SF百科図鑑
"The Giant Book Of Best New Horror"
最終更新:
匿名ユーザー
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November 18, 2004
"The Giant Book Of Best New Horror"

Stephen Jones とRamsey Campbellの年刊アンソロジーからの総集編的なアンソロジーである。41編収録しているが、これを買ったのは単純に最後に収録されている
Kim Newman "The Original Dr. Shade"(英国協会賞受賞作)
を読む「だけ」のためであるので、それ以外の作品は原則として読みません。
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1. Posted by SILVERING November 18, 2004
17:04
キム・ニューマン「オリジナルのドクター・シェイド」THE
ORIGINAL DR. SHADE
ドクター・シェイドとは、1929年ごろドナルド・モンクリフという作家がレックス・キャッシュ名義で書き始めたヒーロー小説の主人公である。当初はDr.シャドウという名であったが、著作権がらみでシェイドと改称し書き継がれた。やがて、小説だけでなくマンガも書かれるようになったが、極右のファシストでナチスのシンパであったモンクリフを出版社が嫌って、ハリー・リップマンに交代させた。モンクリフは訴訟を起こしたが、第2次大戦で反ナチ気運が高まると国内外を逃げ回った挙げ句、ロンドン空襲で死亡。ハリーが書いていた(絵はフランク・フィッツジェラルド_)シェイドものは、1952年を最後にいったん終了した。その後もテレビシリーズなどが放映されたりした。
このシェイドものマンガの連載を再び始めたいと、新企画の夕刊紙を立ち上げ中の新聞社が漫画家に話を持ちかけてくる。ドクターシェイドと言えば当然、その手のコミックや小説のマニアだったこの漫画家にとっては興味の対象だ。この男は、2代目レックス・キャッシュであるハリー・リップマンを紹介され、この話を受ける。
折しもサッチャリズムで国粋主義の機運が高まり、若者はヘビーメタルを聞きながら排外主義を叫んだりしている。男はスラム地区にハリーを訪ねるが、ハリーが住んでいるのはこう言った若者がたむろする治安の悪い地区で、部屋は厳重な防犯設備を備えられていた。
主人公は、ハリーと新しいシェイドのキャラクター設定を考える。
主人公は、設定を考える資料を得ることもあり、また自ら講演に招かれていたこともあり、コミケに参加する。ドクターシェイドのマンスリー雑誌などをゲットした後、講演の時間までドクターシェイドの映画を見ていた。と、暗闇に人影を見つけ、廊下へ追ってみると、ドクターシェイドであった。
コスプレが流行るほどの人気なのかと、主人公はハリーに報告の電話をする。ところが、ハリーに異変があったらしい。あわてて助けに行く途中、主人公は若者に襲われる。ハリーも襲われていた。ドクターシェイドがシナリオを右翼的内容に書き直すよう要求していたのだ。シェイドマニアの右翼の若者たちは、シェイドの紛争をして各地で暴動を起こす。主人公はシェイドマニアの娘やシェイド本人の監視を受けながら、ハリーの書かされる右翼シナリオに基づいて、マンガを描き続ける。そして悟る、モンクリフもまた、こうやってオリジナルのシェイドに右翼シナリオを強要されていたに違いないと&&。
怪作と呼ぶしかない作品である。非常にオリジナルな恐怖ではあるが、内容的にはやはりホラーというよりもSF的であろう。一種の改変歴史SF? 物語のキャラクターが実体化したというべきか、初めから実在したとみるべきか、それとも熱狂的ファンの集団こそがオリジナルのシェイドの実体だとでも言うのか。いずれの解釈もできるだろうが、それ自体としては荒唐無稽としかいいようがない設定が、多少誇張されてはいるがリアルな、ナショナリズムが復活し荒れきった英国の国内情勢と結びつけられて、一種異様な迫力を生んでいる。
