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数々の乱入者を退け駆け抜けていく
肆々玖たち一行。
長い永い迷宮の通路をを駆け抜けて、ついに――――
― カーディナルゾーン・第三区画 ―
ミツキ「……!あれ…っ…?なんだか開けた場所へ来たっぽい…?ということは…もしかしてミツキたち、先に次の区画へ到達できた…ってことォ…!?やりましたよ先輩!やはり先輩の持ってる業運が引き寄せた結果なのですね!やっぱり先輩と一緒に来て正解でした!ミツキ、どこまでもお供しますからね…♪ 」
ザリ…チャリ…――――――(ようやく第三区画へと到達した一行の前方より、彼らの出現を待ち構えていたかのように現れる影が複数。その姿を現し始める――――)
ヴァロナ「―――――― ザ リ ッ (一人は、ペストマスクに素顔を覆い隠した黒衣の人物。既に右手に握られた汎用霊装『 Etc.《エトセトラ》 』の凍てついた刀剣が握りしめられ、やってきた
ヒサメたちを始末しようと殺意を剥きだしていた) 」
21号「――――― チ ャ リ ッ … (一方は、白銀の髪を揺らす人造人間の少女。獰猛な鉤爪を垂れるような構えで態勢を維持しつつ肆々玖たちを迎えるが…)…………(しかし、隣のヴァロナとは異なり、最初に出会った頃の殺意はあまり感じられないように見受けられる。それどこか、彼らと合いそうになった視線を自ら逸らし始めていた) 」
肆々玖「運と言うには曰く付きだろう。あと、地獄までは付いてこなくて良い。俺の行く先はどうせ多分そこだ。(前に並び立つ影を見据え、ゆっくりと呼吸する)……迷っているのか?あんたは。(そして、逡巡を見せた21号を真っ直ぐ見据える) 」
ヒサメ「アンラッキ――――――♪ 色男<ルシオン>の側近じゃん。最短ルートを精鋭で固めて順当にすり潰す、常套手段だし普通にハズレ引いたんじゃないかな。ウサギとカメってこういう時に思い出すべき奴だったんだなぁ(赤青、対になる二刀を回転させ逆手持ちにし両腕を前に突き出す。床を向き垂直に立てられた刃を介してヴァロナを視界に収め、スコープで照準を定めるようにして目を細める) 置いてきて……あーいや、預けてきて正解だったかもだ。先に、キミは、『無かったことにしたい』 」
21号「………"迷って"…いる…?21号が……?(自らに渦巻く不可思議な感情に言い当てられた言葉に、胸元に視線を落とす)……分からない。だけど…貴方たちを始末する… それが21号の使命… だから……―――― ジ ャ キ ィ ン ッ (交差した両腕を振り抜き、鋭利な黒爪を長く突出させる) 21号、アナタたち、始末…する。それしか、考えられない…(構えられた戦闘態勢。しかし尻すぼみになっていく弱弱しい声音に闘志も殺意も追いつていないように感じられた) 」
ミツキ「先輩といっしょなら、例え地獄でも天国でも……って、ひぃぃっ!?ちょ…っ、聞いてないんですけどー!?(待ち構えた精鋭にわざとらしく驚愕を表現しつつ、溜息をつきながら改まった表情で自身のレイピア型固有霊装を手に取り始める) 」
ヴァロナ「………―――― チ ャ キ リ ッ (迸る冷気は対峙する者の闘争心でさえも凍てつかせるように、無駄も躊躇もない殺人剣の構えを取る黒衣の人物がヒサメにその切っ先を突きつける) 」
ミツキ「で、でもぉ…?相手はたった二人だしぃ…戦力差で言っても圧倒的にこっちが有利なわけで―――― 」
ザッ ザッ ザッ ザッ (軍靴のような進撃する音が、次第に強く反響されていく。何かが、大群が、迫ってきているのを感じる―――――)
ヴァロナB群『 ザッ ザッ ザッ (―――― それは、彼らを騒然とさせる光景 )』
ヴァロナC群『 ザッ ザッ ザッ (―――― 暗黒より次々と現れるのは )』
ヴァロナD群『 ザッ ザッ ザッ (―――― ペストマスクと黒衣に全身を覆った集団 )』
ヴァロナE群『 ザッ ザッ ザッ (―――― その全員が様々な色を宿したマスクと固有霊装の刀剣を所持していたのだった )』
ミツキ「………………ウソでしょ………… 」
ヒサメ「―――――(瞳が凝縮、瞳孔が開き明確な嫌悪感を顕にする。) うーーーわ……ハハッ、やっぱり科学の力って……きっっっっしょくわる……… 」
肆々玖「そうだな、こいつ等はニルともう一度突き合わせたくない―――終わらせよう。”暁の祈祷<ルエゴ・アルバ>”ッ……"フェーズ:2<セグンド>"!!(呼吸は曙色を帯びて、激しく輝き―――身に纏う。)……数が並んでも、やるべき事をやるまでだ。 」
ヴァロナ『 ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ (黒衣の軍勢が、蟻の大群が如く、獲物を貪りに迫る―――――)』
――― Vs. 【 エゼルダーム】 21号&ヴァロナ群 ―――
ヴァロナB群『 フ ォ ン ッ (それは宛ら軍隊による進撃。殺意のみに突き動かされた冷酷無情の人形たちが肆々玖へと肉薄する。彼に差し向けられた数は5体。瞬く間に彼を包囲するや否や攪乱するような挙動で空間を駆け抜け、その手に握られた汎用固有霊装の剣を突き立てていく)』
ヴァロナC群『 シ ャ キ ィ ン ッ (第二部隊がミツキを標的に定める。振りかぶられた霊装に冷気を纏う中、ゆらりと様う様な怪しい歩方で油断を誘い、途端に一気に距離を詰めてその首を斬り落としにかかった)』
ヴァロナD群『 ズ ォ ゥ ッ (第三部隊。6名で陣形を組んだ態勢から次々とヒサメに間髪入れず斬りかかっていくフォーメーションをしかける。一寸の隙も与えないと宣告するような怒涛の連携攻撃で彼のペースを崩そうと画策する)』
肆々玖「後ろ 斜め前 上 左右挟撃―――画一化されているな、統率も取れている……だが、故に単調だ。(殺意ほど彼が敏感なものはない。突きつけられたそれは全て、"今から攻撃します"と言われているかのようにすり抜け続け)それに利用もしやすいものだ。(足を引っ掛け、背中を押し、互いが互いを攻撃するように仕向けてゆく) 」
ミツキ「 ス ン ――――― (感情を押し殺したような冷たい素顔を露に、次々と振り下ろされる刃を華麗にスルーするかのように退けていく)部活動の模擬戦よりはスリルはありますけど、この手の集団戦は何度も潜り抜けてきて飽きました。(倦厭に嫌気がさしたかのように目を細ると固有霊装のレイピアの切っ先で8の字を描き、敵の無数の剣先をからめとるように振るって強制的に彼らの体の向きを反転させる) 」
ヴァロナB群『 ガ ッ ――――― ガ ッ ギ ャ ア ァ ン ッ ! (肆々玖の目論見通り。集団戦では兵力の数が物をいう。しかし、たとえ連携が統一されていたとしても、たった一つの石に躓けば瞬く間に陣形は崩れる。彼がそれを体現したことで第一陣が意図せず自爆しあい、互いに互いの刃を激突させて転倒する)』
21号「 フ ォ ン ッ ――――― ザ ギ ィ ィ イ ン ッ ! ! (陣形を崩され、現れた間隙から白髪の番犬がようやくその姿を現す。これまで幾度となく振るってきた鋭利な鉤爪による斬撃を跳躍接近と共に肆々玖へ仕掛けていく) ガギオィン、ギャギィンッ、ギギィインッ!! (振るっては弾かれ、旋回移動から死角へ潜り込み、再び斬撃を叩き込む。これまでのゲームにて、何度も殺し合ってきたからこそ既に把握された少女の暗殺術。肆々玖にとってはわかり切った立ち回りである。だが、唯一今まで異なっていたのは―――) 」
21号「――――――― っ ! (獲物が振り下ろされるごとに、徐々に殺意の重みが軽薄になっていることであった) 」
肆々玖「来たか、首輪付きの狗。(闘気が瞬時に両手を覆う、"籠手<グアンテレーテ>"が正面肉薄したまま薄れた殺意の獲物を受け止めきった)でもあんたは今……迷っているな。(幾重もの衝突、同じ暗殺者同士、既に手の内が明かされて鈍ったのであれば封じるのは容易く―――)お前は今、何を思った? 」
ヒサメ「(初手、最前線の斬撃を一歩引き余裕を持って回避。その余分に空いた間合いを後続二人の攻撃が潰し、逆手持ち二刀を牙のように宙に突き立て防御を余儀なくされる。 この行程で思考に一旦ピリオドをを打つと、ミツキ、肆々玖双方を見やり――――) トッ トッ (バックステップを踏む。詰将棋の如く反撃という物言いやエラーを挟む余地のない理詰め、完成されたプログラム然として迫るそれを前に防戦一方。巧みに円陣を描く二刀が火花を散らし徐々に"壁"へ追い詰められてゆく) 」
ヴァロナD群『 ザッ… ―――――― ズ ォ バ ァ ッ ! ! (壁際へと追い込み、扇状に包囲網を形成した黒服たち。全員の刀身にそれぞれ炎、雷、氷の属性を司るオーラが纏われ、斬撃波として一斉に解き放った)』
――――― ズ ッ ガ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ン ッ ! ! (5方向から一斉に放たれた三属性斬撃波が、壁を背にしたヒサメに直撃し、硝煙が立ち込めるが―――)
21号「ズザザァーーッ…――――(何度も斬り合い、一向に刃先が互いの体に届かない空しい攻防戦。その果てに距離をはがされ、少女は浅い呼吸を繰り返す)………わた、し、は…―――――― 」
ミツキ「先輩に―――――近づくなッ!!(ヴァロナ群を瞬く間に退けると共に血走ったような形相で21号へと一気に肉薄。細い剣身から繰り出されるものとは思えぬほどに洗練された無数の剣閃を直角に描きつつ、彼女にありったけの斬撃を真っ向から畳みかけていく) 」
21号「―――――!(ガッギギッギャギィンッ、ギャリィリリリリャリガッ、ギッ゛リリィッ、ギャリッ、ガッギギィイインッ!!!)(肆々玖に拙い言葉を紡ぎかけたその直後、怒号と共に繰り出されたミツキの連撃に対し咄嗟的に我に返り、両腕のクローを縦横無尽に振るい応戦する。激しい残響音と火花を散らしつつ斬撃を斬り返していくが少しずつ圧倒されていく) 」
ヴァロナ「 ヒ ュ オ ゥ (刹那―――21号と替わるように今度はよく見知った個体が肆々玖の背後を取り、飛び蹴りを仕掛けながら出現する)…… ス ラ ァ … ッ ! (初期のニルが所持していたものと瓜二つの汎用固有霊装を見せつけるように手に取る。その刀身には冷気が纏われ、パキパキと小さな凍結音が鳴っている) ヒ ュ オ ッ ! (その場で剣を薙ぎ払い、肆々玖へ驀進。全身を捻るように繰り出す回転斬り。凍てつく斬撃が上から何度も叩き込むように強襲が迫る) 」
ミツキ「先輩に近寄る悪い女が、この巨塔には多すぎる…ッ!!不穏な奴らはみんな…ミツキがすべて刈り尽くすッ!! "ペルセウスの雨" !! ( バ ッ ―――― ズ ガ ガ ガ ガ ガ ァ ッ ! ! ! )(レイピアを天高く頭上へ投げ放つ。すると上空へ放たれた剣がまばゆい光を放ったかと思えば、空を埋め尽くさんほどの残像剣が形成。無数の剣が雨の如く、21号に降り注ぐ) 」
21号「 ガッギャギャガッギャリガッ――――― ズ ビ ッ ビ ビ ビ ビ ッ ビ ッ ! ! (怒涛の勢いで降り注ぐ残像剣に対し初めは両腕をがむしゃらに振るって弾き返そうと試みるも、捌ききれない物量だと悟るとその両爪で傘を作るように交差することで防御体制へシフト。全身をいくつもの斬撃がかすめていく中で必死に歯を食いしばりながら耐え凌ごうとしているが――――) 」
……ちがう……ちがう…っ… 「21号」…… ほんとは……ただ……――――
―――【警告】:Test subject No.21の思考回路に深刻なエラーを検知。自己防衛システム『トワイライトアージ』起動―――
21号「 ち が う ッ ! ! ! ( オ゛ ゥ゛ ン゛ ッ゛ ! ! )(人型の殺戮兵器の身が、弾けるように大きな鼓動を帯びる。全身の体表、その輪郭に赤黒いオーラが纏われていく) ギャリ、ギャリ、ギャリ…―――――― フ ウ ュ ォ ッ ! (上半身をだらりと垂らした前のめりの姿勢から、一瞬にしてその姿が消え失せる) 」
ミツキ「 !? (消えた…!?)(瞬きをしたとともに目の前の少女が姿を焼失させた、その不可思議な光景に動揺し周囲を注視するが―――) 」
―――――― ザ シ ュ゛ ウ゛ ゥ゛ ッ゛ ! ! (動揺するミツキの脇腹を、得体の知れない激痛が襲い掛かる。鋭利な刃物…いや、三本爪に切り裂かれたような跡が、彼女の体に瞬く間に刻まれたのだ)
ミツキ「―――――― ぎ ゃ゛ う゛ ッ゛ ! ! ? (油断していたわけではない。暗殺者がどこから攻めてきてもかまわないように常に周囲を警戒していた…はずだった。だが、わき腹に感じたえぐるような激痛。視線を落とした先には衣服ごと肉を裂いた爪痕。間違いなく21号の仕業によるものだと刹那に判断しつつも、僅かな間に起きた彼女の異変にある種の戦慄が過る) 」
肆々玖「入れ替わりで……こいつは贋作ではなく真打か!(群から外れた単独個体のヴァロナが武器に冷気を帯びさせたのを目視し、両籠手に闘気を集中―――)ほんのひと時降りしきれ、その身打ち据え過ぎただ去りゆく……"【叢雨】<ムラサメ>"ッ!!!(籠手が巨大な闘気の爪と化し、迫る冷気と斬撃を呑みながら真っ向より叩き潰してゆく)無事じゃないな、ミツキ。飼い狗の気配が肥大化した、何があった? 」
ヒサメ「(波状攻撃・扇形陣形。「あの個体」から攻撃パターンを共有・学習しているな。ここも予測通り)―――――僕がコメディアンなら持ちネタで天丼するんだけどネ(右手に携える赤い刃を前方へ投擲、それはヴァロナ群Dへ届く前に時空を引き裂いて自らを飲み込ませる。 左手に握る青の刃を振り向き際壁へ向け横薙ぎ一閃。) ヴ ン ッ(壁へ透化し飲まれた蒼刃の切先がヴァロナ群Dの後方に出現した時空の裂け目から伸び……) ザ ゥッッ (続けざま、壁へ倒れ込むようにして横薙ぎ一閃を放ったヒサメが出現。時空の裂け目を発生させる斬撃を放つと同時に振るった横薙ぎを背面からヴァロナ群の背目掛け放ち……) 」
ト ッ (ヒサメが投擲した赤刃が"複数"に分裂し広域の床へ突き刺さる。それを追うようにして……) ザ ウッッ (天井に開いた小規模にして複数の時空の裂け目から、ヴァロナ群Dが放った複属性の斬撃が雨のように降り注ぎ、広域を高速移動していると思われる21号を大雑把に狙う)
ヴァロナD群『―――――!!?(少しずつ迫る足音はネズミを追い詰めた猫の如く。しかし、追い詰められた鼠輩はこちら側だった。音もなく開かれた時空の裂け目からの斬撃の襲来。そして、壁に溶け込んだヒサメの奇怪な術にはじめて動揺をその身で表したのも束の間…彼自身が振るう斬撃に次々と壁に叩き付けられる。反撃に出ようと誰もがその身を起しかけた直後、今度は頭上から降り注ぐ怒涛の斬撃――皮肉にもそれは彼らが放った斬撃の行方――に滅多打ちにされ、その黒衣が裂かれながら次々と倒されていく)』
ヴァロナE群『 ド ドド ド ドッ ! (後続に控えていた黒服たちが前衛へと殴りこむように突撃を開始し、固有霊装を掲げて肆々玖へ追い打ちをかけようと忍び寄るが――――)』
ザ シ ュ ウ ッ ――― ザ ィ ン ッ ―― ザ ギ ィ ン ッ ――――ザ ン ッ ― ザ ン ッ ――ザィンッ―――― ズ シ ャ ア ァ ッ ! ! (風の吹かぬ電脳空間に吹き荒れる鋭い強風。それは影を残さず周囲の床や壁、柱などに深い爪痕を残していく―――) 」
ヴァロナE群『 ズ ブ シ ャ゛ ア゛ ァ゛ ッ゛ ! ! ! (彼に襲い掛かろうとした黒服たちの体から、一斉に真紅の体液が噴き出す。その身にいつの間にか刻まれた一閃の跡から噴水のように噴出した赤液が周囲に返り血のアートを描き、倒れこんだ先で血だまりを生み出す)』
ヴァロナ「 ガィインッ、ガギギギッィン、ガガッンッ!! (肆々玖の剣技に対抗せんと手首を巧みに捻りながら最小限の打点を見出して弾き返し、互いに刃で穿ちあう。たとえ、周りの同一個体たちが無様に散っていこうが構いもせず、無心なるままに彼と熱意も闘志も感じられない、殺意のみに動かされた剣戟を繰り返す) 」
ミツキ「はぁ…はぁ……っ゛…(早すぎて…何も見えなかった… でも、これは間違いなく――――)……!?まさか……暴走して…!?"理性が体の速さに追いつけなくて、敵と味方の区別もつかなくなっている"…っ!!(姿を現さない、しかし確実にこの場にいる21号の所業が、ついに敵味方関係なく周囲を斬り刻んでいく光景に絶句する) 」
21号「―――――――(一方、当の本人は緩慢化された空間の中を俊敏な速度で駆け巡っていた。斬り裂かれて無様に散っていく黒服たち、切断によって残骸を散らす柱、こちらを捉えようと降り注ぐ斬撃…それらすべてを横切り、少女はただこの限られた電脳空間を疾走する。だが、肝心の「敵」にその刃がうまく届かない。目の前の「敵」を殲滅する。その殺戮衝動にのみ体が突き動かされているにもかかわらず、獲物を捉えきることもできぬままに理性は狂い、少女の視界は目まぐるしく移り変わる。もはや「敵」がなんなのか、自分が何をしているのかさえ忘れたように―――) 」
ミツキ「はぁ…っ、ぁ……!!(レイピアを地に突き立ててその身を無理やり起こしつつ、フリーの左手で負傷したわき腹を強く抑え込む)…っ……(自分の固有霊装なら…相手の速さを遅鈍化できる…けどっ…魔力(マナ)が安定しない…っ……!これじゃあ、"海原"の展開に時間がかかってしまう…っ…) 」
肆々玖「そこを……退けッ!!(肥大化した両爪を使い、鋭い殺意を挫かんと的確に先の先を打ち引き裂いては―――)爆ぜろッ、"【叢雨】<ムラサメ>"!!(肥大化し続け、破裂寸前となった両爪を密着したヴァロナに向けてパージ、瞬時に後退し―――) 」
―――キィッ ズガァァァァアアアンッ!!!(膨れ上がった闘気の塊が炸裂し、ヴァロナを呑まんと強烈な闘気の奔流が襲いかかる!!)
