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  • オレンジ色の使い魔-04

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

オレンジ色の使い魔-04

最終更新:2010年06月27日 03:01

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オレンジ色の使い魔 第4話

 昼休み。
 使い魔たちと昼食を済ませたハミイーが水場へ向かおうとしたところ、食堂から生徒がどっとあふれ出してきた。
 騒ぎ立てながら、ほとんどが同じ方向へ走ってゆく。
「決闘」「ゼロのルイズ」「ギーシュ」と言った言葉を聞き取りハミイーが立ち止まると、引きずるような足取りで
ルイズが出てきた。その傍に黒髪の娘が一人付き従い、何事か言葉を掛けているがこれは使用人のようだ。
 ハミイーが歩み寄るが、二人とも気づいた様子が無い。
「おぬし、決闘を行うのか?」
「……そうよ。いえ、決闘は禁止されてるから試合ね」
 ルイズはうつむいたままで答え、その傍で黒髪の娘は震えだした。
「どう違うのだ?まあ良い。さっそく人間相手に爆発を試そうとは良い心がけだ。しかし足取りが重いようだが、
 もしや相手を十分に侮辱できなかったのか?」
 黒髪の娘が懐に手を入れるのを横目にハミイーは問いかけた。
「そんなわけ無いでしょう!ギーシュがこの子、シエスタに八つ当たりしてるのを諌めたら、なんでか決闘することに
 なったの……よ!」
 思わず怒鳴りつけたルイズだったが、ハミイーの鋭い爪を見て一瞬息を呑んだ。しかし黙り込むことは許されない気がした。
「うむ、闘志を高めておくが良いぞ」
 ルイズは巨体を見上げ、分厚い毛皮の下で液体のように滑らかに筋肉がうごめくのに気づいた。単に太っているわけ
ではないらしい。
「……ハミイー、あんた戦士って言ってたわね。明日以降の食事代と思って、何か作戦考えて」
 猫の作戦が自分の役に立つとも思えなかったが、ひょっとしたら何かヒントでもあるかもしれない。猫の手を借りても
ギーシュを負かさないとならないのだ。
「まず、おぬしの武器の性能を知らぬことには作戦の立てようもないな。そこの娘、無益なことは考えぬが身のためだぞ」
 言って、ハミイーは手近にあったベンチを軽々と掴み上げつつシエスタに警告を発した。





「オールド・オスマン、よろしければ昨日の話の続きをお聞かせいただきたいのですが」
 学院長室でコルベールが切り出した。秘書はまだ席に戻っていない。
「食後の話題としてはあまり適さんように思えるがのう。さて、何から話したものか……開いておるぞ」
 せわしないノックに続いて現れたのは険しい顔のギトーだった。
「失礼、オールド・オスマン。ヴェストリの広場で生徒が決闘を行おうとしております。当人たちは試合と
 言っておりますが」
「まったく血の気の多い餓鬼どもじゃ。で?誰と誰が試合と称して決闘などしようとしておるんじゃ?」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとギーシュ・ド・グラモンです」
 ギトーの言葉にオスマンとコルベールは意表をつかれた。
「……はて、あのグラモンの倅が女に手を上げるとは?」
「食堂で何事か口論になったようで」
「困ったものじゃのう。ギトー君、手間を掛けて済まぬが双方が怪我をせぬように見てやってくれぬか。そうじゃな、
 処分は譴責と自室謹慎二日と言うところでよかろう……む?」
 爆発音が続けざまに響き、3人は顔を見合わせた。
「いかん、もう始まったようです」
「いやギトー君、見たまえ」
 オスマンの杖の一振りで壁に掛けられた大鏡がその映すものを変える。
 映し出されたものはタクト状の杖を素早く振るルイズと、5人掛けのベンチを小枝のように左右に振り回すあの大猫、
 そしてベンチの周りで繰り返される爆発だった。
「ほほう。あの娘、決闘を前に練習しておるようじゃな。猫にじゃらされておるようにも見えるが」
「なんとも付け焼刃ですな。しかもことごとく失敗しております。これでは勝負は一方的なものに……失礼しました、
 ヴェストリの広場へ向かいます」
 答えると同時にギトーは窓から空中へ飛び出し、二つ名の通りに疾風と化して去っていった。
「さてコルベール君、ワシの昔話よりは試合結果を予想してみんかね」
「教育者として不謹慎に思われますが……ギーシュ・ド・グラモンの勝ちでしょうな」
「なんとも面白みの無い予想じゃのう。ではワシはミス・ヴァリエールの勝ちに。そうじゃな、夕食のワインでも賭けんか」
「いいでしょう」





