SF百科図鑑

Jon Courtenay Grimwood "Felaheen, An Ashraf Bey Mystery, The 3rd Arabesk"

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September 21, 2004

Jon Courtenay Grimwood "Felaheen, An Ashraf Bey Mystery, The 3rd Arabesk"

felaheen次をどれにするか迷った挙句、本年度英国協会賞受賞作を先に読むことにしました。次にプリーストの2冊と、ビジョルドのヒューゴーを読み、華氏451を見つかり次第読み、短編を片付けた後、最後にアッシュの残りを読む予定。
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この記事へのコメント

1. Posted by silvring   September 28, 2004 01:42
ぼちぼち読んでいる。今日は50ページまで読んだ。
三部作の第三部だけあって、世界設定やこれまでのストーリーの説明がないのでややとっつきにくいが、エジプトからイギリス軍を追い出した後に出来た国などが舞台になった改変歴史小説のようだ。今のところストーリーらしいストーリーがないが、『蛇による要人暗殺未遂事件」が起こり、ようやく少し動き始めた感じ。
2. Posted by silvering   September 28, 2004 15:15
本書の設定、ぐぐって少し判明。第一次大戦でドイツが勝ったという設定だ。あとオタワン帝国が中東を支配している。
3. Posted by silvering   September 29, 2004 02:55
またーりと100ページ。
主人公の男(アメリカから、この宇宙でエジプトに当たるイスカンドリヤに移住し、様々な職業を経た男)を、謎の女が訪問し、チュニスのエミル・モンセフ(蛇に襲われた男)の護衛を依頼する。彼女が言うには、エミルは主人公アシュラフの父ではないかというのだ。サリーはエミルの三番目の妻となり、5日で離婚したらしい。彼女はアシュラフに手がかりの写真や手紙を送りつける。アシュラフは、北アフリカの富豪ハムザ・エフェンディの娘ザラとシリーズ旧作で婚約したもののこの女に嫌われ、同じ屋敷に住んでいるのに未だに関係がない。また天才にして問題少女の姪・ハニの面倒も見なければならない。こういった家庭内トラブルで手一杯であることや、母が父親は北欧のジプシーだと言っていたことから、エミルが父とは考えられず護衛も断るのだが、謎の女ユージェニーの送ってきた資料を見るうちに興味を引かれ、自分のルーツを調べ始める。手始めにいとこのイブラヒム&サンの事務所を訪ねようとするが、既に死亡していることがわかる。
他方、アシュラフの母ではないかと思われるサリーという娘のストーリーがカットバック式に挿入される。サリーはチャーリー・サヴォイという男の下で何かよからぬ仕事をしているようだが、その途中、列車内でパー・リンドストロムという北欧人の男と知り合い、深い仲になる。

前の二作を読んでいればもっと内容を深く理解できそうな気がするのだが、もうちょっと我慢して読んでみよう。
4. Posted by silvering   September 30, 2004 03:28
125ページまで。歯が痛いのと大雨で靴下と靴が濡れてキモかったのとで集中できず。
これもつまらない。まあ、つまらない主要な原因は、第1作、第2作を読んでいないせいだとは思うが(笑)。世界設定や人物関係の説明が省略されているため、話が見えない。そのうえ、とにかくキャラクターの数がめちゃくちゃ多くて、既に50人を突破している。
が、ストーリー自体もつまらない。主人公のアシュラフという男の父親探しを軸に話が進むのだが、興味ねえよそんなこと。前二作読んでないから全くキャラへの思い入れがないし。

だからって、前二作読む気にはなりません。意地でも読まないぞ。&&でもカンニング用に買おうかな&&前二作読んでれば判ることがわからないまま、読むのはもどかしい。
5. Posted by silvering   September 30, 2004 17:20
グリムウッドの催眠パワー恐るべし。

1時頃読み始めたが、1章読んだだけで気づいたら爆睡していた。吉川晃司に「お前はダメだ」と批判される夢や、夢の中の東京に似た都市で、普通の市電に乗り入れている異常な長距離の行く先不明で料金の支払い方や金額も分からないノンストップの路面自転車(自転車の上に巨大な電車車両が乗っている)に誤って乗ってしまい降りられずに料金が払えるかと怯える夢などを見て、いま目覚めたら夕方の5時半。実に3時間も眠っていた計算になる。

ひとえにグリムウッドのこの作品の催眠力がいかにものすごいかということだ。気をつけて読まねばなるまい。
6. Posted by silvering   September 30, 2004 18:39
やっと150ページ。

