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  • あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • 風の使い魔-04c

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

風の使い魔-04c

最終更新:2010年07月28日 00:47

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だれでも歓迎! 編集
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 同じ時間、同じ場所。ここに立つと、四日前の記憶が蘇ってくる。
 眼前に突き立つ剣を、才人は平然と見ていた。波立っていた心も今は不思議なくらい穏やかで、ただ戦う意志が凝縮されていた。
「さぁ、始めようか」
 薄っぺらい余裕の笑みを見せるギーシュに、
「ああ、始めようぜ」
 才人も応えて剣に手を伸ばす。これを取れば、ギーシュも手加減なしに向かってくるだろう。ケンカとは名ばかり、実態は決闘の続きである。
 だが、才人に迷いはなかった。徒手空拳で勝ち目がないことは痛いほど知っている。
 可能性があるとすれば一つだけ。その為に剣を用意してもらったのだ。
 剣を握って両手で構えると、左手のルーンが熱を持って発光した。ふっと身体が軽くなり、全身に力が漲る。精神は昂揚し、今ならなんでもできそうな気がした。
 これだ、この感覚。これを待っていた。あの時も、剣を握ると痛みが消えて、まだ戦えると確信させた。
 才人とギーシュの間に割り込むように、土の中から女戦士が現れた。
 青銅のゴーレム、ワルキューレ。武器を持たずとも、金属の身体は既に凶器。
前回、その金属の身体に拳は通らず、才人は一方的に殴られるだけだった。
 そして今再び、ワルキューレが固めた拳を武器に突進してくる。
 鎧を鳴らして走るワルキューレの一歩一歩を注視しながらも、才人には思考を巡らす余裕さえあった。
研ぎ澄まされた集中力が、二、三秒の間にそれを可能にした。
 才人は振り上げ、突き出される拳に対し、懐に潜り込む姿勢を取る。
 足を強く踏み込み、拳が顔の横を掠めた瞬間、両手で力の限り剣を振り抜く。
 微かな抵抗も気にならないほど容易く、青銅のゴーレムは両断された。
 突っ込んだ勢いを失わず芝生に転がったワルキューレに、ギーシュもルイズも、その他の生徒も驚愕に目を見開く。
才人本人も含めた全員が同じ反応を示す中、ベロを垂らした少年だけが無表情で眺めていた。
 避けて斬る。それだけの動作を身体が自然と選択した。感覚が鋭敏になり、敵の動き酷く緩慢に感じられた。
 これは左手の光る文字の力? これが使い魔の力なんだろうか。
 剣なんて振った経験もないのに、身体が動く。ならば理屈は分からないが、そうなのだろう。
 確かな手応えを感じた才人は、鋭い目つきで眼前のギーシュを見据える。狼狽したギーシュは杖を振り、
更に五体、ワルキューレが土から生まれ出た。
 しかし、一連の身のこなしがルーンによるものとしても、この心の有様はどういったことだろう。闘志は尽きることなく湧き出てくるのに、
恐怖はこれっぽっちも感じない。この心は自分のものなのか、それともルーンのものなのか。
 それすらも曖昧ではあるのだが、
「構うもんかよ……!」
 呟きながらギーシュに歩を進める。三体のワルキューレが、その前に立ちはだかった。
 単純な動作で次々に飛び掛かってくるワルキューレの胴を、すれ違い様に薙ぐ。
返す刀でもう一体。
続けて、最初と同じ動作でもう一振り。
 呆気なく崩れ落ちたワルキューレは再び動くことはなかった。
 才人は軽く一瞥するも、足は止めない。一歩ずつギーシュにプレッシャーを放ちながら、構えもせずに歩み寄る。
「くっ……ワルキューレ!!」
 ギーシュが上擦った声で指令を放つが早いか、残った二体が分散、斜め左右から同時に仕掛けた。
 挟み撃ち――左右に逃げ場はなく、後退したとて追撃は必至。片方を撃破したとしても、次の瞬間、もう一方の拳が才人を砕く。
 ワルキューレは、まったく同じ動作で拳を振りかぶり、距離を詰める。だが、視界を遮るように迫る危機にも、才人の心は波打たなかった。
冷静に両者の動きを見比べ、その隙間に活路を見出す。
 自然体から身を屈め、前に跳躍。二体の間をすり抜ける。ワルキューレは才人の動きに追い付けず、身体をぶつけ合った。
 才人は跳びながら身を翻し、反転するより早く、がら空きになった背中に斬りつける。ギーシュの武器であり、
守る盾でもあったワルキューレは、瞬く間に解体された。
 数秒置いてワルキューレの停止を確認した後、ゆっくりと振り向く。その眼光は強く、しかし激しさは感じさせない。そして、口元は小さく綻んでいた。

