つりし
釣り士

【分類】



【概要】
Before-one世界に存在する職業の1つ。ミーナ。
星の加護職の1つで、適性は双魚宮。
『釣り士』はさまざまなものをつり上げることができる職業です。
釣り竿を使っての釣りや、網を使っての漁を行います。
水質や気温、生物の動きに敏感なことに特徴がある職業です。

【能力】
適正武器は『釣り竿』。『網』。『銛』。
物理的な釣り具を使用したり、マナで釣り具を生成して使用することができます。
獲物を釣ることで経験点を獲得できる職業です。
星の加護職は、職業と生まれの星座が同一であった場合、職業の変更が困難になります。

【基礎ステータス】

【獲得アビリティ一覧】
レベル 基本アビリティ 効果
00 釣る 釣り士の基本アビリティ
01 魚を釣る 魚を釣ることができる。
02 隠密 自身より弱い獲物から気配を察知されないようになる。
03 釣り具作成 魔力で釣り具を作成することができる。
04 水の探知 水中の獲物を探知できる。
05 挑発 獲物に気付かれるようになる。
06 発見 思わぬものをみつけることができる。
07 撒き餌 獲物を引き寄せることができる。
08 風の察知 風向きや天気を予測できる。
09 疑似餌 指定した物体をエサにすることができる。
10 あやつり 特定のリズムによって対象の行動をあやつる。
11 魔力を釣る 物体ではなく魔力を釣ることができる。
12 水泳 泳ぎが上手くなる。
13 大物狙い 自身より強い獲物を引き寄せることができる。
14 群れを釣る 集団を誘導することができる。
15 一本釣り 狙ったものをピンポイントで釣ることができる。
16 友釣り 狙ったものとそれに近いものを釣ることができる。
17 つり上げる 狙ったものをつり上げて上空で保持する。
18 投網 マナを使用して網状の釣り具を作成して投げる。
19 オマツリ 疑似餌にマナの糸をくくりつけて空中を這わせて魔術の発動を阻害させる。
20 大きすぎる釣り針 釣り針、疑似餌の存在をアピールする。
21 釣り具強化 釣り具が壊れないよう強化する。
22 釣り宣言 あらゆる釣り具が目視できるようになる。
23 外道回避 自身の狙い通りのものを釣ることができる。
24 野伏 地面に伏せることで発見確率が下がる。
25 ハープーン 刺突漁に使うような銛を放つ。威力はレベル次第。
26 陥穽 水中もしくは水辺に捕獲用の穴を掘ることができる。
27 海老で鯛を釣る 超ローコストで超ハイリターンを狙える。超超ハイリスク。
28 生き締め 魚を即死させる。鯨も可。相手の体重次第。
29 思考誘導 口八丁で相手の思考を誘導する。高難度。思考を釣る。
30 太公望 自身が望むものに糸を伸ばす。

+ ★★★
おっす、突然だが異世界に召喚されちまったよ!
放課後、日課の釣りに行こうとしてたのにな、困っちまったぜ!
召喚されたタイミングが帰宅途中の校庭だったもんで、同じ学校の連中も何人か一緒だ。見覚えのある顔もいる。
泣きわめく女子生徒をなだめる女子が個人的には好みだ。ナイスバディだしな!
落ち着いてから話を聞くことにするぜ!

話を聞いたぜ!
あ、ちなみにオレの名前は三平(みつひろ)。さんぺいって読まれて訂正するのは初対面での挨拶みたいなもんだ!
なんでも魔王ってのが存在してて人間が大ピンチってことらしいぜ!
それで、召喚してくれたのはこの国の大司教って人らしいぜ!
王様の命令で異世界、オレ達の世界から召喚したらしいぜ!
なんでも魔力的にはオレ達の世界のほうが密度的にはんぱねーらしくて、世界をつなぐだけでぽろっとこっちに飛ばせるらしいぜ!
戻れんのかね、まあなんとかなるだろ!
ほんで、魔王を倒してほしいってことだが、どうすりゃいいのって話だ。
すると『冒険者の証』ってのが配られたぜ!
これを所持してると、冒険者として認識されるらしい、冒険者同士のステータスも見れる優れもんだ、すげぇ!
さっそくみんなステータスを見てるらしいぜ。
性別、名前、生年月日、年齢、生まれ星座、血液型、職業。
なんだこれ、職業『釣り士』って。
っていうと驚かれたぜ。他のみんなは『生徒』ってなってるらしいぜ。

