SF百科図鑑

山岸真『80年代SF傑作選 下』ハヤカワ文庫SF

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2000年

11/14

次は下巻とSFMの残りだ。
下巻、ビショップ「胎動」★★★★★は既読。ラス「祈り」からだ。

カード「辺境」★★★★1/2
さすが文学派だけあって地味だなあ。舞台はSFというか未来の荒廃したアメリカの辺境の地だけど、ストーリーは完全に普通小説。作者自身、設定を借りているだけと自ら認めているし。SF的感動とは無縁だけど、小説としての練度は素晴らしい。プリーストあたりと目指すところは似ているのかも。

さて、次はティプトリーの「たったひとつの冴えたやりかた」寝ながら読む。

11/15
ティプトリー「たったひとつの冴えたやりかた」★★★★★
うーむ何もいえません。さすがに名作ですな、星雲賞とるだけあって。のせられてるとは思いながら最後まで読まされてしまう。しかもただストーリーがいいだけではなく、頭に寄生するエイリアンというエグいねたでこれをやるところにティプトリーらしさがあり、この作の評価が高いのはその点もあるだろう。
ブリン「益病」★★★★★
実に独創的なアイデアストーリーだ。今までに読んだことのないタイプの作品。実をいうと「インターゾーン傑作集」で英文で読んでいたが、医学用語が多くあまり印象が鮮明でなかったので、今回日本語で読んで格段に解像度が増した。ブリン、有能な作家だ。
ラス「祈り」★★★★★
凄い! これがジョアンナ・ラスか。とにかく中盤で展開される修道院長の長広舌が圧巻。理屈をこねる登場人物というのがむちゃくちゃ好きなので、たまりません。前半、どこがSFじゃいの感じだが、後半、唖然とするような展開で、辛うじてSFとしての体裁を整える。しかしこの作者の場合、SFだろうが何だろうが、単に手法の問題でどうでもよい。そしてこのラスト、よく引き締まっている。結びの一文が完璧に決まっている。ラス本人に言わせれば「陳腐」というが、意識の高いラスを基準にすると「陳腐」な程度がちょうどSFファン層の平均レベルと波長が合ったせいか(笑)、ヒューゴー賞をとった。
スターリング「間諜」★★★★
いかにもサイバーパンクな電脳/ナノテク世界のスパイもので、設定自体はもう陳腐になってきているが、ラストのもうひとひねりがひねくれていて、この作品を辛うじて救っている。途中、一気に世界像が開けて「おお、センスオブワンダー!」と思いきや、このラスト(笑)。よくまとまったピカレスク小説として、結局終着してしまうのである。


勝手に選ぶ未収録/未訳アンソロジー!(各20編)
*1作家1作品とした。
*主要SF賞の受賞作はできるだけ優先した。
*後日、奇想天外の名作リストも補充する。

<クラシック(1900~1950)名作集「火星のオデッセイ」>
・むらさき色の雲 M・P・シール
・機械が止まるとき E・M・フォースター
・RUR カレル・チャペック
・夢 H・G・ウエルズ
・赤死病 ポール・スカイラー・ミラー
・火星のオデッセイ スタンリイ・G・ワインボウム
・反対進化 エドモンド・ハミルトン
「フェッセンデンの宇宙」に入っている有名作、読んでみたい・・・。ハミルトンの短編、侮るべからず。50年代の「何が火星に?」も有名だが入手困難。
・ボロゴーヴはミムジイ ルイス・パジェット
・ヴィンテージ・シーズン C・L・ムーア
・キルドーザー シオドア・スタージョン
・変身 エリック・フランク・ラッセル
・ママだけが知っている ジュディス・メリル
・時の罠 チャールズ・L・ハーネス
・報いなき栄光 コードウェイナー・スミス
・小さな黒いカバン C・M・コーンブルース
・永遠のイヴ ジョン・ウインダム
・男と女から生まれたもの リチャード・マシスン
・火星を襲う影 リイ・ブラケット
・考える以上に暗黒 ジャック・ウィリアムスン
・冒険を求める二人 フリッツ・ライバー
(その他の候補作品)

<50年代名作集「あるいは牡蠣でいっぱいの海」>
・時代おくれの名優 ウォルター・ミラー・Jr.
・表面張力 ジェイムズ・ブリッシュ
・ちんぷんかんぷん エリック・フランク・ラッセル
・ロボット植民地 マレイ・ラインスター
・あるいは牡蠣でいっぱいの海 アブラム・デイヴィッドスン
・地獄行列車 ロバート・ブロック
・地球のすべての罠 クリフォード・シマック
・時間がたっぷり デーモン・ナイト
・海を失った男 シオドア・スタージョン
・思考の谺 ジョン・ブラナー
・誰が人間にとってかわれる? ブライアン・オールディス
・わが名はジョー ポール・アンダースン
・一マイルもある宇宙船 ケイト・ウィルヘルム
・予定犯罪者 ウィリアム・テン
・虚栄の街 フレデリック・ポール
・冷たい方程式 トム・ゴドウィン
・薔薇 チャールズ・L・ハーネス
・何が火星に? エドモンド・ハミルトン
・ベティアンよ帰れ クリス・ネヴィル
・危険な関係 ワイマン・グイン
(その他の候補作品)

