双眸 ~紺碧の哀 > 紅蓮の愛~過去ログ I.2

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事の始まりは、キルビスや龍助たちがフレアチューバーと戦っていた時期へと遡る。
彼らが衝突し合う最中、とある地で人知れず、「何か」が静かに動き始めようとしていた―――


――― 某スラム街 ―――


クドゥルフィ「はあはぁ…!…クフィッフィッフィッ…!ここまで逃げ切れば政府の奴らも追ってこれまい…!(何故ならここは世界政府非加盟国の領土…!俺様がフレアスタジアム建設に指定した場所はちょうどこの国境付近!我ながら天才だよ、俺様はよォ…!)(肩で息をしながら、羽織っているコートを灰色の地面へ脱ぎ棄てる)」

灰猫「 ニャー (一匹の野良猫が、クドゥルフィに餌を求め歩み寄る)」

クドゥルフィ「クフィフィ…あぁん?邪魔だ下種猫!!(視界に入った猫を強く蹴り飛ばす)」

灰猫「 ギャ…!(廃墟の壁に激突する)」

クドゥルフィ「俺様は今むしゃくしゃしてんだ…!クソ猫風情が俺様の前に立つんじゃねえよッ!!ガバッ、バンバンバンバンッ ! ! !(コートからやにわに取り出したP9拳銃で猫に容赦なく発砲する)」

灰猫「 タラァ…(灰色だった猫の体表が瞬く間に赤く染まっていく。猫は声を上げることなくぐったりと倒れ込み、やがて動かなくなった)」

????「ザ…ザ…(銃声に釣られる様に、優雅な足取りで現場に赴く)……儚い命がまたここに。(機能停止した灰猫を悲想に染まる眼差しで見下ろし、嘆かわしく静かに首を振る)」

クドゥルフィ「クフィッフィッ!!さてと、早いところここも抜けねえとなぁ~!?政府の奴らが俺様を嗅ぎつけてくるのも時間の問題…おぁん?(突如現れたその人物に眉を潜め)クソ猫の次はホームレスかよ!貴様ら下等な下種共が…いちいち俺様の傍に近寄るんじゃねえよ!!(その者に銃口を突きつける)」

????「…短い時間を過ごし、浅い呼吸をし、そして老いる前に昇天… だけれども、その死に様はなんて美しいんだろう。そうか、これが…"生命の美"…!ルビーのように輝く鮮明な"赤"がその美を更に際立たせる…!嗚呼…素晴らしい…!君は今、君の人生の中で、最高に美しく輝いていることだろう…!(クドゥルフィには歯牙にもかけず、もはや動くことのない野良猫に称賛の声を叫んでいる)」

クドゥルフィ「 ブ チ ィ ―――俺様を無視するんじゃぬええええぇッ!!!(バンバンバンバンッ ! ! !)(容赦なく発砲する)」

????「ヒュン―――ヒュンヒュン―――(彼が放つ銃弾は全てその身をすり抜けていく)……あぁ…でも、残念ながら、この世界で一番美しいのは…紛れもない僕なんだ。何故なら僕は、誰よりも生命の美を理解しているから。(視線の先を男に向ける)だからわかるのさ。この世で何が美しく、何が醜いのか――――」

クドゥルフィ「フィッ…!!?(その怪奇現象に酷く仰天する)な、なぜだ…何故死なない…!!?効いているのか…!?(何発も撃ち込んだはずの相手が微動だにしない姿に、銃弾がすり抜けたという事実に気付けないでいる)」

????「君は――――― 美 し く な い 。(  ド  ゴ  ォ  ッ  !  !  )(刹那、男の胸部をその拳が"貫く")」


メ ギ ィ ッ … ! (クドゥルフィの心臓が大きく拉げる音が、彼の体内全身に響き渡る)


クドゥルフィ「――― フィ゛ッ゛ッ゛!!!?(心臓部に迸る紫電に白目を向く)…ガ…ァ…ガガァ…ッ…―――― ドサァッ… ! (痙攣後、口元から泡を吹きながらうつ伏せに倒れ込んだ)」

