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  • The Legendary Dark Zero 38a

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

The Legendary Dark Zero 38a

最終更新:2013年03月30日 19:20

匿名ユーザー

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  • The Legendary Dark Zero



先日のアルビオンからの宣戦布告を聞き及び、すぐにトリスタニアを出発したロングビルはまずはラ・ロシェールの港町へと訪れていた。
トリステインの王軍がタルブに到着したのは明朝であるが、彼女はその数時間前の夜明け頃に到着していたのである。
既にラ・ロシェールは無人だ。酒場や宿屋にさえ人っ子一人いない。恐らくはアルビオン艦隊が攻撃を仕掛け、タルブに陣を張り始めたのを目にして逃げ出したのだろう。
すぐに戦火に巻き込まれるであろう場所に留まるくらいなら、少しでも遠く安全な場所へと逃げ延びようとするのが人の常である。
むしろそうしてもらった方がロングビルとしては都合が良かった。
これから彼女は魔法学院の秘書ではなく、廃業したはずである盗賊となって活動するのだから。

「ずいぶんと余裕じゃないさ……」
切り立った崖の上に位置した高台からロングビル――フーケは遠目に近郊のタルブを不敵な笑みで眺めていた。
高地であるこのラ・ロシェールからは1リーグも距離がないタルブの草原がよく見える。
その広大な草原にはアルビオン……いや、レコン・キスタの軍勢が陣を張っており、上空には十数隻もの艦隊が浮かんでいた。
今のトリステインはまともな戦争を行えるほどの準備は整っていないはずだ。今、あの艦隊で攻め込めば王都トリスタニアを陥落させるのにそう時間はかからず、被害もないはず。
にも関わらず、わざわざこれから来るであろうトリステインの軍勢を迎え撃とうとしているのだ。
それは力ある者の余裕なのか? 軍勢が動き出す前に徹底的に攻めれば確実な勝利が得られたであろうに、それをみすみす逃すとは。
たとえトリステインの軍勢が迎撃に出てきたとしても、絶対に敗れないという自信でもあるのか。ここでトリステインの軍勢を完膚なきまでに叩きのめし、力を誇示する気なのか。
「悪いけど、そう易々とはいかないよ」
何も奴らが戦うことになるのはトリステインの軍隊だけではない。戦争では様々な不確定な要素が付き物だ。
もしもトリスタニアまで攻められれば、孤児院に預けているたった一つ残された宝物であるティファニアの身に危険が迫ることになる。
あの子を守るためにも、奴らを食い止めねばならない。
口端を微かに歪ませたフーケは酒場から拝借してきたグラスに注がれているワインを一飲みにした。
これは何でも今、あのレコン・キスタによって占領されているタルブで採れる良質のブドウによって作られたものだという。
トリステイン産のワインの中でも五指に入る名産であることはフーケも知っていたが、確かにその噂に恥じぬ味だ。

「ん……」
ふと、フーケは視界に入ってきたものに視線をやった。
レコン・キスタの軍勢が陣を張り、艦隊が上空で静かに身構えている草原の手前に新たな勢力が行進してきたのが見える。
「ようやくご到着かい」
どうやらトリステインが率いる軍隊のようだ。見た所、数はレコン・キスタよりも少ない。
だが、その差はレコン・キスタ側の半分以下にもならない。多少不利ではあるがそれでも圧倒的というわけではないだろう。
しかし、それは地上部隊同士で考えただけのこと。レコン・キスタ側には空からの艦隊という強大な戦力があるのだ。
これでは結果的にトリステイン側の圧倒的不利は確実だった。
「……さて、私も一暴れをしてやろうかね!」
フードを目深に被り、眼鏡を外したフーケは好戦的な笑みを浮かべると、高台から町の入り口に繋いである馬の元へ向かう。
土くれのフーケがこれまで盗んできたのは、数々の貴族の宝。それは自分達から大切なものを奪っていった者達への復讐と報復も兼ねた活動だった。
だが、今回盗むのはいつもとは違うものだ。
自分達から大切なものを奪っていったレコン・キスタへの復讐、報復。
そのために奴らが今、何よりも大事にしているものを、これから手にしようとするものを奪い去る。
『土くれのフーケ』を敵に回せばどうなるか、たっぷりと思い知らせてやろう。
「これで貸しは返してやるさ」
馬に乗り込んだフーケは標的がのさばる戦場を目指して走らせる。
レコン・キスタから『絶対なる勝利』を盗むため、そして恩人である伝説の悪魔の力になるために。


