Judgement Of Kings An. 第Ⅰ話 過去ログ

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ヒロ「…おうっ!(断境の中へ入り込む)……(…やつぱ、あいつに似てるからかな……この子と話してる時だけは…暗い気持ちが、吹っ飛んでいくような……) 」

ユータン「…… ……じゃあ、行くよ。(ヒロ――――――なんで、だろう… この人を見ると… 何か込み上げてくるような… ………気のせい、かしら……)(ヒロを連れて『断境』の中へ入り込む) 」

ヒロ「……ま、俺のためにやってくれてるんでしょ、悪くは思わんよ……あ、ユータンね、俺はヒロってんだ。よろしくな……(ヴァルネン・クロイツ?) 」

ユータン「念のためよ、悪く思わないでよね。検査が終え次第すぐに開放するから。 ……一応名乗っておくわ。私は暁鐘Ⅹ字師団(ヴァルネン・クロイツ)…Ⅵ(ゼクス)のユータン。以後よろしく。(バサッと外套を靡かせ) 」

ヒロ「……だから、戦った俺も何か起こってるかもしれないから……調べるってことかい? 」

ユータン「ダウト…言うなればこの『異端者』は、支配者と王権者の両勢力とはかけ離れた第三の存在。軍事力こそは支配者と王権者には劣るけれど、その力は未知数。何故なら異端者『ダウト』は、支配者と王権者を惑わす事件を幾度も起こしてきたからよ。さっき戦った『蟲』も、ダウトが齎したものである可能性が高い。"私たち"はずっと、その『蟲』と戦ってきたから…分かるの。『蟲』は人々を無差別に喰らう。『蟲』に浸蝕された者はみんな最後にはあのような化け物になって、死ぬの。"私たち"はその『蟲』の駆除にあたっているわけ。 」

ヒロ「…紛争、か……(若干俯く)…ダウト……… 」

ユータン「世界の天秤を均衡に保つという理念の下に結成されたその「新勢力」は、王権者たちの暴走の抑止となり、国家間戦争の調停を起こす力を持っている。そして新勢力は王権者たちにとっても脅威となり、結果的に、現代では支配者が王権者たちを監視下に置くようになった…完全ではないけどね。 この世界のあらゆる場所で紛争、戦争が起きている…でも最近、そんな一大事の中で、人知れず暗躍しているテロリストがいるの。そのテロリストの名は―――≪ ダウト ≫。 」

ユータン「ピク…(開いた渦に歩み寄ろうとした時、ヒロの問いに反応し歩みを止める)……この世界には、『支配者』と『王権者』という二つの絶対存在がある。支配者は各国の王権者たちの暴走を抑止するために世界を管理している。だけどそれを目障りだと感じている王権者たちは支配者に敵意を示している。いわばこの双方は敵対関係にあって、互いに一発触発の状態にある… 王権者たちは力を蓄え支配者を討つ機会を窺い、それに対し支配者も王権者たちを迎え撃つべく「新勢力」を立ち上げた。」

ヒロ「…異変、かぁ………てか、さっきから気になってるんだけど、その…「蟲」……ってのは、今のやつなんだよな。…一体、なんなんだ?(渦を見ながら) 」


ズ ズ ズ ッ … ! (ユータンの口上で彼女の目の前の空間が歪み、そこに暗緑色の渦が展開される)


ユータン「……(ヒロの非常を窺いながら外套を羽織り直す)…まあいいわ。とりあえず貴方は私と一緒に来てもらうわ。蟲と交戦したことで、もしかしたら貴方の身体に何か異変が起きているかもしれないからね。…“断境”(グレンチェ)。 」

ヒロ「…まぁ、そうだろうな………(死んでいたかもしれない、と告げられたにもかかわらず、平然とした表情で)……(まぁ、それでもよかったかもしれなかったな…彼女を見るまでは、な…)(ユータンを見ながら) 」

ユータン「貴方…あの『蟲』と戦って平気だったの…?(外套を拾い上げてヒロに近づき、彼の全身をいぶかしむ様に見る)…浸蝕部分がない… ただの刀で防ぎきったとしても、運が良かっただけ… ……私が現れなかったら貴方、"死んでたよ"。 」

ヒロ「……やった……か……(振り返ったユータンを見る) 」

ユータン「クルルルッ…――― シ ュ ッ …(化け物の完全消滅を確認し、ルデルドライゼを華麗に振り回しながら腰元に納めた) ふぅ… これで新たな『啓示』を阻止できたわ。………(そして静かにヒロの方へ振り返る) 」

黒い化け物「グ ギ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ー ー ー ー ー ー ー ー ー ッ ! ! ! ! ! ! ! (宙に投げ飛ばされた後、放たれた閃光に呑まれ、悪魔の如き断末魔を上げながら断罪の光の中に消えた) 」

ユータン「(―――だけど恐れるに足りない。私の光は、蟲が最も嫌う光… この光は――――) 闇を滅ぼす閃光(ひかり)だッ!!!(ドスッ―――グゥンッ ! ! )(化け物の胸部を刃で突き刺し、力強く天へと投げ飛ばした) カ チ ャ ――――― “閃皇”(シュトゥーカ)!! (  ド   オ   ォ   ゥ   ッ   !   !   )(銃口に光を集束させた後、夜空を舞う化け物に目がけ極太の閃光を解き放った) 」

黒い化け物「グギュアアグアァァアアァァアア…ッ… ! ! ! ! (神々しい光を纏ったユータンの攻撃は化け物を覆っていた黒い瘴気を吹き飛ばし、そして全身から生えていたあの無数の棘を瞬く間に消滅させた) ズ…ズン…ッ… ! ! ……ォ…ォォオオ…ッ…――――― オ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ッ ! ! ! ! (頭部を抱え込むように奇声を発する) 」

ユータン「(“刹那”(シュネル)――――) シュンッ―――――(真横から降り注ぐ雨のように繰り出された猛撃を瞬間移動で次々と回避していく)―――― シ ュ ン ッ   はあああぁーっ!!!( ズ バ ン ッ ! )(化け物の懐に現れるや否や、光を纏った斬撃を炸裂させる) 」

黒い化け物「ズズ… ズッ…ズッ…―――――ゴギュアアアァァァアアアアアッ ! ! ! ! ( ド パ ァ ッ ! ! ! )(手足が大きく発達し、より禍々しさを帯びた姿へと変貌を遂げる)ドドドドドシュアァッ ! ! ! ! (無数の棘と発達した腕の爪を一斉に飛ばし、ユータンを串刺しにしようと襲いかかった) 」

ヒロ「…(…あいつに似てなかったら、反発して突っ込んでたとこだったな……)……!?(落下した光柱を見て) 」

ユータン「(その身に落ちた閃光が全身をみるみると包み込み、激しくも神々しい光を帯び始める)―――― “輝装纏鎧”(アードリガー)―――― (光を纏った全身から溢れんばかりの粒子が湧く) 」


――――――    ド     オ      ゥ     ッ     !     !     !     ―――――― (天から流れ星のように現れた一縷の光柱が夜空を貫き、ユータンに向かって落下した)


