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全長 | 30~80cm |
重量 | 2.0~3.0kg |
地域 | ヨーロッパ |
年代 | 紀元前14~紀元17世紀 |
柄に槌頭を別につけた、複合素材で作られた棍棒をメイスという。
そのため、石を先端にくくりつけた棒もメイスに該当する為、その歴史は古い。
ただしメイスと聞いて一般的に浮かぶのは、金属プレートを放射状に並べた柄頭を持つ、金属性のものだと思われる。
これらはゲーム等の影響が強いのだが、実際に宗教上の関係で教会などの神聖な場所に属する騎士たちが金属プレートの柄頭のメイスを使っている。
ここではこの金属プレートを用いたものをメイスと定義し、説明していこうと思う。
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1 | 槌頭:メイスヘッド(Mace Head) |
2 | 柄:ポール(Pole) |
3 | 握り:グリップ(Grip) |
4 | 石突:バット(Butt) |
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メイスといえば神に仕える職業の武器というイメージが強いが、何故そんなイメージが定着しているのかご存知だろうか?
実はキリスト教(の分派によっては)の教えの中に、「神に仕える戦士は血を流す武器=刀剣類は使ってはいけない」ということが言われている為なのである。
結果、いざと言うとき「これは職杖です。偉い人にはそれがわからんのですよ。」と言い逃れが出来るメイスが聖職者の武器として採用されたのである。
蛇足だが、これに限りなく近い話が現在の日本でもある。
日本ではサブマシンガン(短機関銃ともいう、取り回しの利く連射式の短銃)と言う名称の武器を政治的な理由で持つことが出来ない。
しかし非常に汎用性があるこの武器をどうしても採用するために「これは高性能な拳銃です。」と言って自衛隊やSAT(警察庁の特殊部隊)に正式採用している。
ちなみに、この言い分はメイスと同様にしっかりと国際的に通っているのが恐ろしい。
単純に殴りつければ、突き出た金属プレートが相手に叩き込まれ、多大なダメージを与えることが出来る。
戦い方をロクに知らない素人が持った場合、刀剣よりも槍よりも恐ろしい武器であることは間違いない。
当時は特に対金属鎧に対して効果が絶大で、切れ味が鈍りやすい当時の刀剣と比較しても耐久性にも優れ、刃物よりもよっぽど危険な武器だった。
内部に衝撃吸収材なんてものがない当時の金属鎧に対しては、鎧を陥没させて内部を破壊するという大ダメージを与えることができたらしい。
単純な殴るという動作だけで高い威力が発揮できる反面、器用に攻撃を受け流したり、武器破壊を狙うといった器用なことは不可能である。
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ここからはやや創作活動している方向けの内容になります。
殴打する部分になる金属プレート部分、イラストで説明されている文献では枚数がよく分からないという方が多いのではないでしょうか?
そこで、筆者はネット中のあらゆるサイトを探しまくって調査してみて統計をとってみました。
一番シンプルだったのは6枚のプレート(60度間隔)で構成された上記CGのタイプでした。
次点で4枚(90度間隔)、8枚(45度間隔)でした。
もしイラストを描かれたり3DCGとして起こしたり、小説等で表現する場合は4,6,8枚のいずれかを想定するといいと思います。
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ついでにグリップについて。
今回の更新で大きく変えたグリップですが、布や革を上記のように螺旋状に巻いて作られていることが多いです。
やはり聖職者の武器なので、手元を少しでも神聖・豪華にしていたようです。
この螺旋状のグリップは、布ではなく金属そのものがこの形状になっている場合もあります。
持ったときに滑り落ちにくいものの、長時間持っていると少々手が痛いかも?
もちろん単に布や革を単に巻いただけのものや、金属むき出しで装飾もないものもあります。
もし創作活動で描いたりする場合はこのあたりも参考していただけると幸いです。
2007年 9月30日更新 2008年 9月1日 画像差し替え+追記 2009年11月30日 画像差し替え+追記
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