「遅かったね、ルイズ。練習してきたのは良いが、全部失敗だったようじゃないか」
 ルイズの失敗魔法の爆発音はヴェストリの広場まで聞こえていた。
 それを聞き逃したものがあったとしても、ルイズの失敗魔法について知るものがルイズとその使い魔の煤けた姿を
見れば明らかだった。
「減らず口はそれだけ?最後に機会を与えるわ、ギーシュ」
 ルイズは胸を反らした。
「どんな機会なのか聞いてみようじゃないか」
「あなたが女の子に不実を働いても、使用人に八つ当たりしても、それはあなたたちの問題だわ、感心しないけど。
 でも、貴族の誇りを八つ当たりの口実にしたこと、不実を責任転嫁する口実にしたことはダメ。この私は寛大だ
 から、今のうちに『個人的に解決すべき問題でした』って言えば許して差し上げるわ」
 ルイズは言い放つとポケットから石を取り出した。ギーシュはわずかに動揺を見せたが、すぐに立ち直って冷笑で
答えた。
「僕が拒否すればどうするって言うんだい、ゼロのルイズ。その石でも投げつけるのかい?」
「叩きのめして思い知らせるのよ」
 ギーシュばかりか、遠巻きに周囲を取り巻く生徒たちの間からも失笑が漏れた。
 笑わないものも居る。
 赤毛の女生徒は長身を屈め、隣の青髪のクラスメイトに問いかけた。
「タバサ、どう見る?」
「なにか策がある。具体的なことは判らない」
 それが聞こえたわけではなかったが、同じ問いを発したものもいる。
「使い魔……失礼、ミスタ・ハミイー、ミス・ヴァリエールには何か策があるのかな」
「うむ、まあ見ておくが良かろう」
 生徒の輪の外でギトーが宙に浮いたままでハミイーに問いかけ、ハミイーは短く答えた。
 ギーシュが杖を振り、女性を模した青銅のゴーレム、彼曰く「ワルキューレ」を一体生成する。
 同時にルイズは石を投げ、タクト状の杖を引き抜いた。石はゆるやかな放物線を描いて飛び、20メイルほど
離れて対峙する両者の中ほどに落ちた。

 最初の爆発はワルキューレの横で生じ、青銅の肌を煤けさせるに留まった。瞬時に次の爆発が起きるが今度は
逆側から爆風を浴びせたのみ。
 さらに次の爆発が生じ、直撃を食らったワルキューレはひしゃげながら空中に舞った。
 見物の生徒たちがどよめく。
 驚いたのはギーシュも同じだったが、即座に対応策を「思い出した」。
 薔薇の杖を振り、大盾を装備したワルキューレを自分の前に六体生成する。
 吹き飛ばしたワルキューレにさらに一撃を加えたルイズがギーシュに杖を向けたときには、土メイジは自分の前に
防御陣形を形成していた。

 間に合った。
 ギーシュはそう安堵の息をついた。
 ルイズの姿は大盾の隙間からわずかに見えるだけになったが、十分だ。
 失敗魔法を攻撃手段に使ってくるとは考えもしなかったが、そうだと知れば対処はたやすい。規模こそ違うが、
父や兄に教わった対砲兵戦術が答えだ。
「戦列、前へ」
 敵砲兵陣地へと前進するゴーレムの横列のようにゆっくりと、ワルキューレは前進を開始した。そしてギーシュは
戦列の背後を進んでゆく。
 次々に爆発が生じてワルキューレを揺さぶるが、命中しない。
 先ほど、一体目を吹き飛ばしたのはまぐれ当たりだったのだろう。盾の隙間から自分を狙うことも出来ないようだ。
 そう考えた途端、爆発が中央のワルキューレに直撃した。いや、直撃したのは大盾か。
 まだ油断しているなギーシュ・ド・グラモン。この砲撃を侮っては危険だ。しかもこれほどの勢いで連射してくる
砲兵との戦闘など、父や兄の講義にも無いぞ。
 己を叱咤し、盾を失ったワルキューレを突撃させる。
 爆発が繰り返される中を突撃したワルキューレは数秒後には土に戻ったが、その時にはギーシュは戦列の隙間を
塞いでいた。
 最初にワルキューレ任せにするつもりで距離を取りすぎたな。だが、このペースならなんとか行けそうだ。
爆風だけでも相当な威力でワルキューレたちが持つ大盾にヒビが入っている。
 しかしワルキューレ全てを破壊されるよりもこちらが砲兵陣地を蹂躙……もとい、ルイズの杖を弾き飛ばす方が早
いはずだ。あと10メイル前進すれば僕の勝利だ。

