Silent Siren 過去ログ④

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デデデ城・地下~


ゴゥン…ゴゥン…… ! ! (城の地下に広がる広大な空間。そこには巨大戦艦が一機そびえ立っていた。左右に蝙蝠の翼のような2対のウイング、そして誰かの仮面を象った艦首が特徴的な戦艦であり、その周辺で二頭身の生命体が何人か作業していた)


BGM♪



メタナイト「……(地下と巨大戦艦を一望できるほどの高い場所にある指令室で、作業員たちの様子を静かに俯瞰している)」

ソードナイト「プシュゥ…(指令室へ入室する)失礼します、メタナイト卿。」

メタナイト「ソードか、進捗状況はどうだ。(ソードナイトの方へは振り返らず、じっと窓の外の様子を見つめている)」

ソードナイト「はい、つい先程ハルバードの修復作業を終えました。幸いにもリアクターの損傷はなく、外装の修復に集中できたようで… ですがメタナイト卿、今回は…―――」

メタナイト「ああ…ハルバードをただ修復するだけでは駄目だ。あの戦争(第三次ティンクル族反乱の戦/世界大戦)以来、世界の揺らぎは治まりつつあるが…いつ、どこで、何が起きるか分からない。混沌世界で起きる"混沌"は絶えず起きる。そしてそれは時代とともに大きくなっていく。もはや、"今まで通り"で乗り越えられる状況ではない。我々もまた、時代と共に進化を遂げなければならない。人も兵器も同じくだ。」

ソードナイト「(小さく固唾を呑む)「ハルバード強化計画(プロジェクト)」…(そう小さく呟く)」

メタナイト「(ソードナイトの呟きに静かに頷く)…この戦艦ハルバードは、世界を良くも悪くも変える力を持っている。今まで我々や多くの戦士たちに力を貸してくれた…だが、度重なる戦いによってこの兵器にも限界が来ている。世界の揺らぎが治まっている今、我々の課題は次の"混沌"を沈める為に力を手にすることだ。すべてを制圧するのではなく、すべてを守れる力をだ。無論、強大な力を得るこの課題を成し遂げるのは容易ではない…効率良く、徹底した取り組みに励まなければならない。その為には強力な助っ人…特に、科学者や発明家の様な兵器開発に秀でた人材が必要だ。…この世界で思い当たる人物は発見したか?」

ソードナイト「(メタナイトの崇高な理想に頷くように首を垂れる)いえ、あれから様々な場所を当たってみましたが、皆兵器開発への協力には消極的でした。恐らく、世界大戦以来、世界政府の、科学者たちへの監視が徹底強化されてから恐縮しているようです… おそらくブレイドなら、何か手掛かりを掴めているかと思いますが…」

ブレイドナイト「プシュゥ…(タイミング良く指令室に現れる)メタナイト卿!(書類と一冊の本を手に小走りで近寄る)」

メタナイト「ブレイドか、何か有益な情報は手に入れたか。(ようやく振り返る)」

ブレイドナイト「有益…と言えるかどうかは判断しかねますが、寄宿舎の図書室で妙な文献を発見しました。(「これです」と小汚いその一冊の本を差し出す。本の表紙には何も記されておらず、中には数字や文字、図などがびっしりと書き連ねられていた)」

メタナイト「……(淡々とページをめくって黙読する)…きめ細かい研究の跡だ…これは一体…?」

ブレイドナイト「その本の随所に『ゲラコビッツ』という名前が記されていました。経歴を確認したところ、彼は異世界で科学者として勤め、悪事を働いてきた模様です。」

メタナイト「ゲラコビッツ…?(何処かで聞いたような…聞かなかったような名だ…)(脳裏を巡らせその名前の像を思い浮かべようとするが、思い出せなかったかのように首を振る)」

ブレイドナイト「この世界に誘(いざな)われてからはダークマスターの組織に加わり、計画の為に様々な研究を行ってきたようです。そして、その中でも際立ったのが…"寄宿舎を兵器化した"実績です。」

