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  • ゼロと世界の破壊者-04

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロと世界の破壊者-04

最終更新:2009年06月23日 15:15

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第4話「ルイズの闇」


 ルイズと士が教室に入ると、先にそこに居た生徒達が一斉に二人の方を向き、そしてくすくすと笑い始めた。
「あいつら、何がおかしいんだ?」
「自分の胸に手を当てて考えてなさい」
 その一言で士は自分が笑われてる事は判った。だが、自分の何がおかしいのかは見当もつかなかった。
 教室には既にキュルケもおり、周りを複数の男子達に取り囲まれてまるで女王の様に祭り上げられていた。
 キュルケも二人に気が付くと、そっちに軽く手を振った。
「友達か?」
「あいつの事は気にしなくていいの」
 ルイズはキュルケの事を無視して教室の中を進んだ。
 士は教室の入り口から教室全体をとりあえず一枚、カメラに収める。
 教室の生徒達は皆、様々な使い魔を連れていた。フクロウにカラスに猫、普通の動物に紛れて宙に浮かぶ目玉やら蛸人魚やら見た事も無い生物もいた。更に教室の外には教室に入れない程大きな蛇やら竜やらもいる。
(なるほど、俺はあいつらと同じ扱いと言うわけか…)
 様々な種類の使い魔がそこにはいたが、果たして士と同じく人間を使い魔とした者はその場にはいなかった。
 本来はハルケギニアの生物や幻獣を使い魔とすると昨日聞いた。すなわち使い魔=獣。喩えるなら龍騎の世界のライダーとミラーモンスターの関係に近いかもしれない。
 そう考えると士が笑われるのも無理もない気がする。
「何ボーッと突っ立ってんのよ?とっとと歩きなさい」
 先に行ったルイズに促され、士はその後を追った。
 ルイズは教室の後ろの端、努めてあまり目立たない席に腰掛けた。士も倣ってその隣に座った。
「ここはメイジの席よ、使い魔は床」
「貴族様ってのはどうにも器量が小さいらしいな」
 士はカメラで教室の至る所を写しながらそう言い放った。
 ルイズは眉を顰めたが、それ以降何も言わなかった。
 始業の鐘が鳴り、教室の扉が開いて教師と思しき中年のふくよかな女性が入って来た。女性は教室の中央、最下段に設置された教卓の場所で立ち止まる。
 教師の女性が入ってくるや生徒達の談笑が止み、教室がにわかに静まる。
「あれが教師か」
 士は教卓の前に立った女性を一枚カメラに収めた。
「授業中あんまりカシャカシャやんないでよ」
 念のためルイズは釘を刺しておく。下手に動かれて授業妨害されたりしたら怒られるのは主人であるルイズである。
 教師の女性は教室の真ん中から生徒達を見回すと、満足そうに微笑んで言った。
「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔達を見るのがとても楽しみなのですよ」
 ルイズが俯く。
「おやおや。そう言えば随分と変わった…使い魔を召喚したのでしたね、ミス・ヴァリエール」
 途中の『…』は、ルイズが召喚したのが士だけでなく写真館も一緒にだと知っていたからであろう。シエスタが言うに既にルイズが家を召喚したと言う事は学院中に知れ渡っているらしい。
 すると教室中がどっと笑いに包まれた。
「ゼロのルイズ!平民の家を召喚しただなんて一体どういう失敗の仕方だよ!」
 肩にフクロウを乗せた小太りの男子生徒がルイズに侮辱の言葉を浴びせる。
 ルイズはがたりと椅子を鳴らしてその場に立ち上がった。
「私だって好きで喚び出したワケじゃないわよ!勝手に出て気ちゃんたんだから!」
「それにしたって家ごと召喚なんて常識はずれにも程があるよ!」
「さすがゼロのルイズ!俺達に出来ない失敗を平然とやってのけるッ!」
「そこにシビれる!あこがれるゥ!」
 教室中から次々と合いの手が入り、教室は爆笑の渦に包まれた。ルイズは怒りで肩をブルブルと震えさせていた。
 するとルイズを侮辱した生徒達の口に、突然現れた赤土の粘土がぴたっと張り付いた。業を煮やしたシュヴルーズが魔法で無理矢理彼らの口を塞いだのだ。
「皆さん、お友達を侮辱してはいけませんよ?」
 シュヴルーズにそう言われ、笑っていた生徒達も自ら口を噤んだ。ルイズも怒りの捌け口を見つけられないまま、仕方なく着席し直した。
 士はその間、ずっと写真を撮り続けていた。
「変な所ばっか撮らないでよ!」
 ルイズはそんな士を小突いたが、直ぐさまシュヴルーズの注意が飛んで来たためそれ以上何も言えなかった。

 その後すぐに授業は始まった。
 授業の内容は『土』系統の魔法に関する講義で、自分の操る『土』系統の魔法がどれだけ生活に役立たされているかと言う半ば自慢話のような内容をシュヴルーズは延々と繰り返した。なので『土』系統ではない生徒達には退屈極まりの無い内容の授業であった。
 それでもルイズはシュヴルーズの話をしっかり聞き、一心不乱にメモを取り続けた。
 士はその間ずっと教室の様子をカメラに収めていたが、ルイズはそんな士の事などまったく気に留める事なく授業に集中していた。
 そんなルイズの様子に、士は素直に感心してその横顔をカメラに収めた。