 ヴェストリの広場にひっきりなしに爆発音が響き、煤と埃が立ち込める。周囲では生徒が咳き込み、毒づく。
 あろうことか、ルイズが詠唱を繰り返しつつ前進を始めた。

 自棄になったのか?
 それとも近づくことで精度が上がるのか?
 そのどちらでもなく、ルイズは土埃の向こうへと回り込み姿を消した。そして爆発が途切れる。
 突撃破砕射撃だとばかり思っていたが、煙幕展開を兼ねていたのか。
 ギーシュは戦列を停止させてその両端を後方に下げ、半円陣形へ移行する。
 ルイズは砲兵により前進を拘束し、騎兵に側面突撃を行わせる戦法を一人二役で行うつもりだ。この戦法への対処
も実地では初めてだが、事前に知っている。
 さて、ルイズはどちらから攻撃を再開する。右か、左か?
 戦列から散兵へと移行し、こちらから仕掛けるか?
 いや、それこそがルイズの狙いだろう。待てギーシュ、せめて視界が開けるまで。
「……"錬金"!」
 鋭い声が響き、ワルキューレの足元でひときわ大きな爆発が生じた。ワルキューレが浮き上がり、強大な爆風がギーシュを襲う。
 ギーシュは失策を悟った。
 あの石、あれは地雷だったのか。
 意識が遠のき、集中が解ける。宙に浮いたワルキューレが土へ戻るのを見ながら、ギーシュは後ろへ吹き飛ばされた。

「手出しするな、ミス・モンモランシ。処分者を増やすことは私も学院長も望まない」
 ギトーは杖を抜きかけた金髪巻き毛の女生徒に低い声で命じた。少し離れたところではブラウンの髪を持つ女生徒がもう一人の
ギトーに制止されていた。

 埃が立ち込める広場で、ギーシュが頭を振りながら起き上がる。土と埃にまみれ、口元から血を流しつつも杖を握り締め、
その目は歩み寄るルイズをしっかりと見据えている。
「あなたのゴーレム生成は7体が限度だったはずよね、全部破壊したわよ。約束どおりあなた自身も叩きのめしてあげた。
 降参しなさいギーシュ・ド・グラモン」
「……嫌だと言ったら?」
「降参するまで叩きのめすわ。第一、地に膝どころか手まで着いてるその様で、まだ負けてないって言い張るつもり?」
「もちろんさ。何故なら……これで僕の勝ちだ!」
 ギーシュは跳ね起きてルイズへに切りかかった。一瞬前まで地に着いていた手には青銅の短剣。
 狼狽も露に、ルイズが杖をギーシュに向ける。
 突風が巻き起こり、両者を吹き飛ばした。
「そこまで!……ミス・モンモランシ、両者に治癒を掛けたまえ。見物の諸君、ただちに解散しなさい」
 ギトーが杖を収めつつ厳しい声で次々に命じ、生徒たちは不承不承散ってゆく。その隙間を縫ってシエスタがルイズへ駆け寄った。
「手加減はしてあるから安心したまえ、ミス・ロッタ」
 もうひとりのギトーがブラウンの髪の女生徒を解放し、傍らのハミイーを振り返る。
「ミス・ヴァリエールがとった作戦はあなたが授けたものでしょうか、ミスタ・ハミイー」
「さきほど実験してみたら、ルイズめの爆発には精度と規模に何通りかあることが判ってな。爆発を砲として力押しするよう
 俺は勧めたが、もっとも座標精度が高い物質変換を地雷として使ったのはルイズ自らの考えだ」
「猫の国には砲や地雷を装備した軍隊があるわけですな」 
「あるいは、おぬしらが知らぬ兵器もあるやもしれぬな。ところで、おぬしらは双子なのか」
 ハミイーが問うと、もう一人のギトーがかき消されるように消えた。
「ぬ?!」

 ギトーは決闘を行った二人の生徒へと歩み寄り、処分を伝えた。ルイズの決闘相手を介抱していた二人の娘が抗議したが、
ギトーは意にかいした様子もなく、ルイズを介抱していた黒髪の娘に席を外すように命じた。
 そして決闘者二人への叱責を始めた。これもオスマンが命じた処罰の一環であるらしい。
 ハミイーには決闘の勝敗を付けさせないこと自体が厳しい処分に思えたが、人間が違う考えをするものだとは理解している。
 地球へ赴任していたころのことを思い出し、そしてハミイーは首をかしげた。
 機械やそれを応用した武器の類はいっさい見かけておらぬのに、こやつらは地球人と似た発想で戦術を使い、
あるいはちょっとした示唆で編み出す。
 言葉が一致している以上におかしなことだ。
 同じ言葉を使い同じ先祖を持つ人類同士であっても、地球人とウィ・メイド・イット人では戦術が違うものだ。
 だがこやつらは?
 まだ二例しか観察していないから結論するには早い、かつて旅をしたあの地球人ならそう評するところであろうが、
さてどうしたものか。