????「ズル…(彼の胸部からその拳が引き抜かれる)…スルリ…ベチャ…(その拳に付着した血液が滑るように落下する。拳は産まればかりの様に白く美しくなっていた)醜い血で穢されることはない。だってボクは、全てを浄化する究極の"美"なのだから。」

赤眼の青年「ザ…ザ…(足元の砂利を踏みしめながら、????の元へ歩み寄る)……(彼の傍に倒れ伏したクドゥルフィの遺体を一瞥し、その胸倉を掴み上げる。そして…)――――ズブシャァッ… ! ! グチ…グチュリ……ブシャァッ… ! (その胸部を手刀で貫く。グロテスクな音を掻き鳴らしながら、体内から真っ赤な心臓を抜き取った)」

????「ヒッ…(突如現れ、突如遺体を漁り、突如奇怪な行為をし、突如醜いものを見せつけられたことに思わず眉をひそめる)…う、美しくない…実に醜い……(あまりの恐怖に思わず青年から距離を置く)」

赤眼の青年「…… …… ……!(抜き取った心臓を舐めるように見つめていたその時、ある部分を凝視する。一か所だけ拉げた部位、その個所に目を細める)――― グ シ ャ ァ ッ ! ! ! (途端、その手の心臓を握り潰す。血肉が砂利に飛び散り、青年のその身に返り血が描かれる)ブォン…ドサァ… !(男の遺体をゴミの様に投げ捨てた直後、????に赤く鋭い眼光を突きつける)…余計な事を。まあいい。(ため息と共に一声を放つ)」

????「……!(心臓が握り潰されると同時に軽く跳び上がり、更に彼から遠ざかる。その非人道的な行為に、もはや「醜さ」では形容できないものを感じ取る。圧倒的な「恐怖」、「戦慄」…それがその身を駆け巡り、青年に突きつけられた眼光でようやくその負の感情で満たされていく)…き、君は一体…っ……」

赤眼の青年「(目の前の????を指し)…お前を探しに来た――――『ヴェドリー』。」

????→ヴェドリー「……?……?………???(名指しされた直後、それが自分の名だと分かっていながらわざとらしく左右を確認しながら首を動かし、最後に自分の顎元を指して「僕?」と唖然とした顔で応える)…ああ、そうだ…それはこの世界で唯一無二の、最も美しい名前だ。そして、その最高の名前を持つ者こそ…この僕だ…。そんな僕の名を知らないわけがないのは知っている。だけど、そんな僕の名を口にするのは…誰よりも僕を理解するものだけだ。…君は…誰なんだい…?(恐る恐る青年の顔を覗きこむ様に近寄る)」

赤眼の青年→ブラッドキルビス「…パサ…(その問いに応えるように顔を覆っていた黒いフードを脱ぐ。鮮血の如き真っ赤な髪、そして先程から鋭さを増す赤い眼光…人間の皮を被った「怪物」がその姿を現す)…忘れたか。俺と貴様は同じ『教団』の人間だっただろう。『闇の眼球』幹部、ヴェドリー。」

ヴェドリー「―――!(青年の顔、そして聞き覚えのあるその名前に、何処か懐かしさが過る)…君は…ブラッドキルビス…なのかい?…ははは、久しぶりだね…!随分人が変わったみたいに成長して…!(かつての同志だと分かり先程までの緊張感が一気に解れる)…どうして僕がここにいると分かったんだい…?それに、僕に会いに来たって…」

ブラッドキルビス→サングル「その名は捨てた。今の俺は『サングル』だ。…ここに貴様がいると政府の情報から聞きつけて来た。すべては…俺の悲願を達成するためだ。」

ヴェドリー「ふーん…(いつからお尋ね者になったのか…いや、それは寧ろ喜ばしいことではないのだろうか。世界がついに僕に注目しているということ…!誰も彼もが僕を追い求める時代が到来すると言うことじゃないか…!)ふ、ふふふ…(思わず表情が綻ぶ最中、サングルの声に表情が戻る)…悲願とは?」