肆々玖「……忙しなく殺意が駆け巡っているのに、矛先が全く噛み合わない。衝動を抑えきれていないのか?(現に己へ襲いかかろうとした量産型が殲滅され、自分には攻撃ひとつ届かないのを見て―――)……ミツキ、お前は足止めが得意だったな。展開は魔力不足が原因か? 」
ヴァロナ「―――――― ! ! (――― ズ ガ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! )(大きく弾かれた一瞬の隙。零距離で密着された肆々玖の武装に思わずすぐに視線を落とした直後、腹部に爆ぜるような衝撃が走った。彼の放つ闘気の奔流が砲弾のように我が身に打ち込まれ、「く」の字に全身を曲げながら勢いよく吹き飛び、壁に強く激突して瓦礫に埋もれていく) 」
ミツキ「い、いえっ…――――いけますっ!やらせて、ください…ッ!(そうだ、泣き言は許されない。ここは戦場。甘えた言い訳は通用しない。他ならない先輩ガム歌詞教えてくれたことなんだ…今更、こんな傷――――)―――――"セリュナの森"…ッ!!(地に突き立てたままのレイピアをそのまま地中に深く突きさし、詠唱を開始する) 」
グ―――ギ――ィ―ン――――ッ―――――!!(ミツキを起点に展開された星雲とも海中ともいえるような幻想的な青景色の広がるドーム状の空間。大気中のエーテルに訴えかけ、一時的にその空間内を術者の支配下に置く彼女の十八番が発動される。だがこれまで幾度と発動してたこの術も、負傷した体によるものか、展開速度が明らかに遅い。それでも、彼女は剣柄への握力を強めることで無理矢理その上昇を図ろうとしていた)
21号「 う ッ゛ ? ! (幸か不幸か、ミツキが織りなす不思議空間に意図せず飛び込んでしまい、ついに暴走によって姿を消していた少女の姿が曝け出される) ッ゛ ッ゛ ! ! (しかしそれで攻撃の手が緩まることはない。所詮は本来の速度に戻っただけ。視線が定まらないなりに鉤爪を振り上げ、肆々玖に噛みつくような斬撃が上下から繰り出される) 」
ヴァロナ「―――― ボ ッ グ ゥ ォ ア ン ッ ! ! (蹴り飛ばした瓦礫の破片がヒサメに襲来。それを囮とし、瓦礫を盾に急接近を図った黒服が剣先を突き立て、ヒサメに刺突を繰り出さんと二層構造の構えで攻め立てる) 」
肆々玖「常に不調を想定して出せる己の力を尽くす―――覚えていたようだな、上出来だ!(狂奔する21号の姿を再び確認し、新しく闘気を練る。選ぶのは―――)"盾<エスクード>"ッ!!(攻めの手ではなく、両手に両盾。上下から襲い来る鈎爪の間に堅牢なそれを挟み込むようにして受け止めた)……全く、本当に。受け売りばっかりだけど今の俺は"やりたい事"が出来たみたいだな。(そして、膠着状態の最中で21号をじっと見つめた) 」
21号「 フ ー ッ゛…!フ ゥ ー ッ゛ …!!(自慢の爪を抑え込まれ、獣は激しきいきり立ったかのように荒い呼吸と鼻息を繰り返し、覇気の感じられなかったその灰の目が血走ったように大きく開眼している。それは闘争心でもなければ憎しみでもない。積もりに積もった重苦が、辛うじて残された理性によって破裂寸前まで抑え込まれているように見えた。双眸は定まらない。言葉も紡げない。語感は作用しない。本能すら取り押さえられたような衝動が彼女の体を容赦なく鞭打ち、目の前にいる「敵」かどうかも分からない何かに爪を立てることしかできなかった) 」
ヒサメ「(一箇所に留まらず足音を抑え、遮蔽物から遮蔽物へ一度の踏み込みで移動しつつ状況全体を俯瞰する)(あっちのアンドロイドは一件落着したか。"頭数"は減った。ただ、尚も事態が好転しそうな気配がないのは――――) ッッヅ!?(条件反射、自動迎撃であるかのように飛来した物体を片手間に左蒼刀を篩切り払う。攻撃後の僅かな無防備を縫うようにして繰り出される刺突に瞳孔が縮小) ガッッ (咄嗟に床に転がるヴァロナ群の剣を蹴り上げ右に握り、ヴァロナの繰り出す刃の腹に押し当て軌道を逸らす。尚も切先は右肩を抉り、口端が引きつった)――――知らない仲じゃないけどスキンシップが激しすぎやしないかい……ッ 」
ヒサメ「(術理を捨てた力任せの前足蹴りを繰り出しヴァロナを引き剥がす。付け焼き刃で間に合わせた刀を投擲し追撃。フリーになった右掌をあらぬ方へ翳し、それに呼応し飛来してきた自らの装備品である赤刀を取り戻すと同時に左蒼刀を背後へ振るい時空の裂け目を発生させ背を預けるようにして飛び込む) キュ オッ (ヴァロナの正面から投擲した刀が、背後から時空の裂け目から出ると同時に半回転し振るうヒサメの横薙ぎ一閃が襲いかかる) 」
ヴァロナ「 ガ ッ ―――ズザザァーッ ! (ヒサメに蹴り飛ばされ無理矢理距離を離され、グインと上半身を起こして彼の姿を捉えようとしたときには見失う)―――――(動揺か、警戒か―――硬直したままの姿勢を維持する最中、前後から迫りくる小さな波長を検知。そのペストマスクに双方からの斬撃で挟み撃ちされそうになるが―――) 」
ヴァロナ「 ヒ ュ ッ ! (反射的に身をかがんで二方向からの斬撃を受け流し、たがいに衝突させることで相殺を実行) バ ッ ―――ドッガガガガガ!!(全身を傾倒させて逆立ちの姿勢になったかと思えば片手を軸にした回転蹴りをヒサメに叩き込んでの反撃を浴びせ、蹴り飛ばす) ガ ッ ―――― シ ュ ダ ァ ン ッ! (再び自身の固有霊装に手をかけ、追撃の一手を仕掛けるように斬りかかろうとする) 」
肆々玖「悩んでいるな、迷ってもいる。首輪は付いたままだ、でも―――お前は……!!(ギリギリと鍔迫り合いに近い形で肉薄し、闘気を瞬発的に高めて押し倒す)……さっき聞こえたぞ、システムがなんだってな。だったら、やれるはずだ……!!(バチバチと闘気が強まり、集中し、雷を帯びゆく) 」
ヒサメ「 ッ チ゛ィ゛……ッ(斬撃を振るっていた右手で蹴りを受けてしまう。柄頭を踵が捉え、赤刀は宙を舞、自身は蹌踉めいて間合いを僅かに開ける) ガスッッッッ(浮き足立つも束の間、床に転がるヴァロナ群の装備を蹴り飛ばし、プロペラよろしく回転するそれで予測される追撃に対し牽制)――― らァ゛!!(続け様回転する刃を遮蔽物として駆け出し、最初にヴァロナがしたような「瓦礫の投擲→本命の刺突」という攻撃パターンを模倣しつつ) ヴ ンッッ (時空の裂け目を穿ち、離れた間合いから"突き"を直接ヴァロナの右肩へ"転送"しようとする) 」
21号「―――――!!(唾勢愛によって徐々に圧倒される中でも少女は獣の如く唸り声をあげる。このまま理性も本能も、自分の中に宿る獣に食い殺されてしまうかと思われたその瞬間―――肆々玖の闘気によって帯電した電流が微弱ながらも互いの武装を介して通電し、その体に走る。僅かな感電によって全身の神経が刺激され、その信号が脳に伝達。刹那、何かが弾けた様に少女の思考回路にノイズのような稲妻が走る――――) 」
……おそとに…あそびに、いけないの……?21号……ずっと、この部屋…一人……
たくさん、動いた。武器の扱い方……戦い方……覚えた……でも……"人を殺す"って……どういうこと…?それって…とっても楽しいこと……?
21号には……わからない… 怖い人たちに…言われて……いっぱい、"人を殺した"。最初は……楽しかったんだ。でも……
ちがう……本当に楽しかったのは……"遊んでくれたから"… 戦うことで、初めて、「友達」ができそうだったから……
でも……「友達」が死んだら、もう動かなくなっちゃう…
人を殺すことが……楽しかったんじゃない……寂しかったんだ…… また、ひとりぼっちになってしまうから……
お願い……だれか…… 21号…とめて……っ… もう……ひとりぼっちになるのは……いや…っ……―――――
21号「――――― い や だ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ッ゛ ! ! ! (電撃によって呼び覚まされた自身の存在意義。覚醒した自意識。芽生えた感情。しかし行き場を失ったそれらが補完し合うことができなかった。ただそれだけのことだった。再び暴走した獣が咆哮の如き嘆きを叫ぶ。その全身に蓄えられた稲妻を纏い、一瞬で上空へと天高く跳び上がり――――――) 」
21号「(―― "クリーブレイ" ――) あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ ッ゛ ! ! ! ! (それは宛ら黒い稲妻。上空から幾度も直角移動を繰り返し、落雷が如く急降下落下。激しく鋭い雷撃を齎す凶刃が、既に限界を迎えた少女が繰り出す最後の一撃が、肆々玖に差し迫る――――!) 」
ミツキ「――――――先輩ッ゛!!! 」
ヴァロナ「 ガ ギ ィ ―――― !? ―――― ン ッ ! ! (あの態勢から、加えて地に横たわる黒服の武装が飛来し、追撃に向けた刃が弾き飛ばされてしまう)―――――― ザ グ ゥ゛ ッ゛ ッ゛ ッ゛ ! ! ! ( ! ! ? )(距離感を度外視した空間の裂け目からの凶刃に右肩を深く突き刺され、鮮血が噴き出す。その衝撃に思わず右手に握られた剣がするりと抜け落ちる。背中から落ちようとする間際、ペストマスクの眼光部に反射するように写し出されたのは、こちらへトドメを刺さんと接敵したヒサメの姿があり――――――) 」
ヒサメ「 ――――入った(体内に切先を2cm侵入させる。そこからは"とっておき"で絶命させる間合いに入っている。より間合いを詰め、空間の裂け目を通じて刺突を繰り出したて首をひねるだけで致死量に至る傷を広げて終わりだ……それで――――) コt (靴底が床石を捉える。そこから前に踏み込み、より深く刃を侵入させ角度を変えれば"仕掛け"が起動する。それだけのはずだ……) 」
―――ヂ ( 雑音が脳裏を揺さぶる。輪廻巡る"あの世界"で手繰り寄せられなかった面影が、事実としてペストマスクの向こうにある少女と、それと同じ造形のそれが思考の裏でこちらを覗き見る。『それでいいのか』と ) ッ―――― 」
ヒサメ「 ギ ィ ン (折れた、ヴァロナの右肩には折れた切先が残った。原因は刀から手を離し空間の裂け目のコントロールを手放した結果裂け目が閉じ、刀が両断された事。 自らのそんな甘ったれた、惰性しか無い自我に胃液が逆流するような不快感に襲われると) ツ゛ア゛ァ゛ッッ (二歩、反撃のリスクが生じる余分な間合いを詰めた渾身の右拳の鉄槌をヴァロナのペストマスク目掛け振り下ろす) 」
肆々玖「見せて貰ったぞ、飼い犬の過去。だったら止めてやるよ、来い!!(両手の盾を打ち鳴らし、再び闘気が膨れ上がる)"【叢雨】<ムラサメ> "ッ!!!(それは盾の範疇を超え、幾重にも重なり受け止める障壁となり、真っ向から21号の攻撃を受け止めんと際限無く広がる!) 」
ヴァロナ「 メ゛ ギ ョ゛ ア゛ ―――――― ッ゛ ! ! ! (ヒサメが最後に放った渾身の鉄拳が、幾たびの攻撃をものともしなかったペストマスクの装甲に確かな陥没を齎す。そして―――)――――― ズ ガ ッ シ ャ ア゛ ア゛ ア゛ ァ゛ ァ゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! ! (一本の柱へ大の字にめり込み、勢い余った衝撃からその柱の表面に亀裂が生じ…黒服は今度こそ瓦礫の山に埋もれてしまった――――) 」
21号「 ┣¨ グ ォ゛ ア゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! ("落雷"が青年に直撃する――――否、違う。受け止められたのだ。鋭く、激しく…堅牢な壁さえも一瞬で裂き貫くほどの一撃が。迸る稲妻の余剰エネルギーが地盤を抉り削り、微かな地響きが鳴り響く。それでも微動だにしない肆々玖の全身全霊の"受け"の姿勢。バリバリと雷鳴が轟く最後の拮抗。もはや突き立てた爪が圧し折れてしまうほどの圧力が彼に圧し掛かり―――――) 」
21号「 パ キ ャ ア ア ァ ン ッ ! ! (ようやく彼女の爪が限界を迎えた。先に折れたのは矛だった。自身が圧をかけた衝撃に耐えきれずに木っ端微塵に刃先が砕け散り、ガラス破片のように宙へひらひらと飛散する。身に纏われていた電流はぱたりと途絶え、全身から殺意のオーラがあとかたもなく霧散。全力を出し切ったその行為が、彼女に課せられた呪縛をも追い出したのか…まるで何かに解き放たれたかのようにその身がふわりと投げ出され――――) 」
21号「―――――― パ サ ァ … ッ … … … ! (肆々玖の胸に寄り掛かるように、少女はその瞳を静かに閉ざした――――) 」
ミツキ「………ぁ、はぁ……っ……(黒服の大群の全滅、そして21号の暴走が食い止められ、脱力したように再びその場に崩れる)………あれを止めた……すごい…先輩…やっぱり……―――――??!(惚けようとしたその瞬間、ふと何かに気づいてびくんと跳ね上がる)あーーーーーっ!!!?ちょッ…ああぁっ…?!せ、せせ先輩なにを…っ…!!?み、ミツキのことだって抱いてくれなかったのに…なんでぇぇぇぇええ~~~~~!!!><(不慮の事故とはいえど、21号を抱き占めるように言受け止めた肆々玖に間が抜けたような絶叫をあげる) 」
ヒサメ「…………。 パッ パッ(鉄塊を殴り抜いた衝撃、皮膚が裂けた痛みの余韻が残る手をだらりと眼前で垂らし、付着したチリを払うようにして腕を二三度振るう) ペ ッ (折れた刃を見やり、そこへ映る自身の瞳がこれまで以上に憎たらしく無様に感じた。自らを責め立てるようにして睨む鏡面の瞳へ唾を吐き捨てると、腕で口元を拭い顔を上げる)――――まだメインディッシュが残ってる。もう胸焼けしそうだってのに…… 獲物が多いってのは考えものだね、ドブ味でなんぼのくせしてさ…… 」
肆々玖「……これでこいつも晴れて飼い犬から野良犬だな。(抱き止めた21号をゆっくりと降ろす)何でも何も、そうしなきゃならなかったろ。(やれやれ、と闘気を解く)ナイスファイト。だがまあそうだな、後が詰まってる……小休止したら次だ。(ヒサメにグッとサムズアップ) 」
パン、パン、パン ―――――― ♪ (障害を斬り退けた者たちを称えるように、何者かによる淡々とした拍手の音が乾いた空気に響く――――)
ほうほう、お見事です。「私」が構えた前線部隊を突破するどころか…まさか全滅に追い込むとは思ってもみませんでした。
あれだけの数、そして質……私が生み出した『実験体たち』を退けるとは、やはり只者ではない。故に興味深い、貴方たちが―――――
コツン、コツン…と小気味よく、しかして不気味な足音が、どこからともなく反響する男の声と共に…訪れたばかりの静寂空間に木霊する。
その根源が、暗がりの行く末から人影として現れ、その全貌を明かす―――――
ルシオン「 はじめまして お会いできて光栄ですよ、攻略組《プレイヤー》のみなさま (緑髪の長身痩躯の男が、悠然とし佇まいで彼らの前に現出する) 」
ミツキ「じゃあじゃあ!この戦いが終わったらいっぱいぎゅーっしてくださいよねっ!約束ですからねっ!…っっ……(のんきにはしゃごうとしたのもつかの間、脇腹に受けた斬傷が広がる痛みに、微かに眉間にしわを寄せる)………なんか、来ましたね……(脇腹を片手で押さえながらゆっくりと立ち上がり、新たに表れた得体の知れぬ男に冷ややかな眼差しを向ける) 」
ヒサメ「 休む間もないみたいだネ、コース料理としては及第点、いや満点だ。 探す手間を省いて配膳までされてくれうとはね。さすが元運営で略奪者だ、作法も流儀もよーっく弁えてる。(天然。善性も悪性もなく、人として当然の感情表現として笑みを浮かべるルシオンと相反し、こちらは感情を隠す仮面として張り付いた笑みを称え拍手を返す)…………(ふと、後方を見やり"欠けたメンバー"で"本命"と相対した事に"安堵"し、獲物の柄頭へ手を添えた。心置きなく、"殺気"を楔からはなてると) 」
肆々玖「無理はするなよ、必要な時以外は。(約束にはいとも応えず、ただ冷静に警戒を促す。無理をするなとは決して言わない辺りが"らしさ"だ)俺はそうでもないな、会いたくなかった部類に入る。(21号をそっと端に寝かせて立ち上がる) 」
ルシオン「まずは自己紹介と行きましょう。私は…『オムニバス』元職員にして、『プランダラ』兼『エゼルダーム』の工作員。そして…―――― 」
ルシオン「 国際革命組織『ワールドセイバー』の研究員 ――― 「ルシオン・シグニフィカーティ」 以後お見知りおきを (紳士的な柔らかい物腰でお辞儀を行う) 」