「……ギトー君にも困ったものじゃな。賭けが台無しじゃわい」
「止めなければミスタ・グラモンの短剣がミス・ヴァリエールを制したと考えます」
「ふむ、まあ戦いについてはワシはコルベール君に及ぶところではないからのう。ついでじゃから講評でもして見んか」
「ミス・ヴァリエールが失敗魔法を砲撃と地雷の代用として用いたことを除けば、ごく一般的な砲兵とゴーレムの戦闘です」
 コルベールの評にオスマンは眉をしかめた。
「失礼しました。教師として講評するなら、ミス・ヴァリエールは失敗魔法を活用する柔軟性を示したと言えます。
 それは部分的に成功を収めましたが、彼女がそれで満足するとは思えません。今後もちゃんとした魔法を使えるように
 努力を続けるでしょう」
「ふむ。もう一人については?」
「ミスタ・グラモンも他の生徒と同様にミス・ヴァリエールを実技の劣等生とみなしてきたはずです。その相手に苦戦した
 ことから、何か良い教訓を得るかと思います。これは観戦していた他の生徒にも言えることです」
 コルベールは言葉を切り、付け加えた。
「今日の決闘……試合を見た生徒の中で、ミス・ヴァリエールを相手に戦って勝てると自らを評するものは少数でしょう。
 実際に勝てるものよりはいくらか多いかもしれませんが」
「ふむ。コルベール君ならどうか?」
「……殺すつもりなら簡単ですが、手加減した場合には負ける可能性があります」
「これはワシが悪かったな、すまん」
 苦い顔でコルベールは答え、オスマンが詫びた。
「ところで、昨日の話の続きをお願いできませんか」
「ふむ……そろそろミス・ロングビルが戻ってくるころじゃてな、また日を改めてくれぬか」

「タバサはどう見たかしら?ギトー先生が介入しなかったら、ギーシュが短剣をルイズの喉元に突きつけるのと、
 ルイズの失敗魔法がギーシュを吹き飛ばすのとどっちが早かったかって話だけど」
 教室へと歩きつつキュルケは小柄な友に問いかけた。自分でも答えは判っているが、戦歴豊かな友の意見を知りたかった。
「あの間合いでは確実にミスタ・グラモン。ミス・ヴァリエールは無造作に歩み寄らずに攻撃続行すべきだった」
「それは同意するわ。ところで、タバサならルイズに勝てる?最初の20メイルの間合いからと仮定して」
「あなたも私も勝率と条件は似たようなもの。こちらが詠唱している間にあの爆発が直撃したらそれでおしまい。呪文が
 完成するまで当たらなければ、こっちの勝ち」
「やっぱ確率の勝負ね。もしルイズが失敗魔法の精度を上げたら厳しいわ。双方使い魔の支援ありならどうかしら?
 まあ、まだルイズは契約してないみたいだけど」
 キュルケは新たな問いを発した。
「あの大猫はライオンや虎の成獣が直立して両手を使えるものと思えば良い。大剣かメイスでも持たせれば、あなたの
 フレイムと互角と思う」
「シルフィードよりは弱いって?って、まぁそうよね」
「大猫がルイズの盾として時間稼ぎした場合、私もあなたも勝てない可能性が高くなる」
 タバサは淡々と答えた。
「あの爆発はそれほどの脅威。連続して唱え続けられれば、いつかは当たる。そしてひとつ直撃すればおしまい。人間はもちろん、
 フレイムやシルフィードでも吹き飛ぶ」
「フレイムやシルフィードに大猫を攻撃させて、ルイズを無防備にしたら?」
「わたしは、あの爆発の中をシルフィードに突撃させたりしたくない」
「そりゃ私だってそんなことしたくないわよ、そもそもルイズと戦うつもりもないし。仮定の強さと戦術の論議よ」
 キュルケは少し腹を立てた。
「奇妙な発言。ツェルプストーとヴァリエールはいつか戦場で相対する可能性が高い」
「……タバサもそういうことするのね……」
 キュルケは友にからかわれていることに気づき、唖然とした。友はすたすたと廊下を歩いてゆく。

 教室に入り、いつもの席に着く。
「話題変えましょう。ギーシュはどっちを選ぶと思う?モンモランシーと、あの一年生とってこと」
「見当もつかない。そもそも、ミスタ・グラモンは私やあなたにも声を掛けたことがある」
「まったく、好みってものが無いのかしらね。女と見れば見境ないのよねー」
 タバサがほんの少し表情を変え、キュルケは友が愉快げに笑っていることを読み取った。

