"K" -奴の名は- "Chapter 2-D




派手な柄シャツの男「……っかあー………参っちまうよなあ本当、『解放軍』ともあろうものが、資金繰りに困ってヤクザなんぞの出稼ぎたぁな(傍らの青年と一緒に、夜の街を堂々と歩いている) 」

厚着の青年「そう言うなよ、これも大事な仕事だ……なんせ今回、馬鹿な”伐刀者”が出しゃばったらしいからね。俺達には打ってつけの仕事だ(血色の悪い顔で柄シャツの男を見上げながら) 」

派手な柄シャツの男「ついでに関係者見つけたらやっちまえ、だろ?一人当たり特別ボーナス、一部は生存点付き。まあまあ割は悪くねえんだが、本分は飛んじまってらァなあ……(スマートフォンで"標的"の顔を確認して行く)……っと、何だっけ、何たら事務所に行った連中は全員"取"られたんだって?そっちに行ってりゃあ良かったのに……っと、あ、向こうの姉ちゃん見た事あるぜ、ちっと引っ掛けて来るわ(書店から出て来た少女が目に入り) 」

厚着の青年「おい、ゴルディン……まあ、良いか……少し騒ぎを起こしてやるのも悪くない。ちょっとしたテロで警察関係者や連盟に喧嘩を売るのも悪くはない、か……見せしめのサービスと思えば気が利いてる 」

衣摺「(雑誌の入った袋を手から提げ、ゴルディンと呼ばれた柄シャツの男に気付き)……(軽く会釈し、店内に戻って行く) 」

派手な柄シャツの男→ゴルディン「あーあー、店ん中逃げちまった……んー、カークよぉ、何だっけ、あれ?テロしちまうの?行動範囲内だけどよォー……本当に釣り出せるかァ?俺は全然アリなんだけど……《固有霊装・現界》(デバイス・アクセラレート)(往来の中ながら……"大鎌"状の《固有霊装》を現界させる) 」

伊羏「(書店内。パーカーのフードを目深に被りレジで会計を済ませ『薬草学』と記された参考書を手に取り、足早に店を出ようとしたところ)おっとすみませんねぇ~。(衣摺と肩すれすれにぶつかりそうになり、軽く会釈をしてすれ違う)……。(一瞬足を止め小首を傾げるも、深くは考えず自動ドアをくぐり)——————うゎ。(真っ先に視界の内で怪しく光るデバイスを持つ男、ゴルディンが視界に入り引きつった笑みを浮かべた)参ったなぁどうも……(二人からすれば標的の一人、オリヴィエに酷似した少女が立ち尽くしているように見える) 」

厚着の青年→カーク「\ザワ…ザワ…/聞く前からやるんじゃないよ、ゴルディン………俺達の雇い主様はもう何度も無関係の人間なんか気にせず対象を襲撃しまくってる。だから俺達が同じことをやっても多分セーフ。解放軍らしくもあるし、ね……まあ、これが一つ。もう一つはほら、この近くって連盟の認可校が幾つもあるし、あとついでに前の現場とも近い。つまり俺達のターゲットと、アホな抜刀者を誘き出せる公算があるってこと……ま、不幸な無辜の市民には召喚コストになってもらおうか(ゴルディンに動揺する市民達を尻目に、袖をまくって手にナイフで傷を付け、出血する) 」

衣摺「あ、すんません……(伊羏とすれ違い、軽く会釈してから店内に引っ込み)いやいやいやヤバいヤバいわ、大丈夫なのかな岸波さん本当に……連絡取れねえし……(鎌を構えたゴルディンが目に入り、バタバタと店の奥へ逃げる) 」

ゴルディン「いやあ賢いねえカーク!流石、俺みてえに名家脱落組と違って知能を感じるね、知能を!(文字通り手を切ったカークににへらと笑みを向けながら) ダーイナミーック、エントリィ^~(大鎌状の《固有霊装》で店の自動ドアを切り裂き、店内の伊羏が目に入り)……っと、ラッキー…!一人居るじゃん、しかも最新ターゲットだ(爛々とした目で伊羏に鎌を向け) 」

