74話 虚ろな魂
どうにか動けるまでに回復した金子翼は、隠れていた民家を出発し東へと進んだ。
途中、ガソリンスタンドが有った為立ち寄るが、多少争った形跡が有る以外は何も無かった。
しかし、その次に立ち寄った工場では、三人の死体を発見する。
中高生ぐらいの少年は全身穴だらけ、同じく中高生ぐらいの銀髪の少女は腹部に大きな穴が空き、
兎の頭の女性は頭から血を流し、それぞれ死んでいた。
消火剤をぶちまけた跡も有る。
「あれ、この人と、この人は」
少年以外の二人には翼は覚えが有った。
銀髪の少女は西の市街地にて交戦し、重傷を負わされた。
兎の女性は同じく西の市街地にて、レジャー施設の時の二人組と一緒に居た女性に違い無い。
他の二人の姿は無い。この銀髪の女性もしくは少年と交戦した結果、兎の女性が死んだのか、
それとも別の理由が有るのかは分からなかったが、とにかくここで戦闘が有った事は確かのようだ。
ただ、少年は他の二人に比べ死んでからかなり時間が経っているように見えたので、
少年と銀髪少女、兎女性の死は関係性は薄いのではとも思う。
「何か持ってないかな」
死体となった三人のそれぞれの荷物を漁る翼。
三人の死の経緯について考えるより自分の武装を強化する事の方が先決。
しかし、少年は何も持っておらず、兎女性は警棒、銀髪少女は鉄パイプ、文化包丁、鎌と、今自身が持っている近接武器ばかりが見付かる。
「一応、持っていこうか……」
近接武器ばかり増えても仕方無いのだが、それでも無いよりはましだと、翼は警棒、鉄パイプ、文化包丁、鎌を回収する。
飛び道具、銃やボウガン(使いこなせるかどうかは別として)が欲しいと思う翼であった。
その後、工場を後にして翼は南下し、今度は図書館へと立ち寄る。
そこは酷く荒らされていた。
読書スペースは銃痕だらけで、破れた本の破片が散らばり、椅子も引っ繰り返り、ドミノ倒しのように本棚が倒れる有様。
司書の者が見れば頭を抱えるような光景。
倒れた本棚の下には灰色の竜のような生物が下敷きとなり、首から血を流して死んでいた。
「!」
奥の方から話し声が聞こえる。
慎重に、翼は「勉強室」と言うプレートが貼られた通路の入口を覗き込む。
何やら大きな縞模様の有る犬の死体を調べる、獣人の少女と、色黒の男の姿が有った。
(あれは確か……)
翼は二人を知っていた。
レジャー施設にて一瞬だけ鉢合わせた、あの二人に間違い無かった。
衣服が少し白く汚れているのは、消火剤と思われる。
同行者の一人を失っている筈だが特にそれを悲しんでいる様子は無いようだ。いやそのような事はどうでも良いと、翼は思案する。
(あの二人か……ちょっと面倒だな……)
レジャー施設で鉢合わせたあの後、二人は自分が殺した少年の死体を見つけたであろう。
状況からして自分が犯人だと見ている可能性、殺し合いに乗っていると見ている可能性は高い。
遭遇すれば間違い無く面倒な事になる。
翼は無事な本棚の陰に隠れやり過ごす事にした。
◆◆◆
工場にてソフィアを喪った悲しみを特に引きずる事も無く、巴とKBTITこと拓也は南下し市街地を目指していた。
途中、図書館が有った為、立ち寄ってみると、そこは惨憺たる有様だった。
あちこち銃痕だらけ、破れた本が散乱し、本棚がドミノ倒しの如く倒れ、
更には死体が三つも有り死臭が漂うと言うかなりの濃密空間となっていた。
「うわ、くっさ。この犬、オシッコとウンチ漏らしてんじゃん。汚ねー」
「首絞められて殺されたみてぇだな……こんなデカい犬絞め殺すなんてどんな奴だ?