アシュラフはチュニスでコック見習いのバイトをする。例のイサビューという娘とちょっと怪しい雰囲気になってきた。

一方、嘘の手紙で親戚をけむに巻いたハニは洋服を買いに行く。何を企んでいるのか?
7. Posted by silvering   October 01, 2004 00:13
166ページまで青息吐息できた。全然面白くない。読み進むのがつらい。他のことをしたくなる。
やはり素直に第1巻から読めばよかったのか&&。登場人物が既に50人を突破していて相関関係が全然分からないし、説明なしにフランス語やアラビア語が飛び交ってわけわかめ。文章は易しい方なのに内容が把握しづらく感じる。
生涯最大のピンチかも。
8. Posted by silvering   October 01, 2004 11:12
177ページ。
ラフはイサビューの弟殺害容疑で逮捕されたいとこのつとめるレストランに補欠要因として就職する。
何か脱線が激しい。この本の主要な関心はラフの親が誰かってことじゃないのか? どう面白がればよいのかの指針が全くなくて辛い。

何かアマゾンの評を見るとサイバーパンクらしいんだけど、どこがやねんという感じ。
9. Posted by silvering   October 03, 2004 21:23
260ページ。
ストーリーがだらだら進まないので、ほかの事に興味を引かれて進まない。
明日には読み終わりたいが。
10. Posted by silvering   October 03, 2004 21:26
雑感。
アシュラフの行動が意味不明。警察長官に任命されてるのなら何でスパイまがいの行動を取っていたんだろう。堂々と入ればいいんじゃないのか?
あと、けっこう脱線が多いのは相変わらず。
11. Posted by silvering   October 05, 2004 03:54
読了。

ジャンル分け不能なミクスチャー小説だが、いちおうミステリ要素が最も濃い。「イサビューの弟殺し」と「エミル謀殺(未遂)」の二つの事件の犯人探し&トリック探しというフーダニット、ハウダニットの謎解きが物語の核になっており、最後に両者の真相が暴かれる。ただ、正直言ってこの謎解きは、ミステリの一般水準からするとお世辞にも上等とはいえないし、十分な手がかりも読者に与えられていないという点で「アンフェア」の誹りを免れないものである。またイサビューの事件に関しては動機が今ひとつ不明。エミルに関しては国王の座を狙うという動機は容易にわかるのだが。
しかしミステリは核にあるものの彩りに過ぎず、本作の魅力の核心は、この世界と異なる経過をたどったヨーロッパ~中近東(ドイツが第一次大戦に勝ち、オタワン帝国がトルコを支配)における(平行宇宙の)架空の国イフリヤドを舞台とする政治、経済、文化のディテール構築にある。そこを舞台に繰り広げられる宮廷の後継争い、政争。だれが真の後継か判らないまま政争の渦に巻き込まれる三人の王子候補者たち&&主人公アシュラフ・ベイもその一人である。アシュラフの母は五日間だけ国王の妻だった人物で、アシュラフも王の子である可能性があったが、母自身からは、アシュラフの父は北欧の流れ者の男だといわれていた。そこへ国王の護衛部隊長の女性が訪れ、真の子がアシュラフだという証拠を突きつけ、国王暗殺未遂事件の真相究明と護衛を依頼する&&という基本ストーリーだ。イスラム世界のディテールへのこだわりが随所に現れており、恐らくこれを楽しむことが、本書の大きな読みどころの一つだろう。
登場するキャラクターの数は異常に多く50人を超えるが、核になる人物は、アシュラフ、国王、ザラ、姪のハニ、王の「長男」カシフ・パシャ、「三男」ムラド、現王妃のレイディ・メリヤム、アシュラフの母サリー、イサビューあたりだろう。だが念のために、読みながら人物表を作ったほうが判りやすいと思う。中では、「ハニ」というお転婆少女が、最も魅力的なキャラクターだろう。
筆致はかなりユーモラスである。ビジョルドの「ヴォルコシガン・シリーズ」に通ずるものがあると思う。
アシュラフに関しては、頭の中で聞こえる『狐」の声、様々な人格、夜目が利く、特殊な記憶能力といった超常能力があるのだが、これは最終的に様々な実験的措置の産物であったことがわかる。また、互いに想いながらも結ばれないザラとの関係は、結局最後に実るのだが(この種明かしは失笑ものなのだが、ユーモア感覚の表れだろうか)、このあたりの題材は、前二作を読んでいなくてもおおよその把握は出来るものの、前二作での事件への言及も多々あるので、やはり前2作を先に読んでいればもっと楽しめたのにと悔やまれる。

本作が英国SF協会賞を受賞したことから本作を先に読んでしまったのだが、本作を読んで、第1作、第2作を読んでからもう一度本書を読み直してみたいという欲求が高まっている。

テーマ性 ★★
奇想性  ★★
物語性  ★★★
一般性  ★★★
平均   2.5点
12. Posted by silvering   October 05, 2004 04:09
あらすじ