サングル「単刀直入に言う。俺は時期に、『闇の眼球』をこの手で復活させ…"この世界を滅ぼす"。教団の復活の為に、貴様も協力しろ、ヴェドリー。(淡々とした口調で)」

ヴェドリー「ほーん…ふーん…なるほどねぇ~…(大げさに頷きながら)…生憎だけど、僕はもう教団に戻る気はないよ。それに風の噂で聞いた話じゃあ、最近家族総出でクーデターを起こした教祖様も政府に捕まってしまったみたいだし。そもそも、世界をどうこうしようだなんて、僕は興味がないね。(やれやれと両手をあげて)だから悪いけど、その話はなかったことにしてくれよ。僕は今、世界の美の真理、その追求に奔走しているとこなんだから。」

サングル「…何か勘違いしているようだが、これは懇願などではない。――――――『 強 制 』だ。(充血した眼が更なる赤みを帯びる)」

ヴェドリー「―――ッ!!(その瞬間、先程感じた戦慄が再び蘇る。否、もはやそれすらを越えた恐怖を体感した身体がついに完全麻痺を起こす)…… …… ……ゴクリ…(殺伐とした状況下。断れば、"死"。選択肢は初めから存在しない。それを悟り、迫る重圧に息を呑む)」

ヴェドリー「……はぁ…わかった、わかったよ。(断念したように肩を竦める)だけど、今更教団を立ち直す意味はあるのかい?そりゃあ、この究極の美を持つ僕がそ~~~~んなに必要だと言うのなら手を貸してあげてもいいけれど。他の元幹部や…現に幽閉されている教祖様なんて…」

サングル「俺には『力』と、この世界を滅ぼすの為の『計画』がある。だがその為には奴の力が必要だ。そして計画を円滑なものにする為には、奴を理解する者…つまり、俺たち元幹部もまた不可欠。…奴は世界に君臨する日を虎視眈々と窺っていた。奴が世界を牛耳れば、俺や貴様の悲願も達成されるはずだ。違うか?」

ヴェドリー「……(「俺がお前の美しさをより世間に知らしめてやる」―――かつて幼き頃、シングの言葉が過る)……ふふっ、そうだね。僕はこの世で最も美しい存在…彼がいなければ、僕はこの頂には辿り着けなかったかもしれない。彼がもし、本当にこの世界を手にするのなら…その時は、彼との約束はきっと果たされる。…いいだろう、君について行こう。(ふっとはにかんで)…でも、どうするんだい?」

サングル「(灰色の空を仰瞰する)先ずは元幹部共を再集結させる。その後に新世界の大監獄に幽閉された奴を奪還する。…ポイゾーネブラックレミリアをここへ呼べ。明日、四人が集まり次第、次の作戦を告知する。(そう言うとフードを被り直し、踵を返してその場を後にしようとする)」

ヴェドリー「君はどうするんだい?(サングルの背に問いかけ)」

サングル「(歩みを止める)…何処かの変態が余計な事をしてくれたせいで、補充したかった心臓が使い物にならなくなった。他のを探してくる。(そう言い残し姿を消した)」

ヴェドリー「はぁ…やれやれ、まいったね。人ってのはあそこまで変わるもんなんだ。(後頭部を掻きながら)…さて、これからどうなることか…明日、彼女たちがこれを知ればどうなるのか… いや、そんなこと、既に分かり切っていることか。(サングルの赤い眼を思い出し溜息を吐く)…それもこれも、すべてはシング、君のせいだからね。……ちゃんと約束、果たしてくれよな。(灰色の空を仰ぎ見る)」



――― 翌日・某スラム街 ―――


????「……(廃れた街の残骸の山に足を組んで腰かけている碧髪の青年。裸体の上半身の上にそのままかけられた華美な羽根毛のコート――それはあまりにも、この街には似つかわしくない雰囲気を醸し出していた)……朝も夜も、等しく真っ暗な世界で―――ただ、ただただ、ただこの僕だけが輝いている。僕は世界の太陽であり、月であるんだ。誰もが僕に惹かれ、見つめ、そして求める。こんな世界に光を齎す僕を、まるで慈悲深い神様のように見つめる彼らに救いの手を……(掌から零れ落ちた雫の様な宝石を流れるように見つめる) 」

