大災厄の予言を回避するために、
ロケット団の陰謀を打ち砕くためにナナシマへと上陸したヒロ一行。
彼等は、組織の中核を担う幹部の情報を知り、7のしまにある巨大なタワーへと殴りこんだのだった…
― ナナシマ・7のしま・トレーナータワー 30F ―
ロケット団したっぱ『いたぞ!!侵入者だ!! とっつかまえろ!! いけいけおらおらどんどん!!! 絶対に逃がすなー!!』
はらぺこあおむし「 (
ロケット団のアルバイトをしている) 」
ボーマンダ「 ブ ォ ン ッ ! ! (押し寄せる
ロケット団員たちを尻尾で薙ぎ払う) 」
ヒガナ「どうやらこのタワーの最上階に、幹部の一人がいるみたいだね。さっきは逃がしちゃったけど(
ランスのこと)、今度こそ追い詰めてアジトの在処を聞き出さないと…!(ボーマンダの背に乗ったまましたっぱたちを蹂躙していく)ヒロ、ミヤコ!先に最上階へ!ここを片付けたら私も後で行く! 」
ロケット団したっぱ『ぐわああああぁぁ!! くそッ、強ェッ!! ぎゃあああぁッ! あ、はらぺこあおむしだ! うぼあああぁぁ!!!(悉く駆逐されていく)』
ヒロ「なめ?なぁ!!!!(土弾を放つ)…わかった!行くぞ!ミヤコちゃん!(上を見て) 」
ミヤコ「 うんっ…!(颯爽と駆け出すヒロに慌てて着いて行く) 」
― トレーナータワー 50F(最上階) ―
エレベーターで最上階へと辿り着いたヒロとミヤコ。まるで闘技場のように大きく広がった円形の空間には、先程の様な喧騒もなく、ヒロの足音だけが静かに響き渡っていた。
ミヤコ「 ふぇぇ…なにもないの~。(不気味に静かなフロアをヒロと並んで進んでいく) 」
ヒロ「…………????(周りを見て)………怪しいな。なんかありそうな気もする……気をつけたほうがいいかもしれないな(ミヤコの方を見ながら) 」
コツ…コツ…――― (その時、ヒロ以外の足音が彼の向かい側の影より響き渡る。無機質な灰色の床を踏みならすその足音は、かつてヒロが二度も耳にした事のある「ある男」を髣髴させた)
門矢士「 コ ツ … ――― やはり来たか。(奥より現れ出でた男――― 世界の破壊者は対面する青年を哀れ、蔑み、嘲るような表情で見下していた)あのまま鮫の餌食になっていたかと思っていたが…まあいい。ここまできたということは、どうやら運命は俺に破壊させたがっているとみていいようだ。(不気味に口角を上げるが瞳はまるで笑っていない。今まで対峙した得体の知れない男は、少しずつヒロの前へと歩み寄っていく) 」
ミヤコ「うん………あっ…!(ヒロ…ではなく、彼の背後から姿を現したあの男に驚いたように声を上げた) 」
ヒロ「…本当に、そう思ってるのか?(士の姿に気づき、彼と対峙する)俺があんたを阻止する運命の間違いじゃないのか? 」
門矢士「やがて世界はこの俺に「破壊」される。その運命(さだめ)を受け入れるべきだ。…違うか?(両手を軽く広げながらヒロに問いかけるが、彼の揺るぎない意志が現れた表情に白ける様な眼差しを向け踵を返す) 」
門矢士「
ロケット団…といったか。俺は組織の「真の首領」とある契約を交わし…この組織のトップを一時的に担う条件として、世界を渡る力を貸してやった。俺の計画のため… 奴らの茶番に乗っていたにすぎない。世界征服だがなんだが知らないが、そんなものに興味はない。 」
門矢士「『特異点』…すべてはお前を破壊するための"最高の劇場"を用意するために仕組んだことだからな。(そして振り返り、再びヒロと目を合わせる) 」
ヒロ「俺は違うと思うね。それはあんたの欲望だ、運命ではない!(鋭い眼差しで)そりゃあそうだろうな、あんたが破壊するつもりの世界………わざわざ征服する必要もないだろうからな。大した執着心、それはある意味尊敬するが……あんたに破壊されるわけにはいかねーんだよ(目を合わせた士を睨む) 」