「……負けちゃった……」
 休み時間が終わるまでたっぷりとギトーに叱責され、自室に引き上げたルイズはベッドに腰を下ろしてがっくりとうなだれた。
「このような場合、作戦目的達成と喜ぶのがおぬしらの流儀ではないのか?」
「それは、確かにギーシュは個人的な問題と認めたし謹慎が明けたらみんなの前でそう宣言するって言ったけど……
 わたしが言わせたんじゃなくてギトー先生が叱ったからだもの。私の勝ちじゃないわ」
「おぬしは『ゼロのルイズ』と呼ばれておるな。明日からはそう呼ぶものは居なくなるであろうよ」
 ルイズは素早く立ち上がり、渾身の力をこめてハミイーの脚を蹴った。
 ぼふ。
 分厚い毛皮と柔らかい筋肉に衝撃が全て吸収され、覚悟していた爪先の痛みさえなかった。
「あんたにっ!」
 拳を固めてハミイーの腹を殴りつける。
 もふ。
 これもなんら効いた様子が無い。
「あんたなんかに、何が判るって言うのよっ!」
 なおも殴り続ける。ハミイーの巨体は微動だにしない。
「地球に赴任しておったころも俺や同僚は人間の子供から人気があったものだ。ヌイグルミと言う玩具に似ておると言うことでな」
「私は子供じゃないっ!」
 もう一度蹴りを入れる。やはり効いた様子が無い。
 ハミイーの巨大な手がルイズの頭を押さえた。
「おぬしは子供だ。クジンの子らがそうであるように、人間の子供も伸びしろを持っておるはずだ」
「……なぐさめてるつもり?」
「ばかな。強くなれと言っておるのだ。そうだな、もし俺に勝てれば無条件で使い魔契約を受け入れてやろう」
 ルイズはしばらく震えていたが、やがてふっと力を抜いた。
「ありがとう、ハミイー。だいぶ先のことになるけど、いつか決闘に応じてくれる?」
「よく考えるのだぞ。我らクジン族の流儀では、決闘の敗者は死ぬか奴隷になるしか無いのだからな」
「再挑戦は無いの?」
 ルイズはハミイーを見上げた。額に触れる肉球の感触が心地よい。
「おぬしが俺の子であれば再挑戦もありなのだが、そういうわけにも行くまい」
「猫の国でも、親子は特別なんだ……」
「人間の親子ほどではないがな。さて、俺はしばらく席を外す。オスマンに話があるのでな」
 ふわりと手が離れ、ハミイーは音も無く部屋を出て行った。

 ルイズは追いかけようかと思ったが、すぐに思い直した。
 学院長はハミイーを使い魔候補と認識している。
 事実そのとおりだ。
 その使い魔候補の言葉などに左右はされないだろう。
 いや、そもそも、ハミイーが私の処分に関して学院長と話をするつもりだなどと考えたのは何故だろう?

「さて猫どの、今日は何用ですかな?」
 ハミイーはオスマンを凝視した。ただならぬ雰囲気に、ミス・ロングビルの手が止まる。
「おぬしらはどのようにして他の惑星と連絡を取っておるのだ?」
 その問いに、オスマンは爆笑した。即座に、ハミイーの右手が閃く。
 たっぷりとした毛に隠していたのだろう、握りしかない小さな杖がその手に現れ、その先に赤く光る小さな球が現れる。
 その球がオスマンの鼻先へと瞬時に移動し、ぴたりと静止した。
「何のまねか知りませんが、学院長の前からそれをどけなさい!」
 ミス・ロングビルが鋭い声を発するが、オスマンは手を振って制した。
「杖を収めて座りなさいミス・ロングビル。猫どのが本気であればワシの首はすでに落ちておるよ。この光る球と、猫どの
 の手元との間には目に見えぬほど細い糸が伸びておるのじゃ。鋭い刃としてな」
 オスマンはハミイーと秘書を交互に見やってから説明した。その言葉にハミイーが目を細める。
「それほどの長さを持ち、目に見えぬほど細い『ブレイド』など聞いたこともありません。『レビテーション』で球を
 浮かべているのでは?」
「うむ、初めて見るのではそう考えても無理はあるまい。猫どの、笑ったことはお詫びしよう。ミス・ロングビルに見せて
 やってくれぬか」
「おぬしの挑発はあまり良い出来ではないぞ、オスマンよ。まあ良い、使って見せよう」
 ハミイーが右手を翻し、赤い球が光の曲線を描いて窓際に置かれた花瓶と窓の間を通過した。花瓶は微動だにしなかったが、
そのネックと活けられていた花が斜めに滑り落ちて床に転がる。
 切断面は鏡面のように滑らかだった。
「そんな……その花瓶には私が固定化を……」
「仮にワシが掛けた固定化であっても同じであろうよ。猫どのが手にしておる武器は『ブレイド』よりも優れたものじゃ」
 眼鏡の奥でミス・ロングビルの目が輝いたように見えたが、それも一瞬のこと。その細い眉が逆立つ。
「その花瓶は高かったのですよ。活けた花も私が手ずから摘んできたものです」
「おお、あれはおぬしの私物であったか。いずれ弁済しよう、許せ。しかし、以後は俺とオスマンの話に口を挟まぬことだ。
 どのみち、おぬしには理解できぬ話であろうしな」
「ということじゃからミス・ロングビル、会話の速記を頼む。ワシにとっても滅多にない機会ゆえにな。猫どの、
 自在剣の刃を収めてソファーにお座りくだされ。なに、猫どのが座っても壊れはせぬよ」
 オスマンの言葉どおり、ソファーはハミイーが腰を降ろしても軋みさえしなかった。