猫「にゃー。(青年から零れ落ちた宝石を興味があるように嗅いでみるも、それが食べ物でないと知って何処かへ去っていく) 」


以上、フレ ビッッ スタジアムから中継でガッッビッッ、それでは、次のニュースです―――(古ぼけたラジオから、ノイズ混じりのニュースの音が流れていく。


????「……君には、美しきものの価値が分からないか。(猫を見送り、静かに曇天の空を仰ぐ)……それにしても遅いな。そろそろ、やってくる頃かと思われるんだが…――― 」

黒いレミリア「ジャリ…(小さな金属部品が散乱する地面をその足音で掻き鳴らしながら、青年の前に姿を現す)…… …… ……(徐に懐からスマホを取り出すや否や何か文字を打ち込んでいる) 」

????「(前方から現れたその影に風と一息つく)……遅かったじゃないか。『彼女』は、連れて来たかい? 」

????「コッ…… コッ…… コッ―――(毒々しい斑点模様の頭巾で顔の上半分を隠し、手にバスケットを持ちながら青年の方へ静かに歩み寄り)……すみませんね、遅れてしまいまして……準備に少々手間取っていたもので。 」

黒いレミリア「 コ ク リ (頷いた後、「もうすぐ来る」と撃ち込んだメッセージが映るスマホの画面を見せつける)……( 「全員、合流。」 ) 」

????「……!久しぶりだね、『ポイゾーネ』。『レミリア』も、彼女を連れて来てくれてありがとう。…これでようやく、《 闇 の 眼 球 》の元幹部が勢揃いと言うことだ。…『彼』と、『教祖様』を除いては…ネ。(はにかんだ笑みを見せ、前髪を掻き分ける) 」

黒いレミリア→ブラックレミリア「……( 「ヴェドリー、要件、教えて」 ) 」

????→ヴェドリー「ところでこいつを見てほしい。これをどう思う?(立ち上がってコートを脱ぎ取り、ドヤ顔を浮かべて自らの裸体を堂々と見せつける。心なしか以前より黄金色の如く輝く美しい筋肉で、それ自体が一つの発光体にも捉えられる)…意外とせっかちだなぁ、レミリア。(しぶしぶコートを羽織って)……初めに言っておく。こうして《僕ら》の再会を望んだのは、僕自身の望みじゃない。君たちを此処へ呼んだのは――― 」

赤いキルビス「――― 俺 だ 。 (いつからそこにいたのかは分からない。真っ黒なコートを黒ずんだ血で染めた青年がそこに立ち、三人の前に姿を現す) 」

ブラックレミリア「……(「やっぱり帰る。」)(ヴェドリーの行為をジト目に踵を返そうとしたその瞬間―――)―――!(やにわに現れたその男の気配と声に振り返る)……(初対面でありながら、何処か見覚えのあるその顔に目を細める) 」

ポイゾーネ「Σなっ…… 言った側からなんてことを!!信じられませんわ!!(赤面で怒り口調になって)……え、それは一体―――――  !!(赤いキルビスを見て)あ、貴方は… お、お久しぶりですわね…まさか、貴方が私達を… 」

ヴェドリー「っと…なんだ、"いた"のか。(その声に振り返る)ふっふっ…!恥ずかしがる必要なんてナッシングさ!僕らはみな裸に生まれ、裸に死ぬ生き物じゃないか!これこそが僕らのアイデンティティ…普遍的真理ごうッッ(※ブラックレミリアに割愛される) 」

ポイゾーネ「…貴方の哲学など聞いておりませんの、とりあえずどういう事か説明して下さるかしら?(ヴェドリーに)…しかし…随分雰囲気が変わりましたこと…(赤いキルビスを見て 」

赤いキルビス「再会の茶番はやめろ、ヴェドリー。時間の無駄だ。(かつて仲間だった者に対する愛想などなく、機械の様に感情のない無機質な瞳で面々を睥睨する)ヴェドリーに、お前たちを連れて来るように言ったのは俺だ。すべては、俺の…いや、無残にも露と消えた《教団》の"悲願"を再び達成するためにだ。 」

ブラックレミリア「……??("悲願"という言葉に小首を傾げる) 」

ヴェドリー「……一週間前、僕はここで彼(赤いキルビス)と再会した。彼は…彼には、どうしても叶えたい野望があるようで、そのためにはかつて同じ《教団》だった僕らの力が必要みたいなんだ。僕はもう面倒なことは関わりたくなかったんだけどね…(「でも断れば、その場で殺されそうな気がして、それはそれで面倒だったから断れなかったんだよ…」と、ポイゾーネに耳打ちする) 」

