男性A「やあバーナード、今日は一段と冷え込むね(上層部とは対照的にのどかな田園地帯。小太りな農夫が桑を肩に提げ道行く人々に会釈を交わしていく)やあ夫人。どうだい、畑仕事がひと段落つくと絵に勢が出るだろう
女性A「おはようバーノン。その代わりとりわけ殺風景でまぁ絵にならない景色だけどねぇ(丸々とした包容力のある体型の女性が簡易椅子に腰掛けキャンパスと向かい合いつつ白地に灰色を乗せていく)」
男性A「元からこのへんだけ風通しが良くないしな(腰に手を当てながらふと、女性のキャンパスの向こう側を見据え)辺鄙な爺さんが引っ越してきたよなぁ全く。他所から厄でも連れてこなきゃいいんだが
––––––キャンパスに書き添えられた下書きに重なる風景。そこには魚の骨が十字に折り重なったかのような見すぼらしい風車が風もないのに回転する小さな古城がポツリと佇んでいた。色彩豊かな緑で飾られた田園地帯とは相反し、その場所だけまるで墓標のように無彩色で塗り固められている
女性B「母さん、釜が焦げてるんだけど……あら、おはようバーノンのおじさん(絵を描く女性とは対照的にスラッとした体型のまだあどけなさの残る女性がエプロンをはためかせながら駆け寄り、ふとその絵に目を留める)ちょっ……いくらこの辺にいいモデルがないからってそんなもの選ばなくたっていいじゃない!そこのお爺さん買い物に来るとホントおっかないのよー?【終わるーおわるー(ダミ声)】って。絶対罰当たりなことして変なものに取り憑かれてるんだからあれ–––––––」
火愚病「もうすぐでつくな・・・(国内をはしる電車に揺られ窓からその殺風景さを一望する。そしてその視線の先の古城にうっすらと目を鋭くする)・・・・ついたか。(汽車が蒸気を噴射しゆっくりと動きを止めると同時にゴトゴトと荷を下ろしながら乗客たちが降りていく)・・・依頼の場所は、あそこだな(ひょっこひょっこと人の行きかうホームを歩き、目的の場所まで進んでいく) 」
ディータ「(火愚病の進む方向の先にはその色彩のない館と、その門前でしきりに腕時計に目をやりながらたわしのようにくしゃくしゃな黒髪を鷲掴みにし頭をかく冴えない男性が)あ、きたぁ……!(糸のように細い目をわずかに見開き、首に巻いていたタオルを端のように降って火愚病へ向かって駆け寄る)やぁやぁ!遠路はるばるよくぞ……!あぁよかった本当に来るとは思いませんでした!(火愚病に嬉々として駆け寄り強引に腕を掴んでくる)お待ちしておりました!ディータ・ビルンバッハです!依頼人のっ!(ブンブンブンブン) 」
火愚病「だぁあああ?!なんこのコミカライズコミュニケーションは。流行ってんのか?!――――あ~コホンッ!!如何にもタコにも俺が反魂師だ。・・・・んで?依頼主の、ん~ディータさんでよろしかったかね? 」
ディータ「ええそう、いやー本当によく来てくださった。
レゼリア国とは思えないぐらいなんっもないでしょこの辺(言葉とは裏腹に快活にまくしたてるようにしてはにかみ)長旅でお疲れになったでしょうしどうでしょ、まずはあそこのバーでお茶でも!(背後に構える見すぼらしい城を覆い隠すように火愚病の前に立ち、彼の背後にある木造の平屋をビッと指す、無意識に"目的地"を避けるかのように) 」
火愚病「そりゃいいね、俺としても長旅でコーシーの一杯でも飲まないとやってられない気分なんだ。―――詳しい話はそこでいいかな?(彼の仕草や表情、大まかな動きを観察するように。且つそれを気取られぬ様すまし顔でディータに) 」
ディータ「あ "っ (明るさま気まずそうに間抜けに口をぽっかりと開け)あははハァーン!で、でーすよねー……やっ、失礼しました。ただ遠路はるばる来ていただいたのだからまずは足を休めていただこうと……––––––– 」
パチュリー「 本当に何もないところよね~、ニッポンだとこういうの地方っていうんだってね~(火愚病について行く形で何故か行動を共にしている) 」
––––––\消えちまえ悪魔憑き!/\ご飯がまずなるわ/ ガララララ ピ シャン (ディータが丁度向かおうとしていた平屋から罵声を背に受けながら初老の痩せこけた男が暗がりから姿を表す。奇麗な身なりとは裏腹に、その顔の痩せこけ方は浮浪者を思わせる)
火愚病「ん~(人差し指を顎に当て考えるような仕草)・・・好奇心で聞きたいんだが、依頼の話を避けようとはしてはいないか?いや、間違いなら遠慮なく言ってください。人間だれしも間違いはありますからねぇ?8 」
火愚病「ほんっと、アンタマイペースだな・・・。いや、こっちは仕事だしあんたはタダの付き添いだからその関連性はもっともな話だが・・・・(パチュリーをみて)―――――むっ!?(老人にむかって目をかっと見開き凝視。その老人の徒ならぬ雰囲気に顔の筋肉が強張る) 」
ディータ「あはは、まぁほんっとお金もなければ花もないって感じで。少なくともノーレッジ卿のように麗しいお方はようなお方はいませんねぇ(苦笑しながら田舎者特有の美人に対するチラ見) ッ ヴ ェ ェ !? (その男の姿を見るや否や素っ頓狂な悲鳴を上げ、慌てて口を両手で覆う)と、父さ––––なんで? 今日"も"外に出ないって言ってたくせに……!(天邪鬼め…ッ!!) ススス…(火愚病の横顔にそれとなく口元を近づけこわばった表情で老人を注視しながら囁く) ”父さん"です。似てないでしょ?まぁ見ての通りですよ、 "アレ"がお呼びしたわけだとしたら、やっぱり"お見せしづらい"気持ちはあるでしょう? 」