<60年代名作集「長い旅路」>
・長い旅路 ポール・アンダースン
・彼こそ王 ゴードン・ディクソン
・秘密の遊び場 リチャード・マッケナ
・世界の母 リチャード・ウィルスン
・計画する人 ケイト・ウィルヘルム
・憑きもの ロバート・シルヴァーバーグ
・去りにし日々の光 ボブ・ショウ
・プリティ・マギー・マネーアイズ ハーラン・エリスン
・旅人の憩い デイヴィッド・I・マッスン
・ナイルの源泉 エイブラム・デイヴィッドスン
・世界といわれた都市 ジェイムズ・ブリッシュ
・ストーン・ヘンジの謎 ハリイ・ハリスン
・静かな狂気 デイヴィッド・レッド
・地球より大きなボール フィリップ・ホセ・ファーマー
・人間そっくり チャド・オリヴァー
・思考の檻 ジョン・ブラナー
・ガラスを通して、おぼろげに ゼナ・ヘンダースン
・始まりのデータ マイクル・ムアコック
・月の蛾 ジャック・ヴァンス
・タイタンの塔 ベン・ボーヴァ
(その他の候補作品)
(その他のコメント)
*オールディス「唾の樹」有力候補だったが、「影が行く」でついに訳された。一見、ウインダム風侵略小説だが、ウエルズが出てきてメタSFになるところが一筋縄で行かない、凝った作品だった。

<70年代名作集「変革のとき」>
・失踪した男 キャサリン・マクリーン
・ヴァチカンからの吉報 ロバート・シルヴァーバーグ
・変革のとき ジョアンナ・ラス
・アイランド博士の死 ジーン・ウルフ
・蝋燭の光とユニコーンの瞳 チャールズ・グラント
・石 エドワード・ブライアント
・狩人の月 ポール・アンダースン
・あの飛行船をつかまえろ フリッツ・ライバー
・ジェフティは五つ ハーラン・エリスン
・カッサンドラ C・J・チェリイ
・星虹の果ての黄金 フレデリック・ポール
・三百年祭 ジョー・ホールドマン
・霧と草と砂と ヴォンダ・マッキンタイア
・アイ・シー・ユー デーモン・ナイト
・別の名で スパイダー・ロビンソン
・限りなき夏 クリストファー・プリースト
・こども大臣 キイス・ロバーツ
・サムライと柳 マイクル・ビショップ
・シンデレラ・マシン マイクル・コニイ
・第二種の孤独 ジョージ・R・R・マーティン
(その他の候補作品)

<80年代名作集「デュラック海のさざなみ」>
・外套と杖 ゴードン・ディクスン
・踊る鹿の洞窟 クリフォード・シマック
・ユニコーンつづれ織り スージー・マッキー・チャーナス
・土星ゲーム ポール・アンダースン
・骨笛 リサ・タトル
・カスケード・ポイント ティモシー・ザーン
むろん、ザーンの初受賞作(ヒューゴー賞)。ワープ中に現れる並行宇宙の自分の鏡像。そこに精神分裂病患者が乗り合わせて・・・という話。アイデアもいいが、書き方もなかなか。是非翻訳が待たれる作品。
・平和創造者 ガードナー・ドゾア
・水晶球 デイヴィッド・ブリン
・失われた時間の勇士 ハーラン・エリスン
・子供たちの肖像 ジョージ・R・R・マーティン
・空に落ちた女 ケイト・ウィルヘルム
・ウィネバゴの最後 コニー・ウィリス
・兵士がひとり。また、ひとり。 ロバート・シルヴァーバーグ
・永久凍土 ロジャー・ゼラズニイ
・盲目の幾何学者 キム・スタンリー・ロビンソン
・デュラック海のさざなみ ジェフリー・ランディス
・ことばのひびき オクティヴィア・バトラー
・予視 マイクル・スワンウィック
・立方根演習 デヴィッド・ラングフォード
・性化学者カサノヴァ ブライアン・ステイブルフォード
(その他の候補作品)