ラ・ロシェールより少し南、タルブの草原北部の手前で陣を張ったトリステイン軍の前方数100メイル先より敵の軍勢が見える。
掲げている旗はかつてのアルビオン王家の紋章であった赤地に3匹の竜が並んだ意匠ではなく、王家を滅ぼした反乱軍レコン・キスタの三色の旗が代わりに振りかざされていた。
静々と進軍してくる敵を前に、トリステイン軍は迎撃態勢をとる。メイジを主力とした各連隊が杖を構え、近衛の魔法衛士隊、そして竜騎士達は己が騎乗する翼持つ幻獣や竜をいつでも飛ばせるように準備する。
だが、敵は地上の部隊だけではない。空にはアルビオンの竜騎士達が飛び交い、さらに巨大なレキシントン号を筆頭とした艦隊が浮かんでいるのだ。
ただ空に浮かんでいるだけで発せられる圧倒的な威圧感、全てを押し潰してしまいそうな重圧がトリステイン軍にのしかかり、兵達の緊迫が張り詰めていく。
(落ち着きなさい……落ち着くのよ。アンリエッタ)
最後尾の本陣でユニコーンに跨るアンリエッタは直接目にする敵に打ち震える。
だが、決してそれを他の者に悟らせてはならない。大将たる自分が取り乱せば瞬く間に軍は混乱し、潰走してしまうだろう。
再び湧き上がり出した恐怖を打ち消すため、アンリエッタは始祖へ、母へ、そしてウェールズへと祈りを捧げた。

――ドォンッ! ドォンッ! ドォンッ!

耳をつんざく大砲の轟音。それと共に響き渡る悲鳴。地震のように揺れる大地。
勇気を出して、アンリエッタは目を開き目の前に映る光景を目にする。
艦砲射撃だ。アルビオン艦隊の舷側が光り、次々と砲弾が地上目掛けて飛来してくる。
そのいくつかは空中に作られた空気の壁に阻まれて砕け散る。
マザリーニと将軍達の指示によってメイジ達が一斉に魔法で作り出したのだ。1000以上もの数になるメイジ達によって作られた空気の壁は強力な砲弾を受け止められるだけの力を備えていた。
だがそれでも完全に防げるわけでもなく、何発かは威力を減殺されつつも地上に降り注いだ。
地面を抉り、砕け散る砲弾は兵達を次々と吹き飛ばしていく。まともに砲撃を受けた最前線から悲鳴が上がる。
「殿下。砲撃が終わり次第、敵は突撃を仕掛けてきますぞ。お覚悟はよろしいですな?」
「分かっていますわ」
近くに寄ってきたマザリーニがアンリエッタに語りかけてくる。
アンリエッタが内に抱き、隠していたと思っていた恐怖を初めから悟って確認してきたのだ。
「我々に勝算はありますか?」
「五分といった所でしょうかな。今の所、アルビオン軍はどうやらあまり本気を出していない様子です」
「……舐められたものね」
マザリーニの言葉にぼぞりとアンリエッタは呟く。
あれだけ空からの艦隊による支援を受けている軍勢の数は3000。対してこちらは空からの砲撃で損害を受けていく2000の軍。
アルビオン軍は数時間前の朝にこのタルブへと到着したトリステイン軍に対し、何もしてこなかったのだ。
こちらが陣を張っている間であっても砲撃も進軍もせずに沈黙し、こちらに悠々と迎撃の準備を整える時間を与えてくれたのだ。
これがもしも初めから本気で攻めてきたのであれば、下手をすれば陣を構えている最中に全滅していたのかもしれない。

にも関わらず、それをしなかった。……つまり、自分達は敵に馬鹿にされているのだ。
たとえ陣を張って迎え撃とうが、容易く破ってやると。屈服させ恐怖を味合わせてやろう、と。
トリステイン側としてはその時間を与えられたことは好都合であったが、同時にそのように見くびられたことにアンリエッタは内心怒りを感じずにはいられなかった。
(ならば、私達の勇気を示すのみ)
杖を握り締め、アンリエッタは散発的に砲撃を加え続ける敵の艦隊をきっと睨み上げていた。
愛するウェールズが勇気を示し、敵に立ち向かっていたのであれば、己もまたそうせねばなるまい。
たとえ敵が3000の軍勢だろうが、巨大な戦艦であろうが……悪魔であろうが。