カーク「いやいやあ、産まれて直ぐの妹が引き金になって家を出てテロ屋になった奴はいう事が違うね……《固有霊装・現界》(デバイス・アクセラレート)!!(噴き出した血がそのまま”刃”となり、周囲一帯を切り裂く) 」

伊羏「 チラー… (店奥へ引っ込んだ衣摺とゴルディンを交互に見、何かを察したように掌で拳を弾ませる)いやいや、なんでそうなるんです?美少女だから?伊羏さんが天才美少女であるが故の不幸?(店内をぐるりと見渡し店員を含む一般人の人数を素早く確認。)………。 ガッッ  ブ  ンッッ(手頃な広辞苑をゴルディンへ投擲と同時に駆け出す。広辞苑をブラフにし、入り口のドア枠に手をかけ宙吊りからの両足ドロップキックを素早く仕掛ける) 」

ゴルディン「なんだっけー?なんか武器使うんだっけ?こいつ……(大鎌の"柄"で広辞苑を弾き、直後にドア枠に手を掛けた伊羏に即座に反応し、《固有霊装》を瞬時に"仕舞う"。そして……)痛ってぇ、ナイス、キッ……クゥー!!!(ドロップキックを腹筋で受け、大きく怯む事無く踏ん張り……空いた両手で伊羏の両足を掴み、ジャイアントスイングの様に近くの建物のガラス目掛けて投げ飛ばす) 」

伊羏「—————ッッ!!?(かっ……たァ!コンクリ蹴ったみたいな感じがす————)   八" キャァ  ッッ   (見事に投げ飛ばされ窓ガラスを貫通。膝を抱くようにして身を丸め縦回転し勢いを殺しつつ店外に着地) トンッッ  (同時にその場で大きく跳ね、一帶に広がるカークの放った斬撃を回避)—————。トンッ(難なく着地し、両腕をだらりと垂らして『脱力』した構えを取る)見覚えのないデバイス……解放軍辺りか……(掌に固有霊装特有の光柱が発生するが、すぐに拳を握りそれを"打ち消す")……。(つまらない意地ですが、通す甲斐のある意地だ。何より連盟への説明がめんどすぎる) 」

陽菜子「………(な、なんだろ…大変なことになってる…!)(物音を聞いて現れるも、立ち尽くしている) 」

ゴルディン「……カーク!こいつは俺が貰うぜ、多分別人だ、それと……(伊羏の掌から発生し、直ぐに打ち消された"光柱"…一瞬ながら、それを見逃さず)使えよ。遠慮すんな……解放軍がテロやってるんだぜ、なあ?カーク?(仰ぐように両手を広げ、伊羏を挑発) 」

カーク「まあ、そういう事で……恨むなら、まあ……そうだな……"岸"じゃあちょっとつまらないな。森ノ宮だったか……こっちだな、うん。森ノ宮ってのが悪い。悪い奴等と絡んじゃったからかな(噴き出す血液を操作し、陽菜子とその周囲の人々に向け、ファンの様に回転する血液の刃を飛ばす) 」

陽菜子「…!(伐刀者か!)(凧の形をした固有霊装を発現。そして紐を通した状態で複数発現させて血液の刃に向けて振るう) 」

伊羏「………。(口元、目、いずれも不動を保ったが、尚も苛立ちを隠せないのか眉間の溝が深くなり)解放軍……連盟……つくづく嫌になる生き物ですよ、伐刀者っていうのは(固有霊装を行使しない。右拳を前へ突き出したまま、一般人の脚力が出せる速度から逸脱した速度で踏み込み間合いを詰める)————【戦術打式・香車】(ゼロ距離、元々『突き出していた』右拳によるノーモーションの突きをゴルディンの右拳へ繰り出し————) グンッッ  (突き出した拳を当てる前に引っ込めると同時に全身を半回転させ左回し蹴りをみぞおち目がけ繰り出す) 」

カーク「あ、居るじゃん、アホな伐刀者。解放軍ポイント加算かな(陽菜子が《固有霊装》を発現させたのを見て、ぱちん、と軽く指を鳴らす。その瞬間―――)"弾けろ"ォ!!(カークの咆哮と共に、血液の刃が"弾け"、散弾の様に周囲を穿つ!) 」
ザンッ…!!!(リンゴの形をした一閃が血液の散弾を跳ね飛ばす) 」

