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あらしのとうそうさくめも01
嵐の塔創作メモ01


  • 序-

ミラルカが二学年上のユリアンという男子と喧嘩して怒られた時の話だ。
原因はユリアンがしつこく絡んだからだったが学園側はミラルカに処罰を与えた。
下町育ちの彼女はなにかと偏見と差別にさらされているのだ。

彼女はそういう時いつも時計塔の窓から学園の屋根に登り、屋根中を歩き回ったり寝そべったりした。
ミラルカが寝るのは私(リティス)の部屋の真上で、私はミラルカがそこにいる時だけ
規則を破って屋根の上に登ることにしていた。
二人で、地下世界の閉ざされた空と夏の雲を眺めながらする他愛のない話。
それは私にとって何物にも換えられないほど自由で爽やかな時間だった。


「いつか外の世界に出てやるんだ」

ミラルカはその長い髪を風に遊ばせたまま、空を見上げてそう言う。

「外?」

私は彼女に習って空を見上げる。
そこには魔法で作られた太陽と夏の雲と、その遙か向こうにうっすらと見える岩
壁があるばかりだった。

「そう、外。あたしはいつかここを抜け出して青空を見に行くんだ──」


今思えばミラルカはなぜ、16歳にしてこの世界の『外』の存在を知っていたのだろう。
なぜ22歳になった彼女は学園長の部屋から風の杯を盗みだしたりしたのだろう。
なぜ彼女を捕らえにいったユリアンを『塔』の頂上から突き落として天に帰れなくしてしまったんだろう──

あんなに優しい彼女だったのに。
最終更新:2017年08月16日 15:42