗かせた。朗らかな雰囲気の、親しみやすそうな女の子だ。
 開いたドアの向こうに居たDの顔を見つめて、ぽかんと口を開く。精神は虹色に輝く夢の世界へと旅立っている事だろう。

「ふむ、美醜感覚はやはり同じか」

 とDの左手から嫌に真面目な皺くちゃの声が聞こえた。勤勉な学者の様な呟きであったがどこか面白がるニュアンスを否定する事は出来ない。

「あ、の……」

 ようやく口を開いたシエスタに、Dが短く告げた。

「水をもらえるか?」
「た、ただいま!!」

 骨格から蕩け出していたようなメイドが、急に背筋を伸ばして全速力で厨房の中へと駆け戻った。
 目の前の男に頼まれ事をしたという事実が、かつてない使命感と奉仕への喜びを少女の胸の中に燃えたぎっていた。
 行き交う人々と山と盛られた食材で狭い厨房を、全速力で駆け抜けた少女は、すぐに銀盆に水の入ったグラスを乗せてDの元へと戻ってきた。
 頬を染める色は桜の花びらを思わせた。
 うっとり、蕩けた視線をDの白皙の美貌に向けすぐに逸らした。意識を維持するためにはこの青年の顔を直視してはいけないと本能が悟ったのだろう。

「どうぞ」
「ありがとう。グラスは後で返す」
「あ、はい。あの、私、シエスタと言います。お名前を伺ってもいいですか」
「Dという」
「Dさん、あのどうしてこの学院に? 衛兵の方には見えないですけれど」
「ヴァリエール家の息女の使い魔だ」
「え、あ。ミス・ヴァリエールの? 噂になっていましたわ! ミス・ヴァリエールが人間とは思えない人間を使い魔にしたって! 人間とは思えないという理由が今わかりました」

 確かに人間とは思えない。美しすぎて、だ。瞳の中に星を煌めかせて自分を見つめるシエスタにそれ以上声をかける事もなく、Dは踵を返した。
 水一杯飲むのにも人の目を気にする理由でもあるのだろうか。
 適当な木陰に入り、腰の戦闘用ベルトに括りつけたパウチの一つから錠剤入りの瓶を一つ手に取り、真っ赤な錠剤を一粒だけグラスの中に落とした。
 瞬く間にグラスの中の水は溶けだした錠剤によって真紅に染まり、風には血の匂いがたちこみ始める。錠剤のラベルには乾燥血漿と書かれていた。
 言葉通り血漿を特殊な製法で乾燥させて錠剤の形に固形化したものだ。グラス一杯に一粒落とせば等量の血液に変わる。Dの居た“辺境”では闇医者や闇市に行けばいくらでも手に入る代物だ。
 この場合、その血へと変わったグラスの中身をDがどうするかの方が、世界の耳目を集めるだろう。
 グラスは優雅に傾けられ、血の色を刷いたDの唇に縁を触れさせた。グラスは身悶えさえしていたことだろう。
 やがて、グラスの中の血液がDの口腔へと流れ込み、食道を通って胃の腑へと染み渡る。一息に飲み干し、血の一滴も残さずDは自らの体内へと血液を取り込んだ。
 陽光を嫌い、血を飲む――すなわち吸血鬼の代表的な特徴であった。血の気が引いた様な青白い肌も、そこだけは赤い唇も、そのあり得ざる美貌も、すべては体に流れる吸血鬼の血の賜物であったろうか。
 吸血鬼ハンターD、その身に吸血鬼と人間の血を宿す光と闇の落とし子――ダンピールと呼ばれる存在であった。
 飲み干した血の影響か、活性化する吸血鬼=貴族の細胞を感じ取りながら、Dの左手に宿った老人が、ぐりっと左手首を捩じってDの顔を見上げて口を開いた。