ブラックレミリア「……( 「悲願というのは、『教祖様』の言っていた「世界を闇に染める」こと?」 ) 」

ポイゾーネ「……なるほど……(ヴェドリーの話を聞き終ったあと、赤いキルビスに目を向けて)…つまり、それは私達にまた悪さをしろと言う事でしょうかね?確かに、教団の掲げていた悲願は潰え、悔しい思いをした事もありましたが…それは昔の話です、今はなるべく地獄行きが決定しない様に細々と生きる様にしておりますの…もう、あの様な場所に行くのは御免ですから…というわけなので、申し訳ありませんが―――(丁重に断ろうと、頭を下げようとする 」

赤いキルビス「違うな。もはや「闇」の力は使い物にならない。《俺たち》の最終的な悲願は、この世界に君臨すること…即ち、この世界を手中に納めることだ。あの男…『シング』がそう言っていただろう。忘れたとは言わさんぞ―――なぁ、ポイゾーネ。(血走る眼で彼女を捕(捉)える。もはや、誰一人として拒否を認めないように頑なな声を上げながら) 」

赤いキルビス「…俺はこの世界が壊れてしまえば何でもいい。だが悲願を達成するためには《教団》を再び立ち上げる必要がある。…だからお前たちを呼んだ。『あの男』を連れ戻し、奴にしか作れない…『例の兵器』を再び完成させるために。」

ポイゾーネ「Σビクッッ―――(恐る恐る、赤いキルビスの眼を見て)―――!!!(…あ……これは――― 拒否権、一切ないですわ…)―――え、えぇ…そりゃぁ、勿論……私ったら、すいません、何を言っているのかしら……(震える声で苦笑を浮かべ 」

ヴェドリー「っ…(赤いキルビスから迸る覇気に思わず冷や汗を流す)…彼は本気だ。僕らを束縛してまでも《教団》の復活を望んでいる。最も、彼が本当に望んでいるのは…その先の野望なんだろうけどね。ま、幼い頃にシングの言葉に乗りかかったこともあるし、ここはとりあえず、彼の言うとおりもう一度"一"から始め直すのも良いんじゃないかな。確かに面倒事はごめんだし、あんな場所(地獄)に行くのもヤだけど…少なくとも彼は有言実行するだろう。それだけの"力"があることを、思い知ったんだから。 」

ブラックレミリア「……(「私はどっちでもいい。教祖様を連れ戻せるのなら。あと暇だったし。」) 」

ポイゾーネ「…分かりましたわ、協力します…(ヴェドリーに)…あの男、と言いますと… 連れ戻す作戦は、ちゃんと考えておられるのですわよね?今彼の幽閉されている場所は、とても厳重な場所だと聞きます…下手をすれば、返り討ちにあって私達が… 」

赤いキルビス「ああ、俺には…"力"がある。以前にも増してな。だがこれからは、お前たちも必然的に"力"を得る。でなければ、真の意味で復活など成就できまい。だがまずはあの男…世界政府に身柄を拘束され、今は大監獄「インフェルノ」に幽閉されている『シング』を俺たちで連れ戻す。同時に、各世界に散らばった他の『幹部』たちにも招集をかける。俺が長い間考えた『計画』があれば、今すぐにでも悲願を達成できる。パサ…(フードを脱ぎ取り、紅の髪を露わにする) 」

ヴェドリー「たぶん、大丈夫。奪還作戦には彼と僕で遂行する。ポイゾーネとレミリアは、今日みたいに他の幹部たちを呼び戻してほしい。突然のことで頭が回らないとは思うけど、僕も彼の『計画』を知っているから、あとでゆっくり教えてあげるよ。この美しい僕と、二人きりで、ネ☆(ポイゾ-ネにウインク) 」

ブラックレミリア「……( 「わかった!」の動物スタンプを見せつける ) 」

ポイゾーネ「……!…他の、幹部達も……本気、なのですわね…本気で、あの時の悲願を―――(あぁ…さようなら、私の平和な日々達よ…私はまた、悪しき者としての人生を歩むことになるでしょう…それでも神様、どうか私めをお見逃しください…)(震える手で胸を押さえながら 」

