モララー「――――……“ T U R B O ”。( ド ゥ ン ッ ―――――― プ シ ュ ア ア ア ァ ァ … ッ … ! ! )(身体から蒸気が噴出し、全身に僅かな熱を帯びる)」
ワイズ「なるほどそれが…貴様の能力(ちから)か。(ようやくか… その力を…"英雄の力をこの手にする為"に、まずは存分に見せてもらおうじゃないか。)(様子が一変したモララーを見据えながら不気味に笑んで)」
モララー(TURBO)「プシュゥゥゥ……これを使うのも随分久しぶりだな…( グ ッ )(握り拳をつくり、距離の離れたワイズに"至近距離で殴りかかる"態勢に入る)」
ワイズ「……?…フ、フハハハ!!(モララーの攻撃態勢に眉を潜め、突然嘲るように嗤い上げる)何だその態勢?かかってこないのか!?身体に蒸気を纏って強くなったのかと思えば…ふざけた構えだな、英雄!」
モララー(TURBO)「……最初に言っておくぜ…―――――『 構 え ろ 』。(呟くような小さいが、それでいて鋭い声で) 」
ワイズ「あん…?(顔をしかめ)……(何を言っていやがるあの猫野郎…この距離で攻撃を仕掛けるとすれば、回避など造作もない。否、この黄金の鎧は俺が持てる最高の防御術を遥かに凌ぐ強度を誇る。たとえ奴がどんな攻撃を繰り出そうと、俺には無意味だ。)――――― 来い、返り討ちにしてやろう。(ニュルンッ… ! )(背後から現れた黄金の触手が大剣に変形し、それを手にとって身構える)」
モララー(TURBO)「…TURBO――――( シ ュ ン ッ )―――― “ブレッド”ォッ !!!( ド グ ゥ ア ァ ッ ! ! ! )(瞬く間にワイズの懐に潜り込み、強烈な殴打を高速で叩き込んだ)」
ワイズ「――――――ヅッ゛ッ゛!!??(メキメキメキィ…ッ… ! ! )ドッゴオオオオオォォォォーーーーーンッ ! ! ! ! (モララーの拳が黄金の鎧に深くめり込むと、鈍重な鎧を着こんでいるにもかかわらず、紙の様に大きく吹き飛び結晶の壁に激突した。その際、手にしていた大剣を手放してしまう)ガラララ…ッ… ドンッ…! !(瓦礫の結晶を払いのけ、土煙から現れる)……ッ…?!(な…何が起こったというのだ…今、一体何が…―――)――――!!?(そして激痛が迸る腹部を見やると、その堅さゆえに壊れないと思い込んでいた鎧に大きな亀裂が生じているのを認識し、酷く仰天する)」
モララー(TURBO)「グッ グッ (何度も拳を握る仕草を取る)…いけるな。(自分の拳を見た後、遠く吹き飛んだワイズを見据える)」
ワイズ「ぐ…ッ…!ば、バカなァ…ッ!この鎧に罅を入れるだと…!?い、いや…それだけじゃない…!あの距離から一体どうやって攻撃を仕掛け―――――!!(まさか…こいつ…―――)」
モララー(TURBO)「ああ、そうだよ。俺の能力“TURBO”は、俺の持ち前のスピードを極限状態に高める形態変化だ。そして速さに比例して力も倍増する。それだけだ。(再び身構える)」
ワイズ「な…なるほど…流石英雄と呼ばれる様になっただけのことはある…その力をもってして、驚異の存在となったか…!ク…ククク…ッ…!ククククク…ッ…!!(こみ上げる笑みにこらえながら)」
モララー(TURBO)「何が面白くて笑ってやがる。その鎧ひっぺ剥がすまで、俺は止まらねえからな。シュンッ―――――(瞬間移動をしワイズの視界から消え失せる)」
ワイズ「(実に素晴らしい力だ…これは"奪う"に値する…!)―――――ッ!?(モララーが消えたことで動揺し)」
モララー(TURBO)「――――“TURBOバズーカ”ッ!!!(ズガアアアァァァンッ ! ! ! )(ワイズの背後に出現し、両手を後ろに伸ばした後、勢いを利用した掌底を高速で打ち込んだ)」
ワイズ「ゴッ――――フガァ…ッ!!!(背後に受けた大きな衝撃により大の字に吹き飛ばされる)」
モララー(TURBO)「“TURBOハンマー”!!!(ドゴォッ ! ! ! )(吹き飛ぶワイズの頭上に現れ、光速のハンマーナックルを炸裂させる)」
