残酷すぎる結末に目をそらしているだけ

62話 残酷すぎる結末に目をそらしているだけ

野原みさえは呂車に気絶させられた後、しばらく意識を取り戻さなかった。
ようやく目覚めた時には、時計の針は6時をとっくに過ぎており、第一回放送は終わってしまった後だった。

「ああ、放送聞き逃しちゃった……」

内容が気になったものの、聞き逃してしまった物はどうしようも無い。
みさえは立ち上がって自分の周りを見る。

「私のサーベルが無い……!」

自分の武器であるサーベルがどこにも無くなっていた。
デイパックの中の、夜明け前に殺害した青年が奪った拳銃と予備マガジンも無くなっていた。
十中八九、自分を気絶させたあの竜のような怪物が持ち去ってしまったのだろう。
みさえは悔しがった。

「ちくしょう、ふざけやがって……!」

優勝しなければならないのに、武装が無くなってしまってはその道程はますます険しくなってしまう。
足踏みをしている場合では無いのだ。
優勝して、ひまわりや、最終的には死んでしまうであろうしんのすけとひろし、シロを生き返らせて、また家族全員で暮らす。
その願いの為、邁進しなくてはならない。

「代わりを探すしか無いわね……ここはガソリンスタンドなんだから、工具ぐらい有るでしょ……」

代わりになる武器を、みさえは探す。
ガレージに移動し、工具等が収納されたスチール製の棚を漁り、大きめのモンキーレンチを手に取った。
サーベルや拳銃に比べれば見劣りするものの、十分に武器足り得る。

「これで良いわ……さぁて、いつまでも休んで居られないわ……頑張らなきゃ……」

当座の武器を確保したみさえは不気味に笑いながら、ガソリンスタンドを後にした。

彼女が聞き逃した放送では、息子・しんのすけと飼い犬・シロの名前が呼ばれた。
遠くに離れた夫・ひろしは放送を聞き悲嘆に暮れ、自殺未遂を起こす程取り乱した。
だが「どうせしんのすけ、ひろし、シロが死んでもひまわりと一緒に生き返らせるのだから」程度にしか考えてない、いや、
考えられなくなっている今の状態のみさえが放送を聞いていたとして、果たして夫と同様に悲しんだであろうかは疑問である。


【朝/C-2ガソリンスタンド】
【野原みさえ@アニメ/クレヨンしんちゃん】
[状態]精神に異常、左肩に擦過銃創、全身にダメージ
[装備]モンキーレンチ(調達品)
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:優勝してひまわりを生き返らせる。
        1:他参加者を捜し出して殺す。
        2:しんのすけ、ひろし、シロはひまわりと一緒に生き返らせる。
[備考]※幾分落ち着いたようですが正常な思考は出来ません。
    ※ソフィア、呂車の容姿のみ記憶しました。
    ※第一放送を聞き逃しました。しんのすけ、シロの死を知りません。


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最終更新:2014年11月10日 00:58