ルシオン「 「カオスファンタズマ」は楽しんでいただけてますか?あなた方がこれまで戦ってきた幻影体《ファンタズマン》は…この私が筆頭にデザインを手掛けてきたのですよ。もっとも、実際のところは既存していた何者かをゲームキャラとして落とし込むだけですが…(拳を口元に当てクスクスと自嘲気味にせせら笑う) 」
ルシオン「ですが今はどうでしょう?ゲームの枠を超えたこのデスゲームでは…あなた方はキャラクターとしてではなく、まぎれもないご自身としてその身を戦場に投じる。死と隣り合わせとなり、より臨場感とスリルを堪能できる刺激的催しに、身も心も踊りませんか?人によってはこのリアルこそ、血沸き肉躍る本物のゲームだと称賛してくれる方もおいででしょう。我々「エゼルダーム」のパフォーマンスも相まって、カオスファンタズマはかつてない熱狂を帯びていることだと思います。ご満足いただけましたか?(首を傾げ、男は柔和にほくそ笑む) 」
肆々玖「態々ゲームであるのにゲームではなくする必要は感じられないな、それなら現実でいい。(呼吸を整え、コンディションを確認する―――決して良くはない) 」
ミツキ「せ、せんぱいっ……❤(トゥンク)(肆々玖が時折見せるその"らしさ"に彼女は何度も救われてきたのか、負傷しているにもかかわらずメロついてしまう)……こんな趣味の悪いゲーム、先輩が参加していなかったら首を突っ込むわけないし。こんだけさんざんやらかしておいて「ご満足いただけましたか?」ってどの面がほざいてんの…?(嫌悪感剥き出しに噛みつく) 」
ヒサメ「どーっちでもいいね。僕としては"好きにやらせてくれ、その一言に尽きる。この舞台装置が単なるお遊びの為の物じゃない事はあんたも知っての通りだろ。"目的ありき"で茶番に付き合わされてるだけだ。(コンディションの是非はともかく、何かを急いているように感じられる。決着を、対象を退けることを特に急いでいるような焦燥が瞳の奥で揺れ続けている) 」
ルシオン「おやおや…ですがまあ多少なりともご不満があるのは無理もありません。なにせこのゲームは未だ未完成… ここから先の頂上に何があるのか…我々やオムニバスですら、この「幻影の巨塔」の全貌を完全に明かしていないのですから。しかしその結末も…もう時期明かされる。我らが首魁「セレディ」様がすべての権限を牛耳ることで、悲願は達成されるのです。故に、我々は総力を決してあなた方をここで足止めしなければならないのです。 」
ルシオン「ここまでご足労いただいたのです。今更、私の忠告を真に受けてくださるわけにもいかないでしょう。 ですので、お次はこの私が遊び相手になって差し上げましょう。まあ…その前に――――― "余興"でもいかがですか? (男がパチンと指を鳴らす) 」
肆々玖「……あんたは話が長いな、"殺す"っていうのをどうしてこうも長く出来るんだ? 」
ヴァロナ「――――― ボ ゴ ォ ァ ン … ッ … … ! (男が指を鳴らすと、ヒサメに殴り飛ばされた黒服が、ゆっくりとした動作で瓦礫を押しのけて起き上がる。ボコボコに凹んだペストマスク、血まみれの全身、神経がいかれてだらりと垂れ下がった右腕。満身創痍を経てもなお、黒服はおぼつかない足取りで彼らの前に歩み寄る。がくがくと痙攣した片手を頭部にあてがい、ビリィッと徐にマスクを脱ぎ捨てると―――――) 」
ヴァロナ → ニル?「 ( 彼らの良く知る『少女』の顔が、曝け出される ) 」
その『一体』だけではない。
先の戦闘で次々と倒れ伏した黒服の大群が、何かに呼び起されたかのようにありえない挙動でその身を起こし、一斉にマスクを引きはがしていく。そのどれもこれもが――――
ヴァロナB群『 (伐刀者であり――――)』
ヴァロナC群『 (マイテイ人でもあり――――)』
ヴァロナD群『 (彼らと志を同じくする攻略組《プレイヤー》でもある――――)』
ヴァロナE群『 (『 ニル 』という少女と、まったく遜色ない同じ顔が広がっている――――)』
ミツキ「……なに、これ…っ……(吐き気を催す光景に絶句する) 」
肆々玖「前にニルが驚いていたな、元々使ってた武器も同じだった。あいつ、こんなに大家族だったのか。 」
ヒサメ「…………。「姉」だろうね、便宜上は―――――― 」
「苛立ち」だった。何処か哀れみも混じっていたような気がするが、あのパンダめいた装備のプレイヤーが抱く感情と、
自分がニルという少女に感じするそれは、出発点異なるだけの、苛立ちという同類の感情の過程を辿っていた。
彼女の自らに対する否定を通して自分を否定されているような気がした。
自分だけなら、所有している自分だけなら好きに否定できると、勝手に否定できるという傲慢でちっぽけな思い込みに巻き込まれ、
「俺自身」が否定されている気がして、それを覆して考えを捻じ曲げてやろうという、攻撃的な考えから彼女に手を差し伸べていた
「罪悪」「背徳」「憐憫」「否定」。自己に向けるにはあまりに生物の本能からかけ離れた破滅願望をニルに見た。
それらは「罰」という理性から発せられる命令、己に課した責任と重圧、それらを構築する「過去」を彼女の憂いから見た。
彼女を見ていると沸き立ってくる「苛立ち」の本質が、人の形を成して並ぶようなこの光景に、正気を失いそうだった。
「否定」してやる。君を責め立てる過去はなかったんだと。
勝手に今に縮こまって、未来に足踏みして怯えていただけの、ちっぽけな贅沢者だと、そう嘲笑ってさよならできるように。
彼女がこの光景に出くわす前に……
ヒサメ「――――――――(―――――――なぁーんて、甘ったれた考えだ。)―――――――反吐が出るね。 死体を担ぐのは面倒だ、彼女たちには生きて此処を出てってもらいたい。 肉袋は一つだけで充分だ、なあドブカス野郎 」
ルシオン「ハハハ、「殺す」とは物騒な。確かに、血の気の多い方々と同じ組織に属している以上…この私も同類に見られてもおかしくはありません。ですが、殺戮など…有を無に帰すだけの生産性もない行為など、研究者たる私とは無縁なもの。無論、その手に欠けることだって無きにしも非ず。使えなくなった『失敗作』も、もはや数えきれないほどに処理してきましたが…物は、使いようです。ご覧ください、これらの『失敗作』を。あなた方を足止めするという唯一無二の役目を実行に移し、その存在価値を示してくれました。素晴らしい彼女たち。生まれてくれてありがとう。そして―――― 」
ルシオン「 さようなら 」
ブ ツ ン ――――――――――――――― ッ
何かが、糸切れたような音がした。この場にいる誰もが何らかの行動に出たわけでもなく、切れたような音が鳴るなど不自然だ。
しかし、そんな違和感など党の彼方に消えていく光景が…彼らの眼球に突き刺さる――――
ニル?「 ゴ ト リ 」
ゴ ト ッ ゴ ト ゴ ト ッ ゴト ッ ゴッ ゴ ト ッ
次々と何かが落ちていく。視線を落とせばすぐに視界に入るそれは球体のような物体。
球体には「目」がついている。 「目」は、"こちら"を、じっと見つめている。
ニル?「 イタイよ 」
ニ ル『 イタイ イタイ 』
ニル 『 イタイ イタイ た 』
ニ ル『 タ イ イ 』
ニ ル 『 イタ イ 』
ニニニニニニルルルルルル『イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ』
ニル?「 イ タ イ 」
ミツキ「――――――― ッ゛ ッ゛ ッ゛ (限界だった。その「目」と合った途端、いまだかつて経験したことのない戦慄に心臓を鷲掴みにされ、すぐ喉元まで嘔吐が迫る勢いの嫌悪感がぞわぞわと押し寄せ、思わずその身が崩れてしまう) 」
肆々玖「直視するな、深く呼吸を繰り返せ。あれはニルだがニルじゃない。(冷静、冷淡。死とは彼にとってただの記号・事象に過ぎない。だが、それが起こった事に対して彼の中のギアが明確に一つ上がった) 」
ルシオン「失敗作は、どれだけ役目を果たそうとも失敗するのですから『失敗作』なのです。生産性は一切見出せない。惰性に生きかされ続け、淘汰されるその時を待つのみ。 」
はっ、はっ、はっ…――――――!
ルシオン「私が求めるものとは、常に『完成品』ただひとつ。長い歳月をかけて生み出した文句のつけようがない至高の実験体。『彼女』がまさにそうでした。私が定めた理論値を、その限界を超え、予測不能の未知数値に到達した。 」
タッ、タッ、タッ…―――――――!
ルシオン「伐刀者《ブレイザー》とマイテイ人…この世界で多大な力を有する2種族の血統遺伝子を宿した最強の超人類。その実現。度重なる失敗を経て実現不可能と思われましたが、このゲームのお陰で、その念願が叶いました。 」
血生臭い腐臭が漂うエリアに、何も知らない誰かの荒い呼吸と足音が慌ただしく聞こえてくる――――
ルシオン「嗚呼……そして、ようやくご対面です――――――(かの足音がする方角へ、男はこの時を待っていたと愉悦に口元をほころばせて振り返る) 」
ニル「――――――― はぁ…っ…!(――――― タ ン ッ … ! )(そして、招かれるべきではない来客が、ついに現れてしまう――――) 」
ルシオン「 会いたかったですよ…――――― 愛しい我が『 娘 』よ 」
ニル「―――――――(第三区画へ到達し、まず初めに先に向かった仲間たちが健在なことに一縷の安堵を覚える。続けて、彼らと対峙するように佇む謎の男の姿に緊迫感が過る。だが、最後に視線を落としたものに、感じ入ったものが瞬く間に遮断されてしまう。地面に転がる「自分と同じ顔」をした者たちと目が合う。その瞬間、記憶領域の奥底に封じられた黒い回想が、解禁されたかのように大きく弾けたような音がした) 」
~逃走中・回想~
ニル?(プランダラ)「 ギ ュ オ (そのままヒサメを過ぎ、無様にも両手を地に付けたまま跪いているニルの目と鼻の先へ移動。撃ち二つの顔を持つ彼女と花崎が触れ合うかどうかのすれすれのところで急停止し、半分だけ曝け出されたハイライトの無い赤い眼で怯える彼女の顔を捉えた) 」
ニル「 ひ ッ ? ! (自分にそっくりな顔をした、ヴァロナの「中の人物」の接近に酷く動揺して硬直する。それはまるで凍結を帯びたかのように。微動だにできず、ただ信じがたい光景を目前に迫られて表情がかつてないほどに強張ってしまう) 」 」
ニル?(プランダラ)「 どうして、「ワタシ」よりも幸福な「キミ」が?どうして、「ワタシ」よりも劣っている? 」
ニル「……ぇ……―――――――? 」
ニル?(プランダラ)「 選ばれた幸福者。選ばれなかった不幸者。「ワタシ」の上にいる「キミ」が、どうして? 」
ニル「 ぇ… ぁ……? 」
ニル?(プランダラ)「 答えてよ?答えられる?答えられないの?答えられようもない? 」
ニル「 あ……ぁ……っ……?! 」
ニル?(プランダラ)「 そうだよね、だって「キミ」はその"答え"を忘れてしまった。幸福であることと引き換えに。「キミ」が「ワタシ」であったことさえも 」
ニル?(プランダラ)「 ―――――――――「 「ワタシ」も生きたかった 」 」
――――――――――――――― ビ シ ャ゛ ァ゛ ッ゛
ニル「―――――――……………… 」
ニル「……………ぁ……っ゛……? ぁ゛……? 」
思い出した。"すべて"を。
あの時、「もう一人の自分」に出会ったこと。その「自分」に、言われた言葉を。
そして――――――「自分」がうまれた、その意味を。
ニル「………なん……で……?どう…して……っ………? 」
ルシオン「その様子… ああ、思い出したのですね。出荷時にメモリーはすべて破棄し、新たな記憶に差し替えたのですが。 」
ニル「……なんの……はなし……? 」
ルシオン「 プロジェクト『 NIL《 ニル 》 』 ――― とある異国の言葉で『 無 』を意味する名のもと、『貴女』は生まれたのです。 」
肆々玖「ニル、真に受けなくていい。お前はお前だ。 」
ルシオン「(彼女を諭す肆々玖の様子を嘲笑するように目を細める)私は、組織に属する前からずっと…人造人間(クローン)の研究およびその製造に携わっていました。学会にてセレディ様にその成果を評価された私は、あの方の導きのままにワールドセイバーへと加わり、その理念に相応しい超人類の製造に没頭することとなりました。 」
ニル「……クローン……?超…人類……?どういう…こと………? 」
ルシオン「世界に変革を齎すほどの強大な力を有した超人類。セレディ様がオーバーロードの実証を確立したように、私は、自身の研究成果であるクローンを使い…最強の人間兵器を生み出すことを立案した。「伐刀者」、そして「マイテイ人」。決して相容れることのない血統遺伝子を人為的に結合した存在が生み出されれば、どのような真価を発揮するのか。 」
ルシオン「ですがこの研究には一つの難点があった。それは、この2種族が"魂"…引いては、"感情"に大きく左右される存在なのだと。 」
ルシオン「「伐刀者」は己の"魂"を具現化することで固有霊装(デバイス)を生み出して戦う。一方で「マイテイ人」とは、幾千にも及ぶ歴戦を繰り返し培われた血統が、窮地に追い込まれることで"闘争心"が昂り火事場の馬鹿力を発揮する。この共通点を見出し、私は結合遺伝子の生成は完成しました。ですが―――― 」
ルシオン「ですがクローンには、最初から"感情"がありません。初期設定で自らの役目をメモリーとして埋め込み、命令されたプログラムに従うアンドロイドなどとは異なり…クローンは生命の外部複製でしかない。オリジナルを模倣しても、それが長年蓄えてきた記憶を緻密なまでに再現することは不可能であり、生み出されるのは肉の塊でしかない。肉体年齢を操作できても、記憶によって基づかれる"感情"の生成は困難を極める。そこに眠る「21号」がそうだったように。この研究に長く携わってきたが故の結論なのです。 」
ルシオン「そこで思いつきました。ならばまずは"感情"を作り出さなければと。その為に、多くのクローンを一個体ずつ隔離し、"特定の感情"の覚醒のみに根付くように調教しました。 」
ルシオン「 "憤怒" "悲壮" "嫉妬" "楽観" "勤勉" … 様々な感情を宿した個体を生み出し、 最後には全員を集めて、死への恐怖に対しどう対応するか。極限状態に落とし込み、適合された力に目覚めるかどうかを―――― 」
ニル「……ぁ゛…ぁ……―――――――(バチン、と再び脳裏に歪なノイズが走る―――) 」
―――――― グ ル ル ル ォ ァ ァ ァ ア ア ッ ! ! !
なにあの怪物!? 『私たち』を食い殺すつもりなんだ…ッ!! ヤダ、死にたくないッ!!
生きるために戦うしかない!! 冗談じゃない!どうせ私みたいなのには勝てっこない! でも私は挑む!生き残るたっめに!!
や…ぁっ……!いや……っ…… みんな……いかないで…っ…… わたし、は……わたしは……――――――
ルシオン「―――――……そうして生き残った個体が、"臆病"でした。主体がなく、かと言われれば協調性にも欠け、集団において食み出し者として忌避されるだけの矮小な存在。ですが、だからこそ、死への恐怖に対し何者よりも敏感であり、自分が生き残るために必死に逃げ惑う。息を潜め、自意識を殺し、存在感を消す。周りで同一個体たちが次々と息絶えていく中、今度は自分が死を迎えるかもしれない。その現実を否定したい。その為に、逃げる。自らの心臓を囮に使ってでも。 」
ルシオン「……こうして、唯一無二の『適合者』が誕生しました。あの実験の記憶を消去し、私のツテを利用して記憶を**(確認後掲載)する。『 ニル・エメレン 』という一人の臆病な人間として、彼女は生を受けた。 伐刀者の基本的戦闘能力を築き上げるために一般的な学生騎士として演じるように調整を行ってきました。 ですが平穏な生活を続けても彼女がそこから先の力を解放するための決定打にはならない。故に、より彼女の性格に訴えかけるように"追い込み"をかけました。 」
お父さん……元気…出して…?お母さんがいなくなっても……私……お父さんと一緒なら…… お母さんの分まで、頑張るから……
ニル「…っ……??ちが、う……だって……わたしには……「お父さん」と…「お母さん」が…いて……―――― 」
ルシオン「 ええ、貴女にはじめから「家族」なんて存在しません。貴女が見ていたのはすべて「幻覚」なのですから。 」
ニル「 」
ニル、誕生日おめでとう。お父さんとお母さんからプレゼントだよ。
わぁ…♪ありがとう…!パパ、ママ……!