<90年代名作集「天使が踏み込まない地で」>
・バビロンの塔 テッド・チャン
・盲導犬 マイク・コナー
・マ-キー ブレナード
・クルミ割り革命 ジャネット・ケイガン
・真理の都市 ジェイムズ・モロウ
・底地にて ハリー・タートルダヴ
・ナイルに死す コニー・ウィリス
・オルドワイ峡谷七景 マイク・レズニック
・火星の子 デイヴィッド・ジェロルド
・社会契約防衛法 マーサ・スーカップ
・リンカーン列車 マクヒュー
・去年の夏、火星の丘で ハンド
・図書館死書 フリーズナー
・龍の血 ジョージ・R・R・マーティン
・ダヴィンチ復活 ジャック・ダン
・ティラノサウルスのスケルツォ マイクル・スワンウィック
・天使が踏み込まない地で アレン・スティール
・密告者 ナンシー・クレス
・ビジネスの代償 ホワット
・さあ、魚を飲もう ジョンソン
(その他の候補作品)

◎出版企画「世界SF文学体系」国書刊行会
未訳の名作を次々と訳す。
<ラインナップ第一期>
・最後と最初の人間 オラフ・ステープルドン
・われらに祝典を ウォード・ムーア
・デイビィ エドガー・パングボーン
・ヴィーナス・プラス・X シオドア・スタージョン
・ノン・ストップ ブライアン・オールディス
・頭の中の裸足 ブライアン・オールディス
・ザンジバーに立つ ジョン・ブラナー
・蛇行軌道 ジョン・ブラナー
・羊は見上げる ジョン・ブラナー
・リタネルの輪 チャールズ・L・ハーネス
・パラドックス・マン チャールズ・L・ハーネス
・廃虚で朝食を マイクル・ムアコック
・時だけが敵 マイクル・ビショップ
・声なき絶叫 ハーラン・エリスン
・危険なヴィジョンふたたび ハーラン・エリスン
・怒りのキャンディ ハーラン・エリスン
・夢は鋭い牙をもつ ハーラン・エリスン
・死の鳥 ハーラン・エリスン
・夜と夢想の物語 ジョン・コリア
・蝕の刻 ブライアン・オールディス

<第二期>
・ドクター・ラット ウィリアム・コツウィンクル
・ビッド・タイム・リターン リチャード・マシスン
・グロリアーナ マイクル・ムアコック
・カイトワールド キイス・ロバーツ
・竜は待てり ジョン・フォード
・チックタック ジョン・スラデック
・ロデリック ジョン・スラデック
・ロデリックふたたび ジョン・スラデック
・香水 パトリック・サスカインド
・ココ ピーター・ストラウプ
・マドゥーク ジャック・ヴァンス
・大人のための聖書物語 ジェイムズ・モロウ
・ラストコール ティム・パワーズ
・エホバ曳航 ジェイムズ・モロウ
・教母の夜 レイチェル・ポラック
・人相学 ジェフリー・フォード
・レイヨウの妻 ルイス・エルドリッチ
・リンボー バーナード・ウルフ
・太陽をめぐる環 クリフォード・シマック
・最後のプログラム マイクル・ムアコック

<第三期>
・英雄と悪者 アンジェラ・カーター
・永遠の宮廷 ボブ・ショウ
・バッグ・ジャック・バロン ノーマン・スピンラッド
・ケルべロス第五の頭 ジーン・ウルフ
・エイリアン・ヒート マイクル・ムアコック
・エンベディング イアン・ワトスン
・西暦二〇〇〇年/かえりみれば マック・レイノルズ
・ケンタウリ兵器 M・ジョン・ハリスン
・世界の果てまで歩こう スージー・マッキー・チャーナス
・ギャラクシー バリイ・M・マルツバーグ
・うつろな国 マイクル・ムアコック
・時のほとりにたたずむ女 マージ・ピアシー
・歌の終わり マイクル・ムアコック
・奇跡の訪問者 イアン・ワトスン
・歩く影 ブライアン・ステイブルフォード
・夢見る龍 デミアン・ブロデリック
・不合理の仮面 フィリップ・ホセ・ファーマー
・リドリィ・ウォーカー ラッセル・ホーバン
・世紀の終わり ラッセル・グリフィン
・南極共和国建国記 ジョン・ケルヴィン・バチェラー

<第四期>
・八〇分時間 ブライアン・オールディス
・暮れゆく島へのフーガ クリストファー・プリースト
・確信 クリストファー・プリースト
・シジジィ フレデリック・ポール
・ベスト・オブ・フリッツ・ライバー フリッツ・ライバー
・アイランド博士の死 ジーン・ウルフ
・ディアスポラ グレッグ・イーガン
・ディストレス グレッグ・イーガン
・奇妙なワイン ハーラン・エリスン
・エンフィリオ ジャック・ヴァンス
・エジプト ジョン・クロウリー
・愛と眠り ジョン・クロウリー
・深淵 ジョン・クロウリー
・デモン ジョン・ヴァーリイ
・鉄龍の娘 マイクル・スワンウィック
・情慾の炎 フィリップ・ホセ・ファーマー
・ネヴェリヨナ(1) サミュエル・ディレーニイ
・ネヴェリヨナ(2) サミュエル・ディレーニイ
・ネヴェリヨナ(3) サミュエル・ディレーニイ
・ネヴェリヨナ(4) サミュエル・ディレーニイ