「さて、他の惑星との連絡手段じゃったな」
「そうだ。流暢な共通語を話すことと言い、人間を含む生物の構成と言い、あまりにも地球と一致しすぎておる。これが
 平行進化の結果生じた偶然などとは言わせぬ。人やさまざまな生き物の行き来なしにはこれほど一致することは出来ぬ」
 巨大な猫が断言し、オスマンがゆっくりとうなずいた。
「なるほど、のう。さて、何から説明すれば良いじゃろうか」
「ブリミルが六千年前に来訪うんぬんと言うおとぎ話はうんざりするほど聞いた。授業を傍聴し、何人かに質問してみた
 ところでは皆がそれを信じておる様子であったが、おぬしは例外であろう」
 オスマンの目が遠くなり、再び焦点を結ぶ。
「猫どの、ワシにも全てが判っておるわけではないのじゃ。ブリミルが六千年前に文明を開いたとする証拠はいくつも
 見つかっておるし、伝えられてもおる。もちろん猫どのが言われるように、他の惑星からもたらされたものが多数に
 のぼることも認めねばならんが」
「多数どころではない、目にするあらゆるものが地球原産としか思えぬ。地球では架空の存在とされる類の生き物も含めてな」
「それについては、この惑星で生まれ育ったワシには判らぬよ。猫どのが見聞を広められれば地球に無いものも見出される
 かもしれぬ。出来ればその時はワシにも教えていただきたいものじゃ。ブリミルが文明を開く前からこの世界に元から
 あったものは何か、ワシは知りたいと願っておる」
 速記を取るミス・ロングビル=マチルダ・オブ・サウスゴータは手が震え出すのが判った。
 この二人はいったい何を言っているのだ?そもそも、昨日は追い出した私に今日は何故、こんな話を聞かせている?
「おぬしの言葉もいささか要領を得ぬが、言葉どおりに解釈するならおぬし自身は他の惑星についてはさほど知らぬ
 のだな?」
「いかにも。他の人々はそれさえも知らぬであろうよ」
「ではまず、おぬしが他のものと違う知識を持っている理由を聞こうか」
 うなずいて、オスマンは語り始めた。
 若き日、ブリミル教の敬虔な信徒にして駆け出しの学者であったオスマンは、ブリミルが開いたこの世界に対する
理解を深めるべくフィールドワークに出ていたこと。
 山中でワイバーンに襲われ、反撃するも気力が尽きて追い詰められたこと。
 諦めかけたときにワイバーンが塵と埃に化して飛び散ったこと。
 視界が開けたとき、オスマンの前には見たこともない服を身にまとい、得体の知れぬ武器を手にした男が立っていたこと。
 オスマンは涙さえ浮かべて「我が命の恩人」と言った。
 その恩人は今しがたハミイーが発したのと似た問いを発してきた。
 若きオスマンは最初、恩人は狂人であると考えた。
 会話を続けるうちに狂人ではなく異端者か、あるいは東方からの来訪者であると考えるようになった。
 いずれにせよ、オスマンは恩人を匿うことにした。
 住処さえ確保してしまえば、匿うことには苦労しなかった。恩人は視線を向けるだけで相手の意識と記憶から自分を
消してしまう能力を持っていたから。
「プラトー・アイズか」
 ハミイーが頷く。オスマンの話に聞き入っている様子の大猫は、マチルダが青ざめたことには気づかぬようだった。
「ほう、そういう名前の能力じゃったのか。さて続けよう」