「おい! 何だあれは!」
これから飛び立とうとしていた竜騎士隊の一人が当惑した声を上げだす。
その声に他の兵達が、将軍達が、アンリエッタとマザリーニが反応して空を見上げた。
上空およそ1000メイル。そこには昼空の中にアルビオンの艦隊が遊弋し、飛び交う敵の竜騎士達の姿だけが見えているはずだった。
だが、その空域にもう一つの影がどこからともなく飛び込んでくるのをトリステイン軍ははっきりと見届けていた。
その青空と同じ青い影にアルビオンの竜騎士達が次々と襲い掛かっていく。火竜が火炎のブレスを吐きかけ、騎乗している騎士が魔法を放つ。
難なくかわした影から逆に無数の魔法が飛び、竜騎士達が散開して回避した。
「例の風竜だ!」
「魔法学院の生徒とかいうやつか?」
「何故、こんな所に子供がいるのだ!」
「まったく、遊びではないのだぞ!」
兵達から次々と様々な声が上がる。困惑に驚愕、そして癇癪。
アルビオンの竜騎士と交戦を始めたのは一騎の風竜だった。遠目であるため搭乗者はよく見えない。
だがアンリエッタはその姿を目にしただけで、誰が乗っているのかがすぐに理解できた。
(ルイズ。決して無理はしないで……)
魔法学院の生徒の一人が使い魔として使役していた風竜。それに乗っている一人は彼女の大事な親友。
己の意思で侵略する敵に立ち向かい、この国を守るために杖を取ってくれた心強い味方だ。
アンリエッタは感謝と同時に、彼女を戦争に巻き込んでしまったことに対する負い目を感じていた。
だからこそ、自分も彼女に何か力になれることをしてあげたい……。
「マザリーニ枢機卿。竜騎士隊に伝達を」
「はっ」
「敵竜騎士隊と交戦しているあの者達の援護を。彼女達は我らに味方する友軍です」
だがあくまで大将として、アンリエッタは毅然とした態度で命令を下す。
マザリーニはその指示に対して静かに一礼すると、すぐに竜騎士隊へ号令をかけていった。
艦隊からの砲撃は続き、徐々に風の障壁による防御を打ち破っては軍の被害が増大していく。
このままでは突撃してくる敵軍を迎え撃ったとしても易々と突破されてしまうだろう。
親友が自ら戦争に身を投じ、自軍の勝算が限りなく薄いこの現実にアンリエッタは切ない表情を浮かべてそっと目を伏せる。
「殿下。そのようなお顔をなされては、士気に関わりますぞ」
「……分かっています」
マザリーニより咎められたアンリエッタは暗然とした表情を何とか毅然に戻そうとした。
親友が必死にこの国を守るために力を尽くしてくれているのだから、自分も大将らしくせねば……。
(何?)
目を開けた途端、アンリエッタは辺りの景色に違和感を覚えていた。
時刻は昼前。たった今まで雲一つない晴れ上がっていた青空の下には煌々としたタルブの昼の大地と何千もの兵達がひしめいているはずだった。
だが、今はどうだろう。まるで曇りとなってしまったように薄暗くなっているではないか。
おまけにその暗さも微かだが徐々に強さを増しているのが分かる。まるで晴天の昼であったのが突然にして曇りの黄昏へと移り変わっていくような……。
(太陽が……)
ふと、空を見上げるとこれまで大地を照らし続けていた太陽を横から覆い隠していくものが見える。
それは紛れもない、二つに重なった月である。このままいけば、太陽はあの月によって遮られてしまうだろう。
そういえば今日はハルケギニアでは13年ぶりとなる皆既日食の日だったことをアンリエッタは思い出した。
幼少であった頃に一度だけ、まだ健在で政治の杖を握っていた先王――父ヘンリー、母マリアンヌと一緒にトリスタニア王宮の庭から見たのが最後だった。


徐々に、だが確実に暗くなっていくハルケギニアの大地と空。
タルブ上空を縦横無尽に飛び回る無数の竜達は変わりゆく周囲の環境を意識する暇もなしに戦いを続けている。
突如として一匹の風竜が空域に飛び込んできた時のを確認すると、竜騎士達は忌々しそうに睨みつけるなり次々と魔法と火竜のブレスを放ったのだ。
先制攻撃は高度を落とされてあっさりとかわされ、搭乗している二人のメイジから逆に魔法の洗礼が浴びせられた。
即座に散開してかわすと、風竜は緩やかに上昇して竜騎士が組んでいた編隊の後方へと回り込んでくる。
風竜がそうして突撃と離脱を繰り返しては二人のメイジが魔法を放って竜騎士達を翻弄していた。
「小生意気な小娘どもめ!」
「今度こそ引導を渡してやる!」
20騎に対してたかが1騎の敵であったが、アルビオンの竜騎士達にとってはそれはあまりにも忌まわしい存在であった。
先日の露払いの任務を邪魔してくれた生意気な連中。トリステインの兵ではない、たかが子供ごときにこうも舐められてはアルビオン竜騎士隊としての誇りが許せない。
「全騎、このまま奴を取り囲め! 決して逃がすな!」
風竜に搭乗している三人の少女達を屈服させんがために、竜騎士隊長は火竜を反転させながら大声で号令をかけた。