<第五期>
・トリトン サミュエル・ディレーニイ
・火星のオデッセイ スタンリイ・ワインボウム
・メン・アット・アームス テリイ・プラチェット
・リーパー・マン テリイ・プラチェット
・インタレスティング・タイム テリイ・プラチェット
・真の名 ヴァーナー・ヴィンジ
・誤謬の作戦 ゴードン・ディクスン
・最終百科事典 ゴードン・ディクスン
・終わりなき自由 ジョー・ホールドマン
・市民運動 ビジョルド
・クリプトノミコン ニ-ル・スティーヴンスン
・ナイトフライヤー ジョージ・R・R・マーティン
・ユニコーン・ヴァリエーション ロジャー・ゼラズニイ
・霜と焔 ロジャー・ゼラズニイ
・スペインの物乞い ナンシー・クレス
・物乞いと選ぶ者たち ナンシー・クレス
・ベガーズ・ライド ナンシー・クレス
・不可能の物語 コニー・ウィリス
・グリーン・マーズ キム・スタンリー・ロビンスン
・ブルー・マーズ キム・スタンリー・ロビンスン

<第6期>
・ミラーダンス ビジョルド
・ダイヤモンドエイジ ニ-ル・スティーヴンスン
・血をわけた子供 オクティヴィア・バトラー
・タイム・ボートの三人~犬についてはいうまでもなく~ コニー・ウィリス
・遠き宇宙の深淵 ヴァーナー・ヴィンジ
・オービッツヴィル ボブ・ショウ
・ヘリコニアの春 ブライアン・オールディス
・ヘリコニアの夏 ブライアン・オールディス
・ヘリコニアの冬 ブライアン・オールディス
・ぼろ着の宇宙飛行士 ボブ・ショウ
・グレイン キース・ロバーツ
・ラヴォンディス ロバート・ホールドストック
・ピラミッド テリイ・プラチェット
・テイク・バック・プレンティ コリン・グリーンランド
・朝日のプルート- ロバート・シルヴァーバーグ
・秘密の共有者 ロバート・シルヴァーバーグ
・アステカの世紀 クリス・エヴァンス
・栄光 クリストファー・プリースト
・過剰 イアン・バンクス
・すずめ メアリ・ドリア・ラッセル

<第七期>
・エクストリームズ クリストファー・プリースト
・才能の寓話 オクティヴィア・バトラー
・ああバビロン パット・フランク
・マイケルマス アルジス・バドリス
・無頼の月 アルジス・バドリス
・野生の種 オクティヴィア・バトラー
・もう一つの世界へ デヴィッド・ブリン
・原理的 グレッグ・イーガン
・滞留地帯 マイクル・スワンウィック
・真空の花 マイクル・スワンウィック
・煽動者の寓話 オクティヴィア・バトラー
・人の子 ロバート・シルヴァーバーグ
・どくろの書 ロバート・シルヴァーバーグ
・ダルグレン サミュエル・ディレーニイ
・スタンド スティーヴン・キング
ついに翻訳が出てしまいました。最後まで残っていたキングの大作。これでめぼしい作品は全て訳された。か、買いたい・・・。本屋で手にとってみたが、お、面白そう・・・。
・最新式 イアン・バンクス
・語り アーシュラ・K・ルグィン
・コカイン・ナイト J・G・バラード
・インターゾーン傑作選・ ジョン・クルート
・インターゾーン傑作選・ ジョン・クルート

<第八期>
・インターゾーン傑作選・ ジョン・クルート
・ベスト・オブ・インターゾーン(90年代傑作選) ジョン・クルート
・SFエンサイクロペディア ジョン・クルート
・黒猫と割れた鏡 グリーンバーグ&ヘルファーズ
・限りなき夏 クリストファー・プリースト
・エイヴラム・ディヴィッドスンの宝物 エイヴラム・デイヴィッドスン
・シオドア・スタージョン短編全集・究極の利己主義者 シオドア・スタージョン
・シオドア・スタージョン短編全集・ シオドア・スタージョン
・シオドア・スタージョン短編全集・ シオドア・スタージョン
・シオドア・スタージョン短編全集・ シオドア・スタージョン
・シオドア・スタージョン短編全集・ シオドア・スタージョン
・シオドア・スタージョン短編全集・ シオドア・スタージョン
・シオドア・スタージョン短編全集・ シオドア・スタージョン
・シオドア・スタージョン短編全集・ シオドア・スタージョン
・シオドア・スタージョン短編全集・ シオドア・スタージョン
・シオドア・スタージョン短編全集・ シオドア・スタージョン
・スーパー・カンヌ J・G・バラード
・ハワードって誰だ? ハワード・ウォルドロップ
・ここ最近の妙なモンスターに関するすべてのこと ハワード・ウォルドロップ
・ナイト・オブ・ザ・クーターズ ハワード・ウォルドロップ