老人「 ギョ ル ン (細縁の丸メガネという水槽に収まった魚の眼球のように、深い堀にはめ込まれた眼球が回転し、ディータを始め、火愚病、パチュリーと順に凝視していく)……ディ"ータ"(嗽をしながら発するようなしわがれた声で彼に呼びかけ)"何もするな"と……"足掻くな"と再三言って聞かせただろう 」
火愚病「あ~・・・そういう事だったのか。(男の風貌、そしてディータの話を聞き悟ったように表情を弛緩させ)・・・さて、もうこうなった以上仕事は速やかに遂行せにゃならんでしょうな。・・・やるなら屋敷の中の方が都合がいいでしょう。中には入れてもらえませんかい? 」
パチュリー「 あまりの暇さに適当についてきた。あたしは旅行気分あんたは仕事。はい、イーブン(謎理論を掲げて軽くニヘラ笑う) で、出たー隣に好きな子がいると集中できなくて授業中なんどもチラ見する思春期ムーブに近い田舎動作だぁぁ(無表情でいろいろぶっぱなす) 」
火愚病「(何もするな?足掻くな?・・・なんだ、何を言っているこの男は。まるで自らの終末を諦めるかのように。・・・・調べてみる必要は大いにありだな) 」
来々谷「 …と、いうわけでついてきた。(いつの間にか火愚病の傍に) 」
ディータ「や、やー!ほら……っ!こんなど田舎だと見知った顔しかいないでしょ!物珍しさっていうかあるじゃないですかソウイウノーwwwww(最初は勢いに任せぶっ放しに対しせり会おうとしたが)すみません、ごめんなさい、出会いがないど田舎なんですほんっとさーせんした(ZUUUN…) は、はひ……(不仲なのか老人に対して強く歯噛みしながらメソラシしつつ了承し) ま、まぁほら父さん!わざわざ言われもない噂を帳消しに来てくれたんだから、何より久々のお客さんなんだしさ!(親子とは思えないような余所余所しい営業マンのような口ぶりで腕を広げ)あ、紹介します。父のフォルクマールです。父さん、こちらは反魂師の–––– 」
フォルクマール「–––––悪霊山の火愚病(ディータの発言を遮るように細縁の眼鏡を岩のような指でカチャリと鳴らして)紅魔館の魔女、動かない大図書館パチュリー・ノーレッジ。それに……クルガヤ、というのか(淡々としわがれた声でその場に集った人物の素性、名を、活字を読み上げるかのように囁き鼻を鳴らす)まぁいい。倅が迷惑をかけた、茶と宿ぐらいは出してやろう 」
火愚病「驚いた、仕事に勤しむ者と遊びほうける者の関係がイーブンだったとは。こりゃ社会全体がブーイングの嵐だわこりゃ(汗 ん、毎度おおきに。世話んなりますぜ?・・・・。(家族関係は劣悪に等しい、そんな中で俺が最後の頼み・・・てか?) 」
来々谷「 (目をやや細める)……そうだが。(雄々しい面構え) 」
フォルクマール「 ザ グ ッ (土を踏み荒らすように乱雑に散らかしながら、今にも倒れそうな枯れ木のようにふらつきつつ火愚病達とすれ違う形で館へと進んで行く)ついてきなさい。また邪なものを呼ばれても困る、あんた達が最初で最後だ、倅にはそれで納得してもらう……。 」
パチュリー「 これはこれは、あたしって結構有名人なのねぇ(おおっと自分で拍手)私は見物客、本題はこの人ら……まぁお茶ぐらいはもらおうかしら 」
ディータ「(あ、あれー……俺名前とか教えたっけ…ない、よなー…?)スッ(歩いていくフォルクマールの背を見据えながら火愚病達に耳打ち)気をつけてくださいね、2年前からずっとああなんですよ……まるでそう、夢遊病者のように何をするかわからない 」
来々谷「 ほう…それは忝い。(フォルクマールに) 」
火愚病「おうおう荒っぽいこと・・・(ポツリとつぶやき)・・・・二年前から?ふ~ん・・・意思疎通があそこまではっきりと出来るあたり認知症患者・・・おっと失礼、・・・あー、精神系の病にかかっているようでもない。(フォルクマールの後を歩きながら)彼は二年前ああなる前はどんな人物で?何かきっかけとなる様な出来事はありませんでしたかい? 」
パチュリー「 ま、年相応って感じ?いまんとこ嫌いじゃないわ。あたしが心配なのはお茶菓子が羊羹とかその辺じゃないかってところね……名前透視能力でも持ってる~?まぁ書物ってところが怪しいわね~…… 」
ディータ「どーだか(パチュリーの有名人発言に対し肩をすくめ)あの男は"わかる"らしいんですよ、知ってるとかそういう知識じゃなくて。頭がクルクルパーなのか何なのやら(呆れ気味に小首を傾げる) あー……どうか気を悪くしないでくださいね。父を嫌いになっても俺は嫌いにならないでくださいお願いしますオネガイシマス(ゴマをするようにして愛想笑いを浮かべながらクルガヤに) –––––(黙って首を横に振り)さぁ……もうわかるでしょうけど殆ど口ききませんからね。ていうか俺普段は畑に近い離れに寝泊まりしてるんでなんともー…… 」
来々谷「 ……気にするな。私にとっては、正直なところ、どうでもいい。(ゴマスリしてくるディータに) 」
ービルンバッハ邸 2F・書斎ー
♪
