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「魔術とは何かということを説明する前に、魔術の媒介となるマナについても説明しないといけないな」
「先生、質問です。魔法と魔術って違うんですか?」
「用いられるマナが違うだけで本質的には同一のものだ。ではマナについて説明しよう。
マナとはあまねし世界の万物に存在するエネルギーのことだ」
「先生、それではよくわかりません」
「文字どおりの意味だ。人間にも存在するし、動物や草木にも存在する。地面や大気や水にも存在する。文字どおりの『万物』だ」
「つまり僕にもあるってことですかね?」
「当然だ、マナのない物体は存在しない。復唱したまえ」
「マナのない物体は存在しない」
「よろしい。では次に魔術とは何か。これはマナを用いて行使される技能のことだ」
「魔法は?」
「魔法は神のマナを用いて行使される技能のことだ。これは次に説明する。話を戻すがよいかな」
「はい、すみません。お願いします」
「行使とはマナを別のマナに変換して現象を発現させることだ。
例えば石のマナを炎という現象へ変換したり。逆も可能だ。
その変換に必要なものを式と呼ぶ」
「式」
「石を炎に、炎を石にという変換するための方程式だ。これも平たくいうと何でもいい」
「何でも?」
「そう、何でもよい。音声で呪文を唱えたり、文字に書いたり個々人で得意なことは違うだろう。そうして魔術を行使できるもののことを魔術士と呼ぶ」
「呪文を唱えることでマナを炎に変換するというプロセスなんですね」
「そのとおりだ。詠唱の代わりに地面に魔方陣を書いたり。本を持ち歩いてその本にマナを込めて発動させるものも実在する。
技能次第では黙読も可能だ」
「無詠唱ってことですか」
「黙読だ。式を頭の中の思考で制御するというシンプルな方法だ。特殊な
アイテムも要らないから時も場所も選ばない。
無詠唱というのはどちらかというと身振り手振りやステップを式としたケースだな」
「す、ステップですか?あの踊りの?」
「さっきも言ったが、式は何でもいい。復唱したまえ」
「式はなんでもいい。何だか魔術のイメージが壊れるんですけど」
「ならば敵と相対したときに棒立ちで呪文を唱えて攻撃のぶつけ合いをするだけかな?むしろそのほうが不合理だろう。
相手が同じような魔術士ならともかく、剣士なら接近して攻撃してくるし、それを避けながら詠唱できなくては話にならない」
「それは確かにそうかもしれませんけど……」
「魔術を行使できるといってもそれだけでは不十分なのだ。松明を持っていたとしてもライオンと取っ組み合いはできないだろう?」
「例えがわかりにくいです、先生」
「立ち振る舞い全てが魔術士にとっては必然なのだ」
「なるほどぉ……何となくわかりました」
「では、次に魔法とは何か。これは神のマナを用いて行使される技能のことだ」
「神のマナ?」
「この世界には神と呼ばれる存在が八柱いる。名称は略するが、火、水、風、土、木、金、光、闇の八柱だ。
魔法とはその神のマナを用いて行使される」
「具体的に言うとどういうことですか?」
「式がいらない。神のマナそのものが式となり魔法となる。その代わりに対応する神に属する魔法しか使えない。火の神のマナでは火の魔法しか使えない」
「それって強いんですか?」
「状況によるが、平凡な魔術士の行使する魔術よりは段違いに威力は出せる。しかし行使するためには神のマナを手に入れなければならない。具体的に言うと、神宝の獲得が必要になる」
「シンポウって何ですか?」
「神のマナを秘めた宝のことだ。それぞれの神ごとに幾つか存在する。
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