麒麟立志伝⑩
エルセリア歴X55年、秋。
先の戦いで敗戦を喫した「ブルーコースト」に、再び王国軍の姿が現れた。
この日は雨。昨日までは雲ひとつない快晴であった。
この日は雨。昨日までは雲ひとつない快晴であった。
帝国の銃士隊を破るための布石として、ランベルトはまず天候の操作から始めた。
一晩かけた王国軍魔導士の気候変動術式は、見事,雨雲を呼び寄せるまでに至った。
布陣は前回と同様、王国歩兵が前線を固め、その両脇の騎兵隊が突撃のチャンスを狙う。後方では魔導兵が支援に当たる。そして歩兵隊の列の中には、彼らの姿があった。
一晩かけた王国軍魔導士の気候変動術式は、見事,雨雲を呼び寄せるまでに至った。
布陣は前回と同様、王国歩兵が前線を固め、その両脇の騎兵隊が突撃のチャンスを狙う。後方では魔導兵が支援に当たる。そして歩兵隊の列の中には、彼らの姿があった。
「ふう……。」
KIRINは恐怖心を押し殺し、剣を構える。ここに来るまでやれるだけのことはやった。とはいえ、戦場の空気は彼の肌をビリビリと撫でる。
団長は声をかけない。代わりに傭兵団全体に作戦要綱を説明した。
団長は声をかけない。代わりに傭兵団全体に作戦要綱を説明した。
「いいか、俺たちの役割は前回とは違う。重歩兵隊が接敵するための隙を、俺たちが作らなくちゃならない。敵はあくまで一斉射撃にこだわるはずだ。何としてもかいくぐれ!」
傭兵たちが声を張り上げる。KIRINもワンテンポ遅れてそれに続く。
はるか向こうには飛龍の紋が描かれた陣旗が揺れている。帝国銃士隊だ。
はるか向こうには飛龍の紋が描かれた陣旗が揺れている。帝国銃士隊だ。
「歩兵隊、前進!」
彼らは歩き出す。敵との距離が50歩まで近づいた時、沈黙は破られる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
聖騎士団の国境線を問答無用で突破した"大グリニア"は、意気揚々と中央を目指していた。
指導者は、かの"竜王"の娘である"フェザー"。その横には、彼女の中央進出のきっかけを与えた人物が静かに佇んでいた。
指導者は、かの"竜王"の娘である"フェザー"。その横には、彼女の中央進出のきっかけを与えた人物が静かに佇んでいた。
「ふう…ようやく退屈なだけの砂漠とおさらばできたわね。こうなればさっさと中央を落とすのみよ。」
「いえ、首長様。しばらくはここを足がかりとして戦局を睨んだ方がよさそうです。新たに指導者となった"α"という男、なかなか食えない奴のようです。
それに我が軍はまだ統率がなってない。いずれは精強な聖騎士と正面からぶつからなくてはなりません。遠回りとはなりますが、ここで一旦戦力の増強を図るのが良いと思われます。」
それに我が軍はまだ統率がなってない。いずれは精強な聖騎士と正面からぶつからなくてはなりません。遠回りとはなりますが、ここで一旦戦力の増強を図るのが良いと思われます。」
「そうか……あんたがそう言うのならば仕方ないわ。あまり根気のいることは得意じゃないけど。」
「恐れ入ります。」
「軍務の関係は全部あんたに任せるわ。私は中央の街をもっと見て回りたい。」
「はっ。」
"フェザー"の立ち去った後、入れ替わりに一人の男が入ってくる。もとは"李族"の代表であった"シャル"である。
「お前……どういうつもりだ。とんでもないことをしてくれたな。」
「どういう意味でしょう?」
「しらを切るな。部族の統一も、中央進出も、全部お前がけしかけたことではないか、"ファントム"。
各国の首脳部と内通しているとの情報もある。裏は取れてないが、いずれは貴様を降ろしてやるからな。」
各国の首脳部と内通しているとの情報もある。裏は取れてないが、いずれは貴様を降ろしてやるからな。」
「必要性を感じたからやっただけの事。首長も、その父も政治には暗鬱でしたからね。」
"ファントム"と呼ばれた男はその場を去った。"シャル"は危惧していた。
「おのれ…、あの男いずれはグリニアを手に入れるつもりか……。」
麒麟立志伝⑩ (5/26 06:02)
文章:KIRIN(Nyarlathotep)
文章:KIRIN(Nyarlathotep)