「どうにも妙な所じゃ。日の光が地球と同じようにお前の体に作用しておる。通常、太陽の光は地球上でのみ貴族を焼く筈なのじゃが」

 Dの居た世界で、地球の覇者となった貴族は太陽系に留まらず銀河系、外宇宙にまで進出し、宇宙の各地でエイリアン達と星を吹き飛ばし、銀河図を書き換える死闘を繰り広げた。
 太陽の光の前には灰と変わる貴族達が、宇宙へと進出できたのは、その天敵たる太陽の光があくまで地球上でしか彼らの身に作用しなかった事による。
 つまり月面や静止軌道上に建造された浮遊城郭、宇宙戦艦の艦橋でいくら太陽の光を浴びようとも貴族達の体はささいな苦痛も、灰に変わる恐怖も味わう事がなかったのである。


 宇宙は、貴族達にとって太陽の光を忌む必要も、避ける必要もない真の自由の世界だったのだ。だが、その太陽の光がこのハルケギニアでは地球と同様に作用し、Dの体の中を流れる貴族の血を苛んでいると左手は言う。

「ひょっとしたらどこかの次元隔壁が常時地球と繋がっておるのかもしれん。肝に銘じておけ、太陽の光の下ではダンピールは本来の戦闘能力を四割かそこらしか発揮できんぞ。お前は特別製じゃからもうすこしマシだがの」

 左手の言葉を聞いているのかいないのか、Dはまた歩きはじめた。厨房へと向かっている。グラスを返すつもりらしかった。


 朝食の後、自室で授業で使う教科書や参考書、筆記用具を準備していたルイズと合流し、教室を訪れた。ここでも食堂同様の出来事が起きたが、流石に一度Dの鬼気を浴びて本能的な恐怖を植え付けられた所為か、ルイズへと殺到する無言の憎悪は薄い。
 その後、教師が入室し、この世界の魔法に関しての講義が続き――Dを見た教師のミセス・シュヴルーズは授業中半分蕩け掛けていた。放っておけば丸一日は夢心地のままだろう――が、どこかぼんやりとした顔でルイズを指名したのが事の始まりだった。
 杖を振るだけで机の上に石ころを生み出し、さらにその石ころを真鍮に変えたシュヴルーズの『錬金』の魔法に、Dの左手から感心した声が零れる。

「分子変換かの? ふぅむ、わしらの知っとる貴族共の魔術でも容易くできる芸当ではないぞ。ちとこちらの世界の評価を改めるべきかな」

 その錬金の魔法を、ルイズが行う様に、と指名を受けたのである。Dの横顔に視線を集中させてはへたり込んでいた生徒達の間が、はっと意識を取り戻して悲鳴に近い声をあげる。
 なにやらルイズが魔法を行うと大変よろしくない事が起きるらしいのだが、シュヴルーズはそんな声を聞き流し、というか耳に入ってこない様子で、ルイズに魔法の行使を促した。
 中年を過ぎた女性がうっとりと頬を朱に染めながら、あらぬ方向を見やっているので、ルイズからすればあまり気持ちの良いものではなかったが、せっかくの指名であり、さらにDの見ている前という事もあり、俄然闘志を燃やしていた。
 召喚と契約は成功したのだ。ならば、一年生の内に使える様になる者もいる錬金の魔法位は成功させる!
 短いルーンの詠唱の終わりと同時に机の上の石ころが盛大に爆発した。机の下に避難していた生徒達は眼を瞑って耳を塞ぎ、その爆発をやり過ごしていたが、ルイズとその傍に居たシュヴルーズはもろに爆発の影響を受けていた。
 二人揃って吹き飛ばされて黒板に叩きつけられている。突然の爆発に教室の中の使い魔達が暴れ出す中を、Dは爆発の前と全く変わらぬ様子で椅子に腰かけたままだった。ルイズの起こした爆発に動じていないあたり、流石に肝が太い。
 というよりはこの程度でいちいち騒いでいてはいられない環境で、生涯を過ごしてきたのも大きいだろう。
 なにやら自分の左手に声をかけた。