 授業の途中、シュヴルーズが教卓の上に置いた小石に向かって杖を振り上げ、ルーンを呟いた。すると石が光だし、それが収まると石はピカピカの金属の塊になっていた。『錬金』の魔法によってただの石ころを真鍮へと変えたのだ。
 これには士も思わず顔を上げた。
「このように『錬金』の魔法で様々な生活で必要な物質を生み出す事が出来ます。今から皆さんにはこの『錬金』の魔法を覚えてもらいます。では試しに誰かに実演してもらいましょう」
 そう言ってシュヴルーズはぐるりと教室を見回した。そしてずっと集中して授業を受けていたルイズに目が止まった。
「それでは、ミス・ヴァリエールにやってもらいましょうか」
 シュヴルーズがそう言った瞬間、突然教室の空気が変わった。
 にわかに生徒達がざわつき出す。不安や恐れの感情が渦巻き、彼らの中で1年前の悪夢が蘇っていた。
「先生、止めておいた方が良いと思います」
 徐にキュルケが手を挙げてシュヴルーズに進言した。
「何故ですか?」
「危険です」
 聞き返すシュヴルーズに対してキュルケきっぱりと言った。他の生徒達が「うんうん」とそれに同調して頷く。
「ミセス・シュヴルーズはルイズを教えるのは初めてですよね?」
「えぇ、ですがミス・ヴァリエールが努力家だと言う事は聞いてます。現に先程も私の話を集中して聞いてましたよ」
 するとキュルケは今度はルイズの方を向いた。
「ルイズ、お願いやめて」
 蒼白な顔で嘆願する。
 士には何故そこまでルイズの魔法を恐れるのか判らなかったが、こうまで言われたルイズが大人しく引き下がるわけが無いであろうと事は理解出来た。
「やります」
 案の定、ルイズは立ち上がって、生徒達の静止も聞かずシュヴルーズの待つ教卓の前まで歩いて行った。シュヴルーズはにっこりと笑ってルイズを迎える。
 すると、士の前に座っていた生徒がいきなり机の陰に隠れた。周りを見渡してみると、他の生徒達も皆机の陰に隠れている。
 士は周囲の生徒達の行動を不振に思いつつも、教卓の前に並び立つルイズとシュヴルーズの姿をカメラに収めていた。
 そして士がカメラのレンズから目を離した瞬間。

 ルイズが魔法をかけた小石が突然爆発した。

 爆風でルイズとシュヴルーズが黒板に叩き付けられる。
 生徒達から悲鳴が上がり、驚いた使い魔達が大暴れを始め、教室中が阿鼻叫喚の大騒ぎとなった。
 シュヴルーズは衝撃で気絶してしまったようだが、同じく爆発を至近距離で食らったルイズは煤で真っ黒になり服をボロボロにしながらも平然と立ち上がり、淡々とした口調で言った。
「…ちょっと失敗みたいね」
 瞬間、教室中からブーイングが上がる。
「ちょっとどころじゃないだろ!ゼロのルイズ!」
「いつだって成功確率ゼロじゃないか!」
「だからルイズなんかに魔法を使わせるんじゃないって言ったのよ!」
「もうゼロなんて退学させちまえ!」
 生徒達から次々と上がる罵詈雑言。その中心にいたルイズは平然とそれを受けながらも、杖を握った手が微かに震えていた。
 その様子を写真に収めた士はレンズから顔を上げて呟いた。
「…だいたいわかった」
 あの時シエスタが言おうとして言わなかった事。
 『ルイズは魔法が使えない』のだ。