メタナイト「ダークマスターといえば…つい最近の出来事だな。(つまり故人ではないことか…) 何…寄宿舎を兵器化…だと?(目を見張る)」

ブレイドナイト「はい。文献によれば、ゲラコビッツは組織に仇名す混沌世界の住人たちを排除するために、住人たちの憩いの場所…寄宿舎そのものを兵器化することで、彼らと交戦したようです。ゲラコビッツは、世界各地から集めたパーツ…形状記憶合金「ワポメタル」、超高度駆動システム「クヴァルツ」、永久燃料「ダイナモ」…そして、この世界で最も科学が発達した旧カオス文明に造られた半永久機関「セミエターナルサイクラー」を搭載することで、建物のみならず、あらゆるものを次元の高い兵器へと変えることを可能にしたそうです。」

メタナイト「…だからといって、何故寄宿舎を兵器化したのかは見当もつかんが…とにかく、その優れた科学力を持つゲラコビッツという者、気になるな… それほどの腕を持つ科学者がいれば、今回の計画に大いに役立つだろう。その者の居所は把握しているか。」

ブレイドナイト「いえ…彼の居所は私にも分かりません。しかしメタナイト卿、彼は危険な思想を持つマッドサイエンティストです。私の意見としては…ここは彼自身ではなく、彼が残したこの文献を参考にし、強化を行うのが良いかと思いますが…」

メタナイト「確かに、危険な思想を持つ者を我々の計画に協力させるわけにはいかないだろう。だが科学者というものは、己が何を成し遂げ、それがどれだけの人に評価されるかということに重きを置く者だ。功績を上げる為ならば、自分の発明品がどんなことに使われようと気にしないものだ。無論、現代のすべての科学者が皆これに当てはまるものとは限らないが… しかし、そのゲラコビッツのようなマッドサイエンティストを我々が評価することで、彼が我々にとっての脅威を起こさないように促せる。科学者の研究を否定することは彼らの憎悪を買う…それだけは決してしてはならないことなのだ。」

ブレイドナイト「……(メタナイトの言葉に固唾を呑む)」

メタナイト「それに、我々には優秀な科学者も発明家もいない。ゲラコビッツの研究文献を参考にするだけでは駄目だ。計画には、科学者本人の協力が絶対不可欠だ。今はまだ、何も起こっていないにせよ…事が起こってからでは遅すぎる。事が起こる前に、その鎮圧に向けて入念に備えなければならない。」

メタナイト「未来軍が世界政府に対し宣戦布告した後、政府は対戦に臨むも準備が不十分だった。結果的には英雄や住人たちの協力を得て勝利することが出来たものの、力のある戦士たちを利用するだけでは平和維持は困難だ。」

メタナイト「もはや「誰かがやる」では駄目なのだ…自らが先陣立ってやらなくては問題は解決しない。我々は『銀河戦士団』だ。我々は、正義の心を宿す戦士の集いだ…!我々がこの地にいることに、戦う意味があるのだ…!」

ソードナイト&ブレイドナイト「――――!!(メタナイトの言葉に感化されたかのように微動する)」

メタナイト「ソード、ブレイド…ゲラコビッツの居所をすぐに突き止めるんだ。今の我々には、ひとりでも多くの協力者が必要だ。…頼む…!」

ブレイドナイト「…… …わかりました。全力で捜査に当たります。(メタナイトの覚悟を思い知り、それに応えるように)」

ソードナイト「では、二手に分かれて各地で捜査を行います。」

メタナイト「ああ…すまない。」

サーキブル「プシュゥ… メタナイト様!(慌てた様子で指令室へ現れる)」

メタナイト「どうした?(サーキブルのただならぬ様子を窺いながら)」

サーキブル「はぁ…はぁ… 先程、伝令ブロントバードから、緊急のSOSを受け取りました!どうやら、我々に向けて発信されたものらしく…!」

メタナイト「相手は誰だ?場所は突きとめているのか?(落ち着いた物腰で)」

サーキブル「確認をしたところ…信号を送ってきた者の名は「ネイピア」という人物です!場所は…南の国の辺境の地ですが、名前は確認できず…!」

メタナイト「……!!(ネイピアだと…!?…まさか…―――)その者は私の知り合いだ。それに…南の国から送られてきたとなれば、粗方場所は把握できる。その件は私が預かる。お前たちは引き続き、ハルバード強化計画を進めるのだ。」