「どうだ?」
「ふむ。地・水・風・火の四大要素ではないの。もっと物理的に細かい、分子か原子へ働きかける類かの。
浮遊分子やイオン、塵なんかを操作して不死身の兵士を作り上げる技術があったじゃろ? 比較的そっちよりのエネルギーが働いておった。ほっほっほ、破壊力はなかなかのものじゃ」
「殺傷力はそうでもないようだがな」

 吹き飛んだ机や割れたガラスに反し、直接の被害を被ったシュヴルーズとルイズに、さしたる外傷が無いことを見てとり、単なる爆発という現象を起こしているわけではないと、Dが左手に言外に告げた。

「科学も魔術も下の連中かと思うとったが、いやいや、なかなか見所のある事じゃ」

 けらけらと愉快気な笑い声をあげる左手を無視して、Dは煤まみれの顔を起こしたルイズを見た。傍らのシュヴルーズは頭を強打したらしく、時折痙攣しながら気を失っている。
 それとて、黒板に強かに頭を打ったからなのであって、爆発に晒された体の前面部に目立った外傷はない。なんとも奇妙なルイズの爆発である。


 爆発の影響でスカートやブラウスが裂け、不条理な暴力にさらされた後みたいな無残な格好になったルイズが、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した教室を見回して一言

「ちょっと失敗みたいね」

 頬についた煤をハンカチで拭きとりながら、である。余ほど慣れているか、肝が相当太いに違いない。周囲の生徒達からの猛反撃はとどまる事を知らなかった。

「ちょっとじゃないだろ、ゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」

 ハルケギニアに召喚されてはじめて、Dはルイズが『ゼロのルイズ』と呼ばれている事を知った。
 浴びせられる罵詈雑言を、つんと澄まして聞き流していたルイズが、自分を見ているDに気づき、鳶色の瞳に恐れと不安の影を揺らめかせた。魔法が使えないというコンプレックスが、もはや血肉と化すまでに植え付け、常にルイズの胸の中で渦を巻く感情。
 自分が呼び出した使い魔が、こんな無様な姿を見て失望してはいないかと、ルイズはただそれだけが恐ろしく、不安であった。

 同刻、ラ・ヴァリエール領。
 ルイズには二人の姉がいる。十一歳年上の長姉エレオノールと、八歳年上の次姉カトレアである。エレオノールは小さな頃からその秀才ぶりを発揮し、今では王立アカデミーの研究員として活躍し、生家を出ている。
 次女カトレアは温和な人柄と見目麗しい容貌に、メイジとしてもすぐれた実力を有し、将来を渇望された才女であったが、生来体が弱く大人になるまで生きられないと、多くの医者に匙を投げられていた。
 高価な水の秘薬をいくら使っても、どこかを直せば、またどこかが悪くなるという循環を繰り返し、カトレアは生まれてから一度もヴァリエールの領地を出た事がなかった。
 カトレアの自室にはあちこちで拾った傷ついた動物たちが走り回ったり、寝転がったりしている。
 天井から下げられた籠の中には何羽もの鳥がおり、子犬や子猫が仲良く追いかけっこをしている。様々な種類の草花が植えられた鉢植があちこちに在り、幾重にも折り重なった芳醇な香りが部屋を満たしていた。
 可愛がっている妹のルイズに、進学している魔法学院で使い魔召喚の儀式を行うと、送られてきた手紙に書いてあったのが、ちょっとしたきっかけだった。
 体が芯から悪く、簡単な魔法の行使でも体調を崩しかねないカトレアは、使い魔の召喚を父母や周囲から禁じられていたが、今度ルイズが帰省してきた時に、お互いの使い魔を紹介しあえたらきっと楽しいわね、と考えたカトレアは杖を取っていた。
 ルイズとおなじ桃色のブロンドに、目元は柔らかく常に浮かべた微笑は宗教画に描かれる聖母のものと比べても何の遜色もない。
 ゆったりとした部屋着に包まれた肢体は、ルイズと比べて母性を形にしたように曲線を描いていたが、透けるように白い肌が病弱な雰囲気とあいまって、手に取ろうとしたら誤って潰してしまいそうな、可憐な花のようだった。
 そよ風にさえ散ってしまう小さな花びらを思わせる唇は、よどみなく召喚のルーンを唱え始めた。
 カトレアの部屋の中の動物たちが、鳴き止み、時が止まった様な静寂が訪れた部屋の中で、カトレアの声だけが朗々と紡がれる。荘厳な、一種の宗教的儀式にも通ずる神聖ささえ感じられる。
 やがて、カトレアの目の前に大きな銀色に輝く鏡が現れた。