 結局生徒達のブーイングは騒ぎを聞きつけた別の教師が現れるまで続いた。
 シュヴルーズは即座に保健室に担ぎ込まれ、授業は中止。
 崩壊した教室の片付けはルイズが、罰として『魔法無しで』と命じられたが、ルイズは魔法が使えないのでその罰則には殆ど意味は無かった。
 ちなみに士はルイズの使い魔なので、有無を言わさず片付けを手伝わされていた。
 士は主に重労働担当で、新しい窓ガラスや机を教室に運び込んだ。
 ルイズは一度寮の部屋に戻って破れた服を着替えた後、煤で汚れた床や机の掃除や割れたガラスの片付けを担当した。
 今は殆どの作業が終わり、ルイズと士は手分けして仕上げに雑巾で机の上を拭いていた。
 片付け作業中、二人とも殆ど口を聞かなかった。作業をする上での必要最低限の会話は行ったが、それ以外では全くであった。
「…ゼロ、か」
 士はルイズより先に自分の担当区分を終わらせると、ぽつりとそう呟いた。
 瞬間、ルイズの動きが止まった。
「魔法を使うといつも爆発ばかり起こして失敗してしまう『ゼロのルイズ』…こいつは傑作だな」
 士は笑いを抑えたような口調でそう言った。
 ルイズの肩が怒りでわなわなと震える。
「確かこの世界じゃ魔法が使えるから貴族だったな?魔法も使えないくせに貴族、俺の事を平民と罵り蔑み自分の事は棚に上げ、…全く良いご身分だな」
「…アンタに、何がわかるのよ…」
 ルイズが絞り出す様に声を出す。士はルイズの方を向いた。ルイズは机に両の手を付いたまま俯いている。
「……そうよ、アンタの言う通り私は魔法が使えない。どんなに勉強して、何度ルーンを唱えても!…いつも!爆発するばかり!!」
 ルイズの口調がだんだんとヒステリックなものに変わっていった。
「失敗する度に勉強した…。何度も練習して、魔法を試してみた…。けど、結局は失敗の爆発が起こるだけ!私がどんなに努力しても、それは全部無駄に終わるの!!
……貴族は魔法が使えるから貴族って、アンタも言ったわよね。…そうよ、その通りよ。なら、魔法の使えない貴族に、存在してる意味なんてあると思う!?」
 士は、何も応えない。ただじっとルイズの言葉に耳を傾けている。
「…そんなの、あるわけない。…私には、存在している意味なんて無いのよ…。…アンタみたいに…最初から魔法が使えない平民なんかに、私の気持ちなんてわからない!わかってたまるか!!!」
 ルイズは士の方を向いて思いっきり叫んだ。ブロンドの髪を激しく揺らし、目元を赤く染め、鳶色の瞳に涙をたっぷり浮かべていた。
 ルイズはずっと苦しんでいた。魔法の使えない自分に、それにも関わらず貴族に生まれてしまった自分に。自分と言う存在が、ただ存在しているだけで、どれだけヴァリエールの家名を汚したのであろうか。
 ルイズが流したのは悔し涙だった。自分を侮辱した士に対する怒りよりも、不甲斐無い自分への悔しさが大きかった。
「…くだらないな」
 しかし、感情を爆発させたルイズとは裏腹に、士は冷ややかに言い放った。
「…なん…ですって…?」
 ルイズが眼を細めて士を睨みつける。しかし士は平然と続けた。
「くだらないって言ったんだ。たかが魔法が使えるだの使えないだの、要は人より強い力を持ってるか持ってないかの違いだろ?その程度で自分の存在だのなんだの、くだらない以外の何ものでもない」
「な………っ!」
 ルイズは、唖然とした。この男はあろう事か、魔法の存在を、この世界の在り方を、根本から否定したのだ。
「…あ、アンタには判らないのよ!魔法の無い世界から来たアンタなんかには!魔法が使えるって事がどれだけ大切か!!」
「判るさ。…魔法じゃないが、俺も人より優れた力を持った連中をたくさん見てきたからな」
「魔法じゃない、力…?」
「そいつらの中には、力に溺れて自分の欲望のために力を振るう連中もいた。だが、そんな連中から弱き者を守るために力を使う奴らもいた。大事なのは、力の有無じゃなくて、その力をどう使うかじゃないのか?」
「…っ!」
 士の話の内容に、ルイズは心当たりがあった。
 ルイズは、貴族と言う身分でありながら、魔法と言う力を武器にして、弱き者、平民を虐げる愚かな貴族の姿をたくさん見てきた。
 ルイズはそんな彼らの事が許せなかった。魔法が使えるにも関わらず、それを自分の欲望のためだけに振るう彼らが。
 彼らは貴族なんかじゃない。貴族と言う皮を被り、魔法と言う武器を振るうだけのただの暴君だ。
 ルイズは、本当の貴族と言うものを知っている。ただ力を誇示するだけの暴君じゃない、魔法を使って、民を守り、領地を守り、国を守る誇り高き存在こそ、真の貴族である、そう子供の頃から両親や姉に教え込まれてきた。
「…でも」
 貴族の在り方、メイジの在り方、そんなものは当に判っている。
「…だからって何よ…!力を…魔法をどう使えば良いか、そんな事判ってても、私には、その肝心の魔法の力が無いのよ!?ならそんなの意味はない…!やっぱり魔法が使えないんじゃ、私は………!」
 ルイズは歯を噛み締め、拳を力強く握り締めた。
 士の言ってる事は、概ね正しい。しかしそれは力を持つ者にこそ有効な言葉だった。
 魔法が使えない、魔法の力を何よりも欲しているルイズにしてみれば、ただの戯れ言でしかない。舌先三寸でどう言いくるめようとも、ルイズが魔法を使えないと言う事実は何も変わらないのだ。
「…そんなに力が欲しいのか?」
 士が静かに尋ねかけた。
「………欲しいわ」
 少し言葉に詰まりつつも、ルイズは正直な欲求を吐露した。
「何のために?」
「何の、ため…?」
 しかし士は更に問いかけた。
 思わずルイズは顔を上げる。
「そうだ。魔法の力を手に入れて、お前はその力を何のために使う?」
「…そ、そんなの決まってるわ!貴族の義務を果たし、我がヴァリエールの家名のため、ひいては祖国トリステインのために…!」
「そうじゃない。義務だの家名だの祖国だの、そんなお決まりな答えじゃない。お前自身はその力でどうしたいんだ?」
「…わ、私自身…?」
 そんな事考えた事も無かった。貴族としての義務、家のため、名誉のため、祖国のため、子供の頃からそう教えられ、そして今の今までそれが当たり前として何の疑問も感じた事は無かった。
 だがこの目の前の男は、ただの平民の使い魔は、凝り固まったルイズの価値観に一石を投じたのだ。
「わ、私は…」
 改めて考えた。自分は、自分自身は何のために魔法の力を欲するのだろう?
 ルイズは、貴族でありながら魔法が使えない。その事で"ゼロ"と言う不名誉な称号を与えられ、"劣等生"、"落ちこぼれ"の烙印を押された。
 そんなルイズは人一倍努力した。人よりも多く魔法の勉学に励むために時間を割いた。そう、ルイズは"ゼロ"の称号を払拭するために魔法の力を強く欲しているのだ。
 だけど———。
「ただ、お前をゼロだと馬鹿にした奴らを見返したいだけか?」
「………」
 それだけだった。
 魔法が使えるようになって、"ゼロ"の汚名を返上して、ルイズが自分で考えていたのはそこまで。それから先なんて考えた事も無かった。
 ただ漠然と、子供の頃から教えられた『貴族としての義務』を果たすんだと考えていただけだった。
 ルイズは士を見た。
 士は、真っ直ぐルイズを見ている。まるで心の奥まで見透かすような視線。下手に口先だけで誤摩化そうとしても無駄であると言わんばかりの眼力だ。
「……わ、わた、し、は……」
 言葉に詰まる。何も言い返せない。
 結局ルイズは『人を見返したい』ためだけに魔法を欲していたのだ。
 そうしてルイズが言葉に詰まっていると、士はルイズから視線を外し、そして踵を返した。
「え…?」
 惚けるルイズを尻目に、士はルイズに背を向けたまま口を開いた。
「その程度の答えも出せないお前には、どんな力も宝の持ち腐れだ」
 それだけ言い残して士は教室の扉へと歩き出した。
「ちょっ…!ちょっと待っ……!」
 慌てて静止させようとするルイズだが、途中で理性がルイズ自身を引き止めた。
 士を引き止めて、どうするのだ?
 ルイズは見限られたのだ。不甲斐無いルイズは、使い魔として契約した青年に見捨てられたのだ。
 そしてその地に落ちた権威を復活させる方法を、ルイズは何一つ思いつかなかった。
(……遂には使い魔に見限られるなんて…私って……)
 ルイズはその場にへたり込む。身体に力が入らず、その場で項垂れる。
 教室の外へ出た士が扉を閉める。
 バタン。
 乾いた音が教室に木霊する。
「…本当、メイジ失格…ね…」
 自嘲気味な笑みが浮かぶ。
 鳶色の瞳から落ちた大粒の涙が、床に落ちて四方に弾けた。


