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全長 | 115~140cm |
重量 | 2.5~3.0kg |
地域 | ヨーロッパ |
年代 | 16~17世紀 |
ハンド&ハーフソード、片手半剣とも呼ばれる片手・両手両用の剣。
別名ではギリギリ両手で持てるように思えるが、実際の定義だと以下のようになる。
・両手で十分握れるだけの柄(グリップ)がある。
・斬撃と刺突、両方に優れている。
ということから、しっかりと両手で握るだけの柄の長さはある。
しかし、他の両手剣と比べるとやや短かめといったところだろう。
名前である「バスタード」は混血・雑種を意味していて、両手でも片手でも使えることから、この名が使われている。
ちなみに名の由来として、斬撃系のゲルマン型ソードと刺突系のラテン型ソードの混血のような武器だから、という説もある。
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1 | 剣身:ブレイド(Blade) |
2 | 切先:ポイント(Point) |
3 | リカッソ |
4 | 柄:ヒルト(Hilt) |
5 | 鍔:ガード(Guard) |
6 | 握り:グリップ(Grip) |
7 | 柄頭:ポメル(Pommel) |
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金属性鎧に対して、片手剣ではダメージが与えにくいということから生まれた、両手剣の一種である。
片手で込められる力の限界から、単純に柄の長さを両手用に長くしただけが当初のバスタードソードだった。
別項の ロングソード 前期型 でも書いたのだが、当時の騎士たちは腰から剣を下げることがステータスだった。
そのために、腰から吊るせるギリギリの長さで、かつ両手剣としても使える限界の長さのものとして改良されていった。
(ただし、場所によっては「そんなの関係ねぇ!」と背負う人間もいたというが、海パン一丁だったかは定かではない。)
特にドイツで改良されたものは、刺突にも優れた刀身で、今ではこれが一般的なバスタードソードとなっている。
ツヴァイハンダー もドイツ製で優秀であるので、両手剣に関しては、やはりドイツの技術は世界一ィィィなのかも知れない。
特に騎兵用だったとか歩兵用だったという記述はないが、両手剣という性質上、馬上では使えないため歩兵用だったと考えるのがベターだろう。
今までの記述にあるとおり、斬撃用に振り回すのもよし、刺突用に付くのもよしと使い勝手が非常にいい。
この性能は、1422年のベリーンツゥーナの戦いで非常に高く評価されたという。
当時、スイスでは4mもある長柄の槍である「パイク」を使ったパイク戦術が主流だった。
しかし、これに対して長柄武器のハルバードとバスタードソード、2つの武器を持たせた前衛を配備した部隊で、パイク戦術を破ったという。
このとき、長柄武器も両手剣も複合機能を持つことが、戦果に大きく影響したのである。
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このように複合機能=ハイブリッドな剣であるバスタードソードは、機能面でも重さ・長さの面でも丁度いい、バランスのよかった剣だったと言える。
ただし、複合機能武器は総じて高い訓練が必要とされ、バスタードソードも斬る、突くを使い分けるための訓練は容易ではなかったと思われる。
そう簡単に使える武器では無いので、刀剣に関して熟練したものだけが使える武器だと思っていいだろう。
2007年 10月7日更新 2008年 8月22日 画像差し替え+追記
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