ユータン「(一気に決める――――)正義を執行する!(ブワッ… ! )(身に纏っていた外套を脱ぎ捨て、銃剣ショットガン『ルデルドライゼ』を天高く掲げる)  闇路(よみち)を輝き照らせ――――『輝爆装置』(ジリオス)!! 」

ヒロ「………(はぁ、なんかまるであいつに怒られてるようだぜ……なぁ、カズミよ……)(ユータンを見ながら) 」

黒い化け物「グギョルジグギャアアアァァッッ ! ! ! ! (斬撃と射撃の双撃を受け、傷口から黒い瘴気が溢れ出る) 」

ユータン「っ~~~!(大人しく身を退いたヒロに多少いらついた表情を浮かばせる)……(蟲は"フル"状態…!こんな相手を一般人にさせるわけにはいかない…!) はっ、やっ…!てやぁ!!(ブォン、ブンッ――――ダァンッ ! ! )(銃剣による左右から薙ぎ払いの後に回転し、頭部と思われる部位に目がけ発砲した) 」

ヒロ「……あっ…!すまん……!(怒鳴りつけられたのに対してあっさりと頭を下げ、飛び退く) 」

黒い化け物「グギュァ…ッ… ! ! (ヒロの追撃を喰らい怯む) 」

ヒロ「……この子だけは、死なせたくねぇっ……!(化け物にもう一撃を加えてから飛び退く) 」

ユータン「なっ―――――(今まさに化け物を迎え撃とうとした瞬間、自身を庇うように現れたヒロに驚愕し動きを止める) 邪魔…っ! 貴方は下がってて!(ヒロに怒鳴りつけ) 」

黒い化け物「ガキャァンッ ! ! ! (接近してきたユータンに棘による攻撃を仕掛けようとした途端、ヒロに遮られる) 」

ヒロ「………危ないっ!(ユータンの前に立ち、接神してきた化け物を刀で薙ぎはらう) 」

ユータン「……(この人…刀一本で『蟲』を相手に……!? なんて無謀な…)…下がって。私の射程範囲内に入りたくなかったらね――――― タ ッ … ! (ヒロにそう告げると地面を軽く蹴りあげ、跳躍のみで化け物に接近する) ガ チ ャ …   ブ ン ッ ! (腰元に携えた、黒い刀身を持つ銃剣ショットガンを静かに抜き取って空を斬る) 」

黒い化け物「―――― ドゴォンッ ! ! (下敷きとなった瓦礫を吹き飛ばし、土煙と共に復帰する) グギュアアギギャアアァァアアアアッ ! ! ! ! (血に飢えた獰猛な獣の如き雄叫びをあげると、全身の重瞳が激しく乱れて黒い血涙を流す) ドォッ ドォッ ドォッ ! ! ! (そしてヒロとユータンの二人に向かって暴れる様に接近する) 」

ヒロ「………んっ…(ユータンが目に入る)……君か?…俺を、助けてくれたのは………!!(………この子………)カ、ズミ……?(彼女の姿を見て、小声でつぶやく) 」


突如として現れた少女を目にしたヒロの脳裏に、閃くものがあった。それは――――――


×××→ユータン「――――― ト … (火炎を裂いて颯爽とヒロの前に降り立つ) (バサバサ…)……(外套がはためく中で、幼くも鋭い目でヒロを睨むように静かに見つめる) 」


BGM♪



ヒロ「……くっ…!(転倒する)……(カズミ、今、お前のところに…………)(覚悟を決めたかのように目を閉じたが……)……………??(吹き飛ばした音を聞き、目を開く) 」

黒い化け物「 ドゥ――――――ドッシャアアアアアアァァァァァーーーーーン…ッ… ! ! ! ! ! (刹那の内に彗星に呑まれる様に消え、遠く離れた建物に勢いよく激突した) 」


―――――  ド  ギ  ュ  ア  ァ  ッ  !  !  (火炎の中から神々しい輝きを帯びた光線が割って出現し、化け物を真横から押し潰す勢いで吹き飛ばした)


×××「――――――― “閃皇”(シュトゥーカ) ―――――― 」

黒い化け物「 ズ ン ッ ! ! (アスファルトを踏み鳴らすと僅かな地響きを引き起こし、ヒロを転倒させる) ズァ――――――(丸腰となったヒロにとどめをさすように棘を一斉に構え、そして…突き刺そうとしたその瞬間だった――――) 」

ヒロ「……あっ……!(刀が吹き飛ばされ、うろたえる) 」

黒い化け物「 グ ゥ ン ッ ! ! (下半身から生えた棘を終結させることで大きな尻尾を成し、ヒロの刀に目がけて強く振った) 」

ヒロ「………噛みつこうっ、てか……!(急降下してきた化け物を見て飛び退く)……(刀を構える) 」

黒い化け物「ギジュギギュガアアアァァァァアアアアアッッ ! ! ! ! (ズシャアアアアァァァァーーーンッ ! ! ! )(乱れる重瞳がヒロに一点集中した瞬間、雄叫びをあげながら跳躍し、全身から生えた無数の棘を牙のように構えヒロの頭上を目がけ急降下する) 」

ヒロ「…………………(や、やっと正体を現しやがったかい、バケモノが……) 」

モララー議員(?)→黒い化け物「あガ…ッ…!?(度重なる謎の激痛に顔を歪め、攻撃の手を止める)お゛じえ゛でぐでェ゛ッ…!!?ヴァだジがジッだイぃ…なぎを…じたと言うの゛がァ…ボァ…!!? コでが…「ぎぜき」か…ッ…!?私は…ヴァダしヴァ……―――――  ギ ュ ン ―――――(やがて顔面さえも黒に染まり上がっていき余すことなく化け物の姿へと変貌した。全身が完全に黒みを帯びると更なる重瞳が一斉に開眼し、ヒロを戦慄させた)」

ヒロ「………嘘、だろ?……(………どこまで、生きのびれる、かな…)(刀で薙ぎはらっていくが、先ほどと比べて余裕がなさそうに見える) 」

モララー議員(?)「ぐぎゃああぁぁああッ!!!ア゛ア゛ァ゛ッ!!い゛だイ゛…ッ…! 私は…タだ……奇跡ガッ…欲しガッだ…ダゲ…ばのニ゛……!!アガ…あ… ガッ、ガ…ッ…――――ズビュビュビュブオァッ ! ! ! ! (両肩、太もも、背から大量の棘が突出する) クキ クキ   クキン  ―――― ド ッ ! ! (更に数を増やした棘は容赦なくヒロを突き刺そうと襲いかかる) 」

ヒロ「………多すぎやしねえか…?(棘を刀でかたっぱしから切っていく) 」

モララー議員(?)「フギャアアァッ!!!(刀による薙ぎ払いを受け、燃え盛る車の残骸に強く激突する)ハァ……ハァ……――――― い゛ だ い゛ … ッ … ! (強く打った頭部から鮮血が流れ出る) ヴァダ…じ…がぁ… 何モ゛…じてイな… 何…考エ゛ダ…くナ”…ッ…!!(グジュグジュ…――――)―――― ド パ ァ ッ ! ! ! (黒く変色している部位から蜘蛛の足を思わせるような屈折した棘が出現する) ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!!!(鋭利な棘が微動し、一斉にヒロに向かって飛び出した)」

