戦国BASARA/エロパロ保管庫

まっくら森

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bsr_e

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  • 小十郎当て馬っぽいです。
  • エロは無い様なものです
  • 片思いとかすれ違いとかそんな感じで

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ある一室で一組の男女が抱き合っていた。
お互い貪る様に唇を重ね。深く深く交わる。
「佐助。」
と呼ばれ。その低い声の心地よさに女はフフと笑った。

誘ったのは佐助の方だった。
西の動きの活発化に同盟を結ぶかどうか上杉、武田、伊達が話し合いを行っていた。
甲斐に書状を持った際、宿泊を勧められた夜庭先の木の枝に佐助が腰を掛けていた。
昼間の訓練で川に落ちたとかで何時もの装束ではなく一重の着物を無造作に羽織った佐助は小十郎に妖しく微笑みかけた。
剥き出しの白い足、月の光を浴びて桜貝のように桃色に光る爪。
その足を顔の前に差し出されて誘いに乗る気になった。どうせ一夜限りの事なのだと。

事が済み、息を整えると佐助はふらふらとしながらも身支度を整え始めた。
「行くのか。」
「ん。長居は無用でしょ。」
そう言ってゆらりと立ち上がろうとする佐助を思わず引き寄せる。
「何?」
「誰の代わりだ?」
気が付いていた。
自分に縋りつきながら、自分にもっと欲しいと強請りながらそれでも視線の先は違う男を見ているのだと。
小十郎の問に佐助はふわりと笑うと「さあね」と言った。
顎を掴み触れるだけの口付けをしてやる。
佐助は困ったようにへにゃりと眉を歪ませると男から離れ立ち上がった。
「じゃあね片倉さん。」
「……ああ。」
そのまま足音を立てること無く佐助は部屋を出ていった。


佐助は廊下を歩いていた。ふらふらとした足取りは先ほどの余韻を残したままだ。
「佐助か?」
何時もなら消している筈の気配を消していなかったのか、足音は立ててはいなかったが、とある部屋の前で呼び止められた。
気だるそうな瞳で部屋の入り口に目を向ける。
開いた戸の隙間から出た腕が佐助を掴み引き込んだ。
暗い部屋の中、佐助は部屋の主に抱き締められる。
佐助の体に情事の残り香を感じとり今度の誰は相手なのかと問われれば佐助はおかしそうに笑った。
それを知ってどうするつもりなんですか、と。
もっと自分を大切にしろ、その身を粗末に扱うな。と言う腕の主に、自分は忍なのだと、大切にする意味が分からないと更に笑う。
だが暖かい掌に頬を優しく撫でられて佐助はびくりと体をすくませた。
引きつるように喉に息が詰まり笑い声が急に止む。

「佐助。」
優しく呼ばれ佐助は恐る恐る顔を見上げた。
闇の中に慈しむように自分を見つめる瞳を見付け佐助は声を震わせた。
「……駄目です。」
あんたが心を砕くだけの価値は俺にはないんです。
薄汚れた、ただ雇い主の望み通りに使われるだけの木偶なんです。
遊びたいなら幾等でも付き合います。
その気になれば、気持が無くても、そんな必要がなくても、さっきみたいに簡単に誰にでも体を開ける奴なんです。
だからお願い。俺を大切にしないで、俺に本気にならないで、あんたを汚すなんて俺は耐えられない。
幾つもの言葉が頭に浮かんでは言葉にならず消えていく。
目を反らす事が出来ず唇を震わせたままの佐助の額に、瞼に、優しく柔かい感触降って来る。
「そうしてその身を貶めれば儂が諦めるとでも?」
「諦めてよ……こんな女、なんだから…さ。」
無理だと言うように優しく触れるだけの口付けを返され、佐助の瞳から堪えきれなかった涙が一粒だけ溢れた。
佐助は震える手でその体を押し返し弱々しく首を振った。
「駄目です。あんたは将で、俺は草です。我儘言わないでよ。頼むから。」
直も抱き留めようとする腕を振りきって佐助は立ち上がった。
「佐助。」
呼び止める声に振り返り佐助は微笑んだ。
ほら、大丈夫、まだ俺様は笑える。
まだ、笑ってさよならが言える。
だから大丈夫。
「おやすみ、大将。」
扉を開けることもなく佐助の体は闇に溶け、取り残された部屋の主は苦しげな息を吐いた。
部屋から抜け出た佐助は屋根に腰掛け夜空を見上げる。ひゅうと吹く風に少しだけ身をすくめ呟いた。

「明日は誰の所に行こっかな。」

あの人でなければ他の誰でも同じことなのだから。

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エロシーンじっくり書いてこの終わりは無いよと没にした
どっちにしても近くて遠い二人のお話
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