何度目か分からぬヒットアンドアウェイを続けていると竜騎士達は大きく散開して手早く行動に移り上下左右後方とシルフィードを完全に取り囲み、一斉に魔法と竜のブレスを浴びせかけてきていた。
風の刃が、火炎の礫が、火竜のブレスが次々と襲い掛かる。
20もの敵に囲まれ、これだけ怒涛の攻撃を集中的に食らえば普通はひとたまりもないだろう。
「これであと二つ」
シルフィードを操るタバサは迫りくる攻撃に落ち着いたままスパーダより預かっていた金色に光る石、アンタッチャブルを頭上にかざす。
アンタッチャブルはタバサの手の中で発光しながら溶けてゆき、タバサだけでなく共に搭乗するルイズとキュルケ、そして使い魔であるシルフィードまでも黄金の光で包み込んでいた。
「掴まっていて」
その言葉に二人はシルフィードの体に強くしがみ付く。
次の瞬間、シルフィードと三人の体が敵の猛攻に包まれた。パンドラを抱えていたルイズは思わず目をつぶる。
体に次々と何かが当たるような感触と衝撃を覚えるものの、不思議と痛みや熱さは一切感じられない。
それでも強烈な攻撃が命中していることに変わりはなく、一発一発が当たる度にルイズの華奢な体は吹き飛ばされそうになるが、死に物狂いでシルフィードの体にしがみ付いて堪えていた。
「きゅい、きゅいーっ!」
シルフィードの体にも当然命中しているのだろう。悲鳴が上がっている。
「ウィンディ・アイシクル!」
「フレイム・ボール!」
攻撃が止んだ途端、タバサとキュルケは反撃へと転じたようだ。
ルイズが目を開くと、黄金の光に包まれたままの二人は濛々と立ち込める煙の外に向けて魔法を放っていた。
「ぐわあっ!」
「ぎゃあっ!」
煙の向こう側から次々と竜騎士達の悲鳴が聞こえてくる。二人の攻撃が命中しているのだろう。
こんな高々度で叩き落されれば地上に墜落するしかない。

「ば、化け物か!? こいつら!」
煙の中から颯爽と飛び出してきた黄金の光に包まれるシルフィードの姿に竜騎士達は戦慄する。
あれだけの猛攻を受けたというのに全くの無傷とは、一体どういうことなのか。先日も似たような光景を見ていた彼らは不死身と言わんばかりの怪物を相手にしているような気分になっていた。
おまけにその上に乗るタバサとキュルケがお返しと言わんばかりに連続で攻撃魔法を放ち、竜騎士達を圧倒していく。
キュルケの炎の魔法が火竜の体を焼き、体内にある火炎のブレスを吐き出すための油が詰まった袋に引火し、急激に燃え上がり爆発した。
タバサの氷の矢が四方八方に絶え間なく拡散し、火竜の喉を、翼を貫き容易く撃墜する。
いくら空を自由に舞える竜とはいえ、それはいわば的の大きな肉塊といっても過言ではないのだ。
それは風竜であるシルフィードにも同じことが言える。
だが、今はアンタッチャブルの発する強力な結界によって無敵に近い耐久力を得ている以上、竜騎士達にとってはあまりにも大きなハンデを負わされていたも同然だ。

「すごい、すごい! 天下無双と謳われていたアルビオンの竜騎士がこうも簡単に倒せるなんて!」
ルイズはパンドラの箱を両手で抱えている都合上、戦闘に参加することができなかったが、目の前で繰り広げられる光景に思わず興奮してしまっていた。
「全部ダーリンの秘薬のおかげよ。本当、ダーリンには感謝しなくちゃね!」
キュルケはシルフィードの背の上で立って思う存分に、本能に身を委ねながら、強烈な炎の魔法を放っていた。
杖の先から伸びる幾重もの太い炎が重なり螺旋を描き、巨大な渦と化して竜騎士達へと殺到していく。キュルケが渾身の一撃で放った大技だ。
このようにトライアングルクラスのメイジといえど本来ならば一日に一、二発しか使えない技であっても、アンタッチャブルの効果によって精神力はまるで削られることがない。
これをチャンスとばかりにキュルケは次々と大技を用いて竜騎士達を圧倒していた。
「そろそろ効き目が切れる。一度態勢を整える」
前に一度使ったことがあるタバサは、アンタッチャブルの効果が切れかけている感覚を覚えていたのでこれ以上の無茶な攻撃は辞めることにした。
個人に使った場合、およそ一分程度しか持続しなかったのだが、これだけ複数となるとやはりその効き目の時間も分散されてしまうみたいである。
だが、効果が持続するこの10数秒間で敵に囲まれていた所から離脱しただけでなく、その数を半分近くにまで減らせたのは大成と言えるだろう。
スパーダが数々の秘薬を残してくれなければ、決してここまでの成果を挙げることはできなかったに違いない。