 やっと分かったのだ。戦う前から、疑念が確信に変わる前から、恐怖を感じていなかった理由。それはあの日、この場所で、
もっとずっと恐ろしいものを目の当たりにしたから。
 大木すら呑み込み、へし折る竜巻。巨大な暴風の渦。天災という名の絶対的な自然の力。
 一言で言うなら、脅威としてのレベルが違う。
 あれに比べれば、たかが動く銅像。恐れるに足らなかった。
 力も、速さも、もっと桁違いの存在を知っている。自分を抱えながら一瞬で背後に回り、人二人を支えながら風の中を走れる少年を知っている。
 当たることが怖いとも思わない。どうせ当たったところで、風助の頭突きほど痛くはない。
 思い出したら身体が震えそうになるが、戦闘の昂りを意識することで相殺。なんとか抑え込む。
 いつの間にか身体と深層心理に刻み込まれていた恐怖が、幸か不幸かは分からない。
厄介なトラウマを植え付けてくれたものだと思う。
 それでも今、この瞬間だけは感謝してもいいと思えた。

 お前のお陰だ……なんて面と向かったら恥ずかしくて言えないけど、て言うか結果オーライなだけだけど。俺も死にかけたわけだし……。
 でも……サンキュー、風助。

 心の中で一言礼を言う。
 前の決闘に負けてからというもの、ずっと心の中では悔いが残っていた。
 あの時、感じた手応えは何だったのか。自分は本当に無力なだけなのか。
 それを確かめる機会をくれたのは風助だった。強引に再戦を持ち掛けてくれなければ、今でも燻っていただろう。
 風助へのわだかまりが氷解していくのを感じる。ギーシュを追い詰める才人に、もう迷いはなかった。