ヒロ「…………(なるほど、蝕まれている、と…………)(刀を抜き、襲いかかってきたモララー議員を薙ぎはらう) 」

モララー議員(?)「ア…ア゛ァ゛ァ゛…ッ…! 私バ… 何ヴォ…考えダぐなイィ…ッ…!!イ゛ッ゛!?グギャアアアァァァアアァァッッ!!!!(唯一変色していない顔から悲痛な訴えが窺える。絶え間なく流れ出る涙と涎… 充血しきった瞳は血のように真っ赤だった)グチュ…グチュ…!! (夥しい音の正体は本物の血液であり、火炎により更なる赤みを帯びていた)あ…ア゛ァ゛ッ…!ああァァ―――――フギィィィィイイイイイイイイイッッ!!!!(超音波のように鼓膜を強く震わせるほどの化け物の雄叫びをあげ、ヒロに襲いかかった) 」


BGM♪



ヒロ「………??????(モララー議員(?)を見て)(……あれが、原因なのか?……でも、声は普通に見えるな……) 」

モララー議員(?)「ハァ…ハァ…ッ… (グジュ…グジュ…)(炎の渦から、得体の知れない液体を踏みつけたような夥しい音を立てながら現れる。全身の8割が無数の霧か何かで覆われ黒く変色しており、身体の至る部位に重瞳が開眼しており、また…全身からは黒い瘴気が上がっていた)……ハァ…ハァ… ア゛ア" ァ"…ッ…!! ア゛ァ゛… ヴァ……ヴァたジ…は…… ヴァタジば… 愚民……愚民党…どおじゅ(党首)…ッ……(化け物染みた身体とは相反して、まともな声を発している。それは何処か、"泣いて"いるようにも見えた…) 」

ヒロ「………影……?(その姿を見て足を止める) 」


―――――― ボッガアアアアアアァァァァァーーーーーーンッ ! ! ! ! ! (道の端に停車されていた数列の車が次々と爆発し、辺り一面に爆煙と火の粉が舞った。燃え盛る炎の中に、真っ黒な一つの影があったのを、ヒロは決して見逃さなかった…)


ヒロ「………化け物?……(駆け出してきた市民を見て)……(死に場所にはふさわしいかもな(駆け出してきた市民とは逆の方向、すなわち悲鳴がした方角へ歩き出す) 」

一般市民『う、うああああぁぁぁっ!!! 逃げろおッ!!化け物が…化け物があああぁぁーーー!!!  ひゃあああぁっ!!はやく退いてよ!逃げないとぉ!! みんな遠くへ逃げろ!逃げるんだあああぁぁーーー!!!』(女性の悲鳴がした方角から多くの民人たちがなだれ込む様に駆けだしてきた。慌てふためき、何かかから怯えるように逃げ惑っている) 」

ヒロ「………?(悲鳴がした方を向く)なんだ……? 」


――――――――き゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛ああぁぁぁーーー!!(女性の悲鳴が響く…それは日常が崩れる"予響"であった)


ヒロ「………はぁ…………(周りを見渡す)(……俺には合わなすぎる………この雰囲気………みんな賑わってる中で、俺だけしんみりしてるもんな……)(街を徘徊している) 」


イルミネーションや街灯でライトアップされた夜の街は、人々の声で賑わっていた…


――― 青の国・コカリスの街 ―――



ユータン「――――――――行ってくるよ、『お兄ちゃん』。 タ ッ … ! (数秒経って開眼し、普段のトーンではない声でそう呟いて駆け出した)」

ユータン「…… ……すぅ ――― ふぅ…(異空間の中で大きく深呼吸する)……(そして静かに瞳を閉じる)」


――― 断境内 ―――



ユータン「ええ、行ってくる。 ズ ズ ズ ズ … ! (暗緑色の穴「断境」へと足を踏み入れる)」

男性機関団員「了解しました。…ユータン様、ご武運を。」

ユータン「なら、それより早く着きそうね。ブワサッ…(外套を羽織る) 『蟲』の出現と聞けば油断はできないわ。“刹那”で飛ばして、なんとしても10分…いえ、5分以内に到着しないと。(キュ…)(手袋を嵌め直し) もしここに私以外の番号使がやって来たら追い返しておいてくれるかしら。「増援は必要ない」って。」

男性機関団員「はっ。コカリスは本部より東西の方角… 蒼秤総裁機構の統治下である青の国内に存在します。目的地までのルートは既に断境(グレンチェ)とリンクしております。一般的な機関団員であればここからコカリスまでおよそ20分で到着すると予測されます。」

ユータン「(団員に敬礼を返す) 啓示は見たよね?(腰元にぶら下げていた帽子を被りながら)」

男性機関団員「お待ちしておりました、ユータン様。(穴付近にある機械台(恐らく何かを操作する装置)を前に、現れたユータンに敬礼する)」


だだっ広い真っ白の空間――― その奥にある大きな暗緑色の穴が、無音に包まれた空間の中で活気よく渦巻いていた


――― 本部内・断境(グレンチェ)の間 ―――



ユータン「(ファティマの啓示…!)(予感が確信に変わったことでいつになく表情が鋭くなる) タ ッ … ! (意を決したようにある場所へと向かう)」


――― 20時13分 コカリスの街で悪しき『蟲』が民人を喰らうだろう -FaTiMa- ―――


ユータン「調べれば調べるほど、謎が多いわね…≪ダウト≫―――――!(着信音に「まさか」と言わんばりに閃き、急いでメールの内容を確認する)」


♪~♪~(ユータンのタブレットからメールの着信音が鳴る)


ユータン「……( 『灼熱祭』… Phoenixesが主催している伝統行事で初めての事件が起きた。それがよりによって、あのピエロが齎したものだったなんてね… )(コツ…コツ…)(タブレットを脇に挟んだまま廊下を歩いている) 」


――― 暁鐘Ⅹ字師団本部「ジエス」・廊下 ―――



モララー議員「奇跡よ―――!!?(振り返った瞬間に遭遇した黒い物体に仰天する) う、うぁ… うわあああああああああああああ!!!!!!!―――――――――――」


―――― グ バ ァ ッ ! ! ! (穴の中から溢れんばかりに出現した黒い物体がモララーを襲う)


モララー議員「はぁ~~~… 次の街で、きっと理解してくれる方がいるかもしれない… 奇跡を信じるしかない。奇跡よ…奇跡よ、起きろ――――――(とぼとぼ歩きながら念じるように自分に独り言を言い聞かせている最中、背後から聞こえた謎の音に反応し、振り返ろうとする)」


――― ギ ュ オ ン ッ ! (モララーが歩いた軌跡上の空間に線が現れ、眼(まなこ)が開眼するようにぱっくりと開かれる。線から現れたのは黒い瘴気を放つこの世のものとは思えない醜悪な穴だった)


モララー議員「なぜ……なぜ… 誰も愚民になろうとしないのか…!?(絶望感に浸ったような顔をして橋の上で叫ぶ)愚民になれば何も思い煩うことなどないというのに… 何も考えなくていいなんて、なんて幸せなんだ…!それこそが、我々愚民党の目指す理想国家…! それでも各国の王族たちは我々を受け入れてくれない… はぁ…世の中頭のおかしい人ばかりだ…(←」