門矢士「フン…(ヒロの正義を鼻で笑い、ポケットに両手を入れる)今から破壊されるんだ。少し話をしようか。…お前は、世界に流れる時間…「歴史」が、時折巻き戻されていくことに気づいた事はあるか? 」
ヒロ「あ?巻き戻される?………知らねーな。実感はねえ。 」
門矢士「だろうな。むしろ気付く訳がない。俺でもな。…様々な生命に宿る命と言う名の歴史は無数にこの世界に交り合い…一つの「物語」として形作られていく。輪廻転生…歴史の再生…永劫に続く物語… まるで小説か何かのように。 」
門矢士「しかしだな、ページが破かれ、燃やされ…あるいは、物語の内容が書き換えられたりすることで…その"瞬間"はなかったことにもなり得る。外的要因によって物語が変わる可能性も大いに秘められている。俺はこの島にある石碑に刻まれた「メッセージ」を解読し…この世界がどのような世界で、如何にして"誕生"したのかを知った…そして、この世界に纏わる「真実」もな。 」
門矢士「…だが、外的要因による干渉を受けても尚、絶えず変化せずそこに存在し続けるものが唯一つある…――― それこそが、『特異点』。(ヒロを静かに見つめる) 」
ヒロ「…………俺が、その物語のイレギュラーとでも言いたいわけか、あんたは?……あんた以外にも俺を厄介もんだと思ってる奴もいてもおかしくねーか(話を聞いて) 」
門矢士「他の奴らが思うそれと、俺の思うものは相違する。(チッチッチッと首を振りながら)歴史に変化が生じてもその影響を受けず、たとえ…自らが本来属する時間が消滅したとしても、本人だけは消滅しない。その時間が破壊されても、『特異点』の記憶を支点に、人々の記憶の力により時間を元に修復することだってできる。 」
門矢士「"この世界は一度消滅している"―――だが、世界は転生した。『特異点』によって、本来あるはずのないものが誕生し、同時に…あるべきものが消滅することにもなった。『特異点』…お前は、その両方の可能性が重なった存在。お前はこの世界に存在するが、存在するはずのない存在でもある。まるでかつての俺のように…な。 」
門矢士「だが、運命は俺ではなくお前を『特異点』として選んだ。そんなお前を破壊すれば…この世界はどうなると思う?『特異点』の消滅によって、「あるべき世界」と「消えるべき世界」にしかれた壁は崩壊する。俺はその壁を…『特異点』を破壊し、双方の世界の「融合」を発生させる…!(ヒロへと突き出した右手を強く握りしめる) 」
ヒロ「俺という……特異点という名の世界の壁をぶっ壊して融合したら……あるべきものが戻ってくる可能性があると?(突き出された拳にも怯まず) 」
門矢士「戻ってくるだけじゃない。「融合」を遂げた世界はまた"新たな物語"を生み出すだろう。…俺はその「物語」を紡ぎ出す。故に、今からお前の「物語」は――― 」
門矢士「―――― 終わりだ。( チ ャ キ … ! )(ネオディケイドライバーを装着) 変身 ――― カ シ ャ ン ッ ! (カードをバックルに装填)\KAMEN RIDE/ ガ チ ャ ン ッ ! (更にハンドルを押し)――― \DECADE !/ ――― 」
門矢士→仮面ライダーディケイド「 カ シ ャ カ シ ャ カ シ ャ カ シ ャ ――― シ ャ キ ィ ー ン ッ ! ! (変身完了)さァ… 終焉だ。(パンパンと両手を払い、ヒロに殴りかかった) 」
Vs 《世界の破壊者》 仮面ライダーディケイド
ヒロ「………あんたの物語のため死ぬわけには行かねえな!…終わりにはさせねえぜ!(ディケイドの拳を受け止め、すかさず腕を掴む)うぉらぁぁぁぁぁあ!!!!(そのまま彼を殴ろうとする) 」
仮面ライダーディケイド「 ぐッ…(殴り返され退く)ふんッ!(再び殴りかかった後、ワンツーパンチ→ボディーブロー→水平蹴りのコンボを叩き込み吹き飛ばす) 」