ポイゾーネ「…分かりましたわ、すぐに、他の幹部達にも連絡いたします…… 2人きりは構いませんが、くれぐれも妙な真似をなさらない様に。(ヴェドリーに 」

赤いキルビス「――― これから俺とヴェドリーでインフェルノへと向かう。シングを救出した後、『闇の世界』で落ち合うぞ。(用件だけを言い残し、踵を返し颯爽と立ち去っていく) 」

ヴェドリー「……(揺るぎない意思だ。何が彼をそこまで…)(擦れ違いざまに去り行く彼の背に視線を落としながら)はっはっはっ!なに、きっと想像以上にファンタスティックな出来事がまっtアウチッ(※ブラックレミリアの裏拳が腹部に炸裂!)うぐぐ…ッ… …じゃあ、そろそろ迎えに行きますか。そじゃあポイゾーネ、レミリア。また後で落ち合おう。……――― 大丈夫、今度はきっと上手くいくさ。(囁くように、それでいて強かな呟きを残して赤いキルビスの後を追うように去っていく) 」

ブラックレミリア「……( 「私たちも、行こう。」 )(ポイゾーネに) 」



――― 新世界・闇の世界(ダークワールド)・闇の教会 ―――


ヴェドリー「ンク…ング…(椅子に足を組んで腰かけ、グラスを片手にワインを飲み干していく)…華麗な救出劇だったね。(やや恍惚そうに綻んだ表情で)」

シング「グビ…グビ… プファ…!(同じくワインを盛大に飲み干し、口元を腕で拭った)テメェ等が現れた時は…流石の俺も理解が追いつかなかったぜ… まさか、テメェ等に助けられるとはな…一応礼を言うぞ、ヴェドリー…そして…―――― サングル、だったか…?」

サングル「……(埃被った椅子の背凭れに腰かけ、ステンドグラスから零れる歪な光に照らされている)…礼などいい。それより…――――」


ガ ゴ ン ッ … (サングルが語り出そうとしたその時、両開きの扉が開きだす) コツ… コツ… コツ… ―――(逆光に照らされた三つの影が、シングたちのいる教壇付近へと近寄ってくる)


ポイゾーネ「……!まあ、随分お久しぶりでございますわね。またこうして出会えるなんて、嬉しいですわ。(斑模様の艶麗なドレス、そのスカートの両端を摘まみあげ、シングに対し優雅にお辞儀する)しかし、本当にあの大監獄から救出するとは…よくご無事でしたわね。(やや驚いたように顎元に人差し指を添え)」

ブラックレミリア「……(「教祖様…よかった。また会えて、嬉しい。」)(スマホに打ち込んだ文字が空中にホログラムとして浮き出る)」

シング「お前ら……!(かつての同胞たちとの再会に思わず息を呑む)…チッ…どいつもこいつも…死に底ない共が…(不貞腐れた様に顔を逸らす)」

ポイゾーネ「まあ!せっかく貴方を心配していたと言うのに…酷いですわ。(頬をぷくっと膨らませ)」

ヴェドリー「はははは!死に底ないなのはみんな同じsあでででッ(※ブラックレミリアに髪を引っ張られる)」

銀髪の剣士「 ザ ッ … ―――――お久しぶりッス、シングさん!(懐かしの面々が再会の瞬間を過ごしている最中、場違いなほど大きな声で彼の目の前に割って現れる)」

シング「あ゛ぁ゛ん?んだテメェは…ドでけぇ声しやがって…(…ん…?待てよ…こいつ、何処かで…――――)(その銀髪の剣士の姿を、ゆっくりと見上げて確認する)」

銀髪の剣士→シド「俺ッスよ!あんたの腹心―――――『 シド 』ッス!(チャラけた表情でにかっと不敵な笑みを零したのは、銀髪に黒いバンダナを巻いた青い肌身を持つ青年。その腰元には、一振りの黒刀を携えていた)」