フォルクマール「––––––羊羹はな、教え子の好物だったがあれは私にも理解できん(この寒気にも関わらず小窓は開け放され、陽光に照らされた書斎にて、パチュリーの発言を聞いていたのかいないのか、先よりも落ち着いた口調でそう呟きながら人数分のガトーショコラと紅茶を几帳面に丸テーブルの上に添えおいていく)生憎紅茶しかない、口に合わなかったなら外にまきなさい。無駄がない 」
火愚病「なるほど・・・つまり、方法はこうだ。―――"直接聞け"っていう法則(ルール)だ 」
–––––書斎には比較的状態のいい書籍が本棚に収まっておりよく目を凝らせば巻数などは揃えられている。特別散らかっている様子もなないが、彼が使っているのであろう書物机の隣には丸めた新聞が藁のように積み上がっていた–––––
パチュリー「 やった!ありがとう、くぅー!長旅の疲れを癒してくれるわぁ~!(かぐややディータの雰囲気と裏腹にお茶菓子を楽しそうに堪能) 」
ディータ「ははははひぃひひ……都会の女性ってこわ……(ZUuuuuuN) できるなら俺が聞き出したいとこなんですけどね……父は俺"だけ"には何も話さないんで(火愚病のすぐそばでがっくりと項垂れ、その際に自分の分の茶菓子がないことに気づく)––––ま、そうだろうなとは思いましたよ。 じゃあ俺、バーノンさんとこ手伝ってきますからね 」
火愚病「あぁあ~どうもどうも、ね、どうも。俺ガトーショコラ好きなんよ。・・・・フォルクマールさん、アンタもどうです?折角若い美男美女が揃ってんだ、おしゃべりすんのもわるかぁねぇぜ? 」
来々谷「 ん~…ガトーショコラは濃厚、紅茶は実に香ばしく……ご老人、実に申し分ない。 」
火愚病「あんた"だけ"には・・・・か。 」
フォルクマール「(ディータが部屋を出ていくとどことなく安堵したように目を伏せ)一階の戸棚だ、そこに娘が置いていったものがある。持っていくといい(パチュリーには一瞥もやらず自身は書斎の前にあるオフィスチェアに腰を下ろし背もたれに体重を預け) ふん、お前さんのとこの死骸の中ではどれが造形美として秀でているか……とかか?(鼻で笑いながらしわがれた手を膝に添え置き貧乏ゆすりを始める)まぁ、死骸は物を言わん。生きた人間よりかは可愛いものだ 」
フォルクマール「(来々谷に対しただ首を縦に振り)結構。学生の割には味というものに覚えがあるようだな(ディータがいた時のような突き放すような態度は取らず口角をわずかに上げ) 」
火愚病「生きた人間よりかは可愛い・・・、死人に口なし、死骸は余計なことを言わんからね。―――アンタは、どうなんだ?(ティーカップに注がれている紅茶を、ゆっくりと宙で傾けながら)随分と息子さんを避けてるようだなぁ。集落の皆にまで迷惑をかけてまで、息子に嫌われ・・・一人でいようとするさまは・・・・まるで死人だな。・・・と、俺は印象を受けたんだが、いかがかな? 」
パチュリー「 随分と険悪みたいね。愚問だろうけれど息子さん?お孫さん?と喧嘩でもしたのかしら(しっかりものはもらっている) 」
来々谷「 フッ……お褒めに与り、恐縮だ。(大人びた言動) 」
フォルクマール「………(火愚病、パチュリーの発言に対し、返答こそないが眉間に深い皺を刻み、嫌悪するわけでもなく彼とまっすぐ向き合い言葉一つ一つを受け止めている)我が子と共に行く"死人"など、最早親ではあるまい(丸眼鏡を卓上にそっと置き) バスッ(乾いた音を立てクルがやの前に茶葉入りの袋を3束放り)紅茶など普段は喉を通らない(使えと言いたげに首をクイとひねる) 」
来々谷「 (袋を覗き)…! このような物…しかもこれほど………よろしいのか。 」
火愚病「だろうね。(コトリとカップをテーブルに置き、フォルクマールに歩み寄る)だがね、そんな息子さんが・・・・俺を呼んだ理由はわかりますかい?アンタの一挙一動に常に苛立ちを隠せないあの人がオレを呼んだ理由がッ。 」
パチュリー「 なるほどねぇ……(こっからの対話は彼に任せるか。こういうの聞くのケッコー好きだしね~) 」
フォルクマール「構わん、無用の長物だ。客はあんた達で最後だと言ったろう(伏見がちに首を横に振り) "孝行者の優しい良い子"と、並の親はあれをそう呼ぶだろう。だがな、私は人の親にはなれん(ぎょろりと魚のような眼球を火愚病へ向け)何より–––––もう遅い。"全てにおいて"」
火愚病「そこだ・・・俺はそこが分からない。ここに入る前にアンタは足掻くなだ何もするなだと・・・息子さんや俺は知っていることと、あんた自身が知りえることが・・・あと一歩ってところでかみ合わない。話してほしい・・・・アンタの知るすべてを 」
来々谷「 …〝さいご〟……か。(そっと目を閉じ、その言葉を内心に刻む) ………忝い。(袋を引き取る) 」
フォルクマール「人はいともたやすく傷つく(クルガヤが袋に触れた刹那、ポツリと囁き)大事に、砂で描いた絵をそよ風から守るように大事にしてやらなければ悲しみばかりが残る(疲弊しきった、しわがれた声で) ……"死"、いや…"終わり"という一文字について、君達はまず最初に何を連想する(トンと指で自身の眉間を指し)私のような老ぼれか(自虐的に微笑し) 」
火愚病「死、終わり・・・・そうか。アンタは・・・それに何らかの理由で直面していると?(負のワードと老人の自虐的な笑みに対しふぅっとため息交じりに目を伏せ)だから・・・・俺に諦めろってぇのかい?紅茶とガトーショコラで勘弁してくれってか?(再び眼を開きフォルクマールを真っ直ぐ見据える) 」