<第9期>
・空から光が降ってきた ジェイムズ・ティプトリー・Jr.
・世界の壁をのぼって ジェイムズ・ティプトリー・Jr.
(以下続刊)

あぁ、こんな出版社があったらなあ・・・まさに夢のようだ。ついついあっちの世界に行って我を忘れてしまった(笑)。

と思ったら、「スタンド」の訳本が文春から出た。よし、いいぞ! この調子で、出すんだ!
でも上巻で3000円、あの分厚さ・・・文庫になるまで待つか、ちょうどハイペリオンが文庫になるし。
なお、上記は別ファイルにて今後より完璧なものを目指す。

11/18
ザーン「転送点」本腰入れて読み始める。こりゃあすごいぞ、恒星間飛行でワープするとき通る空間で、パラレルワールドにリンクされて前後左右にパラレルワールドの自分の鏡像が無限に現れる、というネタ。このアイデアはなかなか強力だ。しかも、その船に精神分裂病患者が乗り合わせたらどうなるのか。こりゃあわくわくものだ。しかも語り手の船長が自分の鏡像を見て自分の人生を知るところの描写がまたなかなかいい。こりゃあ全訳してしまいそうだぜ。訳は英文抄訳日記につけているところだ。先が楽しみ。

ラッカー&レイドロー「確率パイプライン」★★★★1/2
いやはや難解。一回目は全然意味が分からず、二回目でようやくわかった。要はマッドな若者がキチガイじみたサーフボードを作って波乗りをする話だった。あまりにイカれてるので最初はてっきりヤク中の幻覚だと思っていた。ラッカーっていうの? この作者、絶対頭おかしいよ(笑)。ある意味すごいとは思うが、そうしょっちゅう読もうという気にはなれませんな。

1/19
マイルチャンピオンシップのアグネスデジタルには参った。マイネルとヤマカツから二点買っていたが、二着がダイタクリーヴァでは・・・。やはり一番人気馬からの流しは必ず買っていないとダメだ。ニュージーランドのプレストン3着の競馬があわやという強い内容だったからなあ・・・。そのときの2着馬も東京でトロットスターの2着。トロットがこちらに出ていれば勝っていたんじゃないか(追い込み馬にもってこいの流れだったし・・・)。それにしてもリーヴァは皐月賞と同じような負け方で、やっぱり決め手に欠けるところがある。この先、どこで勝てるんだろうか・・・(たぶん、宝塚記念あたり?(笑))。
結局、この秋あれだけ荒れてて一個も取れず。絶不調だ。
8レースでトウカイロゼットがタイムトゥチェンジの2着。前々走レコード決着のワンツー馬で決まり、この2頭のレベルはかなり高いとみている。トウカイはやや決め手にかけるところがあるので、今後の成長が課題。しかし牡馬相手にこの成績なら、牝馬では素質上位。阪神三歳ステークスは間に合わなかった(もっとも、登録すれば滑り込める可能性はまだある)が、来年まで順調なら、待望のトウカイテイオー産駒G1初制覇も期待できる(そういえば重賞自体未勝利だっけ)。
昨日の東スポ杯はオースミステイヤーの出遅れに尽きる。あそこから追い込んで、グラスミライやウインラディウスと1馬身ちょっとの5着に直線だけで追い込んでいるから、まともなら勝ち負けしていたはずだ。今年の3歳のBTは順調で、既にシャワーパーティー、ダンツフレームの2頭のクラシック候補が出ているが、オースミも潜在力ではそうひけをとらないとみている。あとはアグネスジャンボの戦列復帰でますます面白くなる。
他ではトニービン産駒のジャングルポケットが面白い。SSは今回のウインラディウス、勝ったタガノテイオーともに意外に小粒かも知れないが、とにかく絶対数と平均的な質の高さで他の追随を許さない。タイムトゥチェンジもそうだし。
外国産馬では、クロフネとエイシンスペンサー。
全体のレベルは例年になく高く、レコード続出の傾向からしても、しかもその大部分が内国産馬によるものであることからも、現6歳世代と同レベルあるいはこれを上回る可能性もある。現4歳、古馬陣の層が手薄で競馬人気の低迷に拍車をかけていることからしても、これは楽しみなことだ。
短距離、ダートのG1を2つ勝った馬が1頭もおらず(これだけ数が増えているのに!)、しかもどの馬も成績が安定せず1着と2桁着順をくり返すような馬がざらにいるという異常な状況だし、他方古馬中長距離は、全体のレベルが低下し、テイエムオペラオー一頭が実力以上に強く見えるという異常な状況(牝馬限定G1を5つも勝ちながら牡馬には通用しなかったメジロド-ベルあたりを思い出す)。もう競馬を始めて8年近くはなるが、これほどの低迷は今まで見たことがない。だからなんだか買う気が起きないんだよなあ。
というわけで、現在の興味のほとんどは「現3歳戦」に注がれている。テイエムを破れない現役古馬陣はとっとと引退してくれ! という感じだし、現4歳もSS一色で面白くないし(トーホウシデンにはもうひと伸びを期待しているけど)。JCも外国馬のレベルは低いし日本馬も同じメンバーだし、つまんねえな。有馬も似たようなもんだろ、セイウンも間に合わないらしいし。ああ面白くねえ!
早く朝日杯になんねえかな! (地方馬の2頭が強いといわれているけど、蓋を開けてみたら多分善戦止まりだろう。今年の中央はなかなか凄いぞ。)

