第二放送

79話 第二放送

「あーあ、野原ひろしと野原みさえも死んじまったなァ、これで野原一家は全滅って訳だ」

どこに有るとも知れない、バトルロワイアルの運営本部。
参加者達の生存状況を知らせる確認用モニターを見て、じゅんぺいがせせら笑う。
開催式の時や、第一放送の時には見せなかった凶悪そうな笑みである。

「資料によれば今まで数々の冒険を繰り広げ、危険を乗り越えてきたようですが……今回は駄目だったみたいですね」

じゅんぺいに対し、まひろは何ら変わらず礼儀正しい振る舞いだ。

「しかし平野さんも良くこんなゲーム思い付くよな」
「そうですね……でも、確か、昔出版された小説を元にした、と言っていましたよ」
「マジか、あの人以外にもこんな事考える奴居んだな」
「とは言っても、それを実行してしまうのが流石平野さん、と言いますか……。
そろそろ、二回目の放送の時間ですね。次は私の担当ですので、準備をしてきます」
「おお、分かった」

第二回目の放送の準備を行う為、まひろは席を外す。

◆◆◆

正午。
バトルロワイアルの会場に、二回目となる定刻放送が鳴り響く。
生存者達の耳に届くのは、高めの礼儀正しい男の声。

『えー、テスト、テスト……。

現在生き残っている方々、お久しぶりでございます。まひろでございます。
お昼の12時となりました。第二回目の定時放送を始めます。

まずは禁止エリアから。
午後1時より、D-1、E-4、E-6、F-2。
繰り返します。午後1時より、D-1、E-4、E-6、F-2です。

では続きまして、新たな脱落者の発表です。

稲葉憲悦
太田太郎丸忠信
小崎史哉
柏木寛子
ガルルモン
KMR
虐待おじさん
銀鏖院水晶
コーディ
シルヴィア
ソフィア
テト
野原ひろし
野原みさえ
春巻龍
フラウ
野獣先輩
呂車

以上18人となっております。残りは15人です。

次の放送は夕方6時となります。
それではこれにして、第二回目の放送を終了させて頂きます。ご健闘をお祈り申し上げます……』

慇懃な締めの後、二回目の放送は終わりを告げた。

◆◆◆

「ご苦労だった、まひろ君」

放送を終えたまひろを平野源五郎が労う。

「残り15人か。予想以上のペースだ。次の放送を迎える前に、決着が着いてしまうかもしれないな」
「そうですね……ですが、殺し合いに乗っている参加者はめっきり少なくなってしまいました。
一固まりになって動かない人達も居ます」
「ああ、だが、ひで君だったかな? 異世界の寄生虫に身体を乗っ取られた彼が、良い働きをしてくれると思っているよ」

これからが楽しみだ、とでも言うように、平野は不気味に笑う。


【残り  15人】



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最終更新:2015年04月19日 00:04