――― 手渡されたのはクマの人形 ―――
――― 手■さ■たのは ■ ■ クマの人形 ―――
――― 手■■■たのは ゴ■■■で■■たクマの人形 ―――
――― 手にしたのは ゴミ捨て場で拾ったたクマの人形 ―――
ニル「―――――――(―――――――嘘だ) 」
ルシオン「 「貧困な過程で生まれ育った」という偽りの環境の下、現状打破のためにその解決策を必死に模索する。 その為に強くあらねばならない。強く、あらゆるものを蹂躙してでも己の目的のために力を振るうだけの。 満を持して、私は彼女をこのゲームに挑むように促しました。どんな"願い"も叶う―――そんな非現実的理想に縋りついてでも、今ある状況から抜け出したいと強く思わせるために。 」
ルシオン「それからは私の見立てどおりでした。数々の攻略戦やプランダラとの攻防…そして、私が差し向けた彼女の『同胞』たちとの戦いを経て、ついに…彼女は唯一無二の固有霊装の覚醒に至った。嗚呼…素晴らしい!私の長年の研究がついに実り、歓喜に震えました。『失敗作』を処分しなくてよかった。『彼女たち』のお陰で、求めていた『完成品』が誕生したのですから…! 」
ニル「―――――――(―――――――うそだ……) 」
ルシオン「 そして今……ここに至る――――― 『完成品《あなた》』を迎え入れるこの瞬間を、どれほど待ち侘びたことか。さあ、おいでなさい。私の愛しい『娘』。貴女が帰るべき場所へ。今よりも幸せになれるところへ。私が貴女の"願い"となりましょう。(フフフと紳士的な微笑みを浮かべてそっと両腕を広げる。その感情には嘘偽りはない。心の底から彼女を迎え入れる"愛"に溢れていた。だが―――――) 」
ニル「――――――――(混濁する記憶が、次々と黒く塗り潰されていく。父と思われた何者かの顔が、母と思われし誰かの顔が。思い出が、深淵に染まりゆく。取り戻さなきゃ。そうして深淵を覗き込んだ先にあったのは―――――) 」
ニ ル 「 生キタカッタ 幸セニ ナリタカッタ 」
ニル「――――――― ひ ッ゛ 」
ニ ル「 「アナタ」ジャナクテ 「ワタシ」ガソウデアリタカッタ 」
ニル「 ちがう……私だって…こんなこと、望んでなんかッ――――― 」
ニ ル 「 返シテ 「ワタシ」ヲ 」
ニル「 ……ちがう……ちが、う…ッ……!こんなの…こんなのは――――― 」
ニ ル「 返シテ 返シ テ 」
――――――― ッ パ ァ ン ! ! ! ! (深淵に転がる多くの「目」が弾け飛び、赤い涙が取り残される)
ニル「 ピ ッ ――――――― (その涙が返り血のように少女の頬を掠めた途端、臆病に震えていた瞳から光が失う。その目は深淵に沈んだように真っ黒に染まりだし、逆巻いていた記憶と感情の奔流が一転に凝縮され、ぽつんと消失する。そして―――――) 」
ニル → NIL「 ニ タ ァ (――――――― "悪魔"の笑みを浮かべた) 」
ルシオン「良い顔になりましたね。素敵ですよ。さあ、解き放たれた貴女の本当の力を、私に直接見せてください―――― \ VISION DRIVER / (この時を待っていたといわんバリに取り出したのは、セレディから譲り受けたゲームマスターの権限「ヴィジョンドライバー」。それを腰へゆっくりと装着する) 」
ルシオン「 \ GLARE 2 , LOG IN / (ドライバー上部の生体認証装置に、親指の指紋認証を行うことでドライバーが起動) ス チ ャ リ (直後、右側のスロットから「プロビデンスカード」を取り出すと―――) 変 身 ( \ INSTALL / )(そのカードを、ドライバー右側の窪みにスキャンした) 」
ルシオン → 仮面ライダーグレア2「 \ I HAVE FULL CONTROL OVER / \ GLARE 2 / (周囲に開かれた疑似ブラックホールから引き寄せたダークマターがクリーンエネルギーに変換され、装甲として装着される。だが変身を遂げたその姿は、かつて攻略組が対峙したゲームマスター・ギロリが変身した「グレア」と酷似こそしているが別物の存在。全身に赤いノイズのような模様が走り、より不気味なデザインがあしらわれた最高権威の一種―――仮面ライダー『グレア2』) 」
仮面ライダーグレア2「貴女の本来の役目を、この私が直接導きましょう。( \ HACKING ON / \ CRACK START / ) ( バ シ ュ ッ ! ! )(胸部に備わる一基のヒュプノレイが飛び出す。それは、第30層にてグレアに変身したギロリが行った洗脳デバイス。この場において当事者である肆々玖だけに、その悪い予感が走る。だが、彼が手を打つよりも先に飛び出したデバイスが高速を上げて向かった先にて――――) 」
NIL「 ガ ギ ョ゛ ン゛ ッ゛ ! (―――――ニルの頭部に装着される。脳に強烈な衝撃を与えることでその肉体と精神を蝕み、支配下に置くゲームマスターの特権が、彼女の中に眠る"悪魔"を強く呼び覚まさせる――――) ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ッ゛ ! ! ! (全身に迸る衝撃に悶え苦しみ、悲痛な叫びが電脳空間に強く反響する。一瞬の間際の果てに衝撃は静まり、少女の体が前のめりにだらりとぶら下がる) 」
NIL「 グ イ ン ッ ―――――――― コ キ ッ゛ (そして、人間とは思えない無機質なロボットのようにその身を起こしたかと思えば、手に握られた漆黒剣と共に――――――肆々玖たちに斬りかかった) 」
肆々玖「……役目だ何だと、いかにもらしい押し付けだな。今振り返ってみればお前みたいな奴はいつもそうだった。(冷えた至高、冷えた呼吸―――ただ彼の中で一種の遠慮が消え失せた)恨むなよニル。(斬りかかるニルを前に、闘気が二振りの短剣となり迎え撃つ) 」
NIL「 ガ ッ ギ ギ ギ ィ イ ガ ギ ギ ィ イ イ ッ ! ! ! (一度の斬撃。それだけで肆々玖が振るう二刀に凄まじい圧を齎す。未だかつてないほどに膨れ上がった憎悪。それを、ついさっきまで仲間だった彼に突き出したのだ) ケッ♪ ケケッ♪ (口元だけが愉快気に哂い、口角が吊り上がる) 」
NIL「ギィンッ――――ガッギィッン、ガギィンッ、ザンッ、ギンッ、ギギィンッ!!(一度鍔迫り合いから離れたかと思えば、再び助走をつけて飛び掛かる。乱雑に、無造作に、しかして肆々玖に振り下げられる刃の連撃。明らかに今までのニルとしての戦い方から大きく乖離した、別人のやり方で攻め立てていく) 」
ミツキ「うそ……っ… えっ、あ……!?先輩、まさか本当に――――!!(吹っ切れたように人格が変わったニルとの、戯れの片鱗もない殺伐とした剣戟に打って出る肆々玖を見て最初こそは躊躇いを見せるが―――)……このバカ…っ…!あんなに先輩に可愛がってもらっておいた分際で……―――なにしてくれてんのよッ!!(両者の間に割って入るように飛び込み、そのまま肆々玖と息を合わせてニルの斬撃を弾き返していく) 」
肆々玖「ザッ―――(ニルの凶刃がその身を引き裂いた―――かと思えば)"幻夢<セニュエロ>"。(無詠唱、ただ術名を述べる発動の印。幻を告げたそれが、霧のように消えた……) 」
NIL「―――ギャリギャリギャリィィイイッ!!(剣戟に加わったミツキを含め、両者から繰り出される斬撃を一本の漆黒剣のみで捌ききっていく) ヒ ュ オ ッ ―――――― ド グ ゥ ォ ア ッ ! ! (微かにできた隙の合間、全身を捻るように傾倒しながら低空跳躍したかと思えばミツキを蹴り飛ばす。その脚部は確実に彼女の負傷した脇腹という急所を狙っていた) 」
ミツキ「 ぎ ッ゛―――――― ! ! ? (深い爪痕が残された脇腹に突き刺さる一撃の激痛に悶えながら大きく蹴り飛ばされ、ゴロゴロと地を転倒していく) 」
NIL「――――――(ミツキを蹴り飛ばして着地した直後、霧散した肆々玖の行方を追うように周囲を見渡す) 」
ドヒュンッッ!!!!(消えた―――と思った肆々玖だったものの霧が、一瞬で凝固したと思えば強烈なウォーターカッターとしてニルに襲いかかった!!)
ヒサメ「(ミツキが転がる方向に時空の裂け目が発生。そこから出現すると同時にミツキを後方の次元の裂け目へ蹴り飛ばし、彼女と位置を入れ替わって前へ出刺突を繰り出し) ガッッ (突きを繰り出した直後のニルの霊装の柄を峰で捉え振り上げ、腕ごとかち上げる)――――いーい顔するようになったじゃん。念願かなってうじうじ虫卒業できたってわけだ 」
ミツキ「いだぁ!!?(アイツ絶対許さない……っ!!!)(グギギギ) 」
NIL「ヒュッ―――オッ―――ヒュ―――ドォッ!(水圧波のように放たれた斬撃をバク転を繰り返して受け流しつつ距離を取り始める) ニ ヤ ァ … ッ ♪ (次の標的をヒサメに切り替え、不気味に嗤う)グルングルングルンッ―――ズォンッ、ズァンッ、ズォァバッ!!(漆黒剣で8の字を描くように回転させると、黒い衝斬波が次々と放たれていく) 」
"発光<イルミナル>" "泥沼<パンターノ>"(気配もなく、ただ声だけが響く。宣言すると共にニルの眼前が閃光で染まり、足元に泥沼が生じて絡め取りにかかる)
NIL「――――――(閃光による目眩ましと泥沼による拘束。暴走する者を捕らえるにはうってつけの搦手戦術に見事に嵌ったかと思われたが――) "深炎《 シンエン 》" (ズ ボ ォ゛ ア゛ ァ゛ ッ゛ ! ! ! )(泥沼に向けて突き刺した漆黒剣に発生した黒い焔が盛大に爆ぜ、激しい火柱となって閃光と泥沼を無に帰し、周囲に黒い火種が飛散することで空間を炎上させる) 」
肆々玖「これからお前にやるのは、多分八つ当たりだ。(そして真上から急襲―――するのはまたも影、ニルに降りかかる寸前になってその身体は幾重もの水玉となり散弾の如く降り注ぐ)真っ当に相手すると思うなよ。(左右挟撃、ニブイチで本体―――それも幻だ。) 」
ヒサメ「――――(適材適所って奴だ。キミが道化なら道化が相方として踊っといてやるよ) ―――――(蒼刀を以て一文字横薙ぎ→逆袈裟→手首を捻り袈裟斬り。 一歩ずつ前へ踏み込みつつ、『六文字』を描くような三連撃で時空の裂け目を発生させ、衝斬波を"受け流す"。これにより反動はなく、尽く間合いの外から襲いかかる波状攻撃に対応し) キ ィ ン (ジャケットの袖口から滑り落としたナイフを三本捨てるようにして床下へ投擲。 時空の裂け目へ消失したそれがNILの爪先寸前へ降り注ぎ、肆々玖を支援する) 」
NIL「 "怠堕《 タイダ 》" ( グ ニ ョ ン ―――― ヒ ュ バ ァ ッ ! ! )(三方向から降りかかる一斉攻撃に加え、そして時空の裂け目から飛来するナイフ。これに対し一本の剣では対処は困難を極めるだろう。そう思われた時、少女の足元に伸びる影から彼女の姿を象る人型の影が2体飛び出し、散弾ナイフ、そして挟撃を寸でのところで弾き返したではないか) 」
NIL「 ニ ヤ ァ ッ ―――――― (本体と二つの影が一斉に飛び出す)ザギィンッ―――ザギィインッ―――ザギィィイイインッ!!! (肆々玖の本体と幻、そしてヒサメにそれぞれ狙いをつけたように黒い一閃で畳みかける) 」
ババババシュンッ!!!(襲いかかったのは、全て幻―――擲弾のような大粒小粒の水弾がニルに降り注ぐ、だけではない)ジャキキキキッ!!!(一部の弾は結合を繰り返し、再び水刃として幾度も襲いかかり―――)
肆々玖「"【叢雨<ムラサメ>】"―――!!!(そして当の本体は、ニルの完全なアウトレンジから超遠距離狙撃―――【叢雨】による"槍<ランサ>"のオーバーロード、即ち超火力の光線を放つ) 」
ヒサメ「 チッ (左手にナイフを補充。それを回転させ弄ぶ拳を自身の胸の前で縦に下ろし) ドズ ッッ (正面から一閃をその身に受ける。僅かな鮮血、左胸部を剣先が貫通し心臓を捉えたはずだが……) ガッッ (その剣を駆るNIL(或いは分身)の腕を鷲掴みにし拘束。 自らの胸に切り開いた時空の裂け目を剣で素通りさせただけの彼は冷淡に、ゼロ距離で見下ろし) ガッッ (ゼロ距離からの頭突き→鳩尾への前足蹴り→両肩へナイフを二本投擲のコンボを狙う) 」
NIL「 ドッ ド ドドッ ド ッ (水弾に足元の地盤がなし崩されたことで態勢維持に綻びが生じ―――)――――― ズ ッ ガ ァ ァ ァ ア ア ン ッ ! ! ! (神槍が如く解き離れた光線に対する防御が遅れる。寸でのところ剣身で受け止めにかかるが勢いまでは押し殺せず、そのまままっすぐに壁に激突していく) 」
NIL(影)「 ガッ―――ドッ―――ドスゥッッ!! (頭突きによる強烈な痛手、怯んだ所に叩き込まれた蹴り、そして、両肩に深くナイフが突き刺さり上半身を大きく覗けゾラせて呻き声を上げたかと思えば、少女の姿が真っ黒な影となって霧散した) 」
ミツキ「決まった…ッ!! 」
仮面ライダーグレア2「やりますねえ……ですが、こんなものではありませんよ。 」
NIL「――――― ボ ッ グ ゥ ォ ア ン ッ ! ! (瓦解した壁の瓦礫が消し飛ばされ、周囲に残骸が飛散する。姿を再び現したと思えば、既にその漆黒剣の剣身に禍々しい波動が纏われていた) 」
NIL「――――――― "幽罪《 ユウザイ 》" ――――――― 」
ズ オ゛ バ ァ゛ ッ゛ ! ! ! ! (一閃。少女が繰り出したたったひと振りが、瞬く間に電脳空間に走る。その次の瞬間、無造作に点在する柱の多くに横一文字の斬痕が刻まれ―――― 彼らを押しつぶすように一斉に倒壊したのだった)
肆々玖「地形を崩す―――それは隠れてくださいとでも言っているのか。(降りかかる瓦礫の山、その焦点となる場所を瞬時に判断)俺はこういうゲリラ戦になる方が、慣れている。(一瞬でその中へと紛れ込んで気配を断つ) 」
ミツキ「ちょッ゛―――――!?(なんなのこのデタラメな剣技…!本当に同じ伐刀者…っ…!?これじゃあまるで――――)(倒壊する柱から慌てて撤退していく) 」
仮面ライダーグレア2「素晴らしい。伐刀者本来の固有霊装の力に加え、剣術型マイテイ人が誇る破壊力による相乗効果。 もはや学生騎士はおろか、魔導騎士すら超越した実力を手にしたといってもいいでしょう。(一度の一閃で地形を変えるほどの脅威性を示したNILの潜在能力を遠めに観察し、満足するように何度も小さく頷きだす) 」
ヒサメ「(伐刀者の特性にマイテイ人の身体能力。火力で殴ったほうが効率がいいはず……環境を利用した質量攻撃に頼るのは"間合いの限界"か……?) ヴ ン ッ (逆袈裟、袈裟斬りの八文字を空間に刻み空間の裂け目を生成。そこへ瓦礫が飲まれる様に一瞥をやらず、微動だにせずニルから目線を動かさず)……(肆々玖の気配を第六感で追う。全く感知できない暗殺者として容赦のない気配遮断であることを確かめると) ハッ、"親バカ"もここに極まったな。人っ子一人殺せない、ましてや手に感触の残らない"清潔を保てる"攻撃手段を無意識に選ぶ。大した憎悪だよ(両腕を広げ首を左右に振る。隙を晒し、無防備に前に一歩出ながら) 」
NIL「 シ ュ ダ ァ ン ッ ―――― ! ! (気配と共に姿を消した肆々玖の追跡よりも、眼前に捉えたヒサメに飛び掛かる) ガ ッ (接近の間際、横切った残骸に華奢な腕を伸ばし高と思えば爪先を食いこませて片手のみでその重量感物体を持ち上げ―――)――――― ボ ッ グ ゥ ァ ア ア ン ッ ! ! (鉄槌を下すかの如くヒサメに巨大な残骸を叩きつける。たとえそれが空ぶってしまおうとも砕けた衝撃で発生した土煙に紛れ、もう片方のてににぎられた漆黒剣が彼に追撃を仕掛けんと薙ぎ払いを仕掛ける) 」
ヒサメ「(初動前に行動予測をしてようやく対応できる身体能力、敏捷性だ。つまるところ回避行動を取ったとて……――――)―――癇に障ったか?殺意込めて殴れよ。(バックステップを踏み重量物体の殴打が頬を掠めるも直撃を回避。しかし床で砕けるそれと衝撃波で全身に細かな打撃と斬撃を食らったかのようなダメージを負い) ヒュ オ゛ッッ (足首を捻り円を描く薙ぎ払いで全方位に牽制を仕掛け、漆黒剣の斬撃とぶつけ軽減。しかし余波が胸部に斬撃を刻む)ヅ……!! 」
NIL「 ケ ッ ♪ (―――― ズ ッ ガ ァ ァ ァ ア ア ン ッ ! ! )(ゴキリ、とグロテスクな骨折音をかき鳴らした右手の5本指が鷲の足のように鋭く屈折。構えた掌底をヒサメに炸裂させる) 」
肆々玖「"気象操作<メテオロロフィア>"(声と共に生じるのは、周囲一体を包み込むような濃霧―――それは即ち、四方八方が彼の"水刃<こうげきしゅだん>"という事、そして更に彼を追いにくくなるという事だ) 」
ヒサメ「 ヘ ゛ キ ゛ィ゛ッ (体外から肋に鉄塊をねじ込み、万力でねじ切る事で体内をかき混ぜられるような感覚。心臓へ指が触れる寸前まで掌底がねじ込まれ取り繕う間もなくなるが……) ト ッ (ナイフを密着したNILの手首にあてがい、引く。 ) (NILの手がバターを切るかのように切断された。流血も痛みもない、切断面は鏡面のように空間が歪曲しており、切り離されているのにNILの意思で離れた手を動かすことが出来る。 だがヒサメの胸部から離すこともできない。NILの右手を"空間的"に切断し、この戦闘において拘束することに成功した) 」
NIL「 ? (空間ごと切断された右手を失った自身の手首に視線を落とし不思議そうに凝視する。痛みはないものの、常人ならば間違いなくその光景に絶叫を上げたり動揺を見せるだろうが、この少女は違った。まるで面白いものを見るかのような無垢と狂気が背反し合う眼差しを浮かべるのみであった) 」
ヒサメ「 ハッ (冷や汗が止まらない、血の気が引いていく、末端の感覚が遠のいていく。だがそれを悟らせてはならない、不敵に笑みを作り。) なんでも楽しんでくれるな、こっちのほうがあやしやすそうだ(両袖からナイフを滑り落とし、ニルの四肢目掛け投擲。 "空間的切断"による行動封じを直線的に狙っていく)―――――(極限まで封じろ、悟られるな。俎の贄のように、自由にできる状態にしなければ突破口を見いだせない……!) 」
肆々玖「焼き付けろ、"覚醒流<レボルシオン>"。(濃霧の中に立つニルへ、濃霧越しに的確に強烈な雷撃―――肉体の限界、その許容量を大幅に超えて破壊する雷撃を電波させる)いつまで寝ぼけているんだ、お前は。 」
NIL「ヒュオッ―――ヒュッ――フォッア―――!!(投擲されたいくつものナイフに警戒を抱いたのか、弾くのではなく回避を選択。側転回避でナイフを受け流すが―――)――――バリバリバリィィッ!!!(そこに、肆々玖が繰り出した雷撃が全身に直撃する。生身の人間、たとえ伐刀者であろうとも肉体負荷の許容量を超えた一撃の前に沈むかと思われた。だが―――)――――― ケ ケ ッ ♪ (限界を迎えそうなっ瞬間にこそ、その潜在能力が開花する。マイテイ人特有の闘争心がその肉体を鼓舞するように彼女の全神経に張り巡らされ、帯電した体から繰り出されるとは思えない跳び蹴りを肆々玖へ炊き込み、そのまま踏み潰す) 」
肆々玖「ぐ―――(瞬間的な闘気保護、回避は困難とみて耐えの姿勢だが―――)グッ……(離さない、包み込む、闘気が糊の如く纏わり付き、固定する)……ふ、はは。そもそも俺も、"消耗品<そっちがわ>"なんだよな。(全力で闘気を行動阻止に回しながら―――) 」
肆々玖「この距離でやれば、俺だってタダじゃ済まない。我慢比べだ―――"覚醒流<レボルシオン>"!!!(己の負傷を躊躇わず、再び雷撃を流し込む!!) 」
ミツキ「―――― 先輩 ッ˝ ! ! ?(何らかの衝動に突き動かされたように、道連れに両者ともども稲妻に包まれていく光景に絶句する) 」
ヒサメ「―――――(ゼロ距離の白兵戦……マイテイ人の身体能力によるゴリ押しで追い打ちを食らう……!) ッ ! (咄嗟にNILが振り下ろした物体の残骸から"鉄筋"を引き抜き) ヒュ ッ (ナイフを肆々玖の手の近くへ投擲、床へ空間の裂け目を作り出し) ガ ンッ (鉄筋を裂け目へ投擲。 肆々玖の側へ"裂け目を通して遠方の壁へ突き刺さった鉄筋"が配置される。"アース"だ) 捕まれッッ!! 」
NIL「 バ リ バ リ バ リ ィ˝ ィ˝ イ˝ ア˝ ッ˝ ! ! ! (肆々玖がとった予想外の行動に驚愕する間もなく、雷撃が全身を蝕んでいく) 」
肆々玖「ッグ―――ぉ、あ゛ああッ!!!(投じられた助け舟に、手は出さない。己から生じる逃げ道で威力を落とそうとは、決してしない)荒療治だッ、外道とでも罵れ゛―――"迷妄<ペサディリャ>"!!!(雷撃を止める事はない、ただただ意識と肉体を互いに引き裂きながら、並列して流し込むのは―――記憶の想起、電気信号として今の人格を引き裂くように、滅茶苦茶に書き換えにかかる) 」
機械仕掛けの人形のように、ただ機能的に肉体を動かすだけの少女だったが、闘気の籠った雷撃を受けたことで、その脳裏に雷鳴が閃くようにある記憶が弾ける――― 」
何が起こったって―――"まあ、別にいいか"だ。死なない限り次は廻ってくる。
認めてないのは多分、あんた自身だけだよ。これからはもう少しその卑屈なのもやめて、しっかり前を向いて行け。その方が人生も楽しい、多分な。
ミツキ「ダメッ、先輩…!!離れてッ!!このままじゃ先輩が…先輩がッ……!!(助けに向かわなくてはならない。だが急所による深刻なダメージが自分の体を釘づける。否、なによりも…否定の叫びをあがらも、心のどこかで信頼している彼の撮る決死の行動に手を出してはならないという自身の矜持が、そうさせていたからだ) 」
肆々玖「い゛つま゛でッ……そん゛な゛ッ、下らな゛い……!包み紙に、包まれてんだ―――!!!(流し込む、書き換える、上書きする、焼き切る。作り変わった、思い出させられた記憶を消し飛ばすように再生し、そして押し流す―――心臓は、決して躍動を止めない) 」
仮面ライダーグレア2「ハハハッ…!滑稽ですね。その娘は私が生み出したクローン。ただの人間とは違う。どれだけ荒治療を施したところで、人が想像できうる範囲で解決など―――――― 」
それなら、『悪魔』ならどうだ?