ソードナイト「しかしメタナイト卿…!一人で行かれては――――」

メタナイト「私なら大丈夫だ、すぐに問題を解決してくる。後のことは頼んだぞ。(それだけ言い残すと颯爽と指令室を出て行く)」

ブレイドナイト「メタナイト卿…!(彼を制止しようと試みたが、その時には既に遅かった)」

メタナイト「タッタッタッタッ…(まさか…「カナン」で何かが起きているのか…!?あそこにはこの世界の「夢の泉」と「スターロッド」がある…守護者のネイピア以外誰も踏み込めない秘境の地のはずだが…)……嫌な予感がする…急がねばならない…! ダ ッ ―――――」



その頃、カナンでは…


ラプンツェル「コツ… コツ… コツ… コツ…(結晶でできた一本道を、淡々とした足取りで辿っている)」

ラプンツェル「…もうすぐ私の「夢」が叶う… そして、人々は「悪夢」を見る… ウフフ…フフフ…――――――」


――― カナン・最深部へと続く丘 ―――


BGM♪



――――― ボ グ ア ア ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! ! !  ズ ギ ャ ァ ア ン ッ ! ! ! ド ゥ ン ッ ! ! ! ズ シ ャ ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ー ー ー ー ッ ! ! ! ! ! (結晶の丘にて、二つの影が激しくぶつかり合っている)


モララー「ぬおらああああぁぁーーっ!!(元四皇帝の一角ワイズと熾烈な激突を繰り広げている)」


ド ゴ オ オ オ オ ォ ォ ォ ー ー ー ン ッ ! ! ! (爆発の様な衝撃が広がり、大地が震撼する)


ワイズ「ハァハハハハッ!!(英雄モララーとの一触即発の殴り合いの中、殺戮に塗れた戦いに身を委ねるように嗤っている)」


ズギャアンッ ! ! ズ ズ ズ ズ … … ―――――ズシャアアアアアァァァアアアアアーーーーンッ ! ! ! ! (戦闘の衝撃により周囲に生えている結晶剣山に亀裂が生じ、やがて倒壊する)


ワイズ「ヌルい、ヌルいな…それが『英雄』としての力なのか?(ドッ、ゴッ、バシッ ! ! !)(素早いステップによる殴打を叩き込む)これでは5年前に戦ったあの小僧ども(アオとDMトゥーン)とまるで変わらんではないか!貴様はこの俺を、せっかく黄泉帰りを得たこの俺を失望させてくれるのか!?( ズ ン ッ )(正拳突きを繰り出す)」

モララー「ガッ、ゲシッ、ゴッ… ! !(ワイズの攻撃を両腕でしっかりといなす)勝手に言ってろ、俺はお前の期待に応える為に戦っているんじゃないからな―――― ガ シ ッ (ワイズの拳を受け止め) せぃっ!!(そのまま背負い投げをする)」

ワイズ「むっ!?(投げ飛ばされるが華麗に着地し、ゆっくりと踵を返す)その小さい身体で大した力(パワー)だ…強大な気を纏ったこの俺を易々と投げ飛ばすとはな…冷静に判断してみれば、確かに貴様の力は侮れん。(何度も拳を握りながら愉快そうに嗤う)ただの殴り合いにも飽きてきた…そろそろ"動かせて"もらおうか。( グ ッ …)(拳に力を込める)」

モララー「……(ワイズを横目に態勢を整える)」

ワイズ「――――― ハ ァ ッ ! ! ! (握った拳を勢いよく突き出すと同時に掌を開いた)」

モララー「……!(その様子を目にするや否や、前屈みに低い態勢を取った)」


ボ  ギ  ュ  ア  ア  ア  ア  ア  ア  ア  ア  ア  ァ  ァ  ァ  ァ  ッ  !  !  !  !  (見えざる衝撃がモララーの頭上を過ぎる―――そして、モララーの背後にあった幾つもの結晶剣山が一斉に粉々に砕かれ、轟音を立てながら崩れ落ちていく)


ワイズ「これを初見でかわすとはな…そうこなくては面白くない!(にやりと口角を上げると地面を蹴りあげ、勢いを付けたショルダータックルを繰り出す)」

モララー「(でたらめな力だ…)……!(背後で崩れ落ちる剣山の瓦礫を横目で確認し、真っ向から迫ってきたワイズに対抗するようにバク転し、彼の頭上で弧を描くように回避する)」