ヒロ「……やろう、二度も同じ手は…!ぐほぁっ!こいつっ……うぐぉおお!!!(再び受け止めようとするが、予想外の動きに対応しきれずパンチをくらい、ボディーブローを受け止めにかかるも水平蹴りを喰らい、吹っ飛んでいく)……使わねえわな、そりゃあ……!!(ふらふらと立ち上がり) 」
仮面ライダーディケイド→ディケイド(ブレイド)「なかなかやるな。だが、今までの戦い…そして今の一撃でお前の攻撃パターンはだいたい分かった。能力を駆使したところでも、俺には及ばない。 カ シ ャ ン ッ (カードを一枚装填)\KAMEN RIDE/ \BLADE (ブレイド) !/ \TURN UP !/ バ チ ン ッ ! ! (カード装填と同時にドライバーより光のゲートが前面に放出され、ヒロを弾き飛ばす) ダ ッ ――― シ ャ キ ィ ー ン ッ ! はッ!(ゲートを通過すると別ライダーへと変身し、弾き飛ばされた彼を追撃すべく跳び蹴りを繰り出そうとする) 」
ミヤコ「 …っ…ヒロ…(離れた位置で二人の戦いの行く末を不安そうに見守っている) 」
ヒロ「………でも俺は負けねえ…!!!(土の蔓を発生させ、飛び蹴りせんと突き出された彼の足に絡みつかせる) 」
黒ウォズ「 ……彼なら心配は要らないよ。(いつの間にかミヤコの傍らに) 」
仮面ライダーディケイド(ブレイド)「―――!( シ ャ キ ン ッ ! )(蔓が足に絡んだのを見るや否や、腰元のライドブッカーを振り払いソードモードへと変形) ザ ン ッ ! (土の蔓を切り落とす)ハッ、フンッ、セイッ!(変則的なステップでヒロを翻弄しつつ、至近距離から三段斬りを繰り出す) 」
ミヤコ「 ふぇ…?だ、誰なの~…?でも…ヒロが…(突然現れた黒ウォズと、懸命に戦っているヒロを見比べる) 」
黒ウォズ「 おっと…私としたことが、ついつい悪い癖を。新たな歴史が刻まれる瞬間を目にするとどうしても口を挟まずにはいられなかったんだ。申し遅れたね…私の名はウォズ。……と、申し訳ないが、今はそれだけしか言えない。(ミヤコに) 」
ヒロ「……チィッ、翻弄してくれる…!!!(日本刀を取り出し、三段段斬りに対し一歩飛びのき動きに合わせて斬撃を弾いていく)、 」
仮面ライダーディケイド(ブレイド)「ガキィンッ、ガンッ、ザキィンッ ! ! ! (ヒロとの剣戟により火花が飛び散り、空間に金属の衝突音が鳴り響く)お前の攻撃はもう俺には通用しない。 カ シ ャ ン ッ (カード装填)\ATTACK RIDE/ ガ チ ャ ン ッ (バックル回転) \METAL(メタル) !/(身体を鋼の如く硬質化し、ヒロの斬撃を無効化する)\ATTACK RIDE/ \MACH(マッハ) !/ シ ュ ン ッ ――― ザキィンッ、 ザキィンッ、 ザキィィィインッ ! ! ! (間髪入れずに次のカードを装填すると今度は圧倒的な速度で高速移動しながら、四方八方よりヒロに何度も斬撃を叩き込んだ) 」
ミヤコ「うぉず…?あらたなれきし…?(黒ウォズから漂う未知の存在感に対し、不思議そうに見つめていたが…)……!…ヒロを…ヒロを…イジメないでほしいのー!!(圧倒されるヒロに居てもたってもいられなくなり、果敢にもヒロを助けるべくディケイドに憑依しようと立ち向かう) 」
黒ウォズ「 ま…こんな事をきみに語ったところでそのぐらいの認識だとはわかっていたが。おや………(憑依を試みるミヤコを見て) 」
ヒロ「………何だ…!?貴様、その装甲は……!!!ぐおおお!!!!!!(攻撃が効かずなすすべがないかのように斬撃を叩き込まれる) 」
仮面ライダーディケイド→ディケイド(
ゴースト)「むっ…!(ヒロへの攻撃の最中、気が付いたミヤコの憑依を身を翻し回避する) 幽霊娘か…お前に邪魔されると厄介だからな。カ シ ャ ン ッ (カード装填)\KAMEN RIDE/ \GHOST (
