麒麟立志伝⑬
――グラフォート黒騎士団本拠地。
「ようは、戦争を始めたいと。」
冷ややかな声で黒騎士団宰相"パルフェ"が尋ねる。
「ああ、今の教団に秩序はあれど、そこに正しさはない。
私は教団を変えたい。真に敬虔な正統教義を勝ち取りたい。」
私は教団を変えたい。真に敬虔な正統教義を勝ち取りたい。」
びってんは落ち着きを払って答える。
「で、俺たちをけしかけて教団を潰させるつもりか。正気の沙汰じゃないな。」
それを聞いていた近衛騎士団長"闇騎士"が、やや喰い気味に問い詰めた。
「私は正しさを得るために、どんな手も汚すと決めた。
罪に咎められる人間は、私一人だけで十分だ。」
罪に咎められる人間は、私一人だけで十分だ。」
「…いいわよ、兵を出しましょう。」
「!!」
突然の最高指導者"タキ"の一言に、闇騎士が驚いて聞き返した。
「女帝様!それは早計では…」
「精強な黒騎士団が、聖軍相手に遅れを取るとでも?」
「いえ、しかし戦争となれば少なからず我々にも消耗を強いられます。」
「奪うわよ。もとより見返りのない戦争などないもの。
私たちのやることは、今までと何も変わらない。戦争を介して手に入れること。
資源のないこの極寒の地に居を構えるならば、必要なものは他国から奪う他ない。
戦争の口実を得られるならば、躊躇せず乗るべきだわ。」
私たちのやることは、今までと何も変わらない。戦争を介して手に入れること。
資源のないこの極寒の地に居を構えるならば、必要なものは他国から奪う他ない。
戦争の口実を得られるならば、躊躇せず乗るべきだわ。」
「……。」
「軍備を始めましょう。なるべく早く出兵の予定を立てたいわ。」
「……はっ。」
「恩に着る、タキ殿。」
闇騎士とびってんがこの場を去る。
パルフェが重苦しい空気の残る中、タキに話しかける。
パルフェが重苦しい空気の残る中、タキに話しかける。
「…お人よしだな、あなたも。」
「おそらくは、教団の内部にもこの動きに同調するものが現れるはず。
なるべく教団の事は彼らに任せましょう。」
なるべく教団の事は彼らに任せましょう。」
「しかし、それだけでは国民は満足しまい。」
「…分かっているわよ。」
日頃からさんざん他人に話してきた自らの理想を、タキは一息で話し始めた。
「この国は呪われているわ。
この国の人々は、餓えをしのぐ為に力を持ち、他者から奪う他なかった。
しかしその力を以てどこへゆこうとも、彼らに向けられるのは蛮族を見るような憎悪の目。
全ては、"力しか"持たない傭兵国家ゆえに。
この国の人々は、餓えをしのぐ為に力を持ち、他者から奪う他なかった。
しかしその力を以てどこへゆこうとも、彼らに向けられるのは蛮族を見るような憎悪の目。
全ては、"力しか"持たない傭兵国家ゆえに。
私は必ず手に入れる。この国の、黒騎士団の利権を。
力を示し、真の自由を手にする。それこそが救済への道。」
力を示し、真の自由を手にする。それこそが救済への道。」
「……自由を手にするためにも、血道を渡らねばならぬか。
確かに、この国は呪われているのかも知れんな……。」
確かに、この国は呪われているのかも知れんな……。」
「資源も、富も、利権も、栄光も、全てこの戦いで手に入れてみせる。」
麒麟立志伝⑬ (7/3 00:03)
文章:KIRIN
文章:KIRIN