ワイズ「ズザザザァー…ッ… ! ! クハハ、引っかかったな。(キュガァ…ッ… ! ! )これを喰らうがいい…!(バシュバシュバシュバシュン…ッ ! ! !)ヌオアァッ!!(ポォーピィーッ ! ! ! !)(かわされた直後に振り返ると、手中に巨大な闇エネルギー弾を生み出し、そこから幾つもの闇弾を放つ。その後、ある程度縮小したエネルギー弾を高速で投げ飛ばした)」

モララー「ヒュン スンッ オンッ (着地後、視界に入っていないにもかかわらずそのエネルギー弾を次々と左右に揺れながら回避していく)―――づぇいッ!!(ドゴォンッ ! !)(そして、最後に投げ飛ばされたエネルギー弾を水平に殴り返し、ワイズにお返しする)」

ワイズ「むッ…!(ボグゥオオオンッ ! ! ! )(咄嗟に両腕を交わし弾き返されたエネルギー弾を受ける)……(バカな…あの速度の攻撃を目にすることなく回避しただけでなく、その上に殴り返すだと…?)(立ちこめる黒煙の中で衝撃を覚える)むぅんッ!!(腕を振り抜き黒煙を払う)」

モララー「――――せい!!(ワイズが煙を振り払うと同時に彼の懐に潜り込み、腹部にアッパーを叩き込む)」

ワイズ「ゴハァ…ッ!(攻撃を受けた衝撃で唾液を吐き)ご…おのれ調子に乗るなよォ!!(頭上に掌を構え、モララーを押し潰す勢いでそれを振り下ろした)」

モララー「……!(軽い身のこなしでその掌底を回避する)」


ズシャアアアァァァァーーーンッ ! ! ! パラパラパラ…(ワイズの空ぶった攻撃が地面に炸裂し土煙が舞う)


ワイズ「ドシュンッ ! !(土煙を突き抜ける勢いで駆け出す)―――“WW(ワンダー・ワイド)ボール”!( ド ッ )(手中に生み出したエネルギー弾をモララー目がけ投げ飛ばす。一見はただのエネルギー弾だが…)」


グ ゥ ン ――― ク ィ ン ―――――― グ ゥ ォ ン ッ ――――――(ワイズが放ったエネルギー弾は、文字通り「W」の字を描くように何度も屈折しながらモララーに襲いかかる)


モララー「(ストレートに来たか…避ける隙を与えるだけだが―――)―――――ッ!?(一直線に飛ばされたはずのその弾の軌道が変曲したことに仰天し、成す術なく喰らう)…なんだ…今のは…(若干苦い表情を浮かべ直撃した部位を摩る)」

ワイズ「クククッ…!これで驚くようじゃまだまだ… 四皇帝 "W"を冠するこの俺の力の前に屈するがいいッ!!“WWW(ワンダー・ワイド・ワールド)ボール”!!( ド ン ッ ! )(再び生み出したエネルギー弾を投げ飛ばす)」


グ ィ ン ――― ヴ ヴ ン ッ ――――― オ オ ゥ ン ッ ――――――― ドッ ドドドドッ ドドッ ドッ ! ! ! ! (ワイズが放ったひとつのエネルギー弾は、飛ばされる最中で分裂を起こし、数多の弾丸となる。そしてそれらは先程の様に鋭い軌道を不規則に描きながら飛び交い、モララーに襲いかかった)


モララー「ちッ…(面倒くせぇ…)ほっ…!ッ…!てぃ!は…っ!(迫る弾幕の嵐をバク転や横ステップも交えながら後退回避していく)」

ワイズ「本当にすばしっこい猫野郎だ。その速さは褒めてやろう。だが…バリバリバリィ…ッ ! ! !(回避に苦戦を強いられるモララーを愉快そうに笑むと、右手が帯電する)――――これで沈むがいいッ!!( ド ゴ ォ ン ッ ! ! ! )(その発言と同時に一瞬にしてモララーの眼と鼻の先に現れ、帯電した右手による強烈な掌底を炸裂させる)」