前半部分は、前二作を未読であるがゆえ設定や固有名詞等を理解できないまま無理に要約しているため意味不明の誤読部分も多数あるが、面倒なので特に訂正はしません。

フェラヒーン(アシュラフ・ベイの謎) アラベスク3 ジョン・コートニイ・グリムウッド

第1部
プロローグ 3月14日月曜
頭の中の狐の命ずるままに、アシュラフ・ベイは穴を掘る。汗や汚れでまみれ、自分の臭いに吐きながら、アシュラフは様々な幻影を見る。ティリ。レイディ・ヤリラ。そしてあの太った男、彼が殺った最重要人物、フェリックス・アブリンスキ&&。隣の男を狙った爆弾でその体はぼろぼろの状態だった&&。

時間は少しさかのぼる。

第1章 2月1日 火曜
カシフ・パシャはジャラル少佐を伴ってニューヨークに降り、報道陣の質問攻めにあう。運悪くWASP記者チャーリー・ヴァニーの質問に答えてしまい、対応に困る。ジャラルが身を乗りだすが、カシフは「私に任せろ」と制止する。

同じころ、ナイル河畔のエル・イスカンドリアで、猫のイフリタを首に巻きつかせた少女レイディ・ハナ(ハニ)がPCのEQ,IQテストに挑んでいる。EQは高得点だったが、IQのほうは考えすぎて伸び悩んだ。後でアシュラフ・ベイにヒントをもらうと翌日には成績を上げた。アシュラフは姪と「肉体関係のない愛人」(ザラ)がいた。アシュラフは仕事をやめたばかりだった。

第2章 2月1日
ジャラール少佐のブーツの下の歩道から、上司がまた接触を絶ったことを示すソニー製イヤホンのホワイト・ノイズに至るまで、マンハッタンの全てが白かった。白い通り、白い車、ホワイト・ノイズ──いずれにしろその大部分は雪のせいだった。いや、多分ホワイト・ノイズだけは違うと思うが。
五時間前には成人男性を泣き叫ばせるに足るほど冷たかった五番街の寒風も今は収まり、雪はノックス・ビルとブライアント小径の間に降り積んだ。まるで破れた枕から落ちた羽毛のようだ。前方の街路は、少佐のワニ革の財布の中身と同じく空っぽだった。
上司がカジノ30/54に気持ちよく座り、少佐の想像もつかないほど多額の金をスッている間に、ジャラール少佐はマウント・オリーヴまで出かけ、目下顎の骨を折ったと報じられているボストンの写真家チャーリー・オリーヴの私室に通してもらう見返りに袖の下を受け取らせようと必死だった。
少佐の財布の中身は、高値をふっかけてきたボーイのポケットに全部消えてしまったが、このボーイは結局戻ってこなかった。かてて加えて、少佐が嫌悪に顔を曇らせながら諦めようとした矢先、六人の苦虫を噛み潰したような顔をしたパパラッチ野郎がどこからともなく降って湧き、病院を離れようとしている少佐の気違いじみた写真を数点、撮影したのだ。地味な服装をしたこの口髭の副官を、アルマーニを着てエレガントに顎髭を生やした上司と信じたのだった。少佐は上司が愉快な夜を過ごしたことをただ願った。
残念ながら、カシフ・パシャは愉快な夜をすごしていなかった。
カジノはニューヨークにあり、上司はイフリキヤ出身であったが、彼の興じているルーレット盤はパリ製だった。
(以下要約)
カシフはカジノで大損をする。ミシェルという黒人ウェイトレスがタバコをもてなす。ここはクラック・アソシエイツの地所だ。ホテルはアウグストゥス・クラック三世がベンジャミン・アガディアに売り、モホークスの手に渡っていた。ニューヨークのギャンブル規制をうまくくぐり抜けていた。
カシフはチュニスのエミル・モンセフらとゲームを続けた。やがてゲームに飽き、ウェイトレスにホームドクターと氷を頼む。

三章 2月2日水曜日
「ニコライ&&」エミル・モンセフはボディガードに呼びかけた。小さくがっしりしたウズベク人のボディガードの名前は確か、ぜんぜん違うものだった。このウズベク人と、アレックスというタジク人が交互にエミルのボディガードを務めていた。ソヴィエト大使からの最新の誕生日プレゼントだった。モンセフには断りようもなかった。

エミルは生涯の大部分をこの砂漠ですごしていた。これからもそうなりそうだ。
エミルは息子のムラドと食事中に蛇に襲われ、ふくらはぎを噛まれてボディガードを呼ぶ。蛇は殺したが、エミルは毒で気絶する。

四章 2月2日水曜日
カシフは雪げしきが好きだった。母レディ・メリアムからもらう手紙はいつも同じだった。年と健康のこと。カシフは13歳のころ、ソフィアという女性と雪げしきを見たとき以来雪が好きだった。
カシフはカジノでニューヨーク警察の訪問を受ける。弁護士もいる。殴打事件で告訴があったらしい。