ワイズ「ぐふぁあぁッ!!!!(ズガッシャアアアアアァァァァァンッ ! ! ! !)(地面にめり込む勢いで叩きつけられる)」
モララー(TURBO)「スタ…(攻撃後、土煙を背後に着地する)……(妙だな…まるで動きがない… 野郎、何か企んでるな…)」
ワイズ「ぐゥ…凄まじい、力(パワー)だ…(起き上がる)これ以上のダメージは流石の俺でも危険だ…故に…――――――その力、俺も使わせてもらうことにしよう。(これまでにない邪悪な笑みを浮かべ)」
モララー(TURBO)「何わっかんねえことを――――言ってやがる!(高速殴打を叩き込もうとするが)」
ワイズ「 バ ン ッ ! ! ! (モララーの拳は確かにワイズに直撃した。しかし、その拳はワイズの"手中"にあったのだ)…もうその攻撃は効かん。フンッ!!(受け止めた拳を掴み、モララーを投げ飛ばす)」
モララー(TURBO)「何ッ――――!?(驚く間もなく宙へ投げ飛ばされる)」
ワイズ「―――― “ T U R B O ” ―――――」
モララー(TURBO)「ヅッ―――――!!?」
ドッ ゴッ バキッ ダゴォンッ ドゴッ ドッ ドゴォッ ! ! ! !(空中で丸腰のモララーに、目にも止まらぬ速さで大きな影が襲撃を仕掛けた)
モララー(TURBO)「ぐッ…あ…ッ…!!(この速さ…まさかこいつッ…!!)(攻撃を受け続ける最中、あることに気づき驚愕を覚える)」」
ワイズ「驚いているか?そうだ―――シュンッ―――貴様の自慢の能力――――ヒュンッ―――――この俺も使わせてもらうぞ――――ヒュッ―――――ハァハハハハッ!!!(圧倒的な速さでモララーに速撃をたたみかける)」
モララー(TURBO)「野郎…ッ…!(このままじゃ埒が明かねえ…!)“TURBOスベリア”ッ!!!(ズダダダダダッ ! ! ! !)(広範囲に及ぶ高速殴打の乱打を繰り出す)」
ワイズ「おっとと…!(次々と迫る攻撃を涼しい顔で避けながら退く)どうした?さっきまでの余裕がなくなったように見えるぞ、英雄…?(口角を上げながらゆっくりとモララーに迫る)」
モララー(TURBO)「タン…(着地後、肩で息をしながらワイズを睨む)テメェ、あれか…敵の能力を奪う力でも持っているのか…?」
ワイズ「ご名答。(満足そうな笑みを零し立ち止まる)
四皇帝"W"の紋章を持つこの俺の能力は『クリアランス』!貴様の言う通り、相手の能力を奪うことができる力だ。俺はこの力を使い、これまで多くの強豪たちと戦ってきた…!そうして奴らの力を蓄え続け、結果、俺は四皇帝の一角となり、最強になったのだ!(両腕を広げると、それが合図となったのか、上空からミサイルの雨が降り注いだ)」
モララー(TURBO)「けっ…やっぱりそうかよ―――――!?のわわわっ!!(汗)(ミサイルの雨を高速移動で掻い潜りながら避けていく)」
ワイズ「戦えば戦うほど強い奴と遭遇する!そうして強い奴らの力を奪い、俺は更に高みへと登り詰める!俺が四皇帝に下ったのも、より強大な力を持つ者と出くわす機会が多いと踏んだからだ!結果は俺の予想通りだった…!(モララーに血のように真っ赤に染まった赤弾を投げつける)―――――“堕球”(オチダマ)。」
モララー(TURBO)「なっ――――」
――――ボギュアアアアアアアァァァァァァーーーーーーンッ ! ! ! ! ! (ワイズの放った弾は大爆発を引き起こし、結晶の丘を瞬く間に消し飛ばしたのだった)
モララー(TURBO)「シュンッ―――――あっっっっぶね…(…ッ…これも、他の奴らから奪った力だってのかよ…)(運良く高台に逃れ、変わり果てた結晶の丘を眺め苦い表情を浮かべる)」
ワイズ「悔しくも俺はあのデュエルマスターとの戦いに敗れた…しかしだな、あの戦いに敗れたおかげで俺は地獄に堕ちることが出来た!地獄には、この世にはない強さを持つ者が五万といる!!当然俺はそいつらの力も得て…再びこの世に目覚めたというわけだ!理解したか猫野郎、貴様が相手にしている者の強大さを!絶大さを!絶対さを!!そして絶望するがいい…この俺に…ッ…!!」