NIL「……グッ……ググッ……!!(歯を食いしばり苦悶する肆々玖と比例して、感電を浴びながらも表情を一切変えない。流れ込んでくる記憶にノイズががかる。自身の意思ではない何かが、悪魔の囁きが記憶をかき消そうとしている。痙攣を帯びながらもその体は少しずつ動き出し、着実に反撃の一手に出ようとするが――――) 」
ミツキ「――――――!(この「声」……聞き覚えが…―――――ひょうとして!) 」
━━━その時であった。決して外の生き物が入り込まないはずのこの場所に……
……純白の羽根が舞ったのは━━━━!!!
???「 ガ シッ (彼らが上空に舞った白い羽根に気を取られた次の瞬間。NILの影から屈強な人影が出現! そのまま、自ら電撃を受けることもいとわず、抵抗を制するように羽交い絞めにする!) 」
NIL「 ガ ッ ! ! (抵抗する腕が伸ばしかけたその時だった。誰かがいるはずのない背後に忍び寄った大きな『影』が小柄な体を磔にしたように固く結ばれ、ついに抵抗力を失ってしまう。感電する最中、拙い挙動で首だけを振り返るとそこには―――) 」
???→ブラックホール「よう……久しぶりだな、嬢ちゃん……!!!(もはや見慣れた、穴の開いたのっぺらぼう。見覚えのありすぎる、『悪魔』の貌があった!!) 」
NIL「――――――(人ならざる者の出現。新たな敵の襲来かと思われた。だが、脳裏にガツンと殴り抜けられたような痛みが、その信号を否定する――――) 」
肆々玖「ッぐ……!お、そい゛んだよ……!!(目からは血涙が、肉体からは悲鳴が。だが、それでも止めはしない、限界を超えて尚―――泥臭く。) 」
手を貸すぞ嬢ちゃん……「悪魔」で良ければな!!
いいぜ、オヤジさんを救う夢、叶えろよ。オマエなら立派な……悪魔になれるさ!
NIL「 バ リ リ˝ ッ˝ バ ッ˝ リ ィ˝ ―――――― ッ˝ ッ˝ ッ˝ ! ! ! (背後から抵抗力の一切を抑えられ、ついに激しい電流が全身の隅々を伝達し、脳神経に衝撃がダイレクトに訴えかける) 」
ブラックホール「悪いな……ちょっと、援軍呼ぶのに手間取ってな……!! その代わりと言っちゃなんだが!!(そのまま脚を絡めてさらに固定。当然電流が自分の身にも降りかかる。だがそれを厭わず、さらに強く) 」
NIL「―――――――(彼らの抑制が、暴走人形の抵抗力を弱めていく。その叫びが、至近距離で耳に入り込み、ノイズがかった記憶を晴らしていく―――――) 」
遠い記憶が、誰かを呼んでいる―――――
NIL-24「 びぇぇえええん…っ……!! 」
NIL-13「 どうしたの……!? 」
NIL-24「 ひっ、ぐ…… また、イジメられたぁ…っ……!いたいよぉ……うぅ…ぅ……! 」
NIL-13「 ……痛かったね…?よしよし……もう、大丈夫だからね…… 」
NIL-24「 ぇぐ……ひぐ……っ……… 」
NIL-13「 ……いつか強くなりなよ。だけどその強さは、誰かを傷つける為じゃなくて、守るためにあって。 」
NIL-24「 ………まも、る……? 」
NIL-13「 自分以外の誰かを…心の底から本当に大切な誰かが傷ついた時、その人を守ることで『貴女』も強くなれる 」
NIL-24「 ……ほんとう……? 」
NIL-13「 たくさん傷ついた『貴女』なら、きっと他の誰かの痛みにも気付ける。今度はその人を守るために、強くなるんだよ? 」
NIL-24「 ……………―――――――― う ん っ 」
NIL-24「 やだ……お外で遊ぶの……怖い…… 」
NIL-13「 そんなこと言わずに行こうよ!いつまでも部屋に籠ってちゃ退屈だよ! 」
NIL-24「 で…でも……… 」
NIL-13「 いいからっ、いこっ……! 」
NIL-24「 あっ………―――― 」
NIL-13「 ある本に、こんな素敵な言葉が書かれていたんだ。"何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて…―――――" 」
NIL-13「――――― "大きな花が咲くから" 」
NIL-24「わぁ……!うんっ……覚えておく……! 」
NIL-13「……お願い、よく聞いて……っ… 「私」はもう、このまま生き残れないと思う。見ての通り…体の半分を、あの怪物に食べられてしまったから…ッ… だから……最後に、どうしても『貴女』に伝えたいことが、あるの…っ…… 」
NIL-24「…ヤダ……っ… イヤ…ッ……! 独りに…しないで……っ…… 」
NIL-13「聞いて……っ…!『貴女』は…絶対に生き残らなくちゃいけない。いつかこの箱庭を出て…外の世界へ行くの…っ…!「私たち」が見られなかった外の世界に、『貴女』だけが行くの…ッ! 」
NIL-24「どうして「私」じゃなきゃダメなの…!?だったら「みんな」と…「貴女」と一緒に―――― 」
NIL-13「『貴女』は臆病だった…でも、ほんとは違う。ただ誰かに優しすぎただけ。傷つけることはもちろん…些細な慰めでさえ誰かを傷つけてしまうかもしれないって恐れて…そうなるくらいなら…自分の中で閉じ込めようとしていただけ… どの「私たち」よりもずっと、『貴女』は優しいから…!きっと…外の世界で…ごく普通の人間として、きっとうまく生きていける…っ…! 」
NIL-13「私は…外の世界を知らない… でも、"好奇心"な私は…きっとそこが、どういう場所なのかをいつだって想像していた。少なくとも…こんな狭い箱庭なんかより、ずっともっと、素敵な場所。願えるなら…「私」もそんな世界へ行ってみたかったよ… 」
NIL-13「でも…ここを出られるのは…たった一人だけの「私」。だったら…『貴女』が良い…!最後まで生き残って… 選ばれて…私たちがいけなかった世界へ…行ってッ…!!そこにはきっと…私たちみたいな同じ顔をした人じゃなくて……顔も、言葉も、みんなばらばらで…だけど、私たちじゃ掴めなかった素敵な運命を、齎してくれると思うから…っ! 」
NIL-13「 「私たち」は、絶対に『貴女』を恨まない。『貴女』が「私たち」の分まで幸せに生きていてくれるなら 」
NIL-13「もしも誰かが『貴女』を恨むような悪夢を見たのなら…それはきっと"悪魔"の仕業。でも、その"悪魔"は、きっと「忘れないで」という思いで…くじけそうになる『貴女』を強くしてくれるはずだから。 」
――――― グ ル ル ル ゥ ォ ォ ォ オ オ ア… ッ ! ! !
NIL-13「……もういかなくちゃ。だから、『貴女』も行って…ッ!逃げてッ!!いつか『貴女』が幸せになるために! 」
ド ン ッ
NIL-24「 あ っ 」
NIL-13「 もう振り返っちゃだめだよ 」
今はまだ、地中に眠る「種」。いつかは「芽」を出し、そして「花」咲かす日が来るまで――――
臆病な少女「―――――――― 」
ゲームで「願い」が叶うなんて夢見てんじゃねえよッ!!テメェら全員そいつ(エリノラ)に踊らされやがって…ッ!
どうせ誰も100層になんか辿り付けねーよッ!!そういう仕様なんだろ!?「願い」を叶えることなんかできねえもんなァ゛!?
誰も辿り着かなきゃ永遠にインチキはバレねえもんなァ゛!!?ア゛ァ゛!?
奴は願いの否定に願いを注いだんだ、君も"ある"んだったらへりくだってるんじゃないよ。
蛹にすらなれない青虫のままなんて嫌だろ?
『幻影の巨塔《 ここ 》』で「願い」は絶対に叶う。みんなが…君たちが諦めない限り…『幻影の巨塔』は消えない。
私も…その「願い」を見届けるまで、ずっと傍にいるからね。
臆病な少女「―――――――― 」
いいぜ、オヤジさんを救う夢、叶えろよ。
"まあ、別にいいか"―――その心を忘れないで行けよ。
臆病な少女「―――――――― 」
何百通りの「私」がいて、その数だけの生き方がある。最期を迎えるのが早いのか遅いのか、それだけのことだと思ってた
でも……
こんなにも広い世界で、素敵な人たちと出会って…私が「私」でいることを認めてくれるのなら――――
きっと何度生まれ変わったって…私は、やっぱり「私」でありたい
ずっと… "幻想的な夢を願い続けていたい"
『 さあ、悪夢(ゆめ)から覚めるときよ。『貴女』の大切なお友達が呼んでいるから。行って。彼らと一緒に、その先へ―――― 』
NIL → ニル「――――――……………… 」
ニル「…………っ………?(気が付いたようにその小さなゆっくりと見開く。光を取り戻した琥珀色の瞳が、視界を少しずつ鮮明に映し出す。自分はひび割れた床上に仰向けに倒れこんでいた。静かにその身を起こし、目の前にいた人影たちと目が合った―――――) 」
肆々玖「は―――この、ネボスケめ……(一瞬、ほんの一瞬目が合うと共に視点はぐわんと揺れ、膝をついて今になって近場の鉄片をアースにして放電する) 」
ブラックホール「おっと……(咄嗟にニルを放し、肆々玖の背中を叩いて電流を引き受ける。超人パワーならば可能だ)……目が覚めたか? 」
ニル「…………(呆然とした眼差しで肆々玖とブラックホールの二人を交互に見渡し、一度俯いたかと思えばゆっくりと顔を上げる)………なにか……悪い夢を…ずっと見ていた気がします… でも…それはきっと悪夢なんかじゃなくって…… 私を……いつまでも、何かから逃げていた私を呼び戻してくれていたような……そんな…不思議な夢でした… 」
ニル「……最後に……お二人が…ここで出会った人たちが現れて……必死に追いかけて……やっと……目が覚めました… 」
ニル「………本当に、ごめんなさい。長い間、ずっと逃げ続けていたから…みなさんにとんでもない迷惑をかけてしまった…(涙ぐむ声を震わせながらも、それをぐっと呑み込む)……でももう……逃げない。逃げる理由が、なくなったから。 」
ニル「 こんな「私」でも……まだ、"願い"続けてもいいですか?みんなと、一緒に…! 」
肆々玖「好きに……生きろよ、お前の人生はお前だけのものだ。お前以外に、誰も否定できやしない……(他者を介した自己肯定にも等しい言葉、それはある意味己への投げかけでもあるが)……ぐ、がふっ―――(吐血、流血、ただ至る所から今までの無理が祟りだす、当然だ。) 」
ブラックホール「いやそれはムリだな(呆れたように手を広げ、飛び出たのはまさかの否定……) 」
ミツキ「せ、先輩…っ…!(その様子に慌てて駆け寄ると肆々玖の背に手を回す)ウッウ……先輩…あれだけ酷い目に遭ったのに……なんて優しすぎるのぉ……っ… ミツキ、ますます惚れてしm…ゲフンッ尊敬しちゃいます……❤(どさくさに紛れて彼の方に頬をすりすりさせるが、すぐに我に返りニルの方を見る)……ミツキは怒ってるからね!でも今回は…先輩の寛大な心に免じて…ちょっぴりだけ許してあげる…!その代わり…今度は貴女が先輩を死守すること!いい?わかった!? 」
ブラックホール「……悪魔が人間と"一緒に願う"なんて格好付かないだろ。オレたちみたいなのはその欲望を唆して叶える側さ……(と、そこで一旦止め)……それとも…… 」
ブラックホール「……一緒に悪巧みでもするってんなら考えてやってもいいぞ? 」
ニル「……!(肆々玖の言葉に、思わず胸が救われたように小さな吐息が零れる)っ…!ご、ごめんなさい……(ミツキの後、肆々玖に対しても繰り返し頭を下げる) ふぇっ…?! (そこに、ブラックホールの予想外の返答に、一瞬だけ絶句した様子を見せるが…)……!ふ、ふふっ……♪(いかにも"悪魔"らしいその答えが、自分にとってはなんだか心地よく感じたのか、思わず小さく噴き出した) 」
21号「……………(その光景を、離れたところから黙視していた。いつ目が覚めたのかは定かではないが、まるで彼女たちの蟠りがほどけていく一部始終を、ずっと見守っていたかのように…暗殺者とは程遠い穏やかな眼差しを静かに輝かせていた―――) 」
肆々玖「グチャァ(こんなざまの男に頬ずりなどすれば血塗れになるに決まっている)……終わった風に、なるなよ……まだ、敵は―――いるだ、ろ……。(幽鬼の如し、滅茶苦茶な状態のままでも立ち上がっては事の元凶たる敵を見据えた) 」
ブラックホール「そうだな。纏めて借りを返してやる必要がある…… 」
ミツキ「ギャーーーッ!!!(気が付いたら血塗れだらけになった自分の両手を見てデフォ顔で発狂している) 」
仮面ライダーグレア2「………(装甲を纏いし男は、彼らの一部始終を静観していた。それは見守るというよりも、生態系が取る行動が齎す変化を観察する、形骸化された研究者としての上面であるように―――) ……ふむ… GM権限によってさらにチューンアップを施したつもりでしたが、もしかすると先ほどの強烈な電波信号がヒュプノレイの耐久を貫通し…彼女のメモリーを改変したのか…?なるほど、これはこれで改善点として見出すべきでしょう。それに…面白いものも見られましたしね。私の研究が成功したという事実は変わらないのですから。 」
21号「………―――――― コ ツ ン (機械人形の如く、目を覚ました少女が主の元へ歩み寄っていく。爪を折られてもなお、肆々玖たちと相対するように佇んでいたが…)………――――― ギ ュ ッ (ゆっくりと振り返り、主であるルシオンへそっと抱き着いた) 」
仮面ライダーグレア2「おや、どうしましたか。またいつもの愛嬌表現ですか。可愛いですね、21号。貴女も私が作り出した完成品。感情の一切を排除した冷徹な殺りく兵器として、貴女はよくその使命を全うしました。ええ、大丈夫です。後で元通り修復して差し上げますからね。さあ、今は離れて―――――?(だが、何かの違和感を覚えたように微かに首を傾げる) 」
21号「………(主人に抱き着いたまま、微動だにしない飼い狗。表情一つ変えず、目を合わせるわけでもなく、何かを訴えかけるようなそぶりもない。ただ静かにこのまま時間が過ぎていくと思われたが―――)――――………"ありがとう" 」
仮面ライダーグレア2「……?? 」
21号「『貴方』に会えて…私の中で、21号にはなかったものを、見つけることができた。誰かを殺すことしかできず、それすら本当の意味を見出せなかった私に…『貴方』は、気づかせてくれた (俯いたままの視線で語りだす。それは目の前の主人に対しての発言か、あるいは―――――) 」
肆々玖「……おま、え……なにを……?(視界がぼやける、直視できない、呼吸が整わない、再生ができない……) 」
21号「『貴方』と……『貴方たち』が……21号は、羨ましかった 一緒に、戦い合う、『貴方たち』が、楽しそうだった 」
21号「ほんとは……消えてほしくなかったんだと思う… 誰かが消えていくたびに、『貴方』までいなくなるような気がしたから。 」
21号「そうなる前に……気づけた、大事なこと。もう、21号みたいにならないでほしい。私がいる限り、また誰かが消えてしまうなら――――― 」
――― 【警告】:自爆機能《スーイサイドシステム》を起動します ―――
仮面ライダーグレア2「―――――!?(これは…まさか―――――ッ!!)(突然の警告音に、マスク越しに顔色が変わる。明らかに動揺した素振りで体をねじろうとするが―――) 」
21号「―――――――――(ゆっくりと瞑目する。その瞼の裏には、はじめて命を懸けて殺し合う光景が、つい昨日のように思い出される。その記憶が少女の理想に書き換えられていく。命の重みなど考えもしない…純粋に戦い合うゲームのような日々を。自分も、その場所に居られたら。『彼ら』と一緒に、楽しめられたのなら―――――と) 」
そして、少女は振り返る。最後にその無機質な瞳に捉えた、『ある青年』を眩しそうに見つめて―――――
肆々玖「や、め―――(動かない、動けない。縫い付けられたように重い身体、焼けた脳に働かない思考、全てが阻もうとする己を阻んだ。) 」
21号「――――― 一緒に遊んでくれて、ありがとう 楽しかったよ ――――― 」
世界から、音が消える。目の前に広がるのは、真っ白な炎が爆ぜる絶景。無音の突風が小さな残骸を吹き飛ばし、立ち込める黒煙がぶわっと拡散する―――――
ガタッ…―――― ガ シ ャ ア ァ ン ッ … ! (爆ぜる炎。迸る衝撃と共に無数にも及ぶ大小問わないガラクタの残骸が飛散する。その中にはゲームマスター権限であるヴィジョンドライバーも例外なく、修復不可能なまでに焼け焦げた形で地面に落下した)
カラン、カララン…ッ… コ ロ ロ ロ …――――――― コ ン ッ (そして、ある小さな残骸だけが、地面をコロコロと転がりながらある方向へと進む。その先にある肆々玖の足の爪先にコツンと当たり、横たわったのは黒い輪っかの形をした残骸。それは、生前の少女を縛り続けていた「首輪」。自らの意思で新たな選択肢を選び抜いた彼女が、"自由"へと旅立った証だった―――――)
ブラックホール「……狼狽えるな!! 最後に自分の手でケジメの付け方を選んだんだ……カッコいいじゃねえか……!! 」
ニル「あっ……ぁ………―――― ?! 」
ミツキ「………あいつ…なんで……っ……… 」
肆々玖「……おまえ、は。("それで良かったのか?"なのか、"どうして"なのか。それとも、どれを言えばいいか。俺が向けていた同族への憐憫、或いは過去の己のリフレインか。心の乏しい俺はあれに何を想っていたのかなど―――今や分かる由も、伝える術もなくなってしまった。)……そう、か。(血に塗れた手で、その残骸を拾い上げた) 」
ミツキ「……先輩……っ…… 」
――――― 嗚呼……なんと嘆かわしい……
ルシオン「――――― ブ ワ ァ … ッ … ! (黒煙を払いのけるように、身に纏う白いコートの裾を手繰り寄せてなびかせる男が、姿を露にする。外見的には致命傷は負っておらず、ただ衣服が多少黒焦げた程度に収まっているものの、そんな今の風貌に癪が触ったように眉を顰める) 」