来々谷「 ………承知した。(フォルクマールの言葉ひとつひとつをしっかり受け止める) ………〝生〟あるものには、分け隔てなく〝死〟というものが必ず訪れる。生命(いのち)の始まりには、必ずしも終わりは訪れるものだ……誰が、という話ではない。(フォルクマールに) 」
フォルクマール「客をもてなすのはあくまで"礼儀"だ。倅の非礼を詫びると言ったろう(湯気が昇る紅茶、まだ手をつけていないガトーショコラに視線を落とし)諦めろとは言わない……そもそも––––選択肢などないのだ。【終わる】のだよ、人間は、生物は、星は、宇宙は、世界は……形あるものは全て【終わらせる】ことができる。我々が望もうが望むまいが、それができるものが"そうする"と決めたなら、必ずそうなる(心のうちに内包してきた言葉だったからなのか、あたかも口癖を復唱するかのように淡々と言ってのけ、皿のように見開いた眼球で視線同士がぶつかり合う) 」
パチュリー「 ”魂”かしら。肉体は違えど魂は転生するもの。お爺さんを連想するときはそうね、パーゴルフやっている人見るときぐらいだからそんな卑下しなくていいのよ 」
火愚病「(こりゃあ、口で言ってもダメだな。心の底まで完全に"何か"に浸食されつくしている。自らの人生観、幸福、哲学、美徳、倫理すべてを放棄するまでに・・・・)・・・悪いな、アンタにとっては、苦しくも辛いことなんだろう。仕事とはいえ赤の他人の俺が口を挟むのは間違いだな・・・(そう言って踵を返し一歩、二歩、三歩とトボトボと歩く・・・・フリをして油断させ、反魂術を発動)『魂読み』ッ!!(ズギャアアアアッ!!) 」
––––––––––プツン(テープレコーダーを焼き切るような、そんな歯切れの悪いホワイトノイズが木霊した)
フォルクマール「そう、"魂"だ。(あたかも火愚病の魂読みを確信していたかのように、その男は"その風景"の中でただそれを受け入れるかのように座していた)魂は転生を繰り返し、その度に我々は生きるために必要な本能以外の情報を全てをかなぐり捨てる。だからこそ、子どもは明日を夢見て歩き出せる 」
火愚病が魂読みによって映し出す結果とは、それは大きくかけ離れていた。フォルクマール自身が持つ固有の能力なのか、それとも彼自身が脳裏に焼き付けた光景があまりにも鮮明なのか、書斎は影も形もなく消え去り、砂嵐が地平のどこまでも続く生気のない荒野が映し出されていた
火愚病「な、なんだこれは・・・・ッ!?魂読みでこんな光景を見たのは初めてだ・・・・。なんだ、この老人はッ!!一体・・・・ここまで至るまで一体何を見たんだッ?! 」
来々谷「 そして……その自ら捨てたものを、子は引き継いでいくのか。 」
フォルクマール「私が見たものではない。だがこの風景を見ろ。終わりの景色を(吹き荒れる砂嵐に対し岩のように動じず首をクイと捻り両腕を広げ)あの日、あの場所で。"彼"は私の前に現れこの老ぼれの眼にこれを焼き付けた、私が見たものではない、誰が見たものではない–––––(クツクツと笑いが腹の底からこみ上げてくる、それは恐れのあまり全身が痙攣するそれと似ている) 」
火愚病「彼・・・・?彼だど?・・・なんだ、彼って・・・まるで、これは・・・くっ!!(術を中断、息を忙しなく荒げながら少し距離をとる) 」
フォルクマール「(術を解除し荒げる火愚病、自分を含むその他一切を【死にゆく虫】を見るかのような目で見つめ)––––私は先ほど君達の名を読み上げた(トンと指を眉間にあてノックするかのように繰り返し叩く)人間は脳の10%しか使えていない。私は……15%だ。人間は本来、何にだってなれる(トントンと執拗にノックを繰り返し) 私 の 教 え 子 だ 。彼は誰しもの"ここ"に巣食う暗闇の扉をこうやって叩き、そして–––– 」
『 彼 の 中 に 怪 物 が 生 ま れ た 』
————晩夏に風鈴の音。ふとした思いつきで家出をした10歳の誕生日を思い出す。 見飽きた筈の黄昏が終末の色に見えて、いっそ世界をこのままに私だけ連れ去ってはくれないだろうか涙した暁の時間。
箒星は巡り巡って、あのなんでもない草原に佇むノッポな木に陽を灯した。 潰えた星の命、その欠片を惜しげも無く飲み込んだあの少年をよく覚えていた。
夏の終わりに出会った、気だるげで捻くれて、それでいて地平に輝く星を追って走りだす……一つの夢と躍動を共有したあの横顔を、鮮明に覚えているんだ
『あなた達』は電車で何処かへ向かっていた。だいたいが帰路であるという時間帯だが、中には夜遊びに行く若者もいるだろう。 」
別段眠気もなかった筈なのだが、読んで字のごとく『瞬く間』に眠りへ誘われ、再び瞼を開くと既に目的地を通り過ぎていたのかもしれない……という状況に気付く 」
車内アナウンス『■■■■ーーー。■■■■ーーー~~スゥゥー……終点ですゥ”ゥ”ゥ”~~ お降りの際はァ……お忘れ物にィご注意ィーーーーくださいィィィ~~~————……ッッスゥゥゥ~~~~~』 」
—————こころなしか年季が増したように見える列車から降りると、そこにあるのは見渡す限りの『緑』『緑』『緑』。石畳のホームとローカルな駅に付随する時計塔以外にこれといって特徴はなく、まさに田舎の最果てといった具合だった 」