五章 二月五日土曜日
むかし、まだ動物が言葉をしゃべり、精霊が堂々と野原を歩いていたころ、ボクハラの国王が遠くの村に住む学者に使いをやった。そのメッセージは簡単だった。
「すぐに来てくれ。助言が必要だ」というのも、国王はインドの使いがやってくるのを予期しており、学者は&&

パソコンの物語を見ているのはハニ。10歳の誕生パーティー。伯父のアシュラフらがいる。ハニは学校に行くことも家庭教師をつけることもいやがっている。
アシュラフはいろいろな事件に関連する物や写真を見ている。トゥルーディの写真を見ながら、フェリックス・アブリンスキ(エル・イスカンドリアの刑事部長、友人)の死を思いだす。
ザラはアシュリフと結婚すればよかったと思っている。
ハニは、パソコンのゲームを勝ち続けている。

六章 二月七日月曜日
イスカンドリヤの刑事部長、首相などを歴任しながら長続きしないアシュラフがある朝、職場に行く前にカフェで一服していると、サードサークルのユージーンという女の訪問を受ける。彼女にエミル・モンセフは父で、襲ったのは家庭の義務に忠実なアシュラフでないのかときかれ否定する。アシュラフが解決した様々な事件を指摘されるがそれは自分でないと否定。頭の中の別人格フォックスと共にユージーンを見送る。

七章 フラッシュバック
シンガポール付近を旅するサリーと中国人ウー・ユン三世は、旅先でアタル、ボゾと知りあう。

八章 二月七日月曜
アシュラフ。イスカンドリアの説明。アシュラフは花を買う。市場に入ると、漁師がナイフで少年を襲っている。アシュラフは漁師と戦い、倒す。目撃した日本人らにより、この武勇談はニュースとなる。ウマルというこの少年を襲った漁師は暴力を振るう義父だった。

九章 フラッシュバック
サリーはボゾらに守られながらカフェでコーヒーを注文する。そしてサリーは時計を壊し、逃げ出す。

一〇章 二月九日水曜日
ユージェニーとラフがカフェで対話。ユージェニーはラフは薄給なのに毎日高価な食事をしていることを指摘、エミルの子ではないか、助ける気はないかと追及。ラフは証拠を要求する。
ユージェニーは毎日ラフを訪ね、エミルの護衛を求める。彼女はラフの母が来た時エミルの護衛をしており、知っているという。

一一章 フラッシュバック
サリー、アタル、シンはボーイング747でアイドルワイルドに渡り、日本人向けホテルに泊まっている。サリーはベイヤ-・ロシェルの会社に「後見人、教父」のチャーリー・サヴォイとワスプのマイク・ピアポイントを訪問。マイクに案内されてチャーリーの部屋に入る。彼らはパソコンを調べ始める。そしてスキミングを行う。そこにはベイヤ-がエミルと合弁で北アフリカに作った遺伝子学研究所のデータもあった。名称は『エイト・スコア&テン』。

一二章 二月一〇日木曜日
ユージェニーが去る場面。

朝食がずれこんで一一時のお茶会になってしまった。ラフの記憶以外のどこにも見当たらない極めて英国的な食事、ついに昼食にずれこんでしまう一一時のお茶会のようだった。そこでラフは少なくとも二回、『アレクサンドリア語講座』を読み、賓客の欲しがるものを提供しようと視野の隅を飛び回るウェイターの姿にうんざりしていた。
「どっちが何だって?」
ラフはその台詞を考えた。
「はい?」
フォックスに任務を与えるため、ティリはラフの答えを一〇分待ったが、答える気がないと見て取るや、再びラフの精神に入りこんだ。
「答えようがないだろう?」ラフは考えた。「正しい答えを知りもしないのに」
「一つ質問していいか?」
ラフは一人うなずく。
「なぜ彼女と寝なかったのか?」フォックスがいった。
「寝なかったからだ」
「理由を答える気があるのか?」
「質問の時期が悪い」
「今はどうだね?」
「だめだ」ラフは首を振った。「遅すぎる」
本当に真実なのかラフにはわからなかったが、それはほとんど争う余地もなく、ラフにとって信念の対象となった。ザラとともに形作ろうとしていたものは粉々に砕け散って、再び寄せ集めて元に戻すことはおろか、一つ一つの断片が多すぎて識別不可能なほどだった&&

ラフは部下のエドゥアルドから封筒入りの写真を受け取る。エドゥアルドの証言からして、ユージェニーのようだ。写真は、ラフの母たちとラフと思われる幼児のもの。サリー・ウェルハムと少年の写真。後ろに二つの日付。下は母の命日。上はパーの命日だろうが、ラフの生年よりはるか昔だ。事実を知るにはエミルが生きているうちにきくしかない。そうだ、と頭の中のフォックスが言い、エドゥアルドに「何か言いましたか?」ときき返される。

