窓際の夢

70話 窓際の夢

B-2エリア、「前本」と表札の掛かった民家に、頭に大怪我を負った金子翼は身を潜めていた。
古ぼけた和室に座布団を枕にして横になり、時折襲う頭痛に悩みながら身体を安静に保つ。
頭部に頑張って巻いた包帯には血が滲み痛々しい。

「ああ、いてて……」

先刻、銀髪の女子高生と交戦した時、手酷くやられてしまった。
手当てをして休んだお陰で大分痛みは和らいだ、気もするが、動けるようになるまではまだ掛かりそうだ。
ふと、翼は戸棚の上に置かれた時計に目をやる。
この民家にやって来てからおおよそ一時間が経過しているようだった。

「くそ、一時間ぐらい、無駄にしちゃったか……」

嘆く翼。
小鉄を優勝させる為に戦わなければならないと言うのに思うように行かないのが苛立たしかった。
怪我をして安静を余儀無くされればされる程、無駄に時間は流れていく。
今は生きているかもしれぬ小鉄が、数分後には死んでいるかもしれないのに。
ああ、情けない。何と情けない。
翼は不甲斐無い自分を呪う。

「もう少し、もう少し休んだら出発しなきゃ」

いつまでも休んでなど居られる筈が無い。
そうだ、この程度の怪我がどうした、小鉄ならこの程度の怪我で動じないだろう。
自分は戦わなければいけないんだ、尊敬して止まぬ大沢木小鉄の為に。

最早強迫観念じみた様相を呈し始めた小鉄への想いを胸に、翼は頭痛を堪え出発の準備を始める。


【午前/B-2市街地前本家】
【金子翼@漫画/浦安鉄筋家族】
[状態]頭部にダメージ(出血、打撲、頭痛、目眩有、処置済)
[装備]ピッケル@現実
[所持品]基本支給品一式、牛刀包丁(調達品)、大沢木小鉄のリコーダー@漫画/浦安鉄筋家族
[思考・行動]基本:小鉄っちゃんを優勝させる為に皆殺しにする。自分は自害する。
        1:休んでなんて居られないよ……。
        2:小鉄っちゃんには会いたくない。
[備考]※元祖! にて小鉄達と仲良くなった後からの参戦です。
    ※原小宮巴、KBTIT、ソフィア、銀鏖院水晶の外見のみ記憶しました。


前:SYOKUSYU CHUIHOU Ⅳ(後編) 目次順 次:コラテラル・ダメージ

前:Crucial Stage 金子翼 次:虚ろな魂
最終更新:2015年01月27日 22:35