モララー「(速い――――)ぐぁ…ッ…! ドゴオオォーーーンッ ! ! !(ワイズの凄まじい不意打ちを喰らい、結晶の塊に激突する)」

ワイズ「ハァハハハハッ!この俺がパワーに振り回されるだけだと思ったか?甘い…長年の間、戦いに身を捧げて来たこの俺に欠けたものなど一つもありはしないのだからな!(両腕を広げ嗤い上げる)」

モララー「…ッ…(土煙の中からゆっくりと現れる)……(攻撃される寸前に“アンビション”を纏って正解だったな…あれは結構効いたぜ…)(先程攻撃された部位は黒く変色しており、徐々に元に戻っていく)」

ワイズ「ほォー、あれをまともに受けて無傷か…運の良い奴だ。……ん?………… ニ ヤ リ (突然何かの存在を感じ取ったかのように、モララーではない別の方角を見据える。そしてしばらくして、ひとり、不気味な笑みを零す)…ハ、ハハハ…ッ!!(突然不気味に嗤い上げ)」

モララー「……(何だ…?)(その様子を窺い)」

ワイズ「ハハハ…クハハハ…!なるほど"こういうこと"か。読めた…読めたぞ。何故一度死んだはずの俺がこの世に蘇ったのか…それは偶然などではなかった!この俺の力を知る者が、この俺を、この地に蘇らせたということ!そしてどういうわけか、俺はそいつの為に戦わされているということ…酷く滑稽な話だ…が!再び生を受けたこの肉体!そして以前にも増すような、溢れんばかりのこの脈動…!『"Z"の称号を持つあの男』と初めて戦った時以来の感覚だ… 常に強い者との戦いを望んできた俺にとって、これ以上の至福を感じたことはないぞ!」

モララー「(そういや忘れかけていた…最も脅威なのはこいつだけじゃねえ。こいつをこの世に呼び込んだ『黒幕』だ。『そいつ』…まさかこの戦いを見ているのか?いや間違いねえ…だったら、今まで出くわしてきた死人たちの襲撃も、単なる偶然じゃないってことが証明できる。こいつ等を操る黒幕は…俺達の存在に気づいているし、俺達の事も知っている。最近の平和ボケのせいで感覚が鈍っていたが…冷静に考えりゃ、今回の件…俺が想像していた以上に厄介な大事件なんじゃないのか…)(ワイズを静かに睨みつけながら)」

ワイズ「そして今!俺は『その者』から更なる力を得た!かつての俺自身を超越するかのような圧倒的な力を!貴様で試させてもらうぞ…"英雄"モララー!!―― パ キ ィ ィ ー ー ン … ッ … ! ! (そう言うと、両の掌を合わせる)」


ズズズズズ…ッ…―――ボゴォンッ、ボゴォンッ、ボゴォンッ ! ! ! (モララーを囲むように、三方向の地面から漆黒色に光る棺桶が三つ出現し、それらが一斉解放する)


モララー「……!(何だ…――――)――――!(こいつは…!)(見覚えのある棺桶の眼を見開く)…なるほど、本人(黒幕)の能力で転生された奴は、その能力を使って、また違う奴を転生できるのか…まるでねずみ算だ。(苦い表情を浮かべ)」

クルミア&ランバ&シュネル『ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … ッ …(ワイズにより召喚されたのは、既に死去した四皇帝配下たち――――"K"、"L"、"P"の三名だった)』

ワイズ「フハハハ!素晴らしいぞ!この力があれば、俺は思い通りに「命」を操ることが出来る!かつての俺になかった力だ!これさえあれば…俺の手駒をいくらでも増やすことができるッ!!(両の握り拳を上げて快哉を叫ぶ)」

モララー「ピク…(ワイズの発言に眉をひそめる)…命を操るだと…?既に操られている分際で、胸糞悪ぃこと言いやがって…!(ワイズを鋭く睨む)」

ワイズ「黙れ野良猫!!この俺を誰だと思っている!?【四皇帝】のワイズ様だぞ…!この俺に勝る者など存在しない!あの憎きデュエルマスターには運悪く敗れてしまったが、本来の力を出し切ればあの小僧も始末できていた!この俺に抗う者たちは全員、血祭りに上げてやるぞォッ!!!!(雄叫びを上げる)」

