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― トレーニングルーム ―
ガァン、ガァン、キン、シュ、カァン、ザン、シャ!(金属のぶつかり合い、そしてレザーアローが顕現し飛翔する音、それらが入り混じる神速の場にて一人の少女が鍛錬として、ひとりの男と剣を交えていた)
葉月恋「ハァ!(細身の近未来的なアーマーに身を包み、武者のように立ち向かう。太刀を振るい、レーザーアローの射出機を本物の弓矢でそうするように構え)ビュン! (三連、射出) 」
剣仙・一心「(CROWNEDにおける七位。次元すら渡り歩く剣聖。葉月恋の願いを聞き入れ鍛錬として剣を振るっていた)ガァン、ガァン、ガキン!(弾く、弾く、ひたすら弾く。遠距離攻撃も近距離攻撃も、あらゆる間合いも関係ない。ただそつなくひたすら弾いていく)……どうした。息が乱れておるぞ? それで敵に勝てると思うか? 」
葉月恋「ま、まだまだ!(ダメ、1時間も動いていたから、眩暈が……)でも、諦めません。負けるわけにはいかないんです。ここで止まるわけにはいかないんです!(レーザーアローを引き絞り、一心の額に狙いをつける)やっ! 」
剣仙・一心「ヒュン(首を傾け、レーザーアローを回避)ヒュン!(一気に肉薄。刀を振り上げ唐竹割りを繰り出そうとしたが)ぬっ!!(途中でやめる。その代わり彼女を抱きかかえ、支えた)……気を失ったか、小娘が無茶をしよる……(トレーニング中止。待合室のソファーに寝そべらせ、自身は近くの床に座り瞑想。しばらく待つ) 」
夢をみた────
歌を歌って、踊って、笑って────
でもいつからか、手に持つのはマイクではなく────
"戦う道具"になった────
歌は号令に、踊りは戦技に────
喝采は断末魔に、ドレスや化粧は、返り血に────
スクールアイドルは、戦乙女に。スクールアイドルは戦女神に。私たちスクールアイドルは、血の上でこそ……輝く────
葉月恋「……ん、夢かぁ。なんだか、凄く、楽しかったような。(身を起こすも現実感がなく、ややぼんやりとした感覚の中で周囲を見渡していた。そして見覚えのある座り姿に目を見開いていく)……あ、一心殿。これは、お見苦しいところを!(アセアセと) 」
剣仙・一心「……(葉月恋に背を向けるようにあぐらをかきながら、買った日本酒を飲み)うなされておったな。楽しい夢ではなかったか?まぁ、夢など大抵ろくでもない。 」
葉月恋「…昔を思い出していました 」
葉月恋「…昔を思い出しておりました。まだ、舞台で歌や踊りをしていたあの日。でも、いつしかワタクシたちは武器をとるようになりました。それが、後続にできる貢献であると。 」
葉月恋「いつしか大戦にも参加して、でも、仲間の多くが────。あぁ、いえ、すみません。このようなこと人様に聞かせるべきではないのに。 」
A・マルガレーテ「──シャカ、シャカ(ヘッドホン越しにかつて好きだったナンバーをかける。QUEEN『Teo Torriatte』。洋楽には珍しく日本語を使った楽曲。サビ部分後半からフレディ・マーキュリーが日本語で歌う。全体はさることながら、その日本語の文章の部分も詩的で美しく、心を締め付けるほどに耳介に染み渡っていく、はずなのだが)………………(ノイズ。あれだけ好きだった音楽はすべて彼女の前には意味をなさない。すべてが滅裂な音の流れ。心は動かず、情熱は氷点下まで下がる)………(やがて歌は終わり、彼女の中に虚無が残った) 」
A・マルガレーテ「(倒されていくかつての仲間たちの哀悼を込めるほど慈悲深くもなければ、鎮魂を奏でるほどの気力もない。心と体を蝕む虚無を殺意と闘志に変換しながら宙に向かって手を伸ばすと)────ブブブ、パシィ!!(二進数の波紋から現れた時計にも似た謎の物体。そこには描かれるべき紋様はなく、逆に砕け散るさまが描かれた破滅の暗黒があった)────さぁ、地獄を奏でなさい(それを握りしめたままサムズダウン。生き物のようにうごめく鋼鉄の名は────『エターナルゼクターウォッチ』。彼女がいた次元にのみ存在するユナイタルウォッチの亜種) 」
最終更新:2025年07月30日 16:38