ゴースト) !/ \レッツゴー ! 覚悟(カクゴォ) ! ゴ・ゴ・ゴ ! ゴースト !/\ゴゥ ! ゴゥ ! ゴゥ ! ゴゥ !/(別ライダーへと変身する)これならお前の憑依も俺には通用しないし、霊体のお前を殴り飛ばすこともできる。 ス…(右手で印を結ぶと、ドライバーよりパーカーゴーストと呼ばれる浮遊モンスターを三体出現させる) 」
パーカーゴースト『 グ ゥ ン ッ ! ! (三体のパーカーのような姿をしたモンスターが四方八方からヒロに体当たりを仕掛け妨害する)』
仮面ライダーディケイド(
ゴースト)「 \ガンガンセイバー ! / ブ ォ ン ッ ! ! (剣「ガンガンセイバー」を出現させ、パーカーゴーストへの対応で手がいっぱいのヒロの隙を突くように「ノ」の字に斬り降ろす) 」
ヒロ「……あっ、ミヤコちゃん!!!!(ディケイドに近づくミヤコに対して叫ぶ)………んなもんありかよ…!(パーカーゴーストに反撃をしている間にディケイドの攻撃に気づき)……お前に攻撃はできねそうにねえが……(振り下ろされた刀に気づいた瞬間、受け止めるのを諦め攻撃されると思われる場所に土を集中させダメージの軽減を試みる)) 」
黒ウォズ「 あれは紛れもなく〝憑依〟……となると彼女もまた、アレの如き存在か……?いや……〝彼ら〟のような雰囲気は感じられないな。となるとまったく別な憑依能力者というわけか……(ミヤコを見て独り言をブツブツと)それにしても、毎度ながらこの私が思わず目を見張ってしまうほどの戦いぶりだね。 」
ミヤコ「 あっ……!(憑依に失敗し空中でふわりと一回転する)あのこわいおじさんも…ミヤコと同じ幽霊になっちゃったの…?…ヒロ…!(ディケイドや
ゴーストに翻弄されるヒロに声を張り上げる) 」
仮面ライダーディケイド(
ゴースト)「そんな付け焼刃の対抗策で俺に敵うと思っているのか?(ヒロに指さし、パーカーゴーストへの指示を下す) 」
パーカーゴースト『 ガ シ ッ ! ! (その時、モンスターたちがヒロを取り囲み、彼を完全に拘束してしまう)』
仮面ライダーディケイド(
ゴースト)「これで――― 終わりだ。カ シ ャ ン ッ (カード装填)\FINAL ATTACK RIDE/ ガ チ ャ ン ッ (バックル回転) \GHO GHO GHO GHOST(ゴ ゴ ゴ ゴースト) !!/(背後に巨大な目の紋章を出現させ、そのエネルギーを右脚に纏いながらふわりと浮遊する)うおおぉぉ…―――― はあああぁぁッ!!!(エネルギーを纏う右脚を突き出し、斜め45度から身動きの取れないヒロに向かって強烈なライダーキックを繰り出そうとする) 」
ミヤコ「 (―――!)――― ヒロ…危ないの…ッ…!!!(身を挺してヒロの前へ庇う様に割り込み、そして…) ド ッ (ディケイドのライダーキックを正面から受け、そのまま声を上げる間もなく蹴り飛ばされた) ト サ ァ … ――― (ヒロの足元に、力なく地面に倒れ込んだ彼女が転がり込んだ) 」
ヒガナ「はぁ、はぁ…!やっと辿り着いた…!(肩で息をしながら最上階のフロアへと現れる)待たせたね…!今から加勢して…―――!?(駆けつけた直後にディケイドによって蹴り飛ばされたミヤコの身体が目の前を横切り、状況が呑み込めず呆然と立ち尽くす) 」
ヒロ「なっ、てめぇっ…!!!(拘束され、ライダーキックに対して土を展開させようとするが………)あっ……………!!!!!!!!(ミヤコが自身を庇い、倒れこむのを見て)み、ミヤコちゃん!!!!!!!!……………てめぇ、よくも………!!!!!!!(自らの前で力及ばず蹴り飛ばされた少女の姿を見て、怒りに体が震える) 」
ミヤコ「 ぎゅっ……―――(ヒロの右足を小さな手で、弱弱しくもゆっくりと力を入れながら静かに掴んだ)…ひ…ろ…… はぁ…はぁ…あの…ね…(彼に何かを語りかけようと、荒い息を上げながら言の葉を紡ぎ出す) 」