ゴルディン「(挑発したポーズながらも、目線は伊羏からは一切逸らさず)……イラつくなよ、伐刀者。そいつは"魂の力"つまり精神力って奴が産み出すもんだ、分かるだろ?歪めちゃァ"ヘタる"……ッ!(伊羏の踏み込みに応じ、即座に《固有霊装》を再展開。鎌を持つ右拳へのフェイントに反応した結果、回し蹴りへの対応が遅れる。が……)い゛っ……しゃあっ!!(回し蹴りと相打ちになる形で大鎌の刃で伊羏の胴を薙ぎ、自らも後ずさる)速……ってぇ……! 」

伊羏「————!("違う" 能力にかまけてるそこらの大根騎士とは場数が違う……判断が速ッ……)   ゾ  プ  (咄嗟に上体を捻り致命こそ避けるも、鉛が皮膚と肉を裂き抉る嫌な音が脳まで直で響き、苦悶に顔を歪める)ッッ!!~~~~……フゥ……フゥー!!(腹部に手を添えつつ自らバックステップを踏んで間合いを仕切り直し————)っっせェェなッッッ!!デバイスデバイスデバイスデバイス……こんなん精神疾患が汗とか毛とかウ○コみてぇに勝手に生えてくるだけのオマケだろうが!!んなもんの品質でやれ上位種だランクだ騎士だ免許だ解放軍だって虫けらみてぇにわらわら群がってよ!!ばっっっかじゃねーの!!!? 」

伊羏「(スイッチング・ウィンバック。嗚咽、罵倒、側からヒステリックに見えるそれだが、激痛とそれに伴う屈辱。まさにゴルディンの指摘する『精神の乱れ』、これを補正する儀式)—————イラつく、ほんとイラつくわどいつもこいつも……アホくさァ……(一通り感情を吐瀉すると、さながら痛覚が麻痺でもしたかのように平静を取り戻し、呼吸を整え)ス—————(態勢低く落とし、掌を床へ限りなく近づけ構え直す) 」

ゴルディン「体術に特化したタイプか?珍しいねえ、学生騎士ってなぁ大抵フィジカルを舐めてるもんだと思ったが……(内臓までは達してない、お互いに……ま、向こうさんの拘りがなきゃ少しばかり危なかったか)(腹部を押さえながらも再び鎌を構え)さあ、こっちもギアを上げるぜ…?"使わない"なら結構だが、まあ……こっちは色々使うのが好きなんでな(大鎌を右手だけで構え、左手を開き、伊羏に向ける)……"頂きます"(左手から"魔力の爪"を一瞬で伊羏の許まで伸ばし、そのまま握り潰す様に伊羏を"魔力の爪"で切り刻みに掛かる) 」

カーク「おっ……?マジ?跳ねちゃうか、今の……(手から血を流し続けながら、気だるげに陽菜子の方へ歩き出し) 」

伊羏「—————(間合いの外からの動作。この時点で『遠距離攻撃』と判断し) ポォンッッ (ほぼ地面にみっちゃくさせていた掌で床を押し、腕をバネ代わりに自らを上空へ吹っ飛ばす) ビスッッ グルルルル(頭髪の毛先が削れ、頰に浅く傷が刻まれるが、先よりも僅かに『成長』した反応で軽傷にとどめ、上空から錐揉み回転しつつ落下し) っっしゃァ!!!!!!(足をコンパスの如く広げ全身を回転させ遠心力を乗せたか肩落としを、『肩』目がけ振り下ろそうとする) 」

ゴルディン「さっきより速い……手を隠してた?いや…!("魔力の爪"を躱され、上から飛来する伊羏の蹴りを撃墜しようと、右手の"大鎌"を振り上げる、が)がっ…!?(ほんの一瞬、早かった伊羏の蹴りを肩に受け、伊羏を両断する軌道だった鎌の一撃がブレる) 」

伊羏「(”外せ”なかった……ッ いいや、関係ないッ!!!ぶっ潰してやる……『才』をッ 『技術』でッ!!) ダムッッ ぐ ル   ん グ る  ん (足ではなく両腕で着地、全身ごと振り回すように回転させ足に遠心力を乗せて行く、さながら人間風車のように。絶えず蹴りを繰り出し、その数に比例して威力を上げ何度も執拗にゴルディンの首を蹴り落とそうと狙ってくる) 」

