人事院が国家公務員の給与水準に関して8月に行う勧告で、引き下げ幅を55歳以上でより大きくし、30歳代以下で小さくする傾斜配分方式の導入を検討していることが14日、分かった。ベテラン公務員の給与が民間企業の同年代の社員を上回っている実態を踏まえた措置。省庁のあっせんによる天下りの禁止で滞留する公務員に自発的な退職を促す狙いもありそうだ。
人事院は昨年の勧告で月給を0.22%引き下げるよう求めた。今年も引き下げ勧告になる見通しだが、傾斜配分方式にすることで、ベテランへの退職勧奨に加え、新卒者の「公務員離れ」を抑制する効果も期待している。
ただ、導入には困難も予想される。傾斜配分方式にしても、全体を一律に引き下げた場合と総人件費は変わらない。政府は公務員制度改革でみんなの党との連携を模索しているが、同党は「公務員給与の2割カット」を掲げていることから隔たりは大きく、より抜本的な給与体系の見直しを迫られるのは必至とみられる。
連合傘下の公務員労組なども、人事院の非公式の打診に対し「世代間で差が生じるのは好ましくない」と難色を示している。
公務員の労働基本権を回復したうえで人勧制度を廃止し、労使交渉による給与水準の決定を労組側は目指しており、人事院の方針転換を「生き残り策の一環」と警戒する見方も出ている。【塙和也】
◇人事院勧告
国家公務員は争議権や団体交渉権など労働基本権が制約されていることから、民間企業との給与格差が広がらないことを目的に、人事院が国家公務員の給与改定を内閣と国会に勧告する制度。人事院は従業員50人以上の民間企業を毎年調査している。1948年に始まり、勧告を完全実施するかは閣議などで決める。景気後退を反映して最近10年ではマイナス勧告が6回出ている。
毎日新聞 2010年7月14日 15時00分