 昼休み開始の鐘が鳴り、ルイズは昼食を取るべく『アルヴィーズの食堂』を訪れた。
 正直そんな気分じゃないのだが、身体は正直である、お腹の虫がルイズに昼食を取れと命じるのだ。
 食堂に入るとルイズはふと食堂全体を見渡してみた。しかしやはりと言うか、そこにはルイズの求める人物は見当たらなかった。
(…当たり前よね、ここ、…平民が入れる所じゃないし…)
 それ以前の問題であるのだが、ルイズはそれを認めてしまうのが怖かった。
「あらルイズ、片付けお疲れさま♪」
 するとその前に宿敵キュルケが現れた。
「キュルケ…」
 キュルケはまた盛大に失敗魔法を繰り出したルイズをからかうつもりで声を掛けたのだが、意外にもルイズが気の無い返事を返したため、キュルケは怪訝に思った。
「…あんた、何かあったの?」
 普段と違うライバルの様子に、キュルケは思わず心配してしまう。
「…なんでもないわよ」
 ルイズはそっぽ向いて言った。
「とてもじゃないけど何もなかったようには見えないんだけど」
「何もないわよ…」
 尚も否定し続けるルイズに、キュルケは少し苛立ちを覚えた。
「あっそ!そう言えばあんたの使い魔の姿が見えないわねぇ。もしかして、いよいよ見限られたとか?」
 少しカマを掛けるつもりで、いつものようにからかう口調で言ったつもりだった。
 その瞬間、ルイズは目の前が真っ白になった。
「何でもないって言ってるでしょうっ!!!!!」
 食堂中にルイズの叫び声が響き渡る。
 あまりの大声に食堂が一瞬静まり返った。その場にいた生徒達の視線がルイズに集まった。
「…なんでも、ないんだから…」
 尚も否定の言葉を呟いて、ルイズは食卓の方へと歩いていってしまった。
「…ちょっと、まずったわね」
 今のやり取りで大体の事情を察し、キュルケは自分が地雷を踏んでしまった事を理解した。