モララー「野良猫で結構、誰かに飼われて自由を奪われる飼い猫になるよりはな…!(グッと握り拳をつくる)…命を軽んじるクソ野郎、俺は大嫌いだ。命を守る為に自らの命を賭けて戦う『アイツ』に比べりゃ―――――お前はずっと弱い。だからお前は『アイツ』に負けたんだよ。」

ワイズ「御託はその辺で良いだろう―――――― 殺 れ 。(激しい憎悪を含んだ命令を下す)」

シュネル「ギュルルルルッ…! ! ダンッ ! ! (脚部に輪状のエネルギーを放出し、ローラースケートの様に鋭い軌道を描きながらモララーに襲いかかる)」

ランバ「シャラン♪タンッ、タンッ、タンッ♪♪♪(タンバリンを持ち出す。叩くと♪型の爆弾が出現し、モララーに襲いかかる)」

モララー「 タ ン ッ ―――――お前たちに用はねぇ。(ゲシッ ! ! )(目前に現れたシュネルを蹴り飛ばすや否や方向転換し、滑走するような速さでランバへと向かう)―――― 地獄へ失せな!!( ド ゴ ォ ッ ! ! ! )(ランバの懐に潜り込み、アッパーによる重い一撃を炸裂させる)」

シュネル「ゴッ―――――ドシャアアアァァーーーーンッ ! ! !(蹴り飛ばされ付近の結晶の塊に激突する)」

ランバ「―――――!(気付いた時には既に遅く、モララーの拳により自らの身体が抉り取る様に葬られる)サアアアァァァ…――――(灰色の砂となって消滅する)」

クルミア「バッ… !(モララーに掌をかざすと周囲に闇のエネルギー弾を幾つも生み出し、彼に向けて放った)」

モララー「ヒュン―――ヒュッ―――ヒュンッ―――――(TURBOを使用していないにもかかわず、その能力に引けを取らないかのような素早い動きで攻撃を次々と回避し…)―――シュンッ ! (ワイズの目の前に現れる) ―――吹き飛べ!!(怒りを込めた拳をワイズに繰り出す)」

ワイズ「(圧倒的なモララーの速さに驚きつつも、何処か余裕を含んだかのような不気味な笑みを零す)―――――――『盾』。」

クルミア「ヒュンッ――――― ド ゴ オ ゥ ッ ! ! ! !(ワイズの命令により彼とモララーの灰田に瞬間的に割り込み、モララーの攻撃からワイズを庇う。しかしそれは仲間意識によるものではなく、ワイズの一方的な命令による"犠牲の肉壁"そのものだった…)」

モララー「―――――ッ!?(突如現れたクルミアに驚愕する)てんめ゛ェ゛…ッ…!!(そして彼女を利用し攻撃を退けたワイズに激しい憎悪を掻き立てるように睨みつける) 」

ワイズ「言っただろう、俺は命を操る力を手に入れたと。それにこいつ等はもともとは俺の部下だった者たち…そして今は生前よりも優秀に働いてくれる俺の完璧な手駒だ。俺の為に動き、死ねることを本望だと思っている!ならば俺は、優秀なそいつらに応えなければ―――(右手が帯電する)――――― い け な い よ な あ ?(バギュアアァッ ! ! ! !)(なんと、クルミアの背後から彼女の身体を帯電した掌底で貫き、そのままモララーにも攻撃を仕掛けたのだった。そう、モララーを死角から討つためにクルミアを利用する非道の戦法だった。)」

モララー「!!!? ごはァ…ッ…!(予想だにしなかった死角からの不意打ちに対処し切れず、今度は完全に直撃を許してしまい、大きく吹き飛ぶ)」

クルミア「………ドサァ… ! ! サアアァァァ…―――(ワイズに身体を貫かれた後はうつ伏せに倒れ込み、全身が砂となって消滅した)」

ワイズ「ハァハハハ…ハハハハッ!!!愉快爽快痛快だッ!!貴様も知っているだろう?弱者は常に強者の餌食となる。新時代へ突入したこの混沌世界はまさに弱肉強食の世界!弱きは罪であり、強きは正義なのだ!!ただ強い者だけが生き残ればそれで良い!それが我々四皇帝が決めた掟であり、この世界の掟だッ!!!フハハハハハハ!!(邪悪な笑みを浮かべ)」