――― 某街外れの橋 ―――



ゼグエット「……!(ぴくりと微動し、彼が残した言葉と声の余韻が脳裏に入り込む)……ザッ (イージスが退室する際、彼の背に向け敬礼した)」

イージス「ポン…(いつの間にゼグエットの隣にたち、彼の右肩に手を置いた)…機関は彼女たちに頼り過ぎている。いづれ彼女たちにも限界というものが来る……そん時は、頼れる部下の君が支えとなるんだ―――― "抜血"のゼグエットくん。(ははっと笑い残すと部屋を出ていった)」

ゼグエット「(錚々たるメンバーの名前を聞き冷や汗を流す)……! はっ…! ……(そんな方たちを育ててきたのですね――――― 機関"大監察" 《 イージス・ベル・フェルン 》様…)」

イージス「…他にも、今は何処で何をしているのか分からない番号使もたくさんいる。これから起こる戦いに、彼女らがどう動くのか…元教官として楽しみなところだ。(空っぽになった缶ビールを揺らしながら)…あー、そうだ。今話したことは誰にも言うなよ。本当はこれ秘密事項なんだからな。」



――――― 【An.Ⅹ】 《 シノン・セロード 》 ―――――


シノン「わぁ…ネティス、本物の人魚みたい…すごい… ………いいな…私も一度はお魚さんたちと泳いでみたい…(部屋の椅子に一人ちょこんと座って水槽内の広大な青い景色…その中で楽しそうに泳ぐネティスの姿を羨ましそうに見つめている)」


――――― 【An.Ⅶ】 《 ネティス・テレシア 》 ―――――


ネティス「ん… 一緒に遊びたいの…?……うん、いいよ。ふふっ…


ツンツン…(一匹の美しい魚がネティスの頬を優しくつつく)


ネティス「(その水槽内でただ一人、人魚のように美しく自由自在に泳ぐ少女の姿があった…) みんな仲良しだね。みぃはとても嬉しい。(おっとりした口調で呟いて)」


コポ… コポポ… (巨大な水槽内には、水族館にも匹敵するほどの多くの種類の魚たちが気持ちよさそうに遊泳している)


――― 本部内・巨大水槽のある部屋 ―――



――――― 【An.Ⅵ】 《 ユータン・ルクライツ 》 ―――――


ユータン「う~~~~っ… みんな子供扱いして…ぜーーーーったいに許さないんだからぁ!!(赤面で怒鳴りつけ)」

男性機関団員『ひええぇぇーー!!!  俺じゃありません俺じゃありません!!  僕でもありませんお助け下さい!!  私も違いますって!!  逃げろーい!(てへぺろ)  (全員慌てて逃亡)』

ユータン「(ピク)―――― ちっこいって言うなーーー!!!!!(ズダダダダダッ!!!!!)(何処からともなく取り出した銃剣ショットガンを乱射する)

男性機関団員『……!(あ、ユータン様だ。可愛い…)  (可愛い…)  (可愛い…)   (可愛い…)  (ちっこい…)』

ユータン「ったく…あのエロジジイ… 油断も隙もあったもんじゃないわ。(一方二人とは別の廊下道を歩きながらぶつぶつ呟いている)」


――――― 【An.Ⅴ】 《 ティモネ・リンク・ハミルトン 》 ―――――


ティモネ「お疲れ様です、ノウェムさん。後で休憩用の紅茶とワッフルをお持ちしますね。(はあぁ~…背伸びをするノウェムさんと、その背伸びから見える綺麗な脇が美しすぎて眩しい…っ…!!はあぁ…仕事終わりに音楽を奏でるいつものノウェムさんを想像するだけでボク自身も優雅なひと時の中に溶け込まれていきそう幸せすぎるよ幸せ幸せ早くノウェムさんの大好物のワッフルとそれに合う紅茶を持っていきたい褒められたい一緒に優雅な時間を過ごしたいぃ~~!!!)」


――――― 【An.Ⅳ】 《 ノウェム・リル・カーツェネイト 》 ―――――


ノウェム「んっ…んー…(背伸びをしながら廊下を歩いている) ひとまず作業は終わったわ。早くたまった楽譜を読み漁って演奏したいね。」


――― 本部内・廊下 ―――



イージス「ああ、俺たちの身の回りにも番号使はたくさんいるぞ。例えばなぁ――――」

ゼグエット「……(ユータン様…)(帽子を目深にかぶり直す)…他の番号を持つ方たちは、今は…」

イージス「うすうす感じていたんだね。…あいつは天に選ばれた人間だ。過去の惨劇を乗り越えた賜物だ、きっとな。(遠い目をして)」

ゼグエット「―――――!?(ユータン様が…)……い、いえ…考えてみれば驚くほどでもありません。むしろ当然かと思われます。任務の際、あの方の並外れた実力をこの眼で見たのですから。ずっと…」

イージス「言ってくれるじゃないの~!本当に君は良い子だよ。…でもね、うん…そりゃあ確かに、昔はそこそこ強かったと思うよ俺も。でも超越神架の覚醒には至らなかったし、覚醒したところで使いこなすことはできなかっただろうな…。あれはな、"天に選ばれた人間"だけが使えるものだよ。んぐ…(残ったビールを飲み干す)ぷふぁ~…―――― 君の上司も現役の番号使だよ。」

ゼグエット「いえ、全盛期のイージス様の実力が如何ほどのものかは分かりませんが…現時点でも相当な実力を持っている貴方様なら、その番号使に選ばれるのも納得かと。」

イージス「…… ふははっ、昔の話だよぉ~!なっははは!(大笑いしながら)…そうだよ、俺も昔は番号使の一人だった。昔は番号使の選出もがばがばだったから、俺みたいなやつでも番号は貰えた。」

ゼグエット「(覚醒形態…超越神架…)―――――! イージス様… まさか――――」

イージス「ふひひ、質問攻めだね~。嫌いじゃあないよ。おじさんは寂しがり屋だから結構おしゃべりが好きでね。……『超越神架』(エル・エリヨン)は番号使だけが持つことを許された覚醒形態のことさ。詳しいことは分からないよ、"俺は使えなかったからね"。」

ゼグエット「超越神架…?Ⅹ回路はともかく、機関にはまだ特殊戦闘術があるのですか…?」

イージス「気になるかい?(にたりと不敵に笑む)君たちが訓練で身につけている基本戦闘術『Ⅹ回路』(クロイツ・シュトラーセ)の完全体得、そして『超越神架』(エル・エリヨン)の覚醒を果たすことが最低条件とされているんだ。この二つができて、ようやく"上"に認められて番号を与えられるんだよ。」

ゼグエット「そうでしたか… ですが、その部隊のメンバーの選出はどうなっているのですか…?」

イージス「君は恐らく、機関の階級は存在せず、ただ上司と部下の関係だけがあると思っていただろう。そう思うのなら仕方がない、いやむしろ…そう思わせるのが機関の狙いなんだよ。…その昔、番号使が公にさていた頃… 彼らを疎ましく思った連中が組織内でクーデターを起こしたことがあったからだよ。階級制度にすることでいろんな問題が起きて、それ故形式が変わって、今や番号使は知る人ぞ知る"架空の部隊"として暗躍するようになったのさ。番号使の存在は機関にとって必要不可欠…決して解散させることができないから、今もひっそりと存続しているんだ。」