 ルイズは食卓に着くと昼食を取り始めたのだが、やはりどうにも食は進まない。
 いつもは食欲をそそる目の前の料理が、ただの無意味なオブジェにしか見えない。
「使い魔に逃げられたのがショックで、食欲も無くした?」
 するとその隣の席に何故かキュルケが座った。
 ルイズは一瞬キュルケを睨みつけたが、すぐ無視して皿に盛り付けた料理との格闘を再開させる。
「無視…ね。相当ショックだったみたいね」
 黙々。ルイズは機械的に皿の上の料理を口に運び、咀嚼すると言う作業を繰り返す。
「何言われたか知らないけど、愚痴くらい聞くわよ?」
 尚も黙々と料理を頬張るルイズ。その姿にキュルケは親友の少女の姿を重ねた。
「…っ〜〜ぅ!もう!何あんたまでタバサみたいになってんのよ!タバサのあれは可愛げがあるけど、あんたまでそれじゃあ幾ら何でもこっちの調子が狂っちゃうのよ!!」
 しかしルイズは相変わらず。話しかける度にルイズに対する苛立ちが募ってゆく。
 キュルケははぁと大きな溜息を付いた。
「…大方、失敗魔法見られて愛想つかされたって所でしょうけど、そんなんで落ち込んでどうすんのよ?いつものあんたなら『絶対に見返してやる!』って息巻くんじゃないの?」
 ぴくり。ルイズが微かに反応を見せた。
「そもそもあんたそうやってずっと落ち込んでるつもり?まぁ私は別に良いんだけど、そのままじゃあんたは一生ゼロのままよ!私には関係ないけどね!」
 するとそれまで人形のようだったルイズがふうと小さく息を吐いた。ゆっくりと首を回して、半眼でキュルケの方を見た。
「…まさか、アンタに励まされる日が来るとはね、ツェルプストー」
 そう言われて、キュルケの頬に朱が差した。
「べ、別にあんたの為に言ったんじゃないんだからね!ライバルが不甲斐無いんじゃ張り合いが無いと思っただけよ!」
 なんだかいつもの自分が言いそうな台詞だと思って、ルイズは小さく笑った。
「礼は言わないわよ」
「要らないわよ、言われたら逆に気味が悪いわ」
 キュルケは手をひらひらさせてルイズを突っぱねる。
 いつも通り、と言うにはまだ程遠いが、ルイズは普段の調子を取り戻しつつあった。そのきっかけがキュルケ、と言うのが少し癪だが。
「…ねぇキュルケ、アンタはこの学院を卒業したらどうするの?」
「何よ、薮から棒に」
「良いから答えて」
「…そうねぇ」
 返答を急かされて仕方無くキュルケは思案する。
「普通に考えたら従軍ね。あんたも知っての通りうちは軍人の家系だしね。…あぁ、でもあたしは実家とがアレだから…もしかしたら適当に手柄立てて独立するかもしれないわ」
「…つまり何も決まってないわけね」
 ルイズは冷ややかに感想を述べた。
 ルイズの方から振ったくせにあんまりにもな反応に、キュルケは流石に苛立ちを覚える。
「なによ。じゃああんたはどうするって言うのよ?」
「…わかんないわよ、そんな事」
 特に取り繕うわけでもなく、ルイズは素直にそう答えた。
 意外な返答が返ってきた事に、キュルケは少し驚いた。
 わからない。それがルイズの正直な気持ちだ。ルイズの場合はその前に魔法を使えるようにならなければ意味が無いのだが、もし魔法が使えるようになった時、その力を何のために使うのか、士に出された問の答えは『わからない』が現状だ。
「…よく判らないんだけど、それって今答えを出さなきゃいけない事なの?」
 キュルケが尋ねる。
「別にクサい事言うつもりは無いんだけど、あたし達ってその答えを出すためにこの学院に通ってるんじゃないの?あたし達はまだ2年に上がったばかり、就学期間は後2年もあるのよ?その間に答えを出せば良いんじゃないの?」
 キュルケの言う事はもっともだ。ルイズも肯定せざるを得ない。
 だけど、ルイズにはそれじゃダメなのだ。その答えが出せなかったから、ルイズは士に見限られてしまった。確たる答えを見つけ出さない限り、ルイズは士に自分を認めさせる事なんて出来ないと考えていた。
(…また、認めさせる、か)
 結局自分はそればっかり、とルイズは自嘲した。
 その様子をキュルケは隣で訝しげに思っていた。