 ギーシュは目の前の少年が恐ろしかった。
 青銅のゴーレムを、剣を使ったとはいえ切り裂くなど、ただの平民ができることではない。つまり、あれはただの平民ではなく、手練れの剣士なのか。
とてもそうは見えなかったが、そうとしか考えられなかった。
 風助と対峙した時と同じく、ギーシュには才人の姿が大きく見えていた。錯覚だと知っていても、発されるプレッシャーが平静を取り戻させない。
 だが、ギーシュは辛うじて散らかった思考を取り纏めることに成功する。
 才人は恐ろしい。しかしギーシュとて、もっと恐ろしい脅威に遭遇したのは同じだった。
 恐怖を恐怖で打ち消し、狂乱しそうな心をどうにか静める。まずは、この場を切り抜ける方法を考えるのが先決だ。
 ワルキューレでは何体で掛かっても無駄。悔しいが事実だ。しかも、現在の力量では七体が精一杯。既に六体は撃破されている。
 精神力も底を尽きかけ、敵は目前に。この状況で勝つ目があるとすれば、最大の武器であるワルキューレの、残り一体を確実に当てるしかない。
 時間も余力も残されていない状況で、後退りながらギーシュは策を巡らそうとするのだが――。
 考えずにはいられなかった。あのカエル――風助ならまだしも、何故、圧倒した平民相手にと。
 一度は風助に雪辱を考えないでもなかったが、すぐに諦めた。どう考えても敵わないと思ったからだ。
 風助はあの後、学院長に呼び出されたらしい。当然だ、あんな大規模な魔法? 軽々しくは使えないはず。彼としても不本意な誤発動だったのだろう。
 それがなければ接近戦を挑むつもりだったようだが、彼にワルキューレをぶつけたとして、果たして倒せただろうか。
 ただでさえ経験に乏しい上に、剣士や拳闘士といった接近戦に特化した相手は初めてである。だからといって、二度も平民相手に恥を掻かされるのは耐えられない。
 でも、もしも最後の一体までもが切り裂かれてしまったら? 一矢報いることすら叶わず、惨めに敗北してしまったら?
 才人よりも風助よりも、それが恐ろしかった。自分を支えている足場が崩れるようで、考えれば考えるほど足が竦み、なかなか行動に移せない。
 振り向くと観衆の壁が迫っていた。才人は余裕のつもりか、後退った分だけ近付く。その口元は薄く引きつっていた。
 自分を嘲笑ったものかどうかは定かではない。ただ、薄笑いが視界に入った瞬間に恐れが怒りで塗り潰され、ギーシュは行動を起こしていた。
 ギーシュが衝動的に取った行動は、稚拙そのものだった。
 まずワルキューレ最後の一体を作り出す。その陰に隠れて早口でルーンを詠唱。至極単純な魔法である為、時間は掛からなかった。
 狙いは才人とワルキューレの中間、おおよその剣のリーチを考慮し、才人が攻撃の際に踏み込むであろう周辺の土を僅かに変化させただけ。
変化と言っても、普通に歩けば軽く躓く程度。完全に足を絡め取るには、詠唱時間も精度も自信が持てなかった。
だが、この程度でも正面に気を取られた状態で強く踏み込んだなら或いは。
 バラの杖を振ってワルキューレに攻撃を命じる。
 もう、できることはない。やれることはやった。
 作戦と呼ぶには心許ない賭けだったが、ギーシュに後悔はなかった。後はサイコロの目が出るのを待つのみ。

 残り一体。状況から、それが打ち止めだと判断するが、才人に油断はなかった。
 ワルキューレだけを視界に収め、その動作に細心の注意を払う。
 これまで同様カウンターで仕留めようと攻撃の時を待つも、敵は待ち構えて動こうとしない。
 一歩進む、まだ来ない。
 更に一歩。まだだ。
 そして、才人の左足が一足飛びの距離に踏み入った瞬間、ワルキューレが動いた。
才人も剣を振り上げながら右足を強く踏み込み、身体を前に運んだのだが、
「――!?」
 靴底から奇妙な感触が伝わった。重心を移した右足が突然、ふっと地を離れたのだ。
 声を上げる間もなく、才人の身体は意に反して前に倒れる。倒れゆく顔面には、狙い澄ましたかのように拳が迫っていた。

 大仰な反撃態勢を取らなくとも、腕を一振りで片付いた。
 こちらから仕掛けてもよかった。
 驕りや油断が欠片もなかったとは言わないが、目の前の敵に集中していたからこそ気付かなかった。
魔法に対する無知も手伝ったのだろう。万全を期したが故に、足元を掬われた。
 才人はビデオのコマ送りのように迫ってくる拳に、そんな感想を抱いた。
 極限まで圧縮された時間の中で思考だけが働く。思考が身体を飛び出し、自分を俯瞰的に見ている感覚。
 こんな経験は過去にもあったが、大抵は身体と知覚は乖離していた。
 脳でどれだけ考えても、肉体にまで命令が伝達されない。されるまでに決定的な瞬間は通り過ぎてしまう。
 しかし、この時は違った。