ゼグエット「そのような精鋭の部隊が存在していたなんて…(初めて耳にする情報に驚愕し) しかし、何故その存在が我々仲間にも知らされていないんですか?」

イージス「勘が鋭いねぇ~。ああ、そうだよ。『番号使』は一つの部隊さ。―――機関の中でも秀でた才能を持つ十人に与えられる称号『番号』(アンメルデン)… そしてその番号を持つ者を『番号使』(アンメルダー)と呼ぶ。番号使は機関が誇る最高戦力でねぇ、一人一人が一国を崩せるくらい強い力を持ってて、その存在こそ機関が機関たる由縁にあるんだよ。」

ゼグエット「初めて耳にしました。それは一体… 我々機関の中にそのような部隊がいるのですか…?」

イージス「あれ…?あれれ?まさか知らないのかい?……ん?ああ、そうか…形式が昔と変わったのか…(何か独り言を呟くように一人で納得し)」

ゼグエット「はっ。(軽く頭を下げる)……?『番号使』…?(そのワードに疑問を持ち)」

イージス「ん…?(ゼグエットの方へ振り返る)はっ、そんな辛気臭い顔すんなって。…さあ、これから機関の仕事も忙しくなるみたいだし、本腰入れて取り組んで行かないとな。――― いよいよ『番号使』(アンメルダー)も動いていることだし。」

ゼグエット「……(ユータンとイージス、二人の関係とその過去といった様々な謎が錯綜し、少しだけ戸惑いの色を見せる)」

イージス「…おっと、これはいかんな。(手を叩いて重苦しい雰囲気に終止符を打ち)ははっ…まあ、"そういうこと"だ。」

ゼグエット「……(その際ピクリと微動し、僅かに頭を上げる)」

イージス「…ああ、そうだよ。……帰る場所を失ったあいつを引き取った時から、長い付き合いだ…」

ゼグエット「……ユータン様が貴方様の元部下だったことは存じ上げております。とても長いお付き合いだったそうで…」

イージス「いいじゃないのぉ~、おじさんが君くらいの時はお酒も煙草も平然とやってたんだけどねぇ。(ぐびっと飲む)ぷはぁ~……―――――― あいつも大きくなったな…(何かを懐かしむように天井の一角を見上げる)」

ゼグエット「未成年です、遠慮します。(淡々とした口調で)」

イージス「君は彼女に似て真面目腐っているが、同じ男として話が通じるからおじさん拠り所だよ。ビール飲む?(もう一本の缶ビールを突きつけ)」

ゼグエット「私にとってユータン様は尊敬する上司です。貴方様の様に妙な危害を加えることはないのでご心配なさらず。……ですが、肝に銘じておきます。」

イージス「あぁー…まだ経験がないかぁー… しかたないね、なら覚悟しておくといい。ましてや彼女の部下なら尚更ね。(冗談ぽく笑いながら缶ビールを飲む)」

×××2→ゼグエット「……私にはわかりません。(腕を束ねたまま静かに返答する)」

イージス「いちち…(叩かれた手をぷらぷらと振りながら) 若いもんには頭が上がらないな… 時代の変遷ってのは本当に怖い。…いや、実質怖いのは女の方か…?これはいつの時代も同じなのかなぁ~… そう思うかい、「ゼグエット」?(ふふんと不敵な笑みを浮かべながら背後の×××2に)」

ユータン「……私は私の正義に準ずる、それだけよ。(イージスの言葉に伏し目がちになる) パシッ (視界にないイージスの手を叩き落とす) あんたが虫よ、このエロジジイ。いつか『蟲』のように抹殺してやるんだから…!(ふんっと頬を膨らませて部屋を出ていく)」

×××→イージス「……(ぼさぼさのだらしない髪をした男性の顔が陰る) …いやぁ~、やっぱ若いもんには敵わないな。(ははっと陽気な笑顔を見せ) 確かにお前の言うとおりだよ、ユータン。おじさんはもう使い物にならないくらい駄目な大人になってしまったさ… けどな、若い世代を見守ることはできる。「お前たち」がやりたいことをやり通せばいい、俺はお前たちを信じているよ。でもな…ユータン。お前は…お前だけは、ちょっと頑張りすぎだ。おじさんは心配なんだよ、お前のことが。…あとそれと、悪い虫がお前に取りつかないかと心配で…(そ~っとユータンの背後…下半身に片手を伸ばす)」

ユータン「………あんたが私の元教官でなければ今頃ぶっ飛ばしてたわ。 …いい?私はこれ以上犠牲者を出したくないわけ。世界の裏で暗躍する諸悪の根源を完全に断ちたいの、人々の安寧と平和のためにね。だらけ切った正義じゃ世界の速度には追いつけないの。だからあんたは時代の変遷の中で老いぼれたのよ、「イージス」。私に口答えしないでよね。」

×××「相変わらず真面目だね。おじさんならのんびり事件解決に臨みたいところだがね。目に見えないものをやみくもに追い続けるなんてそんな五里霧中なこと… 徒労だってしたくないしね。(へへっと弱弱しく笑いながら)」

ユータン「首肯しかねるわね… たった少数の勢力でここまでの被害を及ぼすなんて、きっと何かある。それに私たちが取り組んでいる『蟲』の駆除… あれにも関与しているとなれば、いよいよ見過ごすわけにはいかないじゃない。(タブレットを脇に挟む)」

×××「そのようだ。だが、テロリストの目的は今もわからんままよ。五大国も無色の連中も、果ては民間人にまで手を出す始末だ。快楽殺人と纏めてしまえばわけないさ。」

ユータン「…啓示外のことが起こったのも稀ね。それで、その出来事っていうのが… 『蟲』との関連性が強いピエロのことね。(タブレットの画面には新聞記事がそのまま表示されいた)…テロリスト『ダウト』…その首魁と思われる謎の人物が例のピエロ。誰かれ問わず殺戮行為を繰り返し、すでに各国で多くの犠牲者も出ているみたい。(画面を指でなぞりながら記事に目を通す)」

×××2「……(部屋の扉付近の壁に背凭れ、腕を束ねたまま二人の話を聞いている)」

×××「あー…外れたというか、えっとな… 『啓示』になかった出来事が起きたんだよ。ノウェムの提出レポートにそう記されてあったようだ。(机の上の缶ビールを拾い上げ、ぐびっと飲む)」

ユータン「(タブレットを片手に何かを操作しながら室内をうろついており、傍の席に腰かけた男性の方へ振り返る)――――『啓示』が外れた…?」


質感のある漆黒色の一室は、黒一色でありながら何処か荘厳な佇まいをしている…――――その部屋の中に、3人の男女が…


――― 本部内・何処かの一室 ―――



ティモネ「――――ふぇあ?!Σ (//゚□゚ //) (どきりと仰天し我に返る)あっあ… ぼ、ボクもお供します!(慌てて食べかけの宇治金時パフェを手にしたままノウェムの後をいそいそと追う)」

ノウェム「あ、もうこんな時間か。(柱の時計に目をやり) ごめんモネ、そろそろ(レポート)提出しに行かなきゃならないからもう行くね。(ナフキンで口元を拭いて席を立ち、カフェテリアを出る)」