 するとそんな折、突然食堂に『パシーン!』と言う乾いた音が響き渡った。
 食堂にいた殆どの生徒が何事かと音のした方向に視線を集める。
 例に漏れずルイズ達もそちらを見ると、よく見知った金髪巻き髪の少年・ギーシュが、1年生と思しき栗毛の少女に頬をひっぱたかれていた。
「その香水があなたのポケットから出て来たのが何よりの証拠ですわ!さようなら!」
 栗毛の少女はそのまま走り去り、食堂から出て行ってしまった。
 取り残されたギーシュはと言うと、呆然として叩かれた頬を擦っていた。
「…なにあれ?」
「ギーシュね。大方二股だか三股だかがバレたんでしょうよ」
 ギーシュと言えば、色男で有名である。
 確かに顔はそこそこイケてると思うが、ルイズにとってはそれだけだった。
 それにギーシュの噂話を聞く機会は少なからずあった。ルイズ達も年頃の女の子である、色恋沙汰の話となるとそこら中で聞く機会が多い。中でもギーシュに関する話は数知れず、聞く度にルイズは何股掛けてるんだと心の中でツッコミを入れていた。
 今回はどうやらキュルケの言った通りのようで、その証拠に今度は見事な巻き髪の、ルイズと同学年の少女・モンモランシーが厳めしい顔つきでギーシュの下に近付いて行った。
「モンモランシー、誤解だ」
 何とか弁明しようとするギーシュだったが、モンモランシーはまったく聞く耳持たず、テーブルの上に置かれていたワインの瓶を持ち上げると、その中身をギーシュの頭の上からどぼどぼと注いだ。
「うそつき!」
 そしてそう吐き捨てると、モンモランシーは涙目でさっきの栗毛の少女と同じ様な動きで食堂から走り去って行った。
 しんと静まり返る食堂、皆の注目を集めていたギーシュはと言うと、気障ったらしい仕草でハンカチで顔を拭きながら、
「あのレディ達は薔薇の存在の意味を理解していないようだ」
 などと芝居がかった口調でその場を必死に取り繕っていた。
「ザマぁないわね」
「まったく」
 二人は揃って同じ感想を口にした。
 騒動も終息し、食堂がいつもの喧噪に包まれ始める。
 ルイズもそろそろと思った時、ギーシュの声が食堂に響いた。
「待ちたまえ!」
 再び注目の的になるギーシュ。そのギーシュが相方として舞台に上げたのは、黒髪のメイドの少女であった。
「君が軽率に香水の瓶なんかを拾い上げたお陰で二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」
 どうやらギーシュはそのメイドに難癖をつけて、自分がかいた恥の責任を全て彼女に押し付けようと言うのだ。
「…なんかもう哀れを通り越して痛々しいわね」
 ギーシュ自身は自分のプライドを守るためにやってるのだろうが、はっきり言って見苦しい。キュルケを始め他の生徒達も似たような感想だろう。
 そして相方のメイドはと言うと顔を真っ青にして怯え切ってしまっている。何があったかは知らないが、可哀想に、とキュルケはそのメイドを哀れんだ。
 が、その横で同じく推移を見守っていたルイズはそうはいかなかった。
「あの子、確か…」
 ルイズは自分の記憶の中から黒髪のメイドの情報を探り出すと、ルイズは立ち上がって、ギーシュ達の方へと足を向けた。
「ちょっとルイズ?あんたちょっかい出すつもり?」
 黙って行かせる事も気が引けるので、キュルケは一応ルイズを引き止めた。
「…アンタ、あの子の事何か知ってる?」
「あの子って、あのメイド?確かに黒い髪は珍しいから印象には残ってるけど…」
 別にそれ以外はただのメイドだ。特に際立って親しいわけでもない。
 ルイズは小さく息を吐いた。
「あの子、メイジにトラウマ持ってるのよ!」
 それだけ言って、ルイズはギーシュ達の所に吶喊して行ってしまった。
 残されたキュルケはと言うと、暫し呆然としていた。
「…あの子が、平民の事を覚えてる何てねぇ…」
 ライバルの意外な一面を垣間見て、キュルケは少しだけ感心した。