ルシオン「…感情を殺せば…目の前の標的に同情も哀れみも躊躇いもなくなるものと思っていました。 ですが、感情を失ったからこそ…外的要因からの影響に感化される。感情表現の複雑な処理能力が欠落しているが故に、それは敏感なまでに甘受されるとは… 私の見立てが甘かったようですね。(足元に転がる残骸の数々に視線を落としては小さくため息を零す) 」
ルシオン「ああ…なんということだ……私の甘さが招いたせいで、セレディ様からのご厚意さえ無碍にしてしまうとは… せっかく手にしたGM権限も…あれでは使い物になりませんね……(視線の先にある損傷したヴィジョンドライバーを見て落胆する) 」
ミツキ「……!アイツ…なんでまだ平然と生きているの…っ…!?(咄嗟に身構える) 」
ニル「……ひどい…っ… 人のことを…まるで道具みたいに…… (怯えるような声音の中に、強かな怒りを初めて覚える) 」
肆々玖「……だろうな、とは思って……いたさ。(想定はしていた。この手の奴が寝首を一度かいた程度で死ぬような安全措置を一つも用意しない手合とは思わなかった。分かっていたから止めたかったのかもしれない、それが何故であってもだ。)……道具だ、ろうよ……俺もそうだった、俺を使う奴も……"そういう種の存在"だったからな。 」
ヒサメ「大概が何処かでそう"思ってるさ"。大なり小なりね、アレが特別タガが外れてるってだけで別に驚くことじゃないでしょ(口元を抑え足を引きずり復帰する。目線は見慣れた隣人のような"よくある存在"の一部。) ペッッ (先の戦闘で負った負傷分の喀血を纏めて吐き捨て、一歩前に出るやおもむろにニルへ何かを投げ渡す) ガチャ ("手"だ。ジッパーで縫い合わせるような金属音を鳴らし、空間ごと両断されていたニルの手が復元される)――――誰だってそうだ、"自分も含めて"所有権を手放している。キミは運がいい、拾ってやれたんだからな 」
ニル「ふぇ――――ぴゃああぁっ!?(記憶が一部抜けていたとは言えど、自分の右手がいつのまにか消えていることに今更気づき、本来あるべき場所へくっついた自らの手を見て何度も困惑気味に凝視する) 」
ルシオン「手駒をすべて失った挙句、GM権限まで使えなくなってしまった以上…私があなた方に抵抗する手段はないでしょう。まあ、どこかの誰かさんが襤褸を出してくれたおかげで…私にもツキが回ってきたみたいですがね。( ス ッ ―――(そう言うと懐に潜り込ませた手にあるものが握られる。"善意"の象徴―――『 ゼインドライバー 』であった) 」
ルシオン「人はなぜ生まれ、そして死に逝くのか。幾億もの年月を遡り、原初にて人類を生み出した神は我々に何を見るのか?この世界は神にとって観察されていくために誕生したのではないかと私は推察しています。しかし、神は死んだ。 自らが産み落とした人類によって、皮肉にもデウス・エクス・マキナとなり果てた。この世の目まぐるしい変貌を見れば一目瞭然です。それはつまるところ、今度は神が観察される側になったということ。 」
ルシオン「私にとってこの世界にあるすべてが観察対象にすぎません。好奇心は猫も神も殺す。しかしそれこそが、我々が生み出された所以にして真理であり、"正義"。異を唱えることは自らの存在意義を疑い、やがて自戒する。あの哀れな『失敗作』たちのように。 」
ルシオン「私は常に、私とは何か、そのEGOを知るために多くの命で代替してきました。人は、他者を写し鑑として介して自分とは何かと比較し、初めて自己認識する生き物。多くの犠牲を経て、私は少しずつそのEGOに迫りつつある。この結論に到達することこそ、私の"正義"。己が何者かもわからぬ迷い子たちに、私を超えることなどできはしない。 」
ルシオン「 \ ゼイン ! / (傍らより取り出したゼインプログライズキーを起動・展開する。その背後に、都心の光景が映った青い光球とファンタジー世界の光景が映った赤色の光球が出現する。現実と夢幻が交差するかのような不可思議空間が広がり、異質な空気が漂い出う中で、男は前髪を人差し指で薙ぐ――――) 」
ルシオン「―――――― " 変 身 " ―――――― 」
ルシオン → 仮面ライダーゼイン「 \ ゼインライズ / (キーをドライバー右側スロットへ装填) \ JUSTICE ! JUDGEMENT ! JAIL ! ZEIN ! / \ Salvation of humankind. / (高速道路のタイムラプスを描いた空間に溶け込んだ赤と青の光球が一つとなり、その一筋の光芒に包まれていく。"善意"の基に悪を裁く執行者『 ゼイン 』へと変身を遂げたのだった―――) 」
仮面ライダーゼイン「 『ゼイン』… それはすべての次元の救世主。崇高なる"正義"の名の下に、醜く哀れな悪を裁く存在(もの)。人ならざる者たちよ。EGOに届かぬ者たちよ。我が"正義"に矛先を突き立てるだけの自己はありますか?無き者は等しく断罪する。それがゼインが私に課した役目。真理に近き私こそが、"正義"-――― 」
肆々玖「……下らない、おべんちゃらだな。(ゆっくりと顔面の血を手で拭い、髪を掻き上げる)失敗だ何だ、所以だ真理だ―――どうでもいい、お前の押し付けだ。"別にいい"と流せる程度の。(満身創痍だ。奴の取り出したアレに勝ち目などあるか?……どうでもいい、全て出し切れ、あいつみたいに。)そんな賢しらに自己陶酔した正義を掲げるなら―――俺は悪でいい。 」
ヒサメ「生憎、それが証明されるのはいつだって過去になってからだ。あんたは好きなだけその御託を繰り返してなよ、 未来の訪れない、繰り返される今の中で 」
ニル「………私は…自分がどういう人間かなんてわからないし…きっと、その答えに辿り着けないまま最期を迎えるかもしれない… でも…っ!自分が何者かなんて、無理に決めようなんて思いたくない…ッ!たくさんの「私」がそれで迷って死んでしまった… でも私は、ここでいろんな人と出会って、いろんな生き方を知って…自分にはどんな生き方もできるんだって教えてくれた…!答えを知ることだけが正しいなんて思わない。わからなくても…私は確かにこの今を、「私」として生きているんだって思えたら、それでいい…! 」
ミツキ「先輩以外どうでもいい。先輩 is ジャスティス。これがミツキの真理だバーカ(立てた薬指と一緒に舌を出す) 」
ブラックホール「正義か……悪魔として倒しがいのある御題目が向こうからやってきてくれたもんだ。覚悟しな、お前の想像以上に悪魔は怖いぞ? 」
仮面ライダーゼイン「潔く退かず、抵抗心をもってこれに臨まんとする。良い心構えです。では圧し折れることのないように。ここから先は―――― 」
仮面ライダーゼイン「 "正義"による"悪"の断罪の時間です 」
――― Vs. 【 エゼルダーム】 仮面ライダーゼイン / ルシオン ―――
ミツキ「先輩…ようやく痛みに慣れてきました。今度はミツキが前に行きます……!(脇腹の止血を終え、肆々玖の前に立つとレイピアで虚空を撫で斬り、疾走する)――― や ぁ ッ ! ! (突き立てた細剣と共に滑走し、ゼインへ先手を仕掛けるように刺突を何度も繰り出していく) 」
ニル「……ッ!!(臆病だった少女がその感情を取り払ったかのように意を決し、ミツキに続くように飛び出す) や ッ ! (柄を両手でしっかりと握りしめ、横薙ぎの強い一閃を叩き込まんと接敵する) 」
仮面ライダーゼイン「……!(ギッ、ガギッ、ギィインッ―――!)(初手、ミツキから繰り出される連続刺突。若い学生騎士でありながら洗練された無駄のない突きに対し、何の武装品もない素手を振り上げて対処しようと試みる。手の甲、腕の表面でその軌道をずらしていくが、その動作はかなりぎこちない。完全に素人の受けである。当然、その防御姿勢はすぐに崩されてしまい、あまたの月の餌食を受けて全身から小さな火花を散らす)――― ッ˝ ふ (そこに加えるように繰り出されたニルの一閃を交差した両腕で防ごうと構えるが緒空隙と同時にその身が弾ける様に転倒しかけた) 」
ブラックホール「今だ!(そのまま素早く強烈なタックルでゼインの下半身を取り、そのまま相手の後頭部を地面に叩きつけるようにテイクダウンを狙う) 」
肆々玖「フーッ……フーーーッ―――(出血を止めるのがやっとだ、心臓の躍動も弱まっている……魔力に変換して魔術行使もままならない。創出はできる、出せる手札を全て出せ……!)"鎖<カデナ>"ッ!!(曙色の鎖に血色が交じる、闘気で練り上げたそれでゼインを雁字搦めにする) 」
仮面ライダーゼイン「――――!(肆々玖が放出した鎖には害ざめにされ身動きを封じられたところに――) ッ˝ ウ˝ ! ! (無謀な体制からタックルを受けて盛り上げられ、そのまま地にめり込まん勢いで叩きつけられる。その衝撃で鎖から解放されるのの、後頭部を押さえつけながら覚束ない足取りで起き上がる) 」
ミツキ「……なに、こいつ。あんなに偉そうに言ってった割には弱くね…?攻撃の弾き方も、避け方も…完全に素人のそれじゃん。そのよくわかんないスーツに頼ってミツキたちのこと倒そうとしているみたいだけど、意外とあっけないね。 」
肆々玖「……その程度の、筈がない。油断するな……!アレと似た奴……グレアとかいうのは碌でもない強さだった、それの後に勿体ぶって出したのがこの程度で終わる訳あるか…… 」
仮面ライダーゼイン「……ええ、否定はしません。ここまで数々の攻略戦を超えてきた百戦錬磨の貴方がたを相手に、技術職である私が生身で敵うはずもなく…。しかし、それでも貴方がたは私を超えられない。何故ならこれから―――― "私は貴方がたよりも強くなる"のですから。 」
仮面ライダーゼイン「―――――― ヒ ュ オ ッ (それは人間が瞬きをする速度と等速の合間に起きた現象。吹き飛ばされ、距離をはがされたはずのゼインが一瞬でミツキの真横に立つと同時に―――) メ˝ ゴ ォ˝ ァ˝ … ッ˝ ! ! (アッパーカットをねじ込ませた) 」
ミツキ「 は ? 寝言なら寝てからほざいてよn―――――――― ッ˝ う゛ ! ! ? (表紙抜けたように落胆したのも束の間、ちょっと目をつむった矢先にゼインの瞬間移動を許し、そのか細い体の腹部に強烈な一撃をねじ込まれ、一瞬意識が飛びかけた)か……ふ…ッ˝――――(――――なに……いまの……ッ…?油断…した……?でも、あの距離から…いきなり動けるんなんて……)(理解が及ぶよりも先に両膝が地面についてしまう) 」
ニル「――――ミツキさんッ!?(急接近を行ったゼインに殴り抜けられるミツキを見て驚愕する) やぁぁああッ! (意識を剣先に集中。確実に敵を斬り落とすという強い意思を持って漆黒んを振りかぶり、ゼインに兜割を仕掛ける) 」
仮面ライダーゼイン「 バ サ ァ ッ ――― ! (正義のヒーローを象徴する白いマントを手繰り寄せながら踵を返す動作によって、ニルの斬撃が掠める程度に寸前で避け切ることに成功する) フン (――― ゲ シ ィ ッ ! )(その態勢を維持したまま背後のニルへ華麗な後ろ蹴りを仕掛ける) 」
ニル「ふぇっ――――― あ゛ッ !?(切っ先がゼインの脳天に覆いかぶさるというところまで迫り、攻撃は決まると思われた。だが実際のとことは全くの手ごたえがない空振りに終わる。呆気取られる間もなくゼインの足裏が顔面に襲い掛かり、咄嗟に右肘で受け止めにかかるが力の差で蹴り飛ばされてしまう) 」
肆々玖「ぬうッ―――!!(吹き飛ぶニルに鎖を繋ぎ、無理やり引き留める)学習、か……厄介極まりない……(駄目だな、血の匂いを消せない。隠形も使いようがない……) 」
仮面ライダーゼイン「 学習ですか、悪くない線ですが―――(だが、肆々玖の背後には既に気配を殺した執行人が佇んでいた。隠密に長けた肆々玖ですら、男が言葉を発するまで気づかないほどに存在感を消して)――― ド グ ゥ ウ ォ ッ ! (回し蹴り。肆々玖が振り返るとタイミングで右脚部が襲来した) もはや観測などすべて終えている。実験体との戦闘…いえ、貴方がたがこの幻影の巨塔に現れた時から。ならば出し惜しみなく潜在能力をいかんなき発揮することを推奨しましょう。それでも、結論は見えていますがね。 」
肆々玖「っく―――!!(極限状況下の生存本能と反射により、直撃の寸前で闘気を厚く張るが―――)ぐ 」
肆々玖「ぐ……かふっ、いつぶりだ……?これは……(……"あの女"相手の時よりは万倍マシだ。あいつは底が見えなかった、だが絶望的に俺のコンディションが悪い、どうしようもないと言っていい程にだ。)それが、どうした……見えた結論を突き付けようとする奴は……いつだって薄っぺらいペテン師だ。 」
ブラックホール「何が結論だ……(ゼインの影から出現。そのままコブラツイストで関節を締め上げながら)それならお前の記録した今までのデータを上回る変幻自在の四次元レスリングを見せてやるまでよ!!(脚のホールドを外しながら首のホールドを強めそのまま地面に叩きつけようとする) 」
仮面ライダーゼイン「なるほど。しかし貴方がたはこれからそのペテン師の口車に乗せられてしまうでしょう。(悠長なたたずまいをしている最中にブラックホールに間接を締め上げられ、抵抗もなくギリギリと拘束されたまま地面にあっけなく叩きつけられ、俯せに伸びてしまう―――) 」
仮面ライダーゼイン「――――………そう、そうでなくては。(だが男は治部を這いつくばるような姿勢を強いられても余裕の声音を上げながら起き上がっていく)"かなりの硬度を得た"私を超えるほどの攻撃を打ち込まなければ、決定打にすらならないでしょう。さて、ではそろそろ『ゼイン』が齎す力の一端をお見せしましょう――――― \ カズネ / (そういって取り出したのは、覇気のない目を宿した金髪幼女の顔を映した一枚のカード。それを―――) 」
仮面ライダーゼイン「 カ シ ョ ン ッ (ゼインドライバーの上部に装填した) グイィーッ…―――― \ 執行 / ( ザ ザ ザ … パ ラ パ ラ パ ラ … ――――)(続けて左側のレバーを引き抜くと、装填したカードはシュレッダーにかけられたようにバラバラに刻まれながら足元に儚く舞い散る) 」
仮面ライダーゼイン「――――― \ JUSTICE ORDER / ―――――(そして、ドライバー右側にあらかじめ装填されたプログライズキーを押し込み再起動する) ギ ュ オ ン ッ (仮面の目元が翡翠色に発光した次の瞬間、何も握られていなかった右手から血液がどろどろとあふれ出し、一本の刀の形として瞬く間に凝固する。それは、かの少女が所有していた武器… 血刀「鉉」であった) 」
仮面ライダーゼイン「 "赤十字" ( ズ バ バ ァ ――――――― ン ッ ! ! )(何かの技名を呟くと同時に、正義の処刑人が剣技を執行する。瞬く間に攻略組をまっすぐに突き抜けると、すれ違いざまに罰点型の赤い斬撃が彼らを斬り伏したのだった) 」
ミツキ「(アイツ…あんだけ無抵抗に攻撃を受けながらどうしてっぴんぴんしているの…ッ?何か、仕掛けが―――)……!刀…?武器を召喚して――――ッ!?( ガ ッ ギ ギ ィ イン ッ! ! )(虚空から赤刀を手繰り寄せたゼインの動きに注視。素早い接近と共に繰り出された罰点型の斬撃を間一髪細剣でいなすが、構えに後れを取ったことで突き飛ばされてしまう) 」
ニル「……!?あうッ…!!(ゼインの手に出現した武器に目を奪われ、思わず迎撃態勢に間に合わず薙ぎ払われてしまうも受け身を取って敵の背を見据える) 」
肆々玖「くそ、が……ッ!!!(攻撃を来る事は分かっていた、どこを防げばいいのかも理解していた、だが圧倒的に出力が足りない。21号を押し留めた無茶、ニルを止めた無茶、極限の疲労下で防ぎきれるはずもなく―――だくだくと流血する)……ふ、ふふ……なら、その舌、引き抜いて……ッ……(前が見えない。視界が真っ赤だ、気配でしか個々を認識できない。死ぬな、これは。) 」
ブラックホール「随分タフだな……(瞬時に組み付きを解き、そのまま地面を滑るように回り込む)チッ、肆々玖がヤバいな(背後からの攻撃をやめ、正面に回り込む。素早いローキックで関節を狙ってから、腰を狙いタックル) 」
ヒサメ「 ヴ ン ッ (一閃。横薙ぎを放ち斬撃波を拡散、時空の裂け目を広域に複数点在させゼインの放つ斬撃を拡散しダメージを軽減させようと試みるが……) ッ"ッ"……!!(自身も軽度ながら流血を伴うダメージ、味方の被害は見ての通りだ。苛立ちは鉄の味と共に飲み込み平静を装うとするも、眉間の溝が和らぐことがない) 」
ヒサメ「 ハッ、ゲームじゃポーション買い貯めてたんだけどな……!(咄嗟に 肆々玖の側へ移動し、ナイフを施術するかのように振るい彼の体表を刻む。 "時空の裂け目"が流血箇所に出現し、血管が切断されている部位を消失、連結させ血の流れを復活させると同時に止血を施す) トマト味じゃなくて悪いね、ケチャップよりは栄養価あるだろ(次に血液入の飲料パックを放り、苦い笑みを浮かべた後) (認識内の攻撃が防がれるなら、認識外ならどうだ……!) ダッッッ (刺突。愚直にゼインに正面から接近を試み、心臓を狙い刃を突き立てようとする) 」
仮面ライダーゼイン「どうしました。言動の割には行動力が伴っていないようですが―――― バ ッ ! (後方へ飛び退くことでブラックホールの攻撃から離れていく) \ シン / \ 執行 / (藍色の髪を持つ軍服の青年のカードを引き抜き、ドライバーへと装填する) \ JUSTICE ORDER / (カードを裁断すると、赤刀にとって代わるように今度は帯電式ビームソードがその手に握られる) "ブライトサンダー" ( バ リ バ リ バ リ ィ ャ ァ ァ ア ア ッ ! ! )(光剣を叩かげ、剣先から迸る稲妻が広域に放出され、彼らに雷撃が押し寄せる) 」