黒装束の少女「(閑散とした景色に溶け込む人物がベンチに座っている、あまりに自然に溶け込んでいるので景色の一部である無機物にさえ見えたが、列車の汽笛が聞こえるやそちらを見やる程度の動きをしていた。 容姿は古めかしい黒の
ベールに黒のローブと黒づくめ。対極的に陶器のような白い肌に、淡く光を反射する一つ結びにした長髪、その中で宝石のように目立つ碧眼が特徴として上げられる)—————。カチカチカチカチ シュボッッ (少女はベンチの傍に置いたカンテラに、爪楊枝のような『薪』を積み入れ、火を起こしているかのようだった) 」
黒装束の男「……スイマッセェン(闇の中から現れる、少女と同じ黒装束の男。手には懐中電灯を握り、申し訳程度の明かりを灯している)あぁカンテラでしたかぁ。てっきりこんな夜中にBBQでもしようとしてんのかなって。……ここの付近の人ではないですよねぇ?いや、別に警戒とかするわけじゃあないですけど、ねぇ(腕章を見せる。どうやら地域の見回りに参加しているらしい) 」
黒装束の少女「 ボフッッ ゲホッゲホッ(何かを間違えたのかカンテラが煙を吐き顔面に直撃。口元を押さえ咳き込みながら腰を上げ、黒装束の男を見やる)ゲホッ…… ? ………(物珍しい何かを見るような目つきで小首を傾げ黒装束の男を見やる)————いいえ、ここの者……というかこの辺の人といったら『私ぐらい』なものだと思いますが。ねぇ、トト? 」
トト「ガラガラガラー(使われていないどころかベニヤ板で目張りされている元・駅の売店から現れたトトという人物……いやトトという名の『人狼』(ワーウルフ)が姿を現す。 鍋を切りはりしたようなみすぼらしい鎧とは裏腹にどこか気の抜けた、陽気な雰囲気を漂わせる白体毛の人狼だった)やっ、ここらじゃ人だなんでぇ滅多に見ねーが。 なんだぁお前さん、どっから来たんだぁ?ああ、ひょっとして『お登りさん』って奴が? あいででで(その体格故か鍋の蓋を被ったような防具で覆われた頭部が、天井を支える骨組みにぶつかりよろめいたりしていた) 」
黒装束の男「あ~……なるほど。厄介事案件抱えてそうな方たちですねぇ(そう言って腕章を外してポイ)まぁそこまでわかられているのなら別に隠す必要はないですねぇ。…ちょっとした仕事でぇ来させてもらっているものですぅ。……しっかしでっかいなぁ。(トトを見上げて) 」
トト「おまんらが小せえだけなんだだな、俺ぁまだガキだがや。ドロシーといいみんなみんな小せえのぁかぁいそうだなぁ。俺ぁが守ってやっねぇどすぐおっ死んじまうんでねぇが?あれ、なんで俺ぁが生まれる前からおまんら生きてっだ?(呂律が回らないなりに流暢に人の言葉を発し、何がおかしいのがゲヘゲヘ言いながら首のあたりを爪で軽く引っ掻いてる) 」
黒装束の少女「お登りさんというか……『お降りさん』でしょうかね(軽く欠伸をし気だるげに目元をこする)仕事、ですか……。ここはたまたま駅が残っているというだけで、別段何か商業的価値があるような土地とは言い難いのですけれども(顎に手を当て黒装束の男の靴から頭に至るまでを順に見やり長考)————ま、考えてもわかりませんね!(けろっ)何をしに来たのか存じませんが、まあうまくいくといいですね! 」
黒装束の男「あ、そっすか……流石は人狼のお方ですね(トトの価値観に白目)まぁ物を売ったり買ったりが商売ではありませんからねぇ。えぇ是非ともうまくいきたいですよえぇ。―――スイマッセェン。ちょっとした好奇心からなのですがぁ。私は仕事でここに来た。アナタは?……ソロキャンパーってわけでもなっさそうな?(気だるげながらも少女を見やる。その目はカンテラの明けりゆえか鋭くも見える光が宿っている) 」
難波「……居るんや………流石に初めて見た……こう…丸出しの人狼…狼?いやまあ狼か…イヌ科の耳…(ハイキング気分……とはやや離れた、のどかな景色とは裏腹にやや堅めの出で立ちで二人を遠目に見ている) 」
黒装束の少女「ふむ……案外ぐいぐい来ますね。(面白そうに目細め腕を組む。一瞬、男性に向けられた碧眼が紫かかると、一人納得し大きく頷いた)ああ、それこそ仕事柄ですか。まあ袖すりあってはなんとやら?でしたか、別に話しても良いでしょう。(腰に手を当て、(ない)胸を張り目を細め得意げに鼻を鳴らした)私は『ドロシー』。世界で指折りの才覚を持つ『闇払い』なる仕事をしております(フンスフンス) おや、ひょっこり(難波の気配を察知したのか間髪入れず手招き)ほら、おいでなさい。今私は気分がいい、お茶ぐらいはお出ししましょう。指折りの闇払いですので 」
トト「嘘だど、ドロシーの代わりにだいたいオズが闇払いやってっぞ。俺ぁ詳しぃっだげへげへ(悪びれず朗らかに笑いながら『ドロシー』を名乗る少女の頭を巨大な指先で撫でる)スン…… なっか『アマテラス』に似た匂いすっぞ……あの人間……?なぁなぁドロシー、あれ狐か?(難波を指差し爪先で裾を引っ張りながら) 」
黒装束の男「あ、あ、ああ~~~~!!闇払い!なるほど、合点がいきましたぁ。そうでしたかぁ~。いや、申し訳ないですぅ。細かいことを変に色々考えちゃうのがクセでしてぇ。よく指摘されてしまうんですよぉ。……私は『マークス』。探偵をしております。…とはいっても『名』が付く程の者でもありませんが(ペコ~) 」