「さて、どう落し前を付けてもらおうかな?」
 薔薇の造花を象った杖を手にし、下賤な笑みを浮かべてギーシュはじりじりとメイドの少女・シエスタとの距離をつめる。
 シエスタは後ずさろうとするが、恐怖で足が縺れてしまい、床に尻餅をついてしまった。
 助けを求めようにも、周りの貴族達は皆一様に好機の眼差しでこの状況を観覧しているだけで、誰も助けに入ろうとはしない。
 シエスタの給仕仲間達も、相手が貴族とあっては、助けるに助けられない。
「どうやら君にはキツーいお仕置きが必要のようだな」
 シエスタに杖が向けられる。
 かつての炎の記憶が蘇り、シエスタの心が恐怖に支配される。
(助けて!———!)
「やめなさい!」
 心の中で助けを求め"彼"の名を叫ぼうとした瞬間、そこに待ったが掛けられた。
 新たに舞台袖から登場した人物は、桃色の髪を揺らしたルイズであった。
「ミス・ヴァリエール…」
「ルイズ、一体何のつもりだ?」
 ギーシュが忌々しげにルイズを睨みつけた。
「アンタこそ何のつもりよ!自分の失態を下の者に押し付けるなんて、貴族としてみっともないと思わないの!?」
 ギーシュは眉を顰めた。周囲からも「そうだそうだ!」とルイズに合意する野次が飛ぶ。
「フン、彼女の先走った行いの所為で二人もの純真な少女達が傷ついたんだ!お仕置きを受けて当然だ!」
「そもそも二股なんか掛けてるアンタが悪い!」
 ルイズはきっぱりと言い切った。瞬間、周囲がどっと笑い出す。
「その通りだギーシュ!お前が悪い!」
 誰かが叫ぶと、ギーシュの顔に赤みが差した。
「…ゼロのルイズのくせに…!」
 苦々しくギーシュが吐き捨てる。
 するとルイズの眉がぴくりと動く。これを見逃さんとギーシュが反論する。
「ゼロのルイズ!自分が魔法を使えないからって同じ魔法の使えない平民を味方か!ヴァリエール公爵家の名が廃るな!」
 ギーシュの感情に任せた精一杯の反撃だった。
 もしギーシュに冷静な判断が残っていれば出来るだけ穏便に済ませようとする筈だった。
 だが愛する少女達に愛想を尽かされ、周囲の連中の笑い者にされ、魔法も使えない自分より格下(と思っている)少女に図星を突かされ、ギーシュはすっかり心の余裕を無くしていた。とにかく何か言い返さなければ、自分のプライドが許さなかったのだ。
「わ、私がゼロだとかは今は関係ないでしょう!?そう言うアンタこそ、自業自得で恥かいて、その憂さ晴らしに平民に杖を向けるなんて、貴族の恥さらしも良いとこよ!さっきの台詞そっくり返すわ。グラモン家の名が廃るわよ!」
「ぐっ…!」
 だがその反撃もあっさり返されてしまった。
 ギーシュは言い返す事が出来なかった。何より自分に流れる貴族の血がルイズの言い分を肯定していたのだ。
 そして周囲の野次馬達の興味は、すっかりギーシュがどう謝るかと言う一点に集まりだしていた。
 謝る?僕が?誰に?ルイズに?…いや、ルイズに謝るなら、当然その後ろで尻餅をついているメイドにも頭を下げなきゃならなくなる。つまりそれは自分の非を全面的に認めた上で、平民なんかに頭を下げなきゃならないと言う事だ。
 そんな事は、プライドが許さなかった。
 なれば、残された手は———。
「…決闘だ」
「え?」
「決闘だ!ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール!このギーシュ・ド・グラモン!君に決闘を申し込む!!」
「はぁぁぁぁ!!?」
 ギーシュは芝居がかった仕草で大袈裟に宣言した。すると周囲から「うおおおお!」と歓声が上がった。
 だが当のルイズは、あまりにも無理矢理すぎる流れにまったく納得がいかなかった。
「学院内での決闘は禁止されてる筈よ!判ってるの?」
「おや?公爵家ともあろうお方が恐れを成して逃げ出そうと言うのですかな?」
 ギーシュはあくまでも優雅に、ルイズを挑発した。
 もうどうしようもなかった。流れが無茶苦茶すぎるとか、学則違反だとか、相手が公爵家だとか、そんな問題些細な事に思えた。とにかく自分のプライドを守るためにはこうするしか、自分の力でルイズを屈服させ、頭を垂れさせるしか無いと判断したのだ。
 完全に攻守が逆転し、今度はルイズが選択を迫られた。
 決闘を受ければ、魔法の使えないルイズにはまず勝ち目は無いだろう。
 だからと言って断れば、ルイズに新たな不名誉な称号が与えられる。今のこの状況、その不名誉な称号はあっという間に学院中に広まり、また自分がヴァリエールの家名を汚す事になるかもしれない。
 ルイズにとってそれ以上に堪え難い苦痛は他に無かった。
「い、良いわよ!その決闘!受けてやろうじゃない!!」
 瞬間、周囲から『おおおお!!』と言う歓声が上がった。
 ギーシュの口元が嫌らしくつり上がった。
「よく言った、ルイズ。…そうだな、この食堂を血で染めるのも忍びない。『ヴェストリィの広場』で待っているよ!」
 そうとだけ言い残して、ギーシュはその取り巻きを連れて食堂から去って行った。
 後に残されたのはルイズとシエスタ。ルイズは勢いに任せて何て事をしてしまったのかと今更ながら後悔した。
 もう一人、シエスタはと言うとその場にへたり込んだまま顔を真っ青にしていた。
「…ミ、ミス・ヴァリエール……」
 シエスタが涙目でルイズを見詰める。
「…な、なん、で…そ、そんな…わた、私なんかの、ため、に…そ、んな……」
 様々な感情が渦巻いてシエスタは上手く言葉を紡ぐ事は出来なかった。
 そんなシエスタの言動がおかしくて、ルイズは思わず吹き出してしまった。お陰で少しだけ気が紛れた。
「別にアンタを助けたワケじゃないわよ。ただ貴族として、ギーシュを許せなかっただけ」
 少し無理矢理だが笑みを作ってルイズは虚勢を張って見せた。
「…で、でも……」
 シエスタは尚も食い下がる。全ては自分が撒いた種、その自分の不始末を恐れ多くもミス・ヴァリエールに押し付けてしまうなど、決して許されざる行為なのだ。
「…ホント、どうするつもりなの?ルイズ」
 するとそこに事の推移を傍観していたキュルケが二人の間に入ってきた。
「どうするも何も、決闘受けちゃったんだから、やるしか無いわよ」
「ゼロのあんたに何が出来るって言うの?」
「う"」
 痛い所を疲れて閉口する。
 この世界に於いて魔法とは絶対の力の象徴。故に平民はメイジに絶対に勝てないと言うのが常識だ。
 ギーシュは最低クラスのドットクラスであるが、対してルイズはゼロ、魔法が使えない。そう言う意味ではルイズは平民と殆ど変わらないのだ。
「な、何とかなるわよ!何とか!」
「ま、殺される事は無いだろうけどね」
 ルイズは曲がりなりにも公爵家、それにギーシュはフェミニストでもある、命を取る事はまず無い筈だ。
「…アバラの2、3本は覚悟しといた方が良いけれど」
 からかう意味合いを込めてそう補足する。
 ルイズとシエスタの身体が同時に跳ね上がった。
「あぁもう、好きに言ってなさい!ギーシュなんて返り討ちにしてやるんだから!!」
 そう言ってルイズはズンズンと食堂の外へと歩き去って行った。
 途中、シエスタが引き止めようと声をかけたが、ルイズは聞こえないのか態と聞こえないフリをしたのか、振り返りもせず食堂を後にした。
「…ま、本当に危なくなったらあたしが止めに入るわよ」
「ミス・ツェルプルトー…」
 残ったキュルケが優しい声でシエスタを宥めた。
「さて、と」
 そろそろ自分も行きますか、とキュルケがその場で伸びをすると、見知った顔がまだ食卓に座っている事に気が付いた。
「ターバサ♪一緒に行きましょう」
 キュルケの親友、青髪のショートヘアーで赤い縁の眼鏡をかけた少女、タバサである。
 タバサは食事を終えても尚食卓に着いてひたすら読書に励んでいた。
「いい、興味無い」
 タバサは簡潔に返答して立ち上がろうとしない。どうやら昼休みが終わるまでここで読書しているつもりらしい。
「本なんていつでも読めるじゃない。たまにはレクリエーションに付き合うのも悪くないんじゃない?」
 キュルケがそう言うと、タバサは小さく溜息を付いて、開いていた本を閉じて椅子から立ち上がった。タバサにとってキュルケは数少ない友人、その友人を無下にしたくはないのだ。
「そうこなくっちゃ♪」
 キュルケはからっと笑うとタバサの手を引いてルイズの後を追った。