+ ★★★
話を聞いたぜ!
『生徒』ってのは知らんって言われた!
『釣り士』ってのも知らんって言われた!
冒険者は、このモンスターを倒すことでこの職業を強化することができるらしいぜ!
職業は割と自由に変えられるらしい、他の連中は剣とか杖とか支給されて『剣士』なり『術士』なりになったらしい。
ジョブチェンジってやつだ、すげぇ!ナイスバディの女の子がなんかめっちゃ嬉しそう、笑顔超かわええ!
オレ?できんかった!
なんか剣とか杖とかいろいろ触ってみたけど、生体情報制限で変更できないって言われた!
『釣り士』ってなんなんだろうな!わかんねーぜ!

わかったぜ!
『釣り』ができる!以上!
川で魚を釣ると経験値がゲットできる職業みたいだぜ!
しかし剣をつかってモンスター倒してもレベルが上がらないからこれはちょっと困った。
他の連中は剣とか術とかでばしばしモンスターやっつけてるらしい、すげぇな!
オレはちょっと、前線でモンスタ―倒せないので、仕方ないので近くの川で魚釣りするしかないわ。
最近野良猫と顔見知りになったぜ。

+ ★★★
城の人たちからの視線が痛いぜ!
なんか役立たず扱いされてるらしいぜ!
しかたねーな、他の連中は『剣士』とか『術士』でガンガン強くなってるのに、オレは毎日釣りしかしてないもんな。
たまにあの可愛い子が様子見に来てくれるぜ、マジ癒やされる!
ちなみにこの子『術士』で、なにげにオレらのなかで一番強いらしい。
『術士』っていうから魔術を使うタイプの職業だと思ってたのに、この子杖をつかっての近接戦闘も上手いらしいんだよ!天才か!
なぜかって聞いたら、はにかみながら「鈍器使うのは慣れてる」って言うんだよ。慣れてるってどういうことなんだろうな、聞くのがこわいぜ。
んで、役立たず扱いだけど、この子がかばってくれたおかげでオレは容認されてるみたいだぜ、頭があがらんぜ。
でも心配してくれるのはありがたいんだが、周りからの嫉妬の目がちょっと危険な域に来てる気がするぜ!

+ ★★★
そうこうしている間に、国の人から遠回しにでてけって言われたぜ!
この国には無駄飯ぐらいに喰わせる飯はないとか言われたぜ!
ていうかあんたらあの子が俺に仲良くしてくれてるから嫉妬してるだけだろうと。まあ言わんといてやるけど!
特に愛着もないし、言われずとも出てってやんよ!
異世界に土地勘はないけど、まあ何とかなるだろ。
というわけでちょっくらこの国から待避しようと思ってる、あの子の迷惑になっても困るしな。
『釣り士』なら喰うには困らんし、この辺の魔獣なら剣つかっても倒せるし。
レベルは上がらんが割と問題ないだろうと思うぜ。
手切れ金をいくらかもらったぜ、この世界の金銭感覚がいまいちよくわからんが、あんまり期待できねーな。
異世界の人間だからって使い捨てにする気が見え見えだぜ。ちょっとだけあの子たちが心配だぜ。
まあ、冒険者としてはみんなのほうが強いから、俺が心配することもないだろうけどな!
ところで、『釣り士』レベル2になったぜ。
『釣り士』の基本アビリティとして『隠密』を獲得をしたぜ。
あと、補助アビリティとして『グロ耐性』を獲得したぜ。これあの子からのアドバイスな。
まあ、釣り自体は慣れたもんだし、魚捌くくらいなら平気なんだけど、魔獣狩るってなるとこれないと正直きついと思うわ。
ところで、件の野良ネコがついてきてるぜ、白と黒の。
よく見るとこのネコ普通じゃないわ、眼球真っ白だわ。
なんていうの、あの細目がないんよ。それ以外は普通の人なつっこいネコなんだけどな。
思わず、ついてくるか、なんて話しかけちまってよ。「にゃー」って返事されたみたいでびびっちまったぜ。