一三章 フラッシュバック
サリーは尼とともに列車を乗り継いで移動している。ニューヨークからシシリーにむかい、カタニア空港で五日前、税関で調べられた後、ペンションで風呂に入ったのが最後。ロンドンに24時間滞在したがあれもうんざりだった。シシリイから空港で飛び、次の寄港地から列車に乗った。トリポリ-タンギアス。車中、少年が、「列車ジャックが出ないように長袖の服を着てくれ」というので着替えた。

一四章 二月一一日金曜
ハニは伯父がもうすぐ帰るというティリのメッセージを焼く。彼女はPCで日記をつけてライオンの下に隠している。ハニはPCに二つの手がかりをメモしている。
1)スーツはまだ食器棚に入っている。
2)ジェラバが紛失した。

一五章 二月一四日月曜
ラフはアイザックアンドサン(法律事務所)を探す。サリーはエミル三人目の妻で五日で離婚したらしい。イブラヒムはいとこの弁護士ないし公証人。しかし街角であった女性によると肺炎で死んだらしい。道をきいて行ってみるが、実際鍵がかかって廃業していた。

十六章 フラッシュバック
正午を回ったころ、サリーの乗る列車はジャックされ乗客は追いだされた。少年はいったん去った後戻ってきてサリーを助けようといった。パーという名だった。二人は客車に乗りこんだ。若い兵隊が数人同乗した。寝静まった後、サリーとパーはセックスをした。寝ていた兵士が途中で次々と目を覚まし見物した。二人は翌朝一緒に降りてガベスに向かった。

一七章 二月一四日月曜
場所、状況不明。ラフがいる。「ムバヒス」とベラウアン軍曹が登場。ラフの頭の中にティリとフォックスがいる。

「仕事さ」ラフは言った。「職を探しに来たんだ」
「どんな仕事を?」
「船の積荷降ろし&&でもストライキ中だ」
ベラウアン軍曹はせせら笑った。ストがあろうがなかろうが、ドックの仕事は父から息子に引き継がれるべきものだ。ラフのようなよそ者がドックの仕事につく唯一の方法は、沖仲仕の娘婿になり、いざというときに桟橋の親方が賄賂を受け取ってくれることと、引退する男に息子のいないことを期待する以外になかった。
「あんたの村はどこなんだ?」
ラフは、小さすぎてたいていの地図には載っていない村の名を口にした。
「どこだ、そりゃ?」
ラフは近くにある似たり寄ったりの大きさの町の名を答えた。軍曹は今度は聞いたことがあるようだったが、たぶん、国連の制裁をつっぱねて車輪つき帆船で塩水湖を走りまわるソヴィエトのナスラニの毎年巡礼する場所だからだろう。

軍曹はラフが仕事にありつくあてはないと判断し強制送還すると思われたが、フォックスが反発した。ラフは銃をかざして逃げ出し、車で通りかかったサヤドという男に助けられる。ラフはエミルの病状が悪いことをきく。ラフはコックの職探しに来たと嘘をつく。

一八章 二月一八日 金曜日 ハニ
ハニは伯父の留守中に屋敷内でエレベーターに乗る。伯父の部屋を調べる。絨毯の下やワードローブを調べ銃を見つける。ケディヴの少年チューフィク・パシャが訪ねてくる。伯父が危険な任務に出かけるという手紙を持っていた。ハニは既に見ていたが、ザラは見せられていなかったのでショックを受ける。

一九章 二月一九日 土曜 ラフ
ラフはサヤドの隠れ家に連れていかれる。仲間のシブリや少年イドリュースがいる。少年にマリファナをもらって吸う。女のイサビューもいる。ラフは今までの経緯をきかれ、とりあえずサヤドにいった通りの嘘を構築する。酒を飲んだりしながら、シブリに何者かと追及される。サヤドは「新兵だってよ」と言う。

二〇章 フラッシュバック 視点人物:パー&サリー
サリーは小切手の口座を調べるが残高がなかった。サリーはパーに分かれようといいとりあえずホテルに泊まる。

二一章 二月二二日 火曜 
ハニはメイターに女性の画像を見せ、ここにきたことがあるかときく。前日の手紙はハニ自身が伯父の署名を偽造して出したものだった。

二二章 二月23日 水曜
ラフはレストランに勤める。イサビューに呼びだされて動物園で会う。いろいろきかれ、頭の中の狐の声などを話す。女はラフの素性を疑っている。ラフが母のいない子の姿を見て涙ぐむのを見逃さない。女に携帯がかかってきて女は慌てて立ち去ろうとするが、ラフは護衛を申し出る。

二三章 二月二三日水曜
ハニは現金持参でドレスを買いに行き、店員に怪しまれながらも寸法を計ってもらう。

二四章 二月二三日 水曜
アントニオらに電話が入る、夜に店を閉めどこかに行くことになる。
ラフとイサビューは彼らに合流する。イサビューの兄パスカルが刺殺された。容疑者としてイドリーズの従兄弟アームドが逮捕されるが、刃物を持ち歩く人物ではなかった。ラフは現場を見せてくれという。