仮面ライダーゼイン「―――――(雷撃を搔い潜り懐へと接近を図ったヒサメを無防備の態勢で見据える。切っ先が胸部に迫ろうとした、その次の瞬間――――)――――― グ ン イ ョ ォ ン ッ … !(ゼインの体が、幻影の如く歪んで消失する―――) 」
仮面ライダーゼイン「 "貴方が狙ったのは蜃気楼"。私には届かない。 (ヒサメの真横へ並ぶように執行者がその姿を現し、彼の右手にそっと手を添え――――) グ ギ ィ˝ イ˝ ッ˝ (尋常ではない握力で握り潰した) 」
ミツキ「くッ…!うッ˝……!!せん、ぱい…ッ!!!(肆々玖の前ヘッスライディング移動すると同時に細剣を高らかに突き上げる。そうすることで放たれた雷撃を避雷針のように自身のレイピアに集中する。だが当然…) きゃ゛あ゛ぁ゛…っ゛…!! (肆々玖に代わり、自分がその雷撃を一身に浴びることとなる) 」
肆々玖「グッ―――ズズズッ……生血飲まされるよりマシさ……(受け取ったパックを一息に飲み干す、実体験だろう)お前、俺を庇うなんて無茶を……するな……!!(感電するミツキを弾き、雷撃から突き放して守る)……考えろ、俺が今出来る最善を……。(死兵を生かそうとする、最悪の状態だ。この場で今すぐ切り捨てられるべきなのは俺だ、せめて最も良い使い道を探せ)……まあ、昔のままよりマシだったな。 」
ヒサメ「 ヅァ" …… (初めての経験ではない。痛みに対し悲鳴を発したところで助けを求めてはならない、条件反射的に支配されてはならないと呼吸を殺し。眼前の敵を正面から攻撃することに意識を集中させる) ハッ "意識への強制"か……?生憎"否定"は得意分野でな……!(折られた右手から刀はすり抜け垂直に落下。自身は左手を振りかぶりゼインの顎目掛けそれを振り上げようとしつつ……) ダ ムッッ (垂直に落下した刀の柄頭を"踏む"。) ヴンッッ (刀は時空の裂け目に沈み、ゼインの項付近に再出現。足裏による刺突が意識外から襲いかかる) 」
ブラックホール「(ギミックの正体がどうにもつかめない……!!)前衛は俺がやる!! 怪我人は下がってやがれ!!(肉弾で相手のヘイトを吸い寄せようとしても意味がない……なら)物理的に吸い寄せるのはどうだーーーっ!!!(ゼイン相手のマークを外さず、相手の攻撃と身体を同時に吸い寄せるべく、吸引ブラックホールを発動) 」
ニル「ミツキさん…っ!!(ダメ…このままじゃ…でもっ――――)あの得体の知れない感じの正体がつかめない…それに、いろんな武器に能力まで……どうすれば…… 」
仮面ライダーゼイン「―――― ! (ヒサメの意味深な発言に微かな変化を見せた) ッ! (左手は囮(フェイク)―――そう来ましたか )(咄嗟に眼下に視線を落とし、次元のはざまに刀の柄が消えかかっていくのが視認できた。ならば意識外から刃が飛んでくる。考えうるパターンを算出した結果、寸でのところで脳天を見上げる。間一髪のところでその強襲から免れる) 」
仮面ライダーゼイン「お気に召していただけましたか。これこそが『ゼイン』の齎す力… "善意なる者たちの力を代行し、執行する"。オムニバスの役員として何千万というキャラデータを取り扱ってきた私には、これまでこの世界で活躍されてきた善意なる者たちのデータがある。その情報とゼインドライバーの力を組み合わせれば、誰よりも高い適合率でこの力を行使できる。 」
仮面ライダーゼイン「 バ ッ ―――― \ ライオット / (三枚目に取り出したのは、繰り返される輪廻に抗い続けたある青年の顔を映したカード―――) \ 執行 / \ JUSTICE ORDER / (カードを裁断し、右手に顕現されたのは――)――――― ギ ュ オ ン ッ (光物質で構成された闇を照らすガジェット『閃光《 グリント 》』。長槍形態を維持していたその長柄を振り回し――)――― このようにね。(その矛先をまずはヒサメに向ける。巧みな棒術で攪乱室うつ致命傷を与える矛先で確実に攻め崩していく) 」
仮面ライダーゼイン「 \ セルド / \ 執行 / \ JUSTICE ORDER / (ブラックホールの吸引によってマントが吸い寄せられるように大きくなびく中、カードを装填・裁断する) ガ ギ ョ ン ッ (両手に二刀ブレードが握られる中で自ら吸い込まれていくように飛び出す)―――――― "瞬迅剣" ( ザ ギ ィ ―――――― ン ッ ! ! )(吸引力を利用した瞬速斬。本体に吸い込まれるよりも先に高速剣技が超人悪魔を斬り伏し、そのまま背後へと何事もなく降り立った) 」
ミツキ「ゼェー…はァー……ッ……!ぜぇ…はぁ……っ……――― 今更、何言ってんですか…ッ!!散々無茶をしてきたのは先輩でしょッ!?(初めての反論。張り上げるような叫び声と共に振り返り、突き飛ばされてもなお肆々玖の右腕を強引に抱き寄せるように視線を合わせる)ミツキが…何のために今日まで先輩についてきたと思っているんですか…ッ?もう引き返せないところまで来ても、一生涯をかけてお供するって決めた『あの時』からッ!!とうに覚悟はできてるんですッ!!(肆々玖から離れると共に、まだっ痺れの残る右手でレイピアを無理やりにでも掴みなおす) 」
ミツキ「 ミツキが……「私」が、活路を開きます…ッ! (グルングルングルンッ――――ザグゥウンッ!!)(強い決意をその眼光に表し、レイピアを地に深く突きさして魔法陣のような固有結界を展開する。最初は緩やかに展開された結界が、術者の強い意志に呼応するように徐々にその展開速度と範囲を高めていく―――) 」
ブラックホール「くっ!!(後ろ……!! なんて身のこなしだ)(傷を負いよろめきながらも、咄嗟に踏み込んで振り返りながら組み付く。傷は深く、力の入り方も若干甘い)ハァ…ハァ…なるほどな……お優しい方々のご好意を使い捨てにしてるってわけかい…… 」
ヒサメ「 !? (ゼインの発した言葉の一部に反応し瞳孔が狭まる。同時に、彼が何をしてくるのか頭よりも肉体が"経験に基づいて反応する"かのように動き) ガッッ ギッッ キィ イイ ンッッ!!(鮮血よりも多く火花が散る。袖口から滑り落としたナイフ二本を逆手持ちにし最低限致命傷の位置に刃を陣取らせ対応。成すすべもなく弾き飛ばされ床へ受け身を取る間もなく倒されるが、ダメージを軽減させることに成功した) 善意カウントかよ……主観によるって注釈加えたらどうだ……ッ(その結果に、本人が最も驚愕し同時に嫌悪をむき出しにしていた。) 」
肆々玖「(人生の総括を今するには、まともなもんじゃなかった。俺の人生は大半が俺の人生じゃなかった、ただ……知りたいだけだった。今思う事は―――"こいつ等が死ぬ結末は知りたくない"ってことぐらいか。)……悪いとは思わない、多分俺にはそれは思えないから。(決意改めたミツキを前に、ゆらりと立ち上がった。その肉体からは今までと比べ、弱っていたのが嘘のように不自然なほど強い心臓の躍動を響かせて) 」
仮面ライダーゼイン「 \ 森ノ宮 / \ 執行 / \ JUSTICE ORDER / (ブラックホールに組み付かれた直後、ひそかにカードを裁断するとその全身に青いオーラが纏われる) "東雲流・旋風返し" ( グ ォ ン ッ ―――― ズ ド ガ ァ ァ ン ッ ! ! )(組み付く超人悪魔の高速を振りほどくと同時に受け流すような柔道の構え。彼の首筋に風を斬る勢いの回転手刀を繰り出し、地面に叩き付ける一撃を炸裂させる) 」
仮面ライダーゼイン「 \ キルビス / \ 執行 / \ JUSTICE ORDER / (カードの祭壇と同時に今度は両腕がぐにょぐにょと歪みを帯びはじめ、ブレードに形状変化する) それがゼインの意思ゆえに! (ガッギギギッウ、ギィインッ、ガギィャアンッ!!)(強靭なブレードと化した両腕による踊るような剣戟をヒサメに次々つと畳みかけ圧倒していく)グニョンッ―――― ヒ ュ バ ァ ッ ! ! (見出した隙からミドルキックを突き出すかと思えば、なんと突き出した右足までもが刺のように伸び出してヒサメに追い打ちの刺突が襲い掛かる) 」
ガション、ガション…――――― 彼女の、強い女性の言葉に男は抗えぬものだな…
ニエモン(茅場晶彦)「―――― ガション、ガションッ…!(肆々玖の背後に広がる暗闇から、いったいの自立稼働ロボットがぎこちない挙動で歩いていく)…私だ…君たちと同行していた「ヒースクリフ」…「茅場晶彦」だ……!(ロボットの頭部から男性の肉声が鳴り響いてる)ルシオンに奪われたあの『ゼイン』は……もとはといえば私が筆頭にオムニバスで開発した…究極のシステムだ。高い適合率を獲得したルシオンを相手に…そのままでは勝てないだろう……! 」
ニエモン(茅場晶彦)「だが、聞け…!ゼインは、悪しきものを罰する善意の象徴。しかし、偽悪という側面にすら容赦しない善意の行き着く先は、真なる悪意と相違ない脅威となる…!奴は…その善を象った悪意に囚われてしまった…!善に対抗するには悪意なる力を… 正当ではなく、卑劣な手段で落とすことが有効だとなる!まさしく、"悪魔"ともけなされるほどの、な……! 」
ニエモン(茅場晶彦)「しかしそれだけではない… ルシオンは、「ゼインの力」と…奴自身の「能力」の相乗効果を持って、その強さをいかんなく発揮している……!こうなってしまったのはすべて私の責任だ……だから、今から奴の弱点を君に教える…!それは…―――― 」
ニエモン(茅場晶彦)「 「 」だ……! 」
肆々玖「……そもそも、善だ悪だという薄っぺらい話……元から興味ないな。尺度の違いでしか……ない。(心臓は早鳴り、肉体に力が戻る。それに比例するようにただ顔は血の気が引いていった) 」
ニエモン(茅場晶彦)「それでいい…だが、間違えても刺し違えようと思わないことだ…!君たちには、まだ――――― 」
ニエモン(茅場晶彦)「――――― ズ ト ゙ ォ ア˝ ッ˝ ! ! ! (言の葉を紡ごうとしたロボットの頭部が、無情にもまっすぐに飛来した光の矢に貫かれ、頭部を失ったまま背中から倒れて完全に機能を停止させたのだった――――――) 」
仮面ライダーゼイン「――――――……ニエモン…「茅場」氏が、余計なことを。(光矢を投擲し終えたモーションを維持し、遥か向こうで機能停止したロボットにマスク越しに小さく舌を鳴らした) 」
ミツキ「(なんとしても繋げてみせる…先輩に――――)――――― "セリュナの森" ッ ! ! ! (時間をかけて安定化した固有結界。ついに完成された結界でゼインを巻き込み、その動きを遅鈍化させる) 」
ブラックホール「後ろ指差されるのは、得意分野だぜ(自らの力まで利用された一撃を受け、地面に叩きつけられ顔の穴から血を吐き出すが、それでも尚瞬時にゼインの脚に組み付く)とことんまで足掻いてやる……!! 」
仮面ライダーゼイン「(ミツキの固有結界に呑み込まれても尚、動揺するそぶりもなくその場に佇む)……「彼」に何を唆されたかは存じませんが、無駄なことです。ましてやここにいる誰もが満身創痍…そんな状態でまだ抗おうとでも?こちらにはまだ切られていないカードがたくさん残っている。歴戦の戦士たちが振るってきた善意なる業(わざ)…その身で受け止めきれるとでも? 」
ヒサメ「(側転し執拗に襲いかかる追撃を逃れる。だが続け様に狙い撃つ伸縮する足による刺突が眼前に迫り ) ┣"ズッッ (ナイフを側面から当て軌道を反らし致命傷こそ回避するも、脇腹を深く抉られる) ガッッ(だがその刃が肉体の一部であるのをいいことに腕の関節を絡めゼインの足をホールドし、八重歯を見せ苦し紛れに笑み中指を立てる) 」
ミツキ「―――――― ス チ ャ リ (固有結界へ踏み込むとともにレイピアの持ち手を胸元に、その切っ先を天に突き立てて静かに構える)―――――(先輩が回復するまでの間、自分が場を繋ぐしかない。でも奴を穿つほどの力は出し切れない…だったら…―――――)(ニルの方に視線を向け、目で何か訴えかける) 」
ニル「……!(ミツキからのアイコンタクトっを受け取り、その意をくみ取るように頷くと抜刀態勢に入る) 」
仮面ライダーゼイン「……!(地鈍化する結界内でブラックホールとヒサメに全身の自由を食い止められ、ついにまともに動くことすらままならない態勢に小さな動揺を伺わせる) 」
ミツキ「 コ ツ ン … ―――――― ギ ュ オ ァ ッ ! (一歩。その踏み込みと共に少女の体が追い風に突き飛ばされたように前傾し瞬く間に姿を消す) ギッ――ガギッ―――ギィンッ――ザギィンッ――ガッ――――ギッギィンッ―――ザギィンッ ! ! ! (見えざる残像が半月状の結界内で縦横無尽に駆け抜ける。その軌道上にあるものを一心不乱に斬り伏せる神速剣の閃撃がすべてゼインただ一人に叩き込まれていく)―――――― 今 ッ ! ! ! (斬り伏し、片膝をついた姿勢で背後の少女に合図を下す) 」
ニル「――――― "幽罪《 ユウザイ 》" ッ˝ ! ! ! ( ズ ァ ―――――― ア˝ ン ッ˝ ! ! ! )(ミツキの叫びに呼応するように、彼女が後頭部を下げたタイミングで抜刀。漆黒の斬撃波を横一文字に、真正面からゼインに叩き込む) 」
仮面ライダーゼイン「―――――― !? (―――― ズ ッ ガ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! ! )(拘束された全身に次々と刻まれる幾重の高速斬撃に成す術もなく衝動が体内に蓄積される。そこに、ニルの放った黒い斬撃が腹部にめり込むように炸裂。肢体を前に突き出した姿勢で勢い良く吹き飛ばされ壁に激突した) 」
ミツキ「ハァーッ…ハァ…はぁ……っ……(自らが得意とする戦術は支援と妨害。高速剣技による前衛的な攻撃は、ただでさえ負傷している体にはかなりの負担がかかっていた―――) 」
ニル「っ……!ミツキさん……! 」
ミツキ「……私はまだ…いける…っ…… 悔しいけど……ここにいる全員でなきゃあの気障男を刺すのは難しい…… まだ能力(ちから)の全貌だってわかったわけじゃないし……ゲホッ…… 」
肆々玖「ダッ―――ズガガガガッ!!(吹き飛ばされたゼイン相手に、先程までの負傷が嘘のように吶喊―――両手に短剣を生み出し斬り込む)……捨て石を後生大事にされるなんて間違っている、だからこれでいい。(その刃は、普段の曙色が嘘のようにどす黒い血色をしていた) 」
―――――― お気に召さないようですね。
仮面ライダーゼイン「 ォ ォ ォ ォ ォ … ッ ウ … ! ! (崩れた壁が零れる砂塵からマントをはためかせ、悠然とした足取りで前線へと復帰する。あれだけの攻撃を受けてもその外見にはかすり傷一つすら目立たった形跡はない) 私と貴方たちでは大きな隔たりがある。それは単なる力の差か…?いいえ。「自己」という真理に至ったか否か。何のために他者なる命を踏み台に生き、誰がために生死を賭けて戦うのか。すべては他ならぬ、「私」自身のため。私という唯一にして無二なる存在を存続させるため。 」
仮面ライダーゼイン「愛のため。絆のため。夢のため。抽象的概念に縋る者たちの理念も素晴らしいことですが、結局はその道半ばで命を落とせば意味もなく。それらすべては自己の斜線上でしかない。エゴの存続なくして手に入れることもできない。満身創痍で自分の命も惜しいはず…それでもまだ他者を案じるのは心の余裕に非ず、エゴの尊さに至らぬ愚かさでしかない。その偽善は…善意《ゼイン》が最も嫌悪する。 」
仮面ライダーゼイン「だが私は違う。自我を追求し続けた結果に芽生え たこの能力(ちから)こそ、嘘偽りなくエゴをありのままに我が身に投影する。善意の執行者…その裁断を前にしても舌一枚斬り落とされることのない純粋なる力。誰よりも強くあれと自己に念じればその潜在力を発揮し、生き残らねばと渇望すれば肉体細胞が分裂することなく再生する…―――― 」
仮面ライダーゼイン「 それが "暗示誘因"(サジェスション)。エゴを肯定する能力(ちから)にして、私が真理へと至った正義の結晶。己も他人も守り切れぬ貴方がた悪が越えられえない壁。 」
肆々玖「見解の……相違だな。偽善なんてのも結局はただの尺度、そして自我の貴さもまた尺度。唯々くどい、お前の押し付けに過ぎない……それに、"生きねば"なぞと説いているが。(流血は止まったが、血色はどんどん引いていく)……お前も俺も、いつか死ぬ。全て等しく、いつかは無価値、路傍の石だ。(代えの効く生死観、その最中に立ち続けたモノの毅然たる現実が立つ) 」
ミツキ「………(肆々玖の語る生死観に、思わず視線を反らすように目を伏せる。額ににじみ出る汗が、滴となって足元にぽたりと落ちていく) 」
仮面ライダーゼイン「生きることこそ人間が持つ最大の欲望にして、真理。たとえいつか死せるのならば、生き永らえる術を生み出すのが科学者である私の使命。戦場に身を投じ、血を流すだけの貴方とは――――大きくも隔たっている!(グオン、と砲弾の如く放たれたその身が一気に肆々玖へと迫る) 」
仮面ライダーゼイン「 \ ヴォイド / \ 執行 / \ JUSTICE ORDER / (一枚のカードを裁断すると、その右手に握られるは稲妻。否、その力を宿した、神と相反する意思を宿した剣。帯電された刃が振動を震わせ、肆々玖の振るう刃と激しく衝突し合う) 」
仮面ライダーゼイン「ならばなぜ貴方はここまで生きてきたのです?もはや立つことすらままならないその体に至るまで、なんどその手に数多の命をかけて、幻影なる巨塔へと挑む?(振動する稲妻の剣から轟音の如き騒音と共に重い斬撃音がかき鳴らされる。そのさなかで、騒音よりも耳障りな男の語りが、剣圧と共に彼に圧し掛かっていく) 」
