MAD BREAKER

33話 MAD BREAKER

少し熱めのシャワーを全身に浴び、竜人少年コンラートは身体の汚れを洗い落とす。
同行者・保土原真耶に強要されて行われた数々の行為で、
汗と体液塗れになってしまった身体のままではいられない。
股間のスリットから己のモノを出してそこも洗う。
元はと言えばこの、年不相応なサイズのモノのせいで真耶が欲情し、行為をせがむようになった。
元来自分のモノをコンプレックスに思っていたコンラートにとって、
更にそのコンプレックスが強まる結果となる。

(……気持ち良かったのは否定出来ないけど)

ただ、しっかりと快感も味わう辺り、やはりコンラートも雄であった。
一通り身体を洗い終わった後、シャワーを止めて風呂場から出、バスタオルで身体を拭く。
衣服を着て真耶の待つリビングへ向かうと、真耶はソファーの上で寝てしまっていた。
ちなみに真耶はコンラートより先にシャワーを浴びている。

「緊張感無いんだから……」

いつ襲われるか分からない殺し合いと言う状況下でこの真耶と言う獣人(元はゲーム機らしいが)は、
死への恐怖を全くと言って良い程感じていないと言うか、
状況を理解していない訳では無いようだが、とにかく緊張感が欠けている。
マイペース過ぎるのである。

「別に悪い事とは言わないけどさ」

ただ、コンラートはそんな真耶の性格に特に悪感情は抱かなかった。
むしろ下手すれば発狂してもおかしくないこの状況下で自分を保てるのだからある意味凄いとも思っていた。
ソファーで寝る真耶にコンラートはタオルケットを掛けてやる。

「……ちょっと外見てみようかな」

コンラートはテーブルの上に置いてある自分の武器、
小型自動拳銃のコルト ジュニアを手に取ってカーテンの隙間から窓の外を見る。

「ん?」

コンラートは外の道路を歩く人間の青年の姿を発見した。

◆◆◆

内水直之は休息を取れる場所を探していた。
そろそろ第一回目の放送も近く、放送を聞くためにどこかで落ち着きたいと思っていたのである。
現在、彼は別荘が建ち並ぶリゾート街の別荘地に来ていた。

「ここはどうだ?」

とりあえず、適当な別荘の入口扉を開けようとするが、
固く施錠されておりビクともしない。
裏口も窓も同じく開かない。
仕方無しに他の別荘も当たってみるが、同じような状況で入れなかった。

「ここは……」

そして、五軒目ぐらいの別荘のドアに近づいた時。
ドアがいきなり開いた。

「うあ!」

直之が驚いた声を発する。
それは突然ドアが開いたためだけでは無い。
中から出てきたほぼ全裸の獣人女性が持っていた剣の切っ先を、
直之の鼻先に突き付けたのもあった。

「あ、あ……待て、待ってくれ」
「あなた、殺し合いに乗っている?」
「え?」
「殺し合いに乗ってるのか乗ってないのか聞いてるの。ほら、あくしろよ」
「あ、えーと、乗ってない、乗ってない!」
「ふーん……」

直之を尋問する白狐獣人は直之からの返答にしばらく考えると、
突き付けていた剣を下ろす。

「ごめんねー、殺し合いの最中だからさぁ、警戒しないといけないんだよねぇ。
悪く思わないで……あっ、私達も殺し合いには乗ってないから」
「“達”……?」

白狐女性の言葉を一瞬疑問に思う直之。
てっきり、この白狐女性一人しかいないと思っていたが、
良く見れば、白狐女性の後ろに同じく白い身体の竜人の少年がいる。
RPGのキャラクターのような格好をしていた。

「す、すみません……大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫大丈夫……」

白竜人少年の心配する声に対し返事をする直之。
その後、直之は二人の隠れていた別荘内へ通された。
リビングのソファーに、二人と対面するような形で直之が座った。

「自己紹介しよっか、私、保土原真耶。ゲーム機やってます」
「コンラートと言います、冒険者です……魔法が得意です」
「……」

コンラートの冒険者はまだ分かるが、真耶のゲーム機とはどう言う事なのだろう。
直之は訝しむが、どこかで「愛情を込められた機械が希に擬人化、擬獣化する事がある」
と言った話を聞いた事を思い出し、恐らく真耶はその類なのだろうと結論付ける。

「どしたの?」
「いや何でも……俺は内水直之、代行運転の会社入ってんだ」
「ふーん……んで? ナオはこの辺で何やってたの?」
「ナオ? あ、あ、俺の事か……放送近いからどこか休めそうな所無いかと思って……。
んでこの辺の別荘回ってたんだけどどこも鍵かかってて入れなくてな」
「それでここに来て私達と遭遇、と」
「だな。真耶とコンラートはどうして俺が来た事分かったんだ?」
「見付けたのはコンラート君。私はソファーで寝てて、コンラート君が窓から見て、
ナオの事見付けたのよ。んで私を起こしてその事を伝えて……って感じ、だよね? コンラート君」
「です、ね」
「そうか……」
「休む場所探していたのなら、僕達と一緒にいませんか? 内水さん」
「おっそうだな」

休む場所を探していた直之はコンラートの申し出を受け入れた。
真耶も了承し、取り敢えず寛ぐ直之。
そして気になっていた事を真耶に尋ねる。

「なあ、保土原」
「真耶で良いよ」
「ああそう……真耶は、何で……裸なんだ?」

白狐獣人、真耶は全裸。
マフラーやプロテクターのような物を身に着けているが胸や股間と言った大事な部分は晒されている。
彼女のスタイルは抜群で動く度に豊満な乳房が揺れ動き、かなり目に毒である。

「熱暴走起こすから服着るの嫌なの。
服着ろって言われても絶体嫌だからね」
「……そうか」
「……あれえ? ナオ、ひょっとしてムラムラきちゃう?」
「バッ……そんなんじゃ」
「顔赤いよ~?」
「真耶さんやめて下さい……」

直之を煽ろうとする真耶をコンラートが窘める。

「ジョークジョーク、ごめんね」
「……はぁ」
「でも押し倒しても良いよ?」
「んな事しねぇよ!」
「すみません……」

謝りながらまだ煽る真耶、顔を赤らめる直之、真耶の保護者のように直之に謝るコンラート。
三者三様の光景が別荘のリビングに広がっていた。


【早朝/E-2/リゾート街】

【保土原真耶】
[状態]健康
[装備]スパタ
[持物]基本支給品一式
[思考]1:殺し合いをする気は無い。
    2:コンラート君と行動する。
    3:ナオ(内水直之)とも行動?
[備考]※特に無し。

【コンラート】
[状態]健康
[装備]コルト ジュニア(6/6)
[持物]基本支給品一式、コルト ジュニアの弾倉(3)
[思考]1:殺し合いをする気は無い。
    2:真耶さんと行動する。
    3:内水さんとも行動?
[備考]※特に無し。

【内水直之】
[状態]健康
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???(1~2)
[思考]1:殺し合う気は無い。生き残りたい。
    2:しばらく休んで放送を聞く。
    3:真耶、コンラートと行動する?
[備考]※特に無し。


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最終更新:2014年01月12日 23:42