二五章 二月二四日 木曜
ハニが伯父のオフィスに入って資料を見る。サリーという五日だけエミルの妻だった女性の写真。

二六章 フラッシュバック
サリーとパーは車で進む。

サリーはパーの寝袋の底に、スウェーデン・クロナー通貨とパスポートを見つけた。パスポートからパーが本人の言よりも三つ年上であることが分かった。一瞬サリーは金を取りたい誘惑に駆られたが、オタワン銀行はドル、マルク、フランを好む。スターリングですら問題がある。だから連中がクロナーをどう扱うかは神のみぞ知るだった。
しかもサリーの探索行はほとんど終わった。サリーが既に手にいれてリュックの裏地に縫いつけたそれは、パーの現金やらパスポート以上の価値があった。微笑んだまま、サリーは現金を元に戻した。
サリーはパーを手コキで起こした。いわばサリーの特技だ。それからパーの体を転がして仰向けにし、バッグの底が切られて穴が空いているのにパーが気づく前にジッパーを開けた。パーは昼でも目を閉じたままセックスをし、サリーの下で体を痙攣させた。
小さな死と彼らは呼んだ。彼らはあらゆる文化に触れてきた。その意味ではまさに小さな死だった。セックスは個人が重要性を失う瞬間だから。
(中略)
世界が必要としたのは、より少ない農夫、より多くの狩猟採集民だった。より少ない都市、より多くの荒野&&
「サリー?」
「なに?」
「小便がしたい」パーが突然言った。そしてすまなそうな顔をした。
(中略。サリーはセックスを中断し、パーに行かせる。その間に車の助手席に座り出発準備を調える。そして二人で朝日のオアシスタウンを見下ろす。)
「モンセフ王子は有名よ」サリーは付け加えた。「ほとんどの植物が枯れてしまう場所で、木を育てたんだから」
いちばん頬骨の高い兵士がサリーを興味津津見つめた。
(中略。女兵士の部隊。)
「気分はいい?」
サリーは女に微笑んだ。「とてもね」サリーはいった。「ありがとう」

二七章 二月二八日~三月一日 月曜
ラフはイサビューの従兄弟が弟殺しで逮捕されたのでその穴を埋めるためエドヴァ-ド=アブドラ・ウマンのレストランに転職。やがて、エミルの45歳誕生パーティーの仕事に行くことになる。
ラフはイサビューの弟の部屋でイサビューと目覚める。イサビューと寝たようだ。イサビューが目覚め、手がかりは見つかったかときく。ラフは弟と同じ環境に入れば状況や犯人が分かるかもと言ったという。

二八章 三月一日 火曜日
ハニは列車でチュニスに行き、駅員にタクシーで宮殿まで送ってもらった。

二九章 フラッシュバック サリー
サリーはパーの提案で軍のキャンプに行き、パシャの子が欲しいと希望する。応対したユージェニーに殴られ尋問を受けるが、パシャが興味を示し会うことになる。

三〇章 三月一日 火曜日 ハニ
ハニは晩餐会に出席するが伯父は来ない。給仕の一人が突然エミルに発砲し護衛三人が死亡。ムラドが厨房の全員を逮捕よと叫ぶ。ユージェニーも死んだ。

三一章 三月二日水曜 ハニ・ラフ
ラフは新兵を襲い、服を奪って着替え、なり済まして逃げる。そして、頭の中の狐ともう一人が子供のころ生物実験室への放火で誤って殺した動物たちを頭の中で人格化したに過ぎず、実は自分に過ぎないことを理解する。もう狐のアドバイスは要らない、自分は自分なのだ。

以上で第一部終わり。

第二部
三二章 三月二日水曜 ハニ・ラフ
ハニ、ラフ、ムラドらは農場の家にたどり着く。
ラフはあちこち回った後、宮殿を訪ね、昨日の暗殺未遂事件を調べたいといい、カシフと面会を求める。入ると、ハニとムラドがいた。ラフは身分を明かし、兵士はそれをきいてかしこまった。彼らは暗殺未遂事件について話した。
ラフはカシフ・パシャの部屋に押しかけ、パシャに「なぜセント・クラウドやマラコフ議員、ラデク大使を尋問しないのだ?」と問い詰める。ラフはユージェニーによって警察長官に任命されていた。

三三章 同日 ラフ
ラフはメリアムと面談する。その後国王と会う。そしていろいろ話す。

三四章 三月三日木曜ラフ
ラフらはピエール博士を伴ってキャップ・ボンに事情聴取に車を走らせた。そしてセント・クラウド邸で同人を尋問し、入れなければ逮捕させると詰め寄る。