「ぅおぉぉぉぉぉ!!」
 刹那、才人は身体を空中で強引に捻る。雄叫びが勝手に喉から絞り出される。
 身体が動いた。閃いたイメージの通りに肉体が応えた。
 右上段から振り抜こうとしていた勢いを殺さず、回転。紙一重で拳が頭を掠める。
 ワルキューレが追撃の拳を振り下ろすより早く、身体を開きつつ、左手に持ち替えた剣で、ワルキューレの脚を叩き斬る。
回転を加えた斬撃で、細身の脚は両脚ともが切断された。
 才人が地面を蹴って体勢を立て直した時、もう"敵"はいなかった。
 起き上がろうと足掻くワルキューレに止めを入れ、
「続けるか?」
 棒立ちになったギーシュに剣を突きつける。
「いや……僕の負けだ」
 ギーシュは両手を上げた。吐息混じりではあったが、悔しげな響きは含まれていなかった。
 才人が動き出してから今まで、誰一人として声を上げなかった広場が一瞬で沸騰する。観衆の反応は驚きと戸惑いがほとんどだった。
 歓声に背を向けたギーシュは、何歩か歩いて尻餅をついた。ほとんど動いていないのに、全身が緊張していた。
 判断は間違っていなかった。だが、相手が悪かった。そう思いそうになって、かぶりを振る。
 敗北は悔しい。プライドはまだ折れずにいてくれた証拠だろう。
 悔しいが、さほど落ち込んではいない。周囲の声に自分への嘲笑がなかったのも理由の一つだが、ギーシュは力を出しきった心地良い疲労感に包まれていた。
 座り込んだギーシュに、そっと手が差し伸べられる。
 見慣れた、細く、色白の美しい手。
 見上げると、モンモランシーが微笑んでいた。


