残酷な穏紅狼の

残酷な穏紅狼の

柳生十兵衛
ひとつ、物を尋ねたい
ひまり
うしたんじゃ急に、何か困った事でもあるのか?
柳生十兵衛
特段の困り事ではないが、妖魔について知るのならば妖魔をあたるのが筋であろうと思ってな
ひまり
ふむ、我ら妖魔についての疑問であったか、よかろう、申してみよ
柳生十兵衛
先日の事だ、穏狐狼が俺の元にやってきてな
柳生十兵衛
「その眼帯、反対になっていないか?」と尋ねられたのだが、訳が分からん
柳生十兵衛
この眼帯が反対になっている訳が無いのは一目瞭然だ、そんな物は見れば分かる
ひまり
がんたいがはんたいか……それでおぬしはどうしたのじゃ?
柳生十兵衛
何となく聞こえない風を装いその場を離れた、答えを持たん俺はそうするしかなかったのだ
柳生十兵衛
その後、奴の発言について一昼夜考えてみた、裏にどのような真意があるのだろうか、と
柳生十兵衛
しかしついぞ答えが出る事もなく、同じ妖魔であるお前なら何か分かるのではな、とな
柳生十兵衛
俺はあの時、どうすれば良かったのだ?
ひまり
おぬしにはこの言葉を贈ろう「笑えばいいと思うよ」とな、全く笑えんが
柳生十兵衛
分かった、では次に穏紅狼に出会った時は眼帯が反対になっている話を持ち出そう
柳生十兵衛
そして謝罪しよう、お前の意を汲めず悪かった、次は笑うのでもう一度言ってくれとな
ひまり
(ここは止めずに影から眺めて楽しむのが吉じゃな)

最終更新:2021年05月10日 10:41