+ ★★★
隣国まで待避したぜ!
しばらくはのんびり釣りでもしながらすごそうと思う。
って思った翌日、あの子に追いつかれたぜ。
馬まで乗れるのかよ、マジ天才か…。
連れ戻しに来たわけじゃないらしい、手紙だけ受け取った。2通。
1通はオレ宛、もう1通は、なんだこの文字。


手紙読んだ!
1通目はオレへの激励と彼女自身のことが書かれてたぜ!
すげーなあの子!2回目なんだって、召喚されたの。
それで、あの子も未知の職業を持ってものすごく苦労したんだと。
それでオレのこと気にしてくれてたんだな、そうか、なんだそうだったのか。
それで、国から逃げるならってことで、別の国を奨められたぜ。
前回彼女がいた国で、とてもよい待遇を受けたって書いてあった。
あそこなら、釣りをするだけの『釣り士』でも面倒見てくれると思うって、偉い人への手紙も預かったぜ!これ2通目な!

+ ★★★
舞台はヤパ。
酌士VS魔王の後が舞台。
魔王キサラギは倒したものの、魔物の活性化は激しいという状況。
亜人種への迫害が根強い。
三平は旅の途中、川沿いを歩いているとある女性と出会う。
その女性は膝くらいまでの深さまで川に入り、「でやっ」「はっ」「ほあーっ」等といいながら水面を叩いている。
まるで獅子のような黄金の髪。
三平は彼女が魚を捕まえようとしていることを察した。しかし彼女の手は水を裂くばかりだ。
ニャーニャー、着いてきた白と黒のネコがエサを要求した。三平仕方なく川沿いに座り、『釣り』を開始させる。
彼女のおかげでこの辺りの魚は怯えて警戒して食いつきにくくなっていたが、そこは『釣り士』の本領発揮。
あっという間に釣り上げてみせた。
ネコそれぞれに魚を与える。ばりばりむしゃむしゃ。
「おい」
と声をかけられる。
三平は、彼女が近づいていることには気づいていた。
彼女が三平を見下ろす。透き通るような青い瞳に、細い瞳孔。
三平は、瞬間彼女が人間でないことを察した。
三平は立ち上がる、目の前に彼女の胸、あまり大きくはないが引き締まったそれは弾力に富み、彼女が話すたびにぷるんと動く。
「お前上手いな。私はレオナと言う。お前は誰だ。その魚を売ってくれないか」
レオナは腰につないでいた貨幣袋から銅貨を三枚差し出した。
三平は、ほしいなら差し上げますよと言った。
「何を言う。物品に対して対価を払うのはお前たち人間のルールなんだろう?」
レオナに言われて三平は恥ずかしそうに頭をかいた。まさか亜人種であろうレオナにそんなことを言われるとは思わなかったからだ。
それじゃあと、レオナから差し出された銅貨を受取り、魚の入ったカゴを差し出す。
「ありがとう」
と言ってレオナはカゴを受け取った。
すると三平の目の前でレオナは魚をぐわしとつかみ、ばりばりむしゃむしゃと食べ始めた。

三平にとって魚釣りは経験値を稼ぐことが目的であってあまり食べたり売ったりは考えていない。
だから三平も、レオナに対して「好きなだけどうぞ」と言おうとした。
しかしそもそもレオナは、「その魚を売ってくれないか」と言っただけでいくつとは言っていない。
三平が差し出した時点で、カゴごとくれたものだと判断した。

+ ★★★
なんやかんやあって起こった戦争。
激しくぶつかり合う両軍。
しかし、敵の戦力はすさまじく、主人公サイドは防戦一方。
戦線はどんどんと押し上げられ、大ピンチ。
敵軍の軍師がはっと気付いた、戦線が伸び、軍が分かれている。
お互い援護ができない位置関係、まさか……『釣られた」!?