いかにして彼らはハルケギニアに召喚されたか――――???の場合。

 一人の青年が、血煙と共にどう、と倒れ伏した。その青年を見下ろすもう一人の人影に、倒れた青年が口を開いた。左右の肋骨の真ん中から脊椎までを割られ、さらに脳天から顎までを斬られている。視界はすでに朱に染まっていた。

「出来……不出来は……仕様が……ねえ」

 なんということか倒れた青年も斬った青年も同じ顔をしていた。双子の兄弟であろうか? 自分と同じ顔の二人が互いを見ていた。

「だがよ……愛は……平等を……モットーにしたかった……ぜ……やっぱ……愛されていたのは……おまえか。なあ……せめて……おれと同じ目には遭うな……よ。おれの分…………ま…………」

 で、と言い切るのと同時に倒れた青年の意識は暗黒の彼方へと飲み込まれていった。最後まで握りしめていた長剣も、胸元で揺れる青いペンダントも、黒髪を抑えていたつば広の旅人帽も、意識に従う様にして世界から姿を消していた。
 永遠の闇の中へと埋没したはずの意識が、海底から長い時を掛けて浮上する様に、どこか漫然としたまま目を開く。途端に走る痛みは割られた顔面と、断たれた脊髄が齎すものだろう。
 口中に溢れる血潮を飲み下し、体内の吸血鬼の血肉が歓喜して肉体の治癒を促した。右手には握り締めていた長剣の感覚がある。また体の前面には柔らかい触感があった。硬質の床の上に被せられた分厚い絨毯であった。
 自らの体から流れる血潮で汚れるそれを、うっすらと開いた黒い瞳で見つめ、青年は、弁償を要求されなきゃいいが、とどこか場違いな事を考えていた。
 浮き沈みする意識が、こちらに向かって近づいてくる気配を感じた。残った力を振り絞れば、右手の長剣に音の壁を破り、超合金製の扉を真っ二つにするくらいの威力を与える事は出来る。
 状況の把握は出来ないが、自分の命を取るつもりなら道連れにしてくれると、青年は腹をくくった。しかし、近づいてきた影がうつぶせの青年の体を動かし、その傷の凄惨さに息を飲んでも長剣はピクリとも動かなかった。
 こちらを害そうという気配が露ほども感じられないのである。かろうじて開いた視界を桃色が埋め尽くしている。それから、顔面蒼白になってなにやら口を動かしている女の顔があった。

「……大丈夫ですか!? 今お医者様を呼んでいます」

 どうやら自分の怪我を心配してくれているらしい。地獄にも親切な奴がいるもんだと、妙に感心した。

「ああ、こんなに血が出て。一体どうしてこんな傷を」
「…………なに…………ちょ……と、兄弟……喧……嘩を……した……だけさ」
「喋ってはいけません。生きているのが不思議なくらいの大怪我なのですよ」

 そんなのはおれが一番分かっているよ、と思いつつ、青年が瞼を閉じた。なんだか良い匂いがした。血の匂いとは違う、安らぐような優しい匂い。それに暖かくて柔らかいものに包まれているような感覚。
 このまま死ぬのも悪かねえ、と青年は思いながら、再び意識を暗黒の底へと沈めていった。



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