 恩人が語るさまざまな知識をオスマンは学び、あるいは理解できぬままに書き留めた。
 その日々も長くは続かなかった。数ヵ月後、恩人が急激に老い、衰え始めたためだった。それから一週間も経たぬうち
に恩人はベッドから起き上がることさえ出来なくなり、息を引き取った。
「ブースター・スパイスが切れたのだな」
「そのように言っておったな。恩人の最後の言葉は、『あれを見ろ山へ帰りたい』じゃったよ」
 その後、オスマンは恩人から授かった知識と、意味もわからぬまま書き留められた言葉の数々を検証し、学者としての
知識とすり合わせていった。
 最初は意味がわからなかった言葉の数々も、いくつかは検証を続けるうちに理解できるようになった。
 老齢になるまで実験や観測を繰り返して自分の知識としたものもある。
 地動説が正しいことや、夜空の星が太陽であること、ハルケギニアは惑星表面の球面の一部であり、それを前提と
しなくては正確な大規模地図は描けないことなど。
 諸国を彷徨い噂を集めて恩人の言葉と整合させた知識もある。たとえば、『場違いな工芸品』なるものの正体がそれだ。
「なんだ、それは?」
「この惑星の技術では作れぬはずの、精密な機械がそれじゃな。ごく稀に、使い道も判らぬままに市場に出ることがある。
 それが他の惑星からなんらかの方法で持ち込まれたものと推測したワシは当初は市場の噂を集める努力を払った。が、
 すぐに中止せざるをえんかった」
「理由は」
「ロマリアの異端審問官が『場違いな工芸品』について噂を集めていると聞いたからじゃよ。ワシは火刑に処せられる
 つもりはないのでな」
 再びマチルダの手が止まる。
 オスマンの表情を探るが、遠い記憶を思い起こしているのかマチルダの動きに気づいた様子はなかった。
「ワシは他の方法を採った。ハルケギニアで最も長い伝統を持つこの学院に教師として雇われ、勤務実績を積んで図書館
 のあらゆる蔵書を読む権利を得た。案の定、図書館にも『場違いな工芸品』ならぬ『場違いな書籍』があったよ」
「ふむ。それらを読み解いたのだな?」
「そればかりに専念するわけにも行かぬでな、時には数ページの意味を読み取るのに十年掛かったこともあった。一冊読む
 のに百年掛かったこともあった。恩人が授けてくれた知識の検証も進めた。しかし、もっとも知りたいことはいまだに
 判らぬままじゃ。ブリミルとは何者なのか。なぜ他の惑星から人や物が流れ着くのか。判らぬまま長い年月が過ぎて、
 猫どのが現れた。そして先ほどの問いじゃ」
「ほう、つまりおぬしはブリミルとやらの正体に疑念を持っておるのか。その女の宗教的立場を確認した方が良い
 のではないか」
 オスマンと大猫の視線を向けられ、マチルダは震え上がった。
 大猫は単なる知性を持った使い魔でもなければ、オスマンは単なる好色な老人でもない。
「面白い話じゃろう、ミス・ロングビル」
「ま、まるっきりのおとぎ話で人に伝えるようなものではありませんわ」
「まあそういう事にしておくのじゃな。さて猫どの、そちらからも話を聞かせて欲しいのだが」
「しかしこの女、おぬしがプラトー・アイズの話をしたところで身をすくめた。その動きが俺の耳に聞こえたのだ」
「ほほう、それは興味深いことじゃて」
 マチルダは泣きたくなった。自分に疑惑の目を向けているスクウェア・メイジと、表情は判らないが得体のしれない
武器を手にした大猫。
 先手を取るにも、この部屋には土と言えば植木鉢にあるものだけ。床も壁もスクウェア・メイジによって固定化されている。
 立ち上がったオスマンが歩み寄ってきた。その手が伸びてくる。
 マチルダは金縛りにあったように動けなかった。目を固くつぶり、心中で妹に別れを告げる。
「うむうむ、やはり大きさと言い感触と言い素晴らしいのお。若返る気分じゃ」
 不気味な感触にマチルダが目を開くと、オスマンの両手が彼女の豊かな胸を蹂躙していた。

「よく判らぬが、あれで口止めになるのか?」
「いや、口止めとは何の関係もないのじゃ。どのみちミス・ロングビルは忠実な秘書じゃて、異端審問官へ告げ口など
 せぬよ。さて、猫どのの話を聞かせて欲しいのじゃが」
 頬を赤く腫らしたオスマンが席に戻り、ハミイーを促した。
「おぬしは舌も滑らかに語ったが、まだいくつも伏せている話があるな。よって現状では大した話は出来ぬ。
 俺は今のところ仮説を二つほど立てておるが、今話せるのはそれくらいだ」
「お聞かせいただきたいものじゃ」
「では、まずひとつ。ブリミルは地球の人類であり、六千年前にこの惑星に到達して植民地を開いた。
 そしておぬしらが魔法と呼ぶ特殊能力を持つ人間を育て始めた」
「その説は恩人も一度口にしてその場で否定したものじゃな。人類が太陽から太陽への長い航海を出来るように
 なってから、まだ数百年しか経っておらぬとのことで」
 オスマンの言葉に、ハミイーはわずかに笑った。
「人類自らの手になるものではないと考えればどうだ。六千年以上前から恒星間航行の能力を手にしており、
 なおかつ他の種族を改造することに何のためらいも持たぬ種族を俺はひとつ知っておる。その種族が人類の一団を
 この惑星に移植し、おぬしらに気づかれぬように品種改良を続けてきた」
「恩人や『場違いな工芸品』の持ち主たちは追加の移植であると?」
 人間を異種族にとっての家畜とみなすハミイーの言葉にマチルダは気分が悪くなったが、速記の手は止めなかった。
「そういうことになるかもしれぬ。ただしこの仮説には、次の仮説と同じ欠点がある」
 ハミイーはオスマンを見据えて続けた。
「おぬしの話が全て偽りであり、人類自身が秘密の植民地で特殊能力者を育成している。育成されている
 特殊能力者たちはその事実を知らず、ブリミル云々の作り話を信じている。これが二つ目の仮説だ。
 こちらの場合、おぬしは育成担当者のひとりとなろうな」
「ふむ。して、欠点とは?」
「言葉だ。前者の仮説を採用すれば地球とおぬしらは言葉でのやりとりが出来ぬし、後者でも頻度に制限が掛かる。
 それでは数世代が経過すれば言葉が通じなくなる。にも関わらず、おぬしらは地球の人類と全く同じ言葉を使い、
 考え方さえ似通っておる。さて、今日はここまでだ。オスマンよ、真偽はどうあれ有意義な対話であったぞ」
 ハミイーは音もなく立ち上がり、学院長室を出て行った。