ドロシー「『晴明』も言っていたわ。厄なるものは北の方角、『冬』の断片から来り。まあ要するに、ここは『闇』なるものの通り道、そういう霊山というわけ。あまりこういう噂を聞くと大学生がこぞって『フィルム』を持って来るから困り者なんだけど……まああなた達ならいいわ。『そういう機会ないでしょうから』 探偵と言っても『名』ではないのでしょ?ならなおさら、解けない謎に挑まないでしょうし(後ろ手を組んで悪戯な微笑を浮かべる) ?……なにトト、鼻イカレた?彼女は人間よ、あなたの嗅覚より私の眼。なんども教えたでしょ(顎にアッパーを入れトトを後方へ押しのけながら) 」
マークス「まぁそうですねぇ。もう、ふっつーですよふっつー。浮気現場の調査とか犬猫探しとかそういうのハハハ(メソラシー)(喋れば喋る程奇妙な娘だ。いや、少女と話してるような気がしない……大人びた少女、というような雰囲気じゃない) 」
難波「闇払い……初めて聞いたな…紫の炎出したりすんのかな、いや違うわあれ多分 アマテラス…?いやあ、狐の知り合いなら居ますけど私は多分普通やと思うんですけどね、狐って言ったあかんかった気がするけどまあ…良かったか、多分 はあ、探偵……探偵!?(なんかやっぱこの辺色々あるんやな…) 」
マークス「あ、あぁどうも。探偵ですぅ。名探偵ではないのでそこの所はご容赦を。(難波にペコー)まぁちょっと色々調査したりゴミゴミしたりで今月は結構忙しくて…。 」
ドロシー「へぇ……犬猫の迷子ねぇ……(腕を組みつつ一瞬傍に立つトトに目配せ)……。犬猫の迷子ねぇ……今度依頼するかもしれませんね。(うちにもいたわ……と言いたげに目を伏せ肩を上下させる) ああ……匂いの名残ね。眼では残滓まで追えないからこの場合トトが正解だったのか……。 大きいペッ……友達がいるといろいろ気苦労多くな……さそうね、いいなぁ……(どこかどんよりとしながら目をそらす) 」
トト「でえへへでへ、ばっかだだなその犬と猫。人間よりいい鼻あっのに迷子なんて聞いたことねっぞでえへへ(よだれを垂らしながら大口を開け笑う) 」
ドロシー「(お使いに出てきっちり七日間山を彷徨ってやっと帰って来たことあるけど)そうだね…… 」
マークス「あはは、そうですぅ。犬猫とかの捜索もですねぇ。(ドロシーの仕草に合わせチラリとトトを見て)……あ、あのっ、捨てたりしないでくださいね?出来れば捜索にあたりたくないのですが……あと、食べたりしませんよねこのヒト、っていうか人狼?(トトを示しながらドロシーに) 」
難波「まあちょっと、私も人探しの一環でここに来てて……フィルム?確かにカメラは持ってきてますけどねえ職業柄…… 大きいペット?いやあペットだなんてそんな、大事な同僚で……確かに、食べたりとかは……ねえ?(あれ?こんな田舎で人狼に出くわすってこれ典型的なアレなパターンやん、笠間ちゃんで慣れ過ぎやん流石に……警戒心ゼロやん我ながら…) 」
ドロシー「まあなんというか、これの父親をこう……腕っぷしでぶちまかした責任もありますし捨てませんよ(その場でシャドーボクシングをしながら)あと人を食べたりもしません。その辺の仏さんに下剤塗って食べさせたことありますから『人肉は毒』と覚えています。ああこの子赤ちゃんなんで今私言ってること十中八九わかってませんから安心してくださいねあっはっはっは(ゴンゴンとトトの鎧に裏拳を美せながら笑う) 大事な同僚ですか。なるほど同僚というからにはお仕事を任せられる間柄、いいですね手がかからなくてあっはっはっは(ゴンゴンゴン) 」
トト「よくわかんねっけどドロシーが楽しそうでよがっだなぁでへへ(ゴンゴンゴン) 」
マークス「父親をのしたのか……(困惑)え、しかも赤ちゃん!?これで!?あの~ごめんなさい。ちょっと理解が追い付かないっす(白目)まぁ、人肉を食べないって刷り込みをさせているのならまぁ別に(汗フキー)……いや、そういう問題じゃあないかなっ?あれ?(▼マークスは混乱している) 」
ドロシー「トト、話がややこしくなるからあなた先ご飯食べて来なさい(突然ギャグちっくなデフォジト目になり、ぶかぶかの袖から『巨大な弁当箱』を取り出すとノールックでトトへ押し付ける)まあなんというか……この子の種は寿命は長いので知能の発達も少し私達より遅いのですよ、そういうものです、そういうことにしておきましょう(済ました笑顔で『元』待合室と思しきスペースに何処から取り出したのかティーカップを並べていく) 」
難波「いやあ、何時も頼りにしてますよ、本当に色々……うわっめっちゃ殴ってる…そしてスタンスが余りにも凄絶なスパルタ…! あれ?ティーカップ?かわいいですねそれ 」
マークス「そ、そうっすか。私のまだ知らない世界は、あまりに広大であるようだ(悟り)おや、ティーカップ……やっぱり魔術とか使える方は便利ですねぇうん 」
ドロシー「せっかくお越しいただいたのですから、まあこれぐらいのおもてなしはね。私ほどの魔術師ともなればこれぐらい湯を一から沸かすまでもなく一瞬です。あ、なんならそちらの文化に合わせてサービスしましょう(大人気ないぐらい得意げに鼻を鳴らし『杖』らしき木の枝を取り出す)そーれ☆リリカル・マジカルぱわー☆★☆★☆(アキバでよく見るノリを素でやらかし杖を回転させるというパフォーマンス付きでティーカップに魔術を施す)ドボボボボボ あっづあっづ!!溺れる!溺れる!!(高圧シャワーをぶち込んだかのようにティーカップから湯が跳ね返りもろに浴びる形となる) 」