さて、「カスケードポイント」なかなかいいぞ。さすがアナログ掲載作だけあって、ディテールへの技術的こだわりがいかにもという感じ(訳するのは大変だが)。先の展開が読めないし、いい感じだ。

バトラー「血を分けた子供」★★★★★
凄い! うー気持ち悪い。妊夫小説です(笑)。ぶっとんだアイデアもさることながら、この生々しい描写が何とも凄まじい。1歩も2歩も先を進んでいる作品です。集中、ウィリス「わが愛しき・・・」をも衝撃度で上回る。しかし、こんな短編を立て続けによまされたら、結構きついな・・・。短編は少ないというが、こんなのをぼこぼこ書かれたらたまったもんじゃない(笑)。とにかく一癖も二癖もある異色の黒人女性作家だ。ちなみにこの作者のこの作品が入った短編集と、「寓話」シリーズ2冊と、「ワイルドシード」は原書をゲット。ゼノジェネシス3部作と、パターニストの他の作品もそろえるべきだろう。「キンドレッド」は(なんと!)翻訳あり、こりゃあゲットしなきゃ。短編集には、この作品の他、「夕べと朝と夜と」「ことばのひびき」「近親」「クロスオーヴァー」、エッセイ2編を収録。作品ごとに作者のコメントがついており、この作品については、「異種族間の恋愛物語」「少年の成長物語」「妊夫の物語」「作者自身の「ボットフライ」の恐怖体験を描いた作品」「植民者が代償を支払う物語」という5つの異なるモチーフを結合したものであるとのこと。最初の2つについてはこれまでにもあった。また4番目のものは、これだけでは単なるホラーにしかならない。この作品が高い評価を博したのは、特に3番目のテーマ(期せずして、ごりごりのフェミニズム小説になっている)と、5番目のテーマ(文化人類学/政治的暗喩が入っている)によるだろう。衝撃の問題作と言える。
ワットエヴァンス「ぼくがハリーズ・バーガー・ショップをやめたいきさつ」★★★★★
傑作続きだ。これも見事なアンチSF! 前半の田舎の少年の青春物語的な語りも素晴らしく、途中のいかにもな古臭いパラレルワールドのネタがきて、型通りの少年SFと思わせておきながら、この見事なラスト! クレスの「彼方には輝く星々」とよく似ているが、もっとコミカル。ほとんど無名の作者だが、他の作品も読んでみたいところだ。それにしてもこういうのを読むと、ハンバーガー食いたくなる。

さて残るはブレイロック「ペーパードラゴン」(これっていくら何でもファンタジイじゃないの? まあ、SF雑誌に書いている人だけどさ)と、ベア「塵戦」の重厚なのが2つと、マクドナルドという人の「帝国の夢」というやつ。最後の人は編者の好みで入れたそうなのであまり期待できない(マクドナルドはジョージ以外聞いたことねえ。あ、もしかしてあの「火星夜想曲」ってハヤカワが売ろうとしてた本を書いてた人が、そんな名前だったような。だとしたらなんか出版社の策略を感じる。)し、ブレイロックもファンタジイじゃあなあ。というわけで残る期待はベアですな。よく考えたら「ブラッドミュージック」と「タンジェント」しか読んでいないんだよな、「火星転移」も途中で投げ出したままだし。既に巨匠の域に入りつつある人にこの扱いはやばいだろう(笑)。こないだ「女王天使」等も古本屋で買ったし、本腰入れて読まねば。