タバサは自分達の攻撃で編隊が崩れてしまっている竜騎士隊から一度離れるためにシルフィードを反転させ、高度を上げていた。
ちょうどその時、アンタッチャブルの効果が切れたようで彼女達を包んでいた光が消え失せる。
残る二つのアンタッチャブルもいざという時の切り札として使った方が良いだろう。
「来たわね。もうすぐよ」
シルフィードの上で膝をつくキュルケがさらに上空を見上げながら呟く。
もう太陽は半分近くが月に覆い隠されているために大分暗くなっており、日食が始まる前に比べると空も地上も視界が悪くなっていた。
澄み切っていたはずの青空は濁った水のような緑色の不気味なものと化していく。
まるで嵐が訪れる前の静けさのような不気味な前兆のようにも思える。
完全な日食となるまでもうあと30分も残されていない。
それまでにできるだけ、アルビオンの軍勢を何とかせねばならないのだ。悪魔達と一緒に攻めてこられたら、トリステイン軍も一たまりもない。
「ねぇ、あたし達でどうにかして戦艦を落とせないの?」
「それは無理」
パンドラを抱えながらルイズが言うが、タバサはにべもなく返す。
「でも、王軍にどんどん攻撃を仕掛けてるじゃない!」
アルビオンの艦隊はこの空からトリステイン軍に容赦ない一方的な砲撃を加え続けているのだ。今もまた舷側が光ると同時に轟音が轟き、砲弾が地上目掛けて飛んでいく。
特に巨艦、レキシントン号は舷側だけでなく底部からも無数の砲身が突き出て砲弾の雨を降らせているのだ。
普通に考えれば近づくことさえ間々ならないが、友人のアンリエッタ王女が危機に瀕していることで高ぶっていたルイズはそこまで考えることはできなかった。
「しょうがないでしょ。ダーリンから預かった秘薬だって数は限られてるんだし」
キュルケがため息を吐きながら言う。
スパーダの残した秘薬の内、アンタッチャブルとスメルオブフィアーを駆使して特攻を仕掛ければ可能性があるかもしれないが、これは悪魔の軍勢との戦いに温存せねばならないのだ。
「とにかく今はあの竜騎士を……って、あら?」
いざ再び敵と交戦すべく杖を構えたキュルケであったが、竜騎士達の方を振り向いて怪訝な顔を浮かべた。ルイズも同様に顔色を変える。
気が付けばアルビオンの竜騎士隊とは別の竜騎士達が浮上してきて魔法で攻撃を仕掛けていたのだ。
シルフィードに完全に気を取られていたらしい竜騎士達は、真下からの奇襲攻撃によって次々と撃墜されている。
中には反撃で何騎かを返り討ちにしている者もいたが、すぐに別の竜騎士によって仕留められた。
三人は呆然としながらその光景を見届けている。あの竜騎士達は……。
「トリステインの竜騎士隊!」
はたと気付いたルイズが大声を上げて驚いていた。


たとえこれから日食が起こり闇が訪れようとも、アルビオン艦隊からの艦砲射撃は容赦なく続いていた。
遥か上空に浮かぶ巨艦に対する対抗手段を持たないトリステイン軍は一方的なその砲撃を耐え続けるしかなく、さらにこの後には前方より進軍してくる地上部隊と激突しなければならないのだ。
敵は空からの絶大な支援を受けた3000の兵力。このまま正面からぶつかればトリステイン軍に勝ち目はないだろう。
「間抜けなトリステイン軍を蹴散らせー!」
「アルビオン万歳! 神聖皇帝クロムウェル万歳!」
草原の中を進軍し続けている地上部隊の兵達は空からの砲撃で無様に蹴散らされていくトリステイン軍を目の当たりにして次々と歓声と唱和が上がっていた。
既に艦隊を失っているトリステイン軍は先日の領軍のように無謀にも自分達アルビオン軍に戦いを挑んできた。
兵力も文句なし、さらに地の利を味方につけたこの戦いは、アルビオン軍の絶対的な勝利で終わることだろう。
誰もがまだ実現していないはずの勝利に酔い痴れ、そして確信しては歓声を上げている。それによって士気がさらに高まっているのは確かだった。
対してトリステイン軍はこの艦砲射撃で完全に浮き足立っている。攻め込むのは今だ。
「ふはははっ! 敵の被害は甚大だ! 全軍、突撃! 突撃ぃ! 一気にトリステイン軍を一網打尽にせよ!」
『おおーっ!』
勇ましい雄叫びが上がり、3000の部隊はここから一気にトリステイン軍目掛けて突撃しようとした。
盆地を駆け抜け、小高い丘を上がればそこはもう敵の陣地なのだ。
一気に勝負をつけてやる。誰もがそう思い、次々と敵を蹴散らしていく場面を夢想したことだろう。
「な、何だ!?」
「うわあっ!」
草原の中に、兵士達の悲鳴が上がった。
ただし、それはアルビオン軍の兵士達のものである。
最前線の兵達が盆地に足を踏み入れた途端、その体が地面へとずぶずぶと沈んでいったのだ。
固い地面が突如として泥の沼地のようなぬかるみへと変化し、足を取られた兵達は為す術もなく大地に吸い込まれていく。
「ど、どうしたというのだ!」
「た、助けてくれえ!」
いつの間にか盆地の地面は草原から湿地帯へと変わり果てており、勢い余っていた兵達はすぐに止まることができず、突如として現れた湿地に突っ込んでは足を取られ、体に絡みつく泥と共に沈んでいく。
あまりの出来事に混乱し、湿地に突っ込んでは溺れ、浮き足立ってしまった兵達より後方の部隊が急停止していた。
だが、混乱はこれだけに留まらない。
「こ、今度は何だ!?」
地上部隊の中心の地面が大きく盛り上がると、その上に立っていた兵達を吹き飛ばしていく。
「ゴ、ゴーレム!?」
「一体、どういうことなんだあ!」
盛り上がった地面は瞬く間に形を変えていき、20メイル以上にもなる巨大な土くれのゴーレムが姿を現していた。
思いもよらぬ出来事が連続して発生し、兵達の混乱は広がっていく。そんな間抜け面なアルビオンの兵達などお構いなしに、ゴーレムは巨腕を振るい始めていた。