肆々玖「"最初から隔たっている"?当然に決まっているだろ……そんな事ッ!!(受け止めた雷轟の刃を真っ向鍔迫り合いし、拮抗―――徐々に出力が増す)他人と一言一句一緒の価値観なんて、気色悪くて御免だ。そして俺の理由など最初から決まっている―――"やれと言われて何となく"、探している真っ最中だ!!(みしり、ぎしりと地形が歪み、血が吹き出―――した側から肉体へと還元され続けている、一滴すらも余さずに)"血死壊滅<サングイン・ヴェルティード>"……全身の血液を魔力として還元する、死へ一直線の俺の禁じ手だ。(そして駄目押しの術の開示、制約をかけた行使により肉体出力は更に増す) 」
仮面ライダーゼイン「ハハハ…!それは滑稽!どうやら貴方と私は対局なる位置にいる。自己の絶対的正義を確信している私と…己が何者かもわからず、挙句他者に強要されるだけの貴方とでは!(雷撃と斬撃が交錯する中で、負荷をかけて限界を超えようとする肆々玖に対し、その限界に対して事務的に次の段階へと突破するルシオン。相反する者同士の攻撃が地盤をバリバリと抉り出していく) 」
仮面ライダーゼイン「 故に私には勝てませんよ、貴方じゃあね――――― "風は風に" (横薙ぎとっ共に発生させた小規模竜巻に肆々玖を呑み込ませ、上空へと吹き飛ばしたところで自らも跳躍接近する) "虹は虹に" (頭上真上を舞う肆々玖に天を引き裂くような楕円状の斬撃を繰り出す) 」
肆々玖「己の絶対性も、己が何者かなども……全て些事、"別にいい"の範疇だ。そんなものはいくらでも揺らぐし、いくらでも後付けされるしする事も―――出来るッ!!(一瞬の判断、風に巻き上げられた瞬間に詠唱展開)"突風<ヴィエント>"!(竜巻の流れを後付の魔術で主導権を奪い、斬撃から逃れそのままゼインにぶつける) 」
ミツキ「………(「己の絶対性も、己が何者かなども―――」 彼の語る言葉には、どこか突き刺さるものがあった。まるで今の自分に問い詰められているような感覚とでもいうのだろうか。このやり取りを何度も繰り返し、その果てに応えの得たのかさえ…自分にはわからずにいた) 」
仮面ライダーゼイン「……!(ガギィンッ―――ガギィンッ――ギィンッ―――ガァンッ―――ギャギィインッ!!)(上乗せによって反射された竜巻を一閃で斬り払い、そのまま肆々玖と足の場の存在圧しない空中戦を燃やす)曖昧で不安定で確実性のない…そんな浮ついた意思で、私に刃を突き立てるとは滑稽極まりない!(男は嘲笑交りに声を荒げ、幾たびの死戦を乗り越えて洗練された肆々玖の斬撃を、ただ上辺だけ模倣した何者かの武器と剣技で応戦する。斬撃をいなし続け、その矛先を彼の腹部に突き立てる――――) 」
仮面ライダーゼイン「 "嘗て啼き閃光《ライトニングストレート》" (――――― ド ギ ュ˝ ボ ォ˝ ア˝ ッ ! ! ! )(零距離で放たれた貫通性のある電光線を発射。被弾した肆々玖を垂直に突き落とす) 」
肆々玖「はっ―――曖昧で不安定で確実性のないのは、世の常だッ!!(腹部に矛先が突き立てられる―――回避不能、瞬時の判断で密着状態のゼインに"鎖<カデナ>"を巻き付け)お前の尊ぶ自己評価なぞ、必ず来る死後にどう転ぶかも定かじゃない……不確かなモノでしかない、ましてやお前の掲げる主観たっぷりの善だ悪だの批評なぞは特にいつだってニ転三転するものだからな!!(当然ながら直撃―――限界まで張り巡らせた闘気で低減しつつ、鎖伝いにゼインにも衝撃が分散しながら失墜する) 」
肆々玖「ぐう―――カハッ……フウ―――(吐血、それも全て手を触れて己に還元。既に全身蒼白、死の間際にすら見えるが闘志は絶えない)……それに、そもそも科学者などという真っ先に不確実なものに相対するお前が、それを否定してどうするんだ?……全ての事に、絶対は無いぞ―――良くも悪くもな。 」
ミツキ「………(それでも――――――) 」
仮面ライダーゼイン「――――!(道連れを――――!?)(気づいたのは、光線を放った直後。その僅かな一瞬。鎖によって拘束されたことで、真下に吹き飛ばした肆々玖と連動するように自らも勢いよく落下してしまった) ……ええ、おっしゃる通り。だからこそ興味深い。その不鮮明さが。無秩序が。如何にして私の推測を超越するか。(男の体が磁石に引き寄せられるようにふわりと起き上がる。外相もなく、呼吸も平然なままに安定している)だが私は知っている。生命が死に直面するその瞬間こそ、自我は偽りなくその意思のストッパーを超えて現れる。貴方の語る言葉も、全貌も――――― 」
仮面ライダーゼイン「 \ アオ / \ 執行 / \ JUSTICE ORDER / (裁断され、ばらばらになったカードが足元に散乱すると―――) "幾星霜の輝宝《アンビション・シャワー》" (その背後に無数にも及ぶ蒼白色の刃が頭上を埋め尽くさん勢いで展開される) 」
ブラックホール「(あの野郎、無茶するな……だが、奴には見えている。『自分』を持てなくなった経験があるからこそ……)(若干距離を取り、腕を組んで戦況を伺う) 」
ブ ワ ァ ――――――――― ッ ! ! (肆々玖の目に映る光景は蒼白に輝く銀河の煌めき。否、違う。それは鋭利な矛先を突き立てた絶望の群衆。かわしようのない絶壁、その矛先が、一人の青年に向けられた――――)
ニル「……!!(数え切れない刃、その矛先のすべてが肆々玖に向けられた光景に狼狽。すぐに駆け付けようとする宇賀距離的には間に合わず―――) 」
肆々玖「そんなもの、全ては―――どうなったって―――ッ!!!(血色に染まった闘気を全力で形成、それは広がりゆく)空一面を覆いて遮れ。之なるは次への布石、兆し也―――【朧雲<オボログモ>】ぉッ!!!(血で練り上げられた闘気が雲海の如く広がり、降り注ぐ刃を真っ向から受け止める) 」
ギギギギッ―――ギャリギャリギャリギャリギャリッ―――!!!!(衝突し、拮抗し、互いに削り合う。文字通りに死力を尽くした闘気は赤と青のコントラストを生じてゆく―――)
肆々玖「全ては―――……ぐ、う゛ッ……!!(ただ単純に、限界だった。肉体の末端に至るまで、血の全てを心臓だけで完結させて力にしていたのだ―――最早肉体を、生命活動を維持できたものではない、いつ終わっても不思議ではなかったのだ)……ああ、そうさ。 」
―――全て、"まあ……別にいいか"と、俺にとっては俺の事さえも、どうにでもなるし、どうなってもいい他人事に過ぎない。 」
肆々玖「(なんて事を言ったら、"兄貴<しんぞう>"は怒るんだろうな。)フラッ―――(限界まで維持していた一面の障壁が、端から砕けてゆく) 」
ヒュッ ヒュ ヒュ ッ ヒュッ ヒュ オ ッ ! ! ! ! (それは流星群のように、美しく、儚げに。蒼く鋭い光線群が空間を次々と引き裂き―――――)
仮面ライダーゼイン「 貴方が何を叫び、その最期にどんな自我を晒すのか… 見せていただきますよ 」
――――― ド ス ッ ドスッ ドス リッ ドスドスッ ドスゥ ッ ! ! ! (――――肉壁に深々と突き刺さる)
――――――(ガラス破片が次々と砕け散っていくような喧騒の果てに、静寂が訪れる。微かに聞こえてくるのは、滴るような水滴。電脳空間の足場に、赤く小さな湖が広がっている。その水源は、あまたの絶望をすべて受け入れてしまった青年――――――)
――――――ではなかった。当の本人、肆々玖にその痛みは感じない。あるいは痛みさえも感じないほどに、生命期間を終えてしまったのだろうか。否、違う。彼にはもともと…"刃など一本も突き刺さっていなかった"のだ。何故なら……
ミツキ「―――――――……ポタ………ポタ………ッ…… 」
ミツキ「 ……エ、ヘヘ……っ………先、輩…………よかった…… 」
――――――その痛みを、絶望を肩代わりした少女が、彼の前に立っていたのだから
肆々玖「―――ミツキ、お前は……何故こんな?(その眼前の光景に、ただ理解が至らない。故も意味も、感情すら未熟な彼には何一つが。) 」
ニル「……へ……ぁ………??(言葉を、失う。無事だった仲間。その為に犠牲を選んだ仲間の姿に―――) 」
仮面ライダーゼイン「………これは……―――――――(予想外の顛末に、男はそれ以上言葉を紡ぐことも行動を起こす様子もなく、ただ観察するように静止する) 」
ブラックホール「……馬鹿が(その様子を見て、冷たく吐き捨てるように言った。表情は見えない。彼に『顔』は存在しないから) 」
ミツキ「……いいんです… 知らなくて、いい……だって……こんなことで…先輩を煩わせたくなんか……ありませんから……ッ˝プ……(吐き出しかけた血を丸ごと飲み返すように片手で反射的に口元を押さえつける。たとえそうせずとも、その背中に無数に開かれた穴からは、赤い滝が止めどなく湖へと流れ込んでいく) 」
肆々玖「……どうして、こんな死にかけの捨て石を態々拾う?あまりにも意味がない、庇う意義も……(理詰めと、交わらない価値観と、感情というものへの理解。その全てはただこの場の価値だけで思考をしていた、それももうじき絶えるだろう。) 」
ミツキ「……ッハ……ハハハ……(息も絶え絶え。意識も朦朧としているにもかかわらず、少女は彼の言葉を聞いて面白おかしそうに、乾いた笑みを無意識に零してしまう) 」
ミツキ「………今の、言葉……変、ですね…… だって、それ……"ミツキが先輩に言ったやつ"じゃ…ないですか…―――――― 」
忘れもしない。忘れたくない。あの日、貴方と出会ったことを―――――――
― 1年半前・某学園 ―
人の中には、天賦の才を持って生まれる超常現象的な奇跡を持つ人がいる。
赤子にして大人の言葉を理解し、幼少期に高い知能を獲得し、思春期には熟練の域に達した職人にさえ比肩する実力を容易に発揮してみせるような存在。
「私」は―――――ギフテッドとして、その才を持って生まれた。
世界の覇権を牛耳る超巨大組織の最上位に君臨する役職を持つ父の娘として生まれ、幼いころから何不自由もなく育ってきた。
甘やかされ続けてきたといえばそうかもしれない。でも、自分はそんな親の権威に頼る間もなく、すべて自分でこなすだけの才があった。
伐刀者として早くに目覚め、高レベルの学園に入学と同時に、学年はおろか魔導騎士連盟にすら一目を置かれ、
学生騎士でありながら魔導騎士の役職を割り当てられるかもしれないとして、期待の一番星として輝いていた。
それが私の人生だった。何もかもがうまくいき過ぎている。不自由なんて知らない。
でも同時に…自由というものすら知らなかった。
横切る誰も彼もが私の背を見て羨望と不満を口にする。「私もあんな風に何不自由なく暮らしたい」「何でも自由にできる人間になりたい」と。
でも私は知らない。本当の「自由」って、なに?不自由でないことが自由なの?
引く機会の無かった辞書でその言葉の意味を調べ尽くしても、形骸化された文字じゃ何一つ理解できなかった。
思えばこんな私にもわからないものはそれなりにあった。夢とか。絆とか。愛とか。
人と関わる余地もなければ、自分に問いただす必要性もなかったのだから。
才能がある。感性がある。聡明である。人より優れている。誰もがこぞって私をそう決めつける。そんな類の言葉に踊り踊らされる毎日だ。
ミツキ「 ばっかみたい 」
不自由だとか、自由だとか…いくら調べてもわかんないものにさえしらけてしまう日々。
ただ"誰もがそれを望んでいるから"って、指さされた道をおとなしく歩き進めるだけ。
疑念も否定もなければ、肯定すら億劫になるほどに。無意識なるままに。私はここまで歩いてきた。
でも…その足取りが、やがて少しずつ重くなっていってるような気がした。
このまま歩き続けた先で、何が待っているのか。自分はこれから先どうなっているのか。
あの時感じた唯一の違和感を…その答えにもちゃんと辿り着けるのかな、って――――
ある時。学園の魔導騎士部内で部員全員での組手が行われることとなった。近いうちに開催される国際大会に向けての本格的な練習だろう。
入部して早々主要メンバーの全員を地に叩きのめした私には欠伸が出るような話だった。
だがその日…一人の部員がやってきた。いや、見た感じだと顧問に無理やり連れ込まれとでもいうような感じだったかな。
『彼』は3年生で私より二つ上の先輩だった。他とは違う変わった名前をしていた。当然、その性格も。
部に属していながら練習や大事な大会への参加を頑なに拒否している、いわば幽霊部員だった。
決して周りから嫌われているような様子ではなかった。ただ彼本人が何らかの理由で前のめりに人前で霊装を披露しようとしなかった。
私は…ただ一人、その男だけと一戦を交えたことはなかった。
顧問に強制されて嫌々構えを取ることになった私と彼は互いに剣を交えることになってしまった。結果は、見え透いていた。
そう、思っていた―――――
ミツキ「―――――――ッた………?! 」
―――――そこまで!勝者、『 肆々玖 』!
誰もがその結果に驚愕した。当然他ならない私だって。油断していたわけではない。
どんな相手だって、心をへし折るつもりで完膚なきまで叩きのめす。
父親に散々叩き込まれた流儀が染みついた体は、容赦というものを知らなかったから。
それでも、『彼』は私を破った。入学して以来無敗を貫いていた、私を―――――
ミツキ「……っ……?なんで……っ…?(魂魄は安定していた… コンディションも…霊装の手入れだって…何一つ抜かりはなかった……なのに、どうして―――――) 」
肆々玖「今"どうして負けたのか分からない"って思ってるだろ。(平然と、そして何でもなかったかのように真顔を保っている、ともすれば仏頂面の青年。結果から見れば圧勝、それも全く真っ向からではない酷く汚い手段でのものだった。) 」
ミツキ「……は……ッ…?(心底納得できない、と強く訴えるような眼差しで彼の顔を見上げる。人によっては睨み上げているようにも見える眼差しであった。) 」
肆々玖「あんた、有名になりすぎたな。全部手の内がバレてるから対策もしやすかったよ。(それもそうだろう。常勝街道まっしぐらの話題性、その霊装やクセといったものは噂だけで詳らかにされていたのだ)それにこれは模擬戦だが、つまり実践想定だ。勝利に卑怯も何もあったもんじゃない、別に恨んでくれていいぞ。 」
理解などできるはずがない。すべてを平等に叩きのめす王道の剣技を前に、挑む者は須らく斬り捨てられていく。
完璧で無敵の王道。だが、それを崩す唯一の手段がある。"邪道"だ。どんな正攻法でも、後出しじゃんけんに敵うはずもない。
『彼』の剣技はまさに、それを体現していた。そんな戦(や)り方なんて、理解できるわけがない――――
ミツキ「 ッ ッ˝ … … ! ! (初めて味わった敗北。雪辱。屈辱。侮辱。こんなことがあっていいはずがなかった―――) 」
肆々玖「それに、心も上の空だったらしい。俺との対戦は"流れ作業"とでも思ってたのか?おかげで想定していた霊装の出力も半減、フェーズ1でも十分相手できたからな―――(最後に残したその言葉は、さぞ突き刺さったろう。"フェーズ1"、これは彼の出回っている数少ない情報の一つであり、"本調子ですらない"という事実だからだ) 」
それから私は、行く必要もなかった部活動に毎日足を運ぶようになった。だけどあれ以来、『彼』が部に顔を出すことはなかった。
勝ち逃げされたんだ――― 対策に対策を重ね、今度こそはと野心を燃やした。
けど、四六時中探しても『彼』と鉢合わせになる機会は訪れず…行き場のない怒りが静かに霧散するのを待つだけの日々が訪れた
あれから1ヵ月が経過した。国際大会には優勝した。だけど心は晴れなかった。いや…そもそも晴れた気持ちというものがどういうものなのかさえわかんないけれど。
今でもずっと、『彼』の顔がちらついている。 頂点に立ち続けた私を崩した、あの見下すよな冷たい眼差しが何度でも鮮明に思い出される。
癇癪を起すことも多くなった。練習相手にいつも以上に強く当たることも増え、いよいよ情け容赦ができなくなってきた。
そんな気持ちで迎えた他校との合同演習。私の対戦相手はあまりにも貧弱な女の子の学生騎士だった。
同じ土俵に立ってくることさえ嫌気がさしてくるくらいに、いつになく気が障っていた。
武器をへし折り、心をへし折り、戦意が微塵も湧き出てこないまで徹底的になぶり続けた。
女の子は泣いた。その場にいた全員が私を全力で抑え込んだ。恨みもない赤の他人に、殺意にも近い衝動を身勝手にも刻み付けたんだ。
その時の女の子の顔を、今でも覚えている。
恐怖だとか、絶望だとか、言葉に言い表せそうな単純な感情ではない、あの複雑な眼差しを。私はあの目をどこかで見た覚えがある。そう、あれは……
「 勝利に卑怯も何もあったもんじゃない、別に恨んでくれていいぞ 」
――――― あの時の『私』だ。『私』が、『私』を見上げている。今まで感じたことのなかった、ふつふつと煮えたぎる怒りとも言い切れないあの感情を宿した目で。
ミツキ「……ぁ……っ…… ぁ゛……? 」
……私の目に映ったあの時の『彼』の正体は……『私』だったの……?
わからない。わからない。わからない。わからない。
私は、『私』が、わからなくなった―――――
ミツキ「………… 」
ついに私は、人との関わりを完全に閉ざした。
登校を拒否し、家族の寵愛すら突き放し、自分自身に何かを問うことさえ許さなかった。
生まれながらに得た才能さえ、今となっては路傍の石のように輝きを失った。
何のためにここまで来たのか。そんな理由すら持ってこなかった私が、いまさら答えを見出せるはずもなく。
何のために生きているのかさえ、わからなくなってしまった。
自分って……なに…?『私』は……何のために生まれてきたの……?
やりたい夢(こと)もない。人との絆(まじわり)もない。誰かを愛(おも)うこともない。「自」分自身が生きる「由」縁すらも。わからない。
ミツキ「 教えてよ…誰もいいから……っ………―――― 」
最終更新:2026年05月10日 21:50