2006年01月01日
ed. David Hartwell "Year's Best SF 6"
収録作品
***
| Paul J. McAuley. | Reef. |
★★★
小惑星内部の空洞に酸素を満たす微生物の多様な進化の秘密を調べていたグループが、その生物の有害性をめぐり対立。自らの出世のためこの生物の危険性を誇張し小惑星破壊を主張する男(悪役設定)と、科学的真実、小惑星帯での生活圏の拡大のために自らの命を賭して真相を突き止めようとする女科学者(主人公、善役設定)の対立ストーリーで、普通に楽しめる。
| David Brin. | Reality Check. |
★★
なぜ人類は地球外生命に出会えないのか? 何かそれを阻むような宇宙的メカニズムがあるのだろうか? というテーマに関するエッセイ的な小品。科学誌「ネイチャー」に掲載された一文で、小説として評価するのは難しい。
| Robert Silverberg. | The Millennium Express. |
★★★
三千年期を目前に控えたピカソ、ヘミングウェイ、アインシュタインら文化人クローン4人組が「環境破壊や戦争を生み出した邪悪な古代文明の遺物」であるルーブル美術館などの文化遺産の破壊工作を行うという物語。皮肉が利いていて結構面白い。翻案ネタとしても、使えそうである。
| Tananarive Due. | Patient Zero. |
★★★
奇病に冒され隔離された少年の手記。水準作。
| Ken Macleod. | The Oort Cloud |
★★1/2
「神」たる地球外生命との交流を素描したショートショート。
この記事へのコメント
新種の植物をアバに捧げた男の話。いまいち意味不明でつまらん。
Brian Stableford. The Last Supper. ★★
これもいまいち。うまい料理を作るために遺伝子操作等で作った未承認食材を使っていたレストランが摘発され「最後の晩餐」となるという話で、全然面白くない。
今日、デッドマンズカーヴの分析と翻案構成をかなり進めた。近日中に執筆予定。
Howard Waldrop. Our Mortal Span. ★★
見世物にされているロボットが破壊工作にあう話。何が面白いのかわからん。
Norman Spinrad. New Ice Age, or Just Cold Feet? ★★
未来の気象コントロールネタのショートショート、いまいち
手脚を失った人にクローン培養した手脚を提供するとうたう医療サービスの内幕を暴いていく探偵の話。アイデアは凡庸かもしれないが小説としてよく出来ていると思う。面白い。
Chris Beckett. The Marriage of Sky and Sea. ★★★
さまざまな惑星を遍歴しては本を書いて暮らしている男が、ある惑星で「フィッシャーキング」の娘に恋をし、そこに実をうずめる決心をする。外人はどうしてこうもフィッシャーキングネタが好きなのか? 日本人には受けない話だろうな。
彗星がウイルスの形で情報を運ぶ手紙のようなものであり、それを受け入れるレベルに達していないものが受け取ると感染して死ぬというような話だと思うが突飛過ぎていまいちわからん。
Ursula K Le Guin. The Birthday of the World. ★★★
異星種族もの。神の神殿に子供たちを集め、<落雷による神託>で国を治めている世界で、子供たちが神の不在を暴き、世界を変えるというような話。
捕らえられ拷問を受けていた物理学者が未来から来た女に助けられる。この物理学者はレントゲンなどを発明し活躍。魂の存在を信じ機械には魂がないと主張する反科学主義的な男と対立、公開討論で論駁。女は別の人物の歴史に干渉するため去る。魂存在論者の男は、タイムマシンでやってきた自分に「なくなった妻のいる世界へ連れて行く」と言われるが、これを拒否し自らの信念を貫く。量子レベルの不確定性原理的な多様な歴史の存在と、マクロなレベルでの意識の同一性は両立しうるし、過去に干渉してもタイムパラドックスは起こらず、量子レベルの多様な(しかし全体として一定の限界があり有限である)歴史、事象の間を揺れ動くだけである、というような架空の理論に基づいて造形された時間もの・量子力学・数学SF。理論ディテールは結構厳密で難解だが、理解できなくても物語として十分楽しめる作品。
普通のショートショート。百科の翻案コーナーに翻案を掲載。大げさに騒ぐ割に、娘の起こした事件が大したことないのがちょっと。いや、その程度のことで娘を取り替える親を皮肉りたいのだろうからそれでいいのか。
Stephen Baxter. Sheena 5.★★1/2 言語を持つイカを遺伝子改造して宇宙船に乗せる話。普通。
Darrell Schweitzer. The Fire Eggs. ★★
地球上に現れた謎の球体が地球社会に与える影響を淡々と描写。つまらん。
Robert Sheckley. The New Horla. ★★
モーパッサンの短編(透明怪物もの)のSF的再話。つまんね。
Dan Simmons. Madame Bovary, C'est Moi ★★
量子力学的手法で異次元の物語世界に移住する話。この宇宙も実は誰かのフィクションではないのかというありがちなオチでつまらない。
人類と共生する異生物もの、つまらん。
Charles Dexter Ward. Bordeaux Mixture. ★★
トマトその他の遺伝子改良。オチがなくてつまらん。
Robert Charles Wilson. The Dryad's Wedding. ★★★★
異星を舞台にしたファンタジーの出だしから、宇宙全体を視野にいれた壮大な本格SFへ。それもそのはず"Bios"というSF長編の続編だそうだ。これも読んでみたい。
Michael F. Flynn Built Upon The Sands of Time. ★★★★1/2
記憶の乱れは脳の問題ではなく、現実に過去が変更されているためであるというアイデアを理論的に突き詰めた作品。酒場での科学者の会話というスタイルからとんでもない壮大な話になる。不良の息子を「いないことにしてしまった」というオチも決まっているし、傑作。