「ざまあないねぇ」
トリステイン軍とアルビオン軍がぶつかり合う戦場より300メイルほど北東に逸れた林の中で、フーケはほくそ笑んでいた。
錬金によって沼地へと変えた罠にまんまと引っ掛かり、自分が操るゴーレムが次々とアルビオンの兵達を薙ぎ倒していく様に彼女の溜飲が下がっていく。
有頂天になってのぼせ上がった連中ほど脆いものはない。ちょっとした不確定要素が起きれば簡単に秩序や統制が乱れるものだ。
土くれのフーケとしての本領を発揮していた彼女はアルビオン軍から『勝利』を盗むべくこのまま暗躍を続けることにした。
「さあて、トリステインはどう動くかしら」
既にフーケの暗躍によってアルビオン軍は相当な打撃を受けている。ゴーレムはこのまま暴れさせておくとして、
これだけアルビオン軍が潰走状態に陥っているならばトリステイン軍は反撃を仕掛けてくるに違いない。
地上部隊はこれで何とかなるが……。
フーケはちらりと、黄昏のように暗くなった空を見上げた。
そこには十数隻の戦艦が浮かんだままであり、全くの無傷だ。さすがの彼女でも空の上の相手となると手出しができない。
「……彼らが落としてくれるのかしら」
竜騎士隊と交戦した風竜に少女達と共にスパーダが乗っているとフーケは思っていた。
いくらメイジの魔法でもあれだけの巨艦を撃墜するのは難しいが、伝説の悪魔たる彼の力ならば蚊トンボのように叩き落してしまいそうで、思わず苦笑する。


「全滅!? たった30分足らずで全滅だとぉ!?」
タルブ草原の上空より戦列艦と共に艦砲射撃の実施を続けていたレキシントン号の後甲板で艦隊司令長官ジョンストンは喚き声を上げて荒れていた。
彼はたった今、戦況を伝えにきた伝令からの報告を受け入れることができず、逆に激昂する。
「敵は一体何騎なのだ! まさか百騎単位で兵を隠していたとでも言うのか!」
「サー。そ、それが……報告によれば1騎によって過半数がやられ、それにトリステイン軍の竜騎兵によって残りもやられたと……」
「ふざけるな! 竜騎兵はまだしも、その1騎とやらに乗っているのはたかが女子供だという話ではないか! 冗談も休み休みに言えっ! 馬鹿者め!」
怒りに身を任せ、ジョンストンは己の帽子を乱暴に甲板へと叩きつけた。
その恐ろしい剣幕に伝令は怯えて後退り、思わず尻餅をついてしまった。
「伝令!」
「今度は何だ!」
そこへ別の伝令が慌てた様子で駆け寄ってくるが、怒りが治まらないジョンストンは血走った目付きで睨みつけた。
「地上へ降ろした上陸部隊がトリステイン軍と交戦! 劣勢に立たされている模様! ……ひっ!」
ついにジョンストンは血相を変えてその伝令へと掴みかかっていた。
「劣勢だとぉ? 貴様、今何と言った! 我が軍がトリステインに負けているだと! 馬鹿を言え! 敵はたかが2000足らずだ! こちらは3000で錬度も勝る!
それにこの空からあれだけ砲撃を加えたのだぞ! 偉大なる我が軍が敗走する要素などあるはずがないではないか!」
烈火のごとく怒り狂い、大声でまくし立てるジョンストン。もはやそこには総司令官など存在せず、思い通りにいかず喚き立てるただの無能な政治家しかいなかった。
「我が艦隊からの砲撃で、敵軍に損害は与えられたのです。しかし、突撃を仕掛けた途端に前線が沼地にはまり、おまけに突然現れた巨大なゴーレムによって次々と蹴散らされたことで我が軍は完全に混乱に陥れられ……」
怯えながらも必死に報告を伝える伝令であったが、逆にジョンストンの神経を逆撫でる結果しかもたらさない。