モララー「…なる、ほど、な…(肩の力を落とすようにTURBO化を解き、高台から降りる)ああ、恐れ入ったよ。確かにお前はやべぇ奴だよ。(ワイズの目の前に歩み寄り)」
ワイズ「クハハハ…ようやく俺の力に怖気づいたか…潔く死にに来たか…!(愉悦を含んだ笑みを零す)」
モララー「勝手にそう思ってろ。それに、何もお前が強いとは言っていねーけどな…(目を瞑り)」
ワイズ「…なんだと…?」
モララー「他人の力を奪う…か…なるほど、テメェみてえなクソ野郎に相応しい力だな。実にお似合いだ。だが…相手が悪かったな、ワイズ。(にやりと口角を上げ)―――――やっぱりお前は俺には勝てねえよ。」
ワイズ「は…?は…ハハハ…ハァハハハハ…!フハハハハハッ!!!絶望を前に錯乱したか!滑稽だ…実に滑稽だぞ英雄!!腹を抱えて笑い転げるほどに面白おかしい姿だ!!…………何を根拠にそう決めつける。今の俺の力を見ただろう?もはや貴様が勝てる要素など一つもない。俺は貴様の能力を得ただけでなく、貴様等がこれまで対峙してきた奴ら、そして俺が対峙してきた奴らの力をも得ている!俺は無敵だ、もはや誰も俺を止めらまい…!終わりだ―――― 英 雄 。」
モララー「(ふぅとため息をつく)ああ、終わりだな…ただし、テメェの―――――な。(ワイズを鋭く睨みつけ) お前の決定的な敗因を3つ教えてやる。まず一つ、お前が他人の力を得てそれを自分のものにする能力者だということ。二つ、お前自身には"何もない"ということ。そして三つ…―――(オゥン――――― ド ゥ ン ッ ! ! !)(全身に異変が生じる)」
ワイズ「何だ…まだ何か力を隠し持っているのか…?(モララーの様子を窺いながら)」
モララー「――――人の個性は奪えると勘違いしていることだ。( ド オ ォ ゥ ン ッ ! ! ! )(激しい赤色のオーラが放出される)」
ワイズ「なッ…!!?(凄まじい気だ…まだ、こんな力を…ッ…!?)(強大な気を前に目を細めながら衝撃に耐え)」
モララー「………本当はテメェなんかじゃなくて、『アイツ』に見せつけてやりたかったんだけどな… しかたねぇ…見せてやるか…―――」
モララー「――――― " も う 一 つ の “ T U R B O ” を な ッ ! ! ! "―――――」
ワイズ「もう一つの“TURBO”…だと?(半ば興味を示したように不気味な笑みを零しながら)」
モララー「……『アイツ』(
ユーク)との決着がついた後、俺は更に自分の腕に磨きをかけた。その決着は俺にとって最後の戦いなんかじゃなくて、"ただの通過点"だってことを…アイツはあの戦いで俺に教えてくれたからな。俺にとってアイツは目標だった…アイツを倒せるだけの力さえあれば良いって、勝手な満足に浸っていたこともある…けど、それじゃあ…駄目なんだ…―――(その脳裏に、コールドビルの屋上で対峙した因縁の敵
ナナシアが過る)…俺には…(暴発された赤いオーラが押し戻され、鎮まり返る)」
モララー「俺の背後にゃ、守りてぇものがいっぱいある。その為にはあん時よりもっと、今よりもっと、強くならなくちゃいけねえ。 ス … (両腕を広げる)…広げた手よりも大きなものを守るってのは、一番大変さ。でもそれが俺に生きる意味を教えてくれたから、絶対に守らなきゃならねえ…いや、守りてぇんだ。(ふっと笑みを零し)…ようやくわかったのさ、"やりたいこととやるべきこと"を。だから俺は…戦い続けることを諦めない。(大胆不敵な笑みを浮かべる)」
ワイズ「フン…ならば、この俺が貴様を殺し、貴様が守ろうとしているもののすべてを壊してやろう!あのデュエルマスターにも味わわせたように、親族や師、果ては仲間をも、この手にかけて奪ってくれてやろう…!」
モララー「させねえよ…させやしねえぞ、クソ野郎。(戦友のかけがえのない存在を奪った目の前の敵に、並々ならぬ怒りの混じった鋭い眼光を飛ばす)目標を越える為の力…そして、大事なもんを守る為の力、見せてやるよ。奪えるもんなら、奪ってみろよ…――――」