――― "呪の刃" シド・アイゼーユ ―――


シング「お前…『 シド 』か…!?…お前まで…なんでここに…?(意外そうに目を丸くして彼を見つめる)」

ポイゾーネ「ブラッドキルビス…いえ…彼、サングルに頼まれましたの。世界に散らばった、かつての闇の眼球の幹部を徴集せよ、と。ですが、殆どの幹部は既に別の監獄に幽閉されていたり、行方不明となっていたり…またあるいはお亡くなりになられたり… レミリアと協力して世界中を捜索したのですが、結局見つかったのは彼だけでした。(シドに一瞥を与え)」

ブラックレミリア「……(「…シド… 彼はこの世界でとっても強い剣豪。でも、教祖様に妄信的…」)(ジト目でシドを見つめ)」

シド「当たり前ッスよ!俺はシングさんに"この命を救われて"以来、生涯シングさんにこの身を捧げるって決めてますから!(教会内部に声が反響する)」

シング「(相変わらずこいつの声は脳に響くわ…)(シドの声を間近にうざったそうに)だがお前…俺たちが地獄を抜け出そうとしたあの時、閻魔の野郎に捕まりそうになった俺たちを庇って、地獄に留まったはずじゃなかったのか…?」

シド「それが聞いてくださいよー!確かに俺、シングさんを逃す為にこの身を犠牲に閻魔に捕まったわけッスが…なんか気付いたら現世に蘇ってたんスよー。(後頭部を掻きむしりながら)」

ヴェドリー「へぇ、不思議な話だね。(再びグラスに口をつけ)」

シド「どーやら、俺を現世に蘇らせた張本人がいたらしくって…けどそいつ、俺の身体を操ってテロに利用しようとしてみたいなんスよ。(おちゃらけた表情から一変、氷のように冷たい青い眼が露わになる)…俺はシングさんの"刃"だ。他の誰のものでもないッス。だから俺、自分に掛けられた呪縛を、"自分で断ち切った"んスよ。(自らの刀を水平に構えて)…で、今はこうして…またシングさんの元に身を寄せることが出来た訳ッス!それもこれも、『あいつ』がシングさんを奪還しようと画策してくれたお陰ッスよ。(そう言ってサングルの方へ振り返る)」

サングル「……与太話は済んだか。(依然殺意を含んだ眼差しで面々を睨むように見つめている)」

シング「ほぅーん… そういやテメェのことは、さっき船で聞いたな。(そういいサングルの元へ振り返る)…俺が豚箱にぶち込まれている間に、よくもまああんな大それた『計画』を考え付いたもんだな。流石は俺が作り出した『完成体』なだけはあるわ。」

ヴェドリー「そう言えば、君とレミリアはもともと彼(シング)に造られた人造人間なんだってね。やはり主には従順だったりするのかな。(はははとからかう様に笑みを含む)」

サングル「貴様の心臓を喰らってもいいんだぞ、ヴェドリー。軽はずみな事を口にするな。………(一度瞳を閉ざし、再び開眼する)…俺は"この為"に生まれた様なものだ。「あの日」以来からな…(目を伏せる)」

シング「……ああ、そういえば、"そう"だったな。(フッと鼻で笑い目を瞑る)」

ヴェドリー「……?(シングとサングル、互いの姿を見比べ、両者間の特別な関係に小首を傾げる)」

ポイゾーネ「そういえば…例の『計画』とは如何様なもので?まだ私たちは聞いていないのですが。(話を割って入るように詰め寄る)」

シング「 ッ… ッ… ッ…!(不敵な笑みを浮かべながら踵を返す)そうだったな。いいだろう…俺が説明してやる。ちょうどサングルのやり方には"抜け"があった。俺が修正した…『完成された計画』を始動(は)じめてやるよ…」

シング「 ダ ン ッ (教壇を蹴り飛ばし、それを踏みつける様に乗り出した)いいかテメェ等。もはやガキん時みたいな青い夢を見ることはやめだ。誰かの下に就くことも…誰かに利用されることもなく、『俺たち』がこの世界を牛耳るんだよ。」

シング「俺たちはもう「闇の眼球」じゃねえ。ここから何もかも生まれ変わるのさ… このクソったれた世界に"血塗れた革命"を齎してやる… 俺たち…――――」












―――― " 赤 い 泪 " が な ――――

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最終更新:2018年06月01日 21:45