モララー「  ダ  ァ  ン  ッ  !  !  (地面を思いっきり殴りつけて立ち上がる)マジで…クソッタレだな…テメェはよぉ… ……俺が知っているてめえら組織は、絶望だとか恐怖だとか、ネガティブなことばっかほざくだけの鬱陶しい野郎の集いかと思ってたよ。…あの男…『ユーク』って奴もな、確かに強い奴との戦いを望んでいた。だがアイツは違う、純粋に…ただ純粋に強い奴との戦いを望んでいただけだった。初めて会った時は嫌いだったが、何度も戦っていくうちに、アイツのそういう真っ直ぐなところに惹かれていったんだよなあ…!(不敵な笑みを浮かべ)」

ワイズ「ほゥ…そう言えば貴様、あのユークに戦いを挑み、無様に負けたんだよなあ?"W"の俺様を相手にその様では、俺を遥かに凌ぐ奴に勝てるわけがないか。フハハハハハ!!(嘲笑)」

モララー「ああ、テメェの言うとおりだ。俺確かにあいつに負けた。だがアイツに負けた理由は、単なる力の差じゃねえんだ。"何かを純粋に追い求める揺るぎない意思"…それがあん時の俺には欠けていたからだ。だから俺も、俺自身の『目標』をつくった。『それ』に追いつく為に懸命に努力もしてきた。そして俺は…ついに『目標』を越えた…ッ!!」


――― …希望……か。…フン… …負けを…認めよう…。――――貴様は、本当に…… ……強い……。 ――――(モララーの脳裏に、ある男の言葉が過る)


モララー「俺の目標だった『アイツ』は…自分の強さに純粋だった。何かを牛耳る為の強さなんかじゃなくて、己の力を誇示する為の強さなんかでもない。最果てにいる、自分よりも強い誰かと戦うためだけに、己の強さ誇った『アイツ』は、本当に強かったさ!!テメェなんかよりよっぽどなッ!ワイズ!!(ワイズを指す)」

ワイズ「何…?(モララーの発言に青筋を立て)強い奴と戦う為に強さを追い求める野心なら俺にもある。実力は違えど、俺と奴の生き様は同じだ!貴様如きに何が分かる!?」

モララー「わかるさ。自分よりも弱い奴を踏み台にして力を手に入れようとする奴と…たった一人でもがき苦しみながら、それでもひたすら前を向き続けて精進し続ける奴とじゃ、生き様は全然違うぜ。…来いよワイズ、そんなに強さを誇示したけりゃ…好きなだけやりぁあいい。本当の"強さ"をテメェに教えてやる。」

ワイズ「なんだと…?生意気なことを叩く猫野郎が…この俺をいらつかせたことを後悔するがいい…この―――――身の程知らずがあああああァァァァーーーッ!!!!(気迫の籠った突撃と共に殴りかかる)」

モララー「 ヂ ェ ス ト ォ ッ ! ! !(ワイズの攻撃に合わせ拳を突き出す)」


――――    ド    ゴ    ゥ    オ    オ    ォ    ン    ッ    !    !    !    !   ――――――(二人の激突により、大地が、大気が、激しく振動する)


ワイズ「ぐぬぬゥウウ…ッ!!!(何故だ…!何故俺の力に屈さない…!?)(拳と拳のぶつかり合いの中、相手のモララーとその強さに驚愕し)」

モララー「俺はお前には負けねえよ。(   オ   ウ   ン   ッ   !   !   )(急に力を入れ、ワイズを一方的に殴り飛ばした)」

ワイズ「ぬがああああぁぁぁッ!!!(殴り飛ばされるが空中で態勢を整え直し着地する)ハァ…ハァ…!調子に乗るなと――――言っただろう!!!」

シュネル「シュンッ―――――― ガ シ ッ (ワイズの発言が終えるタイミングでモララーの背後に現れ、羽交い締めする)」

モララー「…ッ…!(突然の事態に驚きを示す)」

ワイズ「貴様がなんと言うと…結局は勝者こそが正義!!勝利こそ正解なのだ!!勝つ為ならば手段などいとわん―――――俺の前に、儚く散れェーーッ!!!!(バリバリバリィッ ! ! ! !)(再び片手に帯電した状態で高速移動し、シュネルもろともモララーに貫通力に優れた電撃掌底を炸裂させる)