ヒロ「…っ!(ミヤコに足を掴まれ)……!(ミヤコの話を聞くように、彼女の目を見る) 」
仮面ライダーディケイド(
ゴースト)「………(地面に横たわるミヤコに何を思ったのか、ヒロを拘束するパーカーゴーストを消滅させる) 」
ミヤコ「 あのね… …ヒロ、は… はぁ……はぁ…ミヤコに、大切なものを…思い出させてくれたの… 」
ヒロの脳裏に思い出される光景。2月初頭の肌寒さが残る、灯りがきらめく夜の街で出会った青年と幽霊。たくさんのお菓子を一緒に食べ合う仲睦まじい姿が、走馬灯のように浮かび上がってくる。
ミヤコ「 だから、ミヤコ…… ヒロと会えて… ほんとに…よかったの……(弱弱しくなる声と共に、力を振り絞りながらヒロにあるものを手渡した。それは、彼女がいつも大好物の
プリンを食べる際に使っていた「スプーン」だった…) 」
ヒロ「………!!!(あの時の…
プリンか…!)……!そ、それは…(ミヤコが使っていたスプーンを受け取り) 」
黒ウォズ「 (……!) これもまた……彼によって齎された、新たなる歴史だというのか。だとしたら、あまりにも……………いや、主観は止すとしよう。 」
ミヤコ「ヒロと食べた
プリン…とっても…とっても…美味しかったの… ぜったい…忘れ…ないの……―――― (綺麗な赤い瞳がゆっくりと閉ざされていく最中、彼女の身体は淡い光に包まれ、さらに薄く染まっていく) 」
ミヤコ「 ――――― あ り が と う ―――――(静かに零した雫が地面にぽたりと落ちた時、彼女の身体は美しくも儚い光となって消滅する。蛍火の様に空中に浮かんだ光の粒子が、徐々に空へと飛翔していった) 」
ヒロ「………!!!!!!(消滅していったミヤコを見て)ミ…ヤ…コ…ちゃん…………!!!!う、うぅっ…うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(彼女の消滅に対し、言葉にならない叫びをあげる) 」
ヒガナ「…そん…な…(がくっと跪き、消滅してしまったミヤコの光を絶望した表情で見上げる) 」
仮面ライダーディケイド(ゴースト)「… ス … (ミヤコの消滅を確認し、ライドブッカーからカードを一枚引き抜く。そのカードを前方へ突きつけると、光の粒子がカードの表面に吸い込まれていった)―― 言ったはずだ、俺は「世界の破壊者」。全てを破壊する存在だと。…だがどうやら…お前を破壊するには" こ う し た 方 "が手っ取り早かったようだな。なあ―――――『特異点』? 」
ヒロの脳裏に、かつて出会った
アコールの声が反響する
懸命に戦い抜いても尚、いつかは守れない命に直面することになるでしょう。
「最愛の喪失」こそが貴方の時間を、心を、自我を蝕む。
――― もしも最悪の瞬間が永遠に続くというのなら、あなたはあなたでいられますか? ―――
仮面ライダーディケイド(ゴースト)「お前を破壊し、この世界のすべてを破壊し… 俺は新たな世界を創り出す。創造は破壊からしか生まれないからな。―――― お前の「物語」は、ここで終わりだ。 」
あなたは『特異点』として…いいえ、唯一人の『ヒロ』さんとして、すべてを救い出す『鍵』となる。
貴方の中にある『鍵』はいつか必ず誰かを救い出す。これまで貴方が失ったものも、貴方を失った貴方自身も。
出会った人との『キズナ』 絶望に抗う『キアイ』 抱き続ける『キボウ』 引き寄せる『キセキ』 貴方が渡り歩いた『キオク』…――― それらすべてが重なり合った時、貴方は『鍵』としてこの世界に目覚める。
『特異点・ヒロ』 ―――― "すべての世界に手を差し伸べる救世主"
―――― 貴方の物語は、ここから始まるんです ――――
――― カ ア ァ ァ … … ! ! (ヒロがしっかりと握りしめたミヤコのスプーンが突然光輝きだす。光は徐々に激しさを増し、みるみるとヒロ自身を包み込んだ。)