「全軍に通達!それは『エサ』だ!敵軍に高レベルの『釣り士』がいるぞ!」

『釣り士』、それはゾディアックと呼ばれる星の加護を持つ職業の中でも、特に目立たない職業だ。
なにせ、最初に取得できるアビリティである『釣り』は、ただ魚釣りができるようになるものだからだ。
しかも、職業レベルを上げないと、『疑似餌』も使用することができない、一般人のもつ技能にも劣る微妙なジョブと認識されているからだ。
ところが、この職業の真価は、レベル10を越えたところにある。
11で獲得できる『動きを釣る』は、敵と相対したとき、特定のリズムで相手の動きを誘導するものだ。
しかも、相手は釣られていることに気付かない、気付いた時にはその隙に攻撃を受けてしまう。
15で獲得できる「群れを釣る」は、対象となる集団を自身のいるところまで誘導するスキルだ。
当然、対象は釣られることに気づきもしない、あとは罠で一網打尽である。
そして、極めつけは19で獲得する『太公望』だ。
大軍すら釣ってしまうこのスキルを持っている者が1人いるだけで、戦況が一変してしまうのである!

気付いた時にはもう遅い!
主人公の所持する『太公望』によって敵軍は誘引され、絶妙のタイミングで主力の投入。
そして、戦争はあっけなく終了した。

+ ★★★
大規模戦闘、大軍戦闘での勝敗は、『釣り士』の有無で決まると行っても過言ではない。
そう言わしめた出来事がある。

世界最大を誇る、神聖ホーリー王国と、小さな島国バタフライ帝国の戦争。
50万人もの軍勢を率いて進軍したホーリー王国に対し、バタフライ帝国の軍はわずか2万人足らずだった。
戦争は数、誰もが王国の勝利を確信して疑わなかった。
ところが、いざ戦場のふたを開けてみると、最前線はあっというまに大混乱に陥った。
帝国側の『釣り士』が、帝国軍で最も実力のある『解体士』をその能力によって『疑似餌』とし、『オマツリ』を発動して前線をかけずり回らせたの だ。
そうすることに何が起こったか。
『オマツリ』は、『釣り士』の使用する魔力の糸を、他の魔術を構成する魔力に絡めて魔術の発動を阻害するアビリティである。
『解体士』が戦場を移動するだけで、前線の『術士』は魔術の使用を邪魔され続けることになる。
そして、『疑似餌』が『解体士』であったことも理由があった。
前線の歩兵を、『解体士』は殺すのではなく、身につけている鎧を『解体』することで無力化を図った。
武器も防具も、『解体士』の『解体』の前では、金属板の1枚から鋲の1本までことごとくきれいにばらばらにされた。
戦意を喪失するもの、裸にひんむかれてもなおも戦い続けたもの、悲鳴を上げて逃げ帰るものもいた。
ちなみに余談だが、『解体士』はこの戦闘中にレベルが上がり、『服をバラす』という、衣服を生地に解体するアビリティを獲得した。
逃げるものは放置して、逃げずに向かってくるものはあっというまに『釣り士』によって『吊り上げ』られた。
兵士も魔術師も、たった2人の上級職によってほぼ無力化された。
この逸話は、王国の歴史書にも恥を忍んで記載されている。

+ ★★★
ところが、この戦争、実はもう一つ隠された真実がある。
『釣り士』の『大きすぎる釣り針』によって、『解体士』のサポートをしていた『巫女』や『逃がし屋』の存在や、軍団を指揮していた『羊飼い』の 存在が一切語られていないのだ。
そして、知名度が上がったために、幾度となく差し向けられた暗殺者から、『釣り士』や『解体士』を護衛し続けた『忍』の存在も、一切知られていない。
かの『釣り士』は、ほくほくと「ぷぎゃー」と笑っていた。
最終更新:2018年11月15日 17:50