――――― ズブシャァ…ッ… ! ! ! (ワイズの電撃掌底により、誰かの身体が貫かれる悲惨な音が響く)


ワイズ「クハハハハ…ッ!!口ほどにもなかったな…英雄――――――ッ!!??(モララーにとどめを刺し勝利を確信した…その瞬間だった。)」


シュネルによって身動きを取られてしまい、成す術なくワイズの一撃に沈んだかと思われたモララーだった…しかし、ワイズの目の前にそのモララーの姿はなく、ワイズの攻撃によって胸部を貫かれたシュネルしか存在しなかったのだ。


シュネル「サアアアァァァ…――――(虚空を羽交い締めした状態のままワイズに身体を貫かれ、砂となって消滅した)」

ワイズ「――――!?(バカな…今のは確実に決まったはずだ…!手ごたえもあった…何よりあの速度から逃れることなど、あ…ありえん…ッ!!)」

モララー「――――腑に落ちないって顔をしてんな?(ワイズの遥か頭上から、彼を俯瞰しながら声をかける)」

ワイズ「なっ―――!!(い、いつの間にあんな上空に…!?)(上空のモララーを見上げ、仰天する)」

モララー「電撃…“エンドリ”―――もうテメェのその攻撃は効かねえよ。(エンドリを発動し、全身を一時的に雷化させて攻撃を回避したのだった)よっ…!(着地し、口元を拭う)手駒は全部壊してやった…なんならさっきより数を増やしてもいいんだぜ。全部ぶっ壊してやるだけだかんな。(拳を突き付け)」

ワイズ「ぐッ…おのれ貴様ァ…ッ!(怒りに拳を震わせ)…フン、所詮弱者如きじゃ貴様は止められんか…ならば、俺自身が更なる高みへと登ればよいだけのことだ。(平静を取り戻し、再び不敵に笑む)もう少し暴れたかったのだが…もう終いにしてやろう。貴様に真の絶望を思い知らせてやる。あのデュエルマスターには使わなかった、俺の真の力をな…ッ!」

モララー「(もう散々聞いてきた台詞だなあ…)(後頭部を掻きながら)」

ワイズ「絶望しろ…恐怖しろ…そして後悔しろ!!この俺が持つ能力『 ク リ ア ラ ン ス 』の真骨頂を解放してやる!!ヅエエエェェェェァァアアアアアアアーーーーッ!!!!!(激しい邪気を纏い始めると、大地が激しく揺れを起こす)」

モララー「ッ…(とは言ったものの、こいつはマジでヤバそうだ…)(ワイズの膨れ上がる気を感じ取りながら苦い表情を浮かべる)」

ワイズ「貴様だけは簡単には死なさん…ッ!圧倒的絶望を味あわせて、確実な死を下してやるッ!!( グ バ ァ ッ )(背後から黄金の触手が何本も出現し、ワイズを包み込む様に彼の身体を巻きつける)」


キ ュ ア ア ア ア ァ ァ ァ … ッ … ―――――― ド   ゥ   ン   ッ   !   !   !   (激しい光を帯びたワイズから、幾つもの閃光が暴発された)


モララー「(神々しくも荒々しいその光に目を閉じ、事態が鎮まり返ってからようやく目を開ける)……!こいつぁ…―――

ワイズ「 ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … ッ … ! ! (光が消滅すると、そこには全身に黄金の鎧を身に纏ったワイズがいた。体も一回り大きくなり、額の『W』の紋章もデザインが一新され、色も青から赤色に変色していた)―――――神々しい光だろう?これが覚醒した俺の姿だ!!

モララー「ふー…(ワイズの姿を眩しそうに見つめ、一息を零す)なるほど…確かにお前にはよく似合ってると思うぜ。己の強さを誇示するみてえでよ… もう十分すぎるほど派手な格好だ。(皮肉を述べた後、膝に手をついて「うしっ」と気合を入れる)俺も久々に"やる"か…―――(右腕を水平に構える)


―――― “ T U R B O ”――――



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最終更新:2017年01月13日 15:12