11/20
プラチェット「異端審問」購入、ついにディスクワールドに手を出す。何と「ピラミッド」翻訳出ていたことを発見、さっそく、バトラー「キンドレッド」とともに紀伊国屋注文。ううっ読みたいっ。5ページぐらい読んだけどひきこまれる。面白そう! まずいっ。我慢しなければ。先にヒューゴー賞からつぶさなければっ。
誘惑に打ち勝ち、「80年代」読み進む。

ブレイロック「ペーパー・ドラゴン」★★★★1/2
珠玉の一編、さすが世界幻想文学大賞受賞作。ただし、明らかにSFではないためどうしても点は辛くなる。くしくもシェパードと同じ竜ネタで、竜に細工をするというところまで似ている。同じマジックリアリズムでもユーモアのあるこちらのほうが個人的には好き。次々と出てくる変な小動物がたまらなく滑稽で可愛い。後半の現実と幻想がないまぜになるあたり少しディック的な感じもする。ただし、やはり個人的にはファンタジーは苦手。思考実験と波乱万丈の物語のある爽快なSFのほうが断然好きだ。

11/22
グレッグ・ベア「塵戦」★★★★★
強烈。難解の評判通り、ほんとに難解(笑)。ストーリー自体は比較的単純なのだが、構成が複雑で、少しずつ謎解きをしてゆく構成になっていることと、「人種」の対抗種族である「セネクシ」の視点からの描写のわかりにくさに負うところが大きい。比較的読みやすい、「人種」プルーフラックスの視点も、実は大昔のオリジナルプルーフラックスを<オーバー>たちが戦闘用に特化させて複製したクローンの一体であることが徐々に明らかになる。この謎解きが、宇宙船のメインコンピュータで人類の全歴史を記録した<マンデイト>へのアクセスで終盤になってやっと明かされる。この終盤に入るまでがとにかく、霧の中でもがいているようでわけがわからない。だが、わけがわからないながらに展開される戦闘シーンと、恋物語と、アイデンティティ探求の物語が絡み合って異様な迫力を持って迫ってくる。そしてラスト、<変異体>の正体が明かされ、種の終焉。スケールの大きな作品だ。