ゴルディン「(単純な踵落しじゃない……まだ続く……!!)しかも魔力由来の力じゃねえってか……("大鎌"を格納し、魔力のリソースをを身体能力の強化に回して防御体制を固めるが、明確に急所…"首"を狙った連撃であると察知しながらも此方の骨が持たないと判断。首をガードした腕、その掌に"魔力の爪"を"仕込み"、自らの掌、そして殺し切れないであろう衝撃と引き換えに伊羏の脚を狙う)"拘り"のあるタイプには、あんまりこういう狡い手を使いたく無かったんだが…っ!(掌のガードごと、伊羏の蹴りに首を打たれ) 」

伊羏「 ぢィィッッ イ………ッッ!!(蹴りの感触とは明らかに異色な斬撃に伴う苦痛。魔爪によるカウンターが深刻なダメージに繋がりかねないと判断し連撃を中断。軸にしていた腕をバネに跳ね後退するが、ようやく着地した脚からは浅いものから深いものまで、多数の斬撃痕が残り絶えず鮮血が噴き出している)………。(頭に上がっていた血がようやく冷めてきたのか、周囲の状況を伺い) 」

伊羏「————面識がない、互いに。そうなんでしょ(埃を払う仕草をし、痛みにどうしていないよう繕いながら立ち上がる)手を引いてくれませんか。口ぶりからしてあなたにはプロらしからぬ『遊び』があった、少なくとも『今のところ』私は目的じゃぁないんでしょう。お互い非効率、無関係の誰かを巻き込まないならいうことはありませんし互いのすることに専念するってことでひとつ 」

ゴルディン「……(大きく仰け反るも、倒れる寸前で踏ん張りが効いたか、首を抑えながら体制を戻し)………いっやぁー……効いたぜ…マジで……霊装抜きでこんなもん喰らうのは初めてだ、マジで……ま、良いだろう。今の蹴りに免じて今回はおさらばしてやるよ。(伊羏にあっさりと背を向け、カークの出血した手を掴み)っつー訳だ、俺の気分で今日は解散。次は直接アレとかアレとか狙おうぜ ……っと、そうだ、名前と面覚えといてやるよ、伐刀者…名乗れよ、ゴルディン・ラザフォード様が帰る前に聞いといてやる(首を抑えながら伊羏に振り返り) 」

碧「………(スッ(陽菜子を守るように彼女の前に立つ) 」

伊羏「—————— て……(『天才の』という自らを守るための肩書きが喉でつかえる。先にあった嫌悪感はいつの間にか)—————ただの明智伊羏です。(———淡々と、事実上識別記号でしかない氏名を聞かせるしかない自分に向けられていた) 」

カーク「へえ、お姫様を守るナイトって感じか?ならまあ精々頑張……(地面に出来た、自らの血溜まりに手をかざし、碧に向かって振り上げようとしたその瞬間、ゴルディンに手を掴まれ)……あー…マジで?帰んの?あっそう……じゃあ餃子食って帰ろうぜ(碧に軽く手を振り、ゴルディンに連れられ) 」

ゴルディン「良い名前だな、明智伊羏…(伊羏の方を振り向かずにそう言い、カークを連れて去って行く) 」

陽菜子「あ、碧先輩…!(自身の前に立った碧を見て)どうして…? 」

碧「………!(振り上げられた腕に対してリンゴの形をした剣で応戦しようとした瞬間、手を止めたのを見て)…(危なかった、か… 」

碧「……どうしてもこうしてもないでしょ。同じ部の子が狙われてたら放っておくわけにはいかない(固有霊装を解く)…怪我はない?(陽菜子を見て) 」

陽菜子「はい、なんとか大丈夫です…(去っていく二人を見据え)…ここ最近うちの部の人たちが狙われてる…あの二人、美優ちゃん達を襲った人たちの仲間の可能性がありますね… 」

碧「そうね…ちょっと美優達にも改めて話を聞く必要がありそうね。(2人で話をしながら去っていく) 」




←————To be continued




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最終更新:2021年07月04日 02:18