ドラマヒント集、題して『新聞の小見出し』

先に明言しますが、どれがどのキャラのドラマのヒントかは言いません。

世間にはさして注目されることのない、新聞の小さな見出しや売れないゴシップ誌の、小さな物語、或いは物語の鍵たち。



見出し 1『怪奇!謎の宗教団体の実験か!?暗黒城跡地に潜むもの』


―――月―――日、物好きな冒険家と知られる―――氏より、崩壊した暗黒城跡地から、何かが崩れるような音がする、との報告があった。
氏曰く『何か怪しい宗教団体があそこに眠る死体とかで実験でもしてるのでは、ああ恐ろしい』とのこと。
この件については近日、本社の調査隊が調査予定だ。続報を待て。


見出し 2『謎の影絵!廃墟に暮らす絵師?』


―――月―――日、廃墟好きの―――氏が寄せてきた情報に、デデデ城跡地に人間の影絵のようなものがあった、との報告があった。
なぜ、このような所に影絵のようなものがあるのかは不明であり、気味が悪くなった氏はすぐさま退散したとのこと。
ただ、氏曰くこの影絵は何故かカタチが変わったような気がしたとのことだ。


見出し 3『旅する光球?UMAの日替わりツアー?』


―――月―――日から、各地の一部の場所から謎の光球が行き来しているという目撃情報が相次いでいる。
寄せられた報告によると、月曜日と土曜日には、かつてマイテイ国があった荒れ地に。
木曜日には氷山の方向へ、金曜日には天上山へ決まって光球は向かっているとのこと。
その他、West・D・Landにある、世界を闇に沈めようとした者の本拠地と言われた場所や、South・M・Landのとある洞窟の方へ向かうのを見たという証言もあるが、確たるものではない。
この光球の正体は何か?もしかしてUMAがこの世界を調査しているのではないか?という不安の声が相次いでいる。


見出し 4『各地を巡る不穏な黒い影』


―――日、未明から各地の上空を飛んで回る謎の人影を見た、との報告が寄せられた。
目撃者も多数あり、真っ黒い人影のようなものとしかわからなかったことや、何か怪しげな小言を呟き続けているとの報告から、政府はこの人影を追うことを発表した。
しかし、未だ足取りは掴めておらず、今後の進展が待たれるばかりで、市民の不安の種は解消されていない。


見出し 5『世界が誇るアコーディオン弾きの行方』


―――氏といえば、世界屈指のアコーディオン弾きで名高い貴族だ。
しかしそんな氏が、極度のお人好しであることもよく知られている。
彼はコンサートで凄まじい稼ぎをあげていてなお、親切が過ぎてお金を貸したせいで借金に追われているのは有名な話。
そんな氏が、現在行方を眩ませているとのこと。
一説では、借金を払いきれずに子どもと妻を連れて夜逃げした、ともされる。


メモ帳の切れ端 『新たな被験体について』


―――より、こちらの管理下に置かれている被験体について書き記す。
名前:正確なものは不詳
性別:女性
年齢:20~30までと思われる
種族:人間のそれと一致
身長及び体重:女性にしては高く、それ相応の重量
誕生日など:不詳
任務成果:非常に優秀
好む及び嫌う:好き嫌い等は特に見受けられない
3サイズ:女性にしては非常に平坦かつ、スレンダー
武器:多彩な魔法を剣に宿して闘う姿が見られる

記憶の状態があやふやで、その多くが欠落していることから、こちらに護送されるまでに何らかのトラブルがあったと見受けられる。
彼女の周辺では妙に――が安定するため、こちらの部署へ任される運びとなった。
引き続き、監視及び実験を続け、成果を定時報告に記載する。


見出し 6『政府の闇、『掃除人』へ迫る』


この度、本誌は最後の発刊となるかもしれないことを先に謝罪しておこう。
本日は、黒い噂の絶えない『政府軍』の最も深い闇、一説にいると囁かれている『掃除人』に迫ろうと思う。
その存在がまことしやかに囁かれる『掃除人』、その実態は死体処理の超エリート集団とも、軍人下りの部隊とも、ネクロマンサー集団とも言われる。
本拠地は不明であり、曰く親元である政府軍ですら知らないと言われているとか。
元政府軍からは、一時期は砂漠の方面から来ていた事があったとも、森林方面から来ていた事があったとも言われており、正に掴み所がない。
本誌では、この双方へ調査隊を送り込み、全力をもってこのヴェールを剥ぎ取ろうと思う。
次の新刊を出すことがあれば、特大号は間違いなしだ!みんな、買ってくれよな!


見出し 7『惨劇の前夜』


今から数百年前より、今もなお現れる災厄の魔女が突如として現れたのは様々な文献で取り扱われている。
だが、本誌ではその前夜に何かがあったのかもしれないと思い、これを調べあげた。
結果として、哀しい事件が災厄の魔女が現れた前日に起こっていたことが明らかとなった。
―――魔法学校と言えば、今も続く名門魔法学校なのは広く知られていることだ。
その年の魔法学校には、稀代の天才と称される女学生が在学していた。
名を『ファルサ・ノクス・ミストラル』と言い、有名な魔法使いの家系の者だ。
彼女は類まれなる才能の持ち主で、まだ二年目だというのにも関わらず幾つもの最上級魔法を行使することができるという。
しかし、それだけの天才は当然ながら恨み嫉みを受ける格好の対象であったようで、憧れる者も多ければ目の敵とする者も多かったという。
そして、魔女の現れた前夜の出来事は、そんな彼女を恨むグループの過激派が彼女を集団で攫い、性的暴行や暴行を行ったとされている。
その上、彼女のボーイフレンドであった男性も巻き添えに合い、死亡してしまったようだ。
しかし、そんな彼女が幾ら稀代の天才とは言え、数百年も前の人物であるからして彼女が生きているとは思い難い。
結局、謎は深まるばかりの結果に終わった。


見出し 8『心優しき領主の変貌』


South・M・Landの一部を治める、オリエンス・トリスティス侯爵といえば、古き時代の貴族制度が今も残る珍しい領地の領主で有名だ。
貴族制度にはいい印象があまりないが、誤解することなかれ。彼は領民からの信頼の厚い心優しき領主だったのだ。
噂による所、自分の命よりも大事にしている愛娘を猟奇殺人犯に殺されてしまい、その日よりおかしくなってしまったとのこと。
それからの彼の動向は、その多くがもみ消されているようで掴めない。
しかし、領民の一人から話を聞くことができたため、その内容を聞く限りだと、彼はあれから借金のカタに幼い娘を奪っていくようになったという。




それぞれの物語は、果たして悲壮なる叫びにて終止符を打たれるのか。

それとも、歓喜の叫びに呑まれ、平和な終わりを迎えるのか―――

その鍵は、これを見ているあなたが握っているのかもしれない。

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最終更新:2024年04月11日 03:07