モララー「――― “ O B R U T ”(オブリュート) ――― ( ド オ ォ ゥ ッ ! ! ! ! )(全身に凝縮された赤いオーラは蒸気のように勢いよく噴出され、辺りに衝撃が迸る。その姿はTURBOとよく似ているが…)」
ワイズ「ッ……!?(迸る衝撃に目を細め)…ほゥ…それが貴様の、もう一つの力か…(珍味を目の前に涎を垂らす獣のような形相で、愉快そうににモララーを見つめる)」
モララー(OBRUT)「俺は敵対する相手に長々と能書きを垂れる様なことはしねえ…そんなことをするくらいなら、とっととぶっ飛ばやればいいと思ってるからな。 だが、"あえて"そうさせてもらうぜ。…俺の新たな力“OBRUT”は、“TURBO”と対を成すもう一つの能力。だから、TURBOであって、TURBOじゃない…!グッ…ググググ…ッ…(足を上げて一歩進もうとする。しかしその動作には違和感があり、まるで重りか何かを幾つも装備しているかのように重苦しそうな動きだった)“OBRUT”は…発動すればこの全身に大きな重力が働く…つまり…速く、鋭く動けるTURBOとは真逆だ…!今の俺は、象よりも遅く重たい。だから誰でも俺の動きは手に取るように分かるし、簡単に対処できるだろうぜ…っ…!俺にとっちゃ、この上なく相性が悪く、最悪な能力だ…(苦々しい笑みを浮かべ)」
モララー(OBRUT)「…だがよ、ワイズ。それにもかかわらず、何故俺がこんな力を解放したと思う…?テメェはこんな俺を見て、手加減でもしているのかと怒っているかもしれねえ…!俺だって、こんな戦い方を考えた時は馬鹿馬鹿しくもなったさ。じゃあ、何故だ…?何故編み出したと思う?何故今使おうとした?……来いよ、直接教えてやる…この"拳"でな…!!(重力への抵抗で震えながら掲げる拳を見せつける)」
ワイズ「(TURBOとは対を成す力…か…確かに、奴の今の動作は酷く鈍い…一目瞭然だ。)フ、フハハハハ!!無様だな英雄!!ただ己に負荷をかけるだけの力…!貴様自慢のスピードを意識をした新たな力でも開放するのかと思えば…なんなんのだ…失望したぞ…!絶望の淵に追い込まれ、自棄にでもなったか!?もはや奪う価値もない力…ならば貴様の力で、そのもう一つの力とやらを叩き潰してやる!!(“TURBO”を発動し、圧倒的速度をもってモララーに襲いかかる)」
ガッ ドゴッ ズガッ ドンッ ドッ ドドッ ゴッ ! ! ! (縦横無尽に高速で駆け抜けるワイズの影がモララーを襲い続ける)
モララー(OBRUT)「ぐッ…(流石…俺の力だな…いざ自分で味わってみるとなかなかなもんだ…)(全く動けない状態で袋叩きに遭い、痛みに耐えるように歯を食いしばるが…)――――だがなぁッ!!(グ…グググッ… ! !)(強く握った拳を構え)」
ワイズ「ハハハハッ!!文字通り手も足も出ないか!!ただでさえこの速度に追いつけずにいる貴様が、更に遅くなってしまえば尚更のことか!…哀れだな…そんな哀れな貴様に、俺から慈悲を与えてやろう。貴様の力で貴様を殺してやる…ありがたく――――思うことだァッ!!!(モララーの前方から凄まじい速さで襲いかかる)」
モララー(OBRUT)「("来た"…ッ―――)(ワイズの位置を察知し、目の前から迫ってくるのを予想した上で思いっきり拳を振り抜いた)――――― ぬ゛ お゛ ら゛ ぁ゛ ッ゛ ! ! !( ド グ ゥ オ ォ ン ッ ! ! ! )(拳がワイズの腹部にめり込む。想像を遥かに絶する衝撃がワイズの全身全霊に迸った)――――…“OBRUTガルバナイズ”…ッ…!!!」