「……言葉云々と言うのはどういう意味なのでしょうか」
「ああ、たとえばじゃミス・ロングビル。定期的な会話のやり取りが無い限り、言葉は地方ごとに変わってゆくもの
 なのじゃ。サウスゴータとロンディニウムの言葉には違いはない、人の往来が盛んじゃからな。しかし、たとえば
 スカボローあたりまで北上して平民と会話して見れば互いに訛りがあると思うはずじゃ。さらにアルビオン人が
 トリステインに来れば、お互いに感じる言葉の違いはより大きくなるわけじゃ」
「……」
 マチルダはうつむいて唇をかみ締めた。
 今の言葉は脅迫なのか?
 オスマンは自分に関して何を知っているのだ?
「あの猫は流暢なトリステイン語を話していました。あの猫が気づいていないだけで、召喚主のミス・ヴァリエールが
 サモン・サーヴァントによって刷り込んだのでは?」
 気を取り直して反論を試みる。
「我々が気づいていないだけで、我々が共通語を話しておるのかもしれぬぞ?」
「それは……あの猫に、ゲルマニア人やガリア人と会話させてみれば検証できるのでは。たぶんあの猫は訛りに気づかないと思います」
 オスマンはため息をついた。
「それは問題を発散させるだけじゃな」
 マチルダは学者ではないが、この評価には悔しさを感じた。
「ブースター・スパイスなるものについて教えていただけませんか」
 表情を改め、話題を変える。
「よかろう。ミス・ロングビルはどのように推論しておる?」
「オールド・オスマンの恩人が用いていた老化防止の秘薬でしょう。そして、オールド・オスマンは研究を重ねて
 その複製に成功したか、あるいは同じ効果があるスペルを開発された」
 以前から持っていた推測を補強して告げる。難しい推論ではない。学院のベテラン教師たちの証言によれば、この
老メイジは少なくとも数十年前から姿が変わっていない。
「一部は正解じゃな。しかし、ミセス・シュヴルーズなどは今の話を聞かずに後者と同じ推測に到達して教えを請いに
 来たものじゃぞ」
 オールド・オスマンは上を向いてにたりと笑い、マチルダは眉をひそめた。
「おお、思い出すだけで鼻血が出そうじゃ。当時のミセス……いや、ミス・シュヴルーズは今のおぬしよりも
 恐ろしいプロポーションをしておってな。ぴっちりしたブラウスとスカートを身に付けて歩くものじゃから、
 男子生徒が廊下や教室に蹲っておったものじゃ」
「で、どう答えられたのです」
「そうそう、そんな風に胸を強調しながら聞いてきおってなあ。いや眼福じゃったよ……そんな目で見るでないわ。
 かつてミス・シュヴルーズにも答えたことじゃが、水のスクウェア・メイジに限ってワシの知る老化防止の方法を
 用いることが出来る。それ以外の者に教えても意味を成さぬ」
「……私は土のラインに過ぎません」
「なに、土メイジとて努力を重ねれば水のスクウェアを兼ねることも出来る。ワシが保障しよう。当時のミス・シュヴ
 ルーズはもっと手っ取り早い方法を採ったがな」
「ミセス・シュヴルーズの夫君は水のトライアングルとお聞きしましたが、そのような経緯があったのですか」
「さよう。ところが、結婚した途端に老化防止のことなどどうでも良くなったようでな。今はあのとおり、
 若き日の美貌は見るかげもない。夫に修行を強いることもせぬ。……とりあえずこんなところじゃな。もしミセス・
 シュヴルーズに話を聞くのであれば、茶と菓子を用意してからにしておくことじゃ。のろけ話を始めると長いからのぉ。
 それと、もうひとつ」
「なんでしょう?」
「もし水のスクウェアを捕獲してきたら老化防止について教えてやっても良いのじゃが、年老いぬ美女と言うものが
 世間からどう見られるか考えておくのじゃな。ワシのような歳経たメイジがそれ以上老いずとも、妬み疑うものは
 滅多におらんのじゃが」
「……」
「まあ、ワシには時間はたっぷりとある。ミス・ロングビル自らが水のスクウェアになるまで待つことも出来るが、
 出来ればぴちぴちしている内に教えてやりたいものじゃのう」
「考えて見ます」
 マチルダは自席に腰を下ろし、執務を再開した。
 その姿にオスマンはわずかに頬を緩めた。

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