難波「なんでもアリやな魔術……まあそりゃそうか……何てったって魔術やもんな… えっなんかオシャレ……あとちょっと文化圏のギャップを感じるけどこれはこれでかわい……うわあ!事故や!!誰か!!水!! 」
マークス「―――――(湯が跳ね返ってくる瞬間、彼の目はじっと湯を捉えていた。特になにかをする動作はない――――が)―――――スゥ(飛び散った湯が彼を避けて飛んでいっている)…うわアブなッ!(そしてこの一言) 」
ドロシー「ふっ……最近近海でテーテニック号が沈んだけどなんかこう……それっぽかったわ。でも乗り切った、偉大な魔女ですので(全身ぐしょ濡れになりながらドヤ顔)ってなんか普通に避けてるのですが、なんです?異能?ズルくない?(震え声) くっ……せっかくかわいいって言ってもらえるような土地主にふさわしいパフォーマンスができたのに……。グギギ ま、いいか!(けろー)『オズー!』オズー!お茶ー!お客さんにお茶ですよー! 」
マークス「異能?はてなんのことやら(顔プイ)……オズ?まだ他にも人が?(キョロキョロ)) 」
オズ「ス———————— (ドロシーの呼びかけを予見していたのか、それでも『唐突』ながら音もなくテーブルの傍に黒髪の少年が佇む。不気味なまでに清潔感のある丈が長い白地のシャツ、骨と皮のような体型が目立つタイトな黒いズボン、ボサボサの黒い頭髪に影に沈んだ碧眼。中性的、といえば聞こえがいいがどこか浮世離れした風貌の少年だった)—————(音も発さず三人分のティーカップに順に手を添えていく。ただそれだけで入れ立ての紅茶が湯を発し————)—————23回。君にこれを教えた数だ(舌打ち混じりに悪態をついた) 」
マークス「―――――!(ま、またどこからともなく!?)あ、どうも……美味しそうですね。紅茶(実はコーヒー派)あのぉ、もしかしてアナタがオズという方で? 」
ドロシー「あー今お客さんにおもっくそ舌打ちしたー!いけないんだー!(ギザ歯をむき出しにしてオズという少年を指差しやかましくまくしたてる。尚舌打ちされてるのお前じゃいということには気付かない)————フッ、取り乱しました。先程のことは忘れなさい、いいですね?(済まし顔で椅子に腰掛け当然のように茶を口に運んで済ましたキメ顔)ああ、そういえばあなた(難波)のお名前を伺っておりませんでした。改めまして、私はドロシー。こちらは…… 使い魔のオズ。どうぞよろしく(難波、マークスに得意げに微笑みかける) 」
難波「いや濡れてるって言うか思いっ切り熱湯……あっ無事なんや、魔術すげえ……(突然現れたオズに一瞬気付かず、つい二度見する)……?かわいい…?けども…(一瞬出た素の感想から続き、風貌から僅かに逡巡する)…(魔術的なアレな子なんかな…) 」
オズ「『闇払い』だよ。『魔女見習い』の君と違って(マークスの返答にただ小さく、気だるげにうなずきつつ、駅で伝言板に使われていたであろうコルクボードへおもむろに『課題追加』と書き足しながら)教え子に教わる魔女というのはなんなんだろうね。 ああどうも、見習い魔女の師匠がお世話になっております。弟子で闇払いのオズと申します。師匠と違って、弟子で、闇払いの(嫌味たっぷりに引きつった笑みを浮かべいい加減にお辞儀をしておく) 」
ドロシー「だまらっしゃい!!!!そんなふうに礼儀作法を教えた覚えはありませんよっ!!!!(フシャーッッ) 」
マークス「師弟関係なのにそれが逆転しているとはこれ如何に……やはり世界は広いですねぇ。ご存じとは思いますが、私はマークスと言いますぅ。しがない探偵ですう。(ペコー) 」
難波「あっ、難波って言います、興信所で仕事してて…此処にはちょっと人探しに…(軽く頭を下げ)『闇払い』ってこう……位の高い称号というか、位階みたいな感じなんですかね…?かわいいですねなんか 」
ドロシー「あっ違うんです!!なんかこう……称号イコール魔術のレベルとかそんなんじゃないし!!(金メッキどころか濡れたペンキ程度の威厳がぼろぼろ剥がれ落ちあたふたしながら事実をもみ消そうとする)ええ、闇払いと言えば『人的厄災』『自然的厄災』『超常的厄災』の一切を払うべく派遣される『厄殺し』ですから……まあ私なんですけどね!彼私の特権を勝手に使ってるだけですから!へんだ!私の方がすっごい魔法使えるもんね!!(くわっ)あと私の方がかわいいし!! 探偵的目で見ても私の方がすっごい優秀でしょう!そうでしょう!(マークスに眼で訴え、難波の肩を掴み揺する) 」
オズ「(我関せずという態度を一貫して通し、改札を素通りしてどこかへ行ってしまう) 」
マークス「ゆ、優秀かどうかはどうも。私名探偵ではないので……(お湯をミスった彼女と一瞬で紅茶を出した彼と比べてもなぁ)(彼女を見る目からして最早一目瞭然と言ってるようなものだった) 」
難波「あー……色々種類があったりとかで、なんか役割があるんですね、私こういうの知らなかったから勉強になります、もしかしたらそのうちお世話になるかもしれな……あっかわいいと思います!本当ですよ!!本当!11(肩をガンガン揺すられ) 」
