変革の奪還者(チェンジゲッター)!激闘!!親衛隊への誘い!(前篇)

バキッ!!

――目の前のチンピラ共をノしながら思う

ベキッ!!
グシャッ!!

――物足りねぇ

ドスッ
ガシャァァァァァァン!!

――もっと、俺を楽しませろよ!!




変革の奪還者(チェンジゲッター)!激闘!!親衛隊への誘い!





「す……すいませんでしたぁぁぁぁぁ!!ひぃぃぃぃぃぃ!!」

ビビったチンピラどもが蜘蛛の子ちらしたように逃げて行きやがる

「おいこら、逃げんじゃねぇ!!……ったく……」

ギュルルルルル……

「……動いたら腹が減ったな」

行きつけのラーメン屋へと向かう。このレゼリア国上層部繁華街の隅っこ、汚ぇラーメン屋だ

「よォオヤジ、相変わらず汚ねぇ店だな。繁盛してるか?」

店に入り、皮肉を言う

「紅蓮か…汚ねぇ身なりのお前が言うんじゃねぇよ。またツケか?返り血があるとこを見るとヤクザから分捕った金か」

「何だっていいじゃねぇか、とりあえずラーメン頼むぜ」

古ぼけた椅子に腰掛ける。ギシギシ言いやがる

「こっちは何だってよくねぇんだよ……ったく、しょうがねぇ奴だな」

「全く参ったもんだぜ、どいつもこいつも逃げちまって面白くねぇんだからよ」

「…お前は変わらんな。お前が親父さんを半殺しにした時から何も変わらん」

――まだ覚えてやがったか、だが俺が変わらねぇのはあの時からじゃねぇ。俺はずっと変わってねぇ
俺はガキの頃から空手をやっていた。親父が空手道場の師範だったからだ
闘うのは好きだった。だから空手も最高に面白い娯楽だった。だが気に入らねぇのは、途中で審判に横槍を入れられることだ
こっちは戦うのを楽しんでるってのに、途中で止められちゃつまらねぇ。俺はそれが大っ嫌いだった

「お前は子供の頃から目ん玉ギラギラさせてた危ねぇ奴だったが、まさかこうまで馬鹿だとはなぁ」

あの日の試合もそうだった。強い相手だった、最期まで戦いたかった…邪魔されんのは許せなかった
だから止めの合図がかかっても打ちのめした。邪魔しに来た審判もぶちのめした。相手方の選手も自分方の選手も俺の親父も
邪魔する奴は片っ端からぶっ飛ばして半殺しにした。あの時は最高に楽しかった、俺は戦いの中に居たんだ
その後俺は親父から勘当されて、ヤクザから借りた金を踏み倒すことで生活してる
ヤクザどもやその手下のチンピラどもが毎日のように襲ってきやがる毎日だ。これはこれで中々面白ぇんだがな

「っておい、誰が馬鹿だって?」

「……ほれ、一丁上がりだ。食ったら帰れよ、店ン中で揉め事を起こされちゃ堪ったもんじゃねぇ」

「急かす様なことを言うんじゃねぇよ。飯くらいゆっくり食わせやがれ」

麺を啜る。相変わらず微妙な味だ。だが俺に飯を素直に食わせるのはここくらいしかねぇからな
インスタント麺といい勝負なラーメンを啜りながら考える
そう、この生活はこの生活で面白ぇが……物足りねぇ。どっかで満足し切れてねぇんだ

ガシャァァァァァン!!

扉が破られる。…やれやれ、また来やがったか

「見つけたぜ、流火ィ!!今日こそ借金返して貰うぜ、利子含めて1000万だ!!」

「んな金はねぇよ、性懲りも無く殴り込んできやがって。戦るか?あぁ?」

自然と口元が釣り上がるのが分かる

「上等だ!もう泣き寝入りはしねぇぞ、いくらテメーでもこの数相手に出来るかよ!」

テカの数は……なんだ、10ちょっとじゃねぇか。おまけにいつもの雑魚だ、それで俺に勝つつもりか?

