あくあのたび:そうさくめも01
アクアの旅:創作メモ01
「オヤジ、なんか良い情報はないか」
酒場でカウンターに座り、開口一番にディンは店主にそう尋ねた。
「そうだな……うわさ話なら………『マリー』についてだが」
「よし、オヤジ、そこのボトル一本頼むぜ」
「まいど♪ さて、マリーについて入ってきたのは二週間ほど前だ、この町の北東に、
徒歩で十日ほどの距離に千人足らずの集落があるんだが、どうもそこいらに出没するらしい」
ボトルの栓を開け、グラスに注ごうとした店主の手をディンは手振りで制する。
「マリーの出現に集落か……その情報が入ってきたのは?」
店主からボトルを受け取ると、それをラッパ飲みでぐいっとあおる。
「三日前だ。伝航鳥を使っての連絡だから、行くなら早くした方が良いな。急いでも」
「伝航鳥か……となると出没し始めたのは一週間くらい前か、数は?」
「そこまでは情報は行ってきてねぇよ」
「ばっか、犠牲の数だよ、群れの数聞くわけねぇだろ。『ブラッディ』つぶしゃぁそれで足りんだからよ」
ゴクゴクと酒をラッパ飲みしつつディンは言う、零れた酒が口の端から顎を伝い、カウンターに落ちてはねる。
「あ、あぁ、そうか……それもそうだな。連絡によると犠牲は十人。男が4人、女が6人。子供は7人だそうだ」
「三日前で?」
「そう言うことになるな」
ボトルを置いて、ディンは酒臭い息を吐き出す。
「なぁオヤジ、報酬はいくらと書いている?」
「その集落の近くには鉱山があってだな、朱銀が取れるらしい。それの20㎏だそうだ」
「オヤジ、もう一本」
二本目を一気飲みして、ディンは言った。
「で、どうする? ザム」
ディンのその声に、ザムのすぐ後ろに座っていた男がすっくと立ち上がる。
「報酬も魅力だが、マリーの犠牲も深刻だな……すぐ行こう、ディン」
「よっしあ、きまりだ。オヤジ、その村に連絡しといてくれ。これから向かう、ってな」
酒場はいろいろな人がごった返している、しかし立ち上がったのはディンとそのザムと呼んだ男だけ。
「ちょ、ちょっとあんたら二人だけで向かう気か!?」
「ん? あぁ、外にもう一人いるよ、酒場のこういう雰囲気は苦手らしくて露店回ってる」
「それにしたって……あんたらも
冒険者ならマリーの恐ろしさを知らないわけはないだろ?」
「金の恩恵に鋼のような爪。堅くて鋭くすばしっこく頭も切れる、それがマリーの特長だったね」
ザムが、酒場のオヤジの言葉にそう答える。
「わ、わかってるなら」
「マリーなら何度も狩ってる。ここ五年で潰した群れは百を下らないよ」
ザムの言葉に、オヤジは開いた口が塞がらないようだった。
最終更新:2017年08月21日 16:24