ドロシー「へーっ!?お茶を!お淹れします!大魔術師ですって!?へー!?お茶を一瞬で入れたら大魔術師ですかそうですかー!魔術って家事なんですねーっ!へーっ!!まー私ならあなた達を元の時代に戻してあげるぐらいお茶の子さいさいですがー!?(某アクア様ばりの顔芸でマークスにも食ってかかる) あ、ほんと?そっかぁやっぱり難波さんは上司がいい探偵なんですねぇ。人を見る目、これが寛容ですおーけー?(唐突な猫なで声で頭を撫で今日一番のいい笑顔) 」
マークス「え、えぇぇえ!いや、別にそんなこと言ってませんケド!?(あたふた)てか、ナチュラルに心読まないでいただきたい。……ん?元の、時代?(小首を傾げて) 」
難波「色々あるみたいですし魔術ってほら、何か色々…それこそ紫の炎とか…ああ、上司と言うか……でも多分良い探偵なんだと思いますよ、なんか昔凄かったみたいなのも聞きますし……大事ですよねえ人を見る目……っていうか元の時代?ん?今って〇〇年ですよね普通に 」
ドロシー「ああ、まあ……ここは『そういう場所』ですから。『箱に入れた猫』を境に何が流れ着いてもおかしくありませんし(うっっかりしてたと言わんばかりに掌で拳を弾ませ)まあ私がどうこうするまでもなくお迎えは来るでしょう。肉体と魂は引かれあうのですから————あっ(それがなんでもないことのように茶をすすりつつ、線路を指差す) 」
————————■番ホームに快速ゥゥウ……東部中央行きぃィィィ 特急がァァ参りますゥゥゥ…… 」
『雨』が降り注ぐ。『ドロシーの家』のように扱われていた駅の景色から、その生活感さえもが消えていた。駅名標錆つき、爛れ、ありとあらゆる部位が錆つきこの場所そのものが目に見える程に急速な経年劣化『腐食』していく
ドロシー「雀が鳴いたならさようなら。私達はもういないけれど、この場所は私達を覚えている。探偵さんとそのお手伝いさん?あなた達がふと好奇心に身を任せて道に迷ったならきっとまた、この場所に似たどこかに辿り着く。けれど大丈夫、この土地が覚えている『私』はきっとあなた達を送り届けるのでしょうから(『コールタール』で満たされたティーカップを傾け、中身を捨てながら朗らかに微笑みかける。この状況に似つかわしくなくただただ穏やかに) 」
難波「……!!ガタガタッ(明らかに異常な光景、異常な時間の流れ…流石に危険を察知したのか、慌てて立ち上がり周囲を見回し、再度ドロシーを見)……コーヒー…じゃない…!?あはは、なんか…そういう土地って事… 」
マークス「――――ッ!?(な、なんだあの雨は!?)(彼にとって、これがもしかしたら"始まり"だったのかもしれない。腐食を招く雨を目の当たりにし、コールタールの入ったティーカップをさも当然のように扱う不思議なドロシー。彼の中にある探索欲と恐怖心が刺激されて複雑な感情を呼び起こしていく)……これは一体?なぜ?いや、私は確かに地図の通り、車で来た、……それなのにブツブツ…(若干虚ろな瞳で) 」
ピンポーン ピンポーン
『よく要する見慣れた』列車がホームへ停車し、自動ドアが開く。車内ではマークス、難波が床に横たわっている他ならぬ駅にいる二人が、その光景を社外から目の当たりにし———————— 」
山をも超える異様な高波、『超常的質量』を持ったコールタールの塊が視界を覆う。これが、彼、彼女がこの日この場所で見る最後の光景だった 」
ドロシー「——————どうぞ健やかに、よい未来をお過ごしください。その為に私達は駆け抜けたのですから 」
———————— 陽光が頰に当たる感触で目覚める。いつ眠って居たのか、そもそも何故そこにいるのか思い出せない。ただ、先までドロシーという少女と対面して居たはずという実感を伴って目覚める。しかし、彼、彼女らが『現在』『腰を下ろしている』ベンチは、頻繁に利用する駅、通勤経路にあるいつもの場所。目の前にあるのは紛れもなく『朝』を迎えた日常の光景だった 」
マークス「――――ここは……(周囲を確認するも、どれも見慣れた光景。見慣れているからこそ、あまりに異質。この矛盾が彼の心を捉えて離さないでいた)ドロシー・・・彼女は一体。ん、雨……雨、雨? なんだ?なぜ私は雨を気にしている?なぜ雨が?(本日は晴天なり。しかしマークスは雨というワードがどうも気になり上空をしきりに見上げていた) 」
難波「……?いやいや、寝てたんかな…なんか嫌にこう……生っぽい夢見た気がする……ふあぁ……寝つき悪いしなあ、でも今日は……そう!人探しで遠出しなあかんのに、早く帰れたらええんやけどなあ、遅れて合流するって言ってたけど……(ある程度の"慣れ"からか、あっさりと夢だと解釈し、ただ電車を待つ)…夢にしてもなんか……でも今ここ居るしな今私これ… 」
マークス「雨、雨、雨、雨、雨、雨、雨、雨、雨……気になる。気になるぞ……なぜ雨と彼女を結び付けてしまうんだ?私の探偵としての感覚が何かを告げているッ!知らねばならないッ!この謎をッ!(ブツブツ) 」
ヒュオ——————(台風の余波のような突風が吹き抜ける。以降は静かだったが、バス停の駅名プレートがホームに転がった。—————) 」
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最終更新:2023年04月02日 19:22