 才人は才人で、広場の芝生に座り込んでいた。
 剣を手放すと身体が重くなり、全身が痛い。特に最後の回転、あれが効いた。
 まだ勝利の実感が湧かない。勝ったこと以上に、自分があれだけ動けたことが信じられなかった。
 しかし、今も確かに手の中に残っている。剣を振るい、青銅の鎧を断ち切った手応えが。
 ぐるりと周りを見回してみる。
 才人を見る目は様々だった。好奇、侮蔑、それらは決闘前にも感じていた。だが――。
 恐れ。
 これは初めてだった。
 酷いものは、才人と目が合うと途端に目を逸らしたり伏せる始末。
 ギーシュの圧勝と思っていた者にとっては面白くないのだろう。そんな予想なんて、知ったことじゃないが。
 とはいえ、勝ったはずなのに、誰にも歓迎されないと言うのは少し寂しい。やはり、自分が平民だからなのだろうか?
 誰も才人に近寄ろうとはしない中、
「よー、おめぇやっぱ強かったんだなぁ」
「風助……」
 最初に話し掛けてきたのは風助だった。
 驚いた様子もなければ、称賛も畏怖もない。当たり前の、変わらない態度が今は嬉しい。
「その……朝は悪かったな」
 やっぱ、とはどういう意味なのか。お前は驚かないのか。
 もっと他に聞くべきことはあった気がするが、最初に口をついたのは謝罪の言葉だった。
「なんのことだ? おめぇに謝られるような覚えねぇぞ」
 朝の諍いが本気で記憶にないらしい。
「へへ……」
まるで気にしていない風助が、気にしていた自分がおかしくて、照れ臭くて。才人は笑った。
「あー、なんかまた腹減っちまった。おっちゃんとこに何か食わせてもらいに行くか」
「お前はそればっかだな。ってもまぁ……俺も、あれっぽっちじゃ全然足りねぇや」
「おー、行こうぜ」
 二人はすっかり、いつも通りの空気に戻る。いつしか周囲の目は気にならなくなっていた。
 貴族にどう思われようが構うものか。身寄りも知り合いもいないこの世界で、大事なのは風助やシエスタといった友人なのだ。
「と……そうだ、シエスタ! 今の俺の戦い見てくれたのかなぁ」
「シエスタなら仕事があるからって行っちまったぞ」
「なんだよ……せっかく頑張ったのに……」
 元々、彼女の一言が決闘の決め手になったのだ。風助へのつまらない対抗心を煽られて。
 彼女には悪気はなかったのだし、結果勝てたのだから気にしてないが、いいところを見せて見直してほしい気持ちはあった。
 と、その時。
「凄い……本当にメイジに勝っちゃうなんて……」
 背後から少女の声。どよめきに混じって声の判別はできなかったが、どこか陶酔じみた――感嘆の色を含んでいたのは確かだった。
「シエスタ!?」
 当然、才人はそう思って振り向いたのだが、
「え……?」
 そこにいたのは黒髪に黒い瞳のメイドではなく、ピンクブロンドの髪に鳶色の瞳の少女。彼女は違う女の名前を呼ばれた為か、疑問符を浮かべて固まっていた。
「げ! ルイズ!?」
 僅かに朱に染まっていた頬が、みるみる紅潮する。ただし、それが先程までと違い、怒りによるものであることは才人の目にも明らかだった。
「ふ、ふ~ん、そんなにあのメイドにいい格好したかったんだ。その為に命とか懸けちゃうんだ。勝ったからいいようなものを……」
 ぶつぶつ呟くルイズの肩は震えている。そして、震えの伝わる先は右手の杖。
 ルイズは、才人への怒りもさることながら、何より自分が憎くて仕方なかった。
 戦う才人は正直、カッコ良かった。剣一本でゴーレムを切り倒す雄姿には魅了された。
 それに、無能――ゼロだと思っていた自分の、同じくゼロと思っていた使い魔が剣の達人だったのだ。それはもう、内心飛び跳ねたいくらい歓喜していた。
 それなのに。
 それもこれも風助が、才人が自分にいいところ見せようとしてるなんて言うもんだから。そこまで言うなら、忠誠の証を立てさせてあげようかと思ったのに。
手を握って祝福してあげることすら、やぶさかでなかったのに。
 勝手にはしゃいで空回りしていただけと知って、ルイズの怒りは頂点に達した。
「あの……るいずさん?」
「掛かる治療費……先生に怒られるのもご主人様なのに……この犬ってば、ちょっと使い魔の役割を軽く考えてるみたい……。
いっぺん、ちゃんと躾とかなきゃいけないわ……」
 低く抑えた声が怖い。ルイズの放つ異様な雰囲気に才人は言うまでもなく、風助までもが気圧される。
「おい、どうすんだよ……これ」
「ちょっと……やべぇかもな」
 風助と才人は互いに顔を見合せると、
「こら! 待ちなさい!!」
 ルイズに背を向け脱兎の如く逃げ出した。
 背後からはルイズの叫びと、それを掻き消す連続した爆発音。広場に残っていた生徒は逃げ惑い、
当事者共々、離れた位置で見物していた生徒に笑いものになっていた。
 笑い声と悲鳴と怒号と爆音が混ざり合って広場に響き渡る。さっきまでの微妙な雰囲気は、すっかり払拭されていた。
 風助は跳ねるように逃げ回りながらも余裕があったが、剣を手放した才人は疲労もあってか徐々に遅れだす。
 風助が周囲を見回すと、物陰から赤髪の女がおいでおいでと手招きしていた。
 何かと思い、足早にルイズから離れる風助。置いて行かれた才人は当然、抗議の声を上げる。
「あぁ!? ずりぃぞ、風助!!」
 才人は他にも何か口走っていたが、狙いを才人に定めたルイズの爆発でほとんど聞こえなかった。
「なんだよ! 勝ったし、無事だったんだからいいだろ!!」
「よかないわよ! あんたはわたしの使い魔なんだから、わたしの為に命を懸けなきゃいけないの!! 
それを、よりにもよってメイドに色目を使う為だなんて――!!」
 悔しい悔しいと連呼しつつ、やたら杖を振り回すルイズ。
 必死に逃げながらも、反論は忘れない才人。
 追いかけっこは、才人が力尽きるまで続いた。


