「後悔すんなよ!行くぜぇぇぇぇぇぇぇ!!」
俺は猛然と突っ込み、光姫に拳を突き出す
バシィッ!!
そして俺が聞いたのは、俺の拳が空を切る音でも無く、かと言って頬骨を砕く音でも無く――
「フッ……この程度か?存外、大したことは無いんだな」
――俺の拳を、光姫が受け止める音だった
ガッチリ固定されてて……動かねぇッ!?
「では今度は、私から行こうか」
俺の拳を握ったまま、光姫が蹴りを繰り出してくる……くっ、速ぇ!!
咄嗟に空いてる方の腕で蹴りを防御する
ビリビリ痺れやがる……なんて重い蹴りだ!本当に女か!?
「ほう……見事受け切ったな、上等じゃないか」
光姫が不敵な笑みを浮かべて俺の拳を開放する……馬鹿にしやがって!!
「ふざけてんじゃ、ねぇぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」
何十発と乱打を浴びせる、こんだけ殴れば幾ら何だって……!
「はっはっは、なるほどなるほど。拳速はやはりなかなかのものだな」
……全て受け止められた。なんなんだ…!?たった二本の腕で俺の乱打を浴びれば、耐えられずに腕が折れるのが普通だってのによ…!
「ほら、呆けている暇は無いぞ?」
さっきの俺と全く同じ乱打を光姫が繰り出してくる…!
「クソッ……!」
ガードの耐性をとって腕で乱打を受ける。拳も、重い…!こんな奴、初めてだ……!
面白ぇ……そうだ、面白ぇじゃねぇか!!
「クックックック……はっはっはっはっは!!」
拳、肘鉄、蹴り、膝蹴り、頭突き――ありとあらゆる打撃を加える
だが、相も変わらず光姫には届かない……面白ぇ、面白ぇ!!そうだ、俺はこういうのを待ってたんだ!
自分の中の何かが滾るのを感じる、力が溢れてくるみてぇだ……!!
「どぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「―――ッ!!」
腰を落とし、渾身の正拳突きを打ち込む
またしてもガードされたが、光姫の身体はズザーッと音を立てて衝撃で後ろへと後退する。ガードも弾いて空いた
「まぁだまだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
咄嗟に距離を詰めてガードの隙間に拳を入れる
「くっ!!」
バキィッ!!
音を立てて吹っ飛ぶ……俺。モロにカウンターを喰らっちまったらしい
空中で一回転して着地し、口を伝う血を拳で拭う
「へっ……今ので咄嗟にカウンターを入れてくるたァやるじゃねぇか、隙を突けたと思ったんだがな」
「フッ……正直、驚いたよ。まるで戦う中でどんどんと強くなっているかのようだ」
「まだ余裕綽々って感じじゃねぇか。上等だ!!」
光姫に向かって突っ走る
「また馬鹿の一つ覚えかい?通じないのはそろそろ分かっただろう!」
「コイツを先に使うのは、気が引けるんだがな!吠え面かかせてやるぜ!!」
突っ走る途中で飛び上がり、服の裏地に張り付けてある斧に手をかけ…
「トォマホォォォォォォォォォクッ!!」
「ブゥゥゥゥゥゥゥゥメランッ!!」
二本の斧を光姫に向けてぶん投げる!
「…!チッ……!!」
光姫が刀を抜き、斧を刀で弾き飛ばす
だが、弾き飛ばされた斧は俺の所に返ってくる。ブーメランだからな!!
「でぇりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
光姫の真上から落下し、頭上で両手のトマホークを思いっきり振り下ろす
「…っ!おぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ギィィィィィィンッ!!
メキメキメキッ!!
光姫が刀でそれを受け止め、衝撃で光姫の足元の地面がひび割れる
「どてっ腹、かっ捌いてやるぜぇぇぇぇぇ!!」
光姫の頭上から飛び退き、正面から斬り込んで斧を振る
「フッ……!」
俺の振り下ろす斧はことごとく光姫の刀で軌道を上手く変えられ、光姫に直接届かない
何度も刀で受けてくれりゃぁ圧し折る自信はあるんだが、上手くいかねぇもんだな!
なら……これならどうだ!!
「ブゥゥゥゥゥメランッ!!」
片方の斧を光姫へと投げる
「はぁっ!!」
投げつけた斧は刀でいなされ、光姫の後方へ飛んで行く
「フッ……もう驚いたりはしないさ、さすがにあの奇襲には少々驚いたけどね」
「無駄口叩いてる暇はねぇぜ!!おらぁぁぁぁ!!」
片手だけになった斧を振り下ろし、光姫がそれを刀で受け止める
「両手斧はさすがに受け切れないが、一本なら話は別さ」
「ぐっ……!!うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ギギギ、ギギギギギと音を立てて刃で競り合う
「フッ……さすがのパワーだ、だけど……私には通用しない!」
光姫が押し返してくる……ククッ、案の定こっちに夢中になってやがるな
「クックック……言っただろ?『ブーメラン』だ、ってよぉ!」
さっき弾かれた斧が俺の元へ…光姫の背後から衰えない勢いで迫る
光姫も飛んでくる斧の風斬り音で気づいたらしい
「死にやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
思いっきり力を込めて斧を押し込む。前に集中すれば後ろから飛んできた斧でお陀仏、後ろの斧を弾こうとすれば俺がドタマをかち割ってやる!!
当然横への動きだって想定してる、今更迂闊に横に動いてもジリ貧なのは分かってる筈だ!
さぁ、どうするんだ光姫!!これで終わりか!!
「……フッ、参ったな……実に楽しい。ここまで私に健闘したことを讃えよう」
「そして、恐れを知らぬ君よ、圧倒的な力量差に絶望すると良い!!」
―――ボウッ
最終更新:2024年04月11日 00:50