43話 生死と隣り合わせのスレチガイ
ハヤト、板倉怜佳、上泉賢通の三人は、放送後、元いたD-5エリアより脱出し森に入っていた。
市街地を歩くのは、危険人物と遭遇する可能性が高く避けた方が良いと考えたためである。
森を抜け南の市街地に向かう計画を立てた。
しかし、怜佳の露出の高い格好は、森の中を歩くのには不向きであった。
「ああ……身体が傷だらけ」
怜佳の瑞々しい身体は木の枝や雑草によって擦り傷が出来、足元も土で汚れてしまっている。
しかしそれすらも扇情的な要素に、賢通とハヤトは感じてしまっていた。
「「うっ」」
股間の愚息が膨らむのを必死で抑えようとする二人。
「ちょっと二人共、流石に自重してよ」
「ごめんなさい!」
「悪いな怜佳、けど不可抗力って奴だ」
賢通は顔を赤らめ謝罪し、ハヤトは特に悪びれる様子も無いが一応謝罪だけはする。
もっとも怜佳自身本気で二人を咎める気は無いので、呆れながらも「やれやれ」といった様子で微笑んだ。
「南の町についたらまたヤらせてあげるから」
「さ、さいですか……」
「そりゃ頑張らねぇとな、息子じゃなくて脚をおったてねぇと」
三人は今まで危険人物に出くわしていないせいか、
やや警戒心が薄れ、殺し合いの場で屋外と言う状況で和気藹々と会話をしていた。
そんな三人は気付かなかった。
自分達がずっと後をつけられていたという事に。
その追尾していた少女――八神雹武は、手にした短機関銃を前方にいる三人に向ける。
そして躊躇無く引き金を引いた。
ダダダダダダダッ!!
無数の銃弾が三人を襲う。
結論から言うと、ハヤトと賢通は即死である。
だが、怜佳は死ねなかった。
全身を銃弾で貫かれ血塗れになったが、まだ辛うじて息があった。
だが、即死した方が苦しみを味合わずに済んだだろう。
なまじ生き残ってしまったため、怜佳は無駄に苦しむ事と相成ってしまった。
「い、あ、いたい、痛い、痛いっ……!」
全身の痛みに苦しむ怜佳に、雹武は近付き、武器をベルグマンMP18短機関銃から、
リボルバー拳銃の二六年式拳銃に持ち変え、地面に倒れ込んだ怜佳の頭に銃口を向けた。
「い、嫌っ」
突き付けられる銃口を目の当たりにして、怜佳の心は恐怖一色に染まった。
「やめっ」
ダァン!! ダァン!!
二発の銃弾が怜佳の頭部を見事に破壊し、彼女の美貌は真っ赤なジャムを塗りたくったが如く台無しとなり、
板倉怜佳もまたその命を散らす事となる。
雹武は三人の荷物を漁るが、武器になりそうなものは何も無く残念そうに溜息をついた。
別荘地周辺にて二人の参加者を屠った後、雹武は海岸線を歩き南部市街地に辿り着く。
そこで放送を聞いた後、禁止エリアに指定されたD-4から出ようと歩いていた時に、
怜佳達三人を発見し後をつけて、そして今殺害したのだった。
「行きますか」
もう三人の死体に興味を失ったのか、雹武は森の奥へと歩いて行った。
◆◆◆
福井知樹、村上在羽、エリノアの三人は、森の中で三人分の死体を発見する。
「また死体かよ、こりゃひでぇ」
「穴だらけじゃん……機関銃か何かで撃たれたの? そう言えばさっき、そんな銃声しなかった?」
「まだ死んで間もないようですよ……」
シェパード獣人の青年、白い狼、露出の多い格好の金髪女性の三人の死体は、
機関銃か何かの掃射を受けたのだろうか穴だらけになっており、無残な有様だった。
特に女性は頭部が酷く損壊し脳漿が飛び散っている有様。
流れ出した血が下生えの緑を赤黒く染めている。
そして三人のものと思われるデイパックも転がっていた。
少し気が引けたが知樹達はデイパックを漁る。
しかし役に立ちそうなものは何も無かった。
「……流石に掛けられるものも何もないし、放っておくしかないぞ」
「そうだね……」
「……この人達を殺した人がまだ近くにいるかもしれません、警戒しましょう」
「ああ」
先程エリノアも口にしたが三人はまだ殺されて間もない様子。
つまり、下手人もまだ近くにいる可能性がある。
三人を一度に殺害した危険人物となると、自分達もただでは済まないだろう。
第一回放送までで17人死んだ中、変態行為をしつつもどうにか生き延びてきた。
ここまで来て死にたくない、知樹達はそう思っていた。
「……行こう」
「うん」
「はい」
下手人と遭遇しない事を祈りつつ、知樹達は森を歩く。
目指すは南の市街地である。
【上泉賢通 死亡】
【ハヤト 死亡】
【板倉怜佳 死亡】
【残り26人】
【E-4/森/午前】
【八神雹武】
[状態]健康
[装備]二六年式拳銃(3/6)、
[持物]基本支給品一式、64式微声手鎗(8/8)、64式微声手鎗の弾倉(2)、ベルグマンMP18(0/20)、
ベルグマンMP18の弾倉(3)、ショートソード、9mm×22R弾(12)
[思考]
基本:参加者を見つけ次第殺害する。
1:参加者の捜索。
[備考]
※イェレミアスの容姿のみ記憶しました。
※福井知樹達からは離れた場所にいます。
【E-4/森/午前】
【福井知樹】
[状態]健康
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???
[思考]
基本:殺し合いから脱出したい。在羽、エリノアと行動。
1:森を抜けて南の市街地へ向かう。
【村上在羽】
[状態]健康
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???
[思考]
基本:殺し合いはしない。知樹、エリノアさんと行動する。
1:森を抜けて南の市街地へ向かう。
【エリノア】
[状態]健康
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???
[思考]
基本:殺し合いはしない。在羽さん、知樹さんと行動する。
1:森を抜けて南の市街地へ向かう。
最終更新:2013年04月09日 01:44