ワイズ「吹き飛べ―――――ヅッ!!!???( メ ゴ オ ォ ゥ ッ ! ! ! ! )(モララーのカウンターが腹部にクリーンヒットする。その瞬間、身体中を電撃が迸るような凄まじい激痛を一瞬に受けた)……ァ…ご……ッ……っはァ……?!(その一撃で吹き飛ぶことはなく、強烈な激痛故に何一つ言葉を出せないまま静かにうつ伏せに倒れ込む。やがて度を越えた痛みから全身が完全に麻痺してしまい、指先一つも動かせないまま地面に横になっている)…ッア……ハァ…ぁ…が……ッ…(……!?…!?……い、いま…今…なに…が…)(モララーの足元で、双眸を泳がせ、困惑しきった表情で地面を見ている)」
モララー(OBRUT)「シュゥゥ…(ワイズを殴った拳から赤い蒸気が僅かに上がる)何が起こったかわかんねえって面してんな。…ああ、確かに“OBRUT”は、発動しちまえば全身が思うように動けねえくらい遅くなっちまう。けどその代わり、全身に働く重力を自分の物にすることができるんだよ。纏った重力を一点に集中させて放つこの拳の一撃は、"TURBOさえも遥かに超える"ッ!!!」
ワイズ「……!!??(なん…ッ…!?)(明かされた事実に吃驚仰天する)」
モララー(OBRUT)「俺がこの力を今解放した理由、それはな…テメェのように、相手の個性を奪い取る野郎に対抗するするためだ。俺は何度も、そんな野郎と殺り合ってきたからな…(ナナシアの像が脳裏を横切る)だから俺の力の一つを奪ったからといって、有頂天になるんじゃあ、ねえぜ。人の個性ってのはな…でっかくすることも、伸ばすこともできるんだよ。個性を奪うことにしか頭にねえ野郎には分からねえだろうがな。」
ワイズ「ぬぐゥ…(身体の痛みが…和らいできたか…)(モララーの話を聞いている最中に回復能力を使い、全身に蓄積された痛みを中和していた)…なるほどな…貴様の力を、侮っていたのが俺の誤算だったというわけだ… ならばその力をも我が物にし、今度こそ…貴様に、完全なる絶望を…ッ!!( ガ バ ッ ! ! )(治療を終えた瞬間に転がり、立ち上がる)」
モララー(OBRUT)「(態勢を整え直したワイズを見てため息を吐く)…わっかんねえ野郎だな…――――無駄だっつってんだよ。俺の力を奪ったとしても、テメェは俺には勝てない。(澄ました表情で言い放つ)」
ワイズ「ほざけ猫野郎ッ!!貴様こそわからないか?四皇帝の一角を担うこの俺を倒すなど、貴様には無駄なことだと――――」
モララー(OBRUT)「わかってねえのはテメェだ、単細胞野郎。ここまで俺がお喋りしててまだ気付かねえのか?俺は既にその『一角』を越えたっつってんだよ。テメェなんかよりも更に実力を持つ、『あの男』をな!!(ワイズを指す)」
ワイズ「なに…ッ…!!?(…まさか…コイツ… い、いや…そんなはずはない…ッ…!…だが、コイツの言っていることがもし本当ならば…コイツが倒した『その男』は――――――)(脳裏に、かつて戦いを挑み、完全なる敗北を味わわされた『ある男』の影がフラッシュバックする)――――― そんな馬鹿なことがあるかあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛!!!!(けたたましい雄叫びと共に天高く跳び上がり、宙に浮遊する。そして人差し指を天高く突きあげると、指先に邪気が集束し、やがて巨大なエネルギー弾を生み出した)」
モララー(OBRUT)「……(上空のワイズを睨み上げる)」
ワイズ「ハッ、ハァハハハハッ!!なるほど読めたぞ。それ程の力量があれば確かに『奴』と張り合えるだけの強さがあるといえる。だがッ!!感違いをするなよ。『奴』を倒せたからといって、必然的にこの俺をも倒せるなどと思うなよッ!!今の俺は生前よりも更なる力を得ている…あの憎きデュエルマスターも、Yの称号を持つ『奴』さえも越えた力をッ!!俺は無敵だ、完璧だ、最強だ…!貴様などに、負けるはずがないだろうッ!!!(球形のエネルギー弾が更に大きくなっていく) 消えろ英雄ッ!!この俺の前から、消え失せろおおぉぉッ!!!!(地上に向けてそのエネルギーを解き放った)」
モララー(OBRUT)「……ッ!!( ド ウ ン ッ ! ! ! ! )(天より放たれた、その隕石の如き巨大なエネルギー弾に向けて思いっきり拳を振り抜いた)」