三五章 同日 ラフ
ラフはイスラム建築の違いをようやく理解した。
モスク:教会
モーバラト:聖人の墓地
リバト:要塞化した寺院
メドレッサ:学校
ザウイア:スーフィーの寺院
だが信心のない者にとって表面的な美以上の何の意味があるのか?と思った。
ラフは車(バガティ)を運転していた。姪のハニがきいた。
「ティリって誰?」
「わたしの狐のことだよ」
「何の狐?」ムラドがきいた。
「狐というのは、アイデンティティのことだ」
「アシュラフ・ベイというのは殺し屋。だからたくさんの人格が必要。でもティリという名前は知らなかったわ」
ラフが結局セントクラウドを逮捕しなかったことでムラドとひと悶着あったところだった。
ラフは狐に関して、時たま自分でも自分のしていることがわからなるが、世の中に説明できないことはないし、説明が見つからないにしてもまだ適当な説明のしかたが分からないだけである、とムラドに言う。セントクラウドに関しても〈リリスの子〉がするように侮辱しに行っただけなのだと。セントクラウドが犯人ではないとハニも言う。
ムラドは、誰もが、カシフすらクラウドを恐れているというが、ハニは、カシフが恐れるのはアシュラフだ、アシュラフは〈崇高なるポルト〉に属しているからと指摘する。アシュラフは否定し、自分はクラウドに銃をつきつけたとき手で首の血管を押さえ、パニックを起こさせただけだという。

三六章 同日 ラフ
カイルーン到着。ラフは朝食を買いに行く。ラフが見えなくなったのを見計らってハニも買い物に行く。二件目のソヴィエト向けショップに入る。そして老夫婦に米紙幣を渡し電話を借りたいという。老婆は金を取りついて来いというのでついていくと、老婆は誰かとベルベル人の方言で話し、追加の金を取り、少年の違法携帯を借りる。ハニは自宅に電話したが誰も出ず、留守電に無事だ、伯父とトツァに向かっていると残す。そしてスイートミートを買って戻るが、腹痛がするのでムラドに食わせる。

三七章 同日 エドゥアルド
エドゥアルドはイスカンドリヤ放送のニュースで、ラフがカイルーンでカシフの代理として発表した「エミルは特別保護に入ったが無事である」とのニュースを見ていたから、突然の連絡にも驚かなかった。彼は「ボス分かりました」と用件を聞いて答えた。ラフのチュニス行きの理由について、「父を殺しに行った」という説と「父を助けに行った」という説が相半ばしていた。しかしエドゥアルドの想像も及ばない政治の話であった。

三八章 三月四日 エドゥアルド
エドゥアルドはローズと飛行機でチュニスに行き、アレクサンダーという警官に迎えられる。そこで二つの事件についてきくが、アレクサンダーも報道されている以上のことは知らなかった。

三九章 三月六日 日曜 ザラ
ザラは留守電を聞いてトツァのモンセフ・ハウアラ邸に行き、ハニを引き取りたいといい待たされる。ラフらはメリアムの応対で忙しいらしい。ジャラル少佐が現れ、ラフらがザラの安否を気遣っているという。

四〇章 三月八日 火曜 エドゥアルド
エドゥアルドはエドバードのレストランへ行き、関係者への聞きこみとパスカル殺害現場の検証を実施する。彼は新たな警察長官に任命され当事件の捜査を担当することになったのだ。この事件の謎は被害者が五回も刺されているにかかわらず手に防戦の傷もなければ、凶器に指紋もないことだった。凶器の刃は先がつぶれており、ドアに投げつけて使われたように見えた。エドゥアルドは関係者全員にナイフを使わせてみる。一人だけ欠席した関係者がいたが、彼が現れ次第連絡するように言い、全員に、パスカルの死体の発見場所を証言させた。
その結果に基づき、エドゥアルドは謎を統一的に説明する方法を見つけ出した。事件を解決しても私が長官だ、誰にも褒めてもらえない。そうだ、ローズに話そう。エドゥアルドはローズへの土産にチョコレートを買いに行った。

四一章 三月一一日金曜 ラフ
ラフはハニらとタツァの別荘ダ-・ウェルハムに滞在する。そこへ、カシフの使者が来訪し、カシフが面談を求めていると伝えた。おりしも陰謀の陰にアシュラフありとの報道があったことから、ハニは心配するが、アシュラフは、失踪していたコックが見つかったのだろう、心配要らないという。また、ザラが来訪しているためカシフの保護がここタツァにも及んでいるとのことだった。

四二章 三月一一日金曜 ハニ
ラフが出た後、ハニとムラドは変装した兵士の襲撃を受け、隣家越しに逃走し、コーチに乗り、服を買って変装する。ムラドによると兄の部下に間違いないという。ハニは、自分たちを逮捕しようとしているのだと考えた。

四三章 同日 ラフ
ラフはジャラール将軍の車でエミルと面談。エミルは容疑コックがつかまったというがあてにならないというと、エミルはこの裏切り者をやっつけろといい、ラフは殴られ気絶する。目覚めるとかせをはめられ肩が外されていた。