彼を包む光が消失すると…彼の右手にあったはずのスプーンは姿形を変えて彼のその手に握られていた。
「心」の強さが具現化した伝説の剣 ――― 『 キーブレード 』として。
ヒロ「俺はまた、守れなかった………(彼女の消滅に意気を失いかけたところ、脳裏によぎったアコールの言葉を胸に立ち上がる)…違う、俺が救うんだ。今まで失ったもの…これから失うだろうものをすべて…!!!!…それが、この鍵というわけだな…!!!!(キーブレードを見て)お前には破壊させやしない!!!俺が…お前をここで討つ!!!(キーブレードを構え、ディケイドめがけて駆け出す) 」
仮面ライダーディケイド(
ゴースト)「それは…まさか…ッ……!!(ヒロが手にした『
キーブレード』に目を見張った) 」
ヒガナ「な…なにが起こったの…?それに、あれは一体…!?(
キーブレードを手にしたヒロに驚嘆する) 」
ヒロ「…(この剣…よくわからねぇが…俺の思ったように動かしてやるぜ!!)うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!(ディケイドに向けてブレードを振り下ろす) 」
黒ウォズ「 ………………………………フッ…… 」
黒ウォズ「 ―――祝え!! あらゆる犠牲を払い、 消滅と生誕をしろしめす時の勇者! 」
黒ウォズ「 その名も〝カオスライダー ヒロ〟! まさに、新たなる歴史の幕開け…その瞬間である! 」
仮面ライダーディケイド「ぐぁ…ッ…!!?(攻撃を受けた直後、強制的に変身解除されてしまう)馬鹿な…これほどの力…いつ開花した…ッ…!?(攻撃を受けた胸部を摩り、ヒロ…そして彼が握る『鍵』を睨みつける) 」
キーブレードから溢れんばかりの光が放出される。それは持ち主であるヒロの強い意志が呼び寄せた唯一の"光"―――
大切な仲間との『キズナ』、絶望から這い上がろうとする『キアイ』、抱き続けることを止めなかった『キボウ』、それらが引き寄せた『キセキ』… 今、彼によって、失った者(ミヤコ)の『キオク』が彼の中に刻まれた。
ヒロ「……皮肉だったな、お前が開花させたんだよ!!!(ディケイドの腹部めがけて刀を突きだす) 」
仮面ライダーディケイド「ぐふァ…ッ…!!(突き出された一撃に吹き飛び、地面へ転がり倒れる)…ッ……!お前は…(よろよろと立ち上がる)…お前は…何故立ち上がれる…?仲間を失っても尚、その喪失感に駆られることなく…何故前へ向かっていられる?死ぬことよりも恐ろしい絶望を… "お前はそうやって何度も何かを失ってきた"はずだぞ!! 」
ヒロ「心が折れない限り、俺は死なん!!いつかきっと…俺が守ることが出来たと胸を張れる者が現れるのを信じて、何度だって立ち上がり続ける!!!…貴様がどれだけ俺をぶっ壊そうとしても、俺は屈するつもりはない!!!(よろよろと立ち上がったディケイドに向けて刀を振り下ろす) 」
仮面ライダーディケイド「 (これが…『特異点』が持つ真の力なのか…) なら…――― お前が守ろうとするものを、俺がすべてこの手で、「破壊」してやる…ッ!! 」
仮面ライダーディケイド「 ――― バ ッ ! (ヒロにカードを勢いよく突きつける) カ シ ャ ン ッ (カード装填)\FINAL ATTACK RIDE/ ガ チ ャ ン ッ (バックル回転) \DE DE DE DECADE(ディ ディ ディ ディケイド) !!/ ――― フンッ!!(空中に跳び上がった後、自身とヒロの間に10枚のホログラム状のカード型エネルギーが出現)――― はあああああああぁぁぁぁぁーーーッ!!!(そのままエネルギーを突き抜ける中、右足に金色のエネルギーを纏い、ヒロに自身の最強ライダーキック“ディメンションキック”を繰り出そうとする) 」
ヒロ「…!壊させねぇ、これ以上は!!!!(キックを繰り出した右足に向けて、足を切らんばかりの勢いでブレードを振り上げる) 」