ワイズ「クハハハハハッ!!これも地獄の猛者から奪った最強の力だ!!この地もろとも、消し飛ぶがいいィィッ!!!!」
モララー(OBRUT)「ッ…!…ッ…!――――――づえ゛り゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあああああッ!!!(たった一つの拳だけで、その巨大なエネルギー弾を殴り返した)」
ワイズ「な―――――ッ!!!??(殴り返されたそのエネルギー弾に絶叫し、慌てて回避する)」
――――――― ゴ ゥ ッ ! ! ! ! ! ―――――――(遥か上空でエネルギー弾が破裂し、蒼い空が瞬く間に茜色に代わり、黒煙に覆われた)
ワイズ「ぁ…ば…馬鹿なァ…ッ…!!?(星をも滅ぼす力だぞ…!?こんな…こんな…ァッ…!!)(破裂したエネルギー弾を見上げ驚愕し続け)」
モララー(OBRUT→TURBO)「(上空で花火の様に破裂し、火花となって落ちていくエネルギーの残骸を眺めながら、静かに拳を構える)―――――“ T U R B O ” ( ド ゥ ン ッ ! ! ! )(全身から湧き立つ赤い蒸気が白く変色する) シ ュ ン ッ ――――――― “TURBO・ウォー・ハンマー”!!(その後ワイズの上空へ高速移動し、強い重力を込めたハンマーナックルを繰り出し地上に叩き落とす)」
ワイズ「!?―――ぐはああぁぁッ!!!(ドゴオオオォォォーーーーン…ッ… ! ! !)(呆気に取られていたが故に瞬く間に現れたモララーに対処しきれず、成す術なく地上に叩き落とされる)ぐぐ…ゥ…ッ…!(土煙が立ち込める中、よろめきながらも立ち上がる)」
モララー(TURBO→OBRUT)「 “OBRUT”!!( ド ゥ ン ッ ! ! )(今度は白い蒸気が赤く変色し、それと同時に全身に凄まじい重力がかかり、その引力によって上空からものすごい勢いで垂直落下する)ぐ…ッ…!(隕石の落下を体験してるみてぇだ…思ってた以上に反動がデケェ…!けど…――――)グッ… ! (徐々に徐々に速度を増していく落下の最中、慣れない挙動から拳を構える)―――“OBRUTアステロイド”ォ!!!(凄まじい重力を纏った状態で地上のワイズに目がけ殴りかかる。否、もはやそれはただの殴打ではなく、宛ら"隕石の激突"だった)」
ワイズ「んなッ――――――ズギャアアアアアアアアァァァァァァァァアアアアアーーーーーーーーンッッッ ! ! ! ! !(隕石の如く落下してきたモララーの一撃に避ける間もなく直撃し、その衝撃で出来上がった陥没の中心で激しく吐血する)ご…ゴご…ァッ……ごはァ…ッ…!!!(止めどなく溢れ出る吐血に、白い服装があっという間に赤く染まっていく)」
モララー「プシュゥゥ…(形態解除しその陥没から離れる)はぁ…はぁ…(へ…平和ボケになれちまったせいかな…久しぶりに、無茶しすぎちまった…)(肩で息をしながら)」
ワイズ「ビキ…ビキィ…ッ…(よろよろと立ち上がる最中、身に纏っていた黄金の鎧の至る部位が悲鳴を上げる様に鈍い音を立てながら崩れ落ちていく)ゼェ…ゼェ…ッ…!この俺の…最強の防御術をも越える黄金の鎧をこうも容易く…(だが…これがなければ流石の俺も、今の連続攻撃には耐えられなかった…!なんという…ことだ…能力のバリエーションなら俺の方が圧倒的に多いはず…なのに、こいつは何故ここまで使いこなせる…!?)(額から流れる血を片手で押えながらモララーを睨みつける)」
モララー(TURBO)「ふぃー……TURBOを『剣』とするなら、OBRUTは『鎧』だ。攻防一体の力を持つアイツ(ユーク)に近づくために、俺はTURBOと一緒にこの力を編み出した!(拳を震わせ)片方の力を、ありぃは両方の力を奪われたとしても、戦える『武器』が複数ある限り、俺は何度だって戦える。行くぞワイズ、覚悟しろ…!( ド ゥ ン ッ ! !) (再び全身から白い蒸気が溢れ)“