 特大の爆音が遠く響き、シエスタは足を止めた。
 才人の勝利を確認して、いそいそと食堂に戻る途中だった。その為に、無理を言って昼食の片付けを一端抜けさせてもらったのだ。
そうまでして才人の決闘を見に行ったのは、単なる応援だけでなく、好奇心でもなかった。
 自分の責任を果たす為。見届ける義務があると思ったからである。
 才人がギーシュとの再戦を決めた原因の一端はシエスタにあった。そして、モンモランシーの発言もシエスタが頼んだ。
才人とギーシュの双方を煽った行為は、風助の言動を除き、シエスタが意図的に仕組んだものだった。
 モンモランシーはギーシュの浮気騒動から、ギーシュとは微妙な関係が続いていたらしい。決闘直後の駄目っぷりにもほだされて、
そろそろ許してやってもいいと考えていたそうだが、彼女は、そのきっかけを求めていた。言い方を変えれば、口実とも言う。
 シエスタが、彼女とまともに言葉を交わしたのは昨日が初めて。それも風助を挟んで、である。彼女も友達と呼ぶには至らないが、
先日のギーシュの絡みから風助と話はする程度の関係だった。その繋がりで今日、無礼と知りながら彼女に協力を囁いてみたのだ。
勝てば祝福、負ければ慰めが口実になるだろうと。
 もっとも、協力と言っても、ギーシュの背中を押してほしいと頼んだだけ。掻い摘んで事情を話すと、モンモランシーは了承してくれたが、
あまり気が進まない様子だった。彼女からすれば、ギーシュが一方的に才人を痛めつける決闘の片棒を担げと言われたようなものだろう。
同じ立場だったなら、シエスタも困り果てていた。
 違ったのは、風助を知っていたからである。どちらが勝つにせよ、風助はいざとなれば必ず仲裁に入る。きっとルイズに連れられなくても、
最初から広場に向かっていた。才人が勝つ確信があったに違いない。そうでなければ、あんな馬鹿正直に戦いを勧めたりはしない。
 方法は単純と言うか、安直と言うか、考えなしと言うか。褒められたものではないが、彼なりに才人を思ってのこと。少しでも手助けをしたかった。
 ともあれ才人は勝ち、これで未練は断ち切れただろう。ルイズも少しは才人を見直すはず。両者とも怪我もなく終わり、ほっと胸を撫で下ろした。
 さて、あとはもう一つ。風助の主従の問題なのだが、こればっかりはどうしようもなかった。
 シエスタは早朝、風助と交わした会話を思い出す。

「ほら。ミス・タバサのお友達と言えば、ミス・ツェルプストー。彼女は社交的だし、ゲルマニアの出身だから、
風助君が仲良くしたいって言っても、それほど抵抗はないかもしれないよ?」

 思いつく限りで最高の名案。
 人付き合い皆無のタバサが唯一関わるのが、隣国ゲルマニアからの留学生、
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
 ゲルマニアは、平民でも金次第で貴族になれる国だと聞く。ならば、平民蔑視の傾向は少ないかもしれない。
 タバサと親しくなりたいなら、これ以上ない好条件なのだが。

「あんまり、そういうのは好きじゃねぇな。利用する為に近付くみてぇなのは」

 と、一蹴された。
 彼にとって友人関係に打算が入り込む余地はないのだろう。幼さ故の無鉄砲、浅はかさと指摘するのは簡単だが、
そんなところも面白く、放っておけないと思わせる。
 存外損な性分である。彼も、自分も。
 まだ一週間にも満たない付き合いの少年に、すっかり姉気分のシエスタだった。

「そっか。なら仕方ないね。また、何かあったら言って。応援してるから」
「ありがとな。そいつが面白ぇ奴なら、そん時に考えればいいや」

 食堂での企みも見抜いたキュルケである。余計な小細工はしない方が賢明だろうと、気を取り直して歩きだす。後は二人の問題だ。
 風助とタバサ。水と油のような二人だが、なんとか上手くいってほしいとシエスタは願った。



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