四四章 同日 ハニ
ハニらはコーチの内に隠れるが、アメリカ人夫婦の乗客に見つかってしまう。ハニは孤児院から逃げてきたと嘘をつくが見破られ、無理やり結婚させられそうになって逃げてきたと言い換える。

四五章 三月一一日金曜~一三日日曜 ラフ
ラフは目覚めるとアジブの壁にかせではりつけられている。狐が肩の骨を外して抜け出せという。逃げるか死ぬか二者択一だと。逮捕処刑されたハッサンの死体が虫に食われ、腐敗を始める。

四六章 三月一二日 土曜 ハニ
ハニらはカール&ミッキーにかくまわれるが、カシフ一派の検問に引っかかる。ハニはミッキーに真相を話し、エフェンディに携帯で電話して、ハニとムラドがカシフに殺されたと連絡するように依頼する。

四七章 三月一四日 月曜 ラフ
独房の中でラフは様々な死者の幻覚を見る。フェリックス、母&&。死ぬもんか、とラフは狐に言う。

四八章 三月一五日 火曜 ラフ
(プロローグの穴掘りを経て)独房(墓?)を逃れたラフは、湖のほとりの女軍曹を襲い、服を奪う。そして、新聞で「カシフがハニとムラドを殺害した」という記事を読み、復讐を決意する。ラフは、軍曹から奪った銃二丁と、弾丸の数を点検する。そしてカシフの元へ向かい、護衛の女軍曹を脅し、状況を聞きだし、キャンプに入っていく。ユージェニーは死に、ギデはカシフによって身柄拘束されているらしい。ラフは、護衛たちにエミルを殺しに来たのかとの疑いを解きながら、カシフのテントを探す。

四九章 同日 ハニ&ラフ
ラフがカシフのところへ行くと、ちょうどハニらが生きているというニュースをカシフらがテレビ生中継させているところだった。ザラもその場にいた。ジャラルがラフを撃とうとしたのでラフが反撃しジャラルを射殺、ジャラルの脳が飛び散る場面が全世界に生中継される。ラフは、カシフを殺人で逮捕すると叫び、ハニらは生きていると抗弁するカシフに対し、違う、ハッサンとエミルの殺害容疑だと詰め寄る。ハッサンはエミル暗殺未遂の容疑だというがラフはユージェニーの代理でコックとして潜入していたからハッサンは無実と知っていることを指摘、エミルは殺されかけている、本人にきけとレポーターに言う。レポーターは横になっているエミルに質問し、エミルは「キノコを食べてから死にかけている」ことを告白する。

五〇章 三月一七日 木曜
ラフはエミルの正式な後継者となった。ラフは本部で皆の前でカシフの処遇についてエミルと話しあった。キノコの毒はカシフの指示でジャラルが動物園の蛇から毒嚢を取り去って使っていた。蛇をエミルのテントにも放っていた。その口封じのために二人の兵士も射殺させたのだがそれを指示したのはエミルだった。事前に知らされていなかったユージェニーは犠牲になった。また、カシフはエミルの子でないことがDNA鑑定で証明された。ラフはエミルにカシフについて法手続に乗せるよう要請し、エミルは応じた。

五一章 同日 エドゥアルド
エドゥアルドは関係者を管理室に集め、謎の解明を行っていた。逮捕されたいとこなどという人物は存在しなかった。例の凶器は誰の所有物でもなかった、これはエドゥアルド自身コックの経験があり、当地で絶対に他人のナイフに触れてならないというルールがあることから確信した。殺人者など存在しない。では誰がパスカルを殺したのか? ラフは知っていて、エドゥアルドに解決を託したのだ。エドゥアルドはローズとこの件を話しながら真相に思い当たり、急遽ここへやってきたのだった。

五二章 三月一九日 土曜 イサビュー、エドゥアルド
エドゥアルドはイサビューに面会し、セックスした後、お前が犯人だろうと指摘し、どうやって殺したときく。イサビューは凍らせた羊の脚で殴り殺し、仲間に運んでもらった、羊の脚は皆で食べたと告白する。刺し傷は誰かが後でつけたものだろうということだった。
エドゥアルドはセックスと引き換えにイサビューを見逃す。イサビューは妊娠していると告白し、エドゥアルドは休暇をとれといい高額の現金を餞別に渡す。
エミルが死亡し、国葬が行われている。エドゥアルドは国外へ出発する前に、警察長官よりの封筒を受け取る。それにはマダムデュプワ名義の偽のIDや偽の夫の写真、銀行口座の書類などが入っていた。

五三章 同日 ラフ
ラフとザラはついに寝る。ラフは実は遺伝学的措置で長命に生まれついており、それは性交によって母子に感染することをだいぶ前につきとめていた、だからザラを避けていたのだ。他方ザラは、無毛症で性器の異状などから医師の診察を受け、セックスに対し消極的になっていたのだった。(
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