場の量子論
1章 予備知識
1.1 量子力学の復習
1.2 特殊相対論の復習
1.3 場の解析力学
2章 場の量子化
2.1 場の量子論の事はじめ
2.2 実クラインゴルドン場
2.3 ディラック場
2.4 電磁場
3章 経路積分
1章 予備知識
1.1 量子力学の復習
簡単な復習と、後で使う公式の説明をします。
・系の”状態”をヒルベルト空間(ベクトル空間に完備性と内積を定義したもの)上のベクトルで表し

のように表す。なぜそんな事をするのか?
それは、ただ単に都合よく表現できるから。
例えば、1次元空間上の粒子の座標だけの”状態”を表すのであれば、実数xで物足りる。
量子論はもっと複雑なので、ベクトルで表現したほうが都合が良いのである。
蛇足)
状態ベクトルの理解は、幾何ベクトルのイメージが役に立つと思う。
すなわち、ベクトルの向きが状態に対応しているとイメージするのである。
・物理量をは、エルミート演算子で表す。

エルミート演算子とは

を満たすものをいう。この要請は、物理量が実数である事を要求するためである。
・状態の時間発展はシュレディンガー方程式に従う。(シュレディンガー描像の場合)

ココで、Hはハミルトニアンを量子化したものである。
・物理量の期待値は

で得られる。ただし、ノルムは規格化されているとする。
状態

を|x>に内積したものを位置表示の波動関数と呼ぶ。

同様に運動量pを変数にとる状態ベクトル|p>に内積したものを運動量表示の波動関数という。

両者の関係は
・正準量子化
量子化は次式の交換関係に従う。

座標表示では、


とし、確かにこれは上の交換関係を満たす。
・重要な公式
・エルミート演算子の異なる固有ベクトルは直行する。
すなわち

連続変数の場合、上のアナロジーでδ関数を用いて

とする。

iは自然数
証明)
任意のベクトル

をかけると

となり、変わらないことがわかる。
・qを連続変数として、

証明)


証明)

最後=の微分方程式を解けば上式がえられる。
・調和振動子
調和振動子のハミルトニアンは

で与えられる。
ここで、新たに生成、消滅演算子というものを定義する
2章 場の量子化
ここからは、自然単位系を使いますh=c=1
2.1 場の量子化ことはじめ
清水明さんの量子論の基礎の7章が凄くわかりやすいです。
量子力学は、基本変数に”粒子の”座標pと運動量qを取りましたが、これを場に適用しようとするのは、ごく自然な発想です。すなわち、粒子が古典論で記述できないのならば、場も記述できないであろうということです。
そこで、粒子の場合のアナロジーとして、場の関数(便宜上スカラー場φとします)を量子化します。
物理学では、何を原理に持ってくるかは理論が同値であれば一向に構わないのですが、一番スマートな方法はやはり
最小作用の原理でしょう。
すなわち、系を一つのラグランジアンLという関数によって記述し、その作用が0になるという事を”原理”とします。
要請としては、ラグランジアンは場の関数と、その時間の1階微分のみ含むとします。空間微分は、各点でφが定まっているので、(異常な空間でなければ)常に計算可能です。


ここで、ラグランジアン密度というものを定義する。

そうすれば、作用は一般的に

と、4次元の空間積分になり、相対論的見通しがよくなる。
次に、解析力学と同じく、場の一般化運動量(密度)を定義する。(粒子の解析力学でも、運動量の一般的な定義はラグランジアンを速度で微分したものでしたね)

右辺は汎関数微分といって、関数を関数で微分しています。詳しい説明は力学のページで(未定な予定><)。
汎関数微分には次の性質があります

より

がいえます。
粒子の解析力学と同様に、ハミルトニアンも定義する。

とし、(右辺の中はハミルトニアン密度)

Hの自然な変数は、φとπになります。
・場の量子化
正準量子化では

を要請しました。
場の量子論では、基本変数を場に選びます。
すなわち、
x ⇒ φ
p ⇒ π
基本変数を区別する添え字(1粒子だったら1-3とか)は、
j ⇔ r
となり、無限自由度になります。
3章 経路積分
3.1 経路積分入門
目的は、時間t0の状態からの確率振幅を求めることです。
厳密な導出はしないです。
ハミルトニアンの演算子の順序に関する議論も全くしていません。
とりあえず、仮定は
・ハミルトニアンHは時間に依存しないと仮定し、更にT+V=Eと書ける。

と書き、ファインマン核と呼びます。
時間推進演算子Uを導入する。

この演算子は状態

を

に移す。
確率は保存するので、Uは明らかにユニタリである。
シュレディンガー方程式が成り立つことより
時間推進演算子について

が成り立つ。
また、

は明らかである。
次のステップとして、次のように時間を離散化する。

・
・
・


ただし、Δtは無限微小時間。
Uを微小時間についてテイラー展開して

よって、次式が成り立つ

ファインマン核

の間に完全性を大量にぶち込む。


各微小区間は上の結果を使って


を仮定すれば、δ関数のフーリエ表現

と、上の公式

を駆使して
Tの項は

ポテンシャル項は

よって、微小ファインマン核は

3行目では、1-H⊿tを再び指数関数にもどして、肩に上げて近似ました。

に代入して、Nを無限大に飛ばすと

コレを新たに

と書く。これを、
位相空間での経路積分と呼ぶ。
また、指数関数の肩は作用積分(中身はラグランジアン)なので、

と、非常にシンプルに書ける。
3.2
ユークリッド経路積分