麒麟立志伝⑨
当然のことながら、KIRINの初陣は散々なものとなった。
KIRINはこの戦いについて、詳しく覚えていない。というのも、初めての戦場の空気にのまれて、途中でパニックを引き起こし、単独で逃走していたからである。
直前の港町まで引き返し、そこで十数時間後に傭兵団によって発見された。当時の傭兵団長は相当おかんむりであった。
戦場において、勝手な逃走は最も危険な行為であった。下手をすれば、雇い先によって粛清されても文句は言えない(無論、戦況を見ての適宜退却とはウマが違う)。
直前の港町まで引き返し、そこで十数時間後に傭兵団によって発見された。当時の傭兵団長は相当おかんむりであった。
戦場において、勝手な逃走は最も危険な行為であった。下手をすれば、雇い先によって粛清されても文句は言えない(無論、戦況を見ての適宜退却とはウマが違う)。
温厚な傭兵団長も、これには憤慨しKIRINを怒鳴りつけた。
「てめぇ、勝手に逃げるたぁ、なに考えてんだ!俺の面子が丸つぶれじゃねえか!てめぇは軍で何を学んできたんだ!?ああ!!?」
「だ、だから…俺は軍の経験なんてないんですよ……。戦場にだって、今回が初めてです……。」
「……傭兵になった以上、傭兵のルールがある。次勝手に逃げたら承知しねぇぞ。」
KIRINは境遇を理不尽に思えてしばらく兵舎に顔を出さなかった。とはいえ、他にあてもなく、何もしなければ食いっぱぐれるだけである。
1週間たったのち、KIRINは再び傭兵団の兵舎に赴いた。
他の連中は目も合わせない。団長だけが、椅子に座ったまま静かに尋ねる。
1週間たったのち、KIRINは再び傭兵団の兵舎に赴いた。
他の連中は目も合わせない。団長だけが、椅子に座ったまま静かに尋ねる。
「……腰抜けが何の用だ。」
「……傭兵になりに来ました。」
「……分かった。俺も上手い方じゃねえが、剣の振るい方ぐらいは教えてやる。だが、そっから先は自分で強くなれ。此処の奴はみんなそうして生きてきた。」
そこから名誉挽回の機会が与えられたのは、その4週間後である。
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しかし、KIRINが覚えた恐怖は、王国軍の正規兵にも植えつけられていた。
帝国の軍事工学技術により格段に命中精度の増した銃は、幾人もの王国軍の伝統ある陸軍歩兵将校たちを貫いた。魔導兵たちの結界技術によってある程度の損害は防げたが、結果として王国軍は、帝国の銃士隊が敷いた防衛線を突破することはできなかった。
王国の数日後に行われた軍事会議。
王国陸軍大将”にしけい”、同魔導部門責任者”ハボキ”は、頭を抱えていた。
王国陸軍大将”にしけい”、同魔導部門責任者”ハボキ”は、頭を抱えていた。
「銃の技術だけではない。それを生かした戦術も全大戦とは比較にならない……」
「煩わしいのお……。思えばあれから王国の権威は奪われるわ、国交では常に牽制されるわ、いつの時代も”メルカティスの亡霊ども”は……」
「それ以上言うな。”あれ”は奴らのせいじゃない。」
「……。」
重い空気の中、陸軍元帥”ランベルト”が口をはさむ。
「ようは銃士隊の戦列を早急に崩せるかが勝敗の分かれ目だ。なに、次は帝国どもの思うようにはいかない。すでに伏線は張ってある。」
麒麟立志伝⑨ (5/18 23:16)
文章:KIRIN(Nyarlathotep)
文章:KIRIN(Nyarlathotep)