ドクターシェイドは、多分架空のキャラだと思うんだが、ヒーローものにはさっぱり疎いのでもしかしたら実際にあるのかも。詳しいひとフォローキボン。
テーマ性 ★★★
奇想性 ★★★★
物語性 ★★
一般性 ★★
平均 2.75点
文体 ★★
結末の意外性★★★
感情移入力 ★★
主観評価 ★★1/2(27/50点)
ドクター・シェイドとは、1929年ごろドナルド・モンクリフという作家がレックス・キャッシュ名義で書き始めたヒーロー小説の主人公である。当初はDr.シャドウという名であったが、著作権がらみでシェイドと改称し書き継がれた。やがて、小説だけでなくマンガも書かれるようになったが、極右のファシストでナチスのシンパであったモンクリフを出版社が嫌って、ハリー・リップマンに交代させた。モンクリフは訴訟を起こしたが、第2次大戦で反ナチ気運が高まると国内外を逃げ回った挙げ句、ロンドン空襲で死亡。ハリーが書いていた(絵はフランク・フィッツジェラルド_)シェイドものは、1952年を最後にいったん終了した。その後もテレビシリーズなどが放映されたりした。
このシェイドものマンガの連載を再び始めたいと、新企画の夕刊紙を立ち上げ中の新聞社が漫画家に話を持ちかけてくる。ドクターシェイドと言えば当然、その手のコミックや小説のマニアだったこの漫画家にとっては興味の対象だ。この男は、2代目レックス・キャッシュであるハリー・リップマンを紹介され、この話を受ける。
折しもサッチャリズムで国粋主義の機運が高まり、若者はヘビーメタルを聞きながら排外主義を叫んだりしている。男はスラム地区にハリーを訪ねるが、ハリーが住んでいるのはこう言った若者がたむろする治安の悪い地区で、部屋は厳重な防犯設備を備えられていた。
主人公は、ハリーと新しいシェイドのキャラクター設定を考える。
主人公は、設定を考える資料を得ることもあり、また自ら講演に招かれていたこともあり、コミケに参加する。ドクターシェイドのマンスリー雑誌などをゲットした後、講演の時間までドクターシェイドの映画を見ていた。と、暗闇に人影を見つけ、廊下へ追ってみると、ドクターシェイドであった。
コスプレが流行るほどの人気なのかと、主人公はハリーに報告の電話をする。ところが、ハリーに異変があったらしい。あわてて助けに行く途中、主人公は若者に襲われる。ハリーも襲われていた。ドクターシェイドがシナリオを右翼的内容に書き直すよう要求していたのだ。シェイドマニアの右翼の若者たちは、シェイドの紛争をして各地で暴動を起こす。主人公はシェイドマニアの娘やシェイド本人の監視を受けながら、ハリーの書かされる右翼シナリオに基づいて、マンガを描き続ける。そして悟る、モンクリフもまた、こうやってオリジナルのシェイドに右翼シナリオを強要されていたに違いないと&&。
怪作と呼ぶしかない作品である。非常にオリジナルな恐怖ではあるが、内容的にはやはりホラーというよりもSF的であろう。一種の改変歴史SF? 物語のキャラクターが実体化したというべきか、初めから実在したとみるべきか、それとも熱狂的ファンの集団こそがオリジナルのシェイドの実体だとでも言うのか。いずれの解釈もできるだろうが、それ自体としては荒唐無稽としかいいようがない設定が、多少誇張されてはいるがリアルな、ナショナリズムが復活し荒れきった英国の国内情勢と結びつけられて、一種異様な迫力を生んでいる。
ドクターシェイドは、多分架空のキャラだと思うんだが、ヒーローものにはさっぱり疎いのでもしかしたら実際にあるのかも。詳しいひとフォローキボン。
テーマ性 ★★★
奇想性 ★★★★
物語性 ★★
一般性 ★★
平均 2.75点
文体 ★★
結末の意外性★★★
感情移入力 ★★
主観評価 ★★1/2(27/50点)