 ただ一人食堂に残されたシエスタは、相変わらず自責の念に囚われていた。
 自分の所為でミス・ヴァリエールに迷惑をかけてしまい、あまつさえ決闘を受けるなんて事態になってしまった。
 ミス・ツェルプストーはああ言ってくれたけど、それはつまり更に自分の所為で貴族様のお手を煩わせてしまう事になり、シエスタにはより一層の重責がその身にのしかかってしまう事になってしまうのだ。
 それにミス・ヴァリエールが魔法を使えない事は平民間でも有名な話だ。つまり力量で言えば平民と大差ない事も同義、もし万が一の事が無いとは言い切れない。
 魔法の恐ろしさは、身を以て味わっている。———あの時、"彼"がいてくれなかったら、自分はどうにかなっていたかもしれない。
「…始祖ブリミルよ…どうか…どうかミス・ヴァリエールを…どうか…」
 シエスタは両手を合わせてか細い声で始祖にミス・ヴァリエールの無事を願った。シエスタにはそれくらいの事しか出来なかった。
「神頼みか…それも良いだろう」
 するとそんなシエスタの元に青年が近付いてきた。
 さっき空腹で困ってると聞いたので、調理場で賄い料理を振る舞ってあげたミス・ヴァリエールの使い魔の青年…。
「どうやらこのまま見過ごしたら寝覚めが悪そうだ。…それに、あいつの事もだいたいわかったしな」
 シエスタははっとなった。彼は、彼もまた、ミス・ヴァリエールの元に行こうと言うのだ。そして、彼女を助けようと言うのだ。
「だ、駄目です!あなたも平民、貴族様には…メイジには敵いっこありません!…こ、殺されちゃいます!」
 彼は身分を持たないただの平民、危険度で言ったらミス・ヴァリエールより遥かに危ない。何とかして青年を引き止めようとするシエスタ。
 ミス・ヴァリエールに続き、その使い魔の青年まで行かせてしまったら、ただでさえもう悔やみ切れない事態になっていると言うのに、これ以上は自分はどうすれば良いと言うのだろうか。
 だが使い魔の青年はそんなシエスタの静止をまったく意に介さず、悠然と歩き出した。
「お、お願いです!止まって!!」
 すると青年はその場で立ち止まった。シエスタは一瞬安堵したが、青年はそのシエスタの方を向いた。
「安心しろ。俺は神だなんて大層なものじゃないが、世界を破壊する悪魔だからな。あんな洟垂れ小僧なんかに負けたりしない」
 そしてそうとだけ言い残し、結局そのまま食堂を後にしてしまった。
 取り残されたシエスタはその場でただ呆然としていた。
「…悪、魔……?」
 彼が言い残した言葉を、シエスタはまったく理解出来なかった。



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