ティモネ「……(*^v^*).。oO(ああああノウェムさんすっごく幸せそうに食べてるかわいいよおおおぉ喜んでくれてよかったし何より「ありがとう」だなんてもったいないお言葉をいただいてすごく嬉しいいいいい言ってくれてこちらこそ本当にありがとうございますその笑顔でボクも既にお腹いっぱいですすすすす好き好きますます好きになっちゃうこの笑顔はぁ素敵ボクもとろけちゃうワッフルが羨ましいくらいですあの柔らかい頬の中でころころされて甘噛みされてみたいなああんあんあんっあそうだノウェムさんの頬にシロップついてないかなかなついてないかぁ指ですくって「メープル、ついてますよ?」ってノウェムさんのシロップ舐めてあげたいぃやぃやらめらめそれは流石に破廉恥過ぎて嫌われてしまうかもでも死ぬ前には一度やってみたいシチュあはぁ~んもう駄目寧ろボクがそうされたいいっそノウェムさんに食べられてしまいたいぃいあいあいあ) 」

×××→ティモネ「……! い、いえっ… ノウェムさんが任務から帰還すると聞いて、お腹を空かしているかもしれないと思って… い、いつでも言ってくださいね!御馳走しますから。ふふっ…(*^v^*)」

ノウェム「この…この… もちもちふわふわの食感がたまらないの…!ふわっ…ああぁ…!(*´ワ` *) (昨夜の面影がないくらいとろけきっている) ……あ… …そうだ、ありがとう「モネ」。御馳走になったよ。(幸せいっぱいの表情で頬を摩る)」

×××「(ノウェムの向かいの席に座って、宇治金時のパフェを食べながら彼女を見つめている) ノウェムさん、本当に美味しそうに食べますね。見ているボクも幸せになっちゃいます。(ふふふっと嬉しそうに笑う)」

ノウェム「もっもっ…(*´ω`*)♡ (琥珀色に輝くメープルのかかったワッフルを幸せそうに頬張っている) んく… …はぁ…しあわせ… (∩*´ω` *∩) (恍惚)」


――― 本部内・カフェテリア ―――


――― 暁鐘Ⅹ字師団本部「ジエス」 ―――





あの漆黒のような暗さを帯びた夜空には星星が姿を現し輝いていた。しかし、それは実際星でなく――――戦いの中でノウェムが生み出したあの光柱の欠片だったことを、生み出した本人は既に忘れていた…


ノウェム「(穴に入る直前、ふと歩みを止めて静かに踵を返し、夜空を仰ぐ)………空、こんなに綺麗だったかな。…ス――――(不思議そうに夜空を眺めた後、裂けた空間の中へ入り込み、消え去った)」


ズズズズズ…… ! ! (ノウェムの目の前の空間が裂き、異空間へと繋がる大きな穴が開く)


ノウェム「……(クギュ~) …っ~~……/// (恥ずかしそうにお腹を押さえる)そういえば…本部から出て何も食べてなかった… ぅ~……帰ったらレポートの前にメープルワッフル食べよう…(´Δ`*) (空腹に苛まれながら前方に掌をかざす)」

×××→ノウェム「了解。 キュオン (ウインドウを閉じる) …"これまで"とは何かが変わってきている。新たな対策を講じないと手遅れになる可能性もある… これ以上「犠牲者」を出すわけには……―――――――(瞳を閉じ、深く息を吐く)」


――― 御苦労。本部へ帰還後、直ちにレポートを提出せよ。(画面の奥で無機質な男性の声が聞こえる)


×××「クルルン―――― スチャ…(刀を鮮やかに振り回し納刀する) ふぅ… ………ス―――― キュオン (目の前に軽く手をかざすと映像ウインドウが展開される) …こちら「ノウェム」。『啓示』の阻止に成功。『ゲート』は破壊した。大群の『蟲』とも交戦したけど、ぜんぶクォーターだったから大したことはなかった。それと……今回の事態の元凶と思われる存在と接触した。」


醜悪な瘴気を纏った渦は断末魔を上げながら、夜空の中へ溶け込むように消滅していった…


×××「……(渦の元まで歩み寄り、手にした刀を再び横に構える)―――― ズ サ ァ ッ ! (そして光を纏った一戦で渦を斬り裂いた)」


ォ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ …  ! ! (あの醜悪な渦からは尚も断末魔のような叫びが響いている)


×××「……(敵が消え去ったのを確認すると暴発された気が鎮まり消滅する) ……あの道化… きっと大きな関わりがある。『ファティマ』の予言を越えて現れた…あれはきっと、『私たち』にとって最大の脅威となりそうね…(先程戦った道化を思い出しながら、伏し目にあの渦の方角を見据える)」

幻影の道化師「―――――――― ボ フ ン … ッ … ! ! ! (打ち上げられた斬撃の柱から逃げるように宙へ飛び出る。全身の衣服は所々が焼け焦げ光の粒子が僅かに纏わりついており、あの歪な仮面にも大きな亀裂が生じていた)…… ……――――― ギ  ュ  ァ  ァ  ァ  ァ  ァ (少女の姿を俯瞰した後、空間ごと体が歪曲し一点に吸い込まれるように消滅した)」


┣¨           オ         オ          ッ          !  (幻影の道化師を中心に四角形の閃内が激しい光を帯び、そして―――――あの漆黒の夜空を瞬く間に消し飛ばすほどの光柱となって巨大な斬撃が打ち上げられた)


×××(士騎)「―――――― “閃律” 『四重奏』(カルテット)――――――」


―――――   ド   ン   ッ   !   ――――― (道化師は気づいてしまったのだ。自分が地上絵のように大地に描かれた四角形の閃内に踏みこんでしまったことに…)


幻影の道化師「――――――――!!(接近する最中、少女の顔に反応し、そして驚愕した)」

×××(士騎)「―――――― 踏み込んだね。(道化師の様子を見て突如口元が緩む)」

幻影の道化師「……――――――― ド オ ゥ ッ ! ! (殺気立てた形相で少女に猛接近する)」

×××(士騎)「(……!)シュンッ ―――――(道化師の身体から出たものが血液ではなくその黒い瘴気だということに気づき一瞬眉をひそめるが、すぐに距離を置いた)ズザザァ…――――― “拍節増幅”(メトロノーム)… 貴方はもう私に追いつけない。(すました顔で道化師を見つめる)」

幻影の道化師「 !!!? (ズシャアアァッ ! ! ! )(右肩を強く斬り裂かれ、傷口から黒い瘴気が湧き出る)」

×××(士騎)「―――――ここよ。(ザァンッ ! ! ! )(道化師の背後に瞬間的に現れ腕を斬り落とす勢いで刀を振り下ろした)」

幻影の道化師「ヒュオ ―――――― ! (刹那の中、自身と等速に移動する少女を追っていたはずが姿を見失う)」


ガキィンカキィンカキィンッ ! ! ! ! カンギャァンッ ! ! ! ! ギャリガキィィンッ ! ! ! ! (より鋭さと激しさを増した剣戟が激突し合う)