「たかがトリステインごときの罠に嵌りおって! 役立たず共めが!」
「落ち着かれよ、司令長官殿。そのように取り乱しては士気に関わりますぞ」
傍に控えていた艦長ボーウッドはそれらの報告を受け止めても顔色一つ変えずに冷静でいた。怒りに任せて杖を引き抜こうとしたジョンストンに手を出し、見咎める。
「何を抜かすか! 竜騎士隊が全滅したのも、地上部隊が敗走したのも全ては貴様の責任だ! 貴様の稚拙な指揮がこの事態を招いたのは明白なのだ!
良いか! この失態はクロムウェル閣下に報告させてもらうぞ! いいな! 報告するぞ!」
怒りの矛先がボーウッドへと向けられ、無意味に喚きながら杖を突きつけるジョンストン。
だが、ボーウッドはため息交じりに素早く杖を引き抜き、ジョンストンの腹目掛けて叩き込む。
その一撃で昏倒したジョンストンをすぐ従兵に運ぶように命じた。実に手際の良い行動だ。
(初めから眠ってもらっておいた方が良かったな)
「竜騎士隊が全滅し、上陸部隊が潰走したとしても我が艦隊は無傷なのだ。作戦行動全体に支障はもたらされていない。諸君らは安心して勤務に励みたまえ」
心配そうに見つめる伝令達に向かって冷静に、落ち着き払った声でボーウッドは告げる。
ホッと一安心した様子で、伝令達は自らの配置へと戻っていく。
「トリステインの底力、というやつか」
素直にボーウッドは敵であるはずのトリステインに対して称賛の意を込めて呟く。
たった1騎だけで10騎以上の竜騎士を討ち果たしてのけたという風竜のメイジ。そして傷つきながらも策略によって3000の兵を返り討ちにしてみせたトリステイン軍。
どちらもまさに『英雄』と呼ぶに値するかもしれない。
だが、いかに個人が力を見せようが、策によって地上の兵を罠に嵌めようが現実は厳しいものなのだ。
その現実を突きつけてやらねばなるまい。
「艦隊微速前進。面舵」
ボーウッドは感情の一切を殺し、冷徹に命令を下していく。
薄闇の遥か眼下に見えるタルブの草原で潰走するアルビオン軍を蹴散らしていくトリステイン軍が見える。
「左砲戦及び下方戦準備。これより残存勢力の殲滅にかかる」
矢継ぎ早に命令を下していくボーウッドであったが、彼はこの戦に何か違和感を覚えていた。
何かが足りない。……そう、足りないのだ。
それが何であるか、すぐにボーウッドは察することができた。
(あの化け物達が現れないな)
あの革命戦争はもちろんのこと、先日の上陸戦においても突如として姿を現していた異形の怪物達。
貪欲に血肉を求め、残忍な殺戮をもたらすこの世のものではない異形の存在。それが今日に限っては未だ姿を見せていない。
これだけの戦闘が行われていると決まって現れるはずの奴らが、一匹たりとも現れる気配がないのだ。
(雰囲気としては合っているかもな)
黄昏のように暗くなった空を見上げると、十数年ぶりの日食によって八割以上が覆い隠された太陽が見えていた。
強いて言うならば、この闇こそが奴らが姿を見せる前兆なのかもしれない。


「ちょっと、何なのよあのゴーレム!」
100メイルほどの高度にまで降下してきたシルフィードの上でルイズは仰天していた。
「ま、敵じゃあないみたいだけど。この際、どうでも良いわよ。敵を蹴散らしてくれてるし」
キュルケもルイズほど極端に驚いてはいないが、やはりいつもの楽観的思考ですぐに受け流す。
アルビオンの竜騎士を撃退し、トリステインの竜騎士隊と共に地上のトリステイン王軍を支援するべくこうして降下してきたわけだが、そこでは目を疑う事態が起きていた。
トリステイン軍と対峙していたはずのアルビオン軍は見るも無残な状況に陥っていたのである。
前線の兵達は何故かあるはずのない沼地にはまって身動きが取れないでいるし、その後方では巨大なゴーレムが巨腕を振るい、次々と兵達を薙ぎ倒しているのだ。
一体、誰があのゴーレムを呼び出したのだ? ルイズは訳が分からずに戸惑っていた。

