見張りの重要性とは

53話 見張りの重要性とは

神社を訪れる稲葉憲悦。
放送の時間が近付いているのでそろそろ休みたいところである。
神社の社に行こうと思ったが、何やら首を吊って死んでいるほとんど裸の竜人の死体があったのでやめた。
そもそも神社の社の内部など寛げる空間では無いだろう。
そして憲悦が目を付けたのは、管理小屋と思しきプレハブ小屋。

窓にはブラインドが下りていて中の様子は窺い知れない。
もしかしたら中に誰かいるかもしれない。
と言うのも、憲悦の人狼としての鋭敏な嗅覚は小屋の中から、僅かに獣と血の臭いがするのを嗅ぎ取っていた。

「……」

憲悦は小屋の入口扉のノブに手を掛けた。
そして一気に開く。

「うわあ!」
「ぬお!」

やはり中には先客がいた。
怪我をした巨躯の狐と、チーター獣人の少年。
二人共いきなり扉が開いたためかかなり驚いていた。

「まあ待て騒ぐな。まず聞いて欲しい。俺は殺し合う気はねえ。だが襲いかかる奴には容赦しない」
「……っ……こ、殺し合う気は無い……?」
「いきなりんな事言われて信じると思ってんのかよっ」

狐の方が興奮気味で憲悦に詰め寄った。
しかしそれを意に介さず、憲悦は小屋の中に入り扉を閉めて鍵を掛けた。

「何を!?」
「落ち着け狐君。放送も近いから休める場所を探してたんだ。悪ィけどお邪魔させて貰うぜ、どっこらしょ」
「何を勝手な……!」

牙を剥き出して威嚇する狐をよそに憲悦は畳の上に上がり、ごろりと横になった。
余りの図々しさに、警戒していた二人もやがて諦めたのか、何も言わなくなった。

「俺、稲葉憲悦。お前らは?」
「……イェレミアス」
「篠原昌信、です」
「そーか。お前らもやる気にはなってねぇんだろ? わざわざ二人でいるってこたあ」
「……ああ」
「はい」
「へっ、そりゃ良いこった。放送終わったら出てくからよ安心してくんなァ。
あ、座布団一枚くんない? 枕にしたいから」

憲悦の頼みに、イェレミアスが無愛想に座布団を一枚憲悦に投げた。
それを枕代わりにし、憲悦は横になりながら放送を待ち始める。

「……僕、見張ってます」
「ああ」

憲悦のような急な訪問者に対処するため、昌信がブラインド越しに外を監視し始めた。
もっと前からこうするべきだったと、昌信もイェレミアスも後悔していたが。




【D-4/神社管理小屋/昼】
【稲葉憲悦】
[状態]健康
[装備]ブローニング オート5(4/5)
[持物]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(10)、シグP210(7/8)、シグP210予備弾倉(3)
[思考]
基本:殺し合う気は無いが女の子がいたら犯す。寛子を捜す。
1:放送を聞く。
[備考]
※殺し合う気は無いものの殺人への抵抗は全くと言って良い程無いようです。
※アゼイリア、狐閉レイナの容姿のみ記憶しました。

【イェレミアス】
[状態]右脇腹に盲管銃創(応急処置済)、死への恐怖、やや精神不安定、疲労(中)
[装備]苗刀
[持物]基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:死にたくない。しばらく神社の管理小屋で休む。
2:篠原昌信と一緒に行動する?
3:稲葉憲悦を警戒。
[備考]
※八神雹武の容姿のみ記憶しました。

【篠原昌信】
[状態]疲労(中)
[装備]豊和ゴールデンベア(5/5)
[持物]基本支給品一式、7.62mm×63弾(10)
[思考]
基本:死にたくない。
1:しばらく神社の管理小屋で休む。
2:イェレミアスさんと行動する?
3:稲葉憲悦を警戒。


052:赤い道標に誘われて 目次順 054:第二回放送(自由奔放オリロワ)
042:時間があれば、ね 稲葉憲悦 061:戦い続いて日が暮れて
049:神社での出会い イェレミアス 061:戦い続いて日が暮れて
049:神社での出会い 篠原昌信 061:戦い続いて日が暮れて
最終更新:2013年04月16日 22:08