黒ウォズ「 さすがの
門矢士も平常心ではいられまいか。本気を出した彼、はたまた本気に魅せられた彼……果たして輝かしい未来を掴み取るのは誰か……私は〝この先〟で待ち受けることにしよう。(愛用のマフラーを操り、自身を包んで消える) 」
―――― ド オ ォ ゥ ッ ! ! ! ――――(ヒロとディケイド、互いに繰り出された一撃が衝突し合う。その衝撃はフロア一帯に迸り、タワー全体が地響きを起こすほどに凄まじい影響を及ぼした)
仮面ライダーディケイド「 はああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーッ!!!!!!(黄金に輝く右足と、ヒロの黄金に輝く刃がぶつかり合う中、更に力を発揮し圧倒しようと試みるが…) 」
ヒロ「でやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!(剣に力を込める) 」
仮面ライダーディケイド「 ――――!!?(ヒロの輝きが自身のそれを勝り、彼の底知れない力に逆転され、強烈な斬撃波と共に勢いよく吹き飛ばされた)―――― ぐァ…ッ……!!!( ド ゴ ォ ッ ! ! ! )(そのままフロアの壁を突き破り、タワーの最上階から奈落の底へ、その物語から消え失せる様に落ちていった―――) 」
ヒロ「……!!(ディケイドが落ちて行ったのを見て)やった…のか…? 」
ヒガナ「すごい…っ…!ヒロに、あんな力があったなんてね………!(驚嘆していたところ、彼が勝利を掴んだことを確信し近寄っていく)…やったね…ヒロ。…ミヤコのことは…なんていうか… とても悲しいけれど…(伏し目がちになったところ、再びヒロと顔を合わせる)彼女の意志は、君の「心」の中に受け継がれたんじゃないかって…思う。だからきっと、その「鍵」が、ヒロ…君の手に現れたんじゃないかな。(彼を勇気づける様に、にっとはにかんだ笑顔を見せる) 」
ヒロ「あっ、ヒガナちゃん…!(近寄ってきたヒガナに気づき)……確かに、彼女のスプーンが、俺に力をくれた…最後に、感謝してくれた…(
キーブレードを見つめ)………俺の心の中で、生きてくれるよな?(ブレードに向けて語り掛けるようにつぶやく) 」
ヒガナ「ミヤコは…君と共にいる。それは私にも感じられるよ。(彼が持つ
キーブレード、その剣から零れる穏やかな光に、そう確信する)…さ、行こう…!団員たちからアジトの場所を突き止めたんだ。"大災厄の予言"を回避しないと、もっとたくさんのものを失うことになる。君が君自身の本当の力に目覚めたのなら、きっとどんなことだって乗り越えられる…!だから、急ごう!君が守ることが出来たと胸を張れる人に出会うためにも、ね♪ 」
ヒロ「…あぁ、行こう!どんな事にも負けない、その日がくるまで…そう誓ったんだ! 」
― ナナシマ・7のしま・トレーナータワー・最上階 ―
ヒ ュ ォ ォ ォ ォ … (激闘が繰り広げられた痕跡が残る無人の塔の最上フロア。灰色の床上に瓦礫が散乱する中、一枚のカードが砂塵に塗(まみ)れてそこに落ちていた)
コツ…コツ……―――― ス … (誰もいないはずの空間に足音が響く。男は、その「MIYAKO」と刻まれたカードを拾い上げた)
海東大樹「やはり狙った通り…進行した『この世界』の先にまだ隠されていたとはね。(一瞥を与えたカードを懐へしまい、大きな穴が開いた外壁から見える景色を俯瞰する) 僕に黙ってあんな素晴らしい『鍵』を… ズルいよ。けど…―――」
海東大樹「この世界の"お宝"を…――― ク ル ル ル ッ ! (ネオディエンドライバーをクルクル回しながら肩へそっと乗せる) 一人占めにはさせないよ――― 『士』。(謎めいた薄い笑みを浮かべた男は白いコートを靡かせながら踵を返し、その奥へと姿を消した)」
最終更新:2019年04月07日 21:07