幻影の道化師「ズガッシャアアアァァァーーーンッ ! ! ! !  ……ヒュンッ ! (勢い余って地面を抉り、待った土煙の中でこちらも少女を追うように瞬間移動する)」

×××(士騎)「 “刹那”(シュネル)。 (シュンッ―――)(道化師が目前に迫ると同時に瞬間的に消える)」

幻影の道化師「…… ズ ン ッ ! ! (少女に向かって斜めに高速落下し大鎌を振う)」

×××(士騎)「……(こちらを見下ろす道化師を逆に見上げ、刀の切っ先を突きつける)」

幻影の道化師「――――!!(少女の繰り出した驚くべき謎の剣術に驚愕し、空間ごと体を歪ませ斬撃を間一髪避けてみせた) ギュァァァァ…ッ… ! ! (上空の歪みから姿を現し少女を俯瞰する)」

×××(士騎)「 ――― ザ ン ッ ! ! ――― (道化師が来る前に、目前に横一閃を刻んだ。だがその一閃は "肉眼でも確認できるように空中に留まっていた") ――― ザ ン ッ ! ! ――― (その"留まった横一閃"に縦に一閃を入れ込み十字の閃ができ上がる。そして…)  はっ!! (ドゥッ ! ! !) (その十字の閃を斬り飛ばすことで初めて十字の斬撃となり、道化師に放った。剣豪なら十字型の斬撃を放つことなどいとも容易いだろう。しかし少女の繰り出したそれは異なり、一度つくった斬撃に更なる衝撃を加えることで剛速を帯びた鋭く早い斬撃となったのだ)」

幻影の道化師「……! ギャルンギャルンギャルン―――――― ド オ ゥ ッ ! ! ! (力を解放した少女、そして彼女に刻まれたその番号を目にしたことで何かを確信したのか、一度大鎌を高速回転させ、凄まじい速度で襲いかかった)」

×××(士騎)「ォォォォォォ… ! ! ! (全身が白く神々しい気に包み込まれる中、静かに目を開ける)――――― 奏でろ『歌刀』(ウタカタ)、四重の賛美を ――――― (闇夜を照らす神々しい光が、隠れて見えなかった右の横腹に刻まれている「Ⅳ」の番号を照らした)」

幻影の道化師「……!!!(あまりの衝撃に思わず"後退り"してしまい、大鎌を構え直す)」


―――― ド  オ  オ  ォ  ゥ  ッ  !  !  !  !  !  (少女の口上と共に、彼女の全身から白い気が爆発的に放出される)


×××「(空ぶった直後鮮やかに刀を振って構え直す)……(全身から僅かに白い「気」が湧き出ていることに気づく)……『マナ』が溜まったのね。(左手を何度も握り直す動作を見下ろし瞳を閉ざす) 貴方のこと、少しは解ってきた気がする。でも…これでさようなら――――――――“士騎”(シュナイト)。」

幻影の道化師「ヒュンッ―――――― ド ン ッ (瞬間的に退行し少女と距離を置く)」

×××「ブ ン ッ (攻撃をしゃがんで回避し刀を背後へ振って反撃する)」

幻影の道化師「(ヒュンヒュンヒュンヒュン――――) ズ ア ッ ! ! (回転しながら背後へ旋回し真一文字に斬り抜いた)」

×××「(シュンッ―――)ギガァンッ!! (シュンッ―――)ズギャァッ!!ギィンッ!!! (シュンッ――――)カキカギカァンッ!!!! (化け物と戦った時とは多少異なり、ずっと手首だけで振っていたがこの瞬間で腕も大きく動き出していた)」

幻影の道化師「(ヒュオンッ―――)ガキャンッ!! (ヒュンッ―――)ガァンッ!!キャンッ!!! (ヒュンッ―――)ギンガギィィンッ!!!! (小回りのきくナイフの様に大鎌を軽々と素早く振り回し連撃を繰り出していく)」


ガギャァンッ ! ! ! ――――― キィンガキィンッ ! ! ! ―――― カキャァンッ ! ! ! ――――――ギャリンッ ! ! ! ――― キィンカンッ ! ! ――――――― ガァンッ ! ! ! ―― ギャガァンッ ! ! ! ―――――――― ガキャァンッッ ! ! ! ! (次元を超越した刹那の中で激しい剣戟が行われる)


×××「ガ キ ィ ン ッ … ! ! シ ュ ン ッ ! ! (道化師を追うように同じ速度で移動する)」

幻影の道化師「ギギッ…ギチギチィ…ッ…――――(歪な道化の仮面は、目と鼻の先の少女を嘲笑しているかのようだった)――― ガ キ ィ ン ッ … ! ! ヒュンッ ! ! (拮抗状態を強制的に解除し再び瞬間移動を行った)」

×××「ギチッ…ギリィギギ…ッ…(鍔迫り合いで互いの武器がいがみ合うようにぶつかり合い、それによって生じた火花で顔元が照る)」


―――――― ガ キ゛ ャ゛ ァ゛ ン ッ ! ! ! ―――――― (刹那の内に消えた二人の繰り出した攻撃は互いに衝突し、漆黒の夜空に火花が散った)


×××「――――――― シ ュ ン ッ ! 」

幻影の道化師「――――――― ヒ ュ ン ッ !  」


ヒ ュ ォ ォ ォ ォ ォ … ――――――――


×××「…… …… ……」

幻影の道化師「…… …… …… 」


ヒ ュ ォ ォ ォ … ! (歪な夜風が二人を静寂の中へ包み込む)


×××「―――― ス タ …(道化師から離れた個所に出現する)………(今の速度… 私の“刹那”(シュネル)と等速…?…なら、まだ何か隠し持っているはず…)(鋭さを増した眼で道化師を睨み、刀で空を斬り構え直す)」

幻影の道化師「……!(ブンッ ! )(大鎌を振った時には獲物の姿はなく、振った後に気づき驚きを示すかのように顔が微動する)」

×××「……!(道化師が瞬間的に消えたことで初めて表情が僅かに一変するが、敵が背後に現れた瞬間平常に戻る) シュンッ―――――(道化師と同じ速度でその場から消える)」

幻影の道化師「 ヒュンッ―――――(少女が動き出した直後一瞬にして姿が消える)―――――― ヒュンッ (ズ ァ ッ ) (大鎌を振りかぶったまま少女の背後に現れ、今にも振り下ろそうとする)」

×××「…… " 陳腐な音楽 " ね。その攻撃も外観も… 所詮は見かけ倒し…―――(迫る道化師に対し小さく呟いた後、ようやく刀を持った右手が微動し、対抗するべくこちらも攻撃を仕掛けようとする)」

幻影の道化師「――――――― ド ォ ゥ ッ ! ! (土煙を割って現れるや否や大鎌を振りかぶって襲いかかる)」

×××「(衝撃からなる強風と吹き飛ぶ草葉の中で髪が靡く)……(土煙に視線を向けたまま微動だにしない)」


ズシャアアアアアアアアァァァァァーーーーーーーンッ ! ! ! ! ! ! (道化師の繰り出した一撃が大地を穿った)


×××「… タ ン ッ ! (頭上からの襲撃を回避するため跳躍で後退する)」

幻影の道化師「ブォン…ッ… ダ ッ ――――――(連撃の最中、残像が見えない程の勢いのつけた跳躍で宙に移動する)――――― ズ ォ ォ ォ … ッ … ! ! (空中で折り返し大鎌を振りかぶったまま少女の頭上に垂直落下する)」