ただ、タバサだけはあのゴーレムを操っているメイジが何者なのか、見当がついていたのだが。
恐らく沼地を作り出して罠に嵌めたのもその土のメイジの仕業なのだろう。彼女ならばこの程度の策謀は容易いはずだ。
「この調子なら地上はトリステインだけでも何とかなりそうね」
トリステイン軍は完全に混乱しているアルビオン軍に反撃を開始していた。攻められる側であったはずが逆に攻める側へと移り変わる。
艦砲射撃で損害を受けたとはいえ、まだ3/4もの兵がトリステインには残されているのだ。対してアルビオン軍はイレギュラーによって既にその統制は乱れて浮き足立っている。
最前線の兵達が突撃を始め、ルイズ達と同じように降下してきた竜騎士達が空から攻撃を仕掛け、未だ混乱が収まらないアルビオン軍を打ち負かしていった。
数で勝っていたはずの敵軍を逆に押し潰してしまいそうな勢いであることは、素人目にも明らかだった。
(姫様。どうかご無事で……)
ルイズはちらりとトリステイン軍本陣の方を見やる。この分ならアンリエッタ王女は無事なのだろうと少し安堵していた。
……今の状況では。
「残るはあれだけね」
空からは未だ無傷の艦隊が艦砲射撃を続けている。地上部隊は全滅させたとしても、あの艦隊を何とかしなければ結局はトリステインの敗北は決まってしまう。
「もう……スパーダがいてくれれば、あんな棺桶とっとと叩き落してやるっていうのに」
スパーダは未だ魔界から戻ってこない。スパーダの視界も見えないし、彼が今何をやっているのかさえルイズには分からない。
パートナーが帰還せず、現在の最大の敵である艦隊に手出しができないがためにルイズはやきもきとしていた。
「だったら戻ってくるまで粘りましょうよ」
「約束の時間も守れないなんて、パートナーの自覚があるのかしら……ったくもう」
いつまで経っても自分達の元に戻ってこないスパーダに対するルイズの不満と苛立ちは更に強くなっていく。
この負の感情を憎らしい巨大な棺桶らを今一度睨んでぶつけてやろうと、空を見上げた。
「……あ」
途端に、ルイズは目を見開き愕然とする。キュルケとタバサも同様に天を仰ぎ、そこにあるものを目にしていつにない真剣な表情となった。
「……いよいよよ。覚悟はいい?」
キュルケの言葉に杖を構えるタバサははっきりと頷く。
黄昏のような闇の中、頭上1000メイル以上もの高さの空に浮かぶアルビオンの艦隊。それよりも遥か天の彼方に、数百メイルに及ぶ巨大な軍艦より恐ろしいものがあった。

大地に恵みの光をもたらしていたはずの太陽は、今や二つに重なった月により完全に覆い隠されている。

月に一度のスヴェル。そして、十数年ぶりの皆既日食。

暗黒の闇が太陽を、白き光を跡形もなく喰らい尽くしていた。



――時は満ちた。

魔界の辺境、最深部に位置するその領域は暗黒の闇の中に、巌々とした岩山が幾重も連なっていた。
深く切り立った谷には禍々しい濃い瘴気が充満し、岩盤からも魔界の瘴気が溢れ出るほどに荒みきっている。
この過酷な環境の中で生き残れる悪魔は、力ある強者たる証でもある。

――今こそ、修羅を制する我らが異世界へと降臨せし時。

この領域の支配者たる『羅王』は十万を軽く超す軍勢を統べし絶対なる覇者の一角。
力ある強者のみが全てを支配する魔界の理に適った修羅の王。

――貴様達も待ち望んだことだろう。己の力を存分に振るえる時を。

煉獄の空間に羅王と共にひしめくは、羅王が覇をもって従えし血に飢えた闇の世界の住人達。
力を持て余していた彼らはこの険しい大地が広がる空間の中で、時に同胞同士で争い合うこともあった。
その度に、長たる羅王は自らの力を持って同胞達を静めていた。絶大なる力の前に魔の住人達はひれ伏すのだ。

――だが、安心するがいい。貴様達が狩るべき獲物はすぐに与えてやろう。

異世界の存在を知っておよそ1000年。羅王は長きに渡り己の力の回復を待ち、侵攻する機会を窺っていた。
羅王の従えし幾万もの兵達もまた、その異世界の先で力を振るうことを待ち望んでいたのだ。
その時が、今ようやく訪れたのである。

――さあ、喰らい尽くせ。存分に力を振るえ。血肉を求め、破壊するがいい。

己が従える膨大な数の軍勢。そして、己自身が求めていた破壊と殺戮。
圧倒的な力と兵を持って、全てを滅ぼし破壊し尽さんがために、異世界へ通じる次元の壁を突き破り、今扉が開かれる。
壁を通してでも、その向こう側では既に新たな争いの火種が蒔かれているのが分かっていた。
だが、その火種はあまりにも小さい。それを覇者たる羅王と修羅なる者達の手で大きくするのだ。
破壊と混沌。それこそが、修羅の世界を生きる者の全てなのである。

――いざ行かん。我らが制すべし、異世界へ。





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