34話 第一回放送
夜が明け、殺戮ゲームの舞台となっている島にサイレンが鳴り響く。
定時放送の始まりを知らせる合図だと言う事は、生存者達はすぐに気付いた。
そしてサイレンが終わった後、運営側の人間――吉橋寛和の声で、第一回目の放送がスタートする。
『おはよう……俺だ、吉橋だ。
朝の六時になったから、一回目の定時放送始めるぞ。
寝てる奴がいるならもう起きろよ? 聞き逃しても知らねぇからな~。
じゃあまず禁止エリアからな。
今から一時間後、午前七時より、
B-2
B-3
B-4
F-4
F-5
の五つだ。
繰り返す。午前七時より、B-2、B-3、B-4、F-4、F-5の五つ。
分かったな? ちゃんとメモ取るなりなんなりしてるな?
次行くぞ……次はいよいよ脱落者の発表だ。男女別五十音順で言うぞ。
以上、27人。残りは37人だな。
やる気になっている奴が多いみたいで嬉しいよ。良いペースだからこの調子で頑張ってくれや。
それじゃ次の放送は正午だからな、また俺がやるのかどうかは分からないけど、
また放送聞けるように生き残れよーじゃあなー』
放送が終わり再びサイレンが鳴り響いた後、島に静寂が戻る。
次の放送までに島に轟くのは、銃声か悲鳴であろう。
◆◆◆
放送を終えた寛和は椅子にもたれて一息つく。
そこへ書類を携えた朋佳がやって来た。
「おう朋佳」
「お疲れ様です……しかし今回も性行為に及んでいる参加者がちらりほらりと」
「いつ死ぬか分からねぇし生殖本能や欲望が首をもたげるだろうから、多少はね?」
「多少どころじゃない人もいますがそれは……まあ別に良いんですけどね。
ちゃんとゲームを進行させてくれれば」
バトルロワイアルと言うゲームの中で参加者間での性交は珍しく無い。
和姦であれ強姦であれ、同種姦であれ異種姦であれ、
いつ死ぬか分からない状況で欲望、本能が理性を上回るのはある意味当然の成り行きであろう。
ただ、全員が全員そんな事をしていてはゲームが進まなくなるので、
殺し合いはしっかりして欲しいと二人は思う。
もっとも、参加者達は肝心の殺し合いもきちんと行ってはいるようだが。
寛和は両腕を高く伸ばした後、仮眠室へと向かった。
朋佳はもう少し業務を行ってから同じく仮眠を取る事にした。
【残り37人】
最終更新:2014年03月06日 20:43