「ここでおっぱじめるなよ、店が壊れちまわぁ」

「わーってるよ!オラ、どきな!!」

椅子を出入り口でたむろするヤクザ共に投げつけ、ビビって身を引いたとこに突進して店外へ出る

「チッ!追えテメーら!逃がしたら承知しねーぞ!!」

「やれやれ……やはり、アイツが来るとロクなことにならんな」

繁華街の隅でも、特別人通りの無い通りへと出る。ご苦労なこった、全員しっかりついてきてやがる

「うーし、ここなら思いっきりやれるな。かかってこいよ、悪人共」

「アホ抜かすんじゃねぇ!借りた金返さねぇで踏み倒すテメーのほうが悪人だろうが!常識で考えろ!」

「おいおい、ヤクザに常識問われちゃお終いだな」

片眉を吊り上げて惚けた顔をして見せる

「ふ、ざ、け、やがって…!おい、やっちまえ!!」

テカの数人が一気に襲いかかってくる。動きがバラバラだ、それで俺を倒そうってんだから一周回って面白ぇな

「オラァ!!」

正面の敵を正拳突きで一撃。ゲロ吐いてぶっ倒れる

「でぇりゃぁぁぁぁ!!」

両サイドから来た奴らの頭を引っ掴んでお互いにぶつけてやる
後ろから来てんのが丸分かりだ、後頭部で頭突きをかましてぶっ倒す

「温いぞテメーら!もっとガンガン来やがれ!!」

突き出されたナイフの刃を握って腕ごと捻り上げ、蹴りを入れる
引き抜いたナイフを投げつけ、怯んだ所に飛び蹴りをかます

さて、次にどこから来るかと構えていれば……なんだ、何処からも来ねぇじゃねぇか

「どうしたァ!威勢が良かった割にもう終わりか!」

「馬鹿を言うんじゃねぇ!!おいテメーら、早くやっちm……ん?」

ヤクザのテカの数人が兵士みたいな格好の奴等にとっ捕まってやがる。なんだ、邪魔が入りやがったのか…?

「…おやおや、ヤクザの抗争かと思いきや一般市民を虐めているのか?それはいけないな、しょっ引かねば」

現れたのは騎士みてーな格好の女と、数人の兵士の格好をした奴ら……軍の奴らか

「なんだテメェら、公僕か?邪魔すんじゃねぇよ、こちとら取り込み中……」

「か、か、か……神殺しの、光姫!?じょ、冗談じゃねぇ!!」

偉そうにしてたヤクザが逃げていっちまいやがった。なんだありゃ、随分態度が違うじゃねぇか

「やれやれ、助かったなキミ。ヤクザに虐められていたのだろう?」

女が馴れ馴れしく話しかけてきやがる。歳は同じくらいか?

「あぁ?冗談抜かしてんじゃねぇよ」

「うむ、冗談だ。実は用があるのはキミにでね。正直あのヤクザ共はついでだ」

フッと女が笑う。俺に用たァどういうことだ?

「俺ァ人様に迷惑をかけた覚えはねぇぜ、せいぜいヤクザの借金を踏み倒してるだけだ」

「それは充分な理由になるのではないか?まぁそれも理由に込みだ。キミの素行は国内で問題になっていてね」
「街中でしょっちゅうヤクザ達と争われているとね、国民達から苦情が来るんだ」

「しょうがねぇだろ、アイツらが場所を選らばねぇだけだ」

「まぁまぁ、それはそれとしてだ。キミのことを放っておくのも厳しくなってきたんだ、キミを処罰するとまで言う過激派も居てね」
「そこに軍の強化を図る一派が口を出したのさ、キミを戦力に加えようとね」

「あ゛ァ!?なんだそりゃ、つまり俺を軍に入れるってことか!?冗談じゃねぇ、俺は今の自由な生活が気に入ってんだ!」

「困るな、申し出を受けてくれなければキミを処罰しなければならなくなるんだが」

「それもお断りだ、痛い目に遭いたくなきゃ諦めな」

「……さて、痛い目に遭うのはどちらかな?」

………ッ!! 女から純度の高い殺気を感じる……なんだ、面白そうな奴じゃねぇか!

「上等だ、どうせなら戦ろうぜ。俺が負けたら軍にでも何にでも入ってやらぁ!!」

「ほう、言ったな?その言葉に嘘は無いだろうね」

引っかかったと言わんばかりに笑みを浮かべやがる。勝ったつもりで居やがるか

「おうよ、どうせ俺にその気がなくても負けたら無理矢理入れさせんだろ?」

「ふむ…まぁ、その通りだな。では始めようか……あぁ、下がっていてくれ。危ないぞ」

女が数人の兵士どもを帰らせる。残ったのは3人程度か。光姫……とか呼ばれてたな、どうやら割と軍の中じゃ偉いらしい
それなりに実力はあるんだろうが…どうせ入らされたって隙を見て逃げ出しちまえばいい。どっかの国で好き勝手やらせて貰うとするか

「女だからって手加減しねぇぜ、泣いて詫び入れるなら許してやるけどな」

「フッ…遠慮は無用だ、胸を貸してやるからどんとぶつかってくると良い」

光姫が拳を構える……あん?ちょっと待て、拳だァ?その刀は使わねぇつもりか?

「テメー…拳で俺と戦るつもりかよ?調子に乗ってっと大怪我すんぞ?」

「なぁに、フェアプレー精神と言うものさ。いくらなんでも丸腰と刀では分が悪いと思ってね」

ふざけやがって、化け物みてーに筋骨隆々としてるならともかく、それほどでもない女が俺の拳を受け切れるもんかよ……!
ったく、白けるぜ…ワンパンで終いだな

「後悔すんなよ!行くぜぇぇぇぇぇぇぇ!!」


バシィッ!!



中篇に続く

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最終更新:2024年04月11日 00:49