アンビション”… ド ッ ギ ン ッ ! (黒く染まった両腕が硬質化する)… ダ ン ッ ! (その状態でワイズに向けて一直線に駆け出す)」
ワイズ「ゼェ…ゼェ…思い上がるなよ、英雄…!俺は…この俺は…世界も宇宙も、果ては銀河をも統べる『四皇帝』、最強の男なんだぞ…ッ…!(額の『W』の赤い紋章が強く発光する。それに呼応するように、鎧の背後から黄金の触手が何本も出現し、その先端が棘のように鋭利になる)――――死ねェッ!!!( ド ヒ ュ ッ ! ! ! ! )(すべての触手が一斉に動き出し、向かってくるモララーに襲いかかる)」
モララー(TURBO)「テメェの御託は聞き飽きたぜ――― シ ュ ン ッ ―――(圧倒的な速度で触手を潜り抜け、一瞬にしてワイズの目前に現れる) シュボッ…ボオオオォォッ ! ! !(両腕が赤熱を帯び、炎を纏った拳を後ろに伸ばして構える)」
ワイズ「――――ッ!!!」
モララー(TURBO)「―― 赤黒覚醒(クリムゾンドライブ) ――(狙いを定め、その燃え盛る両拳による高速殴打をワイズに炸裂させる)――― “二重連砲”("イクスバーナー")ッ!!!!( ボ グ ゥ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ン ッ ! ! ! ! )(炸裂後、凄まじい一撃と共に紅蓮の衝撃がワイズを貫き、瞬く間に勢いよく吹き飛ばした)」
ワイズ「ぐぎゃああああああああああぁぁぁぁぁあああああああッッ!!!!!(ドゴオオオオォォォォォオオオオンッッッ ! ! ! !)(モララーから繰り出されたその強烈な一撃を受け、結晶の高台をも貫く勢いで吹き飛び、壁に激突した)」
モララー「プシュァァ…ッ…(吹き飛んだワイズを見据え能力を解除する)……(ワイズの元までゆっくりと移動し、壁にめり込んだ彼を見つめる)…他人の能力を奪うことでしか力を発揮できない、だからテメェは弱いんだ。(そう言い残して踵を返し、その場を後にしようとする)…どうせ、何を言っても無駄だろうけどな。てなわけで、ここは通して貰うぜ。あばよ、皇帝の骸。(振り返ることなく、だらしなく手を振りながら去ろうとする)」
ワイズ「ガララ…ドシャァッ… ! !(めり込んだ壁から剥がれ落ち、地に跪く。纏っていた鎧は完全に崩れ、もはや使い物にならなくなっていた)ゼェ…ゼェ…ッ…!(ふざ…けるなァ…ッ…!!この俺が…この俺が…!!宇宙で何ものよりも恐れられていたこの俺がああぁぁぁ…ッ…!!こんな、こんな屈辱を…ッ…!!……ゆ、ゆ゛る゛ざん゛…絶対に許さんぞ、モララー…ッ…!!あの、あのッ…憎きデュエルマスターと同じ『目』でこの俺を…ッ!!)ザ…ッ…(立ち上がるや否や右の掌にエネルギーを集める)」
ワイズ「ゼェ…ゼェ…この、俺は…宇宙最強なんだ…この俺に勝る者など、この世にいるはずがいないのだ…ッ… 貴様は…モララー…ッ… ぎざま゛はァァ…ッ…!!この俺にィ―――――――― 殺 さ れ る べ き な ん だ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ あ あ ー ー ー ー ー ッ ッ !!!!!!!!( ド オ ゥ ッ ! ! ! )(掌に溜めたエネルギーを放出するように勢いよく突き出し、モララーの背後から極太の閃光を解き放った)」
モララー「スタ…スタ…スタ…タ…タ…… ザ ッ ―――――― 馬鹿野郎があああああぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!!(振り返ると同時に一目散にワイズに向かって駆け出し、自らその閃光の中へ跳び込む様に飛び蹴りを繰り出した)」
ワイズ「フハハハハッ!!!ハハハハッ!!!ハァハハハハッ!!!跡形もなく、消し飛ぶがいいいいいィィィィィッ!!!!!(閃光に呑まれたモララーを見ながらこの上ない不敵な笑みを浮かべ)」