しかし、レジャー施設ん時の奴以外にもデカい犬居たんだな」
「そっちに転がってる猫耳っ子の死体はっと……あれ、この子が着てる制服、水晶さんと同じ奴じゃん」
「ああ本当だな」
白髪の猫耳尻尾の少女が着ている制服が、工場にてソフィアを殺しKBTITを負傷させ、
己が返り討ちにした銀鏖院水晶が着ていた物と同一である事に気付く巴。
同級生、クラスメイトなのかもしれない。
「まー別に、どうでも良いんだけどね」
尤も、この少女と水晶の関係など、巴もKBTITも興味は無かったのだが。
「……」
何の気無しに、読書スペースの方へ続く入口の方へと視線を移す巴。
特に何も無いように見えた。
「どうした?」
「んー、何でも……もうここには何も無いみたいだし、そろそろ出ようか」
「分かった」
巴とKBTITは図書館から出るべく玄関へと向かう。
勉強室が並ぶ区画から読書スペースを経て、受付を抜けて玄関を潜るまで、何事も無かった。
(んー、何も無かったなぁ)
水晶の時のように、また誰かに尾行されているのではと思ったが、杞憂だったかと巴は結論付けた。
もし、もっと注意深くなっていれば、また、図書館内に死体が無く死臭が漂っていなければ、
彼女はレジャー施設にて一度会った、中年顔の少年を容易く発見出来たであろう。
結果的に何も起きなかったのが幸いであったが。
【昼/D-3図書館周辺】
【
原小宮巴@オリキャラ/
俺のオリキャラでバトルロワイアル3rdリピーター】
[状態]健康、衣服が消火剤で汚れている
[装備]ウィンチェスターM1912(2/6)@オリキャラ/俺のオリキャラでバトルロワイアル3rdリピーター
[所持品]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(12)
[思考・行動]基本:殺し合いはしない。
1:KBTIT(拓也)と行動。
2:工場を出て南の市街地へ向かう。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※KBTITを同じ世界の人間だと思っています。
※金子翼の外見のみ記憶しました。
※金子翼が近くに居た事には気付いていません。
【KBTIT@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]鼻を負傷(鼻血有)、ゴーグルにヒビ、衣服が消火剤で汚れている
[装備]ニューナンブM66短機関銃(30/30)@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター
[所持品]基本支給品一式、ニューナンブM66短機関銃の弾倉(5)
[思考・行動]基本:殺し合いはしない。
1:巴と行動。工場を出て南の市街地へ向かう。
2:クラスメイトを探す。
[備考]※動画本編、バスで眠らされた直後からの参戦です。
※動画準拠なので中学生であり、平野源五郎とは面識が無い設定です。
※支給品はボディーブレード@アニメ/クレヨンしんちゃんでしたが放棄しました。
※金子翼の外見のみ記憶しました。
※金子翼が近くに居た事には気付いていません。
◆◆◆
上手く隠れてやり過ごせたようだと翼は胸を撫で下ろす。
あの二人はどちらも銃を持っており、まともにやり合えば翼に勝ち目はまず無かったであろう。
頭の傷からの血の臭いを獣人少女に嗅ぎ付けられるのではとも危惧したが、
図書館内には既に有った三つの死体からの血や排泄物の臭いが漂っておりそれが幸いし、結局二人は玄関へと向かって行った。
二人が居なくなってしばらくして、翼は奥の大きな犬と猫耳尻尾の少女、二人の死体の元に近寄る。
犬は成人男性よりも大きく、白い毛皮に縞模様が有り、
絞殺されたようで充血した目は白目を剥いて、泡を吹き失禁、脱糞していると言う、かなり凄惨な死に様であった。
一方の猫耳尻尾の少女(念の為確認したがコスプレの類では無いようだ)は犬と比べれば綺麗な様子で、
胸を撃たれて死んだようだった。
(……そういえば、もう10時間ぐらい経つのか)
このバトルロワイアルが始まっておよそ10時間。
最初の6時間で19人が死に、
第一放送から4時間程経った今、新たな死者は何人居るのか。
工場、図書館でそれぞれ三人ずつ、計六人の死体を見付けたが、
第一放送より前に死んだのか、それとも後に死んだのかは判断が付けられない。
だが、恐らく相当数の新たな脱落者が出ているであろう事は翼にも推測出来た。
「……っ」
一瞬、血溜りの中に倒れる小鉄の姿を想像してしまう。
「駄目だ、駄目だ……そんな事考えたら」
頭をぶんぶん横に振って、嫌な想像を振り払う翼。
その後、例によって犬と猫耳少女のデイパックを漁るも、収穫は得られず。
先に出た二人に気を付けつつ、翼もまた図書館を後にした。
【昼/D-3図書館周辺】
【金子翼@漫画/浦安鉄筋家族】
[状態]頭部にダメージ(出血、打撲、頭痛、目眩有、処置済)
[装備]ピッケル@現実
[所持品]基本支給品一式、牛刀包丁(調達品)、大沢木小鉄のリコーダー@漫画/浦安鉄筋家族 、警棒、鉄パイプ、文化包丁、鎌
[思考・行動]基本:小鉄っちゃんを優勝させる為に皆殺しにする。自分は自害する。
1:次の行き先は……。
2:小鉄っちゃんには会いたくない。
[備考]※元祖! にて小鉄達と仲良くなった後からの参戦です。
※原小宮巴、KBTIT、ソフィア、銀鏖院水晶の外見のみ記憶しました。
※原小宮巴、KBTITからは離れています。
最終更新:2015年03月04日 23:22