×××「スンッ サッ スッ ブンッ ! (間髪入れず襲い来る猛撃にもかかわらず、あくまで冷静さを保ったまま回避をし続けている。身体を左右に小刻みに揺らしながら避ける様は、あたかも相手の行動パターンを先読みしているかのようだった)」

幻影の道化師「 ブンッ ズァッ…!! ザンッ、ザンッ、ザンッ ! ! ! ズンッ―――ザギャァッ ! ! ! (回避されても尚一切の隙を見せることのない速度で大鎌を何度も振い続ける)」

×××「 ス ン ッ (冷静に攻撃を回避するが、こちらから反撃に回る様子は見られない)」

幻影の道化師「ブンッ…!! ズァ―――ザァンッ!!!(空ぶった隙を解消するために自ら回転し、振り返ると同時に大鎌を振りかぶり再び襲う)」

×××「(こんな相手…『ファティマ』の『啓示』にはなかった… 慎重に対処するべきね。) ス ン ッ (退行しながら体を横へ反って斬撃を回避する。視線は道化師から外していない)」

幻影の道化師「グルングルングルン…ジャキャァッ!! ドゥッ!!!(豪快に大鎌を振り回した後少女を斬り裂かんと更に距離を詰める) ブ ォ ン ッ ! ! (両手に握った大鎌を斜めに振り下ろす)」

×××「 タ ン ッ ―――――(後退跳躍で凶刃から逃れ、空中で回転し道化師から離れたところに華麗に着地する) 私の声が聞こえているのかどうかは分からないけれど… 邪魔をしないで。(目を細め、道化師を敵対視する)」

幻影の道化師「ズギャァ―――――― ゴ ォ ッ ! (少女の無機質な声に反応したのか、突発的に駆け抜け大鎌を振った)」

×××「(あれは…『』なのかしら。いえ、それにしては――――)……貴方は誰?(目にしたことのない狂気の権化を前にしても、平然を保ったまま対峙する)」


BGM♪



幻影の道化師「 ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ (振った凶刃――――大鎌を肩に掛け直し、彼女の前に立ちはだかるように現れる。仮面の穴から覗く血のように真っ赤に染まった眼光が歪な輝きを帯びている)」

×××「―――――! ( シ ュ ン ッ )(高速移動で後退し凶刃から逃れる) ………(ゆっくりと顔を上げ前方を見る)」


――――――― ス ギ ャ ア ア ア ァ ッ ! ! ! (少女が渦に手をかけようとしたその瞬間、双方の間に割り込むように凶刃が少女に襲いかかった)


×××「 ……相変わらず、この"音"は好きになれない。(スチャ…)(そびえ立つ渦を前に刀を横に構える) ……(…この『ゲート』を閉ざせば…――――――)(渦に向かって刀を振り上げようとする)」


ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  ォ  …  ッ  …  !   (少女の目の前にあったのは、この世に存在するものとは思えないほどの醜悪な瘴気を纏った渦だった。地獄の門を思わせるその渦の奥から、化け物か悪魔の、唸り声と断末魔の混じったような叫びが響いていた)


×××「 ………スタ…スタ…(空へ昇る黒い霧には歯牙にもかけず、ある方向へと歩み出す) スタ…スタ……――――― ザ … (草原の真ん中で歩みを止める) 」


ズアアァァァァ……―――――――――(少女の後方一帯で機能が停止した化け物たちはみな黒い霧となって空へと霧散した)


黒い化け物「ズシャアアァッ !    ドシャァ…ッ…!! (二分した死体が暗い地面の闇に溶け込むように落ちる)」

×××「♪  ♪     ♪ ♪  ――――――――― フィーネ。(ズシャアアァッ ! )(最後の一体を弧を描くように斬り裂き、そこでようやく開眼する)」

黒い化け物「ゴギュアアアァッ!!!!(最後に残った一体が少女の頭上から急襲する)」

×××「 ♪    ♪ ♪  ♪      ♪   ♪(明らかに刀を振う行動からなる揺れではなく、別の何かを意識して体が左右上下に揺れながら刀を振っている。その舞い踊るような鮮やかな刀捌きで化け物の群れを切り崩していく。そして…)」

黒い化け物『ゴギャアアァッ…!!! アギュアァッ!!! ギャァンッ!!! ジギュリュギィィイッ!!!! (まるで化け物が、自ら刀に飛び込んでいくかのように次から次へと斬撃の餌食となっていく)』

×××「 ザグンッ ズシャァッ ザンッ ズシャァッ ザギャァッ ! ! ! ! (迫り来る化け物たちをすました表情で駆け抜けながら斬り伏せていく。手首だけによる回転斬り、低空跳躍からの斬り払い、一度放った斬撃の軌道を撓る鞭のように変則的に曲げて次の斬撃に即時転換するなど、時に柔らかく、時に強かに刀を振うその様は――――宛らタクト(指揮棒)を振う「指揮者」のようだった)」

黒い化け物『ドグシャァッ!!!    ギギュアアアァッ!!!! ゴギュアァッ!! (一体が崩れたことで後の化け物たちが興奮したかのように猛威を振う)』

×××「 ………ス…――――――(化け物の大群を前にして静かに瞳を閉ざす)――――― ズ ァ ! (右手で刀を完全に抜刀した後、慣れたような手つきで逆さ持ちの刀を軽く投げ上げ、柄が真下になったところで掴み取り空を切る)  ―――― ダ・カーポ ――――― (そう小さく呟くと手首だけを動かし、目を閉じたまま戦闘の化け物を斬り落とした)」

黒い化け物『グギュルルゥァァ…!! アァアアァ…ッ…!! ゴギュアァッ…!!! ――――――― ダ ダ ダ ダ ダ ダ ッ ! ! ! (得物に狙いを定めたように化け物たちは、一斉に少女に向かって襲いかかった)』

×××「 タタタタ…(バサバサ…)(身に纏った白い軽装と、琥珀色の長い髪が靡く。漆黒の中で輝く碧眼は黒い物体―――化け物を一体一体しっかりと捉えていた)」


ズギュググギュググ……ッ…(発芽のように天へと伸びていく黒い物体は、やがてそれぞれがひとつの形を成して完全に現れる。獣か鳥のような、判別のし難い姿を帯びた黒い物体はうねりを上げ、向かってくる少女に少しずつ近づき始めた)


×××「 タタタタ…―――――― ス チ ャ (歪な風を切るように掛け行く中、前方に映るその黒い物体を視界に捉え、腰元の右側に携えた鞘から刀を僅かに抜刀する。鋭さを帯びた黒い刀身がキラリと光り、一瞬だけ闇夜を照らした)」


ズググググ……(地面から寄り黒身を帯びた謎の物体が随所に現れる)


そんな空よりも黒く禍々しい『何か』が、広大な草原をかける少女の前に姿を現す


×××「 タタタタ… (真っ暗で何も見えない草原を颯爽と駆け抜けている)」


藍よりも深く染まった空、星一つない真っ暗な空、月光すら差さない漆黒の空…

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最終更新:2016年02月14日 10:41