モララー「―――― バチ…ッ… バチバチ…ッ… ! ! バリバリバリバリィッ ! ! ! ! (閃光の中で脚部が帯電する。蒼い雷(いかずち)を纏った足はワイズの閃光を裂き、そのまま本人の元へと突撃する)」
ワイズ「ハハハハハッ――――――!!!??(閃光を振り払いながら向かってくる
モララーの姿に驚きを隠せず、酷く仰天する)」
モララー「地平の彼方まで―――――――― 吹き飛びやがれえええええぇぇぇぇーーーーッ!!! “ 蒼 白 迅 雷 ”( ホ ラ イ ズ ン パ ル ス )ッ!!!!( ド グ ォ オ オ オ オ オ オ ン ッ ! ! ! ! )(蒼い稲妻を纏った"光速"の飛び蹴りがワイズに炸裂する)」
ワイズ「(この俺が…この俺が…二度も『英雄』に敗れるなど…―――――)―――――ごん゛な゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛!!!!!!(直撃と共に稲妻に貫かれたような衝撃が走り、瞬く間に吹き飛ばされる。そして、遥か先の上空で全身が砂となって破裂した)」
モララー「はぁ…はぁ…はぁ…ッ…… チッ…口ほどにもねえ…アイツ(ユーク)に比べりゃあ…な……――――― ト サ ァ ッ …(力なくその場で大の字に倒れる)…っ~~~~!滅茶苦茶無茶しちゃったな…くぁ~…やってしまったぜ…… 無駄に体力使ってしまったな…(参ったといわんばりに力なく笑みを零す)」
モララー「……っと、休憩はこの辺で良いだろ…(そう言うと懐から掌サイズの小さな青い瓶を取り出す。美しい蒼結晶で作られたその瓶の中には、神々しい光を帯びた無色透明の液体が入っている)…グビ……くぁー…!(瓶の蓋をこじ開け、中の液体を喉に流し込む)……"また"助けられちまったな…『ノアの雫』… ……っしゃー!(すると俄然元気が出始め、跳び上がって立ち上がる)…この先だな。ちゃんと"覇気"も感じる…この奥に、黒幕が潜んでいると踏んでいいだろ。(ニィと口角を上げ、口元に付いた埃を親指で拭い、目指す場所へと向かい始める)」
――― カナン・最深部・夢の泉 ―――
ラプンツェル「コツ…コツ…(夢の泉という幻想空間に踏み入れ、辺りを隈なく見渡す)……!…見つけた…これが…(そして、目と鼻の先にある目的の物に向かって静かに歩み寄る)――――『夢の泉』…そして、『スターロッド』!(感動のあまり両腕を広げる)」
彼女の目の前にあったもの、それは…美しい神秘の輝きを放つ純白の噴水、そしてその噴水の上に突き刺さっている星の杖だった。
ラプンツェル「全ての生き物の夢と希望が集まり、眠りに就いたものに夢と安らぎを与える『泉』…そして、夢を生み出す魔法の『杖』…これがあの方(赤コートの人物)の言っていたものなんですね…!(神々しい光を放つそれらに見惚れるように感激し)」
ラプンツェル「スターロッドの力によって夢が作り出されて泉の水に溶け込み、水が蒸発することで眠りに就いた者に良い夢を届ける仕組みになっている。そして、この泉の力の源、スターロッドが失われると泉の力がなくなり…人々は夢を見ることができなくなる、か…(腕に抱えていた分厚い書物の中に挟んでいたメモ用紙を読みあげながら、それら実物を見つめ直す)」
ラプンツェル「人々から夢を奪うのもいいでしょう…ですが、夢は見なくても人々は生きていけるもの。なら…(噴水を登り、天辺にあるスターロッドに手を伸ばし、それを抜き取る)夢を奪うのではなく、私が人々に夢を与えたらいい。『悪夢』という名の夢を、ね。(仮面の奥で、握ったスターロッドに嗤いかける)」
ラプンツェル「私が…いえ…"我々"があの日、この眼で見た『悪夢』を…この世界中の人々に見せつける… それこそが我々の革命であり、復讐と成り得る。"貴方がた"が我々に齎したように、決して癒えることの無い心の傷を人々に与え…永遠に、苦しめ続けてあげましょう。 バ サ ァ … ! (コートを靡かせながら踵を返す)」
―――― こ こ よ り 世 界 に 革 命 を ――――
最終更新:2016年11月22日 23:46