しかし、この下巻は上巻にもまして重厚な作品が多く、とても初心者にはお勧めできない。初心者に薦めようものなら、「SFは難しくてわけがわからない」の印象を持たれて、二度と読んでもらえないのではないか。この中で初心者でもマニアと同じように楽しめそうなのは、冒頭の「胎動」ぐらいで、「血を分けた子供」や「ぼくがハリーズバーガーショップをやめたいきさつ」あたりはストーリーを追うのは初心者でもできるが、ある程度SFの基礎教養がないと真価は理解できないだろうし、「祈り」「間諜」もややひねくれた作品だし、「確率パイプライン」はいかにもマニア向け、「ペーパードラゴン」はSFじゃない。「塵戦」に至っては、初心者は最初の数ページで投げ出すか、寝てしまうだろう(笑)。マクドナルドのはまだ読んでいないけど。
初心者向けに80年代のアンソロジーを作るとしたら、衝撃の問題作よりもわかりやすい娯楽作をある程度優先したほうがいいだろう。このアンソロジーから選ぶとしたら、「胎動」と「みっともないニワトリ」の2編ぐらいかな。他は全てマニア向けだ。
代わりに、次のような作品を収録する。
シルヴァーバーグ「ビザンチウムへの航海」
幻想的な描写と、アイデンティティ探求と恋物語、ラストのわかりやすいセンスオブワンダー。初心者に読ませてはまらせるためには、こういう作品を訳さないといけない。
ヴァーリイ「プレス・エンター」
ヴァーリイは初心者にうってつけだ。マニアには「単なる娯楽作家」「人間を理解していない」など評判が悪いが、SFの小道具をこれだけうまく使って、分かりやすく面白い話をかけるのは一つの才能だ。で、「ブルー・シャンペン」かこの作品か迷うところだが、ハイテクホラー色の強いこの作品の方が入っていきやすいと思うので、こちらを選んだ。(「プッシャー」はちと軽すぎて、インパクト弱い)
ベア「ブラッド・ミュージック」(中編版)
長編が訳されているので、中編版を初心者用に収録し、はまらせて、長編に手を出させる、というのも妙案だ。ブラッドベリ、ヴォート、シマックなどは連作の一部が福島アンソロジーに収録され、アンソロジーを読んだ人間が全部読みたくなって単行本に手を出してはまる、というケースも結構あったはず(すいません、俺です)。なお、「塵戦」はこってりしすぎ、「タンジェント」はあっさりしすぎ(笑)。いずれも初心者をはまらせるには不向き。バイオホラーの先駆といえるこの作品がぴったり。
ティプトリー「たったひとつの冴えたやりかた」
これはティプトリーには珍しく分かりやすい作品だし、原始的なセンスオブワンダーに立ち返った作品で、「ティプトリー=コアなマニアに絶大な支持を誇り、素人には見向きもされない作家」というイメージを払拭するにはもってこい。
ゼラズニイ「ユニコーン・ヴァリエーション」
厳密にはSFといえないと思うのだが、傑作だし、わかりやすいので。ゼラズニイには珍しくコミカルな作品で、初心者がこれを読んで気に入り、普通の気取った(笑)作品にも手を出してくれれば、と思う。
後はなかなか思い付かないので、個人的に気にいっている「インターゾーン第三集」よりいくつか。
ブリン「益病」
これはやっぱり面白いね。これぐらいのインチキ生物学だったら初心者でもついていけると思うし、アイデアストーリーの楽しさを知るには最適だろう。
タトル「肉体の記憶」
マニアには後半の謎解きがやや型通りの印象を与えると思うが、これぐらいが初心者にはちょうどいいのである。ショッキングな出だし、ミステリータッチの進行、種明かしでのそれなりにSF的な思弁。わかりやすい娯楽作で入門編にぴったりだ。
ステイブルフォード「性化学」
これも面白い! コミカルでエッチで、一気に読ませる。特に、「エッチ」というところが、初心者をはまらせるのに最適(笑)。絶対入れたいね。
スワンウィック「予視」
超好きな作品なので入れずにはいられない。SFの原点、思考実験の楽しさを満喫させてくれる。しかも、スワンウィックだから情感溢れる文章がまた、いい。たまらず自分で訳してみたけど、やっぱりおれの訳文じゃあ役不足。プロに訳してもらって読んでみてえよお! こういう埋もれた、かつ初心者でも面白いであろう名作を、もっとどんどん掘り起こして訳すべきだ。
これで、全11編か、ちょうどいい数だな。これに、アンダースン「土星ゲーム」(未読だけど多分、例によって、ちょっと食いたリないミステリタッチの作品と想像される。初心者には向くはず)あたりを加えて全12編、どうかな?
で、最後に「80年代読書ガイド」を入れ、読書ガイドブックとしての機能も持たせる。もちろん、全部読みたくなるように、誉めまくって(笑)。
次は入れる順番を考える。
「80年代SF傑作選<入門編>」
スワンウィック「予視」
ウォルドロップ「みっともないニワトリ」
ブリン「益病」
アンダースン「土星ゲーム」
ステイブルフォード「性化学」
ゼラズニイ「ユニコーン・ヴァリエーション」
タトル「肉体の記憶」
ヴァーリイ「プレス・エンター」
ビショップ「胎動」
ベア「ブラッド・ミュージック」(中編版)
ティプトリー「たったひとつの冴えたやりかた」
シルヴァーバーグ「ビザンチウムへの航海」
こんな感じかしら。頭とトリは個人的思い入れのある未訳作品でしめてと。
ううっ、こうやって並べてみたら、この順番で読みたくなってきたぞ(笑)

<入門編>の次はもちろん<応用編>も出す。ううっ、たまらん、漏れそう(笑)

マクドナルド「帝国の夢」★★★★1/2
地味だが情感溢れるいい作品。戦闘ゲームのプログラムを脳内に転送して夢を見させ、心理依存症の治療に用いるというネタだが、夢と現実を交互に差し挟むという構成が巧み。欲を言えばもう少し「夢の内容」を面白いものにして欲しかったが。あと「ポップカルチャーへの言及」というのは少年がU2のアルバムを好き、というところだろうが、U2でよかった。かろうじて生き残ってるからね。これが既に消えてる名前だったりしたら(しかも当時は売れていたのに)、目も当てられない。基本的に、文化や風俗への言及は、作品の古びるのを早めるので、やめたほうがいいと思うよ。

下巻やっと読み終わる。重厚な作品が多かったが、質は尋常でなく高かった、★★★★★。ただし、あくまでも玄人向けの評価で、初心者向きの作品はほとんどないことは先述の通り。

さあて、いよいよ「ハイペリオン」文庫ゲット。もう我慢できない、先に読んじゃおうか。受賞は91年だけど発表は90年だから、81年からカウントしたら80年代に入るのでは? と無理矢理こじつけて・・・。
と思ったら、90年受賞で89年発表だった。思いきりセーフだ。よおしこれで堂々と読める。
で、この作品